JP2009018778A - 自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材 - Google Patents

自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材 Download PDF

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Abstract

【課題】変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡積層シートを用いた、ガラスフリーで非常に軽量、低コスト、環境適合性を有し、かつ適度な難燃性を保持すると共に、好適な意匠性と成形延伸性を兼ね備えた自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を提供する。
【解決手段】変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層11,13を積層した自動車内装材用発泡積層シートであって、室外側非発泡層13に、レーヨン繊維を含有し、接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層20を積層し、室内側非発泡層11に、レーヨンを含有しない不織布表皮材30を積層することにより、難燃剤を用いることなく、好適な意匠性、適度な燃焼性を保持でき、深絞り成形延伸性を備えた自動車内装材用発泡積層シート50、および自動車内装材を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材に関する。
従来、自動車天井材のような自動車内装材として、ウレタンフォームにガラス繊維を積層したシートあるいは、ポリプロピレン系樹脂にガラス繊維を混合または積層した積層シートが広く用いられている。それらの自動車内装材は、成形加工性・耐熱特性に優れているという特徴がある。
しかしながら、上記のような自動車内装材は、ガラス繊維を構成材料とするため、環境適合性(即ちリサイクル性、特にサーマルリサイクル性)に問題がある。
更に、これらのガラス繊維を含有する複合材料では、ガラス繊維を用いているため、軽量化に限界があり、自動車の燃費が上がることによるCO量の増加による環境負荷という面においても環境適合性に劣るものであった。
このような問題を解決するため、軽量で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下「変性PPE系樹脂」と記す。)発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用いた自動車内装用発泡積層シートが提案されている(特許文献1)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車内装材用発泡積層シートは、耐熱性に優れ、軽量であるだけでなく、ガラスフリーの素材で構成されているため、リサイクル性を含み環境適合性に優れた素材である。
一方、自動車内装材に対して、火災発生時に車内に取り残された人身の安全確保のため難燃規制が課せられている。ところが、上記の変性PPE系樹脂発泡積層シートなどの耐熱性樹脂発泡積層シートを内装材として用いた場合、ガラスフリーであるが故に難燃規制に合致する特性を得ることが困難であった。そのため、種々の工夫がなされており、より環境にやさしく、安価であって有効な解決方法が望まれていた。
この課題に対して、意匠性を有する不織布表皮材に、レーヨン繊維をはじめとする天然繊維を含有することより、高価な難燃剤を用いることなく、安価で、環境適合性を有する自動車内装用発泡積層シートが提案されている(特許文献2)。しかし、この方法は、不織布表皮材に繊維が剛直なレーヨン繊維を含有するため、表皮材の風合いが変化し、表皮の風合いを重要視される部位の内装材用表皮としての適用は困難となるばかりでなく、レーヨン繊維は微妙な調色が困難とされるため、意匠性である表皮材の色目を調整することが困難であるという欠点を有している。
他方、変性PPE系樹脂を用いた自動車内装材用発泡積層シートを用いた場合、例えば自動車天井材のような成形延伸程度(深絞り性)が比較的小さな成形品を得る際には、特に大きな問題は発生しないものの、例えば自動車トランクルームの構成部材であるデッキサイドのような深絞り形状を有する自動車内装材を成形する際、成形金型により発泡積層シートが接触冷却され、成形延伸できないという問題が発生していた。
そのため、この問題を解決するために、ウレタンフォームを予め発泡積層シートに積層することにより、発泡積層シートが金型接触にて冷却されないよう対応している。
しかしながら、この方法は、作業が煩雑であり、材料コストや製造コストのアップを引き起こすため、これらに代わる方法の出現が待望されていた。
実開平4−11162号公報 特開2002−120328
本発明の目的は、変性PPE系樹脂を基材とする発泡積層シートを用いた、ガラスフリーで非常に軽量かつ適度な難燃性を保持し、好適な意匠性と成形延伸性を有する自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を提供することである。
本発明者は、熱可塑性樹脂として、耐熱性樹脂、特に、ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「PPE系樹脂」と記す)およびポリスチレン系樹脂(以下、「PS系樹脂」と記す)との混合樹脂である変性PPE系樹脂を押出発泡成形して得られた発泡層の両面に、変性PPE系樹脂または耐熱PS系樹脂からなる非発泡層を積層してなる熱可塑性樹脂発泡積層シートにあって、室外側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維により構成される保温層を積層し、かつ、室内側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有しない不織布表皮材を積層することにより、好適な意匠性、適度な燃焼性を保持でき、深絞り成形延伸性を備えたガラスフリーなため非常に軽量で、環境適合性を兼ね備えた自動車内装材用発泡積層シート、および自動車内装材が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層されてなる自動車内装材用発泡積層シートであって、発泡積層シートの室外側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が積層され、かつ、該シートの室内側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有しない不織布表皮材層が積層されてなる、自動車内装材用発泡積層シート、
(2)レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が、繊維全体の重量を100重量%とした場合、レーヨン繊維を10〜80重量%含有する不織布層である(1)に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
(3) レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層においてレーヨン繊維と組み合わされる繊維が、融点250℃以上のポリエステル系繊維である(1)または(2)に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
(4)レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が、目付け30〜120g/mの不織布である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
(5)レーヨン繊維を含有しない不織布表皮材が、ポリエステル系繊維からなり、かつ、目付が100〜350g/mである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
(6)発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25〜70重量%および、ポリスチレン系樹脂75〜30重量%である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート、
(7)非発泡層の基材樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂または耐熱ポリスチレン系樹脂である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート、および
(8)(1)〜(7)のいずれかに1項記載の自動車内装材用発泡積層シートを、保温層を異音防止層として室外側に配置するように成形してなる自動車内装材
に関する。
本発明は、熱可塑性樹脂を押出発泡成形して得られた発泡シートの両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を積層した熱可塑性樹脂発泡積層シートであって、室外側非発泡層にレーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層を積層し、かつ、室内側非発泡層にレーヨン繊維を含有しない不織布表皮材を積層する構成とすることにより、適度な燃焼性を保持し、深絞り成形性に優れ、表皮材の風合い、色目等好適な意匠性を有する自動車内装材用発泡積層シート、並びにそれを成形してなる自動車内装材を得ることができる。
さらに、該自動車内装材用発泡積層シートは、オールプラスチック素材からなるガラスフリーで非常に軽量であり、環境適合性に優れると共に、製造コストを低減できる等の、自動車内装材に要求される諸特性を満たす点で工業的に有利である。
本発明は、熱可塑性樹脂を押出発泡成形して得られた発泡層の両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を積層した熱可塑性樹脂発泡積層シートであって、室外側非発泡層にレーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層を積層し、かつ、非発泡層の室内側にレーヨン繊維を含有しない不織布表皮が積層されることにより、好適な意匠性と、適度な難燃性、深絞り成形延伸性を有する自動車内装材用発泡積層シート及びそれを成形してなる自動車内装材に関する。
本発明の自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材を、図面に基づいて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係わる自動車内装材用発泡積層シートまたは自動車内装材の断面構成を、図1および図2に示している。
図1では、自動車内装材用発泡積層シート50として、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする押出発泡シートである発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層11および13(室内側非発泡層11および室外側非発泡層13)が積層され、室外側非発泡層13の表面に保温層20が積層され、室内側非発泡層11の表面に表皮接着剤層18を介して、表皮材30が積層される。
図2では、自動車内装材用発泡積層シート50として、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする押出発泡シートである発泡層10の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層11および13(室内側非発泡層11および室外側非発泡層13)が形成され、室外側非発泡層13の表面に、接着剤層16を介して保温層20が積層され、室内側非発泡層11の表面に表皮接着剤層18を介して、表皮材30が積層される。
発泡シートである発泡層10の基材樹脂として使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体等の耐熱性ポリスチレン系樹脂;PPE系樹脂とPS系樹脂との樹脂混合物、PPEへのスチレングラフト重合体等のスチレン・フェニレンエーテル共重合体、等の変性PPE系樹脂;、ポリカーボネート樹脂;ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートで例示されるポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、耐熱性、剛性等の品質に優れ、加工性および製造が容易である点で、変性PPE系樹脂が好ましい。
本発明における変性PPE系樹脂は、PPE系樹脂とPS系樹脂とを混合することによって変性を行ったものであり、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂をいう。PPE系樹脂とPS系樹脂との混合による変性は、製造が容易であるなどの点から好ましい。
変性PPE系樹脂中のPPE系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレンー1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などがあげられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうちで、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの点から好ましい。また、難燃性を付与したい場合には、ハロゲン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチルー6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチルー6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)が好ましい。
変性PPE系樹脂中のPS系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレンで代表されるスチレン−ブタジエン共重合体などがあげられる。これらのうちでは、ポリスチレンがその汎用性、コストの点から好ましい。
本発明において、発泡シートである発泡層10に使用される基材樹脂として、変性PPE系樹脂を使用する場合は、変性PPE系樹脂である混合樹脂におけるPPE系樹脂とPS系樹脂の割合としては、PPE樹脂25〜70重量%およびPS系樹脂30〜75重量%であることが好ましく、PPE系樹脂30〜60重量%およびPS系樹脂40〜70重量%であることがより好ましい。PPE樹脂の混合割合が25重量%未満では、耐熱性が劣る傾向にあり、70重量%を超えると、加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難になる場合がある。
本発明における発泡シートである発泡層10は、発泡剤として炭化水素系発泡剤を用いて、押出発泡成形して得られるものが好ましい。
発泡シートである発泡層10を得る際に使用される炭化水素系発泡剤としては、揮発性発泡剤が好ましく、具体的には、例えば、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどがあげられる。なかでも、発泡剤の溶解度を示すカウリブタノール値(KB値)が20〜50である炭化水素系発泡剤が好ましい。また、この範囲よりもKB値の高いものと低いものとを2種以上適宜混合して前記範囲としたものも使用することができる。
本発明においては、前記発泡剤の具体例のなかでも、発泡剤の適度な溶解性および発泡剤の逸散性が小さく、発泡層の経時変化に伴う発泡性の変化が小さい点で、イソブタン、または、イソブタンおよびノルマルブタンの混合体であって、イソブタンの比率が高いものが好ましい。発泡剤がイソブタンおよびノルマルブタンの混合体である場合は、混合体中のイソブタン含有量は、50重量%以上が好ましい。イソブタン含有量が50重量%より少ないと発泡剤の逸散性が大きく、発泡層の経時変化に伴う発泡性の変化が大きくなる傾向がある。
本発明における押出発泡成形時の炭化水素系発泡剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、2.0〜5.0重量部であることが好ましく、2.5〜4.5重量部であることがより好ましい。炭化水素系発泡剤の添加量が2.0重量部より少ないと、成形加熱時の二次発泡倍率が低くなりすぎることも有り得、良好な成形性を得るのに悪影響を与える傾向があり、5.0重量部を超えると、押出発泡が不安定になったり、発泡シートの表面荒れが発生する傾向がある。
本発明においては、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡シートである発泡層10(1次発泡層)の厚さとしては、1.0〜5.0mmが好ましく、1.5〜3.5mmがより好ましい。発泡シートである発泡層10(1次発泡層)の厚さが1.0mmより小さいと、強度および断熱性に劣り、自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。一方、5.0mmを超えると、成形時の加熱の際、発泡層10(1次発泡層)はさらに発泡(2次発泡)するが、発泡層10の厚み方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加熱が行えず、成形性が低下する傾向がある。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡などが生じ、製品として許容できるものが得られ難くなる傾向がある。
本発明における、発泡シートである発泡層10(1次発泡層)の発泡倍率は3〜20倍が好ましく、5〜15倍がより好ましい。発泡層10(1次発泡層)の発泡倍率が3倍より低いと、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易く、また、軽量化の効果が少なくなる傾向がある。発泡層10(1次発泡層)の発泡倍率が20倍を超えると、強度が低下し、中心部まで加熱しにくいことにより、成形性が低下する傾向がある。
本発明における、発泡シートである発泡層(10)を形成する一次発泡層の独立気泡率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。独立気泡率が70%未満では、断熱性、剛性に劣るとともに、成形加熱によって目的とする二次発泡倍率を得ることが困難となり、成形性に劣る傾向がある。
本発明における、発泡シートである発泡層10(1次発泡層)のセル径は0.05〜0.9mmが好ましく、0.1〜0.7mmがより好ましい。セル径が0.05mmより小さいと、充分な強度が得られ難くい傾向があり、0.9mmを超えると、断熱性に劣る傾向がある。
本発明における、発泡シートである発泡層10(1次発泡層)の目付は100〜300g/mが好ましく、120〜200g/mがより好ましい。目付が100g/mより低いと、内装用基材としての剛性が不足する傾向があり、目付が300g/mを超えると、重量増により軽量性の効果が低下する傾向がある。
本発明における、発泡シートである発泡層10(1次発泡層)中の残存揮発成分量は、発泡層10の全重量に対して1.0〜5.0重量%が好ましく、2.0〜4.0重量%がより好ましい。残存揮発成分量が1.0重量%より少ないと、2次発泡倍率が低くなりすぎることも有り得るため、良好な成形性を得るのに影響を与える傾向がある。また、残存揮発成分量が5.0重量%を超えると、接着剤層との間に空気溜まりが発生したり、経時による寸法安定性が低下する傾向がある。なお、発泡層10中の残存揮発成分量は、ガスクロマトグラフィーにより測定しても良いが、通常、発泡層10の試験片を耐熱性樹脂が軟化を始める温度以上でかつ分解温度以下の温度範囲で加熱して揮発成分を充分に揮発させ、加熱前後の重量差により測定することができる。
一般に、発泡シートである発泡層10(1次発泡層)においては、押出発泡成形時に延伸され扁平となっていたセルが、成形加熱時に扁平率を解消する方向にその形状を変化させることにより、加熱収縮が発現させる。その加熱収縮が、結果的に自動車内装材の耐熱変形を起こす。
耐熱変形とは、自動車内装材を加熱試験した場合、加熱前後での発泡セルの加熱収縮による形状変形等により自動車内装材の寸法変化が発生することを意味する。
そこで、耐熱変形等の形状変化を抑制するためには、発泡層10(1次発泡層)のセル形状としては、発泡層の両面表層部のセル密度アップを押出発泡成形シート化時に両表面とも均一に冷却することによりハードスキン層として形成することにより、発泡層の表層部を剛直化することで加熱収縮の量を抑制することができる。
さらに、発泡層10のセル内圧の変化をなるべく小さくすることにより、加熱収縮量を小さくできる。例えば、発泡層10の押出発泡成形後、非発泡層11および13を積層加工するまでの養生時間を30日以上確保することにより、セル内圧の変化をなるべく小さくすることができる。
さらに、加熱収縮による耐熱変形量は、二次加熱成形時の加熱温度を130〜155℃の範囲に制御し、発泡層10のセルに加熱成形時の歪みを与えない条件にて成形加工することによっても、非発泡層11または13を積層しない場合でも小さくすることができる。
本発明において使用される発泡シートである発泡層10の基材樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤、タルクなどを添加してもよい。
本発明において、非発泡層11または13に用いられる熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、PS系樹脂、耐熱PS系樹脂、変性PPE系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうちでも、発泡層10との接着性の観点から、変性PPE系樹脂、耐熱PS系樹脂が好ましく使用される。
本発明において、非発泡層11または13に用いられる熱可塑性樹脂として変性PPE系樹脂を用いる場合は、上述の発泡層10の場合と同様に、変性PPE系樹脂は、PPE系樹脂とPS系樹脂とを混合することによって変性を行ったものであり、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合樹脂をいう。PPE系樹脂とPS系樹脂との混合による変性は、製造が容易であるなどの点から好ましい。
非発泡層におけるPPE系樹脂、PS系樹脂の具体例や好ましいものの例示、それを使用する理由などは、発泡層10において説明した場合と同様である。ただし、PS系樹脂の好ましい具体例として、ハイインパクトポリスチレン(以下、「HIPS」と記す場合がある)で代表されるスチレン−ブタジエン共重合体が、非発泡層11または13の耐衝撃性改善効果が大きいという点から好ましい。
本発明において、非発泡層11または13に用いられる熱可塑性樹脂として、変性PPE系樹脂を用いる場合には、変性PPE系樹脂である混合樹脂におけるPPE系樹脂とPS系樹脂の割合としては、PPE樹脂5〜70重量%およびPS系樹脂30〜95重量%であることが好ましく、PPE系樹脂7〜50重量%およびPS系樹脂50〜93重量%であることがより好ましい。PPE樹脂の混合割合が5重量%未満では、耐熱性が劣る傾向にあり、70重量%を超えると、加熱流動時の粘度が上昇し、非発泡層の押出加工成形が困難になる場合がある。
本発明において、非発泡層11または13に用いられる熱可塑性樹脂として耐熱PS系樹脂を使う場合は、使用される耐熱PS系樹脂としては、スチレンまたはその誘導体と、耐熱性の改善効果を有する他の単量体との共重合体である。耐熱性の改善効果を有し、スチレンまたはその誘導体と共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物またはその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものと、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体およびその酸無水物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのニトリル化合物との共重合体であってもよい。このうちでは、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体が、その耐熱性改善効果、汎用性およびコストの面から好ましい。耐熱PS系樹脂は、単独で用いても良く、または2種類以上組み合わせても良い。
本発明においては、耐熱PS系樹脂は、他の熱可塑性樹脂とブレンドして用いてもよく、ブレンドする熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、HIPS、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミドやそれらの共重合体などがあげられる。これらのうちでは、汎用性、均一分散が可能であること、非発泡層の耐衝撃性改善効果が大きいこと、コストの面等からHIPSが好ましい。HIPSとしては公知のものが使用でき、ゴム成分の含有量は通常1〜15重量%である。
本発明における非発泡層11および13の目付は、50〜300g/mが好ましく、75〜200g/mがより好ましい。非発泡層の目付が50g/mより低い場合には、強度、剛性、耐熱性などが低下する傾向があり、300g/mより高い場合には、発泡積層シートの成形性が劣る傾向にある。
本発明においては、非発泡層を形成する場合、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
耐衝撃性改良剤は、非発泡層11および13を発泡層10に積層し、加熱成形時に2次発泡させた積層シートを自動車内装材として成形する際のパンチング加工や、積層シートや成形体を輸送する際に、非発泡層11および13の割れなどを防止するのに有効である。本発明における耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合することによってその効果を発揮するものであれば、特に限定なく使用し得る。耐衝撃性改良剤は、重合による変性で熱可塑性樹脂に導入した耐衝撃性改良効果を発揮し得る成分であってもよく、例えば、HIPSなどのように耐衝撃性改良成分を含むものを混合して非発泡層に使用する場合も、非発泡層11または13に耐衝撃性を付与することができる。
本発明においては、繊維構成体からなる保温層20を自動車内装材用積層発泡シートの室外側非発泡層13に積層することにより、該積層発泡シートの成形加工における金型との接触による冷却を防止することができ、該シートを用いた成形品の加工歪みを低減することができる。
本発明における保温層20の繊維構成体としては、繊維素材により構成される不織布を用いることができる。
保温層20として用いられる不織布としては、原料繊維を機械的方法により接合させた布状物であればよい。
原料繊維の種類としては、成形加熱時、さらには燃焼時に加熱溶融しない合成繊維、半合成繊維あるいは天然繊維のいずれも用いることができ、これらを用いることにより、難燃剤を使用しなくとも難燃性を確保することができる。成形加熱時、さらには燃焼時に加熱溶融しない繊維の具体例としては、ポリエステル、アラミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や、羊毛、麻、セルロース等の天然繊維が挙げられる。なお、本発明でいう「天然繊維」とは、本来の天然繊維のみではなく、天然素材からの繊維体、例えばセルロース系の再生繊維であるレーヨン等、天然繊維由来の繊維も含む概念として表している。
保温層20を構成する天然繊維、すなわち、天然繊維および天然繊維由来の繊維としては、綿、レーヨン、羊毛、麻等が用いられる。綿または、再生繊維であるレーヨンが経済性の面で好ましく、レーヨンが加工性を考慮すると特に好ましい。これらの天然繊維は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
ところで、保温層20に成形加熱時に溶融する接着性繊維を用いる場合、成形加熱時に接着性繊維が溶融し、熱可塑性樹脂としての皮膜を形成する。該熱可塑性樹脂皮膜は、材料の燃焼時に火炎で溶融進行し、燃焼時ドリッピングを起こし、燃焼促進する傾向にある。さらに、成形加熱時に溶融した接着性繊維が、保温層20を構成する加熱溶融しない繊維に絡み合い、繊維の伸び性を阻害する傾向にある。
よって、本発明の課題である燃焼性の確保のためには、保温層20の構成繊維としては、成形加熱時、さらには燃焼時に溶融する接着性繊維を含有しない方が好ましい。
接着性繊維の具体例としては、芯に高融点樹脂を、鞘に低融点樹脂からなる芯鞘型繊維、1つの繊維の構造形態として低融点樹脂からなる部分と高融点樹脂からなる部分とが並列状態を形成するサイドバイサイド型繊維、低融点樹脂からなる部分と高融点樹脂からなる部分とが交互に形成された分割型繊維、海島型繊維等の複合繊維があげられる。
低融点樹脂成分としては、融点が90℃〜140℃であるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等を成分とするものや、ポリエチレンテレフタレートをイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の多価カルボン酸等で共重合させた融点90℃〜140℃を有する共重合ポリエステル系繊維を成分とする低融点部と、ポリエチレンテレフタレートを成分とする高融点繊維とから構成される複合繊維等があげられる。
本発明における保温層20を構成する繊維構成体は、繊維全体の重量を100重量%とした場合、天然繊維を10〜80重量%含有することが好ましく、15〜60重量%含有することがより好ましく、20〜50重量%含有することがさらに好ましい。天然繊維の含有量が10重量%未満の場合、材料燃焼時、保温層20を構成する繊維構成体が炭化皮膜を形成せず、燃焼時の酸素供給が促進され、結果として燃焼促進され、難燃性の確保が困難となる傾向がある。一方で、前記含有量が80重量%を超えると、良好な炭化皮膜形成はなされ、燃焼時の酸素供給遮断による燃焼性遅延は認められるが、成形加工時の繊維伸び性が悪化し、良好な自動車内装材を得ることが困難になる傾向がある。
本発明において、天然繊維と組み合わせて用いる繊維としては、合成繊維が好ましく、なかでも、成形加工における材料加熱時に構成繊維が溶融しない融点250℃以上のポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が特に好ましい。
本発明における繊維構成体として用いられる不織布の種類としては、その製造加工方法により、ニードルパンチ布、スパンポンド布、スプレファイバー布、ウォーターニードル布、等が挙げられ、いずれの不織布も用いることができる。
本発明における保温層20は、成形加工性、品質及びコストを考慮すると、30〜120g/mの目付けを有していることが好ましく、50〜100g/mの目付けを有していることがより好ましい。保温層20の目付けが30g/m未満では、有効な保温効果が認められず、成形加工での金型に接触冷却した時に、材料の冷却が進行することによる伸び性の不良が発生する傾向がある。一方、目付が120g/mを越えると、軽量性に劣り、コストが無駄に増加したり、保温層20自体の成形歪みにより自動車内装材に変形などが生じたりする場合がある。
保温層20を室外側非発泡層13に積層する方法としては、図1に示したような、実質的に接着剤層を介さずに、室外側非発泡層13を構成する熱可塑性樹脂の溶融状態における繊維とのアンカー効果によって、保温層20の繊維構成体を室外側非発泡層13に接合する方法;図2に示したような、接着剤層16を介して、保温層20の繊維構成体を室外側非発泡層13に接合する方法、等がある。
ここで、アンカー効果とは、保温層20の繊維構成体の空隙に存在する孔隙中に、溶融状態にある非発泡層13の基材樹脂が浸透し、孔隙中で硬化することにより保温層20の繊維構成体と非発泡層13の基材樹脂とが絡み合い、接合することにより機械的な接着を発現させるものである。
アンカー効果を発現させる保温層20の繊維構成体と非発泡層13との積層方法としては、熱ラミネーション法の一例である熱ロールを用いて非発泡層13の構成樹脂表面を溶融させ、溶融した非発泡層樹脂表面に保温層20の繊維構成体を圧着することにより接合し積層する方法;バインダーラミネーション法(押出ラミネーション法)の一例である、溶融した非発泡層樹脂を発泡層10と保温層20の繊維構成体とで挟み込み圧着して接合する方法、等が挙げられる。これらのうち、バインダーラミネーション法を用いて積層する方法が、発泡層10への熱的ダメージを与えることなく、非発泡層13の溶融状態を維持することが可能であり、その結果、安定的な接着性を得ることができるため、好ましい。
一方、接着剤16を介して保温層20の繊維構成体と非発泡層13とを接合する方法としては、ホットメルト等のような膜状または粉末状の固形接着剤を介して積層する方法、ラテックス接着剤のような液状接着剤を介して積層する方法、等が挙げられる。
ホットメルト接着剤の具体例としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性ゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系等の樹脂を主成分とするものが挙げられる。
ホットメルトのような膜状または粉末状の固形接着剤層を介して保温層20の繊維構成体を積層する方法としては、ホットメルト接着剤層を予め室外側非発泡層13の上に積層し、熱ラミネーション法により接着剤層を熱軟化させ、保温層20の繊維構成体に圧着することにより接合する方法、発泡層10と室外側非発泡層13とのバインダーラミネーション加工時に、ホットメルト接着剤層を室外側非発泡層13と保温層20の繊維構成体とで挟み込み圧着して接合する方法が挙げられる。
ラテックス接着剤の具体例としては、ポリスチレン系樹脂(以下、「PS系樹脂」と記す場合がある。)ラテックス、スチレン−ブタジエン系共重合体(以下、「SB系樹脂」と記す場合がある。)ラテックス、カルボキシル化変性スチレン−ブタジエン共重合体樹脂ラテックス(以下、「カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス」と記す場合がある。)、カルボキシル化変性アクリロニトリル−スチレン系共重合体樹脂ラテックス(以下、「カルボキシル化変性AS系樹脂ラテックス」と記す場合がある。)が挙げられ、これらを単独で用いることも可能であるが、自動車内装材としての種々の要求特性を満たすためには、数種のラテックスを混合して使用することが好ましい。その中で、低温成膜性の良好なバインダーラテックスおよび耐熱性が高いレジンラテックスとの混合物を使用することにより、製造工程内の乾燥処理条件に依存しない安定で強固な初期接着強度とラテックス接着剤層の耐熱性を両立することができ、また、機械安定性の向上により製造工程での取扱い性を改善することができることからより好ましい。
本発明におけるバインダーラテックスとしては、カルボキシル化変性SB系樹脂を構成樹脂とするラテックスが、機械安定性が良好な点および、非発泡層13と相溶性を有する点から好ましい。
本発明におけるラテックス混合物中でのレジンラテックスの混合割合は、20〜50重量%が好ましく、30〜50重量%がさらに好ましい。レジンラテックスの混合割合が20重量%未満では、接着剤層の耐熱性が低下し、内装材の実用特性として要求されるレベルに達しない場合があり、50重量%を超えると、バインダーラテックスが連続相とならず、ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃以上となり、室温での乾燥によりフィルムの形成が起こらず接着不良が発生する可能性がある。
本発明におけるラテックス混合物の最低成膜温度は、20℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。ラテックス混合物の最低成膜温度が20℃を超えると、室温での乾燥によりフィルムの形成が起こらず、接着不良が発生する場合がある。
本発明におけるラテックス接着剤層16による室外側非発泡層13と保温層20の繊維構成体との接着方法としては、イ)ラテックス接着剤を室外側非発泡層13表面に塗布し、未乾燥状態の塗布面に保温層20を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスすることで接着させる方法、ロ)保温層20の繊維構成体に予めラテックス接着剤を塗布し、未乾燥状態の塗布面に室外側非発泡層13が接する様に熱可塑性樹脂発泡積層シート50を積層した状態で乾燥し、仮接着させた後、加熱プレスする方法 がある。ラテックス接着剤を塗布し、未乾燥状態で室外側非発泡層13および保温層20の繊維構成体を積層させることにより、変性PPE系樹脂発泡シート等を使用した場合には、発泡シートの熱的ダメージを受けない加熱温度での加熱プレスによっても、要求される接着性が安定的に発現される。
本発明におけるラテックスとしては、カーペットバッキング用、塗工紙用、不織布繊維処理用として当業者に知られるいずれのラテックスを使用することができる。
ラテックス原液中の固形分濃度としては、通常、40重量%以上であるが、塗布量および塗布方法にあわせ、任意に水で希釈した後使用することが可能である。但し、ラテックス水希釈溶液の固形分濃度が低すぎると、工程内での乾燥が不十分となり、接着不良を引き起こす可能性があるため、20重量%以上が好ましい。
本発明において使用するバインダーラテックスおよびレジンラテックスは、製造工程でポンプ輸送、配合の際の攪拌、コーティングの際のロールコーターによる剪断等間断なく機械的操作を受けるため機械安定性が良好なラテックスが好ましい。
機械安定性を改善する方策としては、乳化剤の添加量を増加させる、pHをアルカリ側に調整する、ラテックスをカルボキシル化変性する等があげられるが、カルボキシル化変性が最も有効であるため、カルボキシル化変性のラテックスの使用が好ましい。
本発明におけるラテックスの塗布方法としては、各種ロールコーター法、スプレー法、泡噴霧法等の方法が挙げられ、塗布量、塗布面の形状により選択される。
本発明におけるラテックスは、配合添加剤として、必要に応じて、安定剤、老化防止剤、加硫促進剤、分散剤、充填剤、増粘剤、着色剤、消泡剤、ゲル化剤、凍結防止剤、軟化剤、増粘樹脂等を含有してもよい。
本発明における接着剤層16としてのラテックスの構成樹脂塗布量は、使用する熱可塑性樹脂の種類、必要とされる保温層20との接着強度により任意に選択されるが、一般的に、混合ラテックス中の固形分として、1mあたり5〜50gが好ましく、10〜30gがより好ましい。ラテックス接着剤層18の構成樹脂塗布量が5g未満の場合は、接着性の改善効果が発現されない可能性が有り、50gを超える場合は、成形時に保温層20より接着剤層16であるラテックスが染み出し金型を汚染する可能性がある。
本発明における自動車用内装材は、図1および図2に示すように、室内側非発泡層11の表面に熱可塑性樹脂接着剤層18を介して表皮材30が積層されている。
本発明における表皮材30とは、自動車用内装材の室内側最外層に積層される部材であり、自動車室内から見え、触れられる部分に配置されるため、特に意匠性、耐傷つき性、風合い、色目等が要求される。
本発明の自動車内装材用発泡積層シートは、室内側非発泡層11に表皮材30が積層されている。
本発明における表皮材30としては、不織布構成からなるものを使用することができる。
本発明における表皮材30に使用される不織布としては、原料繊維を接着剤、溶融繊維、あるいは機械的方法により接合させた布状物であれば、いずれの種類でも使用することができる。原料繊維の種類として、合成繊維、半合成繊維を使用することができる。原料繊維として、具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル等の合成繊維を使用することができるが、これらのうちでもポリエステル繊維が好ましく、特に耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
不織布の種類として、その製造加工方法により、接合バインダー接着布、ニードルパンチ布、スパンポンド布、スプレファイバー布、あるいはステッチボンド布等が挙げられ、いずれの不織布も使用することができる。
原料繊維を接合させ、表皮材の耐摩耗性を確保するために、表皮材の構成繊維を接合するための接着剤層として、バインダー樹脂を表皮材の表面または裏面より塗布、塗工などによる含浸する方法がある。
バインダー樹脂としては、水溶性、溶剤可溶性、ビスコース液、エマルジョン、合成樹脂粉末等のタイプが挙げられる。これらの中で、耐水性、柔軟性、作業性の観点から、エマルジョンのものが好適に使用される。エマルジョンタイプとして、アクリロ・ニトリル・ブタジエンラテックス、スチレン・ブタジエンラテックス、アクリレートラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等が用いられ、これらは単独または2種以上の混合物としても用いることができる。
特に表皮材としての意匠性が重要とされる内装部材として用いられる場合は、表皮の風合い(繊維の起毛感)、色目が重要視され、構成する繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維が好適に使用される。
このような意匠性を要求される自動車内装材としてデッキサイドのような内装材に対して、燃焼性を確保するために、その表皮材に天然繊維の再生繊維であるレーヨンを混紡すると、燃焼性は確保できる反面、レーヨン繊維が剛直のため、ゴツゴツした感触となり表皮の風合いが劣ってしまう。さらに、レーヨン繊維は微妙な調色が困難であるため、色目を調整することが難しく、意匠性の側面からレーヨンなどの天然繊維を混紡することは不可となる。
一方、表皮材にレーヨン繊維のような天然繊維を混紡せず、難燃剤を前述のバインダー樹脂に包含させ難燃化させる方法があるが、難燃剤は高価であり価格の上昇につながり、さらに、ハロゲン系/リン系などの難燃剤の使用は環境負荷が大きく、環境適合性に劣ることになる。
本発明においては、前述の通り、保温層20を構成する繊維構成体に、レーヨン繊維を含有することにより、表皮の意匠性を損なうことなく、難燃性が確保できる自動車内装材用発泡積層シート及びそれを成形した自動車内装材を得ることができる。
表皮材30に使用される不織布は、品質およびコストを考慮すると、100〜350g/mの目付けを有していることが好ましく、120〜330g/mの目付けを有していることがより好ましい。不織布の目付が100g/m未満では、内装材としての充分な感触を得ることができない傾向がある。一方、不織布の目付が350g/mを超えると、表皮材の成形歪みが熱変形に影響を与える傾向がある。
本発明において、接着剤層18を介して表皮材30を室内側非発泡層11に積層する方法としては、前述した接着剤層16を介して保温層20を室外側非発泡層13に積層する方法と同様な方法を用いることができる。
さらに、接着剤層18としては、前述の接着剤層16を介して保温層20を室外側非発泡層13に積層する方法に用いたものと同様に、ホットメルト等のような膜状または粉末状の固形接着剤や、ラテックス接着剤のような液状接着剤を用いることができる。
次に、本発明の自動車内装材用基材の製造法について説明する。
本発明において使用される発泡層10(1次発泡層)は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、基材樹脂である耐熱性樹脂に対し、必要に応じて各種添加剤をブレンドしたものを、押出機を用いて樹脂温度150〜400℃にて溶融・混練する。次いで、高温高圧(樹脂温度150〜400℃および樹脂圧3〜50MPa)下にある押出機内へ、耐熱性樹脂100重量部に対して炭化水素系発泡剤2.0〜5.0重量部を圧入し、さらに、樹脂温度を発泡適正温度域(150〜300℃)に調節した後、サーキュラーダイなどを用い、低圧帯(通常は大気中)に押出し発泡させる。その後、マンドレル(円筒状冷却筒)などに接触させながら、例えば0.5〜40m/分の速度で引き取ることによりシート状に成形し、カットした後、巻き取るなどの方法により製造することができる。
発泡層10に対し、非発泡層11および13、保温層20を積層する方法としては、特に限定されるものではないが、予め発泡成形して巻き取られた発泡層10を繰り出しながら、押出機から供給される溶融状態の非発泡層11および13の基材樹脂を、発泡層10と接着剤層16を介して保温層20で挟み込む形で層状に積層した後、冷却ローラーなどによって圧着する方法(押出ラミネート法)により製造することができる。なかでも、発泡層10の押出発泡シート成形と非発泡層11および13の押出とをインラインで行って積層する方法が、製造工程の簡略化という点で好ましい。
表皮材30と発泡積層シートとの接着方法としては、膜状、粉末状の固形接着剤層18を発泡積層シートに積層配置した後、加熱ロールを用い、接着剤層18を軟化させ、表皮材30を当該面に積層し、ロール等を用いて圧着する方法;液状の接着剤層18を発泡積層シートに積層配置した後、表皮材30を当該面に積層し、ロール等を用いて圧着後、表皮を積層した発泡積層シートを乾燥する方法;液状の接着剤層18を表皮材30に積層配置した後、発泡積層シートと、ロール等を用いて圧着後、乾燥する方法;等が挙げられる。
得られた自動車内装材用発泡積層シート(1次発泡積層シート)から賦型により自動車内装材(2次発泡積層成形体)を得る成形方法としては、上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度(例えば、発泡積層シートの表面温度を130〜155℃)になるように加熱させた後、温度調節した金型にてプレス冷却し、賦形する方法が挙げられる。
成形方法の例としては、具体的には、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法があげられる。
本発明における自動車内装材用発泡積層シートは、室外側非発泡層13に保温層20を積層することにより、該積層発泡シートの成形加工における金型との接触による冷却を防止することができ、該シートを用いた成形品の加工歪みを低減することができる。
本発明において、自動車内装材用発泡積層シート中の発泡層(1次発泡シート)を加熱により2次発泡させる場合には、1次発泡シートに対して、通常1.2〜4倍に2次発泡させるのが好ましく、さらには1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい。従って、2次発泡後の発泡層(2次発泡シート)の発泡倍率は、3.6〜80倍が好ましく、7.5〜45倍がより好ましく、10〜40倍がさらに好ましい。2次発泡倍率が1.2倍未満では、柔軟性に劣り、曲げ等による破損が生じ易い傾向がある。2次発泡倍率が4倍を超えると、強度が低下する傾向がある。
2次発泡後の発泡層(2次発泡シート)の厚さは、1.2〜20mmが好ましく、2.25〜10.5mmがより好ましく、3.0〜7.0mmがさらに好ましい。2次発泡後の発泡層の厚さが1.2mmより小さいと、強度および断熱性に劣り、自動車内装材用発泡積層シートとして適当でない場合がある。厚さが20mmを超えると、成形賦型時の形状発現性が劣ったり、必要以上に嵩高くなり車室内が狭くなる傾向がある。
このようにして得られる自動車内装材の全体目付けは、200〜990g/mが好ましく、240〜950g/mがさらに好ましい。自動車内装材の全体目付けが200g/m未満では、強度が劣り、曲げ等による破損が生じ易い傾向がある。990g/mを超えると、重量増に伴う取り扱い性(作業者のハンドリング性)が低下し、本発明の課題である軽量性に反する傾向がある。
保温層を室外側非発泡層13に異音防止層として配置することにより、自動車の振動等による自動車内装材と自動車ボディ本体の擦れによって発生する異音を、該保温層にて防止することができる。
以上、本発明に係わる自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材の実施態様を種々説明したが、本発明は前記の態様に限定されるものではない。例えば、自動車内装材用発泡積層シートは用途として電車、航空機、建築物の室内などの内装材用発泡積層シートにも使用することができ、広義に解釈されるべきものである。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
実施例または比較例に用いた樹脂を表1に、保温層に用いた繊維構成体の目付および構成繊維比率を表2に、不織布表皮材における目付および繊維構成比率を表3に示す。
Figure 2009018778
Figure 2009018778
Figure 2009018778
なお、表1に示した各符号に関する記載は次の通りである。
PPE :ポリフェニレンエーテル樹脂
PS :ポリスチレン樹脂
HIPS :ハイインパクトポリスチレン樹脂
SB :スチレン・ブタジエン系共重合樹脂
実施例または比較例にて実施した評価方法を、以下に示す。
(発泡層および成形体の厚さ)
得られた1次発泡シートおよび成形体に対し、幅方向に20ヵ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
(発泡倍率)
得られた1次発泡シートの密度dfをJIS K7222に準じて測定し、別途、変性PPE系樹脂の密度dpをJIS K7112に準じて測定し、発泡倍率=dp/dfの式により算出した。
(セル径)
得られた1次発泡シート発泡層の断面を光学顕微鏡で観察して20個のセル径を測定し、その測定値の平均値を算出した。
(独立気泡率)
得られた1次発泡シートの独立気泡率は、ASTMD−2859に準じて、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を用いて測定した。
(目付)
用いた材料の任意の5ヵ所より、100mm角の大きさの試験片を切り出し、それらの重量を測定した後、平均値を算出し、m当たりに換算した。
(燃焼試験)
得られた自動車内装材から、長さ350mm×幅100mmの試験片を切り出し、自動車材料に適用される自動車安全基準、自動車内装材料の燃焼基準(FMVSS302)に従い、燃焼速度評価試験を行った。試験点数はn=10で、得られた燃焼速度の中で最大値を燃焼速度とした。
(外観)
得られた自動車内装材から、100mm角の試験片を切出し、表皮材の色目を目視にて官能評価した。さらに、表皮材の風合いを手触りの官能評価にて行った。
<色目>
○ :単一色に識別できる
△ :やや白みがかっている
× :まだら模様として認識できる
<風合い>
S :柔らかく感じる
M :中間
H :硬く感じる
(実施例1)
[発泡層の製造]
PPE樹脂成分40重量%およびPS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)57.1重量部およびPS樹脂(B)42.9重量部を混合した混合樹脂100重量部に対して、iso−ブタンを主成分とする炭化水素系発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15重量%)3.5重量部およびタルク0.32重量部を押出機中にて樹脂温度270℃にて混練し、樹脂温度を196℃まで冷却し、圧力10MPaでサーキュラーダイスにより押出し、引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻取り、一次発泡層の厚さ2.3mm、一次発泡倍率13.8倍、独立気泡率88%、セル径0.16mmおよび目付150g/mの1次発泡シートの巻物を得た。
[保温層の製造]
ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)50重量%およびレーヨン繊維(繊度6.6デシテックス×繊維長51mm)50重量%からなる面目付け60g/mのウェブを使用し、ウェブの上下面より100本/cmの条件にてニードルパンチ処理を施し、ニードルパンチ不織布マットの繊維構成体を得た。
当該ニードルパンチ不織布マットの表面に、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックスを樹脂成分目付10g/mになるよう塗布し、90℃に設定された乾燥炉にて乾燥し、カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス接着剤が塗布積層されたニードルパンチ不織布マットの繊維構成体を得た。
[室外側非発泡層の積層]
前記1次発泡シートをロールより繰り出しながら、PPE系樹脂組成10重量%となるようPPE樹脂(A)14.3重量部およびHIPS樹脂(B)85.7重量部を混合した混合樹脂を、押出機を用いて樹脂温度255℃にて溶融・混練し、Tダイを用いてフィルム状に押出し、溶融状態でフィルム状の室外側非発泡層を前記1次発泡シートに積層し、目付180g/mの変性PPE系樹脂非発泡層を形成した。
その際、変性PPE系樹脂室外側非発泡層を積層時に、保温層として、前記カルボキシル化変性SB系樹脂ラテックス接着剤が塗布されたニードルパンチ不織布マット繊維構成体を積層した。
[室内側非発泡層の積層]
得られた変性PPE系樹脂非発泡層を形成した発泡積層シートに、PPE系樹脂組成7重量%となるようPPE樹脂(A)10重量部、PS樹脂(B)60量部およびHIPS樹脂(D)30重量部を混合した混合樹脂を、樹脂温度が250℃となるようフィルム状に押し出し、変性PPE系樹脂室外側非発泡層を形成したシートの反対面に目付120g/mの変性PPE系樹脂室内側非発泡層を形成した。
その際、変性PPE系樹脂室内側非発泡層を積層時に、表皮材接着剤層として、目付け50g/mのホットメルトフィルム(倉敷紡績(株)製、クランベターX2200)を積層した。
[表皮材不織布の製造、積層]
ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度2.2デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)30重量%、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)30重量%およびポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度6.6デシックス×繊維長51mm、融点265℃)40重量%からなる、面目付け240g/mのウェブを使用し、ウェブの上下面より200本/cmの条件にてニードルパンチ処理を施し、ニードルパンチ不織布マットを得た。
得られたニードルパンチ不織布マットの裏面(反意匠面)に、アクリルバインダー樹脂を10g/m塗布により付着させ、乾燥熱処理を施し、面目付250g/mのポリエステル系不織布表皮を得た。
当該ポリエステル系不織布表皮材を、前記変性PPE系樹脂発泡積層シートのホットメルトフィルム面に積層し、自動車内装材用発泡積層シートを得た(自動車内装材用基材目付け:570g/m、表皮材目付け:250g/m)。
[自動車内装材の成形]
得られた自動車内装材用発泡積層シートを、上面側を保温層、下面を意匠面表皮層となるよう配置し、該積層シートの幅方向2方をクランプして加熱炉に入れ、自動車内装材用発泡積層シートの表面温度が、表皮材の表面で190℃、発泡積層シートの裏面(保温層側)で150℃となるように40秒加熱した。その後、デッキサイド用金型(幅400mm,長さ900mm,深絞り形状部の深さ300mmの成形品が2個取りできる形状の金型、上凹型、下凸型形状)を用い、金型クリアランス4.7mmでプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、自動車内装部材としてのデッキサイド成形体を得た。
取得したデッキサイド成形体の外観を観察したところ、割れ等の外観異常は観察されなかった。
一方で、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
Figure 2009018778
(実施例2)
[保温層の製造]
ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)80重量%およびレーヨン繊維(繊度6.6デシテックス×繊維長51mm)20重量%からなる、面目付け60g/mのウェブを使用し、ニードルパンチ不織布マット繊維構成体を得た。
上記以外は、実施例1と同様な方法にて、自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
得られた自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行い、自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得た。
取得したデッキサイドの外観を観察したところ、割れ等外観異常は観察されなかった。
一方で、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
(比較例1)
保温層として、繊維構成体を積層しなかった以外は、実施例1と同様な方法にて、自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
この自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行ったが、深絞り部で自動車内装材用発泡積層シートに割れが発生し、外観良好な自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得ることができなかった。
(比較例2)
[保温層の製造]
ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)のみからなる面目付け60g/mのウェブを使用し、ニードルパンチ不織布マット繊維構成体を得た。
上記以外は、実施例1と同様な方法で自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
得られた自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行い、自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得た。取得したデッキサイド成形体の外観を観察したところ、割れ等の外観異常は観察されなかった。
一方、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
(比較例3)
[保温層の製造]
ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)50重量%、レーヨン繊維(繊度6.6デシテックス×繊維長51mm)20重量%および、融点が110℃の共重合ポリエステル系繊維を鞘成分とし、ポリエチレンテレフタレート系繊維(融点265℃)を芯成分とする繊維(繊度3.3デシッテクス×繊維長51mm)30重量%からなる、面目付け60g/mのウェブを使用し、ニードルパンチ不織布マット繊維構成体を得た。
上記以外は、実施例1と同様な方法で自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
この自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行い、自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得た。取得したデッキサイドの外観を観察したところ、割れ等外観異常は観察されなかった。
一方で、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
(比較例4)
[保温層の製造]
比較例2で用いたニードルパンチ不織布マット繊維構成体を用いた。
[表皮材不織布の製造]
意匠層である不織布表皮材として、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度2.2デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)25重量%、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)25重量%、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度6.6デシックス×繊維長51mm、融点265℃)40重量%およびレーヨン繊維(繊度6.6デシテックス×繊維長51mm)10重量%からなる、面目付け240g/mのウェブを使用し、ウェブの上下面より200本/cmの条件にてニードルパンチ処理を施し、ニードルパンチ不織布マットを得、当該ニードルパンチ不織布マットの裏面(反意匠面)に、アクリルバインダー樹脂を10g/m塗布により付着し、乾燥熱処理を施し、面目付250g/m2のポリエステル系不織布表皮を得た。
上記以外は、実施例1と同様な方法で自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
この自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行い、自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得た。取得したデッキサイド成形体の外観を観察したところ、割れ等外観異常は観察されなかった。
一方で、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
(比較例5)
[表皮材不織布の製造]
意匠層である不織布表皮材として、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度2.2デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)20重量%、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度3.3デシテックス×繊維長44mm、融点265℃)20重量%、ポリエチレンテレフタレート系繊維(繊度6.6デシックス×繊維長51mm、融点265℃)30重量%および、レーヨン繊維(繊度6.6デシテックス×繊維長51mm)30重量%としたこと以外は、比較例4と同様な方法で自動車内装材用発泡積層シートを得た。
[自動車内装材の成形]
この自動車内装材用発泡積層シートの巾方向2方をクランプして加熱炉に入れ、実施例1と同様に成形を行い、自動車内装部品としてのデッキサイド成形体を得た。取得したデッキサイド成形体の外観を観察したところ、割れ等外観異常は観察されなかった。
一方で、得られたデッキサイド成形体から試験片を切り出し、各種評価項目について評価試験を実施し、表4に示した結果を得た。
本発明に係わる自動車内装材用発泡積層シートの要部拡大断面説明図である。 本発明に係わる自動車内装材用発泡積層シートの要部拡大断面説明図である。
符号の説明
10 発泡層
11 室内側非発泡層
13 室外側非発泡層
16 保温層積層用接着剤層
18 表皮材接着剤層
20 保温層
30 表皮材
50 熱可塑性樹脂発泡積層シート

Claims (8)

  1. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層されてなる自動車内装材用発泡積層シートであって、
    発泡積層シートの室外側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が積層され、かつ、該シートの室内側非発泡層面に、レーヨン繊維を含有しない不織布表皮材層が積層されてなる、自動車内装材用発泡積層シート。
  2. レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が、繊維全体の重量を100重量%とした場合、レーヨン繊維を10〜80重量%含有する不織布層である請求項1に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  3. レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層においてレーヨン繊維と組み合わされる繊維が、融点250℃以上のポリエステル系繊維である請求項1または2に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  4. レーヨン繊維を含有し、且つ接着性繊維を含有しない繊維構成体からなる保温層が、目付け30〜120g/mの不織布である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  5. レーヨン繊維を含有しない不織布表皮材が、ポリエステル系繊維からなり、かつ、目付が100〜350g/mである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  6. 発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂25〜70重量%およびポリスチレン系樹脂75〜30重量%からなる混合樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  7. 非発泡層の基材樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂または耐熱ポリスチレン系樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シートを、保温層を異音防止層として室外側に配置するように成形してなる自動車内装材。
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