JP2005298555A - ポリエステルおよびその製造方法並びに該ポリエステルを用いてなる医療用具 - Google Patents

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厚 笠井
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Abstract

【課題】 日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が短い、医療用器具の材料に好適なポリエステルおよびその製造法を提供する。
【解決手段】 脂環式ジカルボン酸成分と脂環式ジオール成分とを主成分とするポリエステルであって、特定の固相重縮合条件を用いることにより、脂環式ジカルボン酸成分と脂環式ジオール成分とを主成分とし、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が180秒以下であるポリエステルを得ることができる。

Description

本発明はポリエステルに関するものである。詳しくは医療用具材料に適するポリエステルおよびその製造法に関する。
ポリエステル樹脂は各種成形方法により、フィルム、繊維、成形体などに成形でき、広い分野で利用されている。中でも脂環式ジカルボン酸、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下、1,4−CHDAと略記することがある)を主たるジカルボン酸成分とし、脂環式ジオールを主たるジオール成分とするポリエステルは透明性や耐熱性、耐候性がすぐれていて用途が拡がりつつあり、化学的安定性、安全性などの面から医療用具材料として期待されている。
このようなポリエステルとして1,4−CHDA成分の原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル(以下、1,4−DMCDと略記することがある)、脂環式ジオール成分の原料として1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、1,4−CHDMと略記することがある)を用いてエステル交換反応を経て重縮合することにより作られるポリエステルが知られており、例えば、特許文献1には、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルとシクロヘキサンジメタノールを原料として得られる構成単位を有し、ポリマー末端酸価が6ミリ当量/kg以下で、特定の粘度を有するポリエステルが開示されている。
特許文献2には、同じくシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステルとシクロヘキサンジメタノールを原料として得られる構成単位を有し、固相重縮合により得られる特定の粘度を有するポリエステルが記載されている。
しかしながらこれら特許文献1及び特許文献2に記載の方法で得られるポリエステルはポリマー末端酸価は低いものの耐加水分解性が劣るものであり、水を加えて121℃で処理すると分子量の低下が著しく、日本国内で医療用具材料として用いるためには必須の要件である日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験で、泡立ち試験の規格を満足するのが困難であるという問題がある。
特許文献3には、脂環式ジカルボン酸成分の原料として1,4−CHDA、脂環式ジオール成分の原料として1,4−CHDMを用いてエステル化反応を経て重縮合することにより作られるポリエステルが記載されており、固相重縮合を用いてもよいとの記載がある。しかし記載されている具体的な条件で製造したポリエステルでは、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験で、泡立ち試験の規格を満足できないという問題がある。
米国特許5986040号公報 米国特許6455664号公報 特開2000−290356号公報
本発明の課題は上記問題点に鑑み、耐加水分解性に優れ、医療用器具の材料に好適なポリエステルを提供することを目的とする。即ち、医薬品容器の泡立ち試験で泡の消失時間の短いポリエステルおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、脂環式ジカルボン酸成分と脂環式ジオール成分とを主成分とするポリエステルを用いることにより、課題を解決できる
ことを見出し本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、脂環式ジカルボン酸成分と脂環式ジオール成分とを主成分とし、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が180秒以下であるポリエステルに存する。
本発明のポリエステルは、各種成形方法により、フィルム、繊維、成形体などに成形でき、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験で泡の消失時間が180秒以下であるので、医療器具として用いることができ、非常に有用である。
以下に本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に限定されるものではない。
<ポリエステル成分>
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分とを原料としてエステル化反応、又はエステル交換反応を経て溶融重縮合反応、固相重縮合反応により得られるポリエステルであって、ポリエステルに用いられるジカルボン酸成分の主成分が、脂環式ジカルボン酸成分である。ここで主成分とは、全ジカルボン酸成分に対する脂環式ジカルボン酸成分の割合が50モル%以上であることをいう。ジカルボン酸成分に対する脂環式ジカルボン酸成分の割合は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
ジカルボン酸成分に対する脂環式ジカルボン酸成分の割合が50モル%未満であると、得られるポリエステルの日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が長くなる傾向がある。
主成分である脂環式ジカルボン酸成分としては、脂環式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体を用いることができる。脂環式ジカルボン酸としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、主成分である脂環式ジカルボン酸成分として用いられる脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えばアルキルエステル、酸無水物、酸ハライドを好適に用いることができるが、アルキルエステルがより好ましく用いられる。この場合アルキル基は炭素数1から6程度のものが好ましく、メチル基がより好ましい。このような脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)のジメチルエステル、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のジメチルエステル等が挙げられる。なかでも1,4−CHDA及びそのエステル形成性誘導体は工業的に入手しやすく、得られるポリエステルの成形温度が従来のポリエステルの成形温度に近いので、好ましく用いられる。この場合、得られるポリエステルを構成する1,4−CHDA及びそのエステル形成性誘導体由来の成分のうち、トランス体とシス体との合計に対してトランス体が90モル%以上であると得られるポリエステルの耐熱性が高く好ましい。尚、ポリエステル製造時の異性化を考慮すると、原料として用いられる1,4−CHDA及びそのエステル形成性誘導体としては、トランス体を95モル%以上含有するものを用いるのが好ましい。
ジカルボン酸成分には、主成分である脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が含まれていてもよい。ジカルボン酸成分に含まれる、主成分である脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸としては例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3-フェニレンジ
オキシジ酢
酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4
,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、脂環式ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、アルキルエステル、酸無水物、酸ハライドを好適に用いることができるが、アルキルエステルがより好ましい。この場合アルキル基は炭素数1から6程度のものが好ましく、メチル基がより好ましい。具体的には、例えばテレフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、1,4-フェニレンジオキシジカルボン酸ジメチル、1,
3-フェニレンジオキシジ酢酸ジメチル、4,4’-ジフェニルジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸ジメチル、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸ジメチル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の芳香族
ジカルボン酸ジメチルエステル、及び、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、ウンデカジカルボン酸ジメチル、ドデカジカルボン酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸のジメチルエステル等が挙げられる。これら主成分とならないジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体は一種で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
又、本発明のポリエステルに用いられるジオール成分は、主成分が脂環式ジオール成分である。主成分とは、ジオール成分に対する脂環式ジオール成分の割合が50モル%以上であることをいう。ジオール成分に対する脂環式ジオール成分由来の成分の割合は、通常50モル%以上好ましくは70モル%、更に好ましくは80モル%、特に好ましくは90モル%以上である。
ジオール成分に対する脂環式ジオール成分由来の成分の割合が50モル%未満であると、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が長くなる傾向となる。
脂環式ジオールとしては例えば、1,2−、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス-(4−ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン等の6員環ジオールが挙げられる。好ましくは、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノールが上げられる。中でも、1,4−CHDMは、高重合度ポリエステルが得やすいこと、高いガラス転移点のポリエステルが得られること等から好ましく用いられる。1,4−CHDMは、通常トランス体とシス体との混合物であり、そのトランス体とシス体との比は通常80:20〜60:40である。
上記以外のジオール成分として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、トリシクロデカンジメタノール及び、キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシ
エトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-β-
ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等の一種又は二種以上が、共重合成分として用いられていてもよい。
なかでも、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等はポリエステルに柔軟性を付与するのに好適に用いられ
る。
更に、得られるポリエステルの溶融粘度を調整し、成形性を高めるために、前記ジオール成分及びジカルボン酸成分以外の少量共重合成分として、三官能以上の多官能成分が用いられてもよい。多官能成分の例としては、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等が挙げられる。
本発明のポリエステルは、数平均分子量1000未満のオリゴマー分が2重量%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1.5重量%以下である。ポリエステルの数平均分子量1000未満のオリゴマー分が2重量%より多いと泡立ち試験による泡の消失時間は長くなり、容器泡立ち試験の規格を満足できない場合がある。
本発明のポリエステルは、ポリマー末端酸価は40当量/トン以下が好ましく、さらに好ましくは35当量/トン以下、特に好ましくは30当量/トン以下である。ポリエステルの末端酸価が40当量/トンより大きいとポリエステルの耐加水分解性が劣り、容器泡立ち試験の溶出操作を行うときに数平均分子量1000未満のオリゴマー成分の溶出が増加するため、この規格を満足できない場合がある。
本発明ではさらにポリエステルの総末端に対するアルキルエステル末端の割合が5モル%以下であるのが好ましい。ポリエステルの総末端に対するアルキルエステル末端の割合が5モル%より多いと、溶出操作を行うときに数平均分子量1000未満のオリゴマー成分の溶出が増加するため、やはりこの容器泡立ち試験の規格を満足できない場合がある。
ここで、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験は下記の方法で行うものである。
「溶出方法」
サンプルを表裏の表面積が約1200cm2になるように切断し、切断片を集め、さら
にこれらを長さ約5cm、幅約0.5cmの大きさに細断し、水で洗った後室温で乾燥する。
上記サンプルをアルカリ溶出試験に適合する内容約300mlのガラス容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、高圧蒸気滅菌機を用いて121℃で1時間加熱し、この溶液を試験液とする。
「試験方法」
試験液5mlを内径約15mm、長さ約200mmの共栓試験管に入れ3分間激しく振り混ぜ、生じた泡がほとんど消失するまでの時間を測定する。
規格はこの泡の消失時間を3分(180秒)以下と定めている。
<ポリエステルの製造>
本発明のポリエステルは、脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と、脂環式ジオール成分を主成分とするジオール成分から製造されることが必須である他は特に制限されないが、好ましい態様としては、エステル化反応もしくはエステル交換反応を経て溶融重縮合を行い、引き続いて固相重縮合を行って製造する方法が用いられる。この際、溶融重縮合でポリエステルの固有粘度(IV)を0.1dl/g以上0.8dl/g未満とし、次いで固相重縮合によりIVを0.8dl/g以上にする方法が特に好適に用いられる。この方法を用いることにより、数平均分子量1000未満のオリゴマー成分を2重量%以下にすることが容易となる。溶融重縮合で得られるポリマーのIVが0.1dl/g未満では反応後のポリエステルは塊状であり、これを粉砕して次の固相重縮合工程に持って行かなければならず、作業性が劣る場合がある。
ジカルボン酸成分の原料としてジカルボン酸を用いる場合、エステル化反応に供するジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は102/100以上150/100以下、好ましくは102/100以上、140/100以下で行う。モル比が102/100より
小さい時は重縮合反応後のポリマー末端酸価が40当量/トン以下のポリエステルが得られない場合があり、150/100より大きい時は重合性が低下する傾向となり高い固有粘度のポリエステルが得られない場合がある。また原料であるジカルボン酸成分としてジカルボン酸のアルキルエステルを用いる場合、エステル交換反応に供するジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は102/100以上、150/100以下、好ましくは102/100以上、140/100以下で行う。モル比が102/100より小さい時は、本発明のポリエステルであるアルキルエステル末端が5モル%以下のポリエステルが得られない場合があり、150/100より大きい時は重合性が低下する傾向となり、高い固有粘度のポリエステルが得られない場合がある。
エステル化もしくはエステル交換反応を行う時の触媒の有無は特に限定されないが、通常、触媒の存在下に行なわれる。用いられる触媒も特に限定されず、例えばポリエステルのエステル化もしくはエステル交換触媒として公知のチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などがあげられる。なかでも、チタン化合物は、エステル化、エステル交換及び後述の重縮合のいずれの反応においても活性が高く好ましく用いられる。チタン化合物としては、例えばテトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、あるいはこれら有機チタネートの加水分解物などが単独で、或いは複数種併用で用いられる。
エステル化もしくはエステル交換反応は特に限定されないが、例えば、原料ジカルボン酸成分とジオールとを、攪拌機および留出管を備えた反応槽に仕込み、反応触媒を加え不活性ガス雰囲気下攪拌しながら反応によって生ずる水もしくはアルコールを留去しながら行うことができる。エステル化もしくはエステル交換反応は、通常150℃以上230℃以下、好ましくは180℃以上220℃以下で、絶対圧力100〜100kPa程度の常圧乃至加圧下で10分乃至10時間、好ましくは30分乃至5時間行なわれる。
エステル化もしくはエステル交換反応終了後、これらの反応の反応液に必要に応じて重縮合触媒などを添加し、徐々に反応槽内を減圧にしながら溶融重縮合反応を行うことができる。
重縮合触媒としてはチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などが一般的にあげられる。
重縮合触媒は、用いられる各化合物由来の金属原子換算で、通常生成するポリマーに対して5ppm以上、2000ppm以下、好ましくは10ppm以上、1000ppm以下となる範囲で用いられることができる。
尚、エステル化もしくはエステル交換触媒を重縮合触媒としても使用する場合、通常、エステル化もしくはエステル交換触媒として添加された金属化合物と重縮合触媒として後から添加された金属化合物の合計が、金属原子換算で生成するポリマーに対して上記範囲となるように用いる。
触媒量が5ppm未満では反応促進効果が乏しい場合があり、また2000ppmを超えると着色等の問題が生じる場合がある。
尚、エステル化もしくはエステル交換及び/又は重縮合反応時に、本発明の効果を阻害しない範囲でマグネシウム化合物、リン化合物などを併用してもよい。
一般的に重縮合反応は、エステル化もしくはエステル交換反応液を、攪拌機、留出管および減圧付加装置を備えた重縮合槽に移送し、必要に応じて重縮合触媒などを添加し徐々に反応槽内を減圧にしながら行う。
なお 反応槽に減圧付加装置を備えて、一槽でエステル化もしくはエステル交換反応および重縮合反応を行うこともできる。この場合の反応条件はエステル化もしくはエステル
交換反応終了温度以上、270℃以下、好ましくは265℃以下で、槽内圧力が常圧から最終的に絶対圧力で1kPa以下となる圧力、好ましくは0.5kPa以下で、10分乃至10時間、好ましくは30分乃至5時間行ない、固有粘度(IV)0.1dl/g以上0.8dl/g未満のポリエステルとする。
重縮合反応物(ポリエステル)は、反応終了後、槽底部よりストランド状に抜きだされ水冷されながらカッティングされることにより、ペレットとして得られるのが一般的である。
このペレットを用いて、引き続き固相重縮合を行うこともできる。固相重縮合の方法は特に限定されず、ペレットを結晶化させた後、静置下イナートオーブンまたは真空乾燥機中で行っても良く、ダブルコーン型固相重縮合装置や移動床、流動床を使用してもよい。固相重縮合は通常ポリマーの融点より10〜50℃低い温度、好ましくは10〜40℃低い温度で、窒素等の不活性ガス下、または絶対圧力1kPa以下の減圧下で1〜48時間、好ましくは2〜48時間かけて行うことにより、IVが0.8dl/g以上の重合度となるポリエステルを得ることができる。
尚、これら一連の反応は回分法でも連続法でも行うことができる。
本発明のポリエステルには、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験を満足する限り、必要に応じて各種の添加成分を配合することができ、例えば、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、パラフィンオイル等の可塑剤、フッ素樹脂パウダー、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を配合することができる。
こうして得られたポリエステルは医療用具材料として好適に用いられ、例えば通常の溶融成型法により、輸液バッグ、輸血管、注射器、絆創膏、サージカルテープ、医療補助用テープの基材等の医療用具とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
先ず、以下に本発明のポリエステルの物性の評価方法をまとめて示す。
[評価方法]
1.固有粘度(IV)
ポリエステルペレットをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒とし ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定することにより求めた。
2.ポリマー末端酸価(AV)
ポリエステルペレットをベンジルアルコールに溶解し、0.1N−NaOHにより滴定した値であり、ポリマー1トン当たりの酸当量である。
3.オリゴマー量
TOSOH HLC8120GPC装置を使用し、カラムとしてTSKgel Super HM−M(15cm×2)を用い、クロロホルムを移動相とし、RI検出器で測定し、単分散ポリスチレンを較正試料としたポリスチレン換算の分子量を算出し、数平均分子量1000未満の部分の重量を評価した。
4.ポリマーの末端アルキルエステルの分析
日本電子製NMR GSX−400を使用し、重水素化クロロホルムを溶媒として測定した。
5.日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準拠した泡立ち試験
「サンプルの製造」
ポリマーペレットを250℃でプレスして0.4mm厚のシートを製造した。このサンプルを表裏の表面積が約1200cm2になるように切断し、切断片を集め、さらにこれ
らを長さ約5cm、幅約0.5cmの大きさに細断し、水で洗った後室温で乾燥した。
「溶出方法」
上記シートサンプルをアルカリ溶出試験に適合する内容約300mlのガラス容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、高圧蒸気滅菌機を用いて121℃で1時間加熱し、この溶液を試験液とした。
「試験方法」
試験液5mlを内径約15mm、長さ約200mmの共栓試験管に入れ3分間手で激しく振り混ぜ、目視で生じた泡がほとんど消失するまでの時間を測定した。
攪拌機、留出管および減圧装置を装備した反応器に1,4−CHDA 184gと1,4−CHDM 158g、及びテトラ−n−ブチルチタネートの6%ブタノール溶液0.9gを仕込み、窒素フロー下で150℃まで加熱した後、200℃まで1時間をかけて昇温した。その後200℃で1時間保持しエステル化反応を行った後、200℃から250℃へ45分間で昇温しながら徐々に反応器内を減圧にし、重縮合反応を行った。反応器内圧力0.1kPa(絶対圧力)、反応温度250℃で2時間重合後、得られたポリエステルをストランド状に水中に抜き出した後ペレット状にした。得られたペレットは80℃で5時間真空乾燥機で乾燥した。乾燥後のポリエステルの固有粘度(IV)は0.56dl/gであり、数平均分子量(Mn)1000未満が2.7wt%、ポリマー末端酸価(AV)は52当量/トン、ポリエステルの総末端に対するアルキルエステル末端は検出できなかった。このポリエステルペレットを、100℃で3時間熱処理して結晶化させ、真空乾燥機を用い、絶対圧力1kPa以下の減圧下で200℃で24時間固相重縮合するとIVが1.03dl/gとなり、Mn 1000未満が1.3wt%、AVは10当量/ト
ンであった。このポリエステルで日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準じた泡立ち試験を行ったところ、泡の消失時間は30秒であった。
(比較例1)
実施例1の溶融重縮合で得られたIVが0.56dl/g、Mn 1000未満が2.7wt%、AVが52当量/トンのポリエステルで、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準じた泡立ち試験を行ったところ、泡の消失時間は240秒であった。
原料として1,4−CHDA 166g、1,4−CHDM 142g、ポリテトラメ
チレンエーテルグリコール15gを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエステルを製造した。得られたポリエステルのIVは0.78dl/gであり、Mn 1000未満
が2.9wt%、AVは45当量/トン、ポリエステルの総末端に対するアルキルエステル末端は検出できなかった。このポリエステルペレットを、100℃で3時間熱処理して結晶化させ、真空乾燥機を用い、絶対圧力1kPa以下の減圧下で190℃で24時間固相重縮合するとIVが0.97dl/gとなり、Mn 1000未満が1.5wt%、A
Vが10当量/トンであった。このポリエステルで日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準じた泡立ち試験を行ったところ、泡の消失時間は50秒であった。
(比較例2)
実施例2の溶融重縮合で得られたIVが0.78dl/g、Mn 1000未満が2.
9wt%、AVが45当量/トンのポリエステルで、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準じた泡立ち試験を行ったところ、泡の消失時間は310秒であった。

Claims (6)

  1. 脂環式ジカルボン酸成分を主成分とするジカルボン酸成分と脂環式ジオール成分を主成分とするジオール成分とから製造されたポリエステルであって、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験による泡の消失時間が180秒以下であることを特徴とするポリエステル。
  2. 数平均分子量1000未満のオリゴマー分が2重量%以下であり、かつポリマー末端酸価が40当量/トン以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル。
  3. ポリエステルの総末端に対するアルキルエステル末端の割合が5モル%以下であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のポリエステル。
  4. 脂環式ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、脂環式ジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリエステル。
  5. ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応を経て溶融重縮合を行い、次いで固相重縮合を行うポリエステルの製造方法であって、溶融重縮合により固有粘度(IV)が0.1dl/g以上、0.8dl/g未満のポリエステルを得、次いで固相重縮合によりIVが0.8dl/g以上のポリエステルとすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載のポリエステルを用いて成る医療用具。
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