JP2011026436A - 発泡性複合樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子および発泡成形体 - Google Patents

発泡性複合樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子および発泡成形体 Download PDF

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正彦 小澤
Yasutaka Tsutsui
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Abstract

【課題】耐割れ性に優れ、帯電防止性能のばらつきの少ない発泡成形体を得ることができる発泡性複合樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100重量部、ポリスチレン系樹脂120〜560重量部および発泡剤を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える発泡性複合樹脂粒子であって、その粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子をその表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となる予備発泡粒子を形成し、かつ、カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%である粒子により前記課題を解決する。
【選択図】図4

Description

本発明は、スチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂を含む発泡性複合樹脂粒子(以下、発泡性複合樹脂粒子とも称する)、その製造方法、予備発泡粒子および発泡成形体に関する。さらに詳しくは、本発明は、表面層に接している気泡と内部の気泡の平均気泡径が大きく異なり、帯電防止剤を含む表面層を備える、発泡性複合樹脂粒子、その製造方法、予備発泡粒子および発泡成形体に関する。本発明の発泡性複合樹脂粒子は、耐割れ性に優れ、帯電防止性能のばらつきの少ない発泡成形体の製造に好適に使用できる。
スチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂を複合化させた樹脂粒子から得られる発泡成形体は、発泡剤が芯部のポリスチレン系樹脂に保持されているため成形性に優れる。さらに、表面近傍部に高比率で含有されているポリオレフィン系樹脂で覆われているため、優れた耐割れ性と共に耐薬品性をも備え、自動車部品等の機械部品の通い箱、電気製品等の緩衝包装材として広く利用されている(国際公報2005/021624号パンフレット(特許文献1))。しかしながら、電気絶縁性を有さないため、摩擦によって容易に帯電し、埃の付着によって内容物に集塵による汚染や静電破壊を引き起こし、液晶等の電子部品の包装材として使用するには問題があった。
そこで帯電防止性能の付与方法として、樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子等への帯電防止剤の様々な被覆方法が提案されている。
例えば、樹脂粒子の表面層に帯電防止剤を被覆した後、発泡剤を含浸させる方法(特開昭63−125537号公報(特許文献2))、特定の帯電防止剤で発泡性樹脂粒子の表面を被覆する方法(特公昭59−35923号公報(特許文献3))、帯電防止剤で成形用予備発泡粒子の表面層を被覆する方法(特開昭58−176227号公報(特許文献4))、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、特定の温度および圧力で帯電防止剤を被覆する方法(国際公報2004/090029号パンフレット(特許文献5))が提案されている。
国際公報2005/021624号パンフレット 特開昭63−125537号公報 特公昭59−35923号公報 特開昭58−176227号公報 国際公報2004/090029号パンフレット
特開昭63−125537号公報に従い、樹脂粒子の表面層に帯電防止剤を被覆した後、発泡剤を含浸させたところ、含浸時の発泡剤の分散系が不安定となり、樹脂粒子は、帯電防止剤で十分被覆されず、良好な帯電防止性能を得ることはできなかった。一般に、含浸工程は、水−発泡剤の混合媒体を介して行われ、また、帯電防止剤として水溶性界面活性剤等が用いられる。この場合、樹脂粒子に被覆した帯電防止剤が水媒体中へ移動することにより、樹脂粒子が帯電防止剤で十分に被覆されていないためと考えられる。
また、特公昭59−35923号公報、特開昭58−176227号公報に従い、含浸工程後の発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡後の予備発泡粒子の表面層に帯電防止剤を被覆する方法についても追試を行った。
この場合、帯電防止性能を発揮させるための帯電防止剤の添加量が多くなる、予備発泡終了後の予備発泡粒子の流動性が悪化する、発泡成形時の金型内部への充填が不十分になる、等の問題点が確認された。
さらに、国際公報2004/090029号パンフレットに従い、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、特定の温度および圧力下に帯電防止剤を被覆する方法についても追試を行った。
この場合、前記追試で確認された問題点について改善が確認された。
しかしながら、任意の部分を平均すると、帯電防止性能は良好であったが、得られた発泡成形体に帯電防止性能のばらつきが確認された。また、電子部品の大型化に伴い、さらなる耐割れ性の向上が求められている。
従って、耐割れ性に優れ、帯電防止性能のばらつきの少ない発泡成形体を得ることができる発泡性樹脂粒子の提供が望まれている。
かくして本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂100重量部、ポリスチレン系樹脂120〜560重量部および発泡剤を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える発泡性複合樹脂粒子であって、
発泡性複合樹脂粒子が、発泡性複合樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子をその表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となる予備発泡粒子を形成し、かつ、カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%である、発泡性複合樹脂粒子であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂100重量部およびポリスチレン系樹脂120〜560重量部を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える予備発泡粒子であって、
予備発泡粒子の嵩倍数が10〜60倍であり、かつ、予備発泡粒子の表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となることを特徴とする予備発泡粒子が提供される。
さらに、本発明によれば、発泡性複合樹脂粒子の製造方法であって、
複合樹脂粒子100重量部に対して50重量部以上の発泡剤の存在下、かつ、分散媒の不存在下に、複合樹脂粒子に発泡剤を接触させて、複合樹脂粒子に発泡剤を含浸する工程と、発泡剤の含浸前および/または含浸時に、複合樹脂粒子の表面層をカチオン系帯電防止剤で被覆する工程を含むことを特徴とする発泡性複合樹脂粒子の製造方法が提供される。
本発明者等は、表面層に接している気泡と内部の気泡の平均気泡径が大きく異なり、カチオン系帯電防止剤が発泡性複合樹脂粒子の表面層に存在する発泡性複合樹脂粒子から、耐割れ性に優れ、ばらつきの少ない帯電防止性能を有する発泡成形体を得ることができることを見出した。
本発明の発泡性複合樹脂粒子は、発泡成形体の課題であった耐割れ性、帯電防止性能のばらつきを改善することができる。さらに、本発明の発泡成形体は、埃付着および集塵等による内容物の汚染や静電破壊を引き起こすことがないため、液晶等の電子部品の搬送容器として好適に使用できる。
発泡剤の含有量を変化させた場合の、含浸温度が恒温に達するのに必要な時間(以下、恒温時間とも称する)X分と発泡剤を含浸させる温度(以下、含浸温度とも称する)Y℃との関係を示す式をプロットしたグラフである。 予備発泡粒子の平均気泡径AおよびBの測定法を説明する図である。 実施例2で使用した発泡剤含浸装置の概略図である。 実施例2の予備発泡粒子の切断面の電子顕微鏡写真である。 実施例5の予備発泡粒子の切断面の電子顕微鏡写真である。 比較例2の予備発泡粒子の切断面の電子顕微鏡写真である。 比較例3の予備発泡粒子の切断面の電子顕微鏡写真である。 実施例と比較例の予備発泡粒子のポリスチレン系樹脂比率を測定するための検量線を示すグラフである。
本発明の発泡性複合樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂100重量部、ポリスチレン系樹脂120〜560重量部および発泡剤を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える発泡性複合樹脂粒子であって、
発泡性複合樹脂粒子が、発泡性複合樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子をその表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となる予備発泡粒子を形成し、かつ、カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%である、発泡性複合樹脂粒子であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子である。
平均気泡径の測定法は、実施例の欄で詳説する。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、公知の樹脂が使用できる。また、ポリオレフィン系樹脂は、架橋していてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。前記例示中、低密度は、0.91〜0.94g/cm3であることが好ましく、0.91〜0.93g/cm3であることがより好ましい。高密度は、0.95〜0.97g/cm3であることが好ましく、0.95〜0.96g/cm3であることがより好ましい。中密度は、これら低密度と高密度の中間の密度である。
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン、もしくはスチレンを主成分とし、スチレンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体である。主成分とは、スチレンが全モノマーの70重量%以上を占めることを意味する。他のモノマーとしては、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が例示される。例示中、アルキルとは、炭素数1〜8のアルキルを意味する。
ポリスチレン系樹脂は、発泡性複合樹脂粒子中に、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して120〜560重量部の範囲で含まれる。また、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対するポリスチレン系樹脂の、原料のスチレン系モノマーの配合量も、ポリスチレン系樹脂と同じ、120〜560重量部である。
ポリスチレン系樹脂の含有量が560重量部より多いと、発泡成形体の耐割れ性が低下することがある。一方、120重量部より少ないと、耐割れ性は大幅に向上するが、発泡性複合樹脂粒子の表面層からの発泡剤の逸散が速くなる傾向がある。そのため、発泡剤の保持性が低下することにより、発泡性複合樹脂粒子のビーズライフが短くなることがある。好ましいポリスチレン系樹脂の含有量は、140〜450重量部、より好ましい含有量は、150〜400重量部である。
発泡剤としては、公知の種々の揮発性発泡剤が使用できる。特に、ペンタンを用いることが好ましい。ペンタンとしては、ノルマルペンタン、イソペンタンの単独または混合物、工業用ペンタン、石油エーテルが挙げられる。また、シクロヘキサン、シクロペンタン、ヘキサン等を少量併用してもよい。発泡剤中、ペンタンの含量は、80重量%以上であることが好ましい。
さらに、発泡助剤を用いてもよい。発泡助剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、d−リモネン等の溶剤、ジイソブチルアジペート、グリセリン、ジアセチル化モノラウレート、やし油等の可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。なお、発泡助剤の添加量としては、複合樹脂粒子100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡性複合樹脂粒子に対して、7.5〜11.0重量%であり、
8.0〜10.5重量%であることが好ましい。発泡剤の含有量が7.5重量%より低いと、発泡性複合樹脂粒子の発泡性が低下することがある。発泡性が低下すると、嵩倍数の高い低嵩密度の予備発泡粒子が得られ難くなると共に、この予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体は、融着率が低下し、耐割れ性が低下することがある。一方、11.0重量%より高いと、嵩倍数が60倍より高い、低嵩密度の予備発泡粒子が得られる。しかし、予備発泡粒子中の気泡サイズが過大となり易く、成形性の低下や、得られる発泡成形体の圧縮、曲げ等の強度特性の低下が発生することがある。また、十分な帯電防止性能を得ることができない。
本発明では、カチオン系帯電防止剤を用いることができる。カチオン系帯電防止剤は、帯電防止性能を発泡性複合樹脂粒子に付与することができる限り特に限定されない。カチオン系帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等を挙げることができる。また、カチオン系帯電防止剤を単独でまたは2種以上を併用してもよい。カチオン系帯電防止剤としては、脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。この場合、炭素数5〜20の脂肪族炭化水素鎖を有する脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩がより好ましく、炭素数7〜14の脂肪族炭化水素鎖を有する脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩がさらにより好ましい。
また、アルキルベンゼンスルホン塩、アルキル酸塩等のアニオン系帯電防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、ポリアルキレングリコール誘導体等の非イオン系帯電防止剤、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等の両性帯電防止剤等の帯電防止剤を、発泡性複合樹脂粒子に帯電防止性能を付与することができる限り併用してもよい。
本発明の発泡性改質樹脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸重合してポリスチレン系樹脂を生成させることで得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂粒子は、公知の方法で得ることができる。例えば、まず、押出機を使用してポリオレフィン系樹脂を溶融押出した後、水中カット、ストランドカット等により造粒することで、ポリオレフィン系樹脂粒子を製造できる。通常、使用するポリオレフィン系樹脂の形状は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状またはグラニュラー状である。以下では、ポリオレフィン系樹脂粒子をマイクロペレットとも称する。
次に、マイクロペレットを重合容器内の水性媒体中に分散させ、スチレン系モノマーをマイクロペレットに含浸させながら重合させる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
スチレン系モノマーは、スチレンおよび置換スチレン(置換基には、低級アルキル、ハロゲン原子(特に塩素原子)等が含まれる)のいずれも使用できる。置換スチレンとしては、例えば、クロロスチレン類、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、α−メチルスチレン等が挙げられる。この内、スチレンが一般に好ましい。また、スチレン系モノマーは、スチレンと、置換スチレンとの混合物、スチレンと共重合可能な少量の他のモノマー(例えば、アクリロニトリル、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル部分の炭素数1〜8程度)、マレイン酸モノないしジアルキル(アルキル部分の炭素数1〜4程度)、ジビニルベンゼン、エチレングリコールのモノないしジアクリル酸ないしメタクリル酸エステル、無水マレイン酸、N−フェニルマレイド等)との混合物が使用できる。これら混合物中、スチレンが優位量(例えば、50重量%以上)を占めることが好ましい。
スチレン系モノマーの使用量が560重量部より多いと、ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸されずに、ポリスチレン系樹脂単独の粒子が発生することがある。加えて、発泡成形体の耐割れ性が低下するだけでなく、耐薬品性も低下することがある。一方、120重量部より少ないと、発泡性改質樹脂粒子の発泡剤を保持する能力が低下する場合がある。低下すると、高発泡化が困難となる。また、発泡成形体の剛性も低下することがある。
ポリオレフィン系樹脂粒子へのスチレン系モノマーの含浸は、重合させつつ行ってもよく、重合を開始する前に行ってもよい。この内、重合させつつ行うことが好ましい。なお、含浸させた後に重合を行う場合、ポリオレフィン系樹脂粒子の表面近傍でのスチレン系モノマーの重合が起こり易く、また、ポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸されなかったスチレン系モノマーが単独で重合して、多量の微粒子状のポリスチレン系樹脂粒子が生成する場合がある。
重合させつつ含浸を行う場合、前記含有量を算出する場合のポリオレフィン系樹脂粒子とは、ポリオレフィン系樹脂と含浸されたスチレン系モノマー、さらに含浸されて既に重合したポリスチレン系樹脂とから構成された粒子を意味する。
含有量を0〜35重量%に維持するために、スチレン系モノマーを重合容器内の水性媒体に連続的にあるいは断続的に添加できる。特に、スチレン系モノマーを水性媒体中に徐々に添加していくのが好ましい
スチレン系モノマーの重合には、油溶性のラジカル重合開始剤を使用できる。この重合開始剤としては、スチレン系モノマーの重合に汎用されている重合開始剤を使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。なお、これら油溶性のラジカル重合開始剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
重合開始剤を重合容器内の水性媒体に添加する方法としては、種々の方法が挙げられる。例えば、
(1)重合容器とは異なる容器内でスチレン系モノマーに重合開始剤を溶解して含有させ、このスチレン系モノマーを重合容器内に供給する方法、
(2)重合開始剤をスチレン系モノマーの一部、イソパラフィン等の溶剤または可塑剤に溶解させて溶液を作製する。この溶液と、所定量のスチレン系モノマーとを重合容器内に同時に供給する方法、
(3)重合開始剤を水性媒体に分散させた分散液を作製する。この分散液とスチレン系モノマーとを重合容器内に供給する方法
等が挙げられる。
前記重合開始剤の使用量は、通常スチレン系モノマーの使用総量の0.02〜2.00重量%添加することが好ましい。
重合容器の形状および構造としては、従来からスチレン系モノマーの懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。
また、攪拌翼の形状についても特に限定はなく、具体的には、V型パドル翼、ファードラー翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、プルマージン翼等のパドル翼、タービン翼、ファンタービン翼等のタービン翼、マリンプロペラ翼のようなプロペラ翼等が挙げられる。これら攪拌翼の内では、パドル翼が好ましい。攪拌翼は、単段翼であっても多段翼であってもよい。重合容器に邪魔板(バッフル)を設けてもよい。
また、スチレン系モノマーをマイクロペレット中にて重合させる際の水性媒体の温度は、特に限定されないが、使用するポリオレフィン系樹脂の融点の−30〜+20℃の範囲であることが好ましい。より具体的には、70〜140℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。さらに、水性媒体の温度は、スチレン系モノマーの重合開始から終了までの間、一定温度であってもよいし、段階的に上昇させてもよい。水性媒体の温度を上昇させる場合には、0.1〜2℃/分の昇温速度で上昇させることが好ましい。
さらに、架橋したポリオレフィン系樹脂からなる粒子を使用する場合、架橋は、スチレン系モノマーを含浸させる前に予め行っておいてもよいし、マイクロペレット中にスチレン系モノマーを含浸、重合させている間に行ってもよいし、マイクロペレット中にスチレン系モノマーを含浸、重合させた後に行ってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の架橋に用いられる架橋剤としては、例えば、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物が挙げられる。なお、架橋剤は、単独でも二種以上併用してもよい。また、架橋剤の使用量は、通常、ポリオレフィン系樹脂粒子(マイクロペレット)に対して0.05〜1.0重量%が好ましい。
架橋剤を添加する方法としては、例えば、架橋剤をポリオレフィン系樹脂に直接添加する方法、溶剤、可塑剤またはスチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法、架橋剤を水に分散させた上で添加する方法等が挙げられる。この内、スチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法が好ましい。
次に、複合樹脂粒子への発泡剤の含浸方法およびカチオン系帯電防止剤の被覆方法について説明する。
発泡剤の含浸は、複合樹脂粒子100重量部に対して50重量部以上の発泡剤の存在下、かつ、分散媒の不存在に、複合樹脂粒子に発泡剤を接触させることにより行う。
本発明では、発泡剤の含浸工程時に通常併用する水等の分散媒を用いないため、複合樹脂粒子に発泡剤の含浸を効果的に行うことができる。また、得られる発泡性複合樹脂粒子から水性媒体の乾燥工程等を要せず、製造コスト等の面からも有効である。
本発明の発泡性複合樹脂粒子を得るために、スチレン系モノマーの含浸および重合終了後に発泡剤を含浸させる。発泡剤の含浸は、複合樹脂粒子100重量部に対して50重量部以上の発泡剤存在下で行われる。これは複合樹脂粒子を過剰量の発泡剤に接触および/または浸漬することで、複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させることに対応している。含浸法の一例として、発泡剤と複合樹脂粒子とを混合する方法、複合樹脂粒子が保持された容器中に発泡剤を循環させる方法等が挙げられる。
ここで、複合樹脂粒子が保持された容器中で発泡剤を循環させる方法としては、発泡剤を貯留する発泡剤供給タンク、発泡剤供給タンクから出た発泡剤の温度を制御(昇温および恒温あるいは冷却)する加温設備、加温設備から出た発泡剤が投入され、かつ、発泡剤を複合樹脂粒子に含浸させる含浸タンク、発泡剤供給タンクからの発泡剤の含浸タンクへの投入を可能にし、かつ、含浸タンクから回収された発泡剤の発泡剤供給タンクへの投入を可能とする循環ポンプを備えた循環式の含浸装置を使用できる。
この方法では、含浸タンク内で複合樹脂粒子と発泡剤の接触機会および含浸タンク内の温度を均一にすることができ、含浸終了後に発泡剤を回収して再度利用できる等の点で有効である。
複合樹脂粒子表面層のカチオン系帯電防止剤による被覆は、発泡剤の含浸前および/または含浸時に行われる。
ここで、発泡性複合樹脂粒子の表面層に存在するカチオン系帯電防止剤の表面被覆量を、メタノール洗浄抽出量分析により測定することができる。
本発明では、カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%である、良好な帯電防止性能を有する発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。また、カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が発泡性複合樹脂粒子に対して1.0〜1.9重量%であることが特に好ましい。
表面被覆量が0.2重量%より低い場合、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体に所望の帯電防止性能を付与できないことがある。
また、表面被覆量が2.0重量%より高い場合、より大きな帯電防止効果が期待できるものの、発泡性複合樹脂粒子および予備発泡粒子がべとつき、粒子間の合着が目視等により確認され、取り扱いが困難となることがある。さらに、予備発泡粒子の成形金型への充填が困難であり、また得られる発泡成形体がべとつき、埃が付着し易くなる傾向がある。
発泡剤の含浸前の複合樹脂粒子をカチオン系帯電防止剤で被覆する場合、被覆方法は、公知の方法を利用できる。例えば、カチオン系帯電防止剤が存在する水溶液と複合樹脂粒子とを攪拌する方法、複合樹脂粒子にカチオン系帯電防止剤の水溶液を噴射する方法等が挙げられる。
ここで、前者の被覆方法は、Vブレンダーや攪拌羽根を有するミキサー(ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等)で複合樹脂粒子とカチオン系帯電防止剤の水溶液を攪拌、混合することにより行うことができる。
一方、後者の被覆方法は、例えば、複合樹脂粒子を輸送する配管内に、カチオン系帯電防止剤の水溶液の噴射ノズルを取り付け、空気等の気体により輸送される複合樹脂粒子に対し、カチオン系帯電防止剤の水溶液をノズルから噴射することにより行うことができる。カチオン系帯電防止剤の水溶液の噴射量と複合樹脂粒子の流量は、複合樹脂粒子を輸送する気体により、輸送が終わった時点で実用上問題がない程度まで乾燥し得る範囲の量であれば、別途乾燥工程を設ける必要がなく好ましい。
前記カチオン系帯電防止剤の水溶液の噴射工程を、複合樹脂粒子を製造する工程内に組み込むことで、一層効率的に帯電防止性能に良好な複合樹脂粒子を製造することができる。
発泡剤の含浸時に複合樹脂粒子をカチオン系帯電防止剤で被覆する場合、カチオン系帯電防止剤の被覆方法は特段限定されず、含浸工程系内にカチオン系帯電防止剤を単独で加えてもよく、発泡剤等と共に加えてもよい。
この場合、系内でのカチオン系帯電防止剤の不均一化防止の観点から、カチオン系帯電防止剤を少量の水等の溶媒に溶解させて系内に加えることが好ましい。また、溶媒量はカチオン系帯電防止剤を溶解させ得る必要最少量であることがより好ましい。溶媒を用いる場合、溶媒に対するカチオン系帯電防止剤の重量%は、30〜90重量%、好ましくは40〜70重量%である。溶媒量が少ないと、カチオン系帯電防止剤の均一化が十分に行い得ないことがあるためである。本発明では前記溶媒は、従来の帯電防止剤を含浸させる際に用いる分散媒とは異なってもよい。
さらに、複合樹脂粒子の代わりとして、含浸前にカチオン系帯電防止剤を被覆した複合樹脂粒子を用いてもよい。カチオン系帯電防止剤のより効果的な複合樹脂粒子への被覆が望めるためである。
また、恒温時間をX分、含浸温度をY℃、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の含有量をx重量%とすると、式Y=−[(1/4)x+2]LnX+4x+19が、7.5≦x≦11の範囲で成り立つ。Yは25〜50℃、Xは10〜2000分であることが好ましい。
発泡剤の含有量であるxが7.5、8.5、10および11の場合の含浸温度Yと恒温時間Xとの関係を示す式をプロットした結果を図1に示す。図1中の□は7.5、○は8.5、◇は10、△は11の場合の実際の測定値を意味している。図1から明らかなように、前記式と実際の測定値とは精度よく一致している。
発泡剤を所定温度で所定時間含浸後、発泡剤を除去し、再度、発泡性複合樹脂粒子を密閉容器に充填し、12時間以上、70℃以下の環境下で養生させてもよい。養生条件に関して、特に制限は無いが、12時間未満であると養生が十分でないことがあるためである。
また、70℃より高いと発泡性複合樹脂粒子が密閉容器内で結合することがあるためである。
次に、発泡性複合樹脂粒子から予備発泡粒子、さらに発泡成形体を得る方法について説明する。
発泡剤が含浸された発泡性複合樹脂粒子を、必要に応じて、水蒸気等の加熱媒体を用いて加熱して所定の嵩密度に予備発泡させることで、予備発泡粒子を得ることができる。
本発明の予備発泡粒子は、嵩倍数10〜60倍(嵩密度0.017〜0.100g/cm3)を有している。ここで、好ましい嵩倍数は15〜50倍(嵩密度0.020〜0.067g/cm3)である。嵩倍数が60倍より大きいと、得られる発泡成形体の帯電防止性能が低下することがある。一方、10倍より小さいと、得られる発泡成形体の重量が増加することがある。
本発明では、予備発泡粒子の表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径A(以下、平均気泡径Aとも称する)を予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径B(以下、平均気泡径Bとも称する)で除算した値A/B(以下、値A/Bとも称する)が2〜6となる。また、値A/Bは好ましくは2〜5である。
値A/Bが2より低い場合、前記予備発泡粒子から得られる発泡成形体は十分な耐割れ性を有さないことがある。一方、値A/Bが6より高い場合、前記予備発泡粒子から得られる発泡成形体は十分な発泡倍数を得られず、外観が美麗でないことがある。
さらに、予備発泡粒子を成形機の型内に充填し、加熱して二次発泡させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。前記成形機としては、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられるEPS成形機等を用いることができる。
本発明では、カチオン系帯電防止剤のばらつきが、発泡性複合樹脂粒子の表面層で少ないため、その結果として、帯電防止性能のばらつきが少ない、良好な発泡成形体を提供することができる。ここで、発泡成形体の帯電防止性能については、表面抵抗率およびその標準偏差により評価することができる。
本発明では、発泡成形体が1×1012Ω以下の表面抵抗率を有し、かつ、その標準偏差が1以下である、良好な帯電防止性能を有する発泡成形体を得ることができる。また、発泡成形体が1×1011Ω以下の表面抵抗率を有し、かつ、その標準偏差が0.8以下であることが好ましい。発泡成形体の表面抵抗率が1×1012Ωより高い場合、発泡成形体は、十分な帯電防止性能を有さないことがあるためである。一方、その標準偏差が1より高い場合、発泡成形体の帯電防止性能のばらつきが大きく、得られる発泡成形体の帯電防止性能が、任意の部分では十分な帯電防止性能を得ることができないことがあるためである。
また、本発明では、発泡性複合樹脂粒子は、ポリエチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を含むため、良好な耐割れ性を有する発泡成形体が得られる。
ここで、発泡成形体の耐割れ性については、落球衝撃強度により評価することができる。
本発明では、嵩倍数が30倍である場合、40cm以上の落球衝撃強度を有することで十分な耐割れ性を有する発泡成形体を得ることができる。発泡成形体の落球衝撃強度が40cmより低い場合、発泡成形体の耐割れ性は十分ではなく、発泡成形体は衝撃等により割れ易くなることがあるためである。
他方、嵩倍数が40倍である場合、30cm以上の落球衝撃強度を有することで十分な耐割れ性を有する発泡成形体を得ることができる。同様に発泡成形体の落球衝撃強度が30cmより低い場合、発泡成形体の耐割れ性は十分ではなく、発泡成形体は衝撃等により割れ易くなることがあるためである。
得られる発泡成形体は、家電製品等の緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の用途に用いることができる。ここで、本発明の発泡成形体の帯電防止性能にばらつきが少ないため、埃付着や集塵による内容物の汚染や静電破壊を起こさず、液晶等の電子部品の搬送容器にも好適に使用できる。
また、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の衝撃エネルギー吸収材として好適に用いることもできる。
以下実施例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
<予備発泡条件>
スチームで予熱した常圧予備発泡機(積水工機製作所社製SKK−70)に発泡性複合樹脂粒子を10〜15kg投入し、攪拌しながら約0.02MPaの設定でスチームを導入しつつ、空気も供給して、約2〜3分間で所定の嵩密度(嵩倍数)まで発泡させる。
<型内成形条件>
予備発泡粒子を成形機の金型内に充填し、次の条件でスチーム加熱および冷却した後に発泡成形体を金型から取り出す。
成形機:積水工機製作所社製ACE−3SP
金型寸法:300mm(幅)×400mm(長さ)×50mm(厚さ)
成形条件 金型加熱:5秒
一方加熱:10秒
逆一方加熱:5秒
両面加熱:20秒
水冷:40秒
真空冷却:最高面圧が0.01kgf/cm2以下になるまで
設定スチーム圧:0.6〜1.0kgf/cm2
<発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量>
メタノール洗浄抽出量分析について説明する。試料を100ml蓋付き三角フラスコ中に2.0g量り取り、試薬特級メタノールを約50ml入れ、1時間攪拌する。攪拌後、試料を含んだ溶液をNo.5A濾紙でそのまま濾過する。次いで少量のメタノールで濾紙上の試料を2回洗浄する。メタノールをエバポレータで濃縮し、恒量にした20mlビーカーに移してから蒸発乾固し、蒸発(70℃ホットプレート上)乾固物の重量を測定して、発泡性複合樹脂粒子に対する発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量として算出する(重量%)。また、その蒸発乾固物がカチオン系帯電防止剤であることを確認するために、KBr錠剤法によりFT−IR測定を行う。
<予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数>
約5gの予備発泡粒子の重量(a)を小数以下2位で秤量する。次に、最小メモリ単位が5cm3である500cm3メスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れ、これにメスシリンダーの口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に巾約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具をあてて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取り、式(a)/(b)により予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)を求め
る。なお、嵩倍数は、嵩密度の逆数、即ち、式(b)/(a)とする。
<発泡成形体の密度および倍数>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。なお、倍数は密度の逆数、すなわち式(b)/(a)とする。
<発泡成形体の落球衝撃強度>
JIS K 7211に準拠し、所定の倍数の発泡成形体から切り出した215mm(長さ)×40mm(幅)×20mm(厚さ)の試験片を支点間の間隔150mmの上に載置して、321gの剛球を落とし、落球衝撃強度、即ち、50%破壊高さを次の計算式により算出する。なお、試験片は、6面とも表皮はないものとする。
H50=Hi+d[Σ(i・ni)/N±0.5]
H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし、1つずつ増減する高さ水準
(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni:各水準において破壊した(または破壊しなかった)試験片の数
N:破壊した(または破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)(いずれか多いほうのデータを使用する。なお、同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負を、破壊しなかったデータを使用するときは正をとる。判定基準は、30倍の発泡成形体の場合、40cm以上を合格、40cm未満を不合格とし、40倍の発泡成形体の場合、30cm以上を合格、30cm未満を不合格とする。
<表面抵抗率測定方法>
JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により測定した。
即ち、試験装置((株)アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340およびレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500V1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出した。試料サンプルは、100×100×原厚み(10以下)mmとし、同一発泡成形体から10個のサンプルを切り出し、それぞれについて測定を行い、得られた測定値の平均値を用いた。平均された表面抵抗率が1×1012Ω以下であれば、その発泡成形体は帯電防止性を有すると判断した。
ρs=π(D+d)/(D-d)×Rs
ρs : 表面抵抗率(MΩ)
D : 表面の環状電極の内径(cm)
d : 表面電極の内円の外径(cm)
Rs: 表面抵抗(MΩ)
<表面抵抗率のバラツキ度の評価方法>
表面抵抗率のバラツキ度は次のように求めた。n=10で測定した表面抵抗率をそれぞ
れ対数(log10)で返し、その対数について標準偏差を求めた。標準偏差が1.0以下であれば非常にバラツキが少ないと判断した。
<予備発泡粒子の平均気泡径>
ASTM D2842−69の試験方法に準拠し以下のように測定する。まず、嵩倍数
10〜60倍、好ましくは嵩倍数15〜50倍に予備発泡させた予備発泡粒子を製造する。次に、任意に予備発泡粒子を10個採取し、それぞれ剃刀により表面から中心を通って2分割する。2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)で15〜30倍(場合により200倍)に拡大して撮影する。次に、撮影した画像をA4用紙上に1画像づつ印刷する。印刷された画像から、図2に示すように、表皮層の長さとこの表皮層に接している気泡数と、半径の1/2の点を通る曲線の長さとこの曲線上の気泡数を計測する(曲線に接している気泡も計測する)。
計測結果から下記式により気泡の平均弦長(t)を算出する。ただし、任意の直線は、できる限り気泡が接点でのみ接しないようにする(接してしまう場合は気泡数に含める)。
平均弦長t=線長/(気泡数×写真の倍率)
そして、気泡弦長tを用いて、次式により個々の粒子の気泡径を算出する。
気泡径D=t/0.616
さらに、それらの算術平均を平均気泡径とする。
平均気泡径(mm)=(気泡径n=1+気泡径n=2+…+気泡径n=10)/10
<発泡性複合樹脂粒子の発泡剤含有量>
発泡性複合樹脂粒子を5〜20mg精秤し、測定試料とする。この測定試料を180〜200℃に保持された熱分解炉(島津製作所社製:PYR−1A)にセットし、測定試料を密閉後、120秒間に亘って加熱して発泡剤成分を放出させる。この放出された発泡剤成分をガスクロマトグラフ(島津製作所社製:GC−14B、検出器:FID)を用いて下記条件にて発泡剤成分のチャートを得る。予め測定しておいた発泡剤成分の検量線に基づいて、得られたチャートから発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤含有量(重量%)を算出する。
ガスクロマトグラフの測定条件
カラム:信和化工社製「Shimalite 60/80 NAW」(φ3mm×3m)カラム温度:70℃
検出器温度:110℃
注入口温度:110℃
キャリアーガス:窒素
キャリアーガス流量:60ml/min
<予備発泡粒子のポリスチレン系樹脂比率>
吸光度比(A698/A2850)を下記の要領で測定し、予備発泡粒子あるいは発泡成形体のポリスチレン系樹脂比率を測定することを目的とする。
予備発泡粒子の場合、任意に10個採取し、それぞれ剃刀により表面から中心を通って2分割し、2分割した切片の断面をATR法赤外分光分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。
発泡成形体の場合、発泡成形体より任意に粒子を10個採取し、それぞれ剃刀により表面から中心を通って2分割し、2分割した切片の断面をATR法赤外分光分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。
ここで粒子中心部の測定では、各予備発泡粒子を2等分(例えば、粒子径5mmの予備発泡粒子を2.5±0.5mmに切断する)し、さらにその断面にATRプリズムを密着させて測定する。
各赤外吸収スペクトルから吸光度比(A698/A2850)をそれぞれ算出し、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を吸光度比(A698/A2850))とする。なお、吸光度は、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 MAGNA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
標準試料は、次の方法により得る。まず、組成割合(ポリスチレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂)が下記比率になるように測定しようとする複合樹脂粒子に含まれるものと同じ組成のポリスチレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を合計2g精秤する。
組成割合(PS/PE;質量比):0/10=PE系樹脂のみ、1/9、2/8、3/7、4/6、5/5、6/4、7/3、8/2、10/0=PS樹脂のみ
これを小型射出成形機にて下記条件に加熱混練して、直径が25mmでかつ高さが2mmの円柱状に成形することによって標準試料を得る。
なお、小型射出成形機としては、例えば、CSI社から商品名「CS−183」で販売されているものを用い、例えば、下記の条件で成形できる。
射出成形条件:加熱温度200〜250℃、混練時間10分
前記比率の標準試料の吸光度比を前記測定装置で測定し、ポリスチレン系樹脂比率(質量%)と吸光度比(A698/A2850)の関係をグラフ化することで、図8の検量線が得られる。
図8において、ポリスチレン系樹脂比率が30質量%以下の場合、検量線は下記の式(1)で近似される。
Y=21.112X (1)
また、図8において、ポリスチレン系樹脂比率が30質量%以上80質量%未満の場合、検量線は下記の式で近似される。
Y=28.415Ln(X)+20.072 (2)
さらに、図8において、ポリスチレン系樹脂比率が80質量%以上の場合、検量線は下記の式で近似される。
Y=12.577Ln(X)+53.32 (3)
なお、前記式において、Xは吸光度比(A698/A2850)を示し、Yはポリスチレン系樹脂比率を示す。
予備発泡粒子あるいは発泡成形体試料のポリスチレン系樹脂比率(質量%)が、図8の検量線を基に算出される。
実施例1
エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子(日本ユニカー社製、NUC−3450)を押出機にて加熱混合して水中カット方式により造粒ペレット化した(エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子は、100粒あたり40mgに調整した)。このエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子14kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れた。さらに、水性媒体として、純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315gおよびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.35gを加えた。得られた混合物を、攪拌することで水性媒体の懸濁液とし、10分間、常温(約25℃)に保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液に、ジクミルパーオキサイド7.2gを溶解させたスチレンモノマー6.0kgを30分間かけて滴下した。滴下後、30分間、60℃に保持し、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。吸収後130℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。
その後、90℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
15gを加えた。その後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド39.9g、t−ブチルパーオキシベンゾエート3.15gと架橋剤としてのジクミルパーオキサイド
102.2gとを溶解したスチレンモノマー5kgを2時間かけて滴下した。次いで、エチレンビスステアリン酸アミド35gを溶解したスチレンモノマー10kgを1時間45分間かけて滴下した。
滴下終了後、90℃で1時間30分間保持し、次いで、143℃に昇温し、その温度で2時間30分間保持して重合を完結させた。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
以上の工程により、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対してスチレン系モノマーを150重量部使用した複合樹脂粒子を得た。
この複合樹脂粒子2kg、イソペンタン2kgおよび脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液、第一工業製薬社製カチオーゲンESO:[N(CH3225R]+25OSO3 -(Rは(CH27CH3を含む))60gを耐圧攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、40℃に昇温し、その温度で45分間撹拌した。その後、室温まで冷却して、カチオン系帯電防止剤が発泡性複合樹脂粒子の表面層に存在する発泡性複合樹脂粒子を取り出した。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.49重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.61重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
次いで、取り出した発泡性複合樹脂粒子をすぐに1Lアルミ製密閉容器に約600g充填し、30℃オーブンに入れ、24時間保管した(養生工程)。
その後、養生した発泡性複合樹脂粒子を、嵩倍数30倍を狙って予備発泡させることで、嵩倍数30倍の予備発泡粒子を得た。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは640μmであり、平均気泡径Bは290μmであり、値A/Bは2.2であった。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm(長さ)×300mm(幅)×50mm(厚さ)の大きさの成形用金型内に入れた。この金型に、0.8kgf/cm2の水蒸気を40秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.1kgf/cm2に低下するまで冷却して、倍数30倍の発泡成形体を取り出した。
発泡成形体の落球衝撃強度は、46.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は5×1010Ωであり、その標準偏差は0.6であった。
実施例2
50L V型ブレンダーに実施例1で得られた複合樹脂粒子15kgおよび脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)900gを投入し、70℃に昇温し、その温度で60分間攪拌した。次いで混合液を室温まで冷却し、カチオン系帯電防止剤が複合樹脂粒子の表面層に存在する複合樹脂粒子を得た。
カチオン系帯電防止剤被覆工程以外は実施例1と同様に実施した。
この複合樹脂粒子15kgを容量32Lの図3の含浸タンクに充填した。ペンタン供給タンクより18℃、17kgのペンタン(イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン
3.4kg)を1m3/hrの循環ポンプを使用して含浸タンクに供給した。含浸タンク中のペンタンの液面は、複合樹脂粒子が十分浸漬し得る位置とした。含浸タンクの底部のスクリーンは、複合樹脂粒子の最小粒径0.7mmに対し、目開き0.3mmの網を使用した。加温設備の熱媒側の出口温度が51℃となるように熱媒温度を制御し、ペンタンの循環を実施した。含浸タンク内部の温度を50℃に維持し、そのまま3分間ペンタンの循環を継続した。
3分間経過後、加温設備への熱媒の供給・温度制御を停止し、代わって、加温設備に冷媒を供給し、循環しているペンタンを冷却した。約20分後、含浸タンクの温度は、20℃まで低下した。
その後、三方弁の切り替えを行い、循環しているペンタンをペンタン供給タンクに回収した。前記操作終了後、含浸タンクの内部から発泡性複合樹脂粒子を取り出し、発泡性複合樹脂粒子を16.5kg得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、10.02重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して1.21重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
次いで、取り出した発泡性複合樹脂粒子をすぐに1Lアルミ製密閉容器に約600g充填し、30℃オーブンに入れ、24時間保管した(養生工程)。
その後、養生した発泡性複合樹脂粒子を、嵩倍数30倍を狙って予備発泡させることで、嵩倍数30倍の予備発泡粒子を得た。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは1070μmであり、平均気泡径Bは230μmであり、値A/Bは4.7であった。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm(長さ)×300mm(幅)×50mm(厚さ)の大きさの成形用金型内に入れた。この金型に、0.8kgf/cm2の水蒸気を40秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.1kgf/cm2に低下するまで冷却して、倍数30倍の発泡成形体を取り出した。
発泡成形体の落球衝撃強度は、42.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は9×109Ωであり、その標準偏差は0.7であった。
実施例3
(1)カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)900gを150gに、
(2)含浸工程時の含浸条件、イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン3.4kgの50℃、3分間の循環をイソペンタン17kgの40℃、86分間の循環に変更したこと以外は、実施例2と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.82重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.21重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは850μmであり、平均気泡径Bは240μmであり、値A/Bは3.5であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、45.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は9×1010Ωであり、その標準偏差は0.8であった。
実施例4
実施例1で得られた複合樹脂粒子7.0kgおよび脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)560gをスーパーミキサー内に入れ、周速25m/sでスーパーミキサーの攪拌羽を回転させ、流動状態および系内温度を管理しつつ混合を行った。その後、系内温度が90℃に到達したのを確認した後、攪拌羽の回転を停止し、系外に複合樹脂粒子の表面層にカチオン系帯電防止剤を含む複合樹脂粒子を取り出した。
カチオン系帯電防止剤被覆工程以外は実施例1と同様に実施した。
次いで、含浸工程時の含浸条件、イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン3.4kgの50℃、3分間の循環をイソペンタン17kgの25℃、1080分間の循環に
変更したこと以外は、実施例2と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.45重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して1.81重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは480μmであり、平均気泡径Bは220μmであり、値A/Bは2.2であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、47.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は8×109Ωであり、その標準偏差は0.6であった。
実施例5
エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子(日本ユニカー社製、NUC−3450)を押出機にて加熱混合して水中カット方式により造粒ペレット化した(エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子は100粒あたり80mgに調整した)。このエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子10.5kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れた。さらに、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.6gを加えた。得られた混合物を、攪拌することで水性媒体の懸濁液とし、10分間常温(約25℃)に保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液に、ジクミルパーオキサイド5.4gを溶解させたスチレンモノマー4.5kgを30分間かけて滴下した。滴下後、30分間、60℃に保持し、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。吸収後130℃に昇温し、この温度で1時間45分間攪拌を続けた。
その後、90℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ11.4gを加えた。その後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド39.2g、t−ブチルパーオキシベンゾエート4.9gと架橋剤としてのジクミルパーオキサイド115.5gとを溶解したスチレンモノマー6.2kgを2時間かけて滴下した。次いで、エチレンビスステアリン酸アミド42gを溶解したスチレンモノマー13.8kgを2時間かけて滴下した。
滴下終了後、90℃で1時間保持し、次いで、143℃に昇温し、その温度で2時間保持して重合を完結させた。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
以上の工程により、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対してスチレン系モノマーを233重量部使用した複合樹脂粒子を得た。
次いで、
(1)カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)900gを600gに、
(2)含浸工程時の含浸条件、イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン3.4kgの50℃、3分間の循環をイソペンタン17kgの40℃、45分間の循環に、
(3)予備発泡工程時の嵩倍数30倍を40倍に
変更したこと以外は、実施例2と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.43重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.81重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは710μmであり、平均気泡径Bは320μmであり、値A/Bは2.2であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、33.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は7×1010Ωであり、その標準偏差は0.6であった。
実施例6
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子(日本ポリエチレン社製NF−464A)を押出機にて加熱混合して水中カット方式により造粒ペレット化した(樹脂粒子は100粒あたり80mgに調整した)。この直鎖状低密度ポリエチレン8kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れた。さらに、水性媒体としての純水40kg、ピロリン酸マグネシウム360g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.85gを加えた。得られた混合物を、攪拌することで水性媒体の懸濁液とし、10分間常温に保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド10gを溶解させたスチレンモノマー4kgを30分間かけて滴下した。滴下後30分間、60℃に保持し、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。吸収後135℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。
その後、115℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ15gを加えた。その後、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート112g、エチレンビスステアリン酸アミド40gを溶解したスチレンモノマー28kgを6時間かけて滴下した。
滴下終了後、115℃で1時間保持し、次いで、140℃に昇温し、その温度で3時間保持して重合を完結した。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
以上の工程により直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対してスチレン系モノマーを400重量部使用した複合樹脂粒子を得た。
次いで、
(1)カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩量(50重量%水溶液)900gを600gに、
(2)含浸工程時の含浸条件、イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン3.4kgの50℃、3分間の循環をイソペンタン17kgの35℃、90分間の循環に、
(3)予備発泡工程時の嵩倍数30倍を40倍に
変更したこと以外は、実施例2と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.71重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.82重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは1110μmであり、平均気泡径Bは410μmであり、値A/Bは2.7であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、48.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は8×1010Ωであり、その標準偏差は0.7であった。
実施例7
(1)カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液、第一工業製薬社製カチオーゲンESO:[N(CH3225R]+25OSO3 -(Rは(CH27CH3を含む))900gを脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液、第一工業製薬社製カチオーゲンESL:[N(CH3225R]+25OSO3 -(Rは(CH211CH3を含む))450gに、
(2)含浸工程時の含浸条件、イソペンタン13.6kg、ノルマルペンタン3.4kgの50℃、3分間の循環をイソペンタン17.0kgの40℃、45分間の循環に
変更したこと以外は、実施例2と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.23重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.65重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは650μmであり、平均気泡径Bは280μmであり、値A/Bは2.3であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、41.5cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は8×1010Ωであり、その標準偏差は0.8であった。
比較例1
カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩量(50重量%水溶液)60gを12gに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.55重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.12重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは680μmであり、平均気泡径Bは270μmであり、値A/Bは2.5であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、45.0cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は5×1012Ωであり、その標準偏差は0.6であった。
表面抵抗率の値が高く、目的とする良好な帯電防止性能を有する発泡成形体を得ることができなかった。
比較例2
耐圧で密閉可能なVブレンダーに実施例1で得られた複合樹脂粒子15.0kgおよびイソペンタン2.2kgを充填し、70℃で240分間含浸処理を行い、15℃まで冷却した。次いで、脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)450gを耐圧容器に入れ、窒素加圧条件下でV型ブレンダーに圧入した。その後、V型ブレンダー内の温度を15℃に、内圧を0.17MPaに調節し、30分間攪拌を行った。次いで、V型ブレンダーから発泡性複合樹脂粒子を取り出すことにより、発泡性複合樹脂粒子の表面層にカチオン系帯電防止剤を含む発泡性複合樹脂粒子を得た。
カチオン系帯電防止剤被覆工程以外は実施例1と同様に実施した。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.92重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.56重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
その後、養生した発泡性複合樹脂粒子を、嵩倍数30倍を狙って予備発泡させることで、嵩倍数30倍の予備発泡粒子を得た。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは650μmであり、平均気泡径Bは480μmであり、値A/Bは1.4であった。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm(長さ)×300mm(幅)×50mm(厚さ)の大きさの成形用金型内に入れた。この金型に、0.8kgf/cm2の水蒸気を40秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.1kgf/cm2に低下するまで冷却して、倍数30倍の発泡成形体を取り出した。
発泡成形体の落球衝撃強度は、37.0cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は5×1010Ωであり、その標準偏差は2.2であった。
発泡成形体の落球衝撃強度の値が低く、表面抵抗率の標準偏差の値が高いため、目的とする発泡成形体を得ることはできなかった。
比較例3
実施例1で得られた複合樹脂粒子7.0kgおよび脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩(50重量%水溶液)210gをスーパーミキサー内に入れ、周速25m/sでスーパーミキサーの攪拌羽を回転させ、流動状態および系内温度を管理しつつ混合を行った。その後、系内温度が90℃に到達したのを確認した後、攪拌羽の回転を停止し、系外に複合樹脂粒子の表面層にカチオン系帯電防止剤を含む複合樹脂粒子を取り出した。
カチオン系帯電防止剤被覆工程以外は実施例1と同様に実施した。
この複合樹脂粒子2kg、イソペンタン180gおよび水2Lを耐圧攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、70℃に昇温し、その温度で240分間撹拌した。その後、室温まで冷却して発泡性複合樹脂粒子を取り出した。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、7.90重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.10重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
その後、養生した発泡性複合樹脂粒子を、嵩倍数30倍を狙って予備発泡させることで、嵩倍数30倍の予備発泡粒子を得た。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは355μmであり、平均気泡径Bは275μmであり、値A/Bは1.3であった。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm(長さ)×300mm(幅)×50mm(厚さ)の大きさの成形用金型内に入れた。この金型に、0.8kgf/cm2の水蒸気を40秒間導入して加熱した。その後、発泡成形体の最高面圧が0.1kgf/cm2に低下するまで冷却して、倍数30倍の発泡成形体を取り出した。
発泡成形体の落球衝撃強度は、36.0cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は1×1013Ωであり、その標準偏差は2.8であった。
発泡成形体の落球衝撃強度の値が低く、表面抵抗率およびその標準偏差の値が高いため、目的とする発泡成形体を得ることはできなかった。
比較例4
脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩量(50重量%水溶液)450gを1500gに変更したこと以外は、実施例2のカチオン系帯電防止剤被覆方法と同様に実施することにより、カチオン系帯電防止剤を被覆した複合樹脂粒子を得た。
この複合樹脂粒子2kgおよびイソペンタン2kgを耐圧攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、25℃に昇温し、その温度で1080分間撹拌した。その後、室温まで冷却して発泡性複合樹脂粒子を取り出した。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して2.20重量%であった。
ここで、発泡性複合樹脂粒子同士の合着が確認されたため、以後の検討は中止した。
比較例5
実施例1で得られたエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子17.5kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.13gを加えた。得られた混合物を、攪拌することで水性媒体の懸濁液とし、10分間常温に保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液に、ジクミルパーオキサイド9gを溶解させたスチレンモノマー7.5kgを30分間かけて滴下した。滴下後30分間、60℃に保持し、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。吸収後130℃に昇温し、この温度で1時間30分間攪拌を続けた。
その後、86℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ15gを加えた。その後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド35g、t−ブチルパーオキシベンゾエート3.5gと架橋剤としてのジクミルパーオキサイド136.5gとを溶解したスチレンモノマー3.3kgを1時間10分間かけて滴下した。次いで、エチレンビスステアリン酸アミド105gを溶解したスチレンモノマー6.7kgを1時間30分間かけて滴下した。
滴下終了後、86℃で1時間30分間保持し、次いで、143℃に昇温し、その温度で2時間30分間保持して重合を完結した。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
以上の工程により、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対してスチレン系モノマーを100重量部使用した複合樹脂粒子を得た。
次いで、実施例1と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.25重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.58重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
次いで、嵩倍数30倍を狙って養生した発泡性複合樹脂粒子を予備発泡させたが、発泡性複合樹脂粒子は、嵩倍数20倍までしか発泡しなかった。
目的とする嵩倍数の予備発泡粒子を得ることができなかったため、以後の検討を中止した。
比較例6
実施例1で得られたエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子3.5kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.13gを加えた。得られた混合物を、攪拌することで水性媒体の懸濁液とし、10分間常温に保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液に、ジクミルパーオキサイド1.8gを溶解させたスチレンモノマー1.5kgを30分間かけて滴下した。滴下後30分間、60℃に保持し、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。吸収後130℃に昇温し、この温度で1時間30分間攪拌を続けた。
その後、90℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ15gを加えた。その後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド50.4g、t−ブチルパーオキシベンゾエート6.3gと架橋剤としてのジクミルパーオキサイド28gを溶解したスチレンモノマー10kgを3時間30分間かけて滴下した。次いで、エチレンビスステアリン酸アミド42gを溶解したスチレンモノマー20kgを3時間30分間かけて滴下した。
滴下終了後、90℃で1時間30分間保持し、次いで、143℃に昇温し、その温度で2時間30分間保持して重合を完結した。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
以上の工程により、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対してスチレン系モノマーを900重量部使用した複合樹脂粒子を得た。
次いで、実施例1と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.54重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.62重量%であった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは410μmであり、平均気泡径Bは190μmであり、値A/Bは2.2であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、13.0cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は2×1011Ωであり、その標準偏差は0.7であった。
発泡成形体の落球衝撃強度の値が低く、目的とする耐割れ性の良好な発泡成形体を得ることができなかった。
比較例7
カチオン系帯電防止剤被覆工程時の脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩量(50重量%水溶液)60gをポリオキシエチレンラウリルアミン(日本油脂社製エレガンS−100)60gに変更したことを除いて、実施例1と同様に実施することにより、発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。
発泡性複合樹脂粒子中の発泡剤量は、8.60重量%であった。
ポリオキシエチレンラウリルアミンはイソペンタンに溶解してしまったため、発泡性複合樹脂粒子の帯電防止剤の表面被覆量を定量することはできなかった。
発泡性複合樹脂粒子同士の合着については確認されなかった。
予備発泡粒子の、平均気泡径Aは700μmであり、平均気泡径Bは340μmであり、値A/Bは2.1であった。
発泡成形体の落球衝撃強度は、47.0cmであった。
発泡成形体の表面抵抗率は3×1014Ωであり、その標準偏差は2.7であった。
発泡成形体の表面抵抗率およびその標準偏差の値が高く、目的とする良好な帯電防止性能を有する発泡成形体を得ることができなかった。
実施例2および5ならびに比較例2および3の電子顕微鏡写真を図4〜7に示す。
表1に、実施例および比較例の原料種、含浸条件、養生条件等の検討条件を示す。
表2に、実施例および比較例で得られた発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子および発泡成形体の評価結果を示す。
表2より、実施例1〜7の発泡性複合樹脂粒子のカチオン系帯電防止剤の表面被覆量は、発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%の範囲内であることを示している。このため、実施例1〜7に記載の発泡性複合樹脂粒子から、ばらつきの少ない、十分な帯電防止性能を有する発泡成形体を得ることができる。
表2より、実施例1〜7の発泡性複合樹脂粒子の樹脂組成はポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂120〜560重量部の、予備発泡粒子の値A/Bが2〜6の範囲内であることを示している。
また、図4および5から、実施例2および5の予備発泡粒子は、表皮層に接している気泡の平均気泡径が半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径より大きくなっていることが分かる。一方、図6および7から、比較例2および3の予備発泡粒子は、表皮層に接している気泡の平均気泡径と半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径との間に大きな差異が存在しないことも分かる。
このため、実施例1〜7に記載の発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子から、十分な耐割れ性を有する発泡成形体を得ることができる。
従って、実施例1〜7で得られた発泡性複合樹脂粒子は、耐割れ性に優れ、帯電防止性能のばらつきの少ない発泡成形体の製造に好適に使用できる。
実施例8
実施例1〜7で得られた発泡成形体をガラス基板用搬送容器として使用した場合、発泡成形体は、前記表面抵抗率、標準偏差および耐割れ性を有していたため、埃付着および集塵等による内容物の汚染や静電破壊は認められなかった。また、ガラス基板に損傷を与えることなく容器を搬送することが可能であった。

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系樹脂100重量部、ポリスチレン系樹脂120〜560重量部および発泡剤を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える発泡性複合樹脂粒子であって、
    前記発泡性複合樹脂粒子が、前記発泡性複合樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子をその表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、前記予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを前記予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となる前記予備発泡粒子を形成し、かつ、前記カチオン系帯電防止剤の表面被覆量が前記発泡性複合樹脂粒子に対して0.2〜2.0重量%である、発泡性複合樹脂粒子であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  2. 前記発泡剤が、ペンタンであり、かつ、前記発泡性複合樹脂粒子に対して7.5〜11.0重量%の割合で含有される請求項1に記載の発泡性複合樹脂粒子。
  3. 前記発泡性複合樹脂粒子から得られる発泡成形体が、
    1×1012Ω以下の表面抵抗率を有し、かつ、その標準偏差が1以下である請求項1または2に記載の発泡性複合樹脂粒子。
  4. 前記カチオン系帯電防止剤が、脂肪族アルキル第4級アンモニウム塩である請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡性複合樹脂粒子。
  5. ポリオレフィン系樹脂100重量部およびポリスチレン系樹脂120〜560重量部を含み、かつ、カチオン系帯電防止剤を含む表面層を備える予備発泡粒子であって、
    前記予備発泡粒子の嵩倍数が10〜60倍であり、かつ、前記予備発泡粒子の表面から中心を通って2分割した切片の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した場合、前記予備発泡粒子の表皮層に接している気泡の平均気泡径Aを前記予備発泡粒子の半径の1/2の点を通る気泡の平均気泡径Bで除算した値A/Bが2〜6となることを特徴とする予備発泡粒子。
  6. 請求項5に記載の予備発泡粒子を型内成形した発泡成形体。
  7. 前記発泡成形体が、1×1012Ω以下の表面抵抗率を有し、かつ、1以下の表面抵抗率の標準偏差を有する請求項6に記載の発泡成形体。
  8. 前記発泡成形体が、電子部品の搬送容器である請求項6または7に記載の発泡成形体。
  9. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法であって、
    複合樹脂粒子100重量部に対して50重量部以上の発泡剤の存在下、かつ、分散媒の不存在下に、前記複合樹脂粒子に前記発泡剤を接触させて、前記複合樹脂粒子に前記発泡剤を含浸する工程と、前記発泡剤の含浸前および/または含浸時に、前記複合樹脂粒子の表面層をカチオン系帯電防止剤で被覆する工程を含むことを特徴とする発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  10. 前記発泡剤を含浸する工程が、前記複合樹脂粒子を保持した容器中で、前記発泡剤を循環させる工程であり、前記カチオン系帯電防止剤で被覆する工程が、前記発泡剤の含浸前に、前記カチオン系帯電防止剤が存在する水溶液と前記複合樹脂粒子とを攪拌することにより、前記複合樹脂粒子の表面層をカチオン系帯電防止剤で被覆する工程である請求項9に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
  11. 前記発泡剤が、ペンタンであり、前記発泡剤の含浸が、含浸温度が恒温に達するのに必要な時間をX分、前記発泡剤を含浸させる温度をY℃、前記発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の含有量をx重量%とすると、下記式:
    Y=−[(1/4)x+2]LnX+4x+19(xは7.5〜11の範囲)
    を満たす条件で行われる請求項9または10に記載の発泡性複合樹脂粒子の製造方法。
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