JP2023043785A - 発泡用熱可塑性樹脂ペレット群及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生低減に優れる予備発泡粒子を製造するための発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を提供することを目的とする。【解決手段】発泡用熱可塑性樹脂ペレットの集合体であり、発泡用熱可塑性樹脂ペレットを、長手方向に垂直に切断したときの断面形状が略円形であり、ボイドを有しない発泡用熱可塑性樹脂ペレットと、ボイドを有し、表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上である発泡用熱可塑性樹脂ペレットとが、合計で70個数%以上含まれることを特徴とする、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群及びその製造方法に関する。
樹脂発泡材は、従来の中実の樹脂材料や金属材料を代替する材料として、自動車や電子機器の部材、容器の構造材料として使用されている。これらの樹脂発泡材は、低密度、高断熱性、緩衝性があり、これらの特性が有効に利用されている。
また、繊維で強化された樹脂材(繊維強化樹脂材)は、軽量でかつ高い機械的強度を有していることから、車両、船舶、航空機等の移動体のボディーや内装材、風力発電用の風車の翼、電子機器の筐体等といった高い機械的強度と軽量性とが求められる部材に採用される機会が増大している。
このようなことを背景として、樹脂発泡体からなるコア材の表面に繊維強化樹脂材を積層一体化させてなる繊維強化複合発泡体が上記部材に利用されるようになってきている。
繊維強化複合発泡体を形成するための樹脂発泡体(複合体形成用樹脂発泡体)は繊維強化樹脂材に比べて低密度で緩衝性に優れているため、繊維強化複合発泡体からなる部材は全体が繊維強化樹脂材のみからなる部材に比べて軽量性と緩衝性とに優れたものとなる。
繊維強化樹脂材と樹脂発泡体とを一体化させる際、加工温度、加工圧力が共に非常に高い為、樹脂発泡体をコア材として用いる為には、優れた耐熱性と高温剛性を有することが必要である。また、繊維強化樹脂材との接着性や得られる複合体の外観の観点から、コア材表面は極端な凹凸がなく、平滑である方が好ましい事が知られている。
発泡成形体を製造する技術としては、押出発泡法、発泡射出成形法、型内発泡成形法(ビーズ発泡成形法ともいう。)等が挙げられる。
押出発泡法は、押出機を用いて溶融状態の樹脂に有機又は無機発泡剤を圧入し、押出機出口で圧力を開放することによって、一定の断面形状を有する、板状、シート状、又は柱状の発泡体を得て、これを金型に入れて熱加工する、又は切り貼りにより目的形状に成形する方法である。
発泡射出成形法は、発泡性を備える樹脂を射出成形し、金型内にて発泡させることによって、空孔を有する発泡成形体を得る方法である。
型内発泡成形法は、発泡性を備える樹脂予備発泡粒子を型内に充填し、水蒸気等で加熱し、粒子を発泡させると同時に粒子同士を熱融着させることによって、発泡成形体を得る方法である。この型内発泡成形法は、製品形状を自由に設定しやすく、高発泡倍率の発泡成形体を得やすい等の利点があり、広く産業界に普及している。
例えば、特許文献1には、耐熱性に優れるポリフェニレンエーテル系樹脂を用い、型内発泡成形法により発泡成形体を製造した例が開示されている。
特許4712914号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発泡ビーズを用いた場合、成形品表面に膨張や破裂痕が発生する事があった。一般に、予備発泡粒子の製造方法としては、押出機により熱可塑性樹脂を溶融押出し、ストランドカット又はアンダーウォーターカットなど工業的に通常使用されている方法によりペレタイズして得られたペレットを発泡させ、発泡粒子を得る方法が挙げられるが、ペレット造粒時にペレットが溶融状態から冷却される際に、ペレットの表面と内部との冷却速度の差により樹脂密度差が生じ、ペレット内部に空洞(ボイド)が発生する事が知られている。先に述べた成形品表面の膨張や破裂痕は、このボイドが原因と考えられる。ボイドは、ペレットが急冷される、すなわち、溶融時の樹脂温度と外気温の温度差が大きいほど発生しやすく、耐熱性の高い樹脂ほど溶融時の温度も高いため、ボイドが発生しやすくなる欠点がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生低減に優れる予備発泡粒子を製造するための発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を提供することである。
本発明者が鋭意検討した結果、予備発泡粒子を製造するための樹脂ペレット内部のボイドとペレット表面との距離の最小値を特定の範囲にすることで、成形品表面における膨張部や破裂痕の発生を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]発泡用熱可塑性樹脂ペレットの集合体であり、
前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットを、長手方向に垂直に切断したときの断面形状が略円形であり、
ボイドを有しない発泡用熱可塑性樹脂ペレットと、ボイドを有し、表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上である発泡用熱可塑性樹脂ペレットとが、合計で70個数%以上含まれる
ことを特徴とする、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
[2]前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットの真球度が0.9~1.2である、[1]に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
[3]前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットの平均粒径が0.5~1.1mmである、[1]又は[2]に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
[4]ガラス転移温度が50℃以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
[5]アンダーウォーターカット方式を用いてカットすることを含み、
前記アンダーウォーターカット方式において水圧を1.0~2.0bar・Gとする
ことを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の製造方法。
本発明によれば、成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生低減に優れる予備発泡粒子を製造するための発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を提供することができる。
成形品表面に生じた破裂痕の一例の走査型電子顕微鏡写真である。 成形品表面に生じた膨張部の一例の走査型電子顕微鏡写真である。(b)は(a)の一部拡大写真である。 ボイドを有しないペレットと表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上であるペレットとの合計含有量を求めるためにボイドの有無及び位置を確認する際の、ペレットの切断方法を示す図である。(a)は、一例として略円柱状のペレットを、点線(A)で切断することを示す。(b)は、(a)のペレットを点線(A)で切断した後に残った中央部分の切断面を示す図であり、この中央部分を、一点鎖線(B)及び二点鎖線(C)で更に切断することを示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[発泡用熱可塑性樹脂ペレット群]
本実施形態の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群は、発泡用熱可塑性樹脂ペレット(以下、単に「ペレット」ともいう。)の集合体であり、予備発泡粒子を製造するために用いられる。
本実施形態の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群において、ボイドを有しない発泡用熱可塑性樹脂ペレットと、ボイドを有し、ペレット表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上である発泡用熱可塑性樹脂ペレットの合計含有量は、70個数%以上であり、75個数%以上であることが好ましく、80個数%以上であることがより好ましい。上記合計含有量が70個数%以上であることにより、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を用いて製造した予備発泡粒子を成形した際に、成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生を低減させる事ができる。その結果、例えば、樹脂発泡体からなるコア材の表面に繊維強化樹脂材を積層一体化させてなる繊維強化複合発泡体のコア材として成形品を用いた際に、繊維強化樹脂複合発泡体の表面が均一となる事に加え、コア材と繊維強化樹脂材の界面が平滑な平面となり、より強固に接着させる事ができ、優れた強度を発現する事ができる。
成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生には、上記ペレット表面からボイドまでの距離(ペレット表面からボイドまでの樹脂層の厚み)が大きく影響する。成形加工時の発泡粒子の膨張に伴い、発泡粒子表面からボイドまでの距離(発泡粒子表面からボイドまでの樹脂層の厚み)が縮小し、該距離がある値以下になると、ボイド内部の空気の内圧に負けて発泡粒子の表面からボイドまでの樹脂層が変形した結果、膨張部となる。また、該距離がさらに縮小して膨張部が破膜すると、破裂痕となる。そのため、ペレット表面からボイドまでの距離は離れているほど好ましい。
図1は、成形品表面に生じた破裂痕の一例の走査型電子顕微鏡写真であり、図2は、成形品表面に生じた膨張部の一例の走査型電子顕微鏡写真である。
なお、ボイドを有しないペレットと表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上であるペレットとの合計含有量は、ペレット50個について、各ペレットにおけるボイドの有無及び位置を確認し、該当するペレットの個数を計数することにより算出される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される値をいう。
(発泡用熱可塑性樹脂ペレット)
((熱可塑性樹脂))
発泡用熱可塑性樹脂ペレットに含まれる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を主成分とすることが好ましく、特に好ましくはポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂である。
なお、熱可塑性樹脂は、1種単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
ここで、「主成分とする」とは、樹脂全量(100質量%)に対して、50質量%以上含むことをいう。
上記ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸と二価アルコールとが、縮合反応を行った結果得られた高分子量の線状ポリエステルが好ましい。中でも、芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
なお、ポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族ポリエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、上記芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール成分以外に、例えば、トリメリット酸等のトリカルボン酸、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸やその無水物、グリセリン等のトリオール、ペンタエリスリトール等のテトラオール等の三価以上の多価アルコール等を構成成分として含有していてもよい。
上記ポリエステル系樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合、架橋剤によって架橋されていてもよい。架橋剤としては、公知のものが用いられ、例えば、無水ピロメリット酸等の酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物等が挙げられる。
なお、架橋剤は、1種単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体、これらの混合物が挙げられる。
なお、ポリアミド系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリアミドとしては、例えば、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られる、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン1212等;ラクタムの開環重合により得られる、ナイロン6、ナイロン12等;等が挙げられる。
上記ポリアミド共重合体としては、例えば、ナイロン6/66、ナイロン66/6、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン66/6T(Tは、テレフタル酸成分を表す)、ナイロン66/6I(Iは、イソフタル酸成分を表す)、ナイロン6T/6I等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリアミドが好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、ナイロン66/6等がより好ましい。
上記ポリアミド系樹脂の混合物としては、例えば、ナイロン66とナイロン6との混合物、ナイロン66とナイロン612との混合物、ナイロン66とナイロン610との混合物、ナイロン66とナイロン6Iとの混合物、ナイロン66とナイロン6Tとの混合物、ナイロン6とナイロン6I/6Tとの混合物等が挙げられる。中でも、樹脂の結晶化度を高めて、耐熱性及び複合体の表面美粧性を十分にする観点から、混合物の場合のポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミドを50質量%超含むものであることが好ましく、60質量%以上含むものであることがより好ましい。
なお、ポリアミド系樹脂のアミノ基又はカルボキシル基と反応する置換基(以下、反応性の置換基ともいう。)を有する化合物や重合体等を用いて、ポリアミド系樹脂の分子内において、かかる置換基を介した架橋構造を形成させることによって、ポリアミド系樹脂の架橋度を高めてもよい。
反応性の置換基としては、例えば、グリシジル基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボジイミド基等の官能基等が挙げられ、特に、反応の速さの観点から、グリシジル基、カルボジイミド基が好ましい。
上記反応性の置換基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、反応性の置換基を有する化合物や重合体等は、1分子中に複数種の官能基を有していてもよい。
なお、反応性の置換基のポリアミド系樹脂への導入量は、架橋により樹脂にゲル化等が生じない程度とするのがよい。
ポリアミド系樹脂が末端に有する高反応性の官能基(アミノ基及びカルボキシル基)を、ポリアミド系樹脂の合成において末端封止剤を添加することによって、低反応性の官能基に変える(ポリアミド系樹脂の末端を封鎖する)ことができる。
この場合、末端封止剤を添加する時期としては、原料仕込み時、重合開始時、重合中後期、又は重合終了時が挙げられる。
上記末端封止剤としては、ポリアミド系樹脂のアミノ基又はカルボキシル基との間で反応し得る単官能性の化合物である限り、特に制限されることなく、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。
末端封止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、高温環境下で使用される場合には上記樹脂と共に、熱安定剤を用いてもよく、特に熱安定剤としては、120℃以上の高温環境下で長期熱老化を効果的に防止する観点から、銅化合物が好ましく、この銅化合物とハロゲン化アルカリ金属化合物との組み合わせも好ましい。ここで、ハロゲン化アルカリ金属化合物としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体をいい、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体等が挙げられる。
Figure 2023043785000001
[式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;フェニル基;ハロゲン原子と一般式(1)中のベンゼン環との間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロアルキル基又はハロアルコキシ基で第3α-炭素を含まない基;からなる群から選択される一価の基である。]
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジラウリル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-ジフェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジメトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メトキシ-6-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-ステアリルオキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジベンジル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-クロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブロモ-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、特に、上記一般式(1)にR及びRが炭素原子数1~4のアルキル基であり、R及びRが水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である繰り返し単位を含む重合体が好ましい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、他の樹脂と併用して用いられても良く、樹脂の樹脂成分100質量%に対して、40~80質量%であることが好ましく、より好ましくは40~70質量%である。PPE含有量を40質量%以上とすれば、優れた耐熱性を得ることができ、また、PPE含有量を80質量%以下とすれば、優れた加工性を得ることができる。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂と共に用いる他の樹脂としては、熱可塑性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂;AS(アクリロニトリル-スチレン)樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;セルロース系樹脂;スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2-ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の熱可塑性エラストマー;ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリエステル系、フッ素系の熱可塑性エンジニアリングプラスチック;等が挙げられる。また本発明の目的を損なわない範囲で、変性、架橋された樹脂を用いてもよい。中でも、相溶性の観点から、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
上記他の樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂と共に用いる他の樹脂におけるポリスチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体、スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体等が挙げられる。
上記スチレン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、ポリクロロスチレン等が挙げられる。
スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体としては、例えば、スチレン-α-オレフィン共重合体;スチレン-ブタジエン共重合体;スチレン-アクリロニトリル共重合体;スチレン-マレイン酸共重合体;スチレン-無水マレイン酸共重合体;スチレン-マレイミド共重合体;スチレン-N-フェニルマレイミド共重合体;スチレン-N-アルキルマレイミド共重合体;スチレン-N-アルキル置換フェニルマレイミド共重合体;スチレン-アクリル酸共重合体;スチレン-メタクリル酸共重合体;スチレン-メチルアクリレート共重合体;スチレン-メチルメタクリレート共重合体;スチレン-n-アルキルアクリレート共重合体;スチレン-n-アルキルメタクリレート共重合体;エチルビニルベンゼン-ジビニルベンゼン共重合体;ABS、ブタジエン-アクリロニトリル-α-メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体;スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン-酢酸ビニル共重合体、(スチレン-アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等のグラフト共重合体;等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、ポリスチレン系樹脂には、必要に応じて、ブタジエン等のゴム成分を添加して使用してもよい。ゴム成分の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量%に対して、1.0~20質量%であることが好ましく、例えば、6質量%としてよい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂と共に用いる他の樹脂におけるポリカーボネート系樹脂としては、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、又は環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるもの等が挙げられる。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることによって製造される。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの何れか一方又は双方を意味する。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。又、上記(メタ)アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル系モノマー以外にこれと共重合可能なモノマー成分を含有していてもよい。このようなモノマーとしては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。さらに、熱及び必要に応じ、塩やアルカリ、酸を用いて、脱水反応や脱エタノール反応、アミン交換反応をすることで、主鎖にグルタル酸無水物や(メタ)アクリルイミド環、ラクトン環を導入することで、耐熱性を付与してもよい。特に好ましくはメタクリルイミド系樹脂、無水マレイン酸と(メタ)アクリル及びスチレンとの共重合樹脂等が挙げられる。
((その他の成分))
本実施形態の発泡用熱可塑性樹脂ペレットは、本発明の目的を損なわない範囲で、任意選択的に、添加剤等のその他の成分を含んでいてもよい。ペレットに含まれてもよいその他の成分としては、安定剤、衝撃改良材、難燃剤、滑剤、顔料、染料、耐候性改良剤、帯電防止剤、耐衝撃改質剤、結晶核剤、ガラスビーズ、無機充填材、架橋剤、タルク等の核剤が挙げられる。
ペレットにおけるその他の成分の含有量は、ペレット100質量%に対して、30質量%以下としてよく、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
特に、上記安定剤としては、特に限定されることなく、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ホスファイト化合物、チオエーテル系化合物等の有機系酸化防止剤や熱安定剤;ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤;金属不活性化剤等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(発泡用熱可塑性樹脂ペレットのガラス転移温度)
ペレットのガラス転移温度は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。ペレットのガラス転移温度が上記範囲であると、発泡成形品の耐熱性が向上する傾向にある。また、ガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、加工性の観点からは、250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度の測定は、後述の実施例に記載の方法で行うことができる。
(発泡用熱可塑性樹脂ペレットの形状、寸法)
ペレットの形状としては、長手方向に垂直に切断したときの断面形状が略円形であれば特に限定されず、略柱状、略球状などが挙げられるが、球状が好ましい。
なお、本明細書において、略円形とは、真円、楕円、又はそれらに類似する丸みのある形状を含むものとする。略柱状とは、断面が一定の柱状だけでなく、断面の形状が変化する(長手方向両端へ向かって断面の径が小さくなるような形状等)も含むものとする。略球状とは、真球、ラグビー球形状の楕円球、又はそれらに類似する形状等を含むものとする。
ペレットの寸法についても特に限定されないが、ペレットの平均粒径の好ましい上限は、1.1mmであり、より好ましい上限は1.0mmである。また、ペレットの平均粒径の好ましい下限は0.5mmであり、より好ましい下限は0.7mmであり、さらに好ましい下限は0.8mmである。ペレットの平均粒径がこの範囲にあると、発泡性と成形時の充填性を両立しやすくなる。また、ペレットが1.1mm以下であると、造粒後の冷却時に内部まで均一に冷えやすくなる為、ボイドが発生しにくくなる利点もある。
なお、ペレットの平均粒径の測定は、後述の実施例に記載の方法で行うことができる。
(ペレットの真球度)
ペレットの真球度は0.9~1.2であることが好ましく、0.95~1.15であることがより好ましい。ペレットの真球度がこの範囲にあると、成形時の充填性がより優れる事に加え、造粒後の冷却時に等方的に均一に冷却されやすくなる為、ボイドが発生しにくくなったり、ボイドの位置がペレット中心に寄りやすくなったりする。
なお、ペレットの真球度の測定は、後述の実施例に記載の方法で行う事ができる。
(ペレットのボイドの大きさ)
ペレット群中のボイドを有するペレットの割合(ボイド率)は30個数%以下であることが好ましく、より好ましくは25個数%以下である。これにより、本ペレットから得られた予備発泡粒子を成形した際に成形品表面の膨張部や破裂痕を低減させる事ができる。成形品表面の膨張部や破裂痕は、ボイドが原因であるため、ボイド率は低いほど好ましい。ボイド率の測定は、実施例記載の方法で行う事ができる。
ペレットのボイドの大きさについては、ペレットの30体積%以下であることが好ましく、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。ボイドの大きさがこの範囲にあると、成形加工時の膨張不良が起こりにくくなる傾向にある。ボイドの大きさは小さいほど好ましいため、下限は特に限定されないが、ペレット表面から0.2mmの厚さ以内に収まるボイドなど、発泡時の気泡の大きさと同程度の物は、気泡と同じに扱える為、その影響は無視できる。
なお、ペレットのボイドの大きさは、X線CTスキャン等を用いて測定することができる。
[発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の製造方法]
本実施形態の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の製造方法において、熱可塑性樹脂と任意で上述したその他の成分とを混練する方法としては、特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダ-等で混合した後、1軸又は多軸の押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。中でも、ベント減圧装置を備えた押出機による混練が、生産性の観点から好ましい。
また、予め混合することなく、定量フィーダーなどで各成分を単独であるいは数種類ずつまとめて押出機に連続フィードすることもできる。
混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、一般的には、140~350℃の範囲、好ましくは180~300℃の範囲である。
本実施形態の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の製造方法において、押出後の熱可塑性樹脂のペレット化の方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ホットカット方式、アンダーウォーターカット方式、ストランドカット方式等が挙げられる。これらの中でも、ボイドがペレット表面付近に生じにくい事から、ホットカット方式、アンダーウォーターカット方式が好ましく、球形に近いペレットの作りやすさから、アンダーウォーターカット方式が好ましい。
アンダーウォーターカット方式を用いる場合、アンダーウォーターカットの水圧は、1.0~2.0bar・Gとすることが好ましい。これは、カット時に水圧をかける事で水中のキャビティ発生を抑制し、切り損じを防ぎ、ペレットを均一な形状にする効果と、ダイから出てきた溶融樹脂に圧力をかける事で、ペレット形状をより球形に近くする効果があると考えられる。
また、アンダーウォーターカットの循環水の温度は高いほど好ましく、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましい。循環水の温度を上記範囲とすることにより、溶融樹脂の冷却速度を遅くして樹脂表面と内部との温度差を小さくし、ボイドの発生を抑制したり、ボイドが発生しても、その大きさを小さくしたりしやすくなる。
本実施形態の予備発泡粒子は、ペレットに発泡剤を含有(含浸)させて、発泡を生じさせることによって得ることができる。
ペレットに発泡剤を含有(含浸)させる方法としては、特に限定されることなく、一般的に用いられている方法としてよい。
かかる方法としては、水等の懸濁系で水性媒体を用いて行う方法(懸濁含浸)や、重炭酸ナトリウム等の熱分解型発泡剤を用いる方法(発泡剤分解)、ガスを臨界圧力以上の雰囲気とし液相状態にして、ペレットに接触させる方法(液相含浸)、ガスを臨界圧力未満の雰囲気とし気相状態にして、ペレットに接触させる方法(気相含浸)等が挙げられる。上記方法のうち、特に、気相含浸が好ましい。
気相含浸では、高温条件下で実施される懸濁含浸の場合と比較して、ガスの樹脂への溶解度がより高く、発泡剤の含有量を高くしやすい。そのため、気相含浸では、高発泡倍率を達成しやすく、樹脂内の気泡サイズも均一になりやすい。
また、発泡剤分解も、懸濁含浸と同様に高温条件下で実施される点で不都合がある。また、この方法では、加えた熱分解型発泡剤全てがガスになるわけではないため、ガス発生量が相対的に少なくなりやすい。そのため、気相含浸では、発泡剤分解に比べ、発泡剤含有量を高くしやすいという利点がある。
更に、気相含浸では、液相含浸の場合と比較して、耐圧装置や冷却装置等の設備がよりコンパクトになりやすく、設備費を低減しやすい。
気相含浸の条件としては、特には限定されることなく、例えば、ガスのペレットへの溶解をより効率的に進める観点から、雰囲気圧力としては、0.5~6.0MPaであることが好ましく、雰囲気温度としては、5~30℃であることが好ましい。
発泡剤としては、特に限定されることなく、空気やガスとし得る化合物等が挙げられる。
ガスとし得る化合物の例としては、二酸化炭素、窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の無機化合物;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)ジクロロフルオロエタン(R141b)クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC-245fa、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-225ca等のフルオロカーボン;HFO-1234y、HFO-1234ze(E)等のハイドロフルオロオレフィン;プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;等が挙げられる。
これらの空気やガスとし得る化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤としては、環境への影響が少なく、可燃性や支燃性がないものが好ましく、取り扱い時の安全性の観点から、可燃性のない無機化合物が更に好ましく、樹脂への溶解性、取り扱いの容易性の観点から、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)特に好ましい。
発泡剤を含有(含浸)させたペレットに発泡を生じさせる方法としては、特に限定されないが、例えば、発泡剤を含浸させたペレットを高圧雰囲気下から低圧雰囲気下に一気に持ち込むことによって、ペレットに溶解している発泡剤としてのガスを膨張させて、発泡を生じさせる方法や、圧力蒸気等を用いて加熱することによって、ペレット中のガスを膨張させて、発泡を生じさせる方等を用いることができ、特に、生成物である発泡成形品内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にするという利点、及び発泡倍率を制御して低発泡倍率の発泡成形品の作製を容易にするという利点が得られるため、後者の加熱・発泡を行う方法を用いることが好ましい。
ここで、予備発泡粒子を所望の発泡倍率になるまで発泡させる際、一段階の発泡を行ってもよく、二次発泡、三次発泡等からなる多段階の発泡を行ってもよい。
特に、多段階の発泡の場合、各段階での発泡前に予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスとしては、特には限定されないが、ガスの安全性が高く、ガスの地球温暖化係数の小さい、無機ガスやハイドロフルオロオレフィンが好ましい。無機ガスとしては、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等が挙げられ、また、ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1234y、HFO-1234ze(E)等が挙げられ、特に、取り扱い容易性及び経済性の観点から、空気や炭酸ガスが好ましい。加圧処理の手法としては、特には限定されないが、予備発泡粒子を加圧タンク内に充填し、該タンク内にガスを供給する手法等が挙げられる。
(樹脂発泡成形品)
本実施形態の予備発泡粒子を成形して得られる樹脂発泡成形品について説明する。
予備発泡粒子を成形する方法としては、例えば、予備発泡粒子を成形用金型のキャビティ内に充填し、加熱することによって、発泡を生じさせると同時に予備発泡粒子同士を熱融着させた後、冷却により固化し、成形する方法が挙げられる。予備発泡粒子を閉鎖した金型内に充填、発泡させて得るが、密閉し得ない金型内に充填して加熱し、予備発泡粒子相互を融着させる方法を採用してもよい。樹脂種と成形条件によっては汎用の型内発泡自動成形機を使用することができる。ここで、予備発泡粒子の充填方法は、特には限定されないが、例えば、金型を多少開けた状態で予備発泡粒子を充填するクラッキング法、金型を閉じたままの状態で加圧圧縮した予備発泡粒子を充填する圧縮法、金型に加圧圧縮した予備発泡粒子を充填した後に上記クラッキング法を行う圧縮クラッキング法等が挙げられる。
予備発泡粒子の気泡に一定のガス圧力を付与して、粒子内部の気泡の大きさ(セルサイズ)を均一にする観点から、予備発泡粒子を成形用金型のキャビティ内に充填する前に、予備発泡粒子に対してガスによる加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理に用いるガスとしては、特には限定されないが、難燃性、耐熱性、寸法安定性の観点から、無機ガス等が挙げられる。無機ガス及び加圧処理の方法については、多段階発泡の場合に予備発泡粒子に対して施されるガスによる加圧処理の場合と同様である。
予備発泡粒子を成形する際に用いられる熱媒体は、汎用の熱媒体としてよく、樹脂の酸化劣化を抑制する観点から、飽和水蒸気や過熱水蒸気であることが好ましく、樹脂に対して均一な加熱を可能にする観点から、飽和水蒸気が更に好ましい。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定・評価方法について以下に説明する。
(1)ガラス転移温度
TAインスツルメント社製ARES-G2を用いて、下記条件にて粘弾性測定を行った。尚、測定は300℃から降温しながら行うが、途中で樹脂が固化して測定不能となった場合は、その温度までのデータを用いる事とした。得られたデータから、70℃(途中で測定不能となった場合はその温度)~200℃において損失正接tanδが最大となる温度をガラス転移温度Tg(℃)とした。
測定治具 :コーン&プレート
測定モード :溶融
掃引カテゴリー:温度掃引
歪み量 :10%
周波数 :10rad/sec
温度範囲 :70~300℃
降温速度 :2℃/min
プレート径 :25φmm
ギャップ間隔 :0.05mm
自動モード :Axial force…10g
Sensitivity…2.0g
(2)平均粒径、平均半径、真球度
ペレット100個について、長手方向の長さをノギスで測定して平均値を求め、平均長さ(L)[mm]とした。次に、長手方向中央で長手方向に垂直に切断して2分割し、得られた断面において、長径、短径をそれぞれノギスで測定し、平均して平均長径(R1)[mm]及び平均短径(R2)[mm]を求めた。平均長径(R1)と平均短径(R2)から、平均粒径(R)[mm]及び平均半径(Rav)[mm]を下記式にて求めた。
R=(R1+R2)/2
Rav=R/2
また、平均粒径(R)の平均長さ(L)に対する比率(R/L)を真球度とした。
(3)ボイド率
ペレット50個を、レザー刃にて、長手方向の長さを三等分する位置で長手方向に垂直に三分割し、ボイドの有無を目視にて確認し、ボイド発生率(ボイドを有するペレットの割合)(個数%)を求めた
(4)ボイドを有しないペレットと、ペレット表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上であるボイドを有するペレットとの合計含有量
ペレット50個を、長手方向の両端からそれぞれ0.2mmの位置で長手方向に垂直に切断した後(図3(a)の点線(A)を参照)、断面の略円形の長軸の両端からそれぞれ0.2mmの位置で短軸及び長手方向に平行にカットし(図3(b)の一点鎖線(B)を参照)、断面の略円形の短軸の両端からそれぞれ0.2mmの位置で長軸及び長手方向に平行にカットした(図3(b)の二点鎖線(C)を参照)。なお、ペレットを長手方向に垂直に切断したときの断面形状が真円である場合は、上記長軸及び短軸は、任意の直径軸とそれに直交する直径軸とする。
得られた四角柱形状のペレットについてボイドの有無を目視にて確認し、ボイドが確認できなかった物の個数%を、ボイドを有しないペレットと、ペレット表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上であるボイドを有するペレットとの合計含有量とした。
(5)成形品の外観不良数
成形品の外観を目視で確認し、膨張部(膨張部直径が1mm以上であるもの)や破膜痕(穴が1mm以上であるもの)の個数を数えた。5個の成形品について得られた結果を平均し、外観不良数(個)とした。
(実施例1)
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)としてS201A(旭化成(株)製)73質量%、汎用ポリスチレン樹脂(PS)としてGP685(PSジャパン(株)製)15質量%、ゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)12質量%(基材樹脂中のゴム成分含有量は0.6%)を用い、これら熱可塑性樹脂100質量部に対し、非ハロゲン系難燃剤としてビスフェノールA-ビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)を22質量部加え、押出機にて加熱溶融混練の後にGala社製アンダーウォーターカット装置にてカットを行い、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を得た。アンダーウォーターカットの際の循環水温度は90℃、循環水の水圧は1.0barとした。
得られた発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の測定結果を表1に示す。
特開平4-372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.2MPa、温度11℃の条件下で3時間かけて、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群に対して二酸化炭素を7質量%含浸させた。
その後、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を予備発泡機内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら、加圧水蒸気により発泡させて、予備発泡粒子群を得た。
この予備発泡粒子群を0.5MPaまで1時間かけて昇圧し、その後0.5MPaで8時間保持し、加圧処理を施した。
予備発泡粒子群を、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、加圧水蒸気で加熱して予備発泡粒子相互を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、150mm×150mm×10mm厚み、発泡倍率10cm/gのビーズ発泡成形品を得た。この成形品の外観を観察した結果、外観不良数は0個であった。
(実施例2)
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)としてS201A(旭化成(株)製)30質量%、汎用ポリスチレン樹脂(PS)としてGP685(PSジャパン(株)製)70質量%を用い、押出機にて加熱溶融混練の後にGala社製アンダーウォーターカット装置にてカットを行い、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を得た。アンダーウォーターカットの際の循環水温度は95℃、循環水の水圧は1.5barとした。
得られた発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の測定結果を表1に示す。
発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を用いて実施例1と同様に発泡、成形し、ビーズ発泡成形品を得た。得られた成形品の外観不良数は0個であった。
(実施例3)
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)としてS201A(旭化成(株)製)40質量%、汎用ポリスチレン樹脂(PS)としてGP685(PSジャパン(株)製)60質量%を用い、押出機にて加熱溶融混練の後にGala社製アンダーウォーターカット装置にてカットを行い、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を得た。アンダーウォーターカットの際の循環水温度は95℃、循環水の水圧は1.5barとした。
得られた発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の測定結果を表1に示す。
発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を用いて実施例1と同様に発泡、成形し、ビーズ発泡成形品を得た。得られた成形品の外観不良数は18個あったものの、実使用は可能なレベルであった。
(実施例4)
循環水の水圧を1.0barとした以外は実施例3と同様にして発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を作製し、発泡、成形を行ってビーズ発泡成形品を得た。
得られた成形品の外観不良数は22個と実施例3に比べて増加傾向にあったが、実施用には何ら問題ないレベルであった。
(比較例1)
循環水の水圧を0.2barとした以外は実施例3と同様にして発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を作製し、発泡、成形を行ってビーズ発泡成形品を得た。
得られた成形品の外観不良数は104個と実用に耐えないレベルとなった
(比較例2)
循環水の水圧を0.5barとした以外は実施例3と同様にして発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を作製し、発泡、成形を行ってビーズ発泡成形品を得た。
得られた成形品の外観不良数は68個と比較例1に比べて減少傾向にあったが、まだまだ実用に耐えないレベルであった。
Figure 2023043785000002
本発明の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群を用いて製造した予備発泡粒子は、成形品表面における膨張部及び/又は破裂痕の発生を低減させることができるため、優れた耐熱性と高温剛性を有することが必要とされる繊維強化複合発泡体のコア材等にも好適に使用することができる。
1 破裂痕
2 膨張部

Claims (5)

  1. 発泡用熱可塑性樹脂ペレットの集合体であり、
    前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットを、長手方向に垂直に切断したときの断面形状が略円形であり、
    ボイドを有しない発泡用熱可塑性樹脂ペレットと、ボイドを有し、表面からボイドまでの距離の最小値が0.2mm以上である発泡用熱可塑性樹脂ペレットとが、合計で70個数%以上含まれる
    ことを特徴とする、発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
  2. 前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットの真球度が0.9~1.2である、請求項1に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
  3. 前記発泡用熱可塑性樹脂ペレットの平均粒径が0.5~1.1mmである、請求項1又は2に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
  4. ガラス転移温度が50℃以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群。
  5. アンダーウォーターカット方式を用いてカットすることを含み、
    前記アンダーウォーターカット方式において水圧を1.0~2.0bar・Gとする
    ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡用熱可塑性樹脂ペレット群の製造方法。
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