JP2005139306A - ポリエステル樹脂の精製処理方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】 ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、オリゴマー等の低分子量体を効率的に低減化することができるポリエステル樹脂の精製処理方法を提供する。
【構成】 ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、1mPa〜100MPaの範囲の圧力下で、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採るポリエステル樹脂の精製処理方法。
【構成】 ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、1mPa〜100MPaの範囲の圧力下で、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採るポリエステル樹脂の精製処理方法。
Description
本発明は、加圧下での抽出剤との接触によるポリエステル樹脂の精製処理方法に関し、特に脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂の精製処理に適した精製処理方法に関する。
従来より、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂は、優れた機械的性質及び化学的特性に加え、その優れた透明性、ガスバリア性、安全衛生性等を生かして、各種飲料用ボトル等の容器として汎用され、又、例えばポリ乳酸や、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂は、成形体としての使用期間終了後の埋め立て廃棄処理に伴う環境蓄積による環境の悪化等の問題に対して、土壌中の微生物や酵素等で生分解する生分解性樹脂として注目されている。
一方、ポリエステル樹脂は、一般に、重縮合時や溶融成形時に副生するオリゴマー等の低分子量体を数百乃至数千ppm程度含有することとなり、それが成形体としての表面にブリードアウトしたり、特有の臭気の原因となったり、或いは、成形時の金型を汚染する等の種々の問題を生じることから、それら低分子量体の含有量を低減化するため、例えば、重縮合触媒量の増加、重縮合時間の延長、加熱による固相状態での重縮合工程の追加、或いは末端基変性等の重縮合工程における改良、並びに、重縮合後の樹脂の温熱水との接触による触媒失活等の後処理工程における改良方法等が採られ、これらの方法によりその改良効果は確かに認められるものの、生産性の向上、及び低分子量体等の不純物量の更なる低減化等が強く求められているのが現状である。
これに対して、ポリエステル樹脂或いはその成形体を、二酸化炭素等の流体に超臨界状態で接触させる方法(例えば、特許文献1参照。)、二酸化炭素等の流体とクロロホルム等のポリエステルオリゴマーの良溶媒との混合流体に超臨界状態で接触させる方法(例えば、特許文献2参照。)、硝酸等の酸性物質の存在下に二酸化炭素等の流体に超臨界状態で接触させる方法(例えば、特許文献3参照。)、及び、二酸化炭素等の流体とメタノール等のポリエステルオリゴマーの貧溶媒との混合流体に超臨界状態で接触させる方法(例えば、特許文献4参照。)等の方法が提案されている。しかしながら、これらの方法は、本発明者等の検討によると、確かに低分子量体量の低減化には有効であるものの、樹脂の融点以上の高温下であって被処理樹脂を変形させてしまうこととなったり、低分子量体量の低減化が不十分であったり、用いた抽出助剤が被処理樹脂中に残存しそれが臭気の原因となったりする等の問題を生じ易いことが判明した。
特開平3−146529号公報。
特開平3−217422号公報。
特開平10−251394号公報。
特開2003−212983号公報。
本発明は、前述の従来技術における現状に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、オリゴマー等の低分子量体を効率的に低減化することができるポリエステル樹脂の精製処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、加圧下に抽出剤と接触させるにおいて、加圧、減圧の工程を繰り返すことにより前記目的を達成できることを見い出し本発明に到達したもので、即ち、本発明は、ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、1mPa〜100MPaの範囲の圧力下で、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採るポリエステル樹脂の精製処理方法、を要旨とする。
本発明によれば、ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、オリゴマー等の低分子量体を効率的に低減化することができるポリエステル樹脂の精製処理方法を提供することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂としては、主鎖にエステル結合を有する高分子量体であれば特に限定されるものではなく、代表的には、例えば、ジオールとジカルボン酸との重縮合により得られるポリエステル樹脂、オキシカルボン酸の重合により得られるポリエステル樹脂、及び、環状エステルの開環重合により得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。中で、本発明においては、芳香族ジオール及び/又は芳香族ジカルボン酸の重縮合により得られるポリエステル樹脂、及び芳香族オキシカルボン酸の重合により得られるポリエステル樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂より、一般に融点の低い脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂であるのが好ましい。
本発明におけるその脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂としては、脂肪族或いは脂環式ジオールと脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸との重縮合体又は共重縮合体であるのが好ましく、その脂肪族或いは脂環式ジオールとしては、炭素数が2〜40の脂肪族ジオール、或いは炭素数が3〜40の脂環式ジオールが好ましく、又、その脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸としては、カルボキシル基以外の炭素数が2〜40の脂肪族ジカルボン酸、或いはカルボキシル基以外の炭素数が3〜40の脂環式ジカルボン酸が好ましい。
その脂肪族或いは脂環式ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、テトラメチレンエーテルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等が挙げられ、中で、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。又、その脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸としては、具体的には、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、及びこれらジカルボン酸の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、無水物等の誘導体等が挙げられ、中で、琥珀酸が特に好ましい。
尚、本発明における脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂は、共重縮合成分として、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸、又は/及び、環状エステルを含む共重縮合体であってもよく、その脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸としては、炭素数が2〜12の2−ヒドロキシアルカン酸が好ましく、具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−n−酪酸、2−ヒドロキシ−n−吉草酸、2−ヒドロキシ−n−ヘキサン酸、2−ヒドロキシ−i−ヘキサン酸等が挙げられ、中で、グリコール酸、又は乳酸が特に好ましい。又、環状エステルとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状モノエステルであるラクトン類、及び、グリコリド、ラクチド等の環状ジエステルであるラクチド類が挙げられる。
更に、本発明における脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂は、共重縮合成分として、例えば、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、並びに、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、没食子酸、及び、林檎酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三官能以上の多官能成分等を含んでいてもよい。
本発明において好ましいとする、以上の脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、エチレングリコールと琥珀酸との重縮合体であるポリエチレンサクシネート、エチレングリコールと琥珀酸とアジピン酸の共重縮合体であるポリエチレンサクシネートアジペート、1,4−ブタンジオールと琥珀酸の重縮合体であるポリブチレンサクシネート、1,4−ブタンジオールと琥珀酸と乳酸の共重縮合体であるポリブチレンサクシネートラクテート、1,4−ブタンジオールと琥珀酸とアジピン酸の共重縮合体であるポリブチレンサクシネートアジペート、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸の共重縮合体であるポリブチレンアジペートテレフタレート、テトラメチレンエーテルグリコールと琥珀酸との重縮合体であるポリテトラメチレンエーテルグリコールサクシネート等が挙げられるが、外に、カプロラクトンの開環重合体であるポリカプロラクトン、乳酸の重合体であるポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシヘキサン酸等も対象とし得る。
又、本発明におけるポリエステル樹脂としては、数平均分子量が10,000〜200,000であるのが好ましく、20,000〜150,000であるのが特に好ましい。本発明において、ポリエステル樹脂として脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂を用いる場合、前記数平均分子量の範囲を満足するためには、該ポリエステル樹脂が、前記脂肪族或いは脂環式ジオールに由来する構成単位と前記脂肪族或いは脂環式ジカルボン酸に由来する構成単位の外に、更に、共重縮合成分として、脂肪族或いは脂環式オキシカルボン酸、又は環状エステルに由来する構成単位を含ませることにより高分子量化するか、又は、末端が実質的にヒドロキシル基であるポリエステルジオールに、その溶融状態でカップリング剤としてのイソシアナート化合物を添加してウレタン結合により高分子量化するか、又は、ジフェニルカーボネート等を添加してカーボネート結合により高分子量化する等の方法を採ることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の精製処理方法は、以上のポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、1mPa〜100MPaの範囲の圧力下で、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採ることを必須とする。
ここで、抽出剤としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、エタン、プロパン、ブタン、エチレン等の、単独流体又は混合流体が用いられ、中で、取扱性等の面から二酸化炭素が好ましい。尚、これらの抽出剤は、後述する加圧下で、液体状態、気体状態、超臨界状態等の相の状態を問わない。
又、本発明においては、前記抽出剤と共に、抽出助剤の共存下としてもよく、その抽出助剤としては、例えば、アセトン等の脂肪族ケトン類、メタノール、エタノール等の炭素数10以下の脂肪族アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。中で、脂肪族ケトン類が好ましく、アセトンが特に好ましい。尚、抽出助剤の濃度は、抽出剤との合計量に対して10重量%以下とするのが好ましく、0.1〜3重量%とするのが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂を前記抽出剤と接触させる際の温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上とし、結晶性樹脂の場合、好ましくは樹脂の融点未満、更に好ましくは樹脂の融点から5℃低い温度以下、特に好ましくは樹脂の融点より10℃低い温度以下とし、非晶性樹脂の場合も含めると、150℃以下とするのが好ましい。温度が前記範囲未満では、低分子量体の抽出効果が劣り、一方、前記範囲超過では、被処理樹脂が変形、融着を生じ易いこととなる。
又、前記ポリエステル樹脂を前記抽出剤と接触させる際の圧力は、1mPa〜100MPaの範囲とすることを必須とし、3mPa〜60MPaとするのが好ましく、7mPa〜40MPaとするのが特に好ましい。圧力が前記範囲未満では、低分子量体の抽出効果が劣り、一方、前記範囲超過では、抽出効率が向上しなくなり、経済的な不利を招くこととなる。
そして、本発明においては、前記範囲の温度下、前記範囲の圧力下であって、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採ることを必須と、その圧力変動幅は0.5〜30MPaとするのが好ましく、1〜25MPaとするのが特に好ましい。又、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採らない場合、即ち、前記圧力変動幅であっても、単に、加圧及び該加圧圧力からの減圧工程だけを採る場合、及び、圧力変動幅を前記範囲未満及び超過とする場合共、抽出効率が劣ることとなる。
尚、前記加圧の状態から、該加圧圧力からの減圧の状態を経て、該減圧圧力からの再加圧の状態に到るまでの時間は、生産性等の面から、1秒以上、10時間以内とするのが好ましく、10秒以上、5時間以内とするのが特に好ましい。又、前記加圧の状態、該加圧圧力からの減圧の状態、及び該減圧の状態からの再加圧の状態、を含む精製処理に要する時間は、1秒以上、72時間以内とするのが好ましく、10秒以上、24時間以内するのが特に好ましい。
又、本発明の精製処理方法において、抽出剤の量は、バッチ式処理においては、抽出剤の体積の被処理樹脂体積に対する割合として、1以上とするのが好ましく、2以上とするのが特に好ましい。流通式の処理においては、装置内の被処理樹脂体積と同体積の抽出剤が1回以上置き換わる量とするのが好ましく、1.5回以上置き換わる量とするのが特に好ましい。
尚、前記加圧の状態から、該加圧圧力からの減圧の状態にする際の減圧速度としては、被処理樹脂の発泡の抑制等の面から、20MPa/分以下とするのが好ましく、10MPa/分以下とするのが特に好ましい。又、本発明のポリエステル樹脂の精製処理方法に用いられる装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、精製処理するための耐圧容器、超臨界流体をその耐圧容器に供給するための高圧ポンプ、抽出物を含んだ流体を抽出物と流体とに分離するための減圧バルブを備えた分離槽、等を備えたものであるのが好ましい。
又、本発明の精製処理方法は、重縮合により得られた粒状体のポリエステル樹脂に施してもよく、或いは、ボトル、シート、フィルム等に成形したその成形体に施してもよいが、前記重縮合により得られた粒状体又はそれを粉砕した粉粒体に対して施す方が、処理時の表面積が大きく抽出効率の面で好ましい。又、本発明の精製処理方法により精製されたポリエステル樹脂或いはその成形体は、抽出剤、或いは、更に用いられた抽出助剤の除去を完全にするため、精製処理後に大気圧下にされた樹脂或いはその成形体を大気圧以下の減圧下で処理することもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位47.7モル%、琥珀酸に由来する構成単位47.7モル%、及び乳酸に由来する構成単位4.6モル%からなり、数平均分子量が58,900、融点が108℃、下記の方法で測定した環状オリゴマー含有量が約7,100ppmの脂肪族ポリエステル樹脂を用い、その径約2mm、長さ約3mmの円柱状ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に保持して二酸化炭素で置換した後、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で15分間保持し、次いで、1分かけて10MPaまで減圧して該圧力下で15分間保持した後、1分かけて30MPaまで昇圧して該圧力下で15分間保持した。この操作を8回繰り返し、最後の30MPaの圧力下で4時間保持した後、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。
1,4−ブタンジオールに由来する構成単位47.7モル%、琥珀酸に由来する構成単位47.7モル%、及び乳酸に由来する構成単位4.6モル%からなり、数平均分子量が58,900、融点が108℃、下記の方法で測定した環状オリゴマー含有量が約7,100ppmの脂肪族ポリエステル樹脂を用い、その径約2mm、長さ約3mmの円柱状ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に保持して二酸化炭素で置換した後、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で15分間保持し、次いで、1分かけて10MPaまで減圧して該圧力下で15分間保持した後、1分かけて30MPaまで昇圧して該圧力下で15分間保持した。この操作を8回繰り返し、最後の30MPaの圧力下で4時間保持した後、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、以下に示す方法で、環状オリゴマー含有量を測定し、結果を表1に示した。
<環状オリゴマー含有量>
ポリエステル樹脂ペレットをクロロホルムに溶解させ、次いで、アセトンにて再沈澱させ、そのアセトン中に含まれる環状オリゴマー量を液体クロマトグラフィーにより定量し、別途作製した検量線から環状オリゴマー含有量を読み取った。
<環状オリゴマー含有量>
ポリエステル樹脂ペレットをクロロホルムに溶解させ、次いで、アセトンにて再沈澱させ、そのアセトン中に含まれる環状オリゴマー量を液体クロマトグラフィーにより定量し、別途作製した検量線から環状オリゴマー含有量を読み取った。
更に、精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、以下に示す方法で、臭気の発生の有無、ガスの発生の有無、及び変形状態を評価し、更に、成形体としたときのオリゴマーのブリードアウトの発生の有無を評価し、結果を表1に示した。
<臭気の発生>
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを、直ちにスクリュウ管に詰めて密栓し、常温で1時間放置した後、開栓して臭いを嗅ぐことにより、以下の基準で評価した。
○;臭気を全く感じず。
△;僅かに臭気を感じる。
×;強い臭気を感じる。
<臭気の発生>
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを、直ちにスクリュウ管に詰めて密栓し、常温で1時間放置した後、開栓して臭いを嗅ぐことにより、以下の基準で評価した。
○;臭気を全く感じず。
△;僅かに臭気を感じる。
×;強い臭気を感じる。
<ガスの発生>
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを、直ちにスクリュウ管に半量程度詰めて密栓し、常温で10分間放置した後、開栓したときの噴出音を聞くことにより、以下の基準で評価した。
○;噴出音は全く発生しない。
△;僅かな噴出音が発生する。
×;顕著な噴出音が発生する。
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを、直ちにスクリュウ管に半量程度詰めて密栓し、常温で10分間放置した後、開栓したときの噴出音を聞くことにより、以下の基準で評価した。
○;噴出音は全く発生しない。
△;僅かな噴出音が発生する。
×;顕著な噴出音が発生する。
<変形状態>
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを目視観察して処理前の形状と比較し、以下の基準で評価した。
○;発泡も生じず、形状の変化もない。
×;発泡が生じているか、形状が変化している。
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットを目視観察して処理前の形状と比較し、以下の基準で評価した。
○;発泡も生じず、形状の変化もない。
×;発泡が生じているか、形状が変化している。
<オリゴマーのブリードアウト>
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットからプレスシートを作製し、温度50℃、相対湿度50%で1週間放置した後、シート表面を指で擦ることにより、オリゴマーのブリードアウトの有無を、以下の基準で評価した。
○;ブリードアウトは全く認められない。
×;ブリードアウトが認めらる。
精製処理後のポリエステル樹脂ペレットからプレスシートを作製し、温度50℃、相対湿度50%で1週間放置した後、シート表面を指で擦ることにより、オリゴマーのブリードアウトの有無を、以下の基準で評価した。
○;ブリードアウトは全く認められない。
×;ブリードアウトが認めらる。
実施例2
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で30分間保持し、次いで、1分かけて10MPaまで減圧して該圧力下で30分間保持した後、1分かけて30MPaまで昇圧して該圧力下で4時間保持した後、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で30分間保持し、次いで、1分かけて10MPaまで減圧して該圧力下で30分間保持した後、1分かけて30MPaまで昇圧して該圧力下で4時間保持した後、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例3
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で4時間保持した後、5分かけて約1kPaまで減圧し、該圧力下で10分間保持した後、大気圧まで加圧し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で4時間保持した後、5分かけて約1kPaまで減圧し、該圧力下で10分間保持した後、大気圧まで加圧し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
比較例1
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で8時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で8時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
比較例2
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で4.75時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を85℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で4.75時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
比較例3
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を95℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で7時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
実施例1にて用いたと同じポリエステル樹脂ペレット50gを100ccの耐圧容器に入れ、該容器内を95℃に維持し、二酸化炭素を30MPaの内圧となるように圧入し、該圧力下で7時間保持し、次いで、10MPa/分の減圧速度で常圧に戻し、容器からペレットを取り出した。尚、その間の二酸化炭素の流量は、6ml/分とした。得られた精製処理後のポリエステル樹脂ペレットについて、実施例1におけると同様にして評価し、結果を表1に示した。
本発明のポリエステル樹脂の精製処理方法は、オリゴマー等の低分子量体を短時間で効率的に、形態を損なうことなく低減化することができ、成形体としての表面のオリゴマー等のブリードアウトや、臭気の発生、及び成形時の金型を汚染する等の種々の問題に解決を与え得こと、更に、精製処理に有機溶媒を使用しないためその混入がないこと等から、包装容器等の用途に用いられる、特に、生分解生を有する脂肪族或いは脂環式ポリエステル樹脂の精製処理に好適に用いられる。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂を加圧下に抽出剤と接触させて精製処理するにおいて、1mPa〜100MPaの範囲の圧力下で、圧力変動幅を0.1〜50MPaとして、順次、加圧、該加圧圧力からの減圧、該減圧圧力からの再加圧の工程を採ることを特徴とするポリエステル樹脂の精製処理方法。
- 加圧の状態から、該加圧圧力からの減圧の状態を経て、該減圧圧力からの再加圧の状態に到るまでの時間を、1秒以上、10時間以内とする請求項1に記載のポリエステル樹脂の精製処理方法。
- 精製処理時の温度を、0℃以上、150℃以下とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の精製処理方法。
- ポリエステル樹脂が、脂肪族或いは脂環式ポリエステルである請求項1乃至3のいずれかに記載のポリエステル樹脂の精製処理方法。
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