JP2008247954A - ポリエーテルエステルブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)脂環式ジカルボン酸単位、(b)脂環式ジオール単位、および、(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位を有するポリエーテルエステルブロック共重合体であって、該共重合体中の(c)単位の質量含有率が5%以上60%以下であるポリエーテルエステルブロック共重合体とする。
【選択図】なし
Description
以下、本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体の原料および製造方法について詳細に説明する。
(a)脂環式ジカルボン酸単位
本発明の(a)脂環式ジカルボン酸単位の原料(以下、「(a´)脂環式ジカルボン酸成分」という)としては、ポリエステルの原料、特にポリエーテルエステルブロック共重合体の原料として一般的に用いられているものが使用でき、脂環式ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を用いることができる。脂環式ジカルボン酸としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式化学構造単位がシクロヘキサン環単位であるジカルボン酸や、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらの脂環式ジカルボン酸の例えばアルキルエステル、酸無水物、酸ハライドを好適に用いることができるが、アルキルエステルがより好ましく用いられる。この場合、アルキルエステルのアルキル基は炭素数1から6程度のものが好ましく、メチル基がより好ましい。このような脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジメチルエステル等のシクロヘキサン環単位を有するジカルボン酸や、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のジメチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサン環単位を有する脂環式ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、とりわけ1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以下1,4−CHDAともいう。)およびそのエステル形成性誘導体は工業的に入手しやすく好ましい。
(b)脂環式ジオール単位の原料(以下、「(b’)脂環式ジオール成分」という)としては、例えば、1,2−、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン等のシクロヘキサン環単位を有するジオールが挙げられる。これらの脂環式ジオール成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体におけるソフトセグメントの構成単位の一部である(c)長鎖ジオール単位の原料(以下、「(c´)長鎖ジオール成分」という)としては、下記式(3)の化学構造式を有するポリオキシトリメチレングリコールを使用する。
本発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、公知の任意の方法で製造することができる。例えば、(a´)脂環式ジカルボン酸成分、過剰量の(b´)脂環式ジオール成分および(c´)長鎖ジオール成分を触媒の存在下エステル交換反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法、あるいは(a´)脂環式ジカルボン酸成分と(b´)脂環式ジオール成分及び(c´)長鎖ジオール成分を触媒の存在下エステル化反応させ、続いて得られた反応生成物を減圧下で重縮合する方法、また予め短鎖ポリエステルを作っておき、これに他の脂環式ジカルボン酸成分と(c´)長鎖ジオール成分を加えて重縮合する方法や、二軸押出機等を用いて、他の共重合ポリエステルを添加してエステル交換する方法等、いずれの方法を取ってもよい。
蒸留精製した1,3−プロパンジオール50gを、蒸留管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた100ml四つ口フラスコに、窒素を100Nml/分で供給しながら仕込んだ。これに0.0348gの炭酸ナトリウムを仕込んだ後、攪拌しつつゆっくりと0.678gの濃硫酸(95%)を添加した。このフラスコをオイルバス中に浸し162℃に加熱した。液温を162℃±2℃に調節して11時間保持して反応させた後、フラスコをオイルバスから取り出し、室温まで放置して冷却した。反応の間に生成した水は窒素に同伴させて留去した。室温まで冷却された反応液を50gのテトラヒドロフランを用いて300mlのナス型フラスコに移し、これに50gの脱塩水を加えて1時間緩やかに還流させて硫酸エステルの加水分解を行った。室温まで放冷して冷却した後、2層に分離した下層(水槽)を除去した。上層(油層)に0.5gの水酸化カルシウムを添加して室温で1時間攪拌した後、50gのトルエンを加えて60℃に加熱して減圧下にテトラヒドロフラン、水およびトルエンを留去した。得られた油層を100gのトルエンに溶解し、0.45μmのフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液を60℃に加熱して6時間真空乾燥することによって、(c´)長鎖ジオール成分としてのポリオキシトリメチレングリコール(A)(Mn=1163)を得た。
(実施例1)
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化学製、トランス体のモル比率=88%)78.30g(0.455mol)と1,4−CHDM(トランス体の割合70%、SKChemicals社製)64.05g(0.444mol)、上記製造例1で調製したポリオキシトリメチレングリコール(A)22.50g(0.0193mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学社製)の6質量%1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)溶液0.888g(得られるポリエーテルエステル共重合体に対してチタンとして50ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成社製)0.262g(0.0014mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.315gを仕込んだ。反応器空間を窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、油浴中で150℃まで加熱し、反応器内温を1時間かけて200℃まで昇温し、その後1時間にわたって200℃に保持してエステル化反応を行った。内温を45分かけて250℃に昇温させながら徐々に反応器内を減圧にし、重縮合反応を行った。さらに反応器内圧力0.1kPa、反応温度250℃に保ち、所定の粘度になるまで反応させた。反応後、反応器内を窒素で復圧し、得られたポリエーテルエステルブロック共重合体を、反応器底部からストランド状に水中に抜き出し、ペレット状にした。なお、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体における(c)長鎖ジオール単位の質量含有率は、原料の仕込み質量から計算すると15.0質量%となる。
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化学社製、トランス体のモル比率=88%)69.09g(0.401mol)と1,4−CHDM(トランス体の割合70%、SKChemicals製)54.17g(0.376mol)、上記製造例1で調製したポリオキシトリメチレングリコール(A)37.50g(0.0322mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学社製)の6質量%1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)溶液0.888g(得られるポリエーテルエステル共重合体に対してチタンとして50ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成社製)0.231g(0.0012mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ製)0.315gを仕込んだ。それ以降は、上記の実施例1に記載の手順に従ってポリエーテルエステルブロック共重合体を製造した。なお、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体における(c)長鎖ジオール単位の質量含有率は、原料の仕込み質量から計算すると25.0質量%となる。
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化学社製、トランス体のモル比率=88%)27.64g(0.161mol)と1,4−CHDM(トランス体の割合70%、SKChemicals社製)9.71g(0.067mol)、上記製造例1で調製したポリオキシトリメチレングリコール(A)105.00g(0.0903mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学社製)の6質量%1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)溶液0.888g(得られるポリエーテルエステル共重合体に対してチタンとして50ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成社製)0.0925g(0.0005mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.315gを仕込んだ。それ以降は、上記の実施例1に記載の手順に従ってポリエーテルエステルブロック共重合体を製造したが、ストランドの融着のためにペレット化できなかった。なお、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体における(c)長鎖ジオール単位の質量含有率は、原料の仕込み質量から計算すると70.0質量%となる。
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化学社製、トランス体のモル比率=88%)78.30g(0.455mol)と1,4−CHDM(トランス体の割合70%、SKChemicals製)63.64g(0.441mol)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG1000、三菱化学社製、Mn=1014)22.50g(0.0222mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学社製)の6質量%1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)溶液0.888g(得られるポリエーテルエステル共重合体に対してチタンとして50ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成社製)0.262g(0.0014mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.315gを仕込んだ。それ以降は、上記の実施例1に記載の手順に従ってポリエーテルエステルブロック共重合体を製造した。なお、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体における(c)長鎖ジオール単位の質量含有率は、原料の仕込み質量から計算すると15.0質量%となる。
撹拌機、留出管、温度計、圧力計、および、減圧装置を備えた容量450mlの反応器に、1,4−CHDA(三菱化社学製、トランス体のモル比率=88%)69.09g(0.401mol)と1,4−CHDM(トランス体の割合70%、SKChemicals社製)53.49g(0.371mol)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG1000、三菱化学社製、Mn=1014)37.50g(0.0370mol)およびテトラ−n−ブチルチタネート(キシダ化学社製)の6質量%1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)溶液0.888g(得られるポリエーテルエステル共重合体に対してチタンとして50ppm)、トリメリット酸無水物(東京化成社製)0.231g(0.0012mol)、およびIrganox1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.315gを仕込んだ。それ以降は、上記の実施例1に記載の手順に従ってポリエーテルエステルブロック共重合体を製造した。なお、生成するポリエーテルエステルブロック共重合体における(c)長鎖ジオール単位の質量含有率は、原料の仕込み質量から計算すると25.0質量%となる。
上記得られた実施例および比較例のポリエーテルエステルブロック共重合体について、固有粘度およびポリマー末端カルボキシル基量の測定を行い、さらに日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験に準拠した泡立ち試験も行った。評価方法は以下のとおりである。結果を表1に示す。
ポリエステルペレットをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)混合液を溶媒とし、ウベローデ型粘度計(センテック製全自動粘度計DT610)を用いて30℃で測定することにより求めた。
試験管にポリエーテルエステルブロック共重合体のペレット0.5gを採取し、ベンジルアルコール25mlを加え、150℃で15分間かけて攪拌しながら溶解させ、得られた溶液を自動滴定装置(東亜DKK製AUT−501)によって、複合pH電極を用いて、0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液で滴定した。なお、0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液は、JIS K8006に準拠して調製・標定を行い、ファクターを算出した。得られた滴定曲線の変曲点から滴定量を求め、次式すなわち、AV={(A−B)×0.01N×F}/W、に基づいてAVを算出した。この式において、AVは末端カルボキシル基量(eq/ton)、Aは測定滴定量(ml)、Bはブランク滴定量(ml)、Fは0.01N水酸化ナトリウム・ベンジルアルコール溶液の力価、Wはポリエーテルエステルブロック共重合体質量(g)である。
日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験方法に準拠した以下の方法で泡立ち試験を実施した。
ポリマーペレットを250℃でプレスして0.4mm厚のシートを製造した。このサンプルを表裏の表面積が約1200cm2になるように切断し、切断片を集め、さらにこれらを長さ約5cm、幅約0.5cmの大きさに細断し、水で洗った後室温で乾燥した。
上記シートサンプルをアルカリ溶出試験に適合する内容約300mlのガラス容器に入れ、水200mlを正確に加え、栓で密封した後、高圧蒸気滅菌機を用いて121℃で1時間加熱し、この溶液を試験液とした。
試験液5mlを内径約15mm、長さ約200mmの共栓試験管に入れ3分間手で激しく振り混ぜ、目視で生じた泡が同様の試験を水のみで行った場合と同程度の状態まで消失するまでの時間(泡消失時間)を測定した。なお、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験の泡立ち試験における規格はこの泡の消失時間を3分(180秒)以下と定めている。
Claims (5)
- (a)脂環式ジカルボン酸単位、(b)脂環式ジオール単位、および、(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位を有するポリエーテルエステルブロック共重合体であって、該共重合体中の(c)単位の質量含有率が5%以上60%以下であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
- 前記(a)成分および(b)成分が有する脂環式化学構造単位が、シクロヘキサン環単位を有することを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合体。
- 前記(a)脂環式ジカルボン酸単位が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位であり、前記(b)脂環式ジオール単位が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
- 前記(c)ポリオキシトリメチレングリコールを主体とする長鎖ジオール単位が、1,3−プロパンジオール縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルエステルブロック共重合体を用いて成る医療用具。
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JP2005171182A (ja) * | 2003-12-15 | 2005-06-30 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | ポリエステル系熱収縮性フィルム |
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