JP2008239783A - ポリエーテルエステルブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短く、耐加水分解性に優れ、医療用器具材料として好適なポリエーテルエステルブロック共重合体を提供する。
【解決手段】a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分から製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体であって、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
【選択図】図1

Description

本発明はポリエーテルエステルブロック共重合体およびその製造方法に関するものである。詳しくは、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短く、耐加水分解性に優れ、医療用器具の材料に好適なポリエーテルエステルブロック共重合体と、このようなポリエーテルエステルブロック共重合体を製造方法する方法に関する。
ポリエステル樹脂は各種成形方法により、フィルム、繊維、成形体などに成形することができ、広い分野で利用されている。中でも脂環式ジカルボン酸、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、「1,4−CHDA」と略記することがある)を主たるジカルボン酸成分とし、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下「1,4−CHDM」と略記することがある)等の脂環式ジオールを主たるジオール成分とするポリエステル樹脂は、透明性や耐熱性、耐候性に優れることから、その用途が拡がりつつあり、特に優れた化学的安定性、安全性などの面から医療用具材料として期待されている。
ポリエステル樹脂を医療用具材料として用いる場合、日本国内では、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験における泡立ち試験の規格(泡の消失時間:3分(180秒)以下)を満足することが必須の要件となる。
従来、医療用具材料に適用し得るポリエステル樹脂としては、次のようなものが提案されている。
(1)炭素数2〜40のジカルボン酸および1,4−CHDMと、軟質成分としての分子量約1900〜5100のポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記することがある)(PTMGの割合50〜90重量%)とから製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体(特許文献1)
(2)トランス体が70%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジメチルエステル(以下「1,4−DMCD」と略記することがある)および1,4−CHDMと、軟質成分としてのPTMG(分子量500〜1100,PTMGの割合15〜50重量%)とから製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体(特許文献2)
(3)エステル交換反応触媒の存在下で1種類以上の比較的揮発性のジオールと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステルとの反応によりポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を製造するにあたり、反応の初期段階を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステルを基準として3〜25モル%の1種類以上の炭素数2〜6の脂肪酸ジオールの存在下で実施することにより製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体(特許文献3)
(4)シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノール、軟質成分としての炭素数2〜10の異なる2種以上のアルキレン単位からなる分子量が500〜4000の共重合ポリエーテルグリコール成分とから得られ、テトラヒドロフラン含有量が15ppm以下で、芳香族成分を含むオリゴマー成分を含まないポリエーテルエステルブロック共重合体(特許文献4)。
(5)脂環式ジカルボン酸成分として1,4−CHDAを用い、脂環式ジオール成分として1,4−CHDMを用いることにより、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が180秒以下としたポリエーテルエステルブロック共重合体(特許文献5)。
米国特許3,261,812号公報 米国特許4,349,469号公報 特表2002−540269号公報 特開2001−172376号公報 特開2005−298555号公報
しかしながら、従来のポリエステル樹脂では、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験における泡立ち試験の規格(泡の消失時間:3分(180秒)以下)を満足し得ない場合があった。
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短く、耐加水分解性に優れ、医療用器具材料として好適なポリエーテルエステルブロック共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、(a)脂環式ジカルボン酸成分、(b)脂環式ジオール成分、および、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールから製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないポリエーテルエステルブロック共重合体であれば、この課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、(a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分から製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体であって、GPCを用いて測定された分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体、に存する。
本発明の別の要旨は、このポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する方法であって、(a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分とを原料として、エステル化反応またはエステル交換反応とその後の重縮合反応を経て、前記サブピークまたはショルダーを有するポリエーテルエステルブロック共重合体を製造し、該ポリエーテルエステルブロック共重合体を熱水および/または有機溶媒で処理することにより、該サブピークまたはショルダーの無いポリエーテルエステルブロック共重合体とすることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法、に存する。
更に、本発明の別の要旨は、この方法で製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体、に存する。
本発明によれば、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短く、耐加水分解性に優れ、医療用器具の材料に好適なポリエーテルエステルブロック共重合体が提供される。
以下に本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されるものではない。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、(a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分から製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体であって、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないことを特徴とする。
なお、本発明において、「主成分とする」とは、当該成分の通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、より好ましくは実質的100モル%を占める成分をさす。
本発明は、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピーク又はショルダーが無いことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体組成物であり、本発明における好ましいポリエーテルエステルブロック共重合体組成物のGPCを用いて測定される分子量分布のチャートの例を図1に示す。
図1に示した分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が300〜3000の部分を拡大した分子量分布のチャートを図2に示す。
図2に示されるように、ポリスチレン換算分子量900〜1800のピークをメインピークと同程度の大きさまで拡大しても、本発明におけるポリエーテルエステルブロック共重合体組成物にはポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピーク又はショルダーが無い。
[ジカルボン酸成分]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体に用いられるジカルボン酸成分の主成分である脂環式ジカルボン酸成分としては、脂環式ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を用いることができる。脂環式ジカルボン酸としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらの脂環式ジカルボン酸の例えばアルキルエステル、酸無水物、酸ハライドを好適に用いることができるが、アルキルエステルがより好ましく用いられる。この場合、アルキルエステルのアルキル基は炭素数1から6程度のものが好ましく、メチル基がより好ましい。このような脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)のジメチルエステル(1,4−DMCD)、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のジメチルエステル等が挙げられる。なかでも1,4−CHDAおよびそのエステル形成性誘導体は工業的に入手しやすく、得られるポリエーテルエステルブロック共重合体の成形温度が従来のポリエステル樹脂の成形温度に近いので、好ましく用いられる。特に好ましい脂環式ジカルボン酸は、本発明による効果の発現性に優れることから、1,4−CHDAである。
脂環式ジカルボン酸成分としての1,4−CHDAおよびそのエステル形成誘導体は通常は、トランス体とシス体の混合物として得られる。1,4−CHDAおよびそのエステル形成誘導体のトランス体のモル%は、得られるポリエステル樹脂の耐熱性の観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましいのは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは93%以上である。
これら主成分としての脂環式ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸成分には、主成分である脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体が含まれていてもよい。ジカルボン酸成分に含まれる、主成分である脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸としては例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、および、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのジカルボン酸成分の例えば、アルキルエステル、酸無水物、酸ハライドを好適に用いることができるが、アルキルエステルがより好ましい。この場合、アルキルエステルのアルキル基は炭素数1から6程度のものが好ましく、メチル基がより好ましく、具体的には、テレフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、1,4-フェニレンジオキシジカルボン酸ジメチル、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸ジメチル、4,4’-ジフェニルジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸ジメチル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジメチルエステル、および、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、ウンデカジカルボン酸ジメチル、ドデカジカルボン酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸のジメチルエステル等が挙げられる。
これら主成分とならないジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[ジオール成分]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体に用いられるジオール成分の主成分である脂環式ジオール成分である脂環式ジオールとしては、例えば、1,2−、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン等の6員環ジオールが挙げられる。これらの脂環式ジオール成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂環式ジオール成分としては、好ましくは、1,2−、1,3−、1,4−CHDMが挙げられる。中でも、1,4−CHDMは、高重合度ポリエーテルエステルブロック共重合体が得やすいこと、高いガラス転移点のポリエーテルエステルブロック共重合体が得られること等から好ましく用いられる。
1,4−CHDMは、通常トランス体とシス体との混合物であり、そのトランス体のモル%は通常60%以上である。
脂環式ジオール成分以外のジオール成分として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、トリシクロデカンジメタノールおよび、キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等が挙げられる。これら主成分とならないジオール成分も1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等はポリエステルに柔軟性を付与するのに好適に用いられるが、ポリエチレングリコールを用いた場合はポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いた場合より柔軟性が劣るため、本発明においては、これらのうち、特に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を必須とする。本発明において用いられるPTMGの数平均分子量は300以上、好ましくは500以上、より好ましくは800以上である。数平均分子量が300未満のPTMGを用いた場合、得られるポリエーテルエステルブロック共重合体の融点降下が激しくなって、耐熱性などに悪影響を及ぼす場合がある。さらに、前記のPTMGの数平均分子量は6000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下のものが用いられる。数平均分子量が6000を超えるPTMGを用いた場合、PTMGの粘度が上がるため、それを用いたポリエーテルエステルブロック共重合体の相分離が顕著となり、該共重合体を用いた成形物の物性が低下する場合がある。
[その他の成分]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造原料としては、得られるポリエーテルエステルブロック共重合体の溶融粘度を調整し、成形性を高めるために、前記ジオール成分およびジカルボン酸成分以外の少量共重合成分として、三官能以上の多官能成分が用いられてもよい。多官能成分の例としては、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等が挙げられる。これらの成分も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[好適物性]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピーク又はショルダーが無いことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体組成物であり、本発明における好ましいポリエーテルエステルブロック共重合体組成物のGPCを用いて測定される分子量分布のチャートの例を図1に示す。
図1に示した分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が300〜3000の部分を拡大した分子量分布のチャートを図2に示す。
図2に示されるように、本発明におけるポリエーテルエステルブロック共重合体組成物にはポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピーク又はショルダーが無い。
図1で示すような本発明で規定する分子量分布を満足したポリエーテルエステルブロック共重合体組成物は、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験で泡の消失時間が短くなる傾向があり好ましい。
一方、図3はポリスチレン換算分子量が500から900のサブピーク又はショルダーを有するポリエーテルエステルブロック共重合体の分子量分布のチャートであるが、このような分子量分布を有するポリエーテルエステルブロック共重合体は日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が長くなる傾向となり好ましくない。
即ち、このポリスチレン換算分子量500〜900のサブピークまたはショルダーは、環状オリゴマー等に由来するものであり、このようなサブピークまたはショルダーを持つポリエーテルエステルブロック共重合体は、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験における泡立ち試験により上記環状オリゴマー等が溶出し泡の消失時間が長くなる傾向となる。
ポリスチレン換算分子量が500〜900にサブピークまたはショルダーが存在しないものであれば、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験における泡立ち試験による泡の消失時間が短く、優れた耐加水分解性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体を提供し得る。
なお、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないことにより、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験の規格を満たすものであるが、この泡立ち試験は下記の方法で行うものである。
<泡立ち試験方法>
泡立ち試験は、第十四改正日本薬局方の「55.プラスチック製医薬品容器試験法の2.溶出物試験(i)泡立ち」に従って下記のとおり行った。
すなわち、サンプルを表裏の表面積が約1200cmになるように切断し、切断片を集め、さらにこれらを長さ約5cm、幅約0.5cmの大きさに細断し、水で洗った後室温で乾燥する。
上記サンプルをアルカリ溶出試験に適合する内容約300mlのガラス容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、高圧蒸気滅菌機を用いて121℃で1時間加熱し、この溶液を試験液とする。
試験液5mlを内径約15mm、長さ約200mmの共栓試験管に入れ3分間激しく振り混ぜ、生じた泡がほとんど消失するまでの時間を測定する。
なお、本試験の規格はこの泡の消失時間を3分(180秒)以下と定めている。
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、ポリエーテルエステルブロック共重合体の総末端に対するアルキルエステル末端の割合が1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.2モル%以下である。
ポリエーテルエステルブロック共重合体の総末端に対するアルキルエステル末端の割合が1モル%より多いと、重合反応時の触媒量が増えることになり、得られるポリエーテルエステルブロック共重合体の成形物表面に触媒残渣によるブツ等が発生し、表面外観が悪くなる場合がある。
更に、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の末端酸価は40当量/トン以下が好ましく、さらに好ましくは35当量/トン以下、特に好ましくは30当量/トン以下である。ポリエーテルエステルブロック共重合体の末端酸価が40当量/トンより大きいとポリエーテルエステルブロック共重合体の耐加水分解性が劣る場合がある。
また、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、固有粘度(IV)が0.4dl/g以上、特に0.6dl/g以上で、1.5dl/g以下、特に1.3dl/g以下であることが好ましい。固有粘度がこの範囲よりも小さいと成形時に溶融粘度が低すぎて成形性に劣り、また得られる成形体の機械的強度が不足する場合があるので好ましくない。一方、固有粘度がこの範囲よりも大きいと流動性が低下し且つ成形性に劣る場合がある。
[ポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法]
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法は、(a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むジオール成分から製造されることが必須である他は特に制限されないが、好ましい態様としては、エステル化反応もしくはエステル交換反応を経て溶融重縮合反応を行う。また必要に応じて引き続いて固相重縮合反応を行いさらに高い固有粘度のポリエステルエーテルブロック共重合体を得ることができる。この場合溶融重縮合でポリエステルエーテルブロック共重合体の固有粘度(IV)は0.1dl/g以上0.8dl/g未満が好ましく、次いで固相重縮合によりIVを0.8dl/g以上にすることが出来る。この方法を用いることにより、前述の好適物性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体を製造することができる。
ジカルボン酸成分の原料としてジカルボン酸を用いる場合、エステル化反応に供するジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は1.00以上、好ましくは1.01以上さらに好ましくは1.02以上で行う。モル比が1.00より小さい時は前述の好適物性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体が得られない場合がある。さらに、エステル化反応に供するジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は1.50以下、好ましくは1.40以下、さらに好ましくは1.30以下である。このモル比が1.50より大きい時は重合性が低下する傾向となり、高い固有粘度のポリエーテルエステルブロック共重合体が得られない場合がある。また、ジカルボン酸成分としてジカルボン酸のアルキルエステルを用いる場合、エステル化反応に供するジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は0.70以上、好ましくは0.75以上さらに好ましくは0.80以上で行う。このモル比が0.70より小さい時は、前述の好適物性を有するポリエーテルエステルブロック共重合体が得られない場合がある。さらに、エステル化反応に供するジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は1.50以下、好ましくは1.40以下、さらに好ましくは1.30以下である。このモル比が1.50より大きい時は重合性が低下する傾向となり、高い固有粘度のポリエーテルエステルブロック共重合体が得られない場合がある。
なお、全ポリマー中の前述のポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合については、5重量%以上が好ましく、より好ましくは7重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。全ポリマー中のポリテトラメチレンエーテルグリコールが5重量%未満では柔軟性に劣る場合がある。さらに、全ポリマー中のポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合について50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%以下である。この割合が50重量%を超えると得られるポリマーの耐熱性が低下する場合がある。
エステル化もしくはエステル交換反応を行う時の触媒の有無は特に限定されないが、通常、触媒の存在下に行なわれる。用いられる触媒も特に限定されず、例えばポリエステルのエステル化もしくはエステル交換触媒として公知のチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などが挙げられる。なかでも、チタン化合物は、エステル化、エステル交換および後述の重縮合のいずれの反応においても活性が高く好ましく用いられる。チタン化合物としては、例えばテトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、あるいはこれら有機チタネートの加水分解物などが単独で、或いは複数種併用で用いられる。
エステル化もしくはエステル交換反応は特に限定されないが、例えば、原料ジカルボン酸成分とジオール成分と、必要に応じて用いられるその他の成分とを、攪拌機および留出管を備えた反応槽に仕込み、反応触媒を加え不活性ガス雰囲気下攪拌しながら反応によって生ずる水もしくはアルコールを留去しながら行うことができる。エステル化もしくはエステル交換反応は、通常150℃以上、好ましくは180℃以上で、230℃以下、好ましくは220℃以下で、絶対圧力100〜110kPa程度の常圧乃至加圧下で10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間行われる。
エステル化もしくはエステル交換反応終了後、これらの反応の反応液に必要に応じて重縮合触媒などを添加し、徐々に反応槽内を減圧にしながら溶融重縮合反応を行うことができる。
重縮合触媒としてはチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などが一般的に用いられる。
重縮合触媒は、用いられる各化合物由来の金属原子換算で、通常生成するポリマーに対して5ppm以上、好ましくは10ppm以上で用いることが出来、5ppm未満では反応促進効果が乏しい場合がある。また、触媒は2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下となる範囲で用いることができ、2000ppmを超えると着色等の問題が生じる場合がある。
なお、エステル化もしくはエステル交換触媒を重縮合触媒としても使用する場合、通常、エステル化もしくはエステル交換触媒として添加された金属化合物と重縮合触媒として後から添加された金属化合物の合計が、金属原子換算で生成するポリマーに対して上記範囲となるように用いる。
なお、エステル化もしくはエステル交換および/または重縮合反応時に、本発明の効果を阻害しない範囲でマグネシウム化合物、リン化合物などを併用してもよい。
一般的に重縮合反応は、エステル化もしくはエステル交換反応液を、攪拌機、留出管および減圧付加装置を備えた重縮合槽に移送し、必要に応じて重縮合触媒などを添加し徐々に反応槽内を減圧にしながら行う。
なお 反応槽に減圧付加装置を備えて、一槽でエステル化もしくはエステル交換反応および重縮合反応を行うこともできる。この場合の反応条件はエステル化もしくはエステル
交換反応終了温度以上、270℃以下、好ましくは265℃以下で、槽内圧力が常圧から最終的に絶対圧力で1kPa以下となる圧力、好ましくは0.5kPa以下で、10分〜10時間、好ましくは30分〜5時間行ない、固有粘度(IV)0.4dl/g以上1.5dl/g未満のポリエーテルエステルブロック共重合体とする。
重縮合反応物(ポリエーテルエステルブロック共重合体)は、反応終了後、槽底部よりストランド状に抜き出され水冷されながらカッティングされることにより、ペレットとして得られるのが一般的である。
このペレットを用いて、引き続き固相重縮合を行うこともできる。固相重縮合の方法は特に限定されず、ペレットを結晶化させた後、静置下イナートオーブンまたは真空乾燥機中で行っても良く、ダブルコーン型固相重縮合装置や移動床、流動床を使用してもよい。固相重縮合は通常ポリマーの融点より10〜50℃低い温度、好ましくは10〜40℃低い温度で、窒素等の不活性ガス下、または絶対圧力1kPa以下の減圧下で1〜48時間、好ましくは2〜48時間かけて行うことにより、IVが0.8dl/g以上の重合度となるポリエーテルエステルブロック共重合体を得ることができる。
なお、これら一連の反応は回分法でも連続法でも行うことができる。
本発明においては、前述の如く、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないポリエーテルエステルブロック共重合体とするために、上述のようにして製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体に対して、後処理として、次のような熱水処理または有機溶媒処理を施すことが好ましい。
<熱水処理>
熱水処理は、製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体を熱水に接触させて、好ましくは熱水中に浸漬して所定時間保持する処理である。熱水処理はポリエーテルエステルブロック共重合体を密閉容器に入れて、自然加圧下で行うことが好ましく、熱水処理に用いる熱水の温度は常圧下80℃以上、密閉状態での自然加圧下150℃以下であることが好ましい。
処理時間は、熱水の温度によっても異なるが、通常30分以上、12時間以下である。
この熱水処理の温度が上記範囲よりも低過ぎたり、処理時間が短か過ぎたりすると、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーの無いポリエーテルエステルブロック共重合体とすることができない場合があり、熱水温度が高過ぎたり、処理時間が長過ぎたりすると、加水分解による分子量の低下を起こす場合がある。
この熱水処理後は、熱水からポリエーテルエステルブロック共重合体を取り出して、適宜乾燥処理を行う。
<有機溶媒処理>
有機溶媒処理は、ポリエーテルエステルブロック共重合体を有機溶媒に接触させて、好ましくは有機溶媒中に浸漬して所定時間保持する処理である。この有機溶媒処理に用いる有機溶媒としては、ポリエーテルエステルブロック共重合体が溶解し難い水溶性の溶媒を用いるのが好ましく、具体的にはアセトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、水と混合して用いても良い。
有機溶媒処理の処理温度は、通常0℃以上、100℃以下である。
また、処理時間は用いる溶媒や処理温度によっても異なるが、通常1〜48時間の範囲で行うことができる。この時間が短か過ぎるとGPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーの無いポリエーテルエステルブロック共重合体とすることができない場合があり、処理時間が長過ぎるとポリエーテルエステルブロック共重合体の溶解、膨潤を起こす場合がある。
この有機溶媒処理後は、有機溶媒からポリエーテルエステルブロック共重合体を取り出して、適宜乾燥処理を行う。
なお、上記熱水処理に用いられる熱水量や、有機溶媒処理に用いる有機溶媒量が少な過ぎると、十分な処理効果が得られず、多過ぎると廃溶媒処理の問題が生じる。これら熱水量、有機溶媒量は、その他の条件や、処理するポリエーテルエステルブロック共重合体の形態によっても異なるが、ポリエーテルエステルブロック共重合体100gに対し200〜2000ml程度とするのが好ましい。
このような熱水処理または有機溶媒処理は、ストランドからカットされたペレット状(チップ状)のポリエーテルエステルブロック共重合体に対して行っても良く、ストランド状態のポリエーテルエステルブロック共重合体に対して行っても良く、プレスシート、フィルム状のポリエーテルエステルブロック共重合体に対して行っても良い。ただし、処理効果の面では、ペレット状のポリエーテルエステルブロック共重合体に対して行うことが好ましい。
ポリエーテルエステルブロック共重合体に対して、上記の熱水処理と有機溶媒処理の両方の処理を行っても良く、また、熱水処理または有機溶媒処理を2回以上行っても良い。この場合には、各々の処理時間を30分程度に短縮しても良い。
通常、脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、脂環式ジオール成分を主成分とし、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分から製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体は、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在するが、このような熱水処理および/または有機溶剤処理を行うことにより、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないポリエーテルエステルブロック共重合体とすることができ、これにより、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間を短くすることができる。
なお、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体には、GPCを用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないという必須要件を満たし、また、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験特性を満足する限り、ポリエーテルエステルブロック共重合体原料には必要に応じて各種の添加成分を配合することができ、例えば、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、パラフィンオイル等の可塑剤、フッ素樹脂パウダー、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を配合することができる。
こうして得られた本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は医療用具材料として好適に用いられ、例えば通常の溶融成型法により、輸液バッグ、輸血管、注射器、絆創膏、サージカルテープ、医療補助用テープの基材等の医療用具とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下において、ポリエーテルエステルブロック共重合体の物性の評価方法は、次の通りである。
[固有粘度(IV)]
ポリエステルペレットをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒としウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定することにより求めた。
[ポリマー末端酸価(AV)]
ポリエステルペレットをベンジルアルコールに溶解し、0.1N−NaOHにより滴定した値であり、ポリマー1トン当たりの酸当量である。
[ポリマーの末端アルキルエステルの分析]
Bruker社製NMR AVANCE400を使用し、重水素化クロロホルムを溶媒として測定し、ポリエーテルエステルブロック共重合体の総末端に対するアルキルエステル末端の割合(アルキルエステル末端割合)を算出した。
[日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準拠した泡立ち試験]
ポリマーペレットを250℃でプレスして0.4mm厚のシートを製造した。このサンプルを表裏の表面積が約1200cmになるように切断し、切断片を集め、さらにこれらを長さ約5cm、幅約0.5cmの大きさに細断し、水で洗った後室温で乾燥した。
上記シートサンプルをアルカリ溶出試験に適合する内容約300mlの硬質ガラス製容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、高圧蒸気滅菌機を用いて121℃で1時間加熱した後硬質ガラス製容器を取り出して室温になるまで放置し、この溶液を試験液とした。
試験液5mlを内径約15mm、長さ約200mmの共栓試験管に入れ3分間手で激しく振り混ぜ、目視で生じた泡が同様の試験を水のみで行った場合と同程度の状態まで消失するまでの時間(泡消失時間)を測定した。
[GPC分析]
ポリエステルサンプルをクロロホルム0.1重量%に溶解し、0.45μmポリテトラフルオロエチレンフィルターで濾過した後、100μLを東ソー社製「HLC−8220GPC」に注入し、カラム「PL10u Mixed B(30cm×2)」を用いてカラム温度40℃、移動相クロロホルム、流速1.0mL/分でRIにより検出した、較正試料として単分散ポリスチレンを用いてポリスチレン換算分子量を算出した。
また、実施例で採用した熱水処理および有機溶媒処理の方法は次の通りである。
<熱水処理>
ポリエステルペレット100gを500mlのガラス容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、平山製作所製高圧蒸気滅菌機PC−242に入れ、密閉した後30分かけて121℃まで昇温し、自然加圧下(約120kPa)で1時間加熱した。自然放冷後、ポリエステルペレットを取り出し、70℃で5時間減圧乾燥した。
<有機溶媒処理(アセトン処理)>
ポリエステルペレット100gを500mlのガラス容器に入れ、アセトン200mlを正確に加え、栓で密封した後、室温で24時間静置した後、ポリエステルペレットを取り出し、70℃で5時間減圧乾燥した。
[実施例1,2、比較例1]
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化学製、トランス体の割合95%)78.30g(0.455mol)と1,4−CHDM(SKChemicals製、トランス体の割合70%)60.27g(0.418mol)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG1000、三菱化学製、Mn=1014)22.50g(0.0222mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学製)の6重量%1,4−ブタンジオール(三菱化学製)溶液0.8884g(得られるポリエステルに対してチタンとして50重量ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成製)0.2621g(0.00136mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ製)0.315gを仕込んだ(ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比1.04)。反応器空間を窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、油浴中で150℃まで加熱し、反応器内温を1時間かけて200℃まで昇温し、その後1時間にわたって200℃に保持してエステル化反応を行った。内温を45分かけて250℃に昇温させながら徐々に反応器内を減圧にし、重縮合反応を行った。さらに反応器内圧力0.1kPa、反応温度250℃に保ち、所定の粘度になるまで反応させた。反応後、反応器内を窒素で復圧し、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を、反応器底部からストランド状に水中に抜き出し、ペレット状にした。重縮合時間は、減圧開始から反応終了までの時間とした。反応終了は、反応槽内の圧力が常圧になった時点とした。
得られたポリエーテルエステルブロック共重合体について、上記の熱水処理(実施例1)、上記のアセトン処理(実施例2)、または無処理(比較例1)で評価を行い、結果を表1,2に示した。
[実施例3,4、比較例2]
1,4−CHDM量を58.62g(0.406mol)とした(ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比1.01)こと以外は、実施例1,2および比較例1と同様にしてポリエーテルエステルブロック共重合体を製造し、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体について、熱水処理(実施例3)、アセトン処理(実施例4)、または無処理(比較例2)で評価を行い、結果を表1,2に示した。
[実施例5,6、比較例3]
1,4−CHDAを69.09g(0.401mol)、1,4-CHDMを50.11g(0.347mol)、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを37.50g(0.0370mol)、トリメリット酸無水物を0.2313g(0.00120mol)とした(ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比1.04)こと以外は、実施例1,2および比較例1と同様にしてポリエーテルエステルブロック共重合体を製造し、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体について、熱水処理(実施例5)、アセトン処理(実施例6)、または無処理(比較例3)で評価を行い、結果を表1,2に示した。
[実施例7,8]
実施例1において、1,4−CHDAの代りに1,4−DMCD(トランス体の割合95%)を91.06g(0.455mol)用い、1,4-CHDMを61.32g(0.425mol)、テトラ−n−ブチルチタネートの6重量%ブタンジオール溶液1.7768g(得られるポリエステルに対してチタンとして100重量ppm)とし(ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比1.02)、同様に反応器空間を窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、油浴中で150℃まで加熱し、反応器内温を1時間かけて200℃まで昇温し、その後2時間にわたって200℃に保持してエステル交換反応を行った。内温を30分かけて240℃に昇温させながら徐々に反応器内を減圧にし、重縮合反応を行った。さらに反応器内圧力0.1kPa、反応温度240℃に保ち、所定の粘度になるまで反応させてポリエーテルエステルブロック共重合体を製造した。得られたポリエーテルエステルブロック共重合体について、熱水処理(実施例7)またはアセトン処理(実施例8)して評価を行い、結果を表1,2に示した。
Figure 2008239783
Figure 2008239783
表1,2より、本発明によれば、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短く、耐加水分解性に優れ、医療用器具の材料に好適なポリエーテルエステルブロック共重合体が提供されることが分かる。
本発明における好ましいポリエーテルエステルブロック共重合体組成物のGPCを用いて測定される分子量分布のチャートである。 図1に示した分子量分布のチャートにおいて、ポリスチレン換算分子量が300〜3000の部分を拡大した分子量分布のチャートである。 ポリスチレン換算分子量が500から900のサブピーク又はショルダーを有するポリエーテルエステルブロック共重合体の分子量分布のチャートである。

Claims (6)

  1. (a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分から製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される分子量分布のチャートにおいて、メインピークがポリスチレン換算分子量40000〜120000であり、ポリスチレン換算分子量が500〜900のサブピークまたはショルダーが存在しないことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
  2. (a)脂環式ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、(b)脂環式ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
  3. ポリエーテルエステルブロック共重合体の総末端に対するアルキルエステル末端の割合が1モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
  4. 日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が180秒以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体を製造する方法であって、(a)脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、(b)脂環式ジオール成分を主成分とし、(c)ポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含むジオール成分とを原料として、エステル化反応またはエステル交換反応とその後の重縮合反応を経て、前記サブピークまたはショルダーを有するポリエーテルエステルブロック共重合体を製造し、該ポリエーテルエステルブロック共重合体を熱水および/または有機溶媒で処理することにより、該サブピークまたはショルダーの無いポリエーテルエステルブロック共重合体とすることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法。
  6. 請求項5の方法で製造されたポリエーテルエステルブロック共重合体。
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