JP5715956B2 - 熱可塑性ポリマー材料を含む物品及びその形成方法 - Google Patents

熱可塑性ポリマー材料を含む物品及びその形成方法 Download PDF

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Description

本発明はポリマー材料に関し、排他的にではないが、とりわけ半結晶性ポリマー材料を所定形状に成形することに関する。
非晶性ポリマーを成形する一般的な方法は熱成形によるものである。これは、非晶性ポリマーのシートをガラス転移温度(Tg)より高いが、それが溶融物として形成され得る点よりも低い温度に加熱し、構成部品を画定するために、その材料を弾性的に変形させ、前記材料を依然として変形させたままTg未満に冷却することによるプロセスである。Tgは、ポリマー材料のガラス−ゴム転移(glassy−rubber transition)を表わし、Tg未満に冷却することは、セグメント分子運動を拘束し、よって変形プロセスにより構成部品に組み込まれる応力の減衰を抑制し、前記応力は材料中に効果的に凍結される。前記構成部品がTgを超えて再加熱される場合、かなりの回復が起こり、該材料はその原形と同様の状態に戻る。同様に、構成部品が応力を、その応力が凍結応力の一部を解放するように作用するように、受ける場合、前記応力の除去時に変形した寸法への回復は完了しないであろう。この完全な回復の欠如はポリマー粘弾性の特性に関連する。ポリマーのいかなる変形も、回復可能成分と、回復不能成分とを有するであろう。回復不能成分は負荷応力下における互いに関する分子の運動により発生する。
半結晶性ポリマーは、ある程度の結晶質と、ある程度の非晶質とを含有し、多くの場合、非晶質が重要である。結果として、そのような材料を、上記で検討したような非晶性ポリマーに類似した方法で変形させることが可能である。熱成形の後、非晶性ポリマーでのように、材料がそのTgを超えて加熱される場合には、いくらかの回復が生じ、材料が応力を受ける場合には、同様の挙動を生じるであろう。
熱成形プロセスで製造された構成部品が使用時に熱および/または応力を受ける状況が存在する。前記熱および/または応力は、ポリマー材料の非晶質領域がある程度まで回復し、それらの原形に戻るので、構成部品の形状および/または寸法の変形を有害に生じ得る。
例として、回転軸に沿った封止を提供するように配列される、ポリマー材料から製造されたシールリングが知られている。そのようなリングは約25mmの径を有し、該リングは、使用時に、シャフトが位置するハウジングと該リングの外径とが組み合うように、シャフトの溝内に位置する。前記リングは、該リングが開かれてシャフトの上に配置されるのを可能にするために分割されている。その全周をめぐる封止の完全性を保証するためには、例えばインターロッキング部を備えた適当な接合が、前記分割部を閉鎖するように画定される必要がある。この接合の構造は、概して、前記分割リングが分割部を画定する2つの接合端の間に有意な距離を有して形成されていることを意味する。成形の後、分割リングは、分割部同士がもはや分離しないように適正な形状にヒートセット(効果的には熱成形処理)され得る。これは、典型的には25〜35%の結晶化度のレベル(level of crystallinity)を有し得る成形リングを金属シャフト上に配置し、前記シャフトおよびリングをハウジングジグの内側に取り付け、ジグの内側がリングの外径を固定することによって行われる。次いで、前記ジグおよびリングはポリマー材料のTgより高い温度に加熱され、前記リングを依然として束縛したまま、該アセンブリを冷ます。その結果、前記リングは、ジグから取り外されると、束縛ジグの寸法を保持する。しかしながら、リングをシャフト上に取り付けるためにリングを開くことにより、リングが用いられる最終的な工業用アセンブリ(engineering assembly)内において、もはやリングがハウジングに良好に適合しないような、若干の回復不能な変形を生じる。
射出成形のような工程は、多くの場合、マイクロチップトレイのような完成した構成部品において容認できない反りを起こすレベルの残留応力を生じ得る。チップトレイは処理の間にマイクロチップを輸送するために用いられ、平面度が非常に重要である。チップトレイの設計は非常に多くの場合において複雑であり、この複雑さは残留応力に関連する流動を容易に生じる。これと関連して、チップトレイは、多くの場合において、繊維および他の充填材を含有するポリマー組成物から製造される。前記充填材は静電荷の放散を制御するために用いられる。通常高いアスペクト比を有するそのような充填材は、応力に関連する前述の流動を悪化させる。
スクロールコンプレッサのスクロールは、ポリマー材料から製造された比較的小さい断面のらせんコイルからなる。前記スクロールは典型的には射出成形されるが、構成部品を完全に形成するために必要とされる流動長(flow lengths)の点から制約が存在する。これは、型穴を充填する際のポリマー材料の時期尚早な凝固により、可能な断面および長さの有望な組み合わせ(断面が小さいほど、長さは短い)を制限する。成形工程の他の1つの不都合は、スクロールの長さに沿って変化する残留応力が生じ、そのため、生産されたスクロールに関して寸法精度問題が存在するということである。さらに、繊維充填ポリマー材料の場合には、繊維の配向もまた長さの関数として変化するであろう。理想的には、繊維は、主にスクロールの軸線に沿って、この方向において特性を最大限にするように、配向されるべきである。しかしながら、これは、明瞭なスキン/コア配向構造が生成されている成形品に関する場合ではない。
したがって、一般的見地として、第1形状を画定するために成形し、第2形状を画定するために熱成形することにより製造された構成部品、または他の方法で成形後に残留応力を含む構成部品は、使用中に、熱および/または応力を受けると、形状および/または寸法を変化させ得る。
本発明の好ましい実施形態の目的は、前述の問題に対処することにある。
本発明の好ましい実施形態の目的はまた、概して半結晶性ポリマー材料を所定形状に形成することに関連した問題に対処することにある。
本発明の第1態様によれば、所定形状の物品の少なくとも一部分を形成する方法が提供され、該方法は、
(a)前記物品の前駆体を選択する工程であって、前記前駆体は第1レベルの結晶化度を有する熱可塑性ポリマー材料を含む、工程と、
(b)前記前駆体の少なくとも一部分を前記所定形状に拘束する工程と、
(c)前記物品の少なくとも前記部分の熱可塑性材料の結晶化度を5%より多く増大させる工程と、を含む。
前記結晶化度が有意量増大される(かつ、適切にはその時間のすべてにわたって結晶化度が増大される)のと同時に、前記物品の少なくとも前記部分が前記所定形状に拘束される結果として、形成された結晶構造がポリマー材料を効果的に架橋し、所定形状に「ロック」するので、前記所定形状は前記物品の少なくとも前記部分の「通常」状態になる。前記「ロック」は結晶構造であるので、ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)を超える加熱は、その構成部品には効果を有さないであろう。更に、前記物品への応力の適用は、材料の弾性(降伏)限界に達しないならば、前記物品の少なくとも前記部分に影響を与えないであろう。前記結晶構造を破壊するためにはポリマー材料を溶融する必要があり、従って、ポリマー材料中にロックされた任意の寸法情報は、ポリマー材料の融点に近い温度まで保持されるはずである。
例えば、ブランデル(Blundell)およびオズボーン(Osborn)(Polymer 第24巻、第953頁、1983年)によって記載されているように、ポリマーにおける結晶度のレベルおよび程度は、広角度X線回折(広角度X線散乱(Wide Angle X−ray Scattering)またはWAXSとも称される)によって測定され得る。これに代わって、結晶化度は、POLYMER 第37巻、第20号、1996年、第4573頁に記載されている下記のような工程において示差走査熱量測定(DSC)によって評価されてもよい。
DSCは、10mg±10マイクログラムのポリマー材料の試料を、TA インスツルメンツ DSC Q100において、40mL/分の流量の窒素下で、検査するために用いられ得る。走査手順は、以下の通りであり得る。
工程1 試料を20°C/分で30℃から450℃まで加熱し、Tg、TnおよびTmを記録することにより、事前の熱サイクルを行ない記録する。
工程2 2分間にわたって保持する。
工程3 10°C/分で30℃に冷却し、5分間にわたって保持し、Tcを記録する。
工程4 20°C/分で30℃から450℃に加熱し、TgおよびTmを記録する。
得られた曲線から、Tgの開始は、前転移基線に沿って引かれた線と、転移の間に得られた最大の傾きに沿って引かれた線との交点として得られ得る。Tnは、低温結晶化発熱(cold crystallisation exotherm)のメインピークが最大値に到達する温度である。Tmは、融解吸熱(melting endotherm)のメインピークが最大値に到達する温度である。Tcは、融解発熱からの結晶化(the crystallisation from the melt exotherm)のメインピークが最大値に到達する温度である。
融解熱(ΔH(J/g))は、融解吸熱が比較的直線の基線から逸脱する2点をつなぐことにより得られ得る。時間の関数としての吸熱の下の積分面積は、転移のエンタルピー(mJ)を与え、質量で正規化された(mass normalised)融解熱は、前記エンタルピーを試料の質量で割ること(J/g)により計算される。結晶化のレベル(level of crystallisation)(%)は、試料の融解熱を全部の結晶性ポリマーの融解熱で割ることにより決定され、結晶性ポリマーの融解熱は、ポリエーテルエーテルケトンでは130J/gである。
前述の方法は、バルク試料中における結晶化度のレベルを提供する。代替案として、結晶化度を評価するためにFTIRが用いられ、これは試料の表面における結晶化度のレベル、および/または試料の厚さまたは表面にわたる結晶化度のレベルを評価するために用いられてもよい。「Crystallinity in Poly(Aryl−Ether−Ketone)Plaques Studied by Multiple Internal Reflection Spectroscopy」(Polymer Bull、第11巻、第433頁(1984年))という表題の論文が参照される。
好ましい実施形態では、バルク試料の結晶化度を測定するためにはDSCが用いられ得る。表面における結晶化度を測定するためにはFTIRが用いられ得る。
工程(c)における結晶化度の増大が大きいほど、ロック効果がより大きくなると考えられる。結晶化度は、適切には、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%増大する。結晶化度は、35%未満または30%未満増大してもよい。
工程(a)において選択された前駆体の前記第1レベルの結晶化度は、20%未満であり得、好ましくは18%未満、より好ましくは16%未満、特に14%未満であってもよい。第1レベルの結晶化度は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも8%、または少なくとも10%であってもよい。
前記前駆体は、その結晶化度が最小限にされるように、工程(a)の前に製造され得る。
前記前駆体は、工程(a)に先行し、前記熱可塑性ポリマー材料を含有する熱可塑性組成物を溶融加工することを含む工程(a)において製造され得る。適切には、前記溶融加工は、前記組成物を押し出しすること、または成形すること、例えば射出成形することを含む。好ましくは、溶融加工された材料は、前記前駆体中の結晶化度のレベルを最小にするために、前記組成物を急速に冷却する冷却手段に供される。例えば、前記組成物が押し出しされる場合、その押出物は、それを冷却するために、例えば浴に供給された水と接触させられ得る。前記水は80℃以下の温度であり得る。成形された前駆体の場合には、射出された組成物が型との接触で急速に冷却されるように、型自身が冷たくてもよい。例えば、前記型は能動的に冷却されてもよく、例えば、周囲温度よりは高いが約80℃より低い温度などに水冷され得る。
適切には、工程(b)において前記所定形状への拘束は前駆体の少なくとも前記部分の大きさを拘束することを含む。すなわち、工程(b)は、適切には、前記前駆体の少なくとも前記部分の任意のかつ全ての寸法変化を物理的に拘束することを伴う。したがって、工程(b)は、適切には、前駆体を前記所定形状に拘束するために、前記前駆体に力を加えることを含む。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分の大きさを第1方向において拘束することを含む。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分に力を加えることを含み得、前記力は少なくとも第1方向の成分を有する。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分の大きさを第2方向において拘束することを含み得る。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分に力を加えることを含み得、前記力は少なくとも第2方向の成分を有する。前記第2方向は、好ましくは前記第1方向に直交する。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分の大きさを第3方向において拘束することを含み得る。工程(b)は、前記前駆体の少なくとも前記部分に力を加えることを含み得、前記力は少なくとも第3方向の成分を有する。前記第3方向は、好ましくは前記第1方向および第2方向に直交する。したがって、前記前駆体の少なくとも前記部分の大きさは、工程(b)において、一次元、二次元、または三次元において拘束され得る。好ましくは、少なくとも二次元において、より好ましくは少なくとも三次元において拘束される。
工程(a)において選択された前駆体は、既に前記所定形状に構成されていてもよい(すなわち、前駆体の形状と前記所定形状とが同一であってもよい)し、または、前駆体の形状と前記所定形状とが異なっていてもよい。
前駆体の形状と前記所定形状とが同一である場合、前記方法は、形状を維持しながら結晶化度を増大させ、それにより、使用中に、前記物品の少なくとも前記部分が応力および/または熱を受ける事象において、前記所定形状が寸法的にほぼ安定したままであり、かつ/または工程(b)および工程(c)が前記前駆体に対して実行されなかった場合に比べて、寸法的により安定するように、形状をロックするように構成され得る。前述のように処理され得る前駆体の例は、以下で説明するようなマイクロチップトレイである。
前駆体の形状と前記所定形状とが異なる場合には、工程(b)は、前記前駆体を、前記所定形状を画定するように変形させることと、工程(c)が行われる間に、前記前駆体を前記所定形状に保持することとを含み得る。前述のように処理され得る前駆体の例としては、以下に記載するような分割リング用およびスクロールコンプレッサ用の前駆体が挙げられる。
押し出し法を用いて押出物を生成し、その押出物を、その後、より複雑な形状、例えば、らせんのような回旋状の形状を画定するように変形させ得る。そのような複雑な形状としては、スクロールコンプレッサ用のスクロールが挙げられる。押出物が生成された後、その押出物は所望の長さを画定するように切断され、次いで前記所定形状に変形され、工程(b)において前記所定形状に拘束される。工程(b)は、前記押出物を、所定形状を画定するために、所望のプロファイルを有する型に関連付けることを含む。その後、前記所定形状にある押出物は、工程(c)において、結晶化度を増大させるように処理され得る。
成形、例えば射出成形法は、既に前記所定形状に構成されているか、または前駆体の形状と前記所定形状とが異なり得るかのいずれかである物品のための前駆体を生成するために用いられ得る。前者の一例は前記マイクロチップトレイであり、後者の一例は前記分割リングである。
前記物品は、複雑な形状、例えば回旋状の形状を有し得る。前記形状は、成形、例えば射出成形のみによって形成することができない形状であり得る。前記物品は、らせん形材(helical shape)、分割リング、またはマイクロチップ容器、例えばトレイを含み得る。前記らせん形材は、スクロールコンプレッサ用のスクロールを含み得る。
前記熱可塑性ポリマー材料は適切には半結晶性であり、結晶の動力学が非常に速いので、該ポリマー材料から完全に非晶質である固体を生成することが実質的に不可能であるようなものである。例えば、そのTgよりも15℃高い温度における熱可塑性ポリマーの結晶性半減期(crystallinity half−life)(t0.5)は、ジェイ.ブランドラップ(J.Brandrup)、イー.エイチ.イマーガット(E.H.Immergut)およびイー.エイ.グルルク(E.A.Grulke)、Polymer Handbook 4th Edition、ウィリー インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999年、ISBN 0−471−47936−5(第1巻)および0−471−48172−6(第2巻)の説明に従って測定して、1000秒未満、500秒未満、250秒未満、または150秒未満であり得る。
前述の方式で、ポリエーテルエーテルケトンの160℃(そのTgより15℃高い温度に近い)におけるt0.5は126秒であり、これは結晶化が非常に急速に生じることを示す。
工程(c)は、前記熱可塑性材料および/または前記前駆体を前記熱可塑性ポリマー材料のTgより高い温度に加熱することを含み得る。前記熱可塑性材料および/または前記前駆体は、Tgよりも少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも30℃、とりわけ少なくとも40℃高い温度に加熱され得る。工程(c)において、前記熱可塑性ポリマー材料は、適切には融解されない。工程(c)は、好ましくは、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体を、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体の融解温度より低い温度で維持することを含む。工程(c)において、前記熱可塑性材料および/または前記前駆体は、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも25分間にわたって、前記熱可塑性ポリマー材料のTgよりも高い温度で維持され得る。
工程(c)において、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体は、少なくとも160℃、好ましくは少なくとも180℃、より好ましくは少なくとも190℃の温度に加熱され得る(特に熱可塑性ポリマー材料がポリアリールエーテルケトン、例えばポリエーテルエーテルケトンである場合)。前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体は、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも25分間にわたって、少なくとも160℃、180℃、または190°の温度で維持され得る。
工程(c)において、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体は、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体の融解温度(Tm)および分解温度より低い温度に加熱され得る。前記熱可塑性ポリマー材料および前記前駆体が加熱される前記温度は、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体のTmおよび/または分解温度(いずれか低い方)よりも、少なくとも10℃、適切には少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃低い。
工程(c)において、前記熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体は、物品の一部が使用中にさらされる最高予想温度より少なくとも10℃高い温度に加熱され得る。これは、物品の使用中にそれ以上の結晶化が生じないことを保証するにちがいない。
工程(c)は、適切には、前記前駆体の少なくとも一部分を前記所定形状に拘束しながら、熱可塑性ポリマー材料および/または前記前駆体を徐冷することを含み得る。好ましくは、前記前駆体の前記少なくとも一部分は、前記前駆体が前記熱可塑性ポリマー材料のTgより低い温度に冷却されるまで、前記所定形状に拘束される。
前記物品の少なくとも前記部分の前記熱可塑性材料は、工程(c)の後に少なくとも25%の結晶化度を有し得る。前記結晶化度は35%以下であってもよい。
前記熱可塑性ポリマー材料は、適切には、50℃より高い、好ましくは75℃より高い、より好ましくは100℃より高いTgを有する。
前記ポリマー材料は、260℃未満、例えば220℃未満または200℃未満のTgを有し得る。一部の例では、Tgは190℃、180℃、または170℃未満であってもよい。
前記ポリマー材料は、好ましくは、50℃より高い、より好ましくは80℃より高い、とりわけ120℃より高いTgを有する。
前記ポリマー材料は、適切には少なくとも0.06kNsm−2の融解粘度(MV)を有し、好ましくは少なくとも0.08kNsm−2、より好ましくは少なくとも0.085kNsm−2、とりわけ少なくとも0.09kNsm−2のMVを有する。
MVは、適切には、炭化タングステンダイ、0.5×3.175mmを用いて、400℃において1000s−1の煎断速度で動作するキャピラリーレオメトリーを用いて、適切に測定される。
前記ポリマー材料は、1.00kNsm−2未満、適切には0.5kNsm−2未満、好ましくは0.38kNsm−2未満、より好ましくは0.25kNsm−2未満、特に0.12kNsm−2未満のMVを有し得る。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも40MPa、好ましくは少なくとも60MPa、より好ましくは少なくとも80MPaの引張強度を有し得る。引張強度は、好ましくは80〜110MPaの範囲、より好ましくは80〜100MPaの範囲内にある。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも145MPaの曲げ強度を有し得る。曲げ強度は、好ましくは範囲145〜180MPaの範囲、より好ましくは145〜165MPaの範囲内にある。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも2GPa、好ましくは少なくとも3GPa、より好ましくは少なくとも3.5GPaの曲げ弾性率を有し得る。曲げ弾性率は、好ましくは3.5〜4.5GPaの範囲、より好ましくは3.5〜4.1GPaの範囲内にある。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも20MPa、好ましくは少なくとも60MPa、より好ましくは少なくとも80MPaの引張強度を有し得る。引張強度は、好ましくは80〜110MPaの範囲、より好ましくは80〜100MPaの範囲内にある。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも50MPa、好ましくは少なくとも100MPa、より好ましくは少なくとも145MPaの曲げ強度を有し得る。曲げ強度は、好ましくは範囲145〜180MPaの範囲、より好ましくは145〜164MPaの範囲内にある。
前記ポリマー材料は、ASTM D790に従って測定して、少なくとも1GPa、適切には少なくとも2GPa、好ましくは少なくとも3GPa、より好ましくは少なくとも3.5GPaの曲げ弾性率を有し得る。曲げ弾性率は、好ましくは3.5〜4.5 GPaの範囲、より好ましくは3.5〜4.1GPaの範囲内にある。
前記熱可塑性ポリマー材料は本願に記載する特性を有する任意のそのような材料であり得る。例えば、前記材料は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリブチレンテレファラート(polybutyleneterephalate)のようなポリエステル、またはナイロンのようなポリアミドであり得る。
前記熱可塑性ポリマー材料は、
(a)フェニル部分と、
(b)ケトンおよび/またはスルホン部分と、
(c)エーテルおよび/またはチオエーテル部分と、
を含有する種類のポリマー材料であり得る。
好ましくは、前記ポリマー材料は、下記式の部分
および/または、下記式の部分
および/または、下記式の部分を有し、
前記式中、m、r、s、t、v、wおよびzは、独立して、ゼロまたは正の整数を表わし、EおよびE’は、独立して、酸素原子もしくは硫黄原子、または直接結合を表わし、Gは、酸素原子もしくは硫黄原子、直接結合、または−O−Ph−O−部分を表わし、ここでPhはフェニル基を表わし、Arは、そのフェニル部分のうちの1つ以上を介して隣接する部分に結合される下記部分(i)**、(i)〜(iv)のうちの1つから選択される。
本明細書において特に明記しない限り、フェニル部分は該部分が結合されている部分に対して1,4−結合を有する。
(i)では、中央のフェニルは1,4−または1,3−置換されていてもよい。好ましくは、1,4−置換されている。
前記ポリマー材料は、2つ以上の異なる種類の式Iの繰り返し単位と、2つ以上の異なる種類の式IIの繰り返し単位と、2つ以上の異なる種類の式IIIの繰り返し単位とを含んでもよい。しかしながら、好ましくは、1種類のみの式I、IIおよび/またはIIIの繰り返し単位が提供される。
前記部分I、IIおよびIIIは、適切には繰り返し単位である。ポリマー材料において、単位I、IIおよび/またはIIIは、適切には、互いに結合されている、すなわち、単位I、IIおよびIIIの間に結合される他の原子または基を有さない。
単位I、IIおよびIIIのフェニル部分は、好ましくは置換されていない。前記フェニル部分は好ましくは架橋されていない。
wおよび/またはzがゼロより大きい場合、各フェニレン部分は、独立して、式IIおよび/またはIIIの繰り返し単位内の他の部分に対して1,4−または1,3−結合を有し得る。好ましくは、前記フェニレン部分は1,4−結合を有する。
好ましくは、ポリマー材料のポリマー鎖は−S−部分を含まない。好ましくは、Gは直接結合を表わす。
適切には、「a」は前記ポリマー材料中の式Iの単位のモル%を表わし、適切には、各単位Iは同一であり、「b」は前記ポリマー材料中の式IIの単位のモル%を表わし、適切には、各単位IIは同一であり、「c」は前記ポリマー材料中の式IIIの単位のモル%を表わし、適切には、各単位IIIは同一である。好ましくは、aは45〜100の範囲にあり、より好ましくは45〜55の範囲、とりわけ48〜52の範囲内にある。好ましくは、bおよびcの合計は、0〜55の範囲、より好ましくは45〜55の範囲、とりわけ48〜52の範囲にある。好ましくは、bおよびcの合計に対するaの比率は、0.9〜1.1の範囲内にあり、好ましくは約1である。適切には、a、bおよびcの合計は、少なくとも90、好ましくは少なくとも95、より好ましくは少なくとも99、とりわけ好ましくは約100である。適切には、bは、少なくとも20、好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも45である。好ましくは、aは20以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。好ましくは、前記ポリマー材料は、本質的に部分I、IIおよび/またはIIIから成る。
前記ポリマー材料は下記一般式
の繰り返し単位を有するホモポリマーであるか、
または下記一般式
の繰り返し単位を有するホモポリマーであるか、
またはIVおよび/またはVの少なくとも2つの異なる単位のランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得、
前記式中、A、B、CおよびDは、独立して、0または1を表わし、E、E’、G、Ar、m、r、s、t、v、wおよびzは、本願のいずれかの記述に記載した通りである。
好ましくは、mは、0〜3、より好ましくは0〜2、とりわけ0〜1の範囲内にある。好ましくは、rは、0〜3、より好ましくは0〜2、とりわけ0〜1の範囲内にある。好ましくは、tは、0〜3、より好ましくは0〜2、とりわけ0〜1の範囲内にある。好ましくは、sは0または1である。好ましくは、vは0または1である。好ましくは、wは0または1である。好ましくは、zは0または1である。
好ましくは、前記ポリマー材料は一般式IVの繰り返し単位を有するホモポリマーである。
好ましくは、Arは下記部分(xi)**および(vii)〜(x)のうちから選択される。
(vii)において、中央のフェニルは1,4−または1,3−置換されていてもよい。好ましくは、1,4−置換されている。
適当な部分Arは、部分(i)、(ii)、(iii)および(iv)であり、これらの中で、部分(i)、(ii)および(iv)が好ましい。他の好ましい部分Arは、部分(vii)、(viii)、(ix)および(x)であり、これらの中で、部分(vii)、(viii)および(x)がとりわけ好ましい。
前記ポリマー材料は、適切には、少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、とりわけ少なくとも90モル%の、−S−または−SO−部分を含まない繰り返し単位を含む。前記ポリマー材料は、適切には、少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、とりわけ少なくとも90モル%の、本質的にフェニル部分、エーテル部分およびケトン部分から成る繰り返し単位を含む。
特に好ましいポリマー材料のクラスは、ケトンおよび/またはエーテル部分と関連したフェニル部分から本質的に成るポリマー(またはコポリマー)である。すなわち好ましいクラスにおいて、ポリマー材料は、−S−、−SO−またはフェニル以外の芳香族基を含有する繰り返し単位を含まない。記載した種類の好ましいポリマー材料としては、以下のものが挙げられる。
(a)式IVの単位から本質的に成るポリマー。前記式中、Arは部分(iv)を表わし、EおよびE’は酸素原子を表わし、mは0を表わし、wは1を表わし、Gは直接結合を表わし、sは0を表わし、AおよびBは1を表わす(すなわちポリエーテルエーテルケトン)。
(b)式IVの単位から本質的に成るポリマー。前記式中、Eは酸素原子を表わし、E’は直接結合を表わし、Arは構造(i)の部分を表わし、mは0を表わし、Aは1を表わし、Bは0を表わす(すなわちポリエーテルケトン)。
(c)式IVの単位から本質的に成るポリマー。前記式中、Eは酸素原子を表わし、Arは部分(i)を表わし、mは0を表わし、E’は直接結合を表わし、Aは1を表し、Bは0を表わす(すなわちポリエーテルケトンケトン)。
(d)式IVの単位から本質的に成るポリマー。前記式中、Arは部分(i)を表わし、EおよびE’は酸素原子を表わし、Gは直接結合を表わし、mは0を表わし、wは1を表わし、rは0を表わし、sは1を表わし、AおよびBは1を表わす(すなわちポリエーテルケトンエーテルケトンケトン)。
(e)式IVの単位から本質的に成るポリマー。前記式中、Arは部分(iv)を表わし、EおよびE’は酸素原子を表わし、Gは直接結合を表わし、mは0を表わし、wは0を表わし、s、r、AおよびBは1を表わす(すなわちポリエーテルエーテルケトンケトン))。
(f)式IVの単位を含むポリマー。前記式中、Arは部分(iv)を表わし、EおよびE’は酸素原子を表わし、mは1を表わし、wは1を表わし、Aは1を表わし、Bは1を表わし、rおよびsは0を表わし、Gは直接結合を表わす(すなわちポリエーテル−ジフェニル−エーテル−フェニル−ケトン−フェニル−)。
前記ポリマー材料の融解吸熱(Tm)のメインピークは、少なくとも300℃であり得る。
前記ポリマー材料は、上記で定義した単位(a)〜(f)のうちの1つから本質的に成り得る。
前記ポリマー材料は、好ましくは下記式(XX)の繰り返し単位を含み、より好ましくは下記式(XX)の繰り返し単位から本質的に成る。
前記式中、t1およびw1は、独立して0または1を表わし、v1は0、1または2を表わす。好ましいポリマー材料は前記繰り返し単位を有し、前記式中、t1=1、v1=0、かつw1=0;t1=0、v1=0、かつw1=0;t1=0、w1=1、v1=2;またはt1=0、v1=1かつw1=0である。より好ましくは、t1=1、v1=0、かつw1=0;またはt1=0、v1=0およびw1=0を有する。最も好ましくは、t1=1、v1=0およびw1=0を有する。
好ましい実施形態において、前記ポリマー材料はポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトンおよびポリエーテルケトンケトンから選択される。より好ましい実施形態では、前記ポリマー材料はポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンから選択される。とりわけ好ましい実施形態において、前記ポリマー材料はポリエーテルエーテルケトンである。
前記ポリマー材料は熱可塑性組成物の一部であり得る。したがって、前記方法の工程(a)において選択される前記前駆体は、前記熱可塑性組成物から製造されてもよく、かつ/または前記熱可塑性組成物を含んでもよい。前記熱可塑性組成物は前記ポリマー材料および1種以上の充填材を含有してもよい。
前記熱可塑性ポリマー材料は、前記物品の前駆体が製造される熱可塑性組成物中において熱可塑性ポリマー材料の総量の少なくとも60wt%、適切には少なくとも70wt%、好ましくは少なくとも80wt%、より好ましくは少なくとも90wt%、とりわけ少なくとも95wt%を構成し得る。
前記熱可塑性ポリマー材料は、好ましくは、前記熱可塑性組成物中において実質的に唯一の熱可塑性ポリマーである。適切には、熱可塑性ポリマーへの言及は、前記物品の前記前駆体の形成において溶融されるポリマーを指す。
前記熱可塑性組成物は充填材手段を含有してもよい。充填材手段は、適切には、前記方法において溶融されない材料である。前記充填材手段は、適切には、350℃より高い融解温度を有する。
前記充填材手段は、繊維充填材または非繊維充填材を含み得る。前記充填材手段は繊維充填材および非繊維充填材の双方を含有してもよい。
前記繊維充填材は、連続していてもよいし、不連続であってもよい。好ましい実施形態において、前記繊維充填材は不連続である。
前記繊維充填材は、無機繊維状物質、アラミド繊維および炭素繊維のような非融解および高融点有機繊維状物質から選択され得る。
前記繊維充填材は、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、フッ化炭素樹脂繊維およびチタン酸カリウム繊維から選択され得る。好ましい繊維充填材はガラス繊維および炭素繊維である。
繊維充填材はナノ繊維を含み得る。
前記非繊維充填材は、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、粘土、ガラス粉末、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、フッ化炭素樹脂、グラファイト、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、カーボン粉末、ナノチューブおよび硫酸バリウムから選択され得る。非繊維充填材は、粉末または薄片状粒子の形で導入されてもよい。
好ましくは、前記充填材手段は、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラックおよびフッ化炭素樹脂のうちから選択された1つ以上の充填材を含む。より好ましくは、前記充填材手段は、ガラス繊維または炭素、とりわけ不連続な、例えば切断された、ガラス繊維または炭素繊維を含む。
前記熱可塑性組成物は、適切には、35〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは65〜100重量%の前記熱可塑性ポリマー材料を含有する。
適切には、前記熱可塑性組成物中の充填材手段の総量は、65wt%以下、または60wt%以下である。前記熱可塑性組成物は、0〜65wt%、好ましくは0〜50wt%、より好ましくは0〜35wt%の充填材手段を含有する。好ましくは、前記熱可塑性組成物は、5wt%未満の充填材手段を含有し、好ましくは充填材手段を実質的に含有しない。
前記熱可塑性組成物は、
(i)40〜100wt%(適切には60〜100wt%、好ましくは80〜100wt%、より好ましくは90〜100wt%、とりわけ95〜100wt%)の熱可塑性ポリマーと、
(ii)0〜60wt%(適切には0〜40wt%、好ましくは0〜20wt%、好ましくは0〜10wt%、とりわけ0〜5wt%)の充填材手段とを含有し得る。
前記熱可塑性組成物は、
(i)35〜100wt%の前記熱可塑性ポリマー材料、好ましくは上記に示した式(XX)のポリマーと、
(ii)0〜30wt%の第2熱可塑性ポリマー材料と、
(iii)0〜65wt%の充填材手段と、
(iv)0〜10wt%の、例えば他のポリマー、加工助剤、着色材から選択され得る他の添加物と、を含有し得る。
適切には、前記熱可塑性組成物は、少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%、より好ましくは少なくとも95wt%、とりわけ少なくとも99wt%の前記第1ポリマー、とりわけ上述した式(XX)のポリマーを含有する。
本発明の第2態様によれば、第1態様に従った方法で得られた、または得ることができる物品が提供される。
第3態様によれば、以下の特性、すなわち
(A)物品の表面にわたって%結晶化度が実質的に一定であることと、
(B)再加熱時に残留応力の回復が実質的にないことと、
(C)物品の表面から由来する熱可塑性ポリマー材料についてDSCを用いて検出されるアニーリングピークが存在しないことと、
(D)前記物品が押し出された繊維充填ポリマー材料を含む場合、前記繊維は、主に押出物の軸線に沿って整合されていることと、のうちの1つ以上を有する熱可塑性ポリマー材料を含有する物品が提供される。
特性(A)はFTIRによって評価され得る。適切には、前記物品の表面は、第1位置、第2位置および第3位置において試料採取される。第2位置は、前記物品の最大寸法の少なくとも50%である直線距離だけ第1位置から離間されており、第3位置は、前記物品の最大寸法の少なくとも50%である直線距離だけ第1位置から離間されている。前述のように第1位置から離間され得る、さらなる試料、例えばさらなる2個、4個、6個、8個または10個の試料が採取されてもよい。
特性(B)は、前記熱可塑性ポリマー材料のTgより高い温度に再加熱されると前記物品が有意に変形するかを調査することにより評価され得る。前記物品は、Tgを25℃超えて加熱された場合、好ましくは実質的に変形しない。前記物品は、Tgを50℃超えて加熱された場合、好ましくは実質的に変形しない。前記物品は、Tgを75℃超えて加熱された場合、好ましくは実質的に変形しない。前記物品は、Tgを90℃超えて加熱された場合、好ましくは実質的に変形しない。
物品が変形するかは視覚的に評価され得る。これに代わって、および/またはこれに加えて、前記物品の最大寸法(例えば長さ)は、前述のように再加熱の前および後に測定されてもよい。最大寸法が2%を超えて変化した場合(すなわち、(後の最大寸法−前の最大寸法)/前の最大寸法が2%を超える場合)、そのとき、その物品は変形したと見なされる。好ましい実施形態において、前記最大寸法は、前述のように測定して、1%未満変化する。適切には、前述の評価では、最大寸法は再熱前後に同一の温度において測定される。例えば、前記寸法は、前記物品が周囲温度にあるときに、測定され得る。
特性(C)の評価において、試料はマイクロトーム処理(microtoming)によって表面から採取され得、当業者に既知の手順に従ってアニーリングピークの有無が明らかされる。
第3態様の物品は、前記特性のうちの少なくとも2つ、好ましくは3つ、好ましくは各々を発現し得る。
特性(C)は、とりわけ、例えばスクロールコンプレッサの、スクロールに当てはまり得る。
第3態様の前記物品は、らせん形材、分割リングを含んでもよいし、またはマイクロチップ容器、例えばトレイからなってもよい。
本願に記載されるいずれの発明または実施形態のいずれの態様のいずれの特徴も、変更すべき点は変更して、本願に記載されるいずれの他の発明または実施形態のいずれの態様のいずれの特徴とも組み合わされ得る。
ここで、一例として本発明の特定の実施形態について説明する。
ポリマー材料からのシールリング、スクロールコンプレッサ用のスクロールおよびマイクロチップトレイのような製品の製造は、熱および/または応力を受けた場合に、そのような製品の形状および/または寸法が使用中に有害に変化し得る危険性を最小限にするように行われ得る。この点に関して、大まかにいえば、そのような構成部品は下記の工程段階を用いて製造され得る。
(i)生じる結晶化度を制限しようとする条件下においてポリマー材料から構成部品を形成する工程。目的は、達成可能な最低レベルの結晶化度を有する構成部品を製造することである。前記工程は、生じる結晶化度を制限するために、構成部品をその成形後に急速に冷却することを伴い得る。
(ii)例えば、ジグを用いて、前記構成部品を所望形状に束縛する工程。
(iii)構成部品が束縛された状態で、その構成部品を十分に高温に加熱(例えば、ポリマー材料のTgを超えて加熱することにより構成部品を処理)して、構成部品中の結晶化度のレベルをできるだけ増大させる。温度がポリマー材料の結晶融点に近いほど、より速く結晶化工程が生じ、得られる結晶化度はより高くなる。理想的には、前記温度は、使用中にそれ以上の結晶化が生じないことを保証するために、構成部品の最終使用温度より高くなければならない。前述のような加熱により、構成部品の拘束された形状がその「通常」形状になるように、拘束された形状が結晶構造によって前記構成部品にロックされるようになる。結果として、構成部品の変形および/またはそのTgを上回る加熱はこの「記憶」を除去せず、前記構成部品は、結晶化プロセスによってその中に固定された形状を保持する。
前述の一般プロセスはシールリングに適用され得る。この点に関して、(分割リング構成を有する)シールリングは射出成形によって、ポリマー材料、例えばポリエーテルエーテルケトンから製造される。しかしながら、リングの結晶化度を制限するために、前記材料は冷たい成形型内に成形されて、有意な結晶化が生じ得る前にポリマーを凝固させる。前記型の温度はできるだけ低くあるべきである。一般に、型温度は、少なくともポリマー材料のTg未満であるべきであり、ポリマー材料のTgよりも適切には少なくとも25℃、好ましくは少なくとも50℃、または少なくとも100℃低い。前記リングは型から取り出され、そのリングを所望形状に維持するために、前記リングを束縛し、かつ/または前記リングに力を加えるように構成されたハウジングジグの内部に取り付けられる。次いで、前記ジグおよびリングの温度は、結晶化が起こるように、ポリマー材料のTgを超えて増大される。このための時間は、用いられる温度に依存するであろう。高い温度が用いられるほど、より短い時間が用いられ得る。例として、前記温度は250℃であり得、これは、リングが前記温度に到達してから少なくとも30分間、最高1時間まで維持され得る。さらに、前記構成部品が厚いほど、前記時間は長くなる。前記構成部品は、好ましくは、ポリマー材料のTgより低い温度に冷却されるまで、ジグ内に束縛される。リング中の増大した結晶化度は、ジグから取り出した際にリングの形状および/または寸法が固定されるように、リングの所望形状にロックする。リングをシャフトに取り付けられるように開いたときに、装着プロセスの結果として永久変形は生じず、従って、リングはそれが使用され得る最終的なエンジニアリングアセンブリ内に良好に適合する。
前記一般プロセスは、スクロールコンプレッサ用のスクロールに、例えば既存プロセスを用いて製造するのが困難な小断面の長いスクロールを製造するためにさえ、適用され得る。前記プロセスにおいて、必要なスクロールプロファイル(必要により、比較的複雑なスクロールプロファイルが生成され得る)は、ポリマー材料、例えばポリエーテルエーテルケトンから押し出しされ、生じる結晶化度のレベルを制限するために冷水浴中にクエンチされる。押出し法は、既知の射出成形法とは異なり、低い残留応力を有する画一的な製品を生産する。ポリマー材料および繊維を含有するポリマー組成物が押し出された場合、押出し法によって生成される繊維配向は押出物の長さに沿っており、これは最終的なスクロールに対して理想的な配向である。押出し形材(extruded profile)は、長さに切断され、内部に所望のスクロールプロファイルが機械加工されている型内に成形され、スクロールを所望形状にロックする結晶化が生じるように、ポリマー材料のTgより高温に熱処理される。再び、その時間は、用いられる温度および構成部品の厚さに依存し、シールリングについては上述の通りであり得る。
前記一般プロセスは、使用中に反りやすいことがある他の構成部品、例えばマイクロチップトレイに適用され得る。前記プロセスでは、チップトレイは、ポリマー材料、例えばポリエーテルエーテルケトンから、トレイ内の結晶化度の程度を制限するために、冷たい射出成形型内において成形され得る。次いで、トレイは平坦な締め付けジグ内に束縛され、結晶化が生じるように、ポリマー材料のTgを超えて加熱される。結果として生じるトレイは平坦であり、例えば、鉛フリー半田浴中におけるチップ処理と共に用いられる場合に、使用時の平面度を保持するであろう。
前述の一般手順をさらに例証するために、実施例1〜7に記載するように、低い結晶化度のレベル(12%)を有する30μmのポリエーテルエーテルケトンフィルムの試料を試験した。他に明示していない限り、結晶化度のレベルはDSCを用いて測定した。
前記フィルムの試料を鋼鉄バー(直径約25mm)に巻き付けた。それらの試料を炉内において250℃で30分間にわたって加熱し、炉内で徐冷した。炉から取り出した後、前記フィルムは、開いてから開放すると、直ちに巻き戻る(recoiled)緊密な巻回体を形成した。前記試料中の結晶化度のレベルは、DSCを用いて測定して、36%であると判明した。
実施例1のコイルを250℃で30分間にわたって熱処理した。実施例1で生成したコイルと比較して、前記コイルの寸法変化は観察されなかった。
実施例1からのフィルムの試料を伸ばして、該試料が平坦な状態で束縛されるように、2つの鋼板間に配置した。前記試料を炉内において200℃で30分間にわたって熱処理し、2つの鋼板の間から取り出す前に徐冷した。前記フィルムはもはや巻き戻らないことが判明した。
実施例3で生成した試料を、炉内に戻して、材料上に配置されるいかなる束縛も有することなく、230℃に再加熱した。その結果、前記フィルムが実施例1で生成したそれと同一寸法のコイルに巻き戻った。
実施例1および実施例2は、試料を束縛しながら、加熱し、より高レベルの結晶化度を発現させることにより、形状の保持を生じることを示している。実施例3によって示されるように、(ポリマーの非晶質の含有量に関して処理している)材料を熱成形し、形状をリセットして、平坦な試料を形成することが続いて可能である。しかしながら、実施例4から、Tgを超える加熱により、実施例3の間に発現された凍結応力が緩和され、前記フィルムがその好ましいコイルの形態をとることを可能にするので、前記フィルムの好ましい形状はコイル形状であることは明らかである。実施例3および実施例4が実施例1の温度を超えて行われた場合には、結晶化度の変化が引き起こされ得るので、実施例3および実施例4は、実施例1で用いられる温度より低い温度で行われることに留意しなければならない。
フィルムの試料を鋼板間に配置し、200℃で30分間にわたって加熱し、束縛したまま、徐冷した。結果として生じた試料は、平坦な形態にあり、32%の結晶化度を有した。これは、典型的な射出成形試料における通常の結晶化度のレベルとみなされる。
実施例5で生成した試料を鋼鉄マンドレルの周囲に巻き付け、その試料を250℃で30分間にわたってさらに加熱し、その試料を炉内で冷ました。結果として生じた試料はコイル状の形を有していたが、コイルの径は直接結晶化させた試料(すなわち実施例1の試料)よりも大きく、かつ前記鋼鉄バーより著しく大きかった。結果として生じた形状は、ある程度は熱成形プロセスに関連するが、より高温での試料の熱処理における続く結晶化にもある程度関連する。250℃での熱処理後の試料の結晶化度は36%であった。
実施例6で生成した試料を、形状を束縛することなく、炉内において250℃で30分間にわたって再加熱した。その結果、試料はその本来の平坦な形状に戻らなかったが、コイル径は増大した。
実施例6のプロセスは、実施例1のフィルムによる状況とは異なり、2本の鋼鉄バーの寸法に恒久的に固定されないフィルムを生じた。これは、実施例1の成形工程の間に生じた結晶化度のレベルの増大(24%の結晶化度の増大)が、実施例6のそれ(4%の結晶化度の増大)と比較して、より大きいためである。
例えば実施例1に述べたように本願に記載した一般的なプロセスに従ってPEEKから製造された構成部品は、下記に基づいて、特徴づけられ、かつ/または従来技術のプロセスによって製造された構成部品と区別され得る。
生成物の表面における結晶化度
PEEKの射出成形に対する従来技術の推奨は、160℃を超える型温度を用いることである。この高い温度は、PEEKが結晶するために十分な時間を可能にする。そのような型温度は、正確な型温度および構成部品の厚さに応じて、25〜35%のバルク結晶化度のレベルを生じると考えられる。
型の複数の部分がすべて同一の温度であれば、生成物における表面結晶化度は同一になると考えられる。型の複数の部分が異なる温度であれば、生成物において様々な表面結晶化度が考えられる。一般に、型内における冷却路の配置により、型表面上における局所的な温度バラツキが存在し、よって型が原理上はすべて同一温度に設定されていたとしても、表面を横断する結晶化度は変化する。
対照的に、本願に記載したプロセスによれば、表面を横断する結晶化度は実質的に一定になるはずである。これは、表面層が全く同一の条件下で結晶化されており、成形型におけるホットスポットのような影響を受けないために起こる。型面にわたって温度バラツキが存在し得るが、型は、非常に低い結晶化度を有するスキンの形成をもたらすのに十分なほど冷たく、よって続く結晶化プロセスに対する結晶化度の束縛(crystalline constraints)はないであろう。
結晶化度の局所的な分析は、顕微鏡アタッチメントと連結されたFTIRを用いて行なうことができ、以下の分析が後続する。
1.1280cm−1におけるそれと比較した、1305cm−1におけるIR吸光度の比。
2.952cm−1におけるそれと比較した、970cm−1におけるIR吸光度の比。
(b)再加熱時の残留応力の回復
シールリングのような構成部品の場合、それらを従来技術のプロセスを用いて生成したら、最終形状を画定するためにヒートセット段階が必要とされる。そのような構成部品の場合、構成部品をTgより高い温度に再加熱すると、加熱プロセスによって内蔵された残留応力はそれ自体を解放し、前記構成部品は製造時の形状に類似した形状に戻るであろう。この段階の間における結晶化度の変化は些少であるか、または非常に低いであろう。従って、残留応力の回復によって、構成部品は変形するであろう。対照的に、結晶化プロセスが構成部品をそれが束縛される所望形状にロックするように、材料を束縛時に結晶化させることを伴う本願に記載されたプロセスによれば、構成部品を、Tgより高いが、構成部品が束縛時に加熱された温度よりは低温で再加熱する際に、変形または残留応力の回復は実質的に観察されない。
(c)アニーリングピークの検出
従来技術の構成部品がアニールされる場合(それらは多くの場合そうである)、DSCを用いて材料を試験すると、「アニーリング」ピークが観察される。このピークは、アニール工程の間に形成された結晶領域のうちの一部の融解に関係する吸熱である。前記領域の融解温度は、結晶破壊のプロセスを支援する他の応力の存在により、結晶網状組織の大部分の融解温度より低い。このアニーリングピークは、通常、構成部品がアニールされた温度より20℃高い辺りで明瞭に認められる。アニーリングピークは、通常、DSCトレースの非常に目立った特徴である。
本願に記載したプロセスに従って製造された構成部品の場合には、結晶構造がアニール工程において通常形成される二次構造ではなく一次構造であるので、構成部品の材料はアニーリングピークを示さないであろう。よって、それらの構成部品は、従来技術のプロセスを用いて製造された、アニールされた試料内に見られる応力は受けない。しかしながら、本願に記載したプロセスを用いて製造された比較的厚い構成部品では、構成部品の断面の中心に存在する結晶化度により、小さなアニーリングピークが存在することがある。しかしながら、その表面から採取される構成部品の試料はアニーリングピークを示さないであろう。マイクロトーム処理のような技術を用いて、表面層から試料を生成することができる。
(d)充填材の配向
スクロールの場合には、従来技術のプロセスは、繊維が充填されたポリマー材料を射出成形することを伴う。これは、構成部品の長さに沿って変化する繊維配向パターンを生じるであろう。繊維で充填された射出成形構成部品の断面は、スキン/コア構造を示し、外側スキン層中の繊維は流動の方向とほとんどは整合しており、一方、中央コアにおける繊維は、大部分は前記流動を横断して整合される。充填プロセスの性質により、スキン層およびコア層の相対的な厚さが成形された構成部品の長さに沿って変化すると考えられる。しかしながら、スクロールが本願に記載したように形成される場合には、繊維はほとんどが押出物の軸線に沿って並べられると考えられ、繊維配向パターンが構成部品の長さに沿って変化することは予想されない。
記載したプロセスは、様々な異なる種類の構成部品を製造するために用いられ得ると同時に、該ブロセスは、例えば、構成部品を直接射出成型または機械加工できないために、構成部品の幾何学的形状が問題を生じる場合の製造問題を克服するために有利に用いられ得る。
本発明は前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、および図面)において開示された特徴のうちの任意の新規な1つまたは任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスの工程のうちの任意の新規な1つまたは新規な組み合わせに及ぶ。

Claims (12)

  1. 所定形状にある物品の少なくとも一部分を形成する方法であって、前記方法は、
    (a)前記物品の前駆体を選択する工程であって、前記前駆体は第1レベルの結晶化度を有する熱可塑性ポリマー材料を含み、前記第1レベルの結晶化度は20%未満であり、かつ前記熱可塑性ポリマー材料は、下記式(XX)の繰り返し単位を含み、
    前記式中、t1およびw1は、独立して、0または1を表わし、かつv1は0、1または2を表わし、かつ
    前記前駆体は射出成形プロセスにて型内に形成されるとともに工程(b)の前に前記型から取り出される、工程と、
    (b)前記前駆体の少なくとも一部分を前記所定形状に拘束するために、ジグ又は第2の型を用いて前記前駆体に力を加える工程と、
    (c)前記工程(b)にて力を加えている間に前記物品の少なくとも前記部分の熱可塑性材料の結晶化度を15%より多く増大させる工程と、
    を含み、
    前記前駆体の形状と前記所定形状とは同一である、方法。
  2. 前記結晶化度は工程(c)において少なくとも20%増大する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)において選択された前駆体の前記第1レベルの結晶化度は少なくとも5%であり、かつ18%未満である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記物品は、らせん形材、分割リングまたはマイクロチップ容器を含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(c)は、前記熱可塑性ポリマー材料および前記前駆体のうちの少なくとも一つを前記熱可塑性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)より高い温度に加熱することを含み、工程(c)において、前記熱可塑性ポリマー材料および前記前駆体のうちの少なくとも一つは、前記熱可塑性ポリマー材料および前記前駆体のうちの少なくとも一つの融解温度(Tm)および分解温度より低い温度に加熱される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記工程(c)は、前記熱可塑性ポリマー材料を、同熱可塑性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)より少なくとも20℃高い温度に加熱することを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(c)は、前記前駆体の少なくとも一部分が前記所定形状に拘束されている間に、熱可塑性ポリマー材料および前記前駆体のうちの少なくとも一つを徐冷することを含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
  8. t1=1であり、v1=0であり、かつw1=0である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法において、
    前記前駆体は熱可塑性組成物からなり、
    前記熱可塑性組成物は、
    (i)35〜100wt%の式(XX)の前記熱可塑性ポリマー材料と、
    (ii)0〜30wt%の第2熱可塑性ポリマー材料と、
    (iii)0〜65wt%の充填材手段と、
    (iv)0〜10wt%の他の添加物と、を含有する、方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法によって得られる射出成形された物品であって、熱可塑性ポリマー材料を含む物品において
    前記熱可塑性ポリマー材料は、下記式(XX)の繰り返し単位を含み、
    前記式中、t1およびw1は、独立して、0または1を表わし、かつv1は0、1または2を表わし、
    前記熱可塑性ポリマー材料は、
    下記の特徴(A)〜(C):
    (A)物品の表面にわたって%結晶化度が一定であることと、
    (B)再加熱時に残留応力の回復がないことと、
    (C)物品の表面から由来する熱可塑性ポリマー材料について示差走査熱量測定(DSC)を用いて検出されるアニーリングピークが存在しないことと
    を有する、物品。
  11. 前記物品は、らせん形材および分割リングから選択されるか、またはマイクロチップ容器を含む、請求項10に記載の物品。
  12. t1=1であり、v1=0であり、かつw1=0である、請求項10又は11に記載の物品。
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