JP5422970B2 - スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法 - Google Patents

スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐割れ性、成形加工性の優れたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
ポリオレフィン系樹脂の発泡体は一般に弾性が高く、繰り返しの応力に対しても歪の回復力が大きいという特徴の他に、耐油性、耐割れ性に優れることから、包装資材として広く利用されている。しかし、剛性が低く、型内成形後の発泡成形体の収縮がおこりやすく、圧縮強度が低いという短所を有している。
このような欠点を改良する方法として、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させて重合を行った、スチレン改質ポリエチレン樹脂が知られている。
例えば、特許文献1では、ポリオレフィン系成分とスチレン系成分のグラフト反応物を生成し、耐衝撃性の高いスチレン改質ポリエチレン系樹脂を得る方法が記載されている。
また、特許文献2では、モノマーの追加パターン、攪拌所要動力を制御することによって樹脂表面をオレフィンリッチにし、スチレン改質ポリエチレン系樹脂の耐衝撃性や耐薬品性を高める方法が記載されている。この中で重合中のスチレン単量体量を35%以下にすることで表面をオレフィンリッチにする記載があるが、本件特許のように成形性への影響については言及されていない。
特許文献3では、重合温度とスチレン系単量体の追加パターンによって、得られるスチレン改質ポリエチレン系発泡性樹脂粒子のゲル量を制御する方法が記載されている。しかしながら、重合中のスチレン単量体量の濃度が与える影響に関しては触れられていない。
また、特許文献4には、スチレン系単量体の一部を一括添加することによって、耐割れ性、成形加工性を両立するためのゲル量、分子量範囲に関する記載があり、優れた成形加工性を有する予備発泡粒子が得られることが開示されている。しかしながら、予備発泡粒の発泡剤逸散後の成形加工性について記載されておらず、予備発泡粒子の発泡剤逸散後でも優れた成形加工性を有するスチレン改質ポリエチレン予備発泡粒子が望まれていた。
特開昭61−155413号公報 特開2005−97555号公報 W02004/085527 特開2006−298956号公報
本発明は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子において、発泡剤逸散後においても成形加工性に優れ、高い耐割れ性を有するスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法における、スチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程において、スチレン系単量体の樹脂中スチレン系単量体の濃度を所定範囲内とすることで、成形加工性に優れ、かつ耐割れ性の優れた発泡体を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明の第1は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してスチレン系単量体が150重量部以上300重量部以下使用されるスチレン改質ポリエチレン系樹脂を、予備発泡して得られる、予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分が10重量%以上35重量%以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法であって、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程を含んでなり、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、スチレン系単量体25重量部以上100重量部以下を、 重合開始剤の10時間半減期温度以下の温度であって本質的に重合が進まない温度下で添加して含浸させ、前記スチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程において、残りのスチレン系単量体を加熱下で添加し、スチレン系単量体の連続添加開始から連続添加終了時にわたって、樹脂中スチレン系単量体の濃度が15重量%以上35重量%以下であり、かつスチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点から75重量%終了した時点にわたって、樹脂中スチレン系単量体の濃度が20重量%以上35重量%以下であることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
好ましい態様としては、
)重合中、或いは、重合後に、10時間半減期温度が100℃以上125℃以下である架橋剤を添加し、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることによって得られる、
)重合中、或いは、重合後に、10時間半減期温度が100℃以上125℃以下である架橋剤を添加し、発泡剤存在下、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることによって得られる、
前記記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
本発明の製造方法によって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の発泡剤逸散後であっても成形加工性に優れている為、ビーズライフが延長され、工業的に有利である。また、本発明の製造方法によって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡成形体は、表面性が良好で高い耐割れ性を示す。
本発明のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してスチレン系単量体が150重量部以上300重量部以下使用されるスチレン改質ポリエチレン系樹脂を、予備発泡して得られる、予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分が10重量%以上35重量%以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法であって、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程を含んでなり、該スチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程において、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点、および、75重量%終了した時点の樹脂中スチレン系単量体の濃度が20重量%以上35重量%以下であることを特徴とする。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂に対して、スチレン系単量体を150重量部以上300重量部以下、好ましくは180重量部以上250重量部以下使用する。当該範囲内であれば得られるスチレン改質ポリエチレン系予備発泡粒子が成形加工性と耐割れ性が両立出来る。具体的には、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸重合させる。
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を重合させる方法としては、例えば、攪拌機を具備した容器内に仕込んだ粒子形状のポリエチレン系樹脂を含む水性懸濁液に、スチレン系単量体を添加することにより、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を含浸させ、重合させる。重合において、添加するスチレン系単量体の添加速度を任意に選択することで、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の重量平均分子量を調整することが可能である。
本発明において、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を添加するには一般的に、一括添加や分割添加等が挙げられるが、本発明においては、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程を含む必要がある。ここで言う「連続的に添加する工程」とはポンプ等により時間的間隔を空けずにスチレン系単量体を添加する工程を指す。
本発明においては、連続的な添加が35%終了した時点および75%終了した時点の樹脂中スチレン系単量体の濃度が20%以上35%以下となるように行う必要がある。好ましくは連続的なスチレン系単量体の添加を連続添加開始から連続添加終了時にわたって樹脂中スチレン系単量体の濃度が15%以上35%以下となるように行う。連続的な添加が35%終了した時点および75%終了した時点の樹脂中スチレン系単量体の濃度が20%未満であると揮発分逸散時時に発泡成形体の粒子に隙間が発生し、35%を超えると、耐割れ性が低くなる。
本発明において好ましい態様としては、ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対し、スチレン系単量体25重量部以上100重量部以下を本質的に重合が進まない温度下で添加して含浸させ、残りのスチレン系単量体を加熱下で添加することである。「本質的に重合が進まない温度下」とは、使用する主たる重合開始剤の10時間半減期温度以下の温度であることを言う。重合に際し、添加するスチレン系単量体の一部を本質的に重合が進まない温度下で添加、含浸させることにより、重合場であるポリエチレン系樹脂粒子の粘度を変化させることができるため、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子のゲル成分量及び重量平均分子量を調整し易い。
本発明で使用するポリエチレン系樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレンの単独重合体、ポリエチレンと、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンや酢酸ビニル、アクリル酸エステル、塩化ビニル等との共重合体があげられる。これらの中でもエチレンと酢酸ビニルの共重合体が好ましい。更に好ましくは、メルトフローレート(以下、MFRと表記する場合がある)が1.5g/10分以下で酢酸ビニル含有量が10重量%以下であるエチレン・酢酸ビニル共重合体である。MFRが1.5g/10分を超えては耐割れ性の発現が難しくなる傾向がある。酢酸ビニルが10重量%を超えては融点が低いため、重合時に樹脂変形を起こしやすい傾向がある。なお、MFRはJIS K 6924に準拠して測定した値である。
前記ポリエチレン系樹脂は、あらかじめ、例えば押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融することによりポリエチレン系樹脂粒子となす。形状はパウダー、ペレット状等であることが好ましい。これら粒子の平均粒重量は0.1mg/粒以上3mg/粒以下が好適な範囲である。0.1mg/粒より小さい場合は発泡剤の逸散が激しく高倍率化させにくくなる場合があり、3mg/粒より大きい場合は成形時の充填性が悪くなる恐れがある。
スチレン改質ポリエチレン系樹脂には各種添加剤を使用することができる。各種添加剤としては、目的に応じて可塑剤、気泡調整剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の植物油、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等の脂肪族エステル、流動パラフィン、シクロヘキサン等の有機炭化水素、トルエン、エチルベンゼン等の有機芳香族炭化水素等があげられ、これらは併用しても何ら差し支えない。
気泡調整剤としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪族ビスアマイドやステアリン酸アミド等の有機系気泡調整剤、タルク、シリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系気泡調整剤等があげられる。また、これらの各種添加剤は重合時、発泡剤含浸時のみならず、あらかじめ前記ポリエチレン系樹脂粒子に混ぜ込むことで使用することもできる。
特に後に示す除圧発泡を行う場合、無機系気泡調整剤を使用することが好ましく、好ましい使用量としてはポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.01重量部以上0.5重量部以下である。無機系気泡調整剤が0.01重量部より少ないと安定的に気泡を生成することが困難となる場合があり、0.5重量部より多く使用した場合は成形時の融着が悪化する傾向がある。
本発明に使用するスチレン系単量体としては、スチレン、およびα−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体を主成分として使用することができる。また、スチレン系誘導体と共重合が可能な成分、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート等が挙げられ、これら各種単量体を1種または2種以上併用してもよい。更に、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体を使用することもできる。
本発明において使用する重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができ、代表的なものとしては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。重量平均分子量は重合開始剤の量と反応温度、単量体の添加速度により調整できる。
これら重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100重量部に対して0.05重量部以上1.0重量部以下であることが好ましく、さらには0.1重量部以上0.5重量部以下であることが好ましい。
重合温度は70℃以上90℃以下であると所望の重量平均分子量であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子が得られるため、好ましい。
本発明における前記重合においては、更に、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等メルカプタン系の連鎖移動剤やアクリロニトリル−スチレン系樹脂の重合に一般的に用いられるα−メチルスチレンダイマー等を併用しても良い。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂粒子を含む水性懸濁液中にて重合を行うが、その際樹脂粒子同士の融着を防止するために分散剤を使用することが好ましい。使用できる分散剤としては、一般的に懸濁重合に用いられる分散剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の高分子分散剤、例えば、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、カオリン等の難水溶性無機塩があげられる。
また、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用すると分散安定性が増すので効果的であるため好ましい。また、これらの分散剤は重合中に追加しても良い。分散剤の使用量は種類によるが基本的に水100重量部に対して0.2重量部以上10重量部以下が好ましい。
本発明の「水性懸濁液」とは樹脂と単量体液滴を攪拌等により水または水溶液に分散させた状態を指し、水中には水溶性の界面活性剤や単量体が溶解していても良く、また水に不溶の分散剤、開始剤、架橋剤、気泡調整剤、難燃剤、可塑剤等がともに分散していても良い。樹脂と水の重量比は、得られるスチレン改質ポリスチレン樹脂/水で1.0/0.6から1.0/4.0が好ましい。
本発明においては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子中に熱キシレン不溶のゲル分が10重量%以上35重量%であることが必要であり、そのため架橋剤を使用することが好ましい。架橋反応は10時間半減期温度が100℃以上125℃以下のラジカル種発生型架橋剤を使用するのが好ましい。10時間半減期温度が100℃より低いラジカル種発生型架橋剤を使用すると重合時に架橋反応が進行しすぎてしまい、130℃以上における架橋が困難となる傾向がある。半減期温度が125℃を超えると、130℃以上150℃以下の温度で架橋反応を進行させるのに時間がかかる場合がある。
10時間半減期温度が100℃以上125℃以下であるラジカル種発生型架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド(10時間半減期温度:123℃)、ジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度:116℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト(10時間半減期温度:104℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(10時間半減期温度:102℃)、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン(10時間半減期温度:103℃)等が挙げられる。これらは、スチレン系単量体の添加前あるいはスチレン系単量体と共に重合系に添加することができる。後述する除圧発泡による発泡を行う場合には、除圧発泡の仕込み時に架橋剤を仕込み、除圧発泡の際の発泡剤存在下に架橋反応を行っても良い。
10時間半減期温度が100℃以上125℃以下の架橋剤を用いた架橋反応は、130℃以上150℃以下で行われるのが好ましく、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることが好ましい。架橋反応が130℃未満であると、耐衝撃性と成型加工性を両立する樹脂を得ることが困難になる場合がある。架橋反応温度が150℃を超えると樹脂が軟化しすぎ、樹脂粒子が凝集しやすくなる傾向がある。架橋剤の使用量は架橋剤の種類によって異なるが、基本的に得られるスチレン改質エチレン系樹脂予備発泡粒子100重量部に対して、0.1重量部以上1.0重量部以下使用すると所望の範囲のゲル量が得られやすい。中でも、発泡剤存在下、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることが好ましい。
本発明において使用することが出来る発泡剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素類、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン等のオゾン破壊係数がゼロであるハイドロフルオロカーボン類等の揮発性発泡剤、空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス、水等があげられる。これらの発泡剤は併用しても何ら差し支えない。
発泡剤は一般的には前記ラジカル種発生型架橋剤による架橋反応の後に追加されるが、架橋反応が完了する前に追加しても良い。
また、発泡剤量としてはスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子100重量部に対して10重量部以上30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは15重量部以上25重量部以下である。10重量部未満以下では十分な発泡倍率を得ることができず、成形加工性の良好なスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒を得ることが難しい場合がある。30重量部を超えると発泡剤含浸時の樹脂の分散状態が不安定となり、樹脂同士が凝集を起こしやすくなる傾向がある。
ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させたスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子に、発泡剤を含浸、予備発泡する方法としては、(1)耐圧容器中でスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を水性分散媒に分散させ、耐圧容器内に発泡剤を入れて該スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子の軟化点以上の温度に加熱し、発泡剤の蒸気圧以上の加圧下で該樹脂粒子に該発泡剤を含浸させた後、耐圧容器内の温度および圧力を一定に保ちながらスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子と水性分散媒との混合物を耐圧容器内よりも低圧域に放出するいわゆる「除圧発泡」と呼ばれる方法、(2)ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させた後、発泡剤を含浸させ発泡性改質ポリエチレン系樹脂粒子と成し、攪拌機を具備した容器内に発泡性改質ポリエチレン系樹脂粒子を入れ水蒸気等の熱源により加熱する方法、(3)ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させて改質ポリエチレン系樹脂粒子と成し、攪拌機を具備した容器内にて発泡剤を含浸させ、水蒸気等の熱源により加熱する方法、等があげられるが、特に(1)の方法を選択することが、発泡剤の含浸と予備発泡を一連の操作で行うために過剰量の発泡剤を必要とせず、好ましい。
(1)の方法において、具体的には、重合反応を行うことによって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を、一度耐圧容器より取り出して洗浄・乾燥を行った後に、除圧発泡用の耐圧容器に仕込み、発泡剤を追加した後に過熱昇温し、前記耐圧容器内の温度および圧力を一定に保ちながら容器の一端を開放し、例えば開孔径が1mmから10mmのオリフィス等を通して該耐圧容器内よりも低圧の雰囲気中、例えば大気中等の雰囲気中に内容物を放出し発泡させることにより、均一微細な気泡構造を有するスチレン改質ポリエチレン樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
この除圧発泡でいう水性分散媒は、水に分散剤が溶解または分散したものを示し、分散剤は重合時と同様の種類の分散剤を使用することができる。この際、スチレン改質ポリエチレン系樹脂と水の重量比は樹脂/水で1.0/0.6から1.0/4.0であることが好ましい。この除圧発泡時点で可塑剤、気泡調整剤等の各種添加剤を含浸させても良い。この方法では発泡剤の含浸と予備発泡を同時に行うことができ、また発泡剤は吸引設備により回収することができるため、効率的である。
(2)の方法においては、具体的には、前述の方法で重合反応に続いて発泡剤の追加、含浸を行う。発泡剤は架橋反応の前後どのタイミングで追加してもかまわない。この際、発泡剤導入による缶内圧力の急激な上昇を防ぐため、必要に応じて発泡剤を追加しやすい温度まで冷却を行ってから発泡剤を追加し、その後に温度を上昇させて発泡剤含浸や架橋反応を行うこともできる。その後、発泡剤を含浸させたスチレン改質ポリエチレン系樹脂を耐圧容器より払い出し、洗浄・乾燥を行った後に水蒸気等によって加熱し、予備発泡粒子とすることができる。
(3)においては、具体的には、重合反応を行うことによって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を、一度、耐圧容器より取り出して洗浄・乾燥を行う。更に発泡剤含浸用の攪拌機を具備した耐圧容器に移し、少量の水、分散剤と発泡剤を追加して発泡剤含浸を行った後に払い出し、水蒸気等によって加熱し、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子とすることができる。この方法では発泡剤含浸時に仕込む水の量を少なくすることで発泡剤含浸後の乾燥工程を省くことができるため、予備発泡までの発泡剤の逸散を抑えることができる。
以上のようにして得られた、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、熱キシレンに不溶なゲル成分量が10重量%以上35重量%以下である必要があり、好ましくは20重量%以上30重量%以下である。当該範囲内であると、型内成形を行う場合、高圧あるいは長時間の蒸気加熱を必要とせず、高倍率化しやすく、耐割れ性が良好な発泡成形体が得られる。
本発明における熱キシレンに不溶なゲル分の量は以下のようにして測定する。200メッシュの金網袋中に0.4gの予備発泡樹脂粒子を入れ、大気圧下で沸騰させたキシレン450ml中に2時間浸漬して冷却後に一旦、取り出し、更に新たな沸騰させたキシレン中に樹脂を1時間浸漬して冷却後にキシレンから取り出す。その後、同様に2時間、1時間の浸漬、溶出を繰り返し、その後、常温下で1晩液切りした後に150℃のオーブン中で1時間乾燥させ、常温まで自然冷却させ、冷却後の残留分をゲル分とし、初期の予備発泡粒子量に対するゲル成分の量の重量比率をゲル成分量としている。
また、本発明の製造方法によって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、テトラヒドロフランに可溶な成分の重量平均分子量が10万以上25万以下であることが好ましい。当該範囲内であると、型内成形を行う場合、発泡剤逸散時でも成形性が良好な発泡成形体が得られる傾向にある。
本発明におけるテトラヒドロフランに可溶分の重量平均分子量とは、スチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子0.02gを常温のテトラヒドロフラン20mlに24時間浸漬させることで抽出される成分を0.2μmのフィルターでろ過し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより標準ポリスチレン試料を基準に求められた値である。
このようにして得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、一般的な型内成形方法によって成形され、発泡成形体にすることができる。具体的には、閉鎖し得るが密閉しえない金型内に充填し、加熱融着せしめて発泡成形体とされる。得られた発泡成形体は、剛性が高く、優れた耐割れ性を示す傾向がある。
以下に実施例及び比較例をあげるが、これによって本発明は制限されるものではない。尚、測定評価については以下の通り実施した。
<成形体の表面状態>
発泡成形体の表面状態は、目視観察にて評価した。数値が大きいほうが粒子同士の隙間が少ない表面状態であり、5点満点で表現した3以上を合格とした。
5:隙間がみあたらない
4:部分的に隙間があるがほとんどわからない
3:所々隙間があるが、全体としては許容レベル
2:隙間が目立つ
1:隙間が多い
<耐割れ性(半数破壊高さの測定)>
発泡成形体を200×20×20(t)mmに切り出したサンプル片にてJIS K 7211に準拠して321gの鋼球を落下させ半数破壊高さを測定した。
<発泡剤逸散時に成形を行った成形体の表面状態>
発泡成形体の表面状態は、成形後に約35℃の乾燥室で1日保管したものを目視観察にて評価した。数値が大きいほうが粒子同士の隙間が少ない表面状態であり、3以上を合格とした。
<ゲル分の量の測定>
200メッシュの金網袋中に0.4gの予備発泡樹脂粒子を入れ、大気圧下で沸騰させたキシレン450ml中に2時間浸漬して冷却後に一旦、取り出し、更に新たな沸騰させたキシレン中に樹脂を1時間浸漬して冷却後にキシレンから取り出す。その後、同様に2時間、1時間の浸漬、溶出を繰り返し、その後、常温下で1晩液切りした後に150℃のオーブン中で1時間乾燥させ、常温まで自然冷却させ、冷却後の残留分をゲル成分とし、初期の予備発泡粒子量に対するゲル成分の量の重量比率をゲル分の量とした。
<樹脂中のスチレン単量体濃度の測定>
サンプリングした重合中の樹脂0.1gを塩化メチレン20mlを投入し、8時間攪拌した後に、上澄みの塩化メチレン溶液を採取し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−14B、カラム:3m、充填剤:PEG−20M 25%、カラム温度:110℃)にて測定した。
<架橋剤分解量>
ラジカル種発生型架橋剤の1分半減期温度、1時間半減期温度、10時間半減期温度と活性化エネルギーより、アレニウスの式を用いて重合・架橋温度での半減期を計算し、そこから重合・架橋時間での分解量を計算することで求めた。
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂として住友化学株式会社製「エバテートF1103−1」を使用し、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してタルク0.2重量部を混合し押出機内で溶融混合して造粒し水中に押出した直後にカッティングすることで粒重量約1mg/粒の球状としたポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子35重量部を懸濁させ、スチレン17.5重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.24重量部(10時間半減期温度:74℃)、架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.56重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を1時間10分かけて70℃まで昇温し、30分間維持することでポリエチレン系樹脂粒子にスチレン単量体溶液を含浸させた。更に50分かけて85℃まで昇温し、昇温開始10分後から2時間40分かけてスチレン単量体47.5重量部を一定速度で連続的に反応系中に滴下した。この際、スチレン単量体追加開始時の反応系の温度は76.9℃であり、昇温開始から42分後に85℃に到達した。続いて滴下終了後更85℃で1時間保持した。その後、1時間20分かけて120℃に昇温して50分保持し、スチレン系単量体の重合を完結させた。2時間かけて常温まで冷却し、洗浄・脱水・乾燥することによりスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この時点での架橋剤の分解量は、44重量%であった。
その後、10Lオートクレーブに水330重量部、第3リン酸カルシウム2重量部、n−パラフィンスルホン酸ソーダ0.022重量部、スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子100重量部、ジブチルセバケート0.5重量部を仕込んだ。発泡剤としてノルマルリッチブタン(ノルマルブタン/イソブタン=75/25)22重量部をオートクレーブに添加した後、140℃に昇温し50分保持することで発泡剤を含浸させた。その後、オートクレーブより開口径5mmのオリフィスを通して水性分散媒と共にスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を大気圧下に放出し、発泡嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。大気圧下に放出している間、高圧窒素を導入することでオートクレーブ内の圧力が一定に保持されるように調整した。
重合時の樹脂中のスチレン単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は26.2重量%、75%終了した時点では24.7重量%であった。連続添加開始から添加終了までは23.4重量%から26.2重量%の間で推移していた。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は24.8重量%であった。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を洗浄・脱水・乾燥した後に、室温で2日間養生させた予備発泡粒子(以下、「発泡直後の予備発泡粒子」と称す場合がある)、および約35℃の乾燥室で残存発泡剤量が発泡粒子に対して1重量%以下となるまで乾燥した予備発泡粒子(以下、「発泡剤逸散時の予備発泡粒子」と称す場合がある)、の2種類を作製し、それぞれダイセンKR−57成形機を用いて300×450×25(t)mmサイズの金型にて成形を行い、発泡成形体を得た。発泡直後の予備発泡粒子で成形を行った成形体の耐割れ性を評価したところ38cmであった。なお、予備発泡粒子中の残存発泡剤量は、約2gの予備発泡粒子を計量し、150℃のオーブンで30分乾燥を行った後に室温まで冷却してから再度計量を行い、逸散分の重量%を求めることにより測定した。揮発分逸散時に成形を行った発泡成形体の表面状態は4であった。
(実施例2)
実施例1と同様にポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
スチレン単量体の連続添加を85℃への昇温開始から20分とした以外は実施例1と同様にしてスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。連続添加開始時の反応系の温度は80.3℃であり、昇温開始から43分で85℃に到達した。重合終了時点での架橋剤の分解量は、44重量%であった。
10Lオートクレーブにおいて、実施例1と同様にして発泡嵩倍率31倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を作成した。
重合時の樹脂中のスチレン単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は22.4重量%、75重量%終了した時点では21.0重量%であった。連続添加開始から添加終了までは17.3重量%から22.4重量%の間で推移していた。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は24.7重量%であった。
得られた予備発泡粒子は実施例1と同様に成形して評価した。耐割れ性は40cmであった。揮発分逸散時に成形を行った成形体の表面状態は3であった。
(比較例1)
実施例1と同様にポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
スチレン単量体の連続的な添加を85℃への昇温開始から39分とした以外は実施例1と同様にしてスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。連続添加開始時の反応系の温度は84.5℃であり、昇温開始から42分で85℃に到達した。重合終了時点での架橋剤の分解量は、44重量%であった。
10Lオートクレーブにおいて、実施例1と同様にして発泡嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を作製した。
重合時の樹脂中のスチレン単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は14.4重量%、75重量%終了した時点では11.1重量%であった。連続添加開始から添加終了までは8.9重量%から17.7重量%の間で推移していた。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は24.2重量%であった。
得られた予備発泡粒子は実施例1と同様に成形して評価した。耐割れ性は39cmであった。揮発分逸散時に成形を行った成形体の表面状態は2であった。
(比較例2)
実施例1と同様にポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子35重量部を懸濁させ、1時間かけて85℃まで昇温した。85℃到達後、スチレン17.5重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.24重量部(10時間半減期温度:74℃)、架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.56重量部を溶解させた溶液を1時間かけて一定速度で連続的に反応系に添加した。続いて2時間40分かけてスチレン単量体47.5重量部を一定速度で連続的に反応系中に滴下した。その後、滴下終了後更85℃で1時間保持した。その後、1時間かけて120℃に昇温して1時間保持し、スチレン系単量体の重合を完結させた。1時間かけて常温まで冷却後、洗浄・脱水・乾燥することによりスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。重合終了時点での架橋剤の分解量は47重量%であった。
重合時の樹脂中のスチレン単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は16.1重量%、75重量%終了した時点では12.8重量%であった。連続添加開始から添加終了までは0重量%から16.1重量%の間で推移していた。
10Lオートクレーブにおいて、実施例1と同様にして発泡嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を作製した。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は24.2重量%であった。
得られた予備発泡粒子は実施例1と同様に成形して評価した。耐割れ性は45cmであった。揮発分逸散時に成形を行った成形体の表面状態は2であった。
(比較例3)
実施例1と同様にポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて6Lオートクレーブに水150重量部に、第3リン酸カルシウム1重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子30重量部を懸濁させ、1時間かけて85℃まで昇温した。85℃到達後、スチレン15重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.18重量部(10時間半減期温度:74℃)、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度:116℃)0.29重量部を溶解させた溶液を2時間かけて一定速度で連続的に反応系に添加した。続いて3時間40分かけてスチレン系単量体55重量部を一定速度で連続的に反応系中に滴下した。その後、滴下終了後更85℃で1時間保持した。その後、1時間30分かけて140℃に昇温して3時間保持し、スチレン系単量体の重合を完結させた。1時間かけて常温まで冷却後、洗浄・脱水・乾燥することによりスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。
重合時の樹脂中のスチレン単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は15.3重量%、75重量%終了した時点では22.4重量%であった。連続添加開始から添加終了までは0重量%から22.4重量%の間で推移していた。
10Lオートクレーブにおいて、ノルマルリッチブタンを20重量部とし、140℃での保持時間を30分とした以外は実施例1と同様にして発泡嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を作製した。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は20.1重量%であった。
得られた予備発泡粒子は実施例1と同様に成形して評価した。耐割れ性は28cmであった。揮発分逸散時に成形を行った成形体の表面状態は1であった。
(比較例4)
実施例1と同様にポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
過酸化ベンゾイルを0.11重量部、ジクミルパーオキサイドを0.18重量部とした以外は比較例3と同様に重合を実施した。
重合時の樹脂中のスチレン系単量体の濃度は表1に示す通りで、スチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点での樹脂中のスチレン系単量体の濃度は20.8重量%、75重量%終了した時点では40.1重量%であった。連続添加開始から添加終了までは0重量%から43.9重量%の間で推移していた。
10Lオートクレーブにおいて、比較例3と同様にして発泡嵩倍率30倍のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を作製した。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分は7.7重量%であった。
得られた予備発泡粒子は実施例1と同様に成形して評価した。耐割れ性は15cmであった。揮発分逸散時に成形を行った成形体の表面状態は4であった。
実施例1、2はスチレン系単量体の連続的な添加中の樹脂中スチレン系単量体の濃度を所定濃度としているため、耐割れ性と揮発分逸散時の発泡成形体の表面状態が良好である。比較例1、比較例2、比較例3はスチレン単量体の連続添加中の樹脂中スチレン単量体濃度が低く、揮発分逸散時の成形性に劣る。比較例4は樹脂中のスチレン単量体濃度が高い上にゲル分が実施要件から外れており、耐割れ性に劣る。
Figure 0005422970
本発明の製造方法によって得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子は、予備発泡直後でなくとも成形加工性に優れ、また、得られた発泡成形体は、耐割れ性に優れているため、とりわけ自動車部材、緩衝材に好適に使用できる。

Claims (3)

  1. ポリエチレン系樹脂100重量部に対してスチレン系単量体が150重量部以上300重量部以下使用されるスチレン改質ポリエチレン系樹脂を、予備発泡して得られる、予備発泡粒子の熱キシレン不溶のゲル分が10重量%以上35重量%以下であるスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法であって、ポリエチレン系樹脂にスチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程を含んでなり、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、スチレン系単量体25重量部以上100重量部以下を、重合開始剤の10時間半減期温度以下の温度であって本質的に重合が進まない温度下で添加して含浸させ、前記スチレン系単量体を重合温度で連続的に添加する工程において、残りのスチレン系単量体を加熱下で添加し、スチレン系単量体の連続添加開始から連続添加終了時にわたって、樹脂中スチレン系単量体の濃度が15重量%以上35重量%以下であり、かつスチレン系単量体の連続的な添加が35重量%終了した時点から75重量%終了した時点にわたって、樹脂中スチレン系単量体の濃度が20重量%以上35重量%以下であることを特徴とするスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  2. 重合中、或いは、重合後に、10時間半減期温度が100℃以上125℃以下である架橋剤を添加し、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることによって得られる請求項1に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. 重合中、或いは、重合後に、10時間半減期温度が100℃以上125℃以下である架橋剤を添加し、発泡剤存在下、130℃以上150℃以下で50%以上の架橋剤が分解されることによって得られる請求項1または2に記載のスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
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