JP6247459B2 - 発泡粒子及び発泡粒子成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性と帯電防止性能に優れた発泡粒子成形体を得ることが可能な発泡粒子、及び、当該発泡粒子を含む発泡粒子成形体に関する。
自動車や電子機器の内部部品の材料として、従来プラスチックや金属が採用されてきた。プラスチックは金属等と比較して軽量であるため、電子機器、雑貨及び自動車用部品等に使用用途が拡大しているが、省エネルギー等の観点から、より軽量で、かつ強度や耐衝撃性等の物性により優れた材料が求められている。そのような材料の1つに、樹脂発泡成形体がある。
また、樹脂発泡成形体は一般的に電気絶縁性であるため、例えば、静電気による機器の故障を嫌う用途に使用する場合、帯電防止性能付与が必要になる。特に電子機器は、難燃性、帯電防止性能ともに必要である。しかしながら、UL94規格のV規格を有し、かつ帯電防止性能を付与させた材料を得ることは、技術的に非常に困難であった。
これまでに、難燃剤の添加によって難燃性を付与した難燃性発泡ビーズが知られている(特許文献1)。また、導電性物質を付与した発泡体が知られている(特許文献2)
特開2012−116968号公報 特開平11−209505号公報
しかしながら、特許文献1のように帯電防止剤(例えば導電性物質)を錬り込み発泡ビーズ成形体を得る場合、良好な帯電防止性能を発現させるためには多量の帯電防止剤が必要となる場合がある。多量の帯電防止剤を添加した場合、良好な難燃性が維持できない場合がある。また、特許文献1では、帯電防止剤の脱落について配慮されておらず、多量の帯電防止剤を用いた場合、帯電防止剤が脱落する場合がある。
また、特許文献2のように帯電防止性能を付与することができたとしても、難燃性との両立が不十分であった。
そこで、本発明は、軽量化と同時に優れた難燃性を維持しつつ帯電防止性能に優れた発泡粒子成形体を得ることが可能な発泡粒子、及び、当該発泡粒子を含む発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[4]である。
[1]基材樹脂組成物と、当該基材樹脂組成物の少なくとも一部を被覆する帯電防止剤と、当該帯電防止剤の少なくとも一部を被覆する非ハロゲン系有機高分子と、を含み、基材樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂及び難燃剤を含有する、発泡粒子。
[2]帯電防止剤が無機系導電剤である、[1]に記載の発泡粒子。
[3][1]又は[2]に記載の発泡粒子を含む、発泡粒子成形体。
[4]UL規格のUL−94垂直法(20mm垂直燃焼試験)に準拠して測定される難燃性がV−0又はV−1である、[3]に記載の発泡粒子成形体。
本発明によれば、軽量化と同時に優れた難燃性を維持しつつ帯電防止性能に優れた発泡粒子成形体を得ることが可能な発泡粒子、及び、当該発泡粒子を含む発泡粒子成形体を提供することができる。本発明は、未発泡樹脂の燃焼規格であるUL−94にも適合する優れた難燃性を有する。また、本発明は、帯電性付与物質の脱落を防止し、優れた帯電防止性能を有している。
本発明に係る発泡粒子成形体は、優れた耐熱性、難燃性及び帯電防止性能を有しており、これまで金属や未発泡樹脂では簡単になしえない複雑な形状の製品や部材、例えば大幅に単純化されたアセンブリを可能にする電子装置といった装置用のシャーシや自動車部材、OA機器の構造材、電磁波吸収体などを、高温環境下でも寸法精度良く提供することができる。
本発明の実施の形態について、以下具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態に係る発泡粒子は、帯電防止性発泡粒子である。本実施形態に係る発泡粒子は、基材樹脂組成物と、当該基材樹脂組成物の少なくとも一部を被覆する帯電防止剤と、当該帯電防止剤の少なくとも一部を被覆する非ハロゲン系有機高分子と、を含み、基材樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂及び難燃剤を含有する。例えば、帯電防止剤は、基材樹脂組成物の表面の少なくとも一部を被覆しており、非ハロゲン系有機高分子は、帯電防止剤の表面の少なくとも一部を被覆している。本実施形態に係る発泡粒子は、例えば、基材樹脂組成物と、当該基材樹脂組成物の少なくとも一部を被覆する層状の帯電防止層と、当該帯電防止層の少なくとも一部を被覆する層状のオーバーコート層(被覆層)とを有し、帯電防止層が帯電防止剤を含有し、オーバーコート層が非ハロゲン系有機高分子を含有する態様であってもよい。本実施形態に係る発泡粒子における基材樹脂組成物を発泡させることにより発泡粒子成形体を得ることができる。
本実施形態に係る発泡粒子の平均粒子径は、0.5〜10mmであることが好ましく、0.7〜5mmであることがより好ましい。発泡粒子の平均粒子径が0.5〜10mmであると、複雑で微細な形状を有する樹脂発泡成形体を成形しやすくなる傾向にある。
本実施形態に係る発泡粒子の発泡倍率は、特には限定されないが、1.5〜30cc/gが好ましく、2〜20cc/gがより好ましい。発泡倍率が1.5〜30cc/gであると、軽量化のメリットを活かしつつ、優れた難燃性を維持しやすくなる傾向にある。多段階で所望の発泡倍率に調整する際には、一次発泡倍率は1.4〜10cc/gが好ましい。この範囲であると、セルサイズが均一になりやすく、二次発泡能も付与しやすくなる傾向にある。
基材樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含有している。本明細書において、「ポリフェニレンエーテル系樹脂」とは、ポリフェニレンエーテル骨格を構造単位として有する重合体であり、下記一般式(1)で表される重合体のことをいう。ここで、一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、又は、ハロゲン原子と一般式(1)中のベンゼン環との間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロアルキル基、若しくは、ハロアルコキシ基で第3α−炭素を含まないもの、を示す。また、nは重合度を表す1又は2以上の整数である。
Figure 0006247459
ポリフェニレンエーテル系樹脂の重量平均分子量は、20000〜60000が好ましい。なお、本明細書中において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−ジフェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。この中でも特に、R及びRが炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基のものが好ましい。これらは一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材樹脂組成物においては、ポリフェニレンエーテル系樹脂と、他の1種類以上の樹脂とを混合して用いることが可能であり、その例として、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリアミドに代表されるエンプラ系樹脂、ポリフェニレンスルファイドに代表されるスーパーエンプラ系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性向上の点から、ポリスチレン系樹脂と混合することが好ましい。
本明細書において、「ポリスチレン系樹脂」とは、スチレン及びスチレン誘導体のホモポリマーに加え、スチレン及びスチレン誘導体を主成分とする共重合体のことをいう。スチレン誘導体としては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ホモポリマーのポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリクロロスチレン等が挙げられ、共重合体のポリスチレン系樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−N−アルキルマレイミド共重合体、スチレン−N−アルキル置換フェニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−n−アルキルアクリレート共重合体、スチレン−n−アルキルメタクリレート共重合体、エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体のほか、ABS、ブタジエン−アクリロニトリル−α−メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体も挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、グラフト共重合体、例えば、スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、(スチレン−アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等も含まれる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、180000〜500000が好ましい。
基材樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂の含有量は特には限定されず、他成分が所望の含有量になるように適宜調整して使用される。一方、基材樹脂組成物中のポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は、難燃性に更に優れる観点から、基材樹脂組成物全体を基準として、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
基材樹脂組成物は、十分な難燃性を達成するために難燃剤を含有する。難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。有機系難燃剤としては、臭素化合物に代表されるハロゲン系化合物や、リン系化合物、シリコーン系化合物に代表される非ハロゲン系化合物が挙げられる。無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムに代表される金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンに代表されるアンチモン系化合物などが挙げられる。上記難燃剤の中でも、環境の観点から、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、リン系、シリコーン系の難燃剤がより好ましいが、これに限定されるものではない。
リン系の難燃剤には、リン又はリン化合物を含むものを用いることができる。リンとしては赤リンが挙げられる。また、リン化合物としては、リン酸エステルやリン原子と窒素原子の結合を主鎖に有するホスファゼン化合物群等が挙げられる。リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート等が挙げられ、また、これらを各種置換基で変性した化合物や、各種の縮合タイプのリン酸エステル化合物も含まれる。この中でも、耐熱性、難燃性、発泡性に更に優れる観点から、トリフェニルホスフェートや、下記一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物が好ましい。
Figure 0006247459
ここで、一般式(2)中、Q〜Qは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基を示す。一般式(2)におけるQ〜Qとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。一般式(2)におけるQ、Qとしては水素原子が好ましく、Q、Qとしてはメチル基が好ましい。一般式(2)におけるmは1以上の整数である。該リン酸エステル化合物はm量体の混合物であっても構わない。一般式(2)におけるn1〜n4は、それぞれ独立に1〜5の整数であり、n5及びn6は、それぞれ独立に1〜4の整数である。
また、シリコーン系難燃剤には、(モノ又はポリ)オルガノシロキサン類を用いることができる。(モノ又はポリ)オルガノシロキサン類としては、例えば、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のモノオルガノシロキサン類、及びこれらを重合して得られるポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、これらの共重合体などのオルガノポリシロキサン類などが挙げられる。オルガノポリシロキサンの場合、主鎖や分岐した側鎖の結合基は、水素原子、アルキル基、フェニル基が挙げられ、好ましくはフェニル基、メチル基、エチル基、及びプロピル基であるが、これに限定されない。末端結合基は、水酸基、アルコキシ基、アルキル基、フェニル基のいずれも使用される。シリコーン類の形状にも特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状などの任意のものが利用可能である。
また、基材樹脂組成物の構成成分としては、従来より知られた各種難燃剤及び難燃助剤、例えば、環状窒素化合物、その具体例としてはメラミン、アンメリド、アンメリン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メトン、メロン等のトリアジン骨格を有する化合物及びそれらの硫酸塩、結晶水を含有する水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、ホウ酸亜鉛化合物、スズ酸亜鉛化合物等も用いてもよい。また、1種だけでなく、複数種組み合わせて含んでいてもよい。
基材樹脂組成物は、発泡性向上の点から、ゴム成分を更に含有することが好ましい。ゴム成分としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは、ポリスチレン系樹脂からなる連続相中に粒子状に分散しているものが好ましい。これらゴム成分を添加する方法として、ゴム成分そのものを加えてもよく、スチレン系エラストマーやスチレン−ブタジエン共重合体等の樹脂をゴム成分供給源として用いてもよい。後者の場合、ゴム成分の比率(R)は下記式で計算できる。
R=C×Rs/100
C:ゴム成分供給源中のゴム濃度(質量%)
Rs:基材樹脂組成物中のゴム供給源含有量(質量%)
なお、上記以外にも、他の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、染料、耐候性改良剤、耐衝撃改質剤、ガラスビーズ、無機充填材、タルク等の核剤等を、発明の目的を損なわない範囲で基材樹脂組成物に添加してもよい。特に、PTFEは、燃焼試験時の液ダレ防止として好適であり、難燃性改善に効果的である。
本実施形態における基材樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、難燃剤及びゴム成分を含むことが好ましい。この場合の各成分の含有量は、基材樹脂組成物全体を基準として、ポリフェニレンエーテル系樹脂40〜94質量%、難燃剤5〜30質量%及びゴム成分0.3〜10質量%であり、残部がポリスチレン系樹脂からなることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が40質量%以上であれば、耐熱性に更に優れ、さらに、難燃性(特に燃焼時の樹脂だれ防止性能)が著しく向上する。燃焼時の樹脂だれを防ぐには、(1)燃焼時間を短くし、(2)樹脂の耐熱性を上げる(軟化しにくくする)ことが重要となるが、難燃剤の含有量を増やすだけでは(2)には逆効果であり、より薄肉のサンプルでの樹脂だれを防止するには、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量を40質量%以上にすることが好ましい。
一方、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が94質量%を超えると、発泡、成形等の加工に必要な温度が急激に高くなり、用役費がかさむだけでなく、特別な設備が必要になるなど、実生産性に欠ける。
基材樹脂組成物中のポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は、より好ましくは45〜90質量%であり、更に好ましくは50〜85質量%である。含有量を45〜90質量%とすることにより、耐熱性を維持しつつ、発泡温度、成形温度がより低くなり、より加工しやすくなる。
基材樹脂組成物中の難燃剤の含有量は、基材樹脂組成物全体を基準として5〜30質量%が好ましい。難燃剤の含有量が5質量%以上であると、所望の難燃性が発現しやすくなる。逆に、難燃剤の含有量が30質量%以下であると、難燃剤による基材樹脂組成物の可塑化効果が適度となり、耐熱性が向上しやすくなる。さらに、発泡時の樹脂の伸張粘度が向上し、発泡倍率が上げられるようになり、発泡粒子の独立気泡率が向上し、成形体への成形加工性に更に優れるようになる。このように、難燃性と発泡性のバランスを調整することは非常に重要である。
基材樹脂組成物中のゴム成分の含有量は、基材樹脂組成物全体を基準として、0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。ゴム成分の含有量が0.3質量%以上であると、所望の難燃性が発現しやすくなる。さらに、ゴム成分の含有量が0.5質量%以上であると、樹脂の柔軟性、伸びに優れ、発泡時に発泡セル膜が破膜しにくく、発泡倍率が上がり、発泡後も成形加工性に優れる発泡粒子成形体となりやすい。難燃性を重視すると、ポリフェニレンエーテル系樹脂や難燃剤をより多く添加する方が好ましいが、これらはどちらも添加量が増えると発泡性には悪影響を与える。そのような組成において、発泡性を付与させるのにゴム成分は好適である。これは特に、常温から徐々に温度を上げ、非溶融状態で樹脂を発泡させるビーズ発泡において重要であり、溶融状態の樹脂を発泡させる押出発泡とは大きく異なる点である。成形加工品の形状の自由度の観点では、板状に押出す押出発泡品より、所望の金型に充填し成形可能なビーズ発泡品の方が有利であり、発泡ビーズで難燃性と高発泡を両立したことは非常に有用である。
一方、ゴム成分の含有量が10質量%以下であれば、所望の難燃性が発現しやすくなる。さらに、ゴム成分の含有量が8質量%以下であると、十分な耐熱性が得られやすくなる。ゴム粒子の形状は特には限定されず、ゴム成分を外殻とする粒子の内部に複数のポリスチレン系樹脂微粒子を内包した、いわゆるサラミ構造を形成していてもよく、ゴム成分を外殻とする粒子の内部に単数のスチレン系樹脂微粒子を内包した、いわゆるコアシェル構造であってもよい。ゴム成分のゴム粒径は特には限定されないが、サラミ構造の場合は0.5〜5.0μmが好ましく、コアシェル構造の場合は0.1〜1.0μmが好ましい。この範囲であると、より優れた発泡性を発揮しやすい。
なお、ポリスチレン系樹脂は、上記他成分が所望の含有量になるように適宜調整して使用されることが好ましい。
基材樹脂組成物の形状は特に限定されないが、例としてビーズ状、ペレット状、球体、不定型の粉砕品等が挙げられる。基材樹脂組成物の大きさは、好ましくは0.2〜5.0mmであり、より好ましくは0.2〜3.0mmである。大きさがこの範囲にあると、発泡後の粒子が適度な大きさになり、取り扱い易く、また、成形時の充填がより密になりやすくなる。
本実施形態に係る発泡粒子は、帯電防止剤を含んでいる。帯電防止剤としては、例えば、無機系導電剤、高分子型帯電防止剤、界面活性剤等が挙げられる。無機系導電剤としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられるが、これに限定されるものではない。高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド系、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン系、ポリエーテルエステル系、ポリスチレンスルホン酸系、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体系等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
界面活性剤としては、例えばノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性イオン系等が挙げられるが、これに限定されるものではない。ノニオン系の例としては、(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリット、ソルビット等の多価アルコール及び/又はその脂肪酸エステル、(2)ポリエチレングリコール及び/又はその脂肪酸エステル、(3)高級アルコール、多価アルコール、アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、又はポリプロピレングリコール付加物等が挙げられるがこれに限定されるものではない。アニオン系の例としては、(1)脂肪酸塩類、(2)高級アルコール硫酸エステル塩類、(3)液体脂肪油硫酸エステル塩類、(4)脂肪族アミン及び脂肪族アミドの硫酸塩類、(5)脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、(6)二塩基性脂肪酸エステル塩類、(7)脂肪酸アミドスルホン酸塩類、(8)アルキルアリールスルホン酸塩類、(9)ホルマリン縮合のナフタレンスルホン酸塩類等が挙げられるが、これに限定されるものではない。カチオン系の例としては、(1)脂肪族アミン塩類、(2)四級アンモニウム塩類、(3)アルキルピリジニウム塩類等が挙げられるが、これに限定されるものではない。両性イオン系としては、(1)イミダゾリン誘導体類、(2)カルボン酸アンモニウム類、(3)硫酸エステルアンモニウム類、(4)リン酸エステルアンモニウム類、(5)スルホン酸アンモニウム類等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの帯電防止剤の中でも特に、無機系導電剤が、環境(湿度)による影響が少なく、ブリードアウトによる転写も少ないため好ましい。更に好ましくは、少量で効果が発現するケッチェンブラック、カーボンブラックである。
帯電防止剤は、例えば、基材樹脂組成物に表面被覆して添加する。一般的に、帯電防止剤が増加することにより帯電防止性能が向上するが、難燃性は低下する傾向である。表面被覆法は、錬り込み法に比べ、帯電防止剤が少量で性能を発現するため、難燃性との両立が可能となる。表面被覆法としては、ヘンシェルミキサーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
帯電防止剤の含有量は、基材樹脂組成物全体を基準として、0.1〜10質量%が好ましい。帯電防止剤の含有量が0.1質量%以上であると、帯電防止性能が発現しやすくなり、10質量%以下であると、加工性を阻害し難い。帯電防止剤の含有量は、0.5〜5質量%がより好ましい。
本実施形態に係る発泡粒子では、帯電防止剤が非ハロゲン系有機高分子に被覆されている。これにより、帯電防止剤の脱落防止効果が発現する。非ハロゲン系有機高分子は、発泡粒子の表面においてトップコート層を構成していてもよい。帯電防止剤を被覆する有機高分子は、基材樹脂組成物との接着性の関係から、非ハロゲン系である必要があり、その例として、天然ゴムラテックス、変性天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴム系ラテックス(SBラテックス)、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合ラテックス、アクリル−スチレン系ラテックス、アクリル−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル系ラテックス等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、接着性の観点から、スチレン系成分が含まれていることが好ましく、柔軟性(例えばトップコート層の柔軟性)の観点からSBラテックスがより好ましい。柔軟性(例えばトップコート層の柔軟性)が高いと、成形加工等の後加工工程における粒子の変形に非ハロゲン系有機高分子(例えばトップコート層)が追随し、クラックが発生しにくくなり、帯電防止剤の脱落防止性能をより発揮しやすい利点がある。
非ハロゲン系有機高分子の含有量は、基材樹脂組成物全体を基準として、好ましくは5〜30質量%である。非ハロゲン系有機高分子の含有量が5質量%以上であると、脱落防止効果が発現しやすく、30質量%以下であると、加工性を阻害し難い。非ハロゲン系有機高分子の含有量は、10〜20質量%がより好ましい。
次に、本実施形態に係る発泡粒子成形体について説明する。本実施形態に係る発泡粒子成形体は、上記発泡粒子を含む。本実施形態に係る発泡粒子成形体は、UL規格のUL−94垂直法(20mm垂直燃焼試験)に準拠して測定される難燃性がV−1以上(V−0又はV−1)を満足することにより、従来未発泡の樹脂や金属が主に用いられてきたような高い難燃性が要求される部材において、代替材料として用いることが可能となり、難燃性と同時に軽量化・成形体への優れた成形加工性が得られる。
本実施形態に係る発泡粒子成形体は、基材樹脂組成物に発泡剤を含有(含浸)させ(含浸工程)、基材樹脂組成物を発泡させること(発泡工程)により得ることができる。
含浸工程において、基材樹脂組成物に発泡剤を含有させる方法は特に限定されず、一般的に行われている方法が適用できる。発泡剤を含有させる方法として、水等の懸濁系を利用して水性媒体で行う方法(懸濁含浸)や、重炭素水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤を用いる方法(発泡剤分解法)、ガスを臨界圧力以上の雰囲気にし、液相状態にして基材樹脂組成物に接触させる方法(液相含浸)、臨界圧力未満の高圧雰囲気下において気相状態で基材樹脂組成物に接触させる方法(気相含浸)等が挙げられる。この中でも特に、臨界圧力未満の高圧雰囲気下で気相含浸させる方法が好ましい。気相含浸させる方法は、高温条件下で実施される懸濁含浸に比べてガスの樹脂への溶解度がより良好で、発泡剤の含有量を高くしやすくなる。そのため、高発泡倍率を達成しやすく、基材樹脂組成物内の気泡サイズも均一になりやすくなるからである。発泡剤分解法も同様に高温条件下で実施されるだけでなく、加えた熱分解型発泡剤全てがガスになる訳ではないため、ガス発生量が相対的に少なくなりやすい。そのため気相含浸の方がより発泡剤含有量を高くしやすい利点がある。また、液相含浸と比べると、耐圧装置や冷却装置等の設備がよりコンパクトになりやすく、設備費が低く抑えやすくなる。
気相含浸条件は特には限定されないが、雰囲気圧力は0.5〜6.0MPaが好ましい。また、雰囲気温度は5〜30℃が好ましく、7〜15℃がより好ましい。雰囲気圧力、雰囲気温度が上記範囲であると、より効率的に基材樹脂組成物へのガス溶解が進行しやすくなる。特に、雰囲気温度が低ければ含浸量は増えるが、含浸速度は遅くなる傾向であり、雰囲気温度が高ければ含浸量は減るが、含浸速度は速くなる傾向であり、その兼ね合いから効率的に基材樹脂組成物へのガス溶解を進行するために上記の雰囲気温度を設定することが好ましい。
発泡剤は特には限定されず、一般的に用いられているガスを使用することができる。その例として、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等の無機ガス、トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)ジクロロフルオロエタン(R141b)クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−225ca等のフルオロカーボンや、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn―ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類、塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類等が挙げられる。
難燃性の観点から、発泡剤は可燃性や支燃性がないことが好ましく、ガスの安全性の観点から無機ガスがより好ましい。また、無機ガスは炭化水素等の有機ガスに比べ樹脂に溶けにくく、発泡工程や成形工程の後、樹脂からガスが抜けやすいので、成形品の経時での寸法安定性がより優れる利点もある。さらに、残存ガスによる樹脂の可塑化も起こりにくく、成形後、より早い段階から優れた耐熱性を発現しやすいメリットもある。無機ガスの中でも、樹脂への溶解性、取り扱いの容易さの観点から、炭酸ガスが好ましく、その含浸量は樹脂に対して3〜13質量%あることが好ましい。炭酸ガスの含浸量は3.5〜10質量%がより好ましい。
炭酸ガスの含浸量が3質量%未満であると、より高い発泡倍率を達成しにくくなる上、基材樹脂組成物内の気泡サイズがばらつきやすく、基材樹脂組成物間での発泡倍率のばらつきが大きくなる傾向にある。13質量%を超えると、気泡サイズが小さくなり、過発泡気味になるため独立気泡率が維持されにくくなる傾向にある。
発泡工程における、発泡粒子の発泡方法は特に限定されないが、例えば、高圧条件下から一気に低圧雰囲気下に開放し、基材樹脂組成物内に溶解しているガスを膨張させる方法や、加圧水蒸気等により加熱し、基材樹脂組成物内に溶解したガスを膨張させる方法等が挙げられる。この中でも特に、加熱発泡させる方法が好ましい。これは、高圧条件下から一気に低圧雰囲気下に開放する方法に比べると、基材樹脂組成物内部の気泡サイズが均一になりやすいからである。また、発泡倍率の制御、特に低発泡倍率品の制御が行いやすい利点がある。
加圧水蒸気は、例えば、発泡炉の下部から多数の蒸気孔より導入し、樹脂を攪拌羽により攪拌することで、より均一かつ効率的に発泡させることができる。攪拌羽の回転数は、20〜120rpmが好ましく、50〜90rpmがより好ましい。回転数が20rpm未満であると、均一に加圧水蒸気が当たらず発泡制御が困難であったりブロッキング等の不具合が起こったりする傾向であり、120rpmを超えると、発泡時の粒子が攪拌羽によりダメージを受け、独立気泡率が低下したり、所望の発泡倍率が得られない傾向にある。
発泡粒子を所望の発泡倍率まで発泡させる際、発泡工程において、一段階で所望の発泡倍率まで発泡させてもよく、二次発泡、三次発泡と、多段階で発泡させてもよい。多段階で発泡させる場合、各段階での発泡前に予備粒子(最終段階の発泡を行っていない粒子等をいう)に無機ガスで加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスは特には限定されないが、難燃性やガスの安全性の観点から無機ガスが好ましい。無機ガスの例として、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、取り扱いの容易さと経済性の観点から、炭酸ガスや空気が好ましいが、それに限定されるものではない。加圧処理の方法も特には限定されないが、加圧タンク内に予備粒子を充填し、該タンク内に無機ガスを供給して加圧する方法等が挙げられる。
成形工程では、本実施形態に係る発泡粒子を一般的な成形加工方法により成形することで成形体を得ることができる。
成形加工方法の例として、成形工程において、成形型内に発泡粒子を充填し、加熱することにより発泡させると同時に粒子同士を融着させた後、冷却により固化させ、成形されることが挙げられるがこれに限定されない。発泡粒子の充填方法は特には限定されないが、例として充填時に金型を多少開いた状態で充填するクラッキング法や、金型を閉じたままの状態で加圧して圧縮した粒子を充填する圧縮法、圧縮粒子を充填後にクラッキングを行う圧縮クラッキング法等が挙げられる。
発泡粒子を充填する前に無機ガス雰囲気下で加圧処理を施す加圧工程を行うことが好ましい。加圧処理を施すことにより、発泡粒子内の気泡に一定のガス圧力を付与でき、より均一に発泡成形しやすくなるためである。加圧処理を実施する場合の圧力源は特には限定されないが、前述した難燃性や耐熱性、寸法安定性の観点から無機ガスを用いるのが好ましい。無機ガスの例として、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、取り扱いの容易さと経済性の観点から、炭酸ガスや空気が好ましいが、それに限定されるものではない。加圧処理の方法も特には限定されないが、加圧タンク内に発泡粒子を充填し、該タンク内に無機ガスを供給して加圧する方法等が挙げられる。
このように得られた発泡粒子を使用すると、公知の型内成形方法により微細な形状や複雑な形状の成形体も製造することが可能であり、使用できる用途の幅が広がることも特徴である。
例えば、従来の発泡粒子を型内成形する一対の成形型を用い、加圧大気圧下又は減圧下に発泡粒子を成形型キャビティー内に充填し、型閉めし成形型キャビティー体積を0〜70%減少するように圧縮し、次いで型内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる減圧成形法による方法(例えば、特公昭46−38359号公報)、発泡粒子を加圧気体により、予め加圧処理して発泡粒子内の圧力を高めて、発泡粒子の二次発泡性を高め、二次発泡性を維持しつつ大気圧下又は減圧下に発泡粒子を成形型キャビティー内に充填し型閉めし、次いで型内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51−22951号公報)などにより成形する。
また、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧したキャビティー内に、当該圧力以上に加圧した発泡粒子を充填した後、キャビティー内にスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成型法(特公平4−46217号公報)により成形することもできる。その他に、特殊な条件にて得られる二次発泡力の高い発泡粒子を、大気圧下又は減圧下の一対の成形型のキャビティー内に充填した後、次いでスチーム等の熱媒を供給して加熱を行い、発泡粒子を加熱融着させる常圧充填成型法(特公平6−49795号公報)又は上記の方法を組み合わせた方法(特公平6−22919号公報)などによっても成形することができる。
本実施形態に係る発泡粒子成形体の発泡倍率は、特には限定されないが、1.5〜40cc/gが好ましく、2〜25cc/gがより好ましい。発泡倍率が1.5〜40cc/gの範囲であると、軽量化のメリットを活かしつつ、優れた難燃性を維持しやすくなる傾向にある。
本実施形態に係る発泡粒子成形体の表面抵抗率は特に限定されないが、1013Ω以下が好ましく、10Ω以下がより好ましい。表面抵抗率が1013Ω以下であると、静電防止性能を十分に発揮しやすくなる傾向にある。
本実施形態に係る発泡粒子成形体は、上記のような特徴を有するため、電磁波吸収体に特に有用であり、自動車の部材や各種タンク等の高温環境下で使用し、難燃性や断熱性を必要とする部材にも利用可能であり、パソコンやOA機器等の難燃性だけでなく、高温環境下での寸法精度が求められる微細、かつ複雑な部材にも利用可能となり、同時に軽量化も満足するために、非常に有用である。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた評価方法について以下に説明する。
(1)発泡倍率
発泡体(発泡粒子及び成形体)の重量W(g)を測定した後、水没法で体積V(cc)を測定し、その体積を重量で除した値V/W(cc/g)を発泡倍率とした。
(2)難燃性
米国UL規格のUL−94垂直法(20mm垂直燃焼試験)に準拠した試験を行い、難燃性の評価を行った。以下測定方法を示す。
まず、得られた発泡粒子を、長さ125mm、幅13mm、厚さ3mmの試験片に成形し、該成形品を5本用いて判定した。試験片をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりV−0、V−1、不適合(×)の判定を行った。下記に該当しないものは不適合とした。V−0,V−1であれば良好な難燃性を有するとした。
V−0:1回目、2回目ともに有炎燃焼持続時間は10秒以内、更に2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が30秒以内、更に5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が50秒以内、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない、燃焼落下物による綿着火なし。
V−1:1回目、2回目ともに有炎燃焼持続時間は30秒以内、更に2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が60秒以内、更に5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が250秒以内、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない、燃焼落下物による綿着火なし。
(3)表面抵抗率
温度23℃、相対湿度50%に制御されている室内に、24時間放置して状態調整された成形体の表面を、JISK6911の試験法5.13項に規定する電極間にセットし、成形スキン面の表面抵抗を抵抗計(商品名:SME−8220、東亜電波工業株式会社製、印加電圧500V)で測定し、JISに規定する計算式から表面抵抗率を算出し評価した。表面抵抗率10Ω以下であれば良好な帯電防止性能を有するとした。
(4)脱落防止性
JISK5600(クロスカット法)に準じ、セロハンテープCT24(ニチバン製)を用い、トップコート層及び帯電防止剤の剥離状況を評価した。剥離状態の分類が2以下であれば良好な脱落防止性能を有するとした。
[実施例1]
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)としてS201A(旭化成ケミカルズ(株)製)を60質量%、非ハロゲン系難燃剤としてビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)(BBP)を18質量%、ゴム成分が0.6質量%となるようにゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)10質量%と、汎用ポリスチレン樹脂(PS)としてGP685(PSジャパン(株)製)12質量%とを加え、押出機にて加熱溶融混練の後に押出し、基材樹脂組成物ペレットを作製した。
基材樹脂組成物ペレット100質量部に対してカーボンブラック系導電塗料としてライオンペーストW−310A(濃度:14質量%、ライオン(株)製)5質量部(カーボンブラックとして0.7質量部)を加えてヘンシェルミキサーにて混合し、導電性層を有する導電性基材樹脂組成物ペレットを得た。次に、導電性基材樹脂組成物ペレット100質量部に対してSBラテックス5質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、乾燥して導電性層の上にオーバーコート層を有する導電性ペレットを得た。特開平4−372630の実施例1に記載の方法に準じ、導電性基材樹脂組成物ペレットを耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.2MPa、温度11℃の条件下で3時間かけて基材樹脂組成物ペレットに対して二酸化炭素を7質量%含浸させ、導電性基材樹脂組成物ペレットを発泡炉内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら加圧水蒸気により発泡させて発泡粒子を得た。この発泡粒子を0.5MPaまで1時間かけて昇圧し、その後0.5MPaで8時間保持し、加圧処理を施した。これを、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、加圧水蒸気で加熱して発泡粒子相互を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出した。この成型品は、発泡倍率10cc/gで3mmの厚みであり、難燃性はV―0であり、帯電防止性能を有し、導電性物質(帯電防止剤)の脱落の防止も良好であった(表1)。
[実施例2〜7]
カーボンブラック系導電塗料の添加量、オーバーコート層を構成するSBラテックスの添加量を表1に示したとおり変更した以外は実施例1と同様にして評価を行った。カーボンブラックの添加量については、2.1質量%や2.8質量%まで増量することにより帯電防止効果が向上する傾向であり、逆に、0.7質量%まで減量した場合でも実使用で問題ない性能を発現している。SBラテックスの添加量については、20質量%まで増量しても帯電防止効果は維持し、逆に、5質量%まで減量することにより若干脱落抑制効果が低下する傾向であるが実使用で問題ない性能を発現している(表1)。
[実施例8]
表1に示す各成分の組成において、実施例1と同等に評価を行った。カーボンブラックの代わりに帯電防止剤として、グラファイト塗料であるヒタゾルAB−1(日立化成工業(株)製)を用いた場合も難燃性はV―0であり、帯電防止性能を有し、帯電防止剤の脱落防止性能も良好であった(表1)。
[実施例9〜16]
難燃剤をトリフェニルホスフェート(TPP)に変更し、HIPSをゴム濃度が19質量%のものに変更し、各成分の組成を表1に示したとおり変更した以外は実施例1と同様に評価を行った。実施例2〜8と同様の傾向が確認された。いずれの場合も難燃性はV―0であり、帯電防止性能を有し、帯電防止剤の脱落防止性能も良好であった(表1)。
[比較例1〜2]
表2に示す各成分の組成において、実施例1と同様に評価を行った。オーバーコート層の塗布を行わなかった場合、帯電防止剤の脱落が激しく実使用に耐えられる物ではなかった(比較例1)。また、オーバーコート層として、塩化ビニリデン共重合のラテックス(サランラテックス)であるクレハロンR14A(呉羽化学(株)製)を用いた場合も同様に、基材樹脂組成物との接着力が無く、脱落が激しく実使用に耐えられるものではなかった(比較例2)。
[比較例3〜4]
表2に示す各成分において、帯電防止剤を基材樹脂組成物に錬り込み実施例1と同様に評価した場合、表面被覆と同等の添加量では帯電防止効果が発現せず(比較例3)、同等の帯電防止性能を発現させる添加量(比較例4)では、難燃性が維持できないことが確認された。
実施例及び比較例で用いた成分、並びに、成形品の評価結果等を表1,2に示す。なお、表中、基材樹脂組成物の構成成分の含有量は基材樹脂組成物全体を基準としており、帯電防止剤の含有量は基材樹脂組成物全体を基準としており、オーバーコート層の含有量は基材樹脂組成物全体を基準としている。
Figure 0006247459
Figure 0006247459
本実施形態に係る発泡粒子、及び、その発泡粒子を用いて得られる成形体は、軽量化と同時に高い難燃性と帯電防止性能を維持し、特に自動車部材やOA機器の構造材として好適である。

Claims (4)

  1. 基材樹脂組成物と、当該基材樹脂組成物の少なくとも一部を被覆する帯電防止剤と、当該帯電防止剤の少なくとも一部を被覆する非ハロゲン系有機高分子と、を含み、
    前記基材樹脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂及び難燃剤を含有
    前記非ハロゲン系有機高分子が、スチレン−ブタジエンゴム系ラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合ラテックス、又はアクリル−スチレン系ラテックスである、発泡粒子。
  2. 前記帯電防止剤が無機系導電剤である、請求項1に記載の発泡粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の発泡粒子を含む、発泡粒子成形体。
  4. UL規格のUL−94垂直法(20mm垂直燃焼試験)に準拠して測定される難燃性がV−0又はV−1である、請求項3に記載の発泡粒子成形体。
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