JP5642003B2 - ポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで用いられる好ましい熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂であり、その発泡形態は0.003〜0.020MPaという低圧発泡である。
しかしながら、その予備発泡工程には温度調節はなく、それによる発泡サイクルや発泡バラツキの影響については記載も示唆もされていない。
発泡機内でポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子を予備発泡させてポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子を得る予備発泡工程、
前記発泡機内からの前記ポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の排出工程、および
前記発泡機内への予備発泡原料としてのポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子の投入工程をこの順で含み、かつ前記投入工程、予備発泡工程および排出工程からなるサイクルを複数回繰り返すことからなり、
前記予備発泡工程が、100℃以上150℃以下の温度T1下で行われ、
前記排出工程および投入工程が、80℃以上100℃未満の温度T2下で行われる
ことを特徴とするポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法が提供される。
他方、従来の低圧力発泡は、発泡バラツキの低減を実現するが、発泡に長時間を要し、発泡サイクルが長くなる。
本発明のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法は、発泡サイクルの短縮と発泡バラツキの低減を実現すると共に、バッチ処理で連続して予備発泡粒子を製造する際の2サイクル目以降において発泡機の予備加熱のためのエネルギーを必要としないので、省エネや低コスト化を実現し得る。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法が投入工程、予備発泡工程および排出工程からなるサイクルを複数回繰り返すことからなり、かつそのサイクルの2回目以降が発泡機の予備加熱なしで行われることにより、上記の優れた効果がさらに発揮されると共に、予備加熱のためのエネルギーを必要とせず、省エネを実現し得る。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子が、ポリプロピレン系原料樹脂100質量部と、60〜250質量部のポリスチレン系原料樹脂とを含む複合樹脂に発泡剤を含浸させてなることにより、上記の優れた効果がさらに発揮されると共に、ポリプロピレンとポリスチレンの優れた特性を併せもつ予備発泡粒子を得ることができる。
具体的には、予備発泡時の温度T1が100℃以上150℃以下、好ましくは100℃以上120℃以下の範囲であり、発泡機への樹脂粒子の排出から投入までの温度T2が80℃以上100℃未満、好ましくは85℃以上95℃以下の範囲である。
さらに温度T1が温度T2より10℃以上、好ましくは15℃以上高い条件であるのが好ましい。
なお、本発明において、温度T1およびT2は、各工程における最高温度(最高到達温度)を意味する。
また、温度T2が80℃未満では、発泡サイクルが長くなることがある。一方、温度T2が100℃以上では発泡バラツキが生じることがある。
さらに、温度T1が温度T2より10℃を超えない場合には、発泡バラツキが生じることがある。
その際の好ましい発泡機内の圧力(水蒸気の導入圧力)は、0.02MPaより高く0.5MPa以下、より好ましくは0.03MPa以上0.2MPa以下の範囲である。
発泡機内の圧力が0.02MPa未満では、所定の倍数に発泡しないことがある。一方、発泡機内の圧力が0.5MPaを超えると、発泡粒子が合着やブロッキングすることがある。
ポリプロピレン系原料樹脂は、特に限定されず、公知の重合方法で得られた樹脂を使用できるが、例えば、ポリプロピレン樹脂以外にもプロピレン−エチレン共重合体が用いられる。このプロピレン−エチレン共重合体は、エチレンとプロピレンの共重合体を主成分とするものであるが、エチレンまたはプロピレンと共重合し得る他の単量体を分子内に含有するものであってもよい。そのような単量体としては、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体から選択された1種または2種以上のものが挙げられる。
また、この嵩密度を嵩発泡倍数で表すと、嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm3)であることから、この予備発泡粒子の嵩発泡倍数は20〜45(倍)になる。
なお、下記の形態は、ポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子が、ポリスチレン系原料樹脂を含む複合樹脂に発泡剤を含浸させてなる場合である。
(A)分散剤を含む水性懸濁中に、ポリプロピレン系原料樹脂粒子100質量部と、ポリスチレン系原料樹脂(スチレン系単量体)60〜250質量部未満と、重合開始剤とを分散させる工程
(B)得られた分散液をスチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱してスチレン系単量体をポリプロピレン系原料樹脂粒子に含浸させる工程
(C)ポリプロピレン系樹脂粒子中のポリプロピレン系樹脂の融点をT℃としたとき、(T−10)℃〜(T+20)℃の温度で、スチレン系単量体の重合を行って、ポリプロピレン系樹脂粒子を得る工程
(D)次いで、得られたポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子を得る工程
また、(A)工程において、ポリプロピレン系原料樹脂中のポリプロピレン系樹脂としては、融点が120℃〜145℃であるものが好適である。
この含浸温度が45℃未満では、スチレン系単量体の含浸が不十分となってポリスチレンの重合粉末が生成されることがある。一方、含浸温度が70℃を超えると、スチレン系単量体がポリプロピレン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合することがある。
このような温度範囲で重合を行うことにより、樹脂粒子中心部は、ポリスチレン系樹脂の存在量が多く(つまり、表層にポリプロピレン系樹脂の存在量が多い)、その結果として、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性および耐熱性に優れたポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
(D)工程の重合を行った後、反応槽を冷却し、形成されたポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と分離することで、ポリプロピレン系樹脂粒子が得られる。
(D)工程において、ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる発泡剤、好ましくは易揮発性発泡剤としては、沸点が重合体の軟化温度以下であり易揮発性を有するもの、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、炭酸ガス、窒素が挙げられ、これらの発泡剤は、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。易揮発性発泡剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対して5〜25質量部の範囲とすることが好ましい。
なお、実施例および比較例における嵩発泡倍数、発泡バラツキおよびトータルサイクルは、次の測定方法および評価基準により測定・評価した。
発泡粒子の嵩発泡倍数を、次のようにして求めた。
予め内容積を実測しておいたポリカップ(内径:約170mm×高さ:約270mm)を電子天秤に載せてゼロ点補正する。次いで、ポリカップに発泡粒子を手で充填してポリカップの開口部を丸棒で擦り切った後、ポリカップをバイブレータ(神鋼電機株式会社、現シンフォニアテクノロジー株式会社製、型式:バイブレートリパッカVP−4D形、振動数:3000VPM)の台に載せ20秒間振動させる。次いで、振動による発泡粒子の沈み込みによってできたポリカップ上部の空間に、さらに発泡粒子を充填してポリカップの開口部を丸棒で擦り切った後、ポリカップを電子天秤に載せて発泡粒子の重量を測定する。得られたポリカップの内容積の実測値A(L)および発泡粒子の重量B(g)とから、次式により嵩密度を算出し、さらに樹脂密度を嵩密度で除すことで、嵩発泡倍数を算出する。
嵩密度(g/L)=B/A
発泡粒子の発泡バラツキを、次のようにして求めた。
発泡機の発泡粒子排出ハッチが開となり始めた直後の発泡粒子Cと発泡機内の発泡粒子が2/3排出された時点の発泡粒子Dの嵩発泡倍数を測定し、次式によりCとDの差異を求める。
R=C−D(C>D)、D−C(D>C)
得られた結果から、下記基準に基づいて評価した。
○:良好(R≦4)
×:悪い(R>4)
予備発泡工程のトータルサイクルは、原料投入開始より発泡粒子が発泡機より排出完了し、発泡粒子排出ハッチが閉となるまでの所要時間であり、これを計時する。
ポリプロピレン樹脂粒子(プライムポリマー社製、製品名F−744NP)26.7kgと、ファーネスブラック45重量%含有マスターバッチ(大日精化工業社製、商品名「PP−RM10H381」)3.34kgとを混合し、この混合物を押出機(ジーエムエンジニアリング社製、型式:SE−115B)にて加熱混合して水中カット方式により造粒ペレット化した。このときカーボン含有ポリプロピレン樹脂粒子は100粒あたり80mg、平均粒子径約1mmに調整した。
次いで、得られた懸濁液中に、ジクミルパーオキサイド0.86kgを溶解させたスチレン単量体431kgを30分間掛けて滴下した。滴下終了後30分間保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。
次いで、第1の重合の反応液(懸濁液)の温度をポリプロピレン系樹脂粒子中のポリプロピレン系樹脂の融点より20℃低い120℃に降温して、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレン単量体1243kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させながら重合(第2の重合)を行った。滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し、3時間保持して重合を完結させて、ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
まず、発泡機の原料投入弁を開き、その予備発泡槽に原料粒子28.5kgを投入し(投入工程)、下限圧力0.03MPa〜上限圧力0.2MPaの条件で加圧蒸気加熱を実施した(予備発泡工程)。
加圧蒸気加熱において、予備発泡槽に設けられた、振動周波数を感知するレベルセンサーが2秒以上連続検知した段階で加圧蒸気加熱を終了し、発泡機の蒸気弁を閉じ、排気弁、ドレン弁および冷却弁を開いて、予備発泡槽内の発泡粒子の冷却を15秒間実施した。冷却完了後、排出扉を開き、予備発泡粒子を外部ホッパーに払い出し、予備発泡粒子を得た(排出工程)。
なお、上記の操作を連続して(間を置かず)5回実施し、5回目に測定を実施した。
この際の成り行きで決定された原料粒子を予備発泡槽内に投入する際の予備発泡槽の温度(缶内温度)は94℃であった。
発泡条件と得られた発泡粒子の評価結果を表1に示す。
得られた発泡成形体の表面状態とかさ密度は良好であった。
予備発泡槽の温度を強制的に75℃まで冷却した後に発泡させたこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子を得た。
発泡条件と得られた発泡粒子の評価結果を表1に示す。
予備発泡槽の温度を強制的に85℃まで冷却した後に樹脂投入量と缶内圧力を変更し発泡させたこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子を得た。
発泡条件と得られた発泡粒子の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
予備発泡槽の温度を強制的に85℃まで冷却した後に缶内圧力と缶内温度を下げて発泡させたものの所定倍数まで発泡できなかったため、加熱時間300秒にて強制的に発泡機より排出させた。
発泡条件と得られた発泡粒子の評価結果を表1に示す。
原料投入量を変更した場合(実施例2)にも、実施例1と同様の効果が得られることがわかる。
Claims (4)
- 発泡機内でポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子を予備発泡させてポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子を得る予備発泡工程、
前記発泡機内からの前記ポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の排出工程、および
前記発泡機内への予備発泡原料としてのポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子の投入工程をこの順で含み、かつ前記投入工程、予備発泡工程および排出工程からなるサイクルを複数回繰り返すことからなり、
前記予備発泡工程が、100℃以上150℃以下の温度T1下で行われ、
前記排出工程および投入工程が、80℃以上100℃未満の温度T2下で行われる
ことを特徴とするポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法。 - 前記予備発泡工程が、0.02MPaより高く0.5MPa以下の前記発泡機内のゲージ圧下で行われる請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法。
- 前記サイクルの2回目以降が前記発泡機の予備加熱なしで行われる請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法。
- 前記ポリプロピレン系樹脂を含む発泡性樹脂粒子が、ポリプロピレン系原料樹脂100質量部と、60〜250質量部のポリスチレン系原料樹脂とを含む複合樹脂に発泡剤を含浸させてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂を含む予備発泡樹脂粒子の製造方法。
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