JP2018141087A - 発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法 - Google Patents

発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法 Download PDF

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【課題】環境負荷の高い炭化水素系の発泡剤の使用量を低減し得る発泡粒子の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む樹脂粒子100質量部に炭化水素系発泡剤を5〜9質量部含浸させて1次発泡性粒子を得る工程と、前記1次発泡性粒子を発泡させて1次発泡粒子を得る工程と、前記1次発泡粒子に発泡剤として無機ガスを0.1〜1.0MPa導入し2次発泡性粒子を得る工程と、前記2次発泡性粒子を発泡させて前記発泡粒子を得る工程とを含み、前記発泡粒子が、前記1次発泡粒子の嵩発泡倍数の2.5〜10倍の嵩発泡倍数を有することを特徴とする発泡粒子の製造方法により上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、環境負荷の高い炭化水素系の発泡剤の使用量を低減し得る発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法に関する。
ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、剛性、断熱性、軽量性、耐水性及び発泡成形性に優れていることが知られている。そのため、この発泡成形体は、緩衝材や建材用断熱材として広く用いられている。しかし、ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性が劣るという課題があった。
一方、ポリオレフィン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に優れていることが知られている。そのため、この発泡成形体は、自動車関連部品に使用されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は、発泡剤の保持性が劣ることから、発泡成形条件を精密に制御する必要がある。そのため製造コストが高くつくという課題があった。加えて、この発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体に比べて、剛性が劣るという課題もあった。
上記ポリスチレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる発泡成形体の課題を解決するために、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂粒子から得られた発泡成形体が種々報告されている(特開2015−189911号公報:特許文献1)。この発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂の優れた剛性及び発泡成形性と、ポリオレフィン系樹脂の優れた耐薬品性及び耐衝撃性とを兼ね備えている。
特開2015−189911号公報
上記公報に記載された発泡粒子の製造方法は、炭化水素系の発泡剤を使用しているため環境負荷が高く、その使用量を低減することが望まれている。
かくして本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む樹脂粒子100質量部に炭化水素系発泡剤を5〜9質量部含浸させて1次発泡性粒子を得る工程と、
前記1次発泡性粒子を発泡させて1次発泡粒子を得る工程と、
前記1次発泡粒子に発泡剤として無機ガスを0.1〜1.0MPa導入し2次発泡性粒子を得る工程と、
前記2次発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得る工程とを含み、
前記発泡粒子が、前記1次発泡粒子の嵩発泡倍数の2.5〜10倍の嵩発泡倍数を有することを特徴とする発泡粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡粒子の製造方法により得られる発泡粒子を型内発泡させて発泡成形体を得る工程を含む発泡成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、環境負荷の高い炭化水素系の発泡剤の使用量を低減し得る発泡粒子の製造方法を提供できる。また、この発泡粒子を用いた発泡成形体の製造方法を提供できる。
実施例4の1次発泡粒子の断面のSEM写真である。 実施例5の1次発泡粒子の断面のSEM写真である。 比較例1の1次発泡粒子の断面のSEM写真である。
(発泡粒子の製造方法)
本発明の方法により製造される発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを基材樹脂として含んでいる。
(i)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂が使用できる。また、ポリオレフィン系樹脂は、架橋していてもよい。例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。上記例示中、低密度は、0.91〜0.94g/cmであることが好ましく、0.91〜0.93g/cmであることがより好ましい。高密度は、0.95〜0.97g/cmであることが好ましく、0.95〜0.96g/cmであることがより好ましい。中密度はこれら低密度と高密度の中間の密度である。
ポリオレフィン系樹脂は、95〜150℃の融点を有していることが好ましい。融点が95℃未満の場合、耐熱性の低下を招くことがある。150℃より高い場合、発泡が不均一になり、均一な発泡粒子が得られ難いことがある。より好ましい融点は100〜145℃であり、更に好ましい融点は105〜145℃である。
ポリオレフィン系樹脂は、0.3〜15g/10分のMFRを有していることが好ましい。MFRが0.3g/10分未満の場合、発泡時に発泡バラツキが発生することがある。15g/10分より高い場合、耐熱性の低下や発泡成形体に収縮が発生したりすることがある。より好ましいMFRは0.5〜10g/10分であり、更に好ましくは0.5〜5g/10分である。
(ii)ポリスチレン系樹脂
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、置換スチレンの重合体(置換基には、低級アルキル、ハロゲン原子(特に塩素原子)等が含まれる)、スチレンを主成分とし、スチレンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。主成分とはスチレンが全モノマーの70質量%以上を占めることを意味する。置換スチレンとしては、例えば、クロルスチレン類、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、α−メチルスチレン等が挙げられる。他のモノマーとしては、置換スチレンに加えて、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、マレイン酸モノ又はジアルキル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、無水マレイン酸、N−フェニルマレイド等が例示される。例示中、アルキルとは、炭素数1〜8のアルキルを意味する。
(iii)ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の含有割合
基材樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100質量部と、ポリスチレン系樹脂100〜500質量部とを含むことが好ましい。ポリスチレン系樹脂の含有量が500質量部より多いと、発泡成形体の耐割れ性が低下することがある。一方、100質量部より少ないと、耐割れ性は大幅に向上するが、剛性が低下することがある。好ましいポリスチレン系樹脂の含有量は100〜400質量部である。
(iv)その他樹脂
基材樹脂には、ポリオレフィン系樹脂粒子及びポリスチレン系樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル系モノマー由来のアクリル系樹脂が挙げられる。
(v)その他の添加剤
発泡粒子は、着色剤、核剤、安定剤、充填材(補強材)、高級脂肪酸金属塩、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、天然又は合成油、ワックス、紫外線吸収剤、耐候安定剤、防曇剤、坑ブロッキング剤、スリップ剤、被覆剤、中性子遮蔽剤等の添加剤が含まれていてもよい。
(vi)製造方法
発泡粒子は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させることにより得られる。
(1)樹脂粒子
発泡粒子形成用の樹脂粒子には、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを単純に混合した基材樹脂を含む樹脂粒子を使用できるが、以下で説明するポリオレフィン改質スチレン系樹脂粒子が好ましい。より好ましい樹脂粒子は、ポリエチレン改質スチレン系樹脂粒子である。
ポリオレフィン改質スチレン系樹脂粒子(改質樹脂粒子ともいう)は、ポリオレフィン系樹脂粒子が分散保持された水性媒体中にスチレン系モノマーを加えて重合させることで得られる。改質樹脂粒子の製造方法を以下で説明する。
改質樹脂粒子製造用のポリオレフィン系樹脂粒子は、公知の方法で得ることができる。例えば、押出機を使用してポリオレフィン系樹脂を溶融押出した後、水中カット、ストランドカット等により造粒することで、ポリオレフィン系樹脂粒子を作製できる。ポリオレフィン系樹脂粒子は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状、グラニュラー状等の形状をとり得る。以下では、ポリオレフィン系樹脂粒子をマイクロペレットとも記す。
ポリオレフィン系樹脂粒子には、ラジカル捕捉剤が含まれていてもよい。ラジカル捕捉剤は、予めポリオレフィン系樹脂に添加しておくか、もしくは溶融押出と同時に添加してもよい。ラジカル捕捉剤としては、重合禁止剤(重合抑制剤を含む)、連鎖移動剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカルを捕捉する作用を有する化合物で、水に溶解し難いものが好ましい。
重合禁止剤としては、t−ブチルハイドロキノン、パラメトキシフェノール、2,4−ジニトロフェノール、t−ブチルカテコール、sec−プロピルカテコール、N−メチル−N−ニトロソアニリン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニルフォスファイト)、トリエチルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)フォスファイト、ジラウリルハイドロゲンフォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト等のフェノール系重合禁止剤、ニトロソ系重合禁止剤、芳香族アミン系重合禁止剤、亜リン酸エステル系重合禁止剤、チオエーテル系重合禁止剤等が例示される。
また、連鎖移動剤としては、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート等が例示される。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1、1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト、ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、フェニル−1−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が例示できる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート等が例示できる。
ラジカル捕捉剤の使用量としては、ポリオレフィン系樹脂粒子100質量部に対して0.005〜0.5質量部であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂粒子は、他に、タルク、珪酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体等の発泡核剤、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤等を含んでいてもよい。
次に、マイクロペレットを重合容器内の水性媒体中に分散させ、スチレン系モノマーをマイクロペレットに含浸させながら重合させる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
スチレン系モノマーには、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、フタル酸ジオクチル、テトラクロルエチレン等の溶剤(可塑剤)を添加してもよい。
スチレン系モノマーの使用量は、ポリオレフィン系樹脂粒子100質量部に対して100〜500質量部である。より好ましくは150〜360質量部である。この使用量は、発泡成形体を構成するポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂の含有量に実質的に対応している。
スチレン系モノマーの使用量が500質量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂粒子に含浸されずに、ポリスチレン系樹脂単独の粒子が発生することがある。加えて、発泡成形体の耐割れ性が低下するだけでなく、耐薬品性も低下することがある。一方、100質量部未満であると、発泡性粒子の発泡剤を保持する能力が低下する場合がある。低下すると、高発泡化が困難となる。また、発泡成形体の剛性も低下することがある。
ポリオレフィン系樹脂粒子へのスチレン系モノマーの含浸は、重合させつつ行ってもよく、重合を開始する前に行ってもよい。この内、重合させつつ行うことが好ましい。なお、含浸させた後に重合を行う場合、ポリオレフィン系樹脂粒子の表面近傍でのスチレン系モノマーの重合が起こり易く、また、ポリオレフィン系樹脂粒子中に含浸されなかったスチレン系モノマーが単独で重合して、多量の微粒子状のポリスチレン系樹脂粒子が生成する場合がある。
重合させつつ含浸を行う場合、上記含有量を算出する場合のポリオレフィン系樹脂粒子とは、ポリオレフィン系樹脂と含浸されたスチレン系モノマー、更に含浸されて既に重合したポリスチレン系樹脂とから構成された粒子を意味する。
スチレン系モノマーは重合容器内の水性媒体に連続的にあるいは断続的に添加できる。特に、スチレン系モノマーを水性媒体中に徐々に添加していくことが好ましい。
スチレン系モノマーの重合には、油溶性のラジカル重合開始剤を使用できる。この重合開始剤としては、スチレン系モノマーの重合に汎用されている重合開始剤を使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。なお、これら油溶性のラジカル重合開始剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
重合開始剤を重合容器内の水性媒体に添加する方法としては、種々の方法が挙げられる。例えば、
(a)重合容器とは別の容器内でスチレン系モノマーに重合開始剤を溶解して含有させ、このスチレン系モノマーを重合容器内に供給する方法、
(b)重合開始剤をスチレン系モノマーの一部、イソパラフィン等の溶剤又は可塑剤に溶解させて溶液を作製する。この溶液と、所定量のスチレン系モノマーとを重合容器内に同時に供給する方法、
(c)重合開始剤を水性媒体に分散させた分散液を作製する。この分散液とスチレン系モノマーとを重合容器内に供給する方法
等が挙げられる。
上記重合開始剤の使用割合は、通常スチレン系モノマーの使用総量の0.02〜2.0質量%添加することが好ましい。
水性媒体中には、水溶性のラジカル重合禁止剤を溶解させておくことが好ましい。水溶性のラジカル重合禁止剤はポリオレフィン系樹脂粒子表面におけるスチレン系モノマーの重合を抑制するだけでなく、水性媒体中に浮遊するスチレン系モノマーが単独で重合するのを防止して、ポリスチレン系樹脂の微粒子の生成を減らすことができる。
水溶性のラジカル重合禁止剤としては、水100gに対して1g以上溶解する重合禁止剤が使用でき、例えば、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸亜鉛、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アルミニウム等のチオシアン酸塩、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸銀、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム等の亜硝酸塩、メルカプトエタノール、モノチオプロピレングリコール、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオヒドロアクリル酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオエタノールアミン、1,2−ジチオグリセロール、1,3−ジチオグリセロール等の水溶性イオウ含有有機化合物、更にアスコルビン酸、アスコルビン酸ソーダ等を挙げることができる。これらの中でも特に亜硝酸塩が好ましい。
上記水溶性のラジカル重合禁止剤の使用量としては、水性媒体中の水100質量部に対して0.001〜0.04質量部が好ましい。
なお、上記水性媒体中に分散剤を添加しておくことが好ましい。このような分散剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の有機系分散剤、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の無機系分散剤が挙げられる。この内、無機系分散剤が好ましい。
無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。
重合容器の形状及び構造としては、従来からスチレン系モノマーの懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。
また、攪拌翼の形状についても特に限定はなく、具体的には、V型パドル翼、ファードラー翼、傾斜パドル翼、平パドル翼、プルマージン翼等のパドル翼、タービン翼、ファンタービン翼等のタービン翼、マリンプロペラ翼のようなプロペラ翼等が挙げられる。これら攪拌翼の内では、パドル翼が好ましい。攪拌翼は、単段翼であっても多段翼であってもよい。重合容器に邪魔板(バッフル)を設けてもよい。
また、スチレン系モノマーをマイクロペレット中にて重合させる際の水性媒体の温度は、特に限定されないが、使用するポリオレフィン系樹脂の融点(DSC法により測定)の−30〜+20℃の範囲であることが好ましい。より具体的には、70〜140℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。更に、水性媒体の温度は、スチレン系モノマーの重合開始から終了までの間、一定温度であってもよいし、段階的に上昇させてもよい。水性媒体の温度を上昇させる場合には、0.1〜2℃/分の昇温速度で上昇させることが好ましい。
更に、架橋したポリオレフィン系樹脂からなる粒子を使用する場合、架橋は、スチレン系モノマーを含浸させる前に予め行っておいてもよいし、マイクロペレット中にスチレン系モノマーを含浸、重合させている間に行ってもよいし、マイクロペレット中にスチレン系モノマーを含浸、重合させた後に行ってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の架橋に用いられる架橋剤としては、例えば、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の有機過酸化物が挙げられる。なお、架橋剤は、単独でも2種以上併用してもよい。また、架橋剤の使用量は、通常、ポリオレフィン系樹脂粒子(マイクロペレット)100質量部に対して0.05〜1.0質量部が好ましい。
架橋剤を添加する方法としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂粒子に直接添加する方法、溶剤、可塑剤又はスチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法、架橋剤を水に分散させた上で添加する方法等が挙げられる。この内、スチレン系モノマーに架橋剤を溶解させた上で添加する方法が好ましい。
上記方法により改質樹脂粒子が得られる。
(2)発泡剤の含浸工程及び発泡工程
含浸工程は、樹脂粒子に発泡剤を、水性媒体中で含浸させて発泡性粒子を得る方法(湿式含浸法)か、又は媒体非存在下で含浸させ発泡性粒子を得る方法(乾式含浸法)により行うことができる。また、発泡工程は、発泡性粒子を、必要に応じて水蒸気等の加熱媒体を用いて、加熱して所定の嵩密度に発泡させて発泡粒子を得る方法により行うことができる。
本発明では、含浸工程及び発泡工程は、以下のように行われる。即ち、含浸工程及び発泡工程は、
ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む樹脂粒子100質量部に炭化水素系発泡剤を5〜9質量部含浸させて1次発泡性粒子を得る工程(1次含浸工程)と、
1次発泡性粒子を発泡させて1次発泡粒子を得る工程(1次発泡工程)と、
1次発泡粒子に発泡剤として無機ガスを0.1〜1.0MPa導入し2次発泡性粒子を得る工程(2次含浸工程)と、
2次発泡性粒子を発泡させて発泡粒子(以下、2次発泡粒子ともいう)を得る工程(2次発泡工程)と
の4工程を含む。この4工程は、発泡性粒子から発泡粒子を得るために、含浸と発泡を2回行うものである。加えて、1回目の含浸用の発泡剤を炭化水素系発泡剤(有機発泡剤)とし、2回目の含浸用の発泡剤を無機ガスとするものである。1回目の含浸工程で有機発泡剤を使用することで、樹脂粒子に過度のストレスを加えることなく微発泡させることができる。また、2回目に無機ガスを使用することで、地球温暖化係数が比較的高い有機発泡剤の使用量が減るため、環境負荷を抑制できる。
上記4工程は、2次発泡粒子が、1次発泡粒子の嵩発泡倍数の2.5〜10倍の嵩発泡倍数を有するように、条件を調整することが好ましい。1次発泡粒子と2次発泡粒子とがこの範囲の嵩発泡倍数を有することで、発泡粒子の製造時の環境負荷を抑制できる。2次発泡粒子は、1次発泡粒子の嵩発泡倍数の3〜9倍や3〜8.5倍の嵩発泡倍数を有していてもよい。
炭化水素系発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がポリスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、沸点が−45〜40℃の炭化水素を使用するのが、空気と早く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましく、ブタンがより好ましい。
無機ガスとしては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。例えば、炭酸ガス(二酸化炭素)、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−1)1次含浸工程
1次含浸工程では、耐圧容器中にて樹脂粒子に発泡剤として炭化水素系発泡剤を含浸させることで、1次発泡性粒子を得ている。
1次含浸工程において、炭化水素系発泡剤の含浸量が5質量部未満の場合、発泡性が低下することがある。含浸量が9質量部より多い場合、環境負荷の低減効果が不十分となることがある。含浸量は、5〜9質量部、6〜9質量部、又は7〜9質量部であってもよい。なお、本明細書における「含浸量」は、含浸する量、いわゆる含浸のための仕込み量を意味する。
炭化水素系発泡剤は、例えば、オートクレーブに投入された所定量の炭化水素系発泡剤、樹脂粒子、水及び分散剤を、攪拌しながら、含浸温度60〜75℃で1〜3時間保持することにより、樹脂粒子内に含浸させ得る。
(2−2)1次発泡工程
1次発泡工程において、発泡は、例えば、105〜150℃の熱媒体で、5〜300秒、1次発泡性粒子を加熱することにより行うことができる。熱媒体の蒸気圧(ゲージ圧)は、例えば、0.001〜0.2MPaとすることができる。熱媒体は、一般的に水蒸気が使用される。
1次発泡粒子は、2次含浸工程前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。
(2−3)2次含浸工程
2次含浸工程では、1次発泡粒子を耐圧容器中にて発泡剤として無機ガスを0.1〜1.0MPa導入することで、2次発泡性粒子を得ている。
2次含浸工程において、無機ガスの導入圧(ゲージ圧)が0.1MPa未満の場合、発泡性が低下することがある。導入圧が1.0MPaより高い場合、1次発泡粒子の表面が陥没することがある。導入圧は、0.1〜0.6MPaや0.1〜0.5MPaであってもよい。
(2−4)2次発泡工程
2次発泡工程において、発泡は、例えば、105〜150℃の熱媒体で、5〜50秒、2次発泡性粒子を加熱することにより行うことができる。熱媒体の蒸気圧(ゲージ圧)は、例えば、0.01〜0.2MPaとすることができる。熱媒体は、一般的に水蒸気が使用される。
2次発泡粒子は、発泡成形体を製造するための発泡成形工程前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。
(発泡成形体の製造方法)
2次発泡粒子を発泡成形機の型内に充填し、加熱して型内発泡させることで、2次発泡粒子同士を融着一体化させれば、所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。発泡成形機としては、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられるEPS成形機等を用いることができる。発泡成形体の倍数は、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
発泡成形体は、5〜70倍の倍数を有していることが好ましい。倍数が70倍より大きいと、発泡成形体の強度が低下することがある。一方、5倍より小さいと、発泡成形体の質量が増加することがある。より好ましい倍数は10〜60倍である。
発泡成形体は、緩衝材や梱包材に用いることができる。具体的には、家電製品等の緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の用途、車輌用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の衝撃エネルギー吸収材の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の実施例における各種物性の測定法を下記する。
<MFR>
メルトマスフローレイト(MFR)は、東洋精機製作所社製のセミオートメルトインデクサー2Aを用い、JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載のb)ピストンが所定の距離を移動する時間を測定する方法により測定した。測定条件は、試料3〜8g、予熱270秒、ロードホールド30秒、試験温度190℃、試験荷重21.18N、ピストン移動距離(インターバル)25mmとした。試料の試験回数は3回とし、その平均をメルトマスフローレイト(g/10分)の値とした。
<融点>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんした。充填後、窒素ガス流量20mL/分のもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持した。保持後、−40℃から220℃まで昇温し(1st Heating)、10分間保持した。次いで、220℃から−40℃まで降温し(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/分で行い、基準物質としてアルミナを用いた。本明細書において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値とした。
<1次及び2次発泡粒子の嵩発泡倍数>
発泡粒子の嵩発泡倍数は、下記の要領で測定した。まず、発泡粒子をメスシリンダに500cm3の目盛りまで充填した。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達していれば、充填を終了した。次に、メスシリンダ内に充填した発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とした。次式により発泡粒子の嵩発泡倍数を算出した。
発泡粒子の嵩発泡倍数(倍)=500/W
<発泡成形体の倍数>
発泡成形体(成形後、50℃で4時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の質量(a:g)と体積(b:cm3)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(b)/(a)により発泡成形体の倍数(倍)を求めた。
<発泡成形体の加熱寸法変化率:耐熱性>
発泡成形体の加熱寸法変化率をJIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定した。具体的には、60℃で7日間乾燥させた発泡成形体から縦150mm×横150mm×高さ20mmの試験片を切り出した。前記試験片の表面に、縦方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入すると共に、横方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入した。しかる後、試験片を80℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間に亘って放置した後に取出し、標準状態(20±2℃、湿度65±5%)の場所にて1時間に亘って放置した。次に、試験片の表面に記入した6本の直線の長さをそれぞれ測定し、6本の直線の長さの相加平均値L1を算出した。下記の式に基づいて変化度Sを算出し、変化度Sの絶対値を加熱寸法変化率(%)とした。
S=100×(L1−50)/50
<発泡成形体の圧縮強度>
60℃で7日間乾燥させた発泡成形体から縦50mm×横50mm×高さ25mmの試験体を切り出した。圧縮強度は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定した。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、50mm×50mm×25mmのサイズの試験体について、圧縮速度10mm/分として25%圧縮時(10mm変位時)の圧縮強度を測定した。
実施例1
ポリエチレン系樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「LV−115」、融点:108℃、MFR:0.3g/10分)2000gを押出機に供給して溶融混錬してストランドカットにより造粒ペレット化することにより、樹脂粒子を得た。
次に、撹拌機付5Lのオートクレーブに、分散剤としてのピロリン酸マグネシウム40g、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを純水2kgに分散させて分散用媒体を得た。この分散用媒体に30℃で樹脂粒子700gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
次に、この懸濁液中に、ジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させたスチレン単量体300gを30分で滴下した、滴下後30分保持し、樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。
次に、反応系の温度を130℃に昇温して1時間30分保持し、スチレン単量体を樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液を90℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレン単量体1000gを4時間かけて滴下した。また、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド6gをスチレン単量体滴下開始3時間目から30分かけて滴下し、樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、143℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、改質樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、上記改質樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後の改質樹脂粒子1kgと水3Lとを再び撹拌機付5Lオートクレーブに投入した。更に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2gと発泡剤としてブタン80g(発泡剤含浸量8質量部/改質樹脂粒子100質量部)を撹拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、2時間撹拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に1次発泡性粒子を得た。
次に、得られた1次発泡性粒子を予備発泡機に1000g投入し、予備発泡機缶内にゲージ圧0.005MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、嵩発泡倍数3.8倍に予備発泡させ、1次発泡粒子を得た。
次に、得られた1次発泡粒子を70℃のオーブン中で1週間保管し、残ったブタンガスを0.05質量%以下になるように飛散させた。その後、ブタンガスを飛散させた1次発泡粒子500gを5Lオートクレーブに入れ、窒素を導入し器内圧0.3MPaで常温24時間保持して2次発泡性粒子を得た。その後、予備発泡機に500g投入し、予備発泡機缶内にゲージ圧0.015MPaの水蒸気を60秒間導入して加熱し、嵩発泡倍数32倍に発泡させ、2次発泡粒子を得た。
更に、得られた2次発泡粒子を、400mm×300mm×30mmの大きさのキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填し、成形型に0.1MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.05MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
実施例2
1次発泡性粒子の発泡剤含浸量を5質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気導入時間を55秒間として嵩発泡倍数5倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤種及び含浸圧を二酸化炭素及び0.8MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び90秒間として嵩発泡倍数16倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
実施例3
1次発泡性粒子の発泡剤含浸量を5質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気導入時間を55秒間として嵩発泡倍数5倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.5MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び120秒間として嵩発泡倍数28倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
実施例4
1次発泡性粒子の発泡剤種及び含浸量をペンタン及び5質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気導入時間を50秒間として嵩発泡倍数4倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.5MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び100秒間として嵩発泡倍数20倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。1次発泡粒子の断面のSEM写真を図1に示す。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
実施例5
水蒸気導入時間を60秒間として嵩発泡倍数10倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.5MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び120秒間として嵩発泡倍数40倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。1次発泡粒子の断面のSEM写真を図2に示す。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
実施例6
1次発泡性粒子の発泡剤含浸量を5質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気導入時間を40秒間として嵩発泡倍数3.5倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.8MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び90秒間として嵩発泡倍数24倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
参考例1
1次発泡性粒子の発泡剤含浸量を15質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.01MPa及び65秒間として嵩発泡倍数25倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.8MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び70秒間として嵩発泡倍数55倍の2次発泡粒子を得たこと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。
この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。
そして、得られた発泡成形体を用いて、発泡倍数、加熱寸法変化率(耐熱性)、圧縮強度の測定を行った。
比較例1
1次発泡性粒子の発泡剤含浸量を2.5質量部/改質樹脂粒子100質量部とし、水蒸気導入時間を30秒間として嵩発泡倍数1.6倍の1次発泡粒子を得、1次発泡粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.8MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び120秒間として嵩発泡倍数1.9倍の2次発泡粒子を得た。1次発泡粒子の断面のSEM写真を図3に示す。
しかし、この2次発泡粒子では、良好な発泡成形体を得ることができなかった。
比較例2
1次発泡を行わず、樹脂粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.9MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び120秒間として発泡させたが、嵩発泡倍数1倍の発泡となり、発泡させることができなかった。
比較例3
1次発泡を行わず、発泡剤として炭酸ガスを用いて、樹脂粒子に含浸させる発泡剤含浸圧を0.9MPaとし、水蒸気の導入圧及び導入時間を0.02MPa及び120秒間として発泡させたが、嵩発泡倍数1倍の発泡粒子となり、発泡させることができなかった。
得られた結果を表1にまとめて示す。
表1から、炭化水素系発泡剤の含浸量と、無機ガス発泡剤の含浸圧と、1次発泡粒子と2次発泡粒子の嵩発泡倍数比とを特定の範囲とすることで、発泡粒子を製造する際に、環境負荷の高い炭化水素系の発泡剤の使用量を低減できることが分かる。

Claims (5)

  1. ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む樹脂粒子100質量部に炭化水素系発泡剤を5〜9質量部含浸させて1次発泡性粒子を得る工程と、
    前記1次発泡性粒子を発泡させて1次発泡粒子を得る工程と、
    前記1次発泡粒子に発泡剤として無機ガスを0.1〜1.0MPa導入し2次発泡性粒子を得る工程と、
    前記2次発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得る工程とを含み、
    前記発泡粒子が、前記1次発泡粒子の嵩発泡倍数の2.5〜10倍の嵩発泡倍数を有することを特徴とする発泡粒子の製造方法。
  2. 前記無機ガスが窒素又は炭酸ガスである請求項1に記載の発泡粒子の製造方法。
  3. 前記樹脂粒子が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対してポリスチレン系樹脂を100〜500質量部含む請求項1又は2に記載の発泡粒子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡粒子の製造方法により得られる発泡粒子を型内発泡させて発泡成形体を得る工程を含む発泡成形体の製造方法。
  5. 前記発泡成形体が、緩衝材や梱包材に用いられる請求項4に記載の発泡成形体の製造方法。
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