JPH02250206A

JPH02250206A - 絶縁電線およびこれを巻回したコイル

Info

Publication number: JPH02250206A
Application number: JP7006589A
Authority: JP
Inventors: Izumi Ishikawa; 石川　泉; Hideo Sunatsuka; 砂塚　英夫; Isao Takahashi; 功高橋
Original assignee: Fujikura Ltd
Current assignee: Fujikura Ltd
Priority date: 1989-03-22
Filing date: 1989-03-22
Publication date: 1990-10-08

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は、ポリエーテルエーテルケトン（以下、ＰＥ
ＥＫと略記する。）からなる絶縁層を有する絶縁電線お
よびこの絶縁電線を巻回したコイルに関する。

〔従来の技術〕

近時、極めて耐熱性の優れた絶縁電線としてＰＥＥＫか
らなる絶縁層を有する絶縁電線が注目されている。

これは、Ｐ　Ｅ　Ｅ　Ｋが３４０℃以上の高融点を有し
、かつ１００〜３００℃の範囲の温度にわいて優れた熱
安定性を有するためである。

このようなＰＥＥＫからなる絶縁層を有する絶縁電線は
、導体上にＰＥＥＫを押出被覆することによって製造さ
れている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、このようなＰＥＥＫからなる絶縁層を有
する絶縁電線にあっては、ＰＥＥＫが剛直で硬質のポリ
マーであることから、絶縁電線としての可撓性が劣る不
都合があり、この絶縁電線を電子機器やモータなどのコ
イルとして巻回する際に巻回が容易ではなく、かつ占積
率の大きなコイルを得ることが困難であった。

〔課題を解決するための手段〕

この発明では、絶縁層をなすＰＥＥＫの結晶化度を１０
％以下に抑えることで、絶縁電線に可撓性を付与して巻
回を容易にするとともにこの絶縁電線を巻回したのち熱
処理して結晶化度を３０％以上に高めることにより、フ
ィルの耐薬品性、機械的特性などを高めるようにした。

この発明の絶縁電線は、その絶縁層を形成するＰＥＥＫ
の結晶化度が１０％以下としたものである。通常、ＰＥ
ＥＫからなる絶縁層を持つ絶縁電線の製造は、導体上に
直接あるいは他の樹脂等からなる被覆を介してＰＥＥＫ
を押出被覆することによって行われている。したがって
、この発明の絶縁電線を製造するには、ＰＥＥＫを押出
被覆した直後にこの絶縁層を急速冷却することによって
行われる。ここでの急速冷却は、絶縁層に冷水や冷空気
などの冷却媒体を接触させることによって行われる。こ
の急速冷却によってＰＥＥＫは結晶化に至る以前に固化
し、その大部分がアモルファス状態となり、結晶化度を
１０％以下に抑えることができる。また、導体を冷却す
るなどして、低温の導体を押出機に導入することによっ
ても急速冷却が可能となる。実際の製造に際しては、Ｐ
ＥＥＫの結晶化度とその密度との間には一義的な相関関
係が存在するため、絶縁層の密度を測定することによっ
て結晶化度を知ることができ、ＰＥＥＫの結晶化度を１
０％以下に制御することができる。Ｐ　Ｅ　Ｅ　Ｋの結
晶化度が１０％を越えると、当然可撓性か不足する。

このような絶縁電線では、ＰＥＥＫの大部分が非晶質で
あるために、その弾性率が低く、軟らかくなるため、絶
縁層自体も軟らか（、絶縁′吊線として可撓性に優れる
ものとなる。

なお、この発明の絶縁電線にあっては、ＰＥＥＫからな
る絶縁層の上に任意の被覆を形成することもでき、また
導体とＰ　Ｅ　Ｅ　Ｋからなる絶縁層との間にも任意の
樹脂被覆を形成することも可能である。

また、この発明のコイルは、上述の絶縁電線を巻回し、
熱処理してＰＥＥＫの結晶化度を３０％以上としたもの
である。絶縁電線の巻回は、適宜ボビン等に通常の巻線
機を用いて行われるが、最近多用される高速巻線機を用
いることもできる。

これは、上述のようにＰＥＥＫの結晶化度を１０％以下
とすることによって絶縁電線の可撓性が極めてよいため
巻線性が改善され、耐外傷性にも優れるためである。

しかし、この状態ではＰＥＥＫの大部分が非晶質である
ことから、耐薬品性が劣り、巻線後のワニス含浸の際に
、ワニス中の有機溶剤でＰＥＥＫが侵され、絶縁層にク
ラック等が生じる恐れがある。このため、巻線後のコイ
ルを熱処理してＰＥＥＫの結晶化を計り、結晶化度を３
０％以上に高めて耐薬品性を高める。結晶化度が３０％
未満では１耐薬品性、機械的特性の改善が不十分である
。

ここでの熱処理は、Ｐ　Ｅ　Ｅ　Ｋの結晶化温度（１５
０’Ｃ）以上の温度で０．５時間ないし３時間程度加熱
する方法で行われる。この熱処理によって、ＰＥＥＫが
そのガラス転移点以上に加熱されることにもなるので、
巻線時にＰＥＥＫからなる絶縁層に生口た内部歪も緩和
解消され、これによっても絶縁層の耐薬品性が改善され
る。

したがって、この熱処理されたコイルは耐薬品性が優秀
となり、ワニス含浸の際にクラック等が生じることがな
い。また、巻線性が良好であることから、コイルの占積
率が高くなる。さらに、ＰＥＥＫからなる絶縁層上に自
己融着性被膜を設けておけば、」二足熱処理の際に、内
部歪の解消、結晶化度の増大と同時に巻線の固着をも行
うことかできる。

以下、実施例を示して作用効果を明確にする。

〔実施例〕

径１．Ｏｘｍの軟銅線上にＰＥＥＫを押出被覆して厚さ
０．１１の絶縁層を形成した。この押出被覆の際に、絶
縁層の冷却速度を種々変化させて、１）　Ｅ　Ｅ　Ｋか
らなる絶縁層の結晶化度を１％１８％１５％、２０％、
３０％にしたものをそれぞれ作成した。

このようにして得られた絶縁電線について、その可撓性
と巻線作業性について検討した。可撓性については絶縁
電線を所定の径の゛７ンドレルに巻き付け、絶縁層に割
れ、クラックを生じない最小のマンドレルの径を絶縁電
線の自己径（ｄ）の倍率で示した。また、巻線作業性に
ついては、直径２０■、幅２０１Ｊｌのボビンに絶縁電
線を巻回し、得られたコイルの占積率が６０％以上の場
合を良とし、５９％以下の場合を不良とした。

結果を第１表に示す。

第表また、ＰＥＥＫの結晶化度が５％の上記絶縁電線を直径
２０■、幅２０貢ｚのボビンに三層巻きしてコイルとし
た。このコイルを湯度１６０°Ｃの加熱炉中に種々の時
間放置して熱処理を施し、ＰＥＥＫの結晶化度を１５％
、２０％、２５％、３０％、３５％、４０％とした。こ
れらのコイルをシクロヘキサノン中に５秒間浸漬したの
ち常温で風乾し、乾燥後絶縁層を顕微鏡で観察し、クラ
ック、割れ、膨潤などの欠陥の有無を求めた。この結果
、ＰＥＥＫの結晶化度が３０％以上のものでは、欠陥の
発生は認められなかった。一方、結晶化度が１５％、２
０％のものでは多くのクラックが認められ、２５％のも
のでも一部に小さいクラックか認められた。

以上の結果から明らかなように、この発明の絶縁電線は
可撓性が良好であり１．またこの発明のコイルは耐薬品
性か良好でワニスａ＋などの際に薬品に侵されることが
ないことがＩ’ｌｌ明した。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明の絶縁電線は、結晶化度
が１０％以下のＰ　Ｅ　Ｅ　Ｋよりなる絶縁層を有する
ものであるので、可撓性が良く、これを巻回して得られ
たコイルは占積率が高くなり、また機器内配線として用
いた際にも占積率よく配線できる。

また、この発明のコイルは上述の絶縁電線を巻回し、熱
処理してＰＥＥＫの結晶化度を３０％以上としたもので
あるので、ＰＥＥＫの耐薬品性か良好となり、コイルの
ワニス含浸などの際に、薬品と接触しても絶縁層にクラ
ッタなどの欠陥が生じることがない。

Claims

【特許請求の範囲】

（１）結晶化度が１０％以下のポリエーテルエーテルケ
トンからなる絶縁層を有する絶縁電線。
（２）請求項（１）記載の絶縁電線を巻回し、熱処理し
て絶縁層をなすポリエーテルエーテルケトンの結晶化度
を３０％以上としたコイル。