JP2022100556A - カバー材及び電波を送受信する装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、外表面への水分の付着を低減することが可能なカバー材及び該カバー材を備える電波を送受信する装置を提供することを目的とする。【解決手段】気体が通過可能な流路を有し、電波を送受信する装置に用いられることを特徴とする、カバー材。カバー材を含むことを特徴とする、電波を送受信する装置。【選択図】なし

Description

本発明は、カバー材及び電波を送受信する装置に関する。
電波を送受信する装置には、一般に、埃や雨風から機器本体を保護するためのカバー材が取り付けられている。しかしながら、使用環境によっては、カバー材の外表面に雨や雪、結露水等の水分が付着する場合があり、水分が付着していると、電波の送受信の品質が大きく劣化する。そのため、例えば、特許文献1に記載されているように、カバー材の内側にヒーター等の水分を除去する機構を設ける方法等が知られている。
特開2000-91821号公報
しかしながら、ヒーター等の付加装置を適用することは、意匠性に大きく影響を与え、装置の構造が複雑になり、コストが高くなる。また、ヒーターは、一般に導体であるため、電波の送受信に悪影響を与える。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みて実施されたものであり、外表面への水分の付着を低減することが可能なカバー材及び該カバー材を備える電波を送受信する装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、気体が通過可能な流路を有するカバー材とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
気体が通過可能な流路を有し、電波を送受信する装置に用いられることを特徴とする、カバー材。
[2]
前記流路が、前記カバー材を貫通する貫通孔である、[1]に記載のカバー材。
[3]
前記流路が、前記カバー材の一面に形成された溝である、[1]に記載のカバー材。
[4]
伝熱層と断熱層とを含む積層体である、[1]~[3]のいずかに記載のカバー材。
[5]
前記流路が、前記断熱層に形成されている、[4]に記載のカバー材。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載のカバー材を含むことを特徴とする、電波を送受信する装置。
[7]
前記電波を送受信する装置内の熱気を前記流路に導く熱気導入手段を有する、[6]に記載の電波を送受信する装置。
本発明によれば、外表面への水分の付着を低減することが可能なカバー材及び該カバー材を備える電波を送受信する装置を提供することができる。
本実施形態のカバー材の一例の概略構造を示す斜視図である。(A)は、流路がカバー材を貫通する貫通孔である例である。(B)は、流路がカバー材の一面に形成された溝である例である。 実施例1のカバー材の概略構造を示す斜視図である。 実施例5のカバー材の概略構造を示す斜視図である。 本実施形態の電波を送受信する装置の一例の概略構造を示す断面図である。 本実施形態の電波を送受信する装置の一例の概略構造を示す断面図である。 実施例10の電波を送受信する装置の概略構造を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[カバー材]
本実施形態のカバー材は、気体が通過可能な流路を有し、電波を送受信する装置に用いられることを特徴とする。
本実施形態のカバー材は、電波を送信及び/又は受信する装置において、装置内部の機器(アンテナや制御基板等)を収容及び保護する筐体を構成する部材として用いられる。
カバー材の形状は、特に限定されず、カバー材が用いられる電波を送受信する装置の形状に応じて定められてよいが、意匠性や装置スペース削減の観点から板状であることが好ましい。
また、カバー材のサイズも、特に限定されず、カバー材が用いられる電波を送受信する装置のサイズに応じて定められてよいが、電波を送受信する装置の筐体において、電波が透過する部分を構成するのに十分なサイズであることが好ましい。特に、厚みは、強度と電波透過性を向上させる観点から、0.1~30mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~10mm、更に好ましくは1~5mmである。
[[流路]]
本実施形態のカバー材は、カバー材に設けられた気体が通過可能な流路に、装置内部の機器からの排熱により熱せられた空気を通過させてカバー材を加熱することにより、カバー材の外表面に雨や雪、結露水等の水分が付着するのを低減することができる。
なお、カバー材の外表面とは、カバー材が電波を送受信する装置に実装されたときに、装置の外側となる面である。一方、装置の内側となる面をカバー材の内表面と表現するものとする。
流路は、直線状に延伸するものだけではなく、曲線を含む形状で延伸するものであってもよい。
流路の延在方向は、カバー材の外表面を効率よく加熱する観点から、カバー材の外表面に平行であることが好ましい。特に、流路に熱気を通過させる際に、熱気の自然対流(上昇気流)を利用する場合には、流路の延在方向は、鉛直方向であることが好ましい。
なお、流路の延在方向とは、流路の一端の断面中心と他端の断面中心とを結ぶ方向とする。
流路において、流路の延在方向に垂直な断面形状は、特に限定されず、例えば、正方形、長方形、平行四辺形、台形、六角形等の多角形、円形、楕円形、長円形(一対の平行な直線の両端を半円で連結した形状)、半円状等の曲線状の辺を含む形状等が挙げられる。多角形状の場合、角部が丸みを帯びていてもよい。流路の上記断面形状は一定であっても、異なって(変化して)いてもよい。
また、流路を構成(画成)する各側壁は、平面であっても曲面であってもよい。
流路の本数は、特に限定されず、複数本あってもよい。効率的に外表面を加熱する観点、流路形状の付与による電波の散乱・屈折等を抑制する観点、カバー材の製造を容易にする観点から、1~30本であることが好ましく、より好ましくは1~20本、更に好ましくは1~15本である。
-貫通孔である流路(貫通孔状流路)-
本実施形態のカバー材の流路は、カバー材の内部を貫通する貫通孔であってもよい。以下、カバー材を貫通する貫通孔である流路を「貫通孔状流路」ともいう。
図1Aは、本実施形態のカバー材の一例の概略構造を示す斜視図であり、流路がカバー材を貫通する貫通孔である例である。
なお、図1Aでは、水平面をx-y面、鉛直方向をz軸方向とし、カバー材の外表面がy-z平面に平行になるようにカバー材を配置して示している。図1Aにおける左側側面が外表面、右側側面が内表面であるものとする。
図1Aのカバー材1における流路2は、鉛直方向(z軸方向)に延在し、延在方向に垂直な断面形状が長方形である。
貫通孔状流路が複数本ある場合、カバー材を効率よく加熱する観点から、図1Aに示すように、外表面に沿う方向(y軸方向)に所定間隔で並列に配置されることが好ましい。
貫通孔状流路において、カバー材の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅(図1Aではa1に相当)は、電波の透過性への影響を抑制する観点、外表面全体を効率的に加熱する観点、強度を高めやすい観点から、0.5~300mmであることが好ましく、1~100mmであることがより好ましく、1~50mmであることが更に好ましい。
尚、電波の透過性への影響を与えにくい流路の幅とは、アンテナ装置の送受信する電波の波長よりも流路の幅が小さい場合を指す。また、上記カバー材の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅が一定ではない場合(例えば、貫通孔状流路の断面形状が一定ではない場合等)、上記幅の最大値を指すものとする。また、流路を形成している材料の誘電率・誘電正接が十分に低い場合も、電波の透過性への影響が小さくなる。
また、各貫通孔状流路において、カバー材の厚み方向の幅は、前記の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅と同様の観点から、0.5~50mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~30mmであり、更に好ましくは0.5~10mmである。
なお、上記厚み方向の各貫通孔状流路の幅が一定ではない場合(例えば、貫通孔状流路の断面形状が一定ではない場合等)、上記厚み方向の各貫通孔状流路の幅の最大値を指すものとする。
上記厚み方向の各貫通孔状流路の幅は、図1Aにおいて、bに相当する。
また、各貫通孔状流路とカバー材の外表面との距離は、0.1~50mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~10mm、更に好ましくは0.1~3mmである。外表面からの距離が上記範囲であると、流路から外表面までの熱抵抗値が抑えられ、カバー材の外表面を効率よく加熱することができる。
なお、各貫通孔状流路とカバー材の外表面との距離とは、貫通孔状流路の側壁とカバー材の外表面との距離のうち、最小のものをいう。
上記各貫通孔状流路とカバー材の外表面との距離は、図1Aにおいて、Cに相当する。
-溝である流路(溝状流路)-
本実施形態のカバー材の流路は、カバー材の一面に形成された溝であってもよい。以下、カバー材の一面に形成された溝である流路を「溝状流路」ともいう。
溝状流路は、カバー材の内表面に形成されていることが好ましい。溝状流路が形成されたカバー材の内表面と、装置内部に収容された電波を送受信する電子機器(アンテナ等)とが接するようにカバー材を配置し、電波を送受信する電子機器からの排熱により熱せられた空気を溝状流路に通過させることにより、カバー材を加熱してカバー材の外表面に雨や雪、結露水等の水分が付着するのを低減するだけでなく、電波を送受信する電子機器の付近で空気の流れが発生することにより装置を冷却することができる。
図1Bは、本実施形態のカバー材の一例の概略構造を示す斜視図であり、流路がカバー材の一面に形成された溝である例である。
なお、図1Bでは、水平面をx-y面、鉛直方向をz軸方向とし、カバー材1の外表面がy-z平面に平行になるようにカバー材1を配置して示している。図1Bにおける左側側面が外表面、右側側面が流路2を有する内表面であるものとする。
図1Bのカバー材1における流路2は、鉛直方向(z軸方向)に延在し、延在方向に垂直な断面形状が長方形である。
溝状流路が複数本ある場合、カバー材を効率よく加熱するとともに、電波を送受信する電子機器を効率よく冷却する観点から、図1Bに示すように、外表面に沿う方向(y軸方向)に所定間隔で並列に配置されることが好ましい。
溝状流路について、カバー材の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅(図1Bではa2に相当)は、電波の透過性への影響を抑制する観点、外表面全体を効率的に加熱する観点、強度を高めやすい観点、電子機器の冷却を行いやすい観点から、0.5~300mmであることが好ましく、1~100mmであることがより好ましく、1~50mmであることが更に好ましい。
尚、電波の透過性への影響を与えにくい流路の幅とは、アンテナ装置の送受信する電波の波長よりも流路の幅が小さい場合を指す。また、上記カバー材の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅が一定ではない場合(例えば、溝状流路の断面形状が一定ではない場合等)、上記幅の最大値を指すものとする。また、流路を形成している材料の誘電率・誘電正接が十分に低い場合も、電波の透過性への影響が小さくなる。
また、各溝状流路において、カバー材の厚み方向の幅は、前記の外表面に平行で、且つ延在方向に対して垂直な方向の流路の幅と同様の観点から、0.5~50mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~30mmであり、更に好ましくは0.5~10mmである。
なお、上記厚み方向の各溝状流路の幅が一定ではない場合(例えば、溝状流路の断面形状が一定ではない場合等)、上記厚み方向の各溝状流路の幅の最大値を指すものとする。
上記厚み方向の各溝状流路の幅は、図1Bにおいて、bに相当する。
また、各溝状流路とカバー材の外表面との距離は、0.1~50mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~30mm、更に好ましくは0.1~10mmである。外表面からの距離が上記範囲であると、特に、カバー材と装置内部の機器とが接するような配置ではない場合に、流路から外表面までの熱抵抗値が抑えられ、カバー材の外表面を効率よく加熱することができる。
なお、各溝状流路とカバー材の外表面との距離とは、溝状流路の側壁とカバー材の外表面との距離のうち、最小のものをいう。
上記各溝状流路とカバー材の外表面との距離は、図1Bにおいて、Cに相当する。
本実施形態のカバー材は、伝熱性材料のみで構成してもよく、また、断熱性材料のみで構成してもよいが、伝熱層と断熱層とを含む積層体であることが好ましい。伝熱層を外表面を構成する最外層とし、内側に断熱層を配した層構成とすることにより、カバー材の外表面に付着した水分への伝熱を向上させることができる。また、伝熱層と断熱層の積層体とすることで、伝熱層のみで形成した場合より電波透過率が高くなる傾向にあり、また、断熱層のみで形成した場合よりも剛性が高くなる傾向にある。
上記伝熱層及び断熱層は、それぞれ、1種単独の単層であっても、複数種類の複数層であってもよい。また、積層体は、伝熱層及び断熱層以外の層を有していてもよく、例えば、伝熱層と断熱層とを接着する接着層等が挙げられる。積層体の層数は、特に限定されないが、電波の散乱や屈折等による電波透過性の悪化を抑制する観点、製造を容易にする観点から、1~7層であることが好ましく、より好ましくは1~3層である。
また、断熱層の厚みは、カバー材の厚みを100%として、10~99%であることが好ましく、より好ましくは30~99%、更に好ましくは50~97%である。断熱層の厚みが上記範囲であると、電波透過性と剛性を両立させることができる。
カバー材が伝熱層と断熱層とを含む積層体である場合、上述の貫通孔状流路は、伝熱層及び断熱層のいずれに形成されていてもよい。装置内部への伝熱を抑制する観点、流路の形成が容易である観点から、貫通孔状流路は断熱層に形成されていることが好ましい。
また、溝状流路は、装置内部への伝熱を抑制する観点、流路の形成が容易である観点から、断熱層に形成されていることが好ましい。
[[伝熱層]]
伝熱層の構成材料としては、良好な電波透過性を示し、カバー材の外表面に付着した水分への伝熱に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、室温における熱伝導率が0.1W/K・m以上の材料とすることができる。特に、後述する断熱層が樹脂発泡体である場合には、樹脂製の伝熱層を有することで、カバー材の曲げ剛性が向上する。
伝熱層を構成する樹脂としては、例えば、後述の熱可塑性樹脂等が挙げられるが、耐熱性や機械特性、熱伝導性の観点から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が好適である。
尚、伝熱層と断熱層との密着性を高める観点から、2つの層が少なくとも1種の同じ種類の樹脂を含有していることが好ましい。
伝熱層を構成する樹脂は、密度が0.9g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.9~2.0g/cm、更に好ましくは0.9~1.7g/cmである。樹脂の密度が上記範囲であると、熱伝導率が高くなる傾向にあり、効果的に外表面に熱を伝えることができる。
伝熱層の厚みは、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1~3mmである。伝熱層の厚みが上記範囲であると、良好な電波透過性及び曲げ剛性を有するカバー材を得ることができる。
伝熱層を構成する樹脂板の製造方法は、特に限定されず、例えば、射出成形、押出シート成形、熱ロールを用いるシート成形等の公知の熱プレス方法等を用いることができる。
伝熱層に流路を有する場合、流路の形成方法は、特に限定されず、例えば、上記の熱プレス方法や射出成形法等において、予め流路の形状が付与された金型を用いることにより成形してもよいし、電動ドリルに等を用いて樹脂板を加工することにより、形成してもよい。
[[断熱層]]
断熱層の構成材料としては、良好な電波透過性を示し、装置内部への断熱性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、室温における熱伝導率が0.1W/K・m未満の材料とすることができる。また、断熱層は発泡体を含むことが好ましく、発泡体からなることがより好ましい。
(発泡体)
発泡体は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む基材樹脂を含み、任意選択的に難燃剤等の添加剤を更に含む樹脂組成物を発泡させたものとしてよい。
発泡体としては、例えば、押出発泡体、射出発泡体、ビーズ発泡体(発泡粒子からなる発泡体)、延伸発泡体、溶剤抽出発泡体等が挙げられ、それぞれ後述する押出発泡法、射出発泡法、ビーズ発泡法、延伸発泡法、溶剤抽出発泡法により製造された発泡体を指す。
基材樹脂の含有量は、樹脂組成物を100質量%として、好適には20質量%以上であり、より好適には40質量%以上であり、更に好適には60質量%以上であり、特に好適には70質量%以上であり、また、好適には100%以下であり、より好適には95%以下である。誘電率及び誘電正接を下げるために、基材樹脂が、極性が低い樹脂からなることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、耐熱性、経済性、発泡性の観点からは、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。特に、本発明の発泡体に好適な基材樹脂としては、極性が小さい樹脂及び密度が小さい樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂は、下記一般式(1)で表される重合体であってよい。
ここで、式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、又はハロゲンと一般式(1)中のベンゼン環との間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロアルキル基若しくはハロアルコキシ基で第3α-炭素原子を含まないもの、を示す。また、式(1)中、nは、重合度を表す整数である。
Figure 2022100556000001
ポリフェニレンエーテル系樹脂の例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジラウリル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-ジフェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジメトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メトキシ-6-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-ステアリルオキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジベンジル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-クロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブロモ-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。この中でも特に、R及びRが炭素数1~4のアルキル基であり、R及びRが水素若しくは炭素数1~4のアルキル基のものが好ましい。
これらは一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態におけるポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は、基材樹脂100質量%に対して、20~80質量%であることが好ましく、より好ましくは30~70質量%であり、更に好ましくは35~60質量%である。PPE系樹脂の含有量が20質量%以上の場合、優れた耐熱性及び難燃性を得やすくなるとともに、誘電率及び誘電正接を低減しやすい。また、PPE系樹脂の含有量が80質量%以下の場合、優れた加工性を得やすくなる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、20,000~60,000であることが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、樹脂についてゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンについての測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量をいう。
ポリスチレン系樹脂とは、スチレン及びスチレン誘導体のホモポリマー、スチレン及びスチレン誘導体を主成分(ポリスチレン系樹脂中に50質量%以上含まれる成分)とする共重合体をいう。
スチレン誘導体としては、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
ホモポリマーのポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、ポリクロロスチレン等が挙げられる。
共重合体のポリスチレン系樹脂としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイミド共重合体、スチレン-N-フェニルマレイミド共重合体、スチレン-N-アルキルマレイミド共重合体、スチレン-N-アルキル置換フェニルマレイミド共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メチルアクリレート共重合体、スチレン-メチルメタクリレート共重合体、スチレン-n-アルキルアクリレート共重合体、スチレン-n-アルキルメタクリレート共重合体、エチルビニルベンゼン-ジビニルベンゼン共重合体等の二元共重合体;ABS、ブタジエン-アクリロニトリル-α-メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体;スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン-酢酸ビニル共重合体、(スチレン-アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等のグラフト共重合体;等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、プロピレン-エチレン共重合体等の樹脂が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらのポリエチレン系樹脂は架橋剤等により適宜架橋構造を有していても良い。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体、これらの混合物が挙げられる。ポリアミド系樹脂には、アミノカルボン酸の自己縮合、ラクタムの開環重合、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる重合体を含んでよい。
ポリアミドとしては、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン1212等、ラクタムの開環重合により得られるナイロン6、ナイロン12等が挙げられる。
ポリアミド共重合体としては、例えば、ナイロン6/66、ナイロン66/6、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン66/6T(Tは、テレフタル酸成分を表す)、ナイロン66/6I(Iは、イソフタル酸成分を表す)、ナイロン6T/6I等が挙げられる。
これらの混合物としては、例えば、ナイロン66とナイロン6との混合物、ナイロン66とナイロン612との混合物、ナイロン66とナイロン610との混合物、ナイロン66とナイロン6Iとの混合物、ナイロン66とナイロン6Tとの混合物等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、PPE系樹脂以外の上記熱可塑性樹脂の含有量は、発泡体の加工性の観点から、基材樹脂100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましく、より好ましくは20~80質量%である。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂等が挙げられ、中でもフェノール樹脂、メラミン樹脂が好ましい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、光吸収剤、可塑剤、離型剤、染顔料、ゴム成分、上記基材樹脂以外の樹脂等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
添加剤の含有量としては、基材樹脂を100質量部として、好適には0~40質量部であり、より好適には5~30質量部である。
ここで、難燃剤としては、特に限定されないが、有機系難燃剤、無機系難燃剤が挙げられる。
有機系難燃剤としては、臭素化合物に代表されるハロゲン系化合物、リン系化合物、及びシリコーン系化合物に代表される非ハロゲン系化合物等が挙げられる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムに代表される金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンに代表されるアンチモン系化合物等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記難燃剤の中でも、環境性の観点から、有機系難燃剤の非ハロゲン系難燃剤が好ましく、リン系の難燃剤、シリコーン系の難燃剤がより好ましい。
リン系の難燃剤には、リン又はリン化合物を含むものを用いることができる。リンとしては赤リンが挙げられる。また、リン化合物として、リン酸エステル、リン原子と窒素原子の結合を主鎖に有するホスファゼン化合物等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート等が挙げられ、また、これらを各種の置換基で変性したタイプのリン酸エステル化合物、各種の縮合タイプのリン酸エステル化合物も挙げられる。
この中でも、耐熱性、難燃性、発泡性の観点から、トリフェニルホスフェート及び縮合タイプのリン酸エステル化合物が好ましい。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シリコーン系難燃剤としては、(モノ又はポリ)オルガノシロキサンが挙げられる。
(モノ又はポリ)オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のモノオルガノシロキサン;これらを重合して得られるポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン;これらの共重合体等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
オルガノポリシロキサンの場合、主鎖及び分岐した側鎖の結合基は、水素、アルキル基、フェニル基であり、好ましくはフェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基であるが、これに限定されない。末端結合基は、水酸基、アルコキシ基、アルキル基、フェニル基であってよい。シリコーン類の形状にも特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状などの任意のものが利用可能である。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤の含有量としては、添加剤の含有量の範囲内としてよいところ、基材樹脂を100質量部として、好適には0~30質量部であり、より好適には5~25質量部である。添加する難燃剤が多いほど発泡体の難燃性が向上する効果が得られやすいが、一般に難燃剤を添加すると誘電率及び誘電正接を増加させる傾向がある。
また、ゴム成分としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは、ポリスチレン系樹脂からなる連続相中に粒子状に分散しているものが好ましい。これらゴム成分を添加する方法として、ゴム成分そのものを加えてもよく、スチレン系エラストマー及びスチレン-ブタジエン共重合体等の樹脂をゴム成分供給源として用いてもよい。
ゴム成分を添加する場合、ゴム成分の含有量は、添加剤の含有量の範囲内としてよいところ、基材樹脂を100質量部として、0.3~15質量部が好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。0.3質量部以上であると、樹脂の柔軟性、伸びに優れ、発泡時に発泡セル膜が破膜しにくく、成形加工性及び機械強度に優れる発泡体が得られやすい。
本実施形態において、カバー材の難燃性を向上させるためには、樹脂組成物に難燃剤をより多く添加する方が好ましいが、難燃剤の添加量が増えると発泡性に悪影響を与える。そのような場合において、樹脂組成物に発泡性を付与させるのにゴム成分は好適に用いられる。特に、常温から徐々に温度を上げ、非溶融状態で樹脂を発泡させるビーズ発泡において、上記ゴム成分は重要である。
[発泡体の製造方法]
本実施形態の発泡体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、押出発泡法、射出発泡法、ビーズ発泡法(型内発泡法)、延伸発泡法、溶剤抽出発泡法等が挙げられる。
押出発泡法は、押出機を用いて溶融状態の樹脂に有機又は無機発泡剤を圧入し、押出機出口で圧力を開放することによって、一定の断面形状を有する、板状、シート状、又は柱状の発泡体を得る方法である。
射出発泡法は、発泡性を備える樹脂を射出成形し、金型内にて発泡させることによって、空孔を有する発泡体を得る方法である。
ビーズ発泡法(型内発泡法)は、発泡粒子を型内に充填し、水蒸気等で加熱して発泡粒子を膨張させると同時に発泡粒子同士を熱融着させることによって、発泡体を得る方法である。
延伸発泡法は、予めフィラーなどの添加剤を樹脂中に混錬させておき、樹脂を延伸させることでマイクロボイドを発生させて発泡体を作る方法である。
溶剤抽出発泡法は、樹脂中に所定の溶剤に溶解する添加剤を添加しておき、成形品を所定の溶剤に浸して添加剤を抽出させて発泡体を作る方法である。
押出発泡の場合、得られる発泡体は板状、シート状等となり、これを加工するには所望の形状に切断する抜き工程、切り取ったパーツを貼り合わせる熱貼り工程等が必要になる。
一方、ビーズ発泡法の場合、所望の形状の型を作成し、そこに発泡粒子を充填させて成形するため、発泡体をより微細な形状や複雑な形状に成形しやすい。
射出発泡法の場合でも、発泡体を複雑な形状に成形することは可能であるが、ビーズ発泡の場合には、発泡体の発泡倍率を高めやすく、断熱性に加えて柔軟性を発現しやすい。
発泡剤としては、特には限定されず、一般的に用いられているガスを使用することができる。
その例として、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等の無機ガス;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)ジクロロフルオロエタン(R141b)クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC-245fa、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-225ca等のフルオロカーボン;プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルi-ブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルn-ヘキシルケトン、エチルn-プロピルケトン、エチルn-ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;等が挙げられる。
これらは、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃性の観点から、発泡剤は可燃性及び支燃性がないか又は少ないことが好ましく、ガスの安全性の観点から、無機ガスがより好ましい。また、無機ガスは炭化水素等の有機ガスに比べて樹脂に溶けにくく、発泡工程又は成形工程の後に樹脂からガスが抜けやすいので、成形後の発泡体の経時での寸法安定性がより優れる利点もある。更に、無機ガスを用いた場合、残存ガスによる樹脂の可塑化も起こりにくく、熟成等の工程を経ずに、より早い段階から優れた耐熱性を発現しやすいメリットもある。無機ガスの中でも、樹脂への溶解性、取り扱いの容易さの観点から、炭酸ガスが好ましい。また、炭化水素系の有機ガスは一般に可燃性が高く、発泡体中に残存した場合に難燃性が悪化する傾向にある。
本実施形態の発泡体は、前述のビーズ発泡法により製造されることが好ましく、発泡粒子からなることが好ましい。
ビーズ発泡法を用いて成形を行うことによって、カバー材の賦形性を向上させることができる。
ビーズ発泡法に用いる発泡粒子は、基材樹脂に発泡剤を含有(含浸)させて、発泡を生じさせることにより得ることができる。具体的には、例えば、特開平4-372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、基材樹脂(ペレット状、ビーズ状等)を耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤(ガス)を圧入して基材樹脂に発泡剤(ガス)を含浸させた後、圧力を開放して圧力容器から発泡炉に基材樹脂ペレットを移送し、基材樹脂ペレットを発泡炉内で攪拌羽を回転させながら加圧水蒸気により加温して発泡させることにより、発泡粒子を製造する方法が挙げられる。
基材樹脂に対して発泡剤(ガス)を含浸させる際の条件は、特には限定されることなく、発泡剤(ガス)の基材樹脂への含浸をより効率的に進める観点から、例えば、含浸圧0.3~30MPa、含浸温度-20~100℃、含浸時間10分~96時間であることが好ましい。また、発泡炉内の加圧水蒸気の最大蒸気圧は、所望の倍率を得やすく外観を良化する観点から、30~700kPa・Gであることが好ましい。
上記発泡粒子の製造方法において、耐圧容器内の放圧(含浸圧の開放)を完了してから発泡炉内で加圧水蒸気により加温を開始するまでの時間は、600秒未満であることが好ましく、300秒以内であることがより好ましく、120秒以内であることが更に好ましく、60秒以内であることが特に好ましい。当該時間が上記範囲内であると、基材樹脂に含浸させたガスが不均一に拡散することを抑制することができるため、気泡径を均一にすると共に、気泡径の増大を防ぐことができる。
発泡粒子を用いて発泡体を成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、発泡粒子を成形用金型のキャビティ内に充填し、加熱することによって膨張を生じさせると同時に発泡粒子同士を熱融着させた後、冷却により生成物を固化し、成形する方法が挙げられる。発泡粒子の充填方法は、特には限定されず、公知の方法を用いることができる。
発泡粒子を成形用金型のキャビティ内に充填する前に、発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。発泡粒子の気泡に一定のガス圧力を付与することで、得られる発泡体を構成する発泡粒子同士を強固に融着させ、成形体の剛性及び外観を改善することが出来る。加圧処理に用いるガスとしては、特には限定されないが、取り扱い容易性及び経済性の観点から、空気及び無機ガスが好ましい。加圧処理の方法としては、特には限定されないが、発泡粒子を加圧容器内に充填後、加圧ガスを導入し、最大圧力0.1~20MPaまで10分~96時間かけて昇圧することにより、該加圧容器内にガスを供給する手法等が挙げられる。
発泡粒子を成形する際の加熱方法は、水蒸気等の熱媒体を用いた加熱、IRヒーター等のヒーターによる加熱、マイクロ波を用いた加熱等が挙げられる。熱媒体を用いた加熱を行う際は、汎用の熱媒体としてよく、樹脂を効率的に加熱する観点から、水蒸気であることが好ましい。
本実施形態において発泡体を目的の形状に加工する方法としては、特には限定されないが、発泡粒子又は溶融樹脂を金型に充填し成形する方法、鋸刃及び型ぬき刃等の刃物により切断する方法、ミルにより切削する方法、複数の発泡体を熱又は接着剤により接着させる方法等が挙げられる。
本実施形態の発泡体は、単独で使用してもよいし、未発泡樹脂等と組み合わせて使用してもよい。その際、各々成形加工した物を接着して使用してもよいし、一体成形を行ったうえで使用してもよい。
本実施形態の発泡体の形状、大きさ、厚み等は、特に限定されず、カバー材の形状、大きさ、厚み等に応じて適宜定められてよい。
断熱層に流路を有する場合、流路の形成方法は、特に限定されず、上述の発泡体を目的の形状に加工する方法と同様に、予め流路の形状が付与された金型を用いることにより成形してもよいし、鋸刃及び型ぬき刃等の刃物による切断、ミルによる切削等により形成してもよい。
[[断熱層の密度]]
断熱層の密度は、0.01~0.9g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.02~0.7g/cm、更に好ましくは0.03~0.5g/cmである。断熱層の密度が上記範囲であると、カバー材の剛性と電波透過性を両立させやすい。
なお、断熱層の密度は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[[断熱層の難燃性]]
断熱層は、特に発泡体である場合、一般に空気を含むため燃えやすく、カバー材として用いる場合には特に難燃性が重要である。そのため、断熱層は、UL94規格でV-2以上の難燃性を備えることが好ましく、V-1以上の難燃性を備えることがより好ましく、V-0の難燃性を備えることが更に好ましい。難燃性は、製造時に樹脂の種類や樹脂とともに用いる難燃性の種類及び含有量により変化させることができる。断熱層が高い難燃性を備えることによって、仮に電波を送受信する装置において短絡(ショート)や爆発等により燃焼が生じたとしても、燃焼の広がりを抑制することができる。
なお、UL94規格による断熱層の難燃性は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[[接着層]]
本実施形態のカバー材は、伝熱層と断熱層とを接着する接着層を有していてもよい。
接着層は、伝熱層と断熱層とを接着する接着剤を含む。接着剤としては、特に限定されず、従来公知の接着剤を用いることができ、難燃性のものが好ましい。好適な接着剤としては、例えば、セメダイン社製SX720WH、SX720W、SX720BH、SX720B等が挙げられる。
接着層の厚みは、電波阻害を低減する観点から、0.5mm以下であることが好ましい。
[カバー材の28GHzにおける電波透過率]
カバー材の28GHzにおける電波透過率は高い方が好ましく、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%である。カバー材の28GHzにおける電波透過率が上記範囲であると、電波がカバー材を透過する際に電波の減衰が起きにくくなる。
なお、カバー材の電波透過率は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[カバー材の流路から外表面までの熱抵抗値]
カバー材の電波送受信に関わる部分(電波が通過する部分)の面積が、例えば100cmである場合、その部分の熱抵抗値は30K/W以下であることが好ましく、より好ましくは10K/W以下、更に好ましくは5K/W以下である。
カバー材の流路から外表面までの熱抵抗値が小さいほど、外表面への熱伝導が大きくなるため、カバー材の流路を通過する空気からカバー材の外表面への伝熱が良好となり、カバー材の外表面に付着する水分を効果的に除去することができる。
なお、上記熱抵抗値は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[カバー材の流路から外表面までの熱コンダクタンス]
カバー材の電波送受信に関わる部分(電波が通過する部分)の面積が、例えば100cmである場合、その部分の熱コンダクタンスは0.03W/K以上であることが好ましく、より好ましくは0.10W/K以上、更に好ましくは0.20W/K以上である。
カバー材の流路から外表面までの熱コンダクタンスは、ある面積を有して対向するカバー材の流路と外表面に温度差がある場合、単位時間あたりにカバー材の流路から外表面へ伝わる熱量を示し、熱コンダクタンスが大きいほど外表面に伝わる熱量が大きくなり、水や氷等を効果的に除去することが出来る。
なお、上記熱コンダクタンスは、前記熱抵抗値の逆数として算出することが出来る。
[電波を送受信する装置]
本実施形態の電波を送受信する装置は、上述の本実施形態のカバー材を含むことを特徴とする。電波を送受信する装置において、本実施形態のカバー材は、装置内部の機器(アンテナや制御基板等)を収容及び保護する筐体を構成する部材として用いられる。
本実施形態の電波を送受信する装置において、装置内部の機器からの排熱により熱せられた空気(熱気)を、その自然対流(上昇気流)を利用してカバー材の流路内に流入させる構成としてもよいが、熱気をより効率よく流路内に流入させるため、装置内の熱気をカバー材の流路に導く熱気導入手段を有することが好ましい。
熱気導入手段としては、例えば、ファンやヒートシンク、ヒートパイプ等を用いて熱気の流れを作り出す構成が挙げられる。
具体的には、例えば、図4及び5は、熱気導入手段としてそれぞれファン及びヒートシンク、ヒートパイプ及びヒートシンクを用いた装置の例を示す模式断面図である。図4では、アンテナ6やその制御基板7からの排熱をヒートシンク8に導き、ファン(図示せず)により黒矢印で示すような気流を作り出した後、熱気をカバー材1の流路2の上方から下方へと流れるように導く。また、図5では、ヒートパイプ(図示せず)を用いてアンテナ6や制御基板7の排熱をカバー材1の流路2の下方に配置したヒートシンク8に導くと、熱気は黒矢印で示すような上昇気流を作り出し、流路2の下方から上方へと流れるように導かれる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(1)断熱層の密度
後述の実施例及び比較例で得られた断熱層より、30mm角、10mm厚さを目安にサンプルを切り出し、当該サンプルの質量W[g]を測定し、サンプル体積V[cm]で除して密度(g/cm)を算出した。ここで、上記切り出しが難しい場合には、各実施例及び各比較例と同じ材料を準備してサンプル質量を測定し、水没法により体積を測定し、それぞれの値を使用して密度を算出してもよい。
(2)断熱層の難燃性
後述の実施例及び比較例で得られた断熱層について、米国UL規格のUL-94垂直法(20mm垂直燃焼試験)に準拠した試験を行い、難燃性の評価を行った。
以下に測定方法の詳細を示す。
断熱層から切り出した、長さ125mm、幅13mm、厚さ5mmの試験片を5本用いた。試験片をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりV-0、V-1、V-2の判定を行った。
V-0:1回目、2回目ともに有炎燃焼持続時間は10秒以内、更に2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が30秒以内、更に5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が50秒以内、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない、燃焼落下物による綿着火なし。
V-1:1回目、2回目ともに有炎燃焼持続時間は30秒以内、更に2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が60秒以内、更に5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が250秒以内、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない、燃焼落下物による綿着火なし。
V-2:1回目、2回目ともに有炎燃焼持続時間は30秒以内、更に2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼時間の合計が60秒以内、更に5本の試験片の有炎燃焼時間の合計が250秒以内、固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない、燃焼落下物による綿着火有り。
なお、上記V-0、V-1、V-2のいずれにも該当しないものは不適合(×)とした。
(3)28GHzにおける電波透過率
後述の実施例及び比較例で得られたカバー材について、28GHzにおける電波透過率を、以下の方法に従って測定した。
まず、カバー材から200mm×200mm×各厚みのサイズでサンプルを準備した。続いて、KEYCOM社製周波数変化法誘電率・誘電正接測定装置DPS10-02の誘電体レンズ付き透過減衰測定治具に前記サンプルをセットし、室温(温度26℃、湿度60%)の条件において、28GHzにおける透過減衰量を測定した。透過減衰量(dB)の測定結果から電波透過率(%)を換算した。
(4)カバー材の流路から外表面までの熱抵抗値
後述の実施例及び比較例で得られたカバー材の流路から外表面までの熱抵抗値(K/W)を、以下のとおり求めた。
流路よりも外表面側にある各層について、下記式で示される熱抵抗値の定義式を用いて熱抵抗値を算出し、それらを合計してカバー材の流路から外表面までの熱抵抗値を求めた。
尚、実施例9及び10においては、アンテナとカバー材とが直接接しているため、カバー材の流路から外表面までよりも熱伝導が大きい、アンテナとカバー材との界面からカバー材の外表面までの距離を厚みdとして熱抵抗値を計算した。また、流路を有しない比較例については、アンテナの表面からからカバー材の外表面までの空気層を含む熱抵抗値を求めた。
熱抵抗値R(K/W)=厚みd(m)÷(熱伝導率k(W/m・K)×面積A(m))
なお、面積Aは、0.01(m)とした。また、熱伝導率kは、円板熱流計法を用いて、以下のようにして測定した。
(熱伝導率kの測定)
カバー材の各層の材料をφ50mm×1mm厚みにカットし、TA Instruments社製のDTC-300を用いて、ASTM E1530に準拠して温度23℃における熱伝導率を測定した。
尚、カバー材が複数の層からなる場合には各層毎に熱抵抗値を算出し、それを合計してすることでカバー材の流路~伝熱層までの熱抵抗値を算出した。ここで、各層の厚みは表1に記載の値を用い、面積としては0.01(m)として計算した。
(5)カバー材の1mmたわみ時の荷重
実施例・比較例で得られたカバー材の1mmたわみ時の荷重(N)を、以下のとおり測定した。
まず、実施例・比較例で得られたカバー材の非流路部分を幅10mm×長さ100mm×各厚みのサイズに切り出し、サンプルを準備した。続いて、オートグラフ(島津製作所社製、AG-X plus シリーズAG-50kNPlus)を用いて、スパン64mm、荷重速度10mm/分の条件で、サンプルについて3点曲げ試験を行った。初期の状態からサンプルが1mmたわんだ時の荷重を測定し、カバー材の1mmたわみ時の荷重とした。
(6)熱コンダクタンス
実施例・比較例で得られたカバー材の流路から外表面までの熱コンダクタンス(W/K)を、以下の式により求めた。
熱コンダクタンスC(W/K)=1/R
式中、Rは、前記(4)に記載の方法で算出した面積0.01(m)における熱抵抗値である。
(実施例1)
断熱層用の発泡体の作製:
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)としてS201A(旭化成株式会社製)を60質量%と、非ハロゲン系難燃剤としてビスフェノールA-ビス(ジフェニルホスフェート)(BBP)を15質量%と、ゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を10質量%と、汎用ポリスチレン樹脂(PS)としてGP685(PSジャパン(株)製)を15質量%とを加え、押出機にて加熱溶融混練の後に押出し、基材樹脂ペレットを作製した。
特開平4-372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、基材樹脂ペレットを耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.0MPa、温度10℃の条件下で3時間かけて基材樹脂ペレットに対して二酸化炭素を含浸させた後、圧力容器から取り出してすぐに基材樹脂ペレットを移送し、基材樹脂ペレットを発泡炉内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら最大330kPa・Gの加圧水蒸気により発泡し、発泡粒子を得た。また、発泡粒子の炭化水素ガスの含有量を発泡直後にガスクロマトグラフィーにより測定したが、検出限界(0.01質量%)以下であった。
その後、この発泡粒子を容器内に入れ、加圧空気を導入(0.4MPaまで4時間かけて昇圧し、その後0.4MPaで16時間保持)することで、加圧処理を施した。これを、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、水蒸気で加熱して発泡粒子を相互に膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出して、発泡粒子からなる断熱層用の発泡体(発泡倍率10倍、100mm×100mm×非流路部の厚み9mm)を得た。
尚、発泡体には、後に伝熱層用樹脂板と接着することで、貫通孔状流路が形成されるように、断熱層用発泡体の一方の表面(伝熱層用樹脂板を接着する表面)に、半径1.5mmの半円状の断面形状を有する直線状に伸びる溝が、幅100mmの発泡体に対して平行・等間隔に10本並ぶように、上記成形金型により流路を形成した。
伝熱層用の樹脂板の作製:
ザイロン340Z(旭化成株式会社製)を型枠内に敷き詰め、温度270℃、型締め力50MPaで熱プレス法により伝熱層用の樹脂板を作製した。
カバー材の作製:
前記のとおり得られた伝熱層用樹脂板と断熱層用発泡体に対して、非流路部に接着剤(セメダイン社製SX720WH)を塗布し、それらを貼合することで図2に示す形状のカバー材(100mm×100mm×厚み10.01mm)を作製した。カバー材の断熱層には、予め断熱層用発泡体に形成しておいた溝により流路が形成された。
更に、上記で得られたカバー材と、アンテナ、制御基板、及びファンとを用いて、アンテナ装置を作製した。アンテナとカバー材とは、間に厚み10mm程度の隙間(空気層)ができるように配置した。このアンテナ装置では、アンテナからの排熱により熱せられた空気が、ファンにより上昇気流となった後、流路を上方から下方へと通過するように構成した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例2)
基材樹脂ペレットの製造工程を以下のとおり変更し、基材樹脂ペレットから発泡粒子を製造する工程において、最大蒸気圧を70kPa・Gへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、断熱層用の発泡体(発泡倍率23倍)を作製し、これを用いたカバー材及びアンテナ装置を作製した。
基材樹脂ペレットの製造工程:
ポリスチレン系樹脂(商品名「GP685」、PSジャパン株式会社製)100質量%を、押出機にて加熱溶融混練の後に押出し、基材樹脂ペレットを作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例3)
特開2006-077218号公報を参考に、以下の手順で断熱層用の発泡体を作製したこと以外は実施例1と同様にして、断熱層用の発泡体を作製し、これを用いたカバー材及びアンテナ装置を作製した。
断熱層用の発泡体の作製:
まず、150mmのバレル内径を有するスクリュー型押出機の供給領域に、900kg/時間の速度で、低密度ポリエチレン(密度=922kg/m、MI=7.0g/10分)を、この樹脂100質量部に対し気泡核形成剤として1.2質量部のタルク粉末(粒径8.0μm)と0.8質量部のガス透過調整剤(ステアリン酸モノグリセリド)とともに供給した。押出機のバレル温度を190~210℃に調整し、押出機の先端に取り付けた発泡剤注入口からn-ブタン100質量%からなる発泡剤をこの樹脂100質量部に対し3質量部を圧入し、当該溶融樹脂組成物と混合して発泡性溶融混合物とした。
この発泡性溶融混合物を押出機の出口に取り付けた冷却装置で108℃まで冷却した後、約4.0mmの平均厚みと約226mm幅の開口部形状を有するオリフィスプレートより、常温、大気圧下の雰囲気中に連続的に押し出して発泡させ、樹脂発泡体の引き取り速度を調整しながら成形して、厚み52mm、幅560mm、長さ1000mm、密度100kg/mの板状発泡体(発泡倍率10倍)を得た。この樹脂発泡体に含まれる炭化水素ガスの含有量は、発泡体を構成する樹脂100質量部に対して2.4質量部であった。40℃環境下で3か月保管し、炭化水素ガスの含有量が検出下限以下(50質量ppm)となったことを確認した後に、上記の評価を実施した。この発泡体は板状発泡体であったため、実施例1と同様の形状を得るために、特に切削等の2次加工を行った。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例4)
実施例1の断熱層用の発泡体の作製方法と同様にして、流路の形成されていない断熱層用の発泡体(発泡倍率10倍、100mm×100mm×9mm)を作製した後、電動ドリルを用いて半径1.5mmの円形断面形状を有する貫通孔状流路を、発泡体の一方の表面(伝熱層用樹脂板を接着する表面)から厚み方向に深さ2mm(円形断面形状の中心部が表面から厚み方向に3.5mm)の位置に、幅100mmの発泡体に対して平行・等間隔に10本並ぶように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、カバー材及びアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例5)
図3に示すような曲線を含む形状の貫通孔状流路(断面形状は半径1.5mmの半円形)となる溝を有する断熱層用の発泡体(発泡倍率10倍)を作製したこと以外は実施例1と同様にして、カバー材及びアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。流路が直線状に伸びる形状ではないことから、流路の縦断面の面積が大きくなり、カバー材の外表面の加熱の効率が向上した。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例6)
実施例1と同様にして、カバー材を作製した。
アンテナ装置には、カバー材の下部にヒートシンクを設置し、ヒートシンクの上部にカバー材の流路が配置されるようにカバー材及びアンテナを配置することで、自然対流により発生する上昇気流をカバー材の流路の下方から流路内に導く構成とした。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。特にカバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例7)
実施例1の伝熱層用の樹脂板の作製方法と同様にして、ザイロン340Zの2mm厚みの樹脂板を作製した後、電動ドリルによって外表面となる表面から厚み方向に深さ1mm(円形断面形状の中心部が表面から厚み方向に1.3mm)の位置に半径0.3mmの円形断面形状を有する貫通状流路を幅100mmの樹脂板に対して平行・等間隔に10本並ぶように形成し、カバー材とした。得られたカバー材を用いて、実施例1と同様にしてアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。カバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例8)
実施例1の断熱層用の発泡体の作製方法と同様にして、流路が形成されていない発泡体(発泡倍率10倍)を作製した後、電動ドリルによって外表面となる表面から厚み方向に深さ1mm(円形断面形状の中心部が表面から厚み方向に2.5mm)の位置に半径1.5mmの円形断面形状を有する貫通孔状流路を幅100mmの発泡体に対して平行・等間隔に10本並ぶように形成し、カバー材とした。得られたカバー材を用いて、実施例1と同様にしてアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。カバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられることが分かった。
(実施例9)
実施例1の伝熱層用の樹脂板の作製方法と同様にして、ザイロン340Zの2mm厚みの樹脂板を作製した後、一方の表面(アンテナ装置の内側に配置される表面)に、電動ドリルによって、幅2mm×厚み方向1mmの長方形の断面形状を有し、直線状に伸びる溝状流路を幅100mmの樹脂板に対して平行・等間隔に10本並ぶように形成し、カバー材とした。
得られたカバー材の溝状流路を有する表面がアンテナと接するようにカバー材を配置し、流路中にファンで排熱を導く構成のアンテナ装置を作製した(図6参照)。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。尚、本実施例においてはアンテナとカバー材とが直接接しているため、熱抵抗値を計算する際の厚みdは、アンテナとカバー材との界面からカバー材の外表面までの距離とした。カバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられ、また、アンテナを効率よく冷却できることが分かった。
(実施例10)
発泡体において、伝熱層用樹脂板を接着する表面とは反対側の表面(内表面となる表面)に、幅2mm×厚み方向1mmの長方形の断面形状を有し、直線状に伸び、幅100mmの発泡体に対して平行・等間隔に10本並ぶ溝状流路を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてカバー材を作製した。
実施例9と同様に、得られたカバー材の溝状流路を有する表面がアンテナと接するようにカバー材を配置し、流路中にファンで排熱を導く構成のアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。尚、本実施例においてはアンテナとカバー材とが直接接しているため、熱抵抗値を計算する際の厚みdは、アンテナとカバー材との界面からカバー材の外表面までの距離とした。カバー材の外表面から流路までの熱抵抗が小さく、得られたアンテナ装置では、カバー材の流路に導かれたアンテナや制御基板からの排熱を効果的に外表面へ伝えられ、また、アンテナを効率よく冷却できることが分かった。
(比較例1)
実施例7と同様にしてザイロン340Zからなる樹脂板を作製した後、流路を形成せずにそのままカバー材とし、アンテナ装置を作製した。
得られたアンテナ装置では、流路がないためアンテナ装置からカバー材の外表面までの熱抵抗値が大きく、アンテナからの排熱をカバー材の外表面に効果的に伝熱することができなかった。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
溝を形成しない断熱層用発泡体(発泡倍率10倍)を作製したこと以外は実施例1と同様にして、カバー材及びアンテナ装置を作製した。
得られたアンテナ装置では、流路がないためカバー材の外表面までの熱抵抗値が大きく、アンテナからの排熱をカバー材の外表面に効果的に伝熱することができなかった。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
表1に示すように厚みを変更した以外は比較例1と同様にして、カバー材及びアンテナ装置を作製した。
得られたカバー材は、1mmたわみ時の荷重が小さく、カバー材として十分な剛性が得られなかった。また、流路がないためカバー材の外表面までの熱抵抗値が大きく、アンテナからの排熱をカバー材の外表面に効果的に伝熱することができなかった。
得られたカバー材について、各物性の測定結果を表1に示す。
Figure 2022100556000002
本発明によれば、外表面への水分の付着を低減することが可能なカバー材及び該カバー材を備える電波を送受信する装置を提供することができる。
1 カバー材
2 流路
3 断熱層
4 伝熱層
5 接着層
6 アンテナ
7 制御基板
8 ヒートシンク
9 筐体
A アンテナ装置

Claims (7)

  1. 気体が通過可能な流路を有し、電波を送受信する装置に用いられることを特徴とする、カバー材。
  2. 前記流路が、前記カバー材を貫通する貫通孔である、請求項1に記載のカバー材。
  3. 前記流路が、前記カバー材の一面に形成された溝である、請求項1に記載のカバー材。
  4. 伝熱層と断熱層とを含む積層体である、請求項1~3のいずか一項に記載のカバー材。
  5. 前記流路が、前記断熱層に形成されている、請求項4に記載のカバー材。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のカバー材を含むことを特徴とする、電波を送受信する装置。
  7. 前記電波を送受信する装置内の熱気を前記流路に導く熱気導入手段を有する、請求項6に記載の電波を送受信する装置。
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