JP5232397B2 - 改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子、改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDF

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本発明は、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子から揮発性有機化合物および臭気を抽出除去する改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、この製造方法で得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、該粒子を予備発泡させて得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子、該発泡粒子を型内発泡成形して得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体に関する。
近年、環境問題や、揮発性有機化合物(VOC、以下「揮発分」とも言う。)によるアレルギーなどの問題から、密閉空間にて使用される部材に含まれる揮発分を所定量以下に下げる基準が設けられつつある。
特に、住宅用途の部材や、自動車の内装材については、出来る限り揮発分を減らすように技術開発が進められている。
従来、重合体を超臨界または臨界点近傍の状態の二酸化炭素と接触させて、重合体中に残留する揮発性物質を抽出除去した後、揮発性物質の除去に使用した二酸化炭素をそのまま発泡剤として重合体中に含有させ、その後、加圧液中に重合体を押出し、二酸化炭素含量を低下させないで冷却して発泡用重合体粒子を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3510303号公報
しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、揮発性物質の抽出効率を高めるために温度を高くして、樹脂を溶融させており、このような方法は押出成形に用いることができるものの、ビーズ状の樹脂を用いた場合、樹脂同士が融着してしまい、型内発泡成形することができなかった。
また、特許文献1に開示された製造方法では、改質ポリスチレン系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を核としてシード重合されているが、最終的に得られる重合体中には揮発性物質が100ppm以上残存したり、重合開始剤の残渣が残存し、この残渣が臭気の元になったりするため、この重合体は、より揮発分が少ないことが求められる部材に用いることは難しかった。
そこで、改質ポリスチレン系樹脂に含まれる揮発分を除去する方法としては、真空乾燥機内に改質ポリスチレン系樹脂を入れ、温度をかけて揮発分を除去する方法などが挙げられるが、この方法では揮発分をある程度まで除去できるものの、揮発分を十分に除去することができない。
また、樹脂に含まれる揮発分を除去する方法としては、超臨界炭酸ガスによる抽出方法が挙げられるが、通常、超臨界炭酸ガスにより揮発分を除去する場合、容器内に一定量の炭酸ガスを送り込む一方、一定量の炭酸ガスを容器から排出して、容器内の温度と圧力が一定に保たれる。しかしながら、この方法では、容器内の樹脂に含まれる揮発分を十分に除去することができない。この方法では、ビーズ状の樹脂が用いられるため、温度を上げると樹脂同士が融着してしまい、一方、温度を下げると揮発分を十分に除去することができない。
また、容器内に超臨界炭酸ガスを圧入して所定時間保持した後、容器内の圧力を開放することにより、樹脂同士が融着しないように、容器内の温度を樹脂のビカット軟化温度以下になるようにすれば、樹脂に含まれる揮発分を除去することができることが確認されている。
しかしながら、超臨界炭酸ガスを樹脂に溶解させると、改質ポリスチレン系樹脂のビカット軟化点が下がり、さらに温度を下げないと、容器内の圧力を開放した時に樹脂が発泡するといった問題があった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、改質ポリスチレン系樹脂に含まれる揮発分および臭気を十分に除去するとともに、発泡成形性などにも優れた改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、圧力容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子を入れ、その後、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、前記圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、前記圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように前記圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/前記圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、前記圧力容器内の圧力を開放し、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うことを特徴とする発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリスチレン系樹脂の含有量が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜400質量部であることが好ましい。
また、本発明は、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に炭化水素系発泡剤が含浸されてなる発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
また、本発明は、前記発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を提供する。
また、本発明は、前記改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し発泡成形させてなり、総揮発分の濃度が30ppm以下、密度が20〜200kg/mの範囲である改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、圧力容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子を入れ、その後、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、前記圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、前記圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように前記圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/前記圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、前記圧力容器内の圧力を開放し、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を、該改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融もしくは発泡させることなく、より効率的に除去することができる。従って、該改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡後、この予備発泡粒子を成形型内に充填して発泡成形して得られる改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体となる。ゆえに、本発明によれば、このように優れた物性を持った発泡成形体の製造に適した改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてなるものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体の製造に適した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子は、前述した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体の製造に適した改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を提供することができる。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、前述した改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し発泡成形したものなので、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
本発明の発明者等は、前記目的を実現するため鋭意研究を重ねた結果、圧力容器内に、改質ポリスチレン樹脂粒子を入れた後、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、圧力容器内の温度、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比、圧力容器内の圧力を所定時間一定に保持する工程を2回以上行うことにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融もしくは発泡させることなく、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気をより効率的に除去することができることを知見した。
さらに、このように製造した改質ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡剤を含浸させて得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形した場合に、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、圧力容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子を入れ、その後、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、前記圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、前記圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように前記圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/前記圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、前記圧力容器内の圧力を開放し、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うことを特徴とする。
圧力容器内にて、改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を接触させる温度は重要な要因であり、改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度範囲とする。
圧力容器内の温度を前記温度範囲とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
圧力容器内の温度が前記温度範囲より低くなると、改質ポリスチレン樹脂粒子から十分に揮発分を除去することができない。一方、圧力容器内の温度が前記温度範囲より高くなると、圧力容器内の圧力を開放する際、改質ポリスチレン樹脂粒子が発泡してしまい、その後、この改質ポリスチレン樹脂粒子を用いて予備発泡粒子を製造することはできない。
圧力容器内に二酸化炭素を圧入した際、圧力容器内の圧力は重要な要因であり、圧力容器内の圧力を10MPa以上とし、10MPa〜30MPaとすることが好ましく、より好ましくは15MPa〜25MPaである。
圧力容器内の圧力を10MPa〜30MPaとすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
圧力容器内の圧力が10MPaより低いと、改質ポリスチレン樹脂粒子から十分に揮発分を除去することができない。一方、圧力容器内の圧力が30MPaより高いと、圧力容器内の圧力を開放した時に改質ポリスチレン樹脂粒子が発泡するおそれがある。また、圧力容器などの設備が大きくなるため、製造コストが高くなる。
圧力容器内に二酸化炭素を圧入した際、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率は重要な要因であり、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/3以下とし、1/10〜1/4の範囲とすることが好ましい。
改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/3以下とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積が1/3より大きいと、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積が1/10より小さいと、一回に処理できる改質ポリスチレン系樹脂粒子の量が少なくなり、生産効率が上がらないので好ましくない。
圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に保持する時間は重要な要因であり、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間を1時間以上とし、1時間〜12時間とすることが好ましい。
前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間を1時間以上とすることにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間が1時間より少ないと、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率にて一定に保持する時間が12時間より多いと、処理時間が長くなり、生産効率が低下する。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を所定の範囲に保持することにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、圧力容器内の圧力を開放し、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行い、この工程を2回〜10回行うことが好ましい。
前記工程を2回以上行うことにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融あるいは発泡させることなく、効率的に改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去することができる。
前記工程が1回では、改質ポリスチレン系樹脂粒子に、十分に二酸化炭素が溶解しないので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。また、例え、前記温度範囲、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に長時間(12時間以上)保持し、この工程を1回行っても、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を十分に除去することができない。一方、前記工程が10回より多いと、処理時間が長くなり、生産効率が低下する。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子とは、次の(A)〜(D)の各工程を備えた製造方法により製造した樹脂粒子のことである。
(A)分散剤を含む水性懸濁中に、ポリオレフィン系樹脂粒子100質量部と、スチレン系モノマー100質量部以上400質量部未満と、重合開始剤とを分散させる工程、
(B)得られた分散液を前記スチレン系モノマーが実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系モノマーを前記ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させる工程、
(C)前記ポリオレフィン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)℃〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系モノマーの第1の重合を行う工程、
(D)前記第1の重合工程に続いて、スチレン系モノマーと、重合開始剤とを加え、かつ、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−25)℃〜(T+10)℃の温度とすることにより、前記ポリオレフィン系樹脂粒子への前記スチレン系モノマーの含浸および第2の重合を行う工程。
なお、この(A)〜(D)の各工程は、スチレン系モノマーを原料としてビーズ状のポリスチレン系樹脂粒子を製造するポリスチレン系樹脂の懸濁重合法またはシード重合法などの周知の重合方法を実施する際に用いられるオートクレーブ重合装置などを用いて実施できるが、使用する製造装置はこれに限定されない。
前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の樹脂材料の一つである、ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、公知の重合方法で得られた樹脂が使用できる。また、ポリオレフィン系樹脂は、構造中にベンゼン環を含まない樹脂を使用することが好ましい。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、架橋していてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂が挙げられる。この内、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。これらの低密度ポリエチレンは、0.91〜0.94g/cm3 の密度を有することが好ましく、0.91〜0.93g/cm3 の密度を有することがより好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤などの添加物が含まれていてもよい。
前記改質ポリスチレン系樹脂粒子において、着色剤は、無機系の顔料であっても、有機系の顔料であってもよい。
無機系の顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄などのクロム酸塩、紺青などのフェロシアン化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、鉄黒、紅殻などの酸化物、群青などのケイ酸塩、酸化チタンなどが挙げられる。
また、有機系の顔料としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの多環式顔料などが挙げられる。
前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の樹脂材料のもう一つの樹脂材料である、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどのスチレン系モノマーを重合させて得られる樹脂が挙げられる。さらに、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーと、該スチレン系モノマーと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、ジビニルベンゼンのような多官能性単量体や、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが例示される。これら他の単量体は、実質的にポリスチレン系樹脂に対して5質量%を超えない範囲で使用してもよい。なお、本明細書では、スチレンおよびスチレンと共重合可能な単量体もスチレン系モノマーと称している。
ポリスチレン系樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜400質量部であり、150〜250質量部が好ましい。
このポリスチレン系の樹脂の比率が400質量部より多いと、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性および柔軟性が低下するため好ましくない。一方、配合量が100質量部より少ないと、予備発泡粒子の発泡性が低下し嵩発泡倍数が低下するため好ましくない。
前記(A)工程において、ポリオレフィン系樹脂粒子は、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂を押出機で溶融し、ストランドカット、水中カット、ホットカットなどにより造粒ペレット化したり、また粉砕機にて直接樹脂粒子を粉砕しペレット化することにより得られる。また、その形状は、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状などが挙げられる。このポリオレフィン系樹脂粒子の好ましい樹脂粒径は、0.5mm〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは、0.6mm〜1.0mmの範囲がより好ましい。
また、前記(A)工程において、ポリオレフィン系樹脂としては、融点が120℃〜145℃であるものが好適である。
前記(A)工程で用いられる分散剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの有機系分散剤、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの無機系分散剤が挙げられる。この内、無機系分散剤が好ましい。無機系分散剤を用いる場合、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダなどが挙げられる。
また、重合開始剤としては、スチレン系モノマーの重合に汎用されている従来周知の重合開始剤を使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
また、架橋剤を添加する場合、その添加方法としては、例えば、溶剤、可塑剤またはスチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法、架橋剤を水に分散させた上で添加する方法などが挙げられる。この内、スチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法が好ましい。
スチレン系モノマーは、ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させるために、水性媒体に、連続的にあるいは断続的に添加できる。スチレン系モノマーは、水性媒体中に徐々に添加していくのが好ましい。水性媒体としては、水、水と水溶性媒体(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
前記(B)工程において、(A)工程で得られた分散液を、スチレン系モノマーが実質的に重合しない温度に加熱し、スチレン系モノマーをポリオレフィン系樹脂粒子に含浸させる際の温度は、45℃〜70℃の範囲、好ましくは50℃〜65℃の範囲とする。
この含浸温度が前記範囲未満であると、スチレン系モノマーの含浸が不十分となってポリスチレンの重合粉末が生成されるので、好ましくない。一方、含浸温度が前記範囲を超えると、スチレン系モノマーがポリオレフィン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合してしまうので、好ましくない。
前記(C)工程、および(D)工程において、重合温度は重要な要因であり、ポリオレフィン系樹脂の融点をT℃としたとき、(C)工程(第1の重合)では、(T−10)℃〜(T+20)℃の温度範囲とし、(D)工程(第2の重合)では、(T−25)℃〜(T+10)℃の温度範囲とする。
前記温度範囲で重合を行うことにより、樹脂粒子中心部は、ポリスチレン系樹脂の存在量が多く(つまり、表層にポリオレフィン系樹脂の存在量が多い)、その結果として、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性、耐熱性および黒度に優れたポリオレフィン系樹脂粒子を提供することができる。
重合温度が前記温度範囲より低くなると、得られる樹脂粒子中心部にポリスチレン系樹脂の存在量が少なく、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また、重合温度が前記温度範囲より高くなると、スチレン系モノマーがポリオレフィン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合が開始してしまうので、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また、耐熱性に優れた高価格の重合設備が必要になる。
前記(D)工程の重合を行った後、反応槽を冷却し、形成された改質ポリスチレン系樹脂粒子を水性媒体と分離することで、改質ポリスチレン系樹脂粒子が得られる。
本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、圧力容器内に、改質ポリスチレン樹脂粒子を入れ、その後、改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、圧力容器内の圧力を開放し、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うので、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を、改質ポリスチレン系樹脂粒子を溶融もしくは発泡させることなく、より効率的に除去することができる。得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡後、この予備発泡粒子を成形型内に充填して発泡成形して得られる改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体となる。
本発明は、前述した本発明の改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤、好ましくは易揮発性発泡剤を含浸させて得られる、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
改質ポリスチレン系樹脂粒子に含浸させる炭化水素系発泡剤としては、沸点が重合体の軟化温度以下であり易揮発性を有するもの、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタンなどが挙げられ、これらの発泡剤は、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。炭化水素系発泡剤の使用量は、改質ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して5〜25質量部の範囲とすることが好ましい。
さらに、発泡助剤を発泡剤と共に用いてもよい。このような発泡助剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、D−リモネンなどの溶剤、ジイソブチルアジペート、ジアセチル化モノラウレート、やし油などの可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。なお、発泡助剤の添加量としては、改質ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.1〜2.5質量部が好ましい。
また、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子には、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤などの表面処理剤を添加してもよい。
結合防止剤は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させる際の予備発泡粒子同士の合着を防止する役割を果たす。ここで、合着とは、予備発泡粒子の複数個が合一して一体化することをいう。具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
融着促進剤は、予備発泡粒子を二次発泡成形する際の予備発泡粒子同士の融着を促進させる役割を果たす。具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステルなどが挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリドなどが挙げられる。展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイルなどが挙げられる。なお、前記表面処理剤の総添加量は、改質ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2.0質量部が好ましい。
改質ポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法は、発泡剤の種類に応じて適宜変更可能である。例えば、改質ポリスチレン系樹脂粒子が分散している水性媒体中に発泡剤を圧入して、該樹脂中に発泡剤を含浸させる方法、改質ポリスチレン系樹脂粒子を回転混合機に供給し、この回転混合機内に発泡剤を圧入して該樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法などが挙げられる。なお、改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる温度は、通常、50℃〜140℃とすることが好ましい。
本発明の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した改質ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてなるものなので、発泡成形性、耐薬品性、柔軟性に優れた発泡成形体の製造に適した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明は、前述した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す。)を提供する。
この予備発泡の加熱条件や予備発泡に用いる装置は、従来のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造の場合と同等とすることができる。例えば、予備発泡装置内で、水蒸気圧0.5〜4.0kg/cmG程度(約0.05〜0.4MPa)の雰囲気下、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を加熱することによって得ることができる。加熱時間は一般に20〜120秒程度である。
この予備発泡粒子は、通常、嵩密度0.0166〜0.2g/cmを有する。好ましくい嵩密度は0.02〜0.1g/cmである。より好ましくは、嵩密度は0.025〜0.05g/cmである。嵩密度が0.0166g/cmより小さいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、嵩密度が0.2g/cmより大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。
また、この嵩密度を嵩発泡倍数で表すと、嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm)であることから、この予備発泡粒子は5〜60倍の嵩発泡倍数を有し、好ましい嵩発泡倍数は10〜50倍であり、より好ましい嵩発泡倍数は20〜40倍である。
<嵩密度の測定方法>
予備発泡粒子の嵩密度は下記の要領で測定する。
まず、予備発泡粒子をメスシリンダ内に500cmの目盛りまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cmの目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。
そして、下記の式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm)=W/500
<嵩発泡倍数>
予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出する。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm
予備発泡粒子の形態は、その後の型内発泡成形に影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状などが挙げられる。この内、成形型のキャビティ内への充填が容易である真球状、楕円球状が好ましい。
この予備発泡粒子は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、タルク、珪酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体などの発泡核剤、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素などの充填剤、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化合物などの難燃剤、ジイソブチルアジペート、流動パラフィン、グリセリンジアセトモノラウレート、やし油などの可塑剤、カーボンブラック、グラファイトなどの着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の予備発泡粒子は、前述した発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるものなので、発泡成形性、耐薬品性、柔軟性に優れた発泡成形体の製造に適した予備発泡粒子を提供することができる。
本発明は、前述した予備発泡粒子を型内発泡成形して得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す。)とその製造方法を提供する。
前述した予備発泡粒子を発泡成形体とするには、前述した予備発泡粒子を通常24時間程度保持して熟成させ、その後、予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。この型内発泡成形は、例えば、蒸気圧0.5〜4.5kg/cmG程度(約0.05〜0.45MPa)の水蒸気を成形型内に導入することによって行うことができる。
本発明の発泡成形体は、密度が20〜200kg/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは、密度が20〜100kg/mの範囲であり、特に好ましくは、密度が30〜50kg/mの範囲である。
該発泡成形体の密度が20kg/mより小さいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、発泡成形体の密度が200kg/mより大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。
<密度の測定方法>
発泡成形体の密度は下記の要領で測定する。
JIS K 7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定する。
50cm以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出する。
密度(kg/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm)×10
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
<発泡倍数の測定方法>
発泡成形体の発泡倍数は、次式により算出する。
発泡倍数(倍)=1000/密度(kg/m
また、本発明の発泡成形体は、総揮発分の濃度が30ppm以下であることが好ましい。該発泡成形体に残留する総揮発分の濃度が30ppmよりも大きいと、
また、本発明の発泡成形体は、JIS K 6767に準拠した90℃の条件下にて寸法変化測定における発泡成形体の収縮率が1.0%以下であることが望ましい。この収縮率が1.0%を超えると、寸法の安定性に欠け好ましくない。
なお、収縮率は小さい程望ましいので、その下限値を特に設ける必要はない。例えば、収縮率の下限値は0であることが望ましい。
本発明の発泡成形体は、前述した改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形したものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性、柔軟性に優れた発泡成形体を提供することができる。
前述のように得られた発泡成形体は、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材などの車輛用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品などの搬送容器などの各種用途に用いることができる。特に、車輛用緩衝材として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例における融点、嵩密度、加熱寸法変化率、耐薬品性、黒度、吸光度比、の測定法を下記する。
<総揮発分(TVOC)の測定方法>
20mLバイアルに、実施例または比較例で得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子0.2gを入れ、溶媒としてジエチルベンゼン(DEB)含有ジメチルホルムアミド(DMF)1mLを加え、試料を溶媒に溶解して試料溶液を調整した。
次に、この試料溶液を入れたバイアルを90℃で1時間加熱した後、この試料溶液の蒸気を採取し、この蒸気を、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC−18A」)を用いて内部標準法により定量した。
測定条件を下記の要領とした。
カラムとしては、直径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μmのカラム(J&W社製、商品名「DB−WAX」)を用いた。検出器としては、水素炎イオン化型検出器(Flame Ionization Detector、FID)を用いた。
カラムの温度条件;50℃で2分間保持後、100℃まで10℃/minで昇温し、100℃で5分間保持後、220℃まで40℃/minで昇温し、220℃で2分間保持した。
カラムの注入口温度を150℃、検出器温度を250℃とした。
測定試料溶液注入量を2mLとした。
スプリット比を70:1、カラム流量を1.6mL/min(He)、ガス圧力を122kPaとした。
<臭気強度の測定方法>
実施例または比較例で得られた発泡成形体を、55℃の恒温槽の中に1時間置いた後に取り出し、23℃で24時間放置した。
その後、発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み30mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、その試験片を直径160mm×深さ200mmの蓋付きのステンレス容器内に入れ、このステンレス容器ごと60℃の恒温槽の中に1時間置いた後に取り出し、23℃で30分間放置した。
次に、10000倍に希釈したイソ吉草酸(第一薬品産業社製)の臭い(臭気強度が0〜5段階のうちの3)を嗅ぎ、これを基準臭とした。
次に、ステンレス容器の蓋を少し開けて、容器内の臭いを嗅ぎ、基準臭より臭いが強い場合、臭気強度を4もしくは5とし、より臭いが強い場合、臭気強度5に近づけた。一方、基準臭より臭いが弱い場合、臭気強度を0、1もしくは2とし、より臭いが弱い場合、臭気強度0に近づけた。
この試験を5人が同様に行い、その5人の平均値を臭気強度とした。
<改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積の測定方法>
改質ポリスチレン系樹脂粒子(樹脂粒子)の体積は下記の要領で測定した。
樹脂粒子の質量を測定し、樹脂の比重を1として、次式により算出した。
樹脂粒子の体積(cm)=樹脂粒子の質量(g)×1
<ビカット軟化温度の測定方法>
JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法により測定した。すなわち、改質ポリスチレン系樹脂粒子を熱プレスして、厚み2mmに潰した後、縦10mm×横20mm×厚み2mmの平面長方形状のフィルム状試験片を作製し、熱・応力・歪み測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、商品名「TMA/SS6200」)を用い、針入り試験モード(針の先端面積1mm)、荷重50gとし、フィルム状試験片に針を当てて、昇温速度5℃/minで温度を上げていき、フィルム状試験片の歪みが発生した時の温度を、この樹脂粒子のビカット軟化温度とした。
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、商品名「F−744NP」、融点:140℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒ペレット化することにより、球状(卵状)のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
このときのポリプロピレン系樹脂粒子を、平均粒子径約1mmに調整した。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリプロピレン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水系懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させたスチレンモノマー400gを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂粒子の融点よりも5℃低い135℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂粒子の融点より20℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレンモノマー800gを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し3時間保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
また、このスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度を測定したところ、107℃であった。
このスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の揮発分を測定したところ、総揮発分は444ppmであった。
2000mL(2000cm)圧力容器内に前記スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子200gを入れ、その後、圧力容器内の温度を50℃とし、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、圧力容器内の圧力を20MPaとし、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/10として、この状態で12時間保持した。その後、圧力容器内の圧力を開放し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(1回目)を終了した。
再び、上述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(2回目)を繰り返した。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を圧力容器から取り出し、揮発分および臭気を除去したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、発泡剤としてブタン300gを攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩発泡倍数30倍に予備発泡させ、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
また、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
なお、発泡成形には、発泡成形機(積水工機社製、商品名「ACE−3SP」)を使用した。
そして、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[実施例2]
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(日本ユニカー社製、商品名「NUC−3221」、融点:107℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒ペレット化することにより、球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。
このときのEVA粒子を、平均粒子径約1mmに調整した。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリオレフィン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水系懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させたスチレンモノマー400gを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂粒子の融点よりも5℃低い135℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリオレフィン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂粒子の融点より20℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレンモノマー800gを4時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し3時間保持して重合を完結し、改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、この改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度を測定したところ、85℃であった。
この改質ポリスチレン系樹脂粒子の揮発分を測定したところ、総揮発分は123ppmであった。
2000mL(2000cm)圧力容器内に前記改質ポリスチレン系樹脂粒子200gを入れ、その後、圧力容器内の温度を50℃とし、圧力容器内に二酸化炭素を圧入し、圧力容器内の圧力を20MPaとし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/10として、この状態で12時間保持した。その後、圧力容器内の圧力を開放し、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(1回目)を終了した。
再び、上述した改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程(2回目)を繰り返した。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を圧力容器から取り出し、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子2kgと水2Lを攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、発泡剤としてブタン300gを攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を嵩発泡倍数30倍に予備発泡させ、改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を1日間室温に放置した後、400mm×300mm×30mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
なお、発泡成形には、発泡成形機(積水工機社製、商品名「ACE−3SP」)を使用した。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[実施例3]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の圧力を30MPaとした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[実施例4]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、前記温度、前記圧力容器内の圧力、および、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に保持する時間を2時間とし、この工程を10回繰り返した以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[実施例5]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[比較例1]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の温度を60℃とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子は微発泡あるいは樹脂同士が融着してしまい、発泡成形品を成形することができなかった。
[比較例2]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/2とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[比較例3]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の温度を10℃とし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[比較例4]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、圧力容器内の圧力を5MPaとし、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[比較例5]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積を1/4とし、圧力容器内の温度、圧力容器内の圧力、および、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を一定に保持する時間を0.5時間とした以外は実施例2と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例2と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
[比較例6]
改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を1回行った以外は実施例5と同様にして、揮発分および臭気を除去した改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
また、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を用い、実施例5と同様にして、発泡成形体を得た。
そして、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体を用いて、密度、総揮発分、臭気強度の測定方法を行った。
実施例1〜5の製造条件、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体に対する前記各試験の測定結果および評価結果を表1に記す。
比較例1〜6の製造条件、得られた改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体に対する前記各試験の測定結果および評価結果を表2に記す。
なお、表1、2において、「PP」はポリプロピレン系樹脂を示し、「PS」はポリスチレン系樹脂を示し、「EVA」はエチレン−酢酸ビニル共重合体を示す。
Figure 0005232397
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表1、2の結果から、本発明に係る実施例1〜5で製造した発泡成形体は、改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、圧力容器内の温度が(T−60)℃〜(T−30)℃の温度範囲ではない比較例1および3、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/圧力容器の容積が1/3以下ではない比較例2、圧力容器内の圧力が10MPa〜30MPaの範囲ではない比較例4、圧力容器内の温度範囲、圧力容器内の圧力、および、改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積と圧力容器の容積の比率を所定の範囲に保持する時間が1時間以上ではない比較例5、処理回数が1回の比較例6で製造した発泡成形体と比べ、総揮発分の濃度および臭気強度が低かった。従って、本発明によれば、発泡成形性に優れ、揮発分および臭気の残量が極めて少なく、住宅用途の部材や、自動車の内装材に適した発泡成形体を提供できることが実証された。

Claims (5)

  1. 圧力容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系モノマーを含浸させ重合して改質されてなる改質ポリスチレン系樹脂粒子を入れ、その後、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子のビカット軟化温度をT℃としたとき、前記圧力容器内の温度を(T−60)℃〜(T−30)℃の温度とし、前記圧力容器内の圧力が10MPa以上となるように前記圧力容器内に二酸化炭素を圧入して、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子の体積/前記圧力容器の容積を1/3以下とした状態で1時間以上保持することにより、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させた後、前記圧力容器内の圧力を開放し、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留する揮発分および臭気を抽出除去する工程を2回以上行うことを特徴とする発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. ポリスチレン系樹脂の含有量が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜400質量部であることを特徴とする請求項1記載の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の発泡粒子用改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子に炭化水素系発泡剤が含浸されてなることを特徴とする発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 請求項に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とする改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子。
  5. 請求項に記載の改質ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し発泡成形させてなり、総揮発分の濃度が30ppm以下、密度が20〜200kg/mの範囲であることを特徴とする改質ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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