JP2017114081A - 繊維強化複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
上述の要求を満たすものとして、芯材に発泡体を用い、芯材の表面に繊維強化樹脂を積層一体化させてなる繊維強化複合体が提案されている(特許文献1、2参照)。
(1)発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体であり、
ここで、前記発泡樹脂は、前記発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含み、
100℃環境下でJIS−K7221に準拠して測定される曲げ弾性率が、1〜50GPaである、
ことを特徴とする、繊維強化複合体。
(2)前記発泡樹脂における脂肪族炭化水素系ガスの濃度が、500体積ppm以下である、(1)に記載の繊維強化複合体。
(3)前記芯材と前記表皮材とを加熱・加圧することによって同時成型することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の繊維強化複合体の製造方法。
本実施形態の繊維強化複合体は、発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体である。
本実施形態の繊維強化複合体における芯材は、発泡樹脂からなるものである。但し、芯材には、目的や用途に応じて、発泡樹脂以外の部材が含まれていてもよい。
−−発泡樹脂−−
発泡樹脂は、樹脂成分を含み、任意選択的に、微量のガス、添加剤等を含む。
樹脂成分は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、任意選択的に、ポリフェニレンエーテル系樹以外の樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)を含む。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体をいい、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の樹脂としては、熱可塑性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂;AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;セルロース系樹脂;スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の熱可塑性エラストマー;ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリエステル系、フッ素系の熱可塑性エンジニアリングプラスチック;等が挙げられる。また本発明の目的を損なわない範囲で、変性、架橋された樹脂を用いてもよい。中でも、相溶性の観点から、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体としては、例えば、スチレン−α−オレフィン共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;スチレン−マレイミド共重合体;スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキル置換フェニルマレイミド共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−メタクリル酸共重合体;スチレン−メチルアクリレート共重合体;スチレン−メチルメタクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルアクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルメタクリレート共重合体;エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体;ABS、ブタジエン−アクリロニトリル−α−メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体;スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、(スチレン−アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等のグラフト共重合体;等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量%に対して、1.0〜20質量%であることが好ましく、例えば、6質量%としてよい。
ガスとは、発泡樹脂の製造過程(後述)において含まれることとなるものである。
ガスとしては、特に限定されないが、空気、炭酸ガス、発泡剤として用いられる各種ガス、脂肪族炭化水素系ガス等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ガスとしては、具体的には、ブタン、ペンタン等が挙げられる。
なお、脂肪族炭化水素系ガスの含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
脂肪族炭化水素系ガスの含有量を500体積ppm以下とすれば、優れた表面平滑性、接着性、強度を得ることができ、また、後膨れ(浮)を抑制することができる。
添加剤としては、例えば、難燃剤、ゴム成分、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、染料、耐光性改良剤、帯電防止剤、耐衝撃改質剤、タルク等の核剤、ガラスビーズ、無機充填剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
本実施形態の繊維強化複合体における表皮材は、繊維及び樹脂を含み、任意選択的に、添加剤等を含む。
繊維としては、高強度、高弾性率の繊維が挙げられ、具体的には、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、米国デュポン(株)社製の「ケブラー(登録商標)」に代表されるポリアラミド繊維)、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維等が挙げられる。
中でも、高い剛性を保持したまま軽量性を確保するために、弾性率と密度の比である比弾性率が高いもの、具体的には、炭素繊維が好ましい。
これら繊維は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。
中でも、熱、光、電子線等の外部からのエネルギー付加により硬化する熱硬化性樹脂が好ましく、具体的には、エポキシ樹脂が好ましい。
これら樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ガラス転移温度は、ASTM−D−3418に準拠して中点法により測定することができる。
以下、本実施形態の繊維強化複合体の製造方法について記載する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含む樹脂成分からなる芯材と、発泡剤とを、予備発泡機内に加えて予備発泡を行うことによって、予備発泡粒子を得て、次いで、得られた予備発泡粒子を成型機内に加えて成型を行うことによって、発泡体を得て、続いて、得られた発泡体と、繊維と樹脂とを含む表皮材とを、成型機内に加えて成型を行うことによって、繊維強化複合体を得る方法である。
なお、予備発泡粒子とは、最終段階の発泡を行っていない発泡性を有する粒子をいう。
ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含む樹脂成分を含む混合物を調製する、混合物調製工程、
上記混合物に発泡剤を添加して、発泡剤含有混合物を調製する、発泡剤添加工程、
上記発泡剤含有混合物を蒸気導入ラインを備えた予備発泡機内に投入し、蒸気を供給しながら、上記発泡剤含有混合物を予備発泡させて、予備発泡粒子を得る、予備発泡工程、
上記予備発泡粒子を成型機内投入し、蒸気を供給しながら、上記予備発泡粒子を発泡・成型して、発泡体を得る、発泡体調製工程、
樹脂に繊維を含浸させて、表皮材を得る、表皮材調製工程、
上記発泡体と、上記表皮材とを、成型機内に充填して、上記予備発泡粒子及び上記表皮材を成型して、繊維強化複合体を得る、成型工程
のうちの1つ又は複数を含むことが好ましい。
混合物調製工程では、混合物の樹脂成分に、40〜80質量%のポリフェニレンエーテル系樹脂以外に、任意選択的に、他の樹脂(前述)を含めてもよい。また、混合物には、樹脂成分以外に、添加剤(前述)等を含めてもよい。
発泡剤添加工程では、気体の発泡剤を注入したり、固体の発泡剤を混合したりして、混合物に発泡剤を添加(含浸)することによって、発泡剤含有混合物を得ることが好ましい。
ガスとし得る化合物としては、例えば、二酸化炭素、窒素、酸素、アンモニア、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の無機化合物;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−225ca等のフルオロカーボン;プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;等が挙げられる。
これらの空気やガスとし得る化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
中でも、発泡剤としては、安全性の観点から、無機化合物が好ましい。無機化合物のガスは、炭化水素等の有機化合物のガスと比較して、樹脂に溶けにくく、後述の成型工程の後に樹脂から抜けやすいため、成型体の経時での寸法安定性をより優れたものとすることができる。さらに、無機化合物のガスを用いた場合、残存ガスによる樹脂の可塑化も起こりにくく、後述の成形工程の後に成型体がより早い段階から優れた耐熱性を発現することが可能になる。
特に、無機化合物の中でも、樹脂への溶解性、及び取り扱いの容易さの観点から、二酸化炭素がより好ましい。
発泡剤を添加(含浸)させる方法としては、例えば、水等の懸濁系を利用して水性媒体で行う方法(懸濁含浸法)、重炭素水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤を用いる方法(発泡剤分解法)、発泡剤を臨界圧力以上の雰囲気で液相状態にして混合物に接触させる方法(液相含浸法)、気相状態の発泡剤を臨界圧力未満の高圧雰囲気下で混合物に接触させる方法(気相含浸法)等が挙げられる。
気相含浸では、高温条件下で実施される懸濁含浸の場合と比較して、ガスの樹脂への溶解度がより高く、発泡剤の含有量を高くしやすい。そのため、気相含浸では、高発泡倍率を達成しやすく、樹脂内の気泡サイズも均一になりやすい。
また、発泡剤分解法も、懸濁含浸と同様に高温条件下で実施される点で不都合がある。また、この方法では、加えた熱分解型発泡剤全てがガスになるわけではないため、ガス発生量が相対的に少なくなりやすい。そのため、気相含浸では、発泡剤含有量を高くしやすいという利点がある。
さらに、気相含浸では、液相含浸の場合と比較して、耐圧装置や冷却装置等の設備がよりコンパクトになりやすく、設備費を低減しやすい。
また、含浸されるガスの樹脂に対する割合は、2〜10質量%であることが好ましい。
予備発泡工程において、発泡剤を含有(含浸)させたポリフェニレンエーテル系樹脂に発泡を生じさせる方法としては、特に限定されないが、例えば、発泡剤含有混合物を高圧雰囲気下から低圧雰囲気下に一気に持ち込むことによって、発泡剤含有混合物中に溶解している発泡剤としてのガスを膨張させて、発泡を生じさせる方法や、圧力蒸気等を用いて加熱することによって、発泡剤含有混合物中のガスを膨張させて、発泡を生じさせる方法等を用いることができ、特に、生成物である成形体内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にするという利点、及び発泡倍率を制御して低発泡倍率の成形体の作製を容易にするという利点が得られるため、後者の加熱・発泡を行う方法を用いることが好ましい。
特に、多段階の発泡の場合、各段階での発泡前に予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスとしては、樹脂に対して不活性である限り、特には限定されないが、ガスの安全性が高く、ガスの地球温暖化係数の小さい、無機ガスやハイドロフルオロオレフィンが好ましい。無機ガスとしては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、また、ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO−1234y、HFO−1234ze(E)等が挙げられ、特に、取り扱い容易性及び経済性の観点から、空気や炭酸ガスが好ましい。加圧処理の手法としては、特には限定されないが、予備発泡粒子を加圧タンク内に充填し、該タンク内にガスを供給する手法等が挙げられる。
なお、予備発泡粒子の大きさは、ノギスにより測定することができる。
なお、予備発泡粒子の発泡倍率とは、予備発泡粒子の重量Wpに対する、予備発泡粒子の体積Vpの割合(Vp/Wp)をいう。また、本明細書において、予備発泡粒子の体積は、水没法で測定した体積をいう。
発泡体調製工程では、最終的に所望する繊維強化複合体の形状に応じて、成型時に使用する型を選択してよい。
なお、発泡体の発泡倍率とは、発泡体の重量Wbに対する、発泡体の体積Vbの割合(Vb/Wb)をいう。また、本明細書において、発泡体の体積は、水没法で測定した体積をいう。
表皮材調製工程では、溶融状態の樹脂中に繊維を浸漬させたり、溶融状態の樹脂を繊維に吹き付けたりして、樹脂に繊維を含浸させて、表皮材を得る。表皮材は、クロスプリプレグとして調製してよい。
なお、樹脂に繊維を含浸させた後に、光や熱により樹脂の硬化を進ませておいてもよい。
繊維強化複合体の形状もシート状である場合には、本実施形態の繊維強化複合体について記載した通りとしてもよい。
成型工程では、発泡体と表皮材とを、所望の配置状態で、成型機内に充填して、同時に成型を行ってよい。
なお、発泡体は、成型工程においてさらに発泡されてよい。
このように、加圧前に、圧力をかけずに高温条件下で保持することによって、表皮材に均一に熱を加えて、表面平滑性を得ることができる。
なお、繊維強化複合体の見かけ密度とは、繊維強化複合体の重量Wに対する、繊維強化複合体の体積Vの割合(V/W)をいう。
表皮材の厚さとしては、概して、0.1〜2mmとしてよい。
JIS−K7221に準拠し、実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の曲げ弾性率(GPa)を求めた。具体的には、標準温度として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置して状態調整した複合体を、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に供し、JISに規定する計算式から曲げ弾性率を算出した。結果を表1に示す。
JIS−K7221に準拠し、実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の曲げ弾性率(GPa)を求めた。具体的には、標準状態として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置し、その後、恒温槽内にて100℃に1時間静置して状態調整した複合体を、100℃恒温槽内にて、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に供し、JISに規定する計算式から曲げ弾性率を算出した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の表面を目視にて観察し、表皮材と芯材との接着状態を以下のように評価した。結果を表1に示す。
◎:表面平滑性、表皮材と芯材との接着性ともに良好。
○:表面平滑性は、実用上問題ないが、表皮材と芯材との間に一部浮(ウキ)が観られた。
×:芯材が収縮し、複合体の厚みが表皮材のみの厚みと同等になった。
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の厚み(mm)及び表皮材の厚み(mm)をノギスを用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合体の重量W(g)を測定した後、ノギスにてシート状の繊維強化複合体の3辺を測定し、その体積V(cm3)を計算した。そして、重量Wに対する体積Vの割合(V/W)(g/cm3)を見かけ密度とした。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた発泡樹脂を試料として適量ヘッドスペースボトルに仕込み、発泡樹脂試料の軟化点以上の温度で約1時間加熱した。その後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC14B)により、ヘッドスペースボトル内のガスを定量した。キャリアガスとしてヘリウム(He)を用い、定流量モード(約30mL/分)で制御した。また、カラム(Porapak Q、80/100mesh、3.2mmΦ×2.1m)を50〜150℃で昇温、保持を行い、熱伝導度型検出器(TCD)により検出を行った。検出したエリア面積と標準ガス試料で作成した検量線とから、脂肪族炭化水素系ガスの体積を算出した。そして、脂肪族炭化水素系ガスの体積を発泡樹脂試料の体積で除して、脂肪族炭化水素系ガスの濃度(体積ppm)を算出した。結果を表1に示す。
引張弾性率が250GPaの炭素繊維と硬化温度が80℃であるエポキシ樹脂とで構成される、繊維目付が200g/m2、炭素繊維含有量が60質量%のクロスプリプレグを作成し、表皮材として2枚用意した。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)(旭化成ケミカルズ株式会社製、S201A)を60質量%、非ハロゲン系難燃剤(ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)(BBP))を18質量%、ゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を10質量%(基材樹脂中のゴム成分含有量は0.6質量%)、汎用ポリスチレン樹脂(PS)(PSジャパン株式会社製、GP685)を12質量%用い、これらを押出機にて加熱溶融混練の後に押し出し、芯材としての基材樹脂ペレットを作製した。
特開平4−372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、基材樹脂ペレットを耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.2MPa、温度11℃の条件下で3時間かけて、基材樹脂ペレットに対して二酸化炭素を7質量%含浸させた。
その後、基材樹脂ペレットを予備発泡機内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら、加圧水蒸気により発泡させて、発泡ビーズを得た。
この発泡ビーズを0.5MPaまで1時間かけて昇圧し、その後0.5MPaで8時間保持し、加圧処理を施した。
これを、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、加圧水蒸気で加熱して発泡ビーズ相互を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、発泡ビーズ成形体(発泡体)を得た。
得られた発泡体の脂肪族炭化水素系ガスの濃度を測定したところ、検出限界(50体積ppm)以下であった。
得られた発泡体を芯材として用い、上述の通り用意した表皮材を芯材の上下両面に1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、100℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、15分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成型して繊維強化複合体を得た。繊維強化複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
実施例1の詳細を表1に示す。
表皮材の枚数を、上下両面2枚ずつとしたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例2の繊維強化複合体は、実施例1以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例2の詳細を表1に示す。
芯材を、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)40質量%、ポリスチレン系樹脂60質量%を、押出機にて加熱溶融混練した後に押出し、混合物を調製した。
得られた混合物を、予備発泡機の耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.0MPa、温度10℃の条件下で3時間かけて、混合物に対して二酸化炭素を含浸させた。
その後、導入蒸気圧6kg/cm2Gで予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
この予備発泡粒子を加圧・加温装置に収容し、圧力源として空気を注入し、23℃の条件下で0.4MPaまで4時間かけて昇圧し、その後0.4MPaで4時間保持し、加圧処理を施した。
これを、水蒸気孔を有する成形金型内(内寸法312mm×312mm×10mm)に充填し、加圧水蒸気で加熱して予備発泡粒子を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、発泡体を得た。
芯材を上記発泡体としたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例3の繊維強化複合体は、実施例1以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例3の詳細を表1に示す。
表皮材の枚数を、上下両面2枚ずつとしたこと以外は実施例3と同様にして製造及び評価を行った。
実施例4の繊維強化複合体は、実施例3以上に優れた曲げ弾性率を示した。
実施例4の詳細を表1に示す。
芯材を、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(フェニレンエーテル(PPE)成分:40質量%、スチレン(PS)成分:60質量%)100質量%、粉末タルク0.55質量%を含む混合物を、単軸押出機に供給し、押出機の途中から、ブタンを組成物に対して0.7質量%となるように圧入して、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の発泡体シートを製造した。
芯材を上記発泡体としたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例5の繊維強化複合体は、実用上の問題は無いが、残ガスの影響から若干の表面平滑に乱れが確認された。また、この繊維強化複合体は、標準状態では、優れた曲げ弾性率を示したが、100℃高温環境下では、実施例1〜4に比べて、曲げ弾性率の低下が確認された。
実施例5の詳細を表1に示す。
芯材として、ポリプロピレン樹脂発泡体である、(株)カネカ社製エペラン−PP(登録商標)15倍品を用いたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例1の複合体は、標準状態における曲げ弾性率を得たが、100℃においては、表皮材と芯材との剥離が発生し、十分な曲げ弾性率を得ることはできなかった。
比較例1の詳細を表1に示す。
芯材として、ポリスチレン樹脂発泡体である、(株)カネカ社製カネパール(登録商標)10倍品を用いたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例2の複合体では、芯材が溶融し、強化された複合体を得ることができなかった。
比較例2の詳細を表1に示す。
炭素繊維を用いず、表皮材をポリプロピレン樹脂にしたこと以外は実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
比較例3の複合体では、表皮材と芯材との接着が不十分で剥離が起こり、十分な曲げ弾性率を得ることができなかった。
比較例3の詳細を表1に示す。
本発明の繊維強化複合体は、特に自動車分野で好適に利用できる。
Claims (3)
- 発泡樹脂からなる芯材の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体であり、
前記発泡樹脂は、前記発泡樹脂の樹脂成分100質量%に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を40〜80質量%含み、
100℃環境下でJIS−K7221に準拠して測定される曲げ弾性率が、1〜50GPaである、
ことを特徴とする、繊維強化複合体。 - 前記発泡樹脂における脂肪族炭化水素系ガスの濃度が、500体積ppm以下である、請求項1に記載の繊維強化複合体。
- 前記芯材と前記表皮材とを加熱・加圧することによって同時成型することを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維強化複合体の製造方法。
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