JP5232397B2 - 改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents
改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDFInfo
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Description
特に、住宅用途の部材や、自動車の内装材については、出来る限り揮発分を減らすように技術開発が進められている。
また、特許文献1に開示された製造方法では、改質ポリスチレン系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を核としてシード重合されているが、最終的に得られる重合体中には揮発性物質が100ppm以上残存したり、重合開始剤の残渣が残存し、この残渣が臭気の元になったりするため、この重合体は、より揮発分が少ないことが求められる部材に用いることは難しかった。
また、樹脂に含まれる揮発分を除去する方法としては、超臨界炭酸ガスによる抽出方法が挙げられるが、通常、超臨界炭酸ガスにより揮発分を除去する場合、容器内に一定量の炭酸ガスを送り込む一方、一定量の炭酸ガスを容器から排出して、容器内の温度と圧力が一定に保たれる。しかしながら、この方法では、容器内の樹脂に含まれる揮発分を十分に除去することができない。この方法では、ビーズ状の樹脂が用いられるため、温度を上げると樹脂同士が融着してしまい、一方、温度を下げると揮発分を十分に除去することができない。
しかしながら、超臨界炭酸ガスを樹脂に溶解させると、改質ポリスチレン系樹脂のビカット軟化点が下がり、さらに温度を下げないと、容器内の圧力を開放した時に樹脂が発泡するといった問題があった。
本発明の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリスチレン系樹脂の含有量が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜400質量部であることが好ましい。
本発明の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてなるものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体の製造に適した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子は、前述した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体の製造に適した改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を提供することができる。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、前述した改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し発泡成形したものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
圧力容器内の温度を前記温度範囲とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
圧力容器内の温度が前記温度範囲より低くなると、改質ポリスチレン樹脂粒子から十分に揮発分を除去することができない。一方、圧力容器内の温度が前記温度範囲より高くなると、圧力容器内の圧力を開放する際、改質ポリスチレン樹脂粒子が発泡してしまい、その後、この改質ポリスチレン樹脂粒子を用いて予備発泡粒子を製造することはできない。
圧力容器内の圧力を10MPa〜30MPaとすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
圧力容器内の圧力が10MPaより低いと、改質ポリスチレン樹脂粒子から十分に揮発分を除去することができない。一方、圧力容器内の圧力が30MPaより高いと、圧力容器内の圧力を開放した時に改質ポリスチレン樹脂粒子が発泡するおそれがある。また、圧力容器などの設備が大きくなるため、製造コストが高くなる。
改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/3以下とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積が1/3より大きいと、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積が1/10より小さいと、一回に処理できる改質ポリスチレン系樹脂粒子の量が少なくなり、生産効率が上がらないので好ましくない。
前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間を1時間以上とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間が1時間より少ないと、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間が12時間より多いと、処理時間が長くなり、生産効率が低下する。
前記工程を2回以上行うことにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
前記工程が1回では、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。また、例え、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に長時間(12時間以上)保持し、この工程を1回行っても、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、前記工程が10回より多いと、処理時間が長くなり、生産効率が低下する。
(A)分散剤を含む水性懸濁中に、ポリオレフィン系樹脂粒子100質量部と、スチレン系モノマー100質量部以上400質量部未満と、重合開始剤とを分散させる工程、
(B)得られた分散液を前記スチレン系モノマーが実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系モノマーを前記ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させる工程、
(C)前記ポリオレフィン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)℃〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系モノマーの第1の重合を行う工程、
(D)前記第1の重合工程に続いて、スチレン系モノマーと、重合開始剤とを加え、かつ、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−25)℃〜(T+10)℃の温度とすることにより、前記ポリオレフィン系樹脂粒子への前記スチレン系モノマーの含浸および第2の重合を行う工程。
なお、この(A)〜(D)の各工程は、スチレン系モノマーを原料としてビーズ状のポリスチレン系樹脂粒子を製造するポリスチレン系樹脂の懸濁重合法またはシード重合法などの周知の重合方法を実施する際に用いられるオートクレーブ重合装置などを用いて実施できるが、使用する製造装置はこれに限定されない。
前記改質ポリスチレン系樹脂粒子において、着色剤は、無機系の顔料であっても、有機系の顔料であってもよい。
無機系の顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄などのクロム酸塩、紺青などのフェロシアン化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、鉄黒、紅殻などの酸化物、群青などのケイ酸塩、酸化チタンなどが挙げられる。
また、有機系の顔料としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの多環式顔料などが挙げられる。
このポリスチレン系の樹脂の比率が400質量部より多いと、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性および柔軟性が低下するため好ましくない。一方、配合量が100質量部より少ないと、予備発泡粒子の発泡性が低下し嵩発泡倍数が低下するため好ましくない。
また、前記(A)工程において、ポリオレフィン系樹脂としては、融点が120℃〜145℃であるものが好適である。
この含浸温度が前記範囲未満であると、スチレン系モノマーの含浸が不十分となってポリスチレンの重合粉末が生成されるので、好ましくない。一方、含浸温度が前記範囲を超えると、スチレン系モノマーがポリオレフィン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合してしまうので、好ましくない。
前記温度範囲で重合を行うことにより、樹脂粒子中心部は、ポリスチレン系樹脂の存在量が多く(つまり、表層にポリオレフィン系樹脂の存在量が多い)、その結果として、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性、耐熱性および黒度に優れたポリオレフィン系樹脂粒子を提供することができる。
重合温度が前記温度範囲より低くなると、得られる樹脂粒子中心部にポリスチレン系樹脂の存在量が少なく、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また、重合温度が前記温度範囲より高くなると、スチレン系モノマーがポリオレフィン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合が開始してしまうので、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また、耐熱性に優れた高価格の重合設備が必要になる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリドなどが挙げられる。展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイルなどが挙げられる。なお、前記表面処理剤の総添加量は、改質ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2.0質量部が好ましい。
この予備発泡の加熱条件や予備発泡に用いる装置は、従来のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造の場合と同等とすることができる。例えば、予備発泡装置内で、水蒸気圧0.5〜4.0kg/cm2G程度(約0.05〜0.4MPa)の雰囲気下、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を加熱することによって得ることができる。加熱時間は一般に20〜120秒程度である。
また、この嵩密度を嵩発泡倍数で表すと、嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm3)であることから、この予備発泡粒子は5〜60倍の嵩発泡倍数を有し、好ましい嵩発泡倍数は10〜50倍であり、より好ましい嵩発泡倍数は20〜40倍である。
<嵩密度の測定方法>
予備発泡粒子の嵩密度は下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子をメスシリンダ内に500cm3の目盛りまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。
そして、下記の式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
<嵩発泡倍数>
予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出する。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm3)
前述した予備発泡粒子を発泡成形体とするには、前述した予備発泡粒子を通常24時間程度保持して熟成させ、その後、予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。この型内発泡成形は、例えば、蒸気圧0.5〜4.5kg/cm2G程度(約0.05〜0.45MPa)の水蒸気を成形型内に導入することによって行うことができる。
該発泡成形体の密度が20kg/m3より小さいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、発泡成形体の密度が200kg/m3より大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。
<密度の測定方法>
発泡成形体の密度は下記の要領で測定する。
JIS K 7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定する。
50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出する。
密度(kg/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)×103
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
<発泡倍数の測定方法>
発泡成形体の発泡倍数は、次式により算出する。
発泡倍数(倍)=1000/密度(kg/m3)
また、本発明の発泡成形体は、JIS K 6767に準拠した90℃の条件下にて寸法変化測定における発泡成形体の収縮率が1.0%以下であることが望ましい。この収縮率が1.0%を超えると、寸法の安定性に欠け好ましくない。
なお、収縮率は小さい程望ましいので、その下限値を特に設ける必要はない。例えば、収縮率の下限値は0であることが望ましい。
20mLバイアルに、実施例または比較例で得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子0.2gを入れ、溶媒としてジエチルベンゼン(DEB)含有ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、試料を溶媒に溶解して試料溶液を調整した。
次に、この試料溶液を入れたバイアルを90℃で1時間加熱した後、この試料溶液の蒸気を採取し、この蒸気を、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−18A」)を用いて内部標準法により定量した。
測定条件を下記の要領とした。
カラムとしては、直径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μmのカラム(J&W社製、商品名「DB−WAX」)を用いた。検出器としては、水素炎イオン化型検出器(Flame Ionization Detector、FID)を用いた。
カラムの温度条件;50℃で2分間保持後、100℃まで10℃/minで昇温し、100℃で5分間保持後、220℃まで40℃/minで昇温し、220℃で2分間保持した。
カラムの注入口温度を150℃、検出器温度を250℃とした。
測定試料溶液注入量を2mLとした。
スプリット比を70:1、カラム流量を1.6mL/min(He)、ガス圧力を122kPaとした。
実施例または比較例で得られた発泡成形体を、55℃の恒温槽の中に1時間置いた後に取り出し、23℃で24時間放置した。
その後、発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み30mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、その試験片を直径160mm×深さ200mmの蓋付きのステンレス容器内に入れ、このステンレス容器ごと60℃の恒温槽の中に1時間置いた後に取り出し、23℃で30分間放置した。
次に、10000倍に希釈したイソ吉草酸(第一薬品産業社製)の臭い(臭気強度が0〜5段階のうちの3)を嗅ぎ、これを基準臭とした。
次に、ステンレス容器の蓋を少し開けて、容器内の臭いを嗅ぎ、基準臭より臭いが強い場合、臭気強度を4もしくは5とし、より臭いが強い場合、臭気強度5に近づけた。一方、基準臭より臭いが弱い場合、臭気強度を0、1もしくは2とし、より臭いが弱い場合、臭気強度0に近づけた。
この試験を5人が同様に行い、その5人の平均値を臭気強度とした。
改質ポリスチレン系樹脂粒子(樹脂粒子)の体積は下記の要領で測定した。
樹脂粒子の質量を測定し、樹脂の比重を1として、次式により算出した。
樹脂粒子の体積(cm3)=樹脂粒子の質量(g)×1
JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法により測定した。すなわち、改質ポリスチレン系樹脂粒子を熱プレスして、厚み2mmに潰した後、縦10mm×横20mm×厚み2mmの平面長方形状のフィルム状試験片を作製し、熱・応力・歪み測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、商品名「TMA/SS6200」)を用い、針入り試験モード(針の先端面積1mm2)、荷重50gとし、フィルム状試験片に針を当てて、昇温速度5℃/minで温度を上げていき、フィルム状試験片の歪みが発生した時の温度を、この樹脂粒子のビカット軟化温度とした。
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、商品名「F−744NP」、融点:140℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒ペレット化することにより、球状(卵状)のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
このときのポリプロピレン系樹脂粒子を、平均粒子径約1mmに調整した。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリプロピレン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水系懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させたスチレンモノマー400gを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂粒子の融点よりも5℃低い135℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂粒子の融点より20℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレンモノマー800gを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し3時間保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
また、このスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度を測定したところ、107℃であった。
このスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の揮発分を測定したところ、総揮発分は444ppmであった。
2000mL(2000cm3)圧力容器内に前記スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子200gを入れ、その後、圧力容器内の温度を50℃とし、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、圧力容器内の圧力を20MPaとし、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/10として、この状態で12時間保持した。その後、圧力容器内の圧力を開放し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(1回目)を終了した。
再び、上述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(2回目)を繰り返した。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を圧力容器から取り出し、揮発分および臭気を除去したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、発泡剤としてブタン300gを攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩発泡倍数30倍に予備発泡させ、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
また、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
なお、発泡成形には、発泡成形機(積水工機社製、商品名「ACE−3SP」)を使用した。
そして、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ユニカー社製、商品名「NUC−3221」、融点:107℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒ペレット化することにより、球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。
このときのEVA粒子を、平均粒子径約1mmに調整した。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリオレフィン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水系懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させたスチレンモノマー400gを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂粒子の融点よりも5℃低い135℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂粒子の融点より20℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレンモノマー800gを4時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し3時間保持して重合を完結し、改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、この改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度を測定したところ、85℃であった。
この改質ポリスチレン系樹脂粒子の揮発分を測定したところ、総揮発分は123ppmであった。
2000mL(2000cm3)圧力容器内に前記改質ポリスチレン系樹脂粒子200gを入れ、その後、圧力容器内の温度を50℃とし、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、圧力容器内の圧力を20MPaとし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/10として、この状態で12時間保持した。その後、圧力容器内の圧力を開放し、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(1回目)を終了した。
再び、上述した改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(2回目)を繰り返した。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を圧力容器から取り出し、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子2kgと水2Lを攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、発泡剤としてブタン300gを攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を嵩発泡倍数30倍に予備発泡させ、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
なお、発泡成形には、発泡成形機(積水工機社製、商品名「ACE−3SP」)を使用した。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の圧力を30MPaとした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、前記温度、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に保持する時間を2時間とし、この工程を10回繰り返した以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の温度を60℃とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子は微発泡あるいは樹脂同士が融着してしまい、発泡成形品を成形することができなかった。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/2とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の温度を10℃とし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の圧力を5MPaとし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とし、圧力容器内の温度、圧力容器内の圧力、および、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に保持する時間を0.5時間とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を1回行った以外は実施例5と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例5と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
比較例1〜6の製造条件、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体に対する前記各試験の測定結果および評価結果を表2に記す。
なお、表1、2において、「PP」はポリプロピレン系樹脂を示し、「PS」はポリスチレン系樹脂を示し、「EVA」はエチレン−酢酸ビニル共重合体を示す。
Claims (5)
- 圧力容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子を入れ、その後、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、前記圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、前記圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように前記圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/前記圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、前記圧力容器内の圧力を開放し、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うことを特徴とする発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- ポリスチレン系樹脂の含有量が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜400質量部であることを特徴とする請求項1記載の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に炭化水素系発泡剤が含浸されてなることを特徴とする発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項3に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とする改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 請求項4に記載の改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し発泡成形させてなり、総揮発分の濃度が30ppm以下、密度が20〜200kg/m3の範囲であることを特徴とする改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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