JP2010123390A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡や外観不良等の問題がなく長期耐熱性にも優れる絶縁層であって、更に、PESから形成された絶縁層と同様に耐熱軟化性及び可とう性に優れるとともに、耐含浸ワニス性にも優れる絶縁層を有する絶縁電線、及び絶縁電線の好適な製造方法を提供する。
【解決手段】導体1、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線10であって、前記絶縁層が、ポリエーテルスルホン樹脂(A)を主体として形成される下層と、ポリエーテルスルホン樹脂(A)とポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを配合したポリマーアロイ、又は、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主体として形成される上層からなることを特徴とする絶縁電線、及び押出被覆工程12での引落率が所定の範囲内であることを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】導体1、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線10であって、前記絶縁層が、ポリエーテルスルホン樹脂(A)を主体として形成される下層と、ポリエーテルスルホン樹脂(A)とポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを配合したポリマーアロイ、又は、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂を主体として形成される上層からなることを特徴とする絶縁電線、及び押出被覆工程12での引落率が所定の範囲内であることを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、車載モータ用の巻線等として使用される絶縁電線に関する。本発明は、又、車載モータ用の巻線等として使用される絶縁電線を製造するための絶縁電線の製造方法に関する。
近年、車載モータの低コスト化やモータの性能向上に対応するため、車載モータ用の巻線の絶縁層の厚膜化が求められる場合がある。絶縁電線の絶縁層は、通常、導体表面に樹脂を焼付けする方法(焼付法)により形成されるが、この焼付法による絶縁層の厚膜化は、高コストな上、皮膜内の残留溶剤による皮膜の発泡で所謂ブツが生じ外観が悪化する等の問題が生じやすい。そこで、熱可塑性樹脂の溶融押出による絶縁層の形成が試みられている。
車載モータ用の巻線の絶縁層には、優れた耐熱軟化性(高いTg)、可とう性、電気特性等が求められる。又、絶縁電線を高温雰囲気で使用しても長期にわたり電気特性や機械特性を保持するとの耐熱性(以下、長期耐熱性と言う。)も望まれる。
そこで、絶縁層の形成に用いられる熱可塑性樹脂には、溶融押出による層形成が容易であるとの良好な押出塗装性とともに、前記特性を満たすことが求められる。これらの要請を満たしかつ比較的安価なものとして、ポリエーテルスルホン樹脂(以下、PESとする。)が知られており、例えば、特許文献1(特開平11−66958号公報、請求項1)や、特許文献2(特開平11−176244号公報、請求項1等)に、PESを含んでなる樹脂により形成されている絶縁層を有する絶縁電線が記載されている。
しかし、PESは、耐薬品性に乏しく、クラックを発生しやすいとの問題がある。クラックとは、残留応力の存在する樹脂に薬品が浸透し、ポリマー鎖が動き易くなる結果、局所的に応力が緩和され皮膜に亀裂が発生する現象と考えられ、PESのような非晶性樹脂に発生しやすい傾向がある。例えば、絶縁電線を巻線してコイルを形成し、エポキシ樹脂等の含浸ワニスに浸漬後、含浸ワニスを硬化するときに含浸ワニスの浸透を受けてクラックが発生しやすい。
PESの特性を損なうことなく耐含浸ワニス性を改善する方法として、PES層の表面上に耐含浸ワニス性に優れた結晶性樹脂をオーバーコートし、結晶性樹脂の層を形成する方法が考えられる。例えば、特許文献3(特許第4115386号公報)には、PES層上に結晶性樹脂であるPPSをオーバーコートした多層絶縁電線が開示されており、又、特許文献4(特許第3923112号公報)には、PESの上にPA(ナイロン)をオーバーコートした多層絶縁電線が開示されている。
特開平11−66958号公報
特開平11−176244号公報
特許第4115386号公報
特許第3923112号公報
耐含浸ワニス性に優れかつPES同等以上の長期耐熱性を有する結晶性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKとする。)やポリフェニレンスルフィド(以下、PPSとする。)等が挙げられる。しかし、これらの結晶性樹脂は、伸びが小さく又ガラス転移温度(Tg)も低く(例えば、PPS:90℃、PEEK:143℃)、可とう性及び耐熱軟化性に劣るとの問題がある。更に、これらの結晶性樹脂をオーバーコートして形成した層は、いずれもPES層と接着しないとの問題がある。オーバーコート層がPES層と接着しない場合、曲げ加工時にシワや浮きが発生し電気特性の低下につながる。
本発明は、PES層とそのオーバーコート層を含む絶縁層を有する絶縁電線であって、当該絶縁層が、長期耐熱性に優れ更にPESから形成された絶縁層と同様に耐熱軟化性及び可とう性に優れかつ耐含浸ワニス性(耐薬品性)にも優れるとの特徴を有するとともに、PES層とそのオーバーコート層間の接着性に優れ、曲げ加工時のシワや浮きの発生や電気特性の低下等の問題が抑制されている絶縁電線を提供することを課題とする。本発明は、又、絶縁層を有する絶縁電線を好適に製造するための製造方法を提供することも課題とする。
本発明者は、前記の課題を達成するため鋭意検討した結果、絶縁層を、PESを主体とした下層と、その表面に接して設けられた上層を有する構造とするとともに、この上層を、特定のポリマーアロイ、又は特定の結晶性樹脂を主体として形成することにより、PESの特性を損なうことなく耐含浸ワニス性を改善できるとともに、上層と下層の優れた接着性が得られ、曲げ加工時のシワや浮きの発生、電気特性の低下等の問題を抑制できること、更に優れた長期耐熱性も得られることを見出し、下記の構成からなる発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、
導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層が、
ポリエーテルスルホン樹脂(A)を主体として形成される下層と、前記下層上に前記下層に接して形成される上層を含み、
前記上層は、
PES(A)とPPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイ、又は、
変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、変性PEEKとする。)、
を主体として形成されることを特徴とする絶縁電線である。
導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層が、
ポリエーテルスルホン樹脂(A)を主体として形成される下層と、前記下層上に前記下層に接して形成される上層を含み、
前記上層は、
PES(A)とPPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイ、又は、
変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、変性PEEKとする。)、
を主体として形成されることを特徴とする絶縁電線である。
本発明は、更に、請求項1に記載の発明のより具体的な態様として、
前記上層が、変性PEEKから形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線(請求項2)、及び
前記上層が、PES(A)と、PPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイから形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線(請求項3)を提供するものである。
前記上層が、変性PEEKから形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線(請求項2)、及び
前記上層が、PES(A)と、PPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイから形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線(請求項3)を提供するものである。
本発明の絶縁電線の絶縁層の下層は、非晶質樹脂のPESを主体とするものであり、その結果、この絶縁層はPESの特性、即ち優れた耐熱軟化性、可とう性を示す。又、上層が、前記の特定のポリマーアロイ、又は変性PEEKを主体として形成される結果、耐含浸ワニス性を改善できるとともに、上層と下層の優れた接着性が得られ、曲げ加工時のシワや浮きの発生、電気特性の低下等の問題を抑制できる。更にこれらの樹脂は、優れた長期耐熱性を有するので、本発明の絶縁電線の絶縁層も優れた長期耐熱性を有する。
このようにして製造された本発明の絶縁電線は、自動車に搭載されるモータ等の巻線等として、好適に用いられる。特に、粘弾性スペクトロメーターにより、引張モードで、周波数1Hz、歪み5μm、昇温速度10℃/分の条件で測定したときの弾性率E’外挿温度が、150℃以上である絶縁層を有する絶縁電線が、耐熱軟化性が優れ好ましく用いられる(請求項4)。より好ましくは弾性率E’外挿温度が、200℃以上である絶縁層を有するものである。又、UL規格746Bに則った温度指数であるUL温度indexが、150℃以上である絶縁層を有する絶縁電線が、長期耐熱性が優れ好ましく用いられる(請求項5)。より好ましくはUL温度indexが、170℃以上である絶縁層を有するものである。
本発明の絶縁電線は、先ず、導体上にPESを主体する熱可塑性樹脂の原料を、溶融押出しして塗布し冷却して、先ず所望の厚みの下層を被覆(押出成形)し、その上に、前記のポリマーアロイ又は変性PEEKを主体とする樹脂を溶融押出しして塗布し冷却して、所望の厚みの上層を被覆(押出成形)することにより製造することができる。又は、二層ダイを用いて導体上に、下層のPESと上層の前記ポリマーアロイ又は変性PEEKを同時に溶融押出して、下層と上層を同時に形成することもできる。
溶融押出しの条件や使用する装置等は、従来の絶縁電線の製造における熱可塑性樹脂の押出しによる絶縁層の形成(押出被覆)と、同様な条件、装置を採用することができる。しかし、押出被覆により形成された絶縁層に残留応力が残っていると、絶縁層に応力をかけて加熱した場合に、クラックの前駆体であるクレーズと呼ばれる微小な欠陥が生じる場合がある。本発明者は、このクレーズの発生を防ぎ、耐クレージング性を向上するために鋭意検討した結果、押出被覆を、引落成形で行い、押出時のDDR引落率を一定の範囲とすることにより効果的にクレーズの発生を抑制できることを見出した。具体的には、DDR引落率を100以上とすることにより、クレーズの発生を効果的に抑制することができる。なお、DDR引落率は、200以下が、発泡、皮膜破れ等の外観不良や、成形不良を抑制するために、より好ましい。
請求項6は、この好ましい製造方法に該当するものであり、
導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線の製造方法であって、
導体、又は導体上に他の樹脂層を被覆した心線の表面上に、前記絶縁層を形成する樹脂を、押出成形により被覆する押出被覆工程を有し、前記押出被覆工程でのDDR引落率が100以上であることを特徴とする絶縁電線の製造方法である。
導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線の製造方法であって、
導体、又は導体上に他の樹脂層を被覆した心線の表面上に、前記絶縁層を形成する樹脂を、押出成形により被覆する押出被覆工程を有し、前記押出被覆工程でのDDR引落率が100以上であることを特徴とする絶縁電線の製造方法である。
ここで、DDR引落率とは、押出被覆時にダイスから樹脂が押し出される部分の断面積(X)と塗布・焼付け後の被覆層の断面積(Y)の比((X)/(Y))である。押出被覆時のダイス、ポイント、及び心線の断面が全て円形状の場合は、DDR引落率は下記式で表される値である。
DDR=(D1 2−D2 2)/(d1 2−d2 2)
(D1:ダイス外径、D2:ポイント外径、d1:被覆外径、d2:被覆内径)
DDR=(D1 2−D2 2)/(d1 2−d2 2)
(D1:ダイス外径、D2:ポイント外径、d1:被覆外径、d2:被覆内径)
この本発明の製造方法は、押出被覆工程を、引落率(DDR)が所定の範囲内(100以上、又は100〜200)となるように設計したダイス−ポイントを使用して引落成形することにより実施することができる。
なお、この本発明の製造方法は、前記の本発明の絶縁電線(絶縁層が上層及び下層を有する)だけでなく、導体、又は導体上に他の樹脂層を被覆した心線の表面上に絶縁層を有する全ての絶縁電線に適用することができる。例えば、絶縁層が単層の絶縁電線等にも適用することができる。又、絶縁層を形成する材質も、PES、PPS、PEEKに限定されない。特に、絶縁層の材質が、PES、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂の場合、本発明の効果が顕著に表れる。
請求項7は、この本発明の効果が顕著に表れる場合に該当するものであり、
前記絶縁層を形成する樹脂が、PES、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂より選ばれることを特徴とする請求項6に記載の絶縁電線の製造方法を提供するものである。
前記絶縁層を形成する樹脂が、PES、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂より選ばれることを特徴とする請求項6に記載の絶縁電線の製造方法を提供するものである。
本発明の絶縁電線は、PES層とそのオーバーコート層を含む絶縁層を有するものであるが、当該絶縁層は、長期耐熱性に優れ、更にPESから形成された絶縁層と同様に耐熱軟化性及び可とう性に優れ、かつ耐含浸ワニス性(耐薬品性)にも優れワニスの含浸によってもクラックが発生しにくいとの特徴を有する。更に又、当該絶縁層を構成するPES層とそのオーバーコート層間の接着性に優れ、曲げ加工時のシワや浮きの発生や電気特性の低下等の問題も抑制されている。
又、本発明の絶縁電線の製造方法によれば、絶縁層内のクレーズの発生を抑制することができる。
次に、本発明を実施するための形態、特に最良の形態につき説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更を加えることは可能である。
本発明の絶縁電線の絶縁層の下層を構成するPESとしては、絶縁電線の絶縁層の材料として一般に使用されているものから選ぶことができる。PESは、例えば、ジクロルジフェニルスルホン、ビスフェノールS及び炭酸カリウムを高沸点溶媒中で反応して製造することができる。又、市販品も用いることができる。市販品としては住友化学工業社製のスミカエクセルPES、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のレーデルAを挙げることができる。下層はこのPESを主体とするものであるが、ここで、主体とするとは、少なくとも50重量%以上含むことを意味し100重量%の場合も含まれる。好ましくは80重量%以上含む場合である。
本発明の絶縁電線の絶縁層の上層を構成するポリマーアロイは、PES(A)とPPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したものである。このポリマーアロイは、PESに長期耐熱性に優れた特定の結晶性樹脂を微分散させたものであり、このポリマーアロイを主体とすることにより、ワニスの含浸によってもクラックが発生しにくい上層が得られる。ここで、主体とするとは、前記と同じ意味を表す。
又、このポリマーアロイを主体とする上層は、PESを主体とする下層との接着性に優れ、曲げ加工時のシワや浮きの発生や電気特性の低下等の問題を抑制することができる。このポリマーアロイを構成するPESとしては、下層を構成するPESと同様なものを用いることができる。
PESと配合してポリマーアロイを構成する結晶性樹脂(B)は、PESと同等以上の長期耐熱性を有する結晶性の熱可塑性樹脂であり、PEEK及びPPSより選ばれる。PEEK及びPPSを併用してもよい。
ここで、PEEKは、260℃で連続使用できるという長期耐熱性を有する。PPSも、連続使用温度が200℃〜240℃という長期耐熱性を有する。又、PEEK及びPPSは、難燃剤を添加することなくUL94規格V−0と同等レベルの難燃性を示す。
PES(A)と、PPS及びPEEKから選ばれる結晶性樹脂(B)との重量比は、50:50〜90:10の範囲内である。この特定範囲内の比率で配合することにより、耐熱軟化性に優れたPES(A)のマトリックスに、特定の結晶性樹脂(B)を微分散させたポリマーアロイが得られ、その結果、PESの特性を損なうことなく耐含浸ワニス性を改善できると考えられる。PPS及びPEEKから選ばれる結晶性樹脂(B)の中でも、前記のように、PPSは安価でコストメリットも大きいので好ましい。
PES(A)と、PPS及びPEEKから選ばれる結晶性樹脂(B)との重量比は、60:40〜80:20の範囲内がより好ましい。結晶性樹脂(B)がPPSの場合、前記(A)+(B)中の(B)の重量比が、20%未満の場合は、耐含浸ワニス性が低下する傾向があり、クラックの発生防止が不十分になる場合がある。一方(B)の重量比が、40%を超えると、押出塗装性が低下するとともに下層との接着性が低下する傾向がある。
前記ポリマーアロイに酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク等の無機フィラーを添加することにより、亀裂の伝播を抑制し、耐含浸ワニス性を更に向上できるので好ましい。無機フィラーとしては、酸化チタン及びシリカが好ましく、特に酸化チタンが、分散性、外観や電気特性に悪影響を及ぼさない点で好ましい。又、無機フィラーの平均粒径が大きすぎると気泡の混入や表面の平滑性の低下等による電線外観の悪化をまねくことがあるので、平均粒径が100nm〜500nmの範囲内にある酸化チタンが好ましい。特に、球状で平均粒径が200nm〜300nmの範囲内にある酸化チタンが好ましい。
無機フィラーとしては市販品を用いることができる。例えば、酸化チタンとしては、古河機械金属社製の、FR−88(平均粒径0.19μm)、FR−41(平均粒径0.21μm)、RLX−A(平均粒径3〜4μm)等を挙げることができる。又、シリカとしては、龍森社製のUF−007(平均粒径5μm)、5X(平均粒径1.5μm)、アルミナとしては、岩谷産業社製のRA−30(平均粒径0.1μm)、炭酸カルシウムとしては白石工業社製のVigot−15(平均粒径0.15μm)、備北粉化工業社製のソフトン(平均粒径3μm)等を挙げることができる。
このポリマーアロイを形成する樹脂原料は、PES(A)と、PPS及びPEEKから選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)を2軸混練機などの混練り機で混練りして製造することができる。
前記の本発明の優れた効果は、絶縁層の上層を前記ポリマーアロイの代わりに変性PEEKを主体とする樹脂により形成しても得ることができる。一方、結晶性樹脂であっても、前記のようなPPSやPEEKを単独で用いて上層を形成した場合は、下層との接着性に劣り本発明の優れた効果は得られない。ここで、主体とするとは、前記と同じ意味を表す。
変性PEEKとは、PEEKと機能性樹脂をポリマーアロイ化して伸びや耐熱軟化性を向上させたものであり、例えば、ソルベイ社製のアバスパイアAV−650、AV−651等を用いることができる。この変性PEEKはPESと同等の耐熱軟化性を有する。
上層を前記ポリマーアロイの代わりに変性PEEKを主体とする樹脂により形成する場合も、前記と同様の無機フィラーを添加することにより、同様の効果が得られ好ましい。無機フィラーを添加する代わりに、変性PEEKの無機フィラーが添加されたグレードを用いることもできる。
上層には、本発明の目的とする作用効果を損なわない範囲で、更に、通常使用される添加剤、加工助剤、着色剤等を含めることができる。
本発明の絶縁電線を構成する導体の材質や形態は、特に限定されない。単線でもよいし、拠り線でもよい。断面形状も真円でもよいし、他の形状でもよい。その太さも限定されない。材質も、通常の電線に使用されるものであれば、いかなるものでもよい。
絶縁層は、導体上に直接設けても良いし、他の層(樹脂層)を介して設けても良い。好ましくは、導体上に絶縁樹脂を焼付けて形成した焼付層を設け、その外側に押出形成による絶縁層を設ける。また、焼付層と絶縁層との密着性を高めるために、焼付層と絶縁層との間に更に接着層を設けても良い。
焼付層を形成する絶縁樹脂としては、従来用いられているものを使用することができ、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても良いし、複数種を併用して用いても良い。これらの樹脂を溶剤に溶解したワニスを導体に塗布、焼付けすることで焼付層を形成する。
接着層としては、熱融着可能で、溶剤に溶けやすい非晶性樹脂が好ましい。具体的には、フェノキシ樹脂、PES,ポリサルホン樹脂、ポリフェニルサルホン樹脂等が例示される。これらの樹脂を溶剤に溶解したワニスを、焼付層を形成した導体上に塗布、焼付けすることで接着層を形成する。
又上層の上にも、本発明の目的とする作用効果を損なわない範囲で、更に、他の層を設けることもできる。
次に、本発明の絶縁電線10を好適に製造するための製造装置について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、製造装置は、加熱炉11、被覆装置12、保温炉13、冷却水槽14、及びドライヤーゾーン15を備えている。
被覆装置12には、押出し機ゾーン23が設けられている。心線1は、巻出し部21に巻き取られて保管されている。ここで、心線1とは、導体、又はその表面上にあらかじめ他の樹脂層(焼付層等)が形成された導体である。心線1は、巻出し部21より、図中の矢印の方向に繰り出され、加熱炉(予熱炉)11内で線温をおよそ200℃以上に昇温させた後(予備加熱)、押出し機ゾーン23を通る。加熱炉11による予備加熱は、押出しにより形成される下層と当該他の樹脂層(下地:焼付層等)との接着を向上させるために行われる。
押出し機ゾーン23内に設けられている押出し機により、心線1の表面上に、絶縁層の上層及び下層を構成する樹脂が押出され、心線1が2層の樹脂により被覆され被覆電線5が形成される。押出し機ゾーン23内には押出し機が設けられており、上層を構成する樹脂(前記ポリマーアロイ又は変性PEEK)及び下層を構成する樹脂(PES)を押出すが、これは二層ダイを用いているので、下層と上層を同時に溶融押出して、下層と上層が同時に形成される。押出し機としては、単軸押出し機等、公知の押出し機を用いることができる。
被覆装置12を出た被覆電線5は、冷却水槽14を通ることにより冷却され、絶縁層の樹脂が固化される。被覆装置12を出た被覆電線の、冷却による被覆内残留応力を低減させるために、保温炉に通して除冷しても良い。そこで、図1に示す例では、被覆装置12と冷却水槽14の間に保温炉13が設けられている。
その後、被覆電線5は、ドライヤーゾーン15に送られ乾燥され、本発明の絶縁電線10となる。乾燥の方法としては、例えば、ドライヤーゾーンに冷風を当てて水分を除去する方法、ドライヤーゾーン15に設けられた乾燥炉を、50〜80℃程度に設定し電線を1〜3分位で通す方法、ドライヤーゾーン15を通る電線に、ドライヤー温風を数十秒間当てる方法等が挙げられる。自然乾燥すなわち空冷区間を数十秒通す方法でもよい。ドライヤーゾーン15を出た絶縁電線10は、リール17に巻き取られる。
なお、上記の例は、二層ダイを用い上層と下層を同時に被覆する方法であるが、下層を先ず形成し、その後、下層の形成と同様な方法を再度繰り返して上層を形成してもよい。
次に本発明をより具体的に説明するための実施例を示すが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実験No.1〜4
[使用した原材料]
PES: スミカエクセル4800G(住友化学社製、数平均分子量:約20000)
変性PEEK: ソルベイ社製のアバスパイアAV−650
PPS: DIC−PPS FZ−2100(DIC社製)
PEEK: ビクトレックスPEEK450G(ビクトレックス社製)
[使用した原材料]
PES: スミカエクセル4800G(住友化学社製、数平均分子量:約20000)
変性PEEK: ソルベイ社製のアバスパイアAV−650
PPS: DIC−PPS FZ−2100(DIC社製)
PEEK: ビクトレックスPEEK450G(ビクトレックス社製)
[絶縁電線の作製1]
1.9×2.5mmの平角銅線の外周にポリアミドイミド樹脂を40μm、更にその上にフェノキシ樹脂を5μm焼付被覆したエナメル線を心線として用いた。この心線の外周に、押出機(三葉製作所社製:25V−24D−HB、25mmφ、L/D=24。)により、表1の上層、下層欄に記載の絶縁層形成用樹脂を、引落ダイス(引落率=15)を用いて押出塗装し、厚さ100μm(上層50μm、下層50μm)の押出層を形成した。得られた絶縁電線のそれぞれについて、以下に示す評価を行った。その結果を表1に示す。
1.9×2.5mmの平角銅線の外周にポリアミドイミド樹脂を40μm、更にその上にフェノキシ樹脂を5μm焼付被覆したエナメル線を心線として用いた。この心線の外周に、押出機(三葉製作所社製:25V−24D−HB、25mmφ、L/D=24。)により、表1の上層、下層欄に記載の絶縁層形成用樹脂を、引落ダイス(引落率=15)を用いて押出塗装し、厚さ100μm(上層50μm、下層50μm)の押出層を形成した。得られた絶縁電線のそれぞれについて、以下に示す評価を行った。その結果を表1に示す。
(押出塗装性の評価)
前記絶縁電線の作製における押出塗装(引落法)により、100μmの膜厚の絶縁層の形成が可能なものを○とし、不可能なものを×とした。
前記絶縁電線の作製における押出塗装(引落法)により、100μmの膜厚の絶縁層の形成が可能なものを○とし、不可能なものを×とした。
(耐熱軟化性の評価)
粘弾性スペクトロメーター(DMS6100:セイコーインスツルメンツ社製)により、絶縁層の上層及び下層の弾性率E’外挿温度を測定し、E’外挿温度が150℃以上のものを○、150℃未満のものを×とした。なお測定は、引張モードで、周波数1Hz、歪み5μm、昇温速度10℃/分の条件で行った。
粘弾性スペクトロメーター(DMS6100:セイコーインスツルメンツ社製)により、絶縁層の上層及び下層の弾性率E’外挿温度を測定し、E’外挿温度が150℃以上のものを○、150℃未満のものを×とした。なお測定は、引張モードで、周波数1Hz、歪み5μm、昇温速度10℃/分の条件で行った。
(長期耐熱性の評価1)
作製された絶縁電線を150℃の雰囲気(大気中)に2000時間暴露し、暴露の前後における、部分放電開始電圧(PDIV)及び絶縁破壊電圧(BDV)を下記の方法により測定した。暴露後のPDIVの低下率が10%以内でありかつBDV(絶縁破壊電圧)の低下率が20%以内のものを○とし、それ以外のものを×とした。
作製された絶縁電線を150℃の雰囲気(大気中)に2000時間暴露し、暴露の前後における、部分放電開始電圧(PDIV)及び絶縁破壊電圧(BDV)を下記の方法により測定した。暴露後のPDIVの低下率が10%以内でありかつBDV(絶縁破壊電圧)の低下率が20%以内のものを○とし、それ以外のものを×とした。
(PDIVの測定)
部分放電試験機(菊水電子工業社製 KPD2050S)を使用して測定した。2本の絶縁電線のフラット面(幅広の面)同士を長さ40mmにわたって隙間が無いように密着させ、2本の導体間に電極を繋いだ。25℃にて、周波数60Hzで昇圧し、100pC以上の部分放電が発生した時の電圧を読み取った。n=5で実施し、その平均値で評価した。
部分放電試験機(菊水電子工業社製 KPD2050S)を使用して測定した。2本の絶縁電線のフラット面(幅広の面)同士を長さ40mmにわたって隙間が無いように密着させ、2本の導体間に電極を繋いだ。25℃にて、周波数60Hzで昇圧し、100pC以上の部分放電が発生した時の電圧を読み取った。n=5で実施し、その平均値で評価した。
(BDVの測定)
絶縁破壊試験機(FAITH社製、BREAK−DOWN TESTER “CONTROL UNIT F8150−1”)を使用して測定した。絶縁電線に幅10mmのアルミ箔を巻き、電極の片方を導体にもう一方をアルミ箔に接続した。昇圧速度500V/秒で昇圧して、15mA以上の電流が流れたときの電圧を読み取った。n=5で実施し、その平均値で評価した。
絶縁破壊試験機(FAITH社製、BREAK−DOWN TESTER “CONTROL UNIT F8150−1”)を使用して測定した。絶縁電線に幅10mmのアルミ箔を巻き、電極の片方を導体にもう一方をアルミ箔に接続した。昇圧速度500V/秒で昇圧して、15mA以上の電流が流れたときの電圧を読み取った。n=5で実施し、その平均値で評価した。
(長期耐熱性の評価2)
なお、表1に記載の樹脂についての、UL規格746Bに則った温度指数であるUL温度indexの値(樹脂メーカーのカタログ値)を表1に示す。UL温度indexが150℃以上の場合を○、150℃未満の場合を×とした。
なお、表1に記載の樹脂についての、UL規格746Bに則った温度指数であるUL温度indexの値(樹脂メーカーのカタログ値)を表1に示す。UL温度indexが150℃以上の場合を○、150℃未満の場合を×とした。
(可とう性の評価)
作製された絶縁電線をR=2mmで180°曲げたとき、絶縁層の割れ、浮き、シワのいずれもがないものを○とし、割れ、浮き、シワの少なくとも1つが見られるものを×とした。
作製された絶縁電線をR=2mmで180°曲げたとき、絶縁層の割れ、浮き、シワのいずれもがないものを○とし、割れ、浮き、シワの少なくとも1つが見られるものを×とした。
(耐含浸ワニス性の評価)
作製された絶縁電線を3%伸張後、135℃で1時間加熱した。加熱後、絶縁電線表面に含浸ワニス(エポキシ樹脂)を素早く塗る。その後、再度135℃で1時間加熱した後、皮膜表面を観察して亀裂の有無を確認し、以下の基準で評価した。
作製された絶縁電線を3%伸張後、135℃で1時間加熱した。加熱後、絶縁電線表面に含浸ワニス(エポキシ樹脂)を素早く塗る。その後、再度135℃で1時間加熱した後、皮膜表面を観察して亀裂の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○: 亀裂がない。
×: 亀裂発生。
×: 亀裂発生。
表1より明らかなように、本発明の絶縁電線である実験No.4では、優れた耐熱軟化性、長期耐熱性、可とう性及び耐含浸ワニス性が得られている。しかし、上層を設けなかった実験No.1の絶縁電線は、耐含浸ワニス性が劣るものであった。又、上層をPPSや未変性のPEEKで形成した実験No.2、3の絶縁電線は、曲げにより浮き、シワが発生し可とう性に劣るものであった。上層と下層の接着性が低いためと思われる。この結果より、絶縁層を、PESからなる下層と変性PEEKからなる上層を有する構造とすることにより、優れた耐熱性、可とう性、耐含浸ワニス性がともに達成されることが示された。
実験No.5〜14
[絶縁電線の作製2]
1.9mmφの丸銅線の外周にポリアミドイミド樹脂を40μm、更にその上にフェノキシ樹脂を5μm焼付被覆したエナメル線を心線として用いた。この心線に、押出機(三葉製作所社製:50V−24D−HB、50mmφ、L/D=24)により、PES(ウルトラゾーンE3010、BASF社製)、又はポリフェニルスルホン樹脂(表2、3中ではPPSUと表す。:レーデルR5800、ソルベイアドバンストポリマーズ社製)を、表2、3に示すダイス内径、ポイント外径、及びダイスとポイントの間のクリアランスを有する引落ダイス(円型ダイス)を用いて押出塗装し(線速15m/分、心線温度160℃)、厚さ100μmの押出層を形成し絶縁電線を得た。
[絶縁電線の作製2]
1.9mmφの丸銅線の外周にポリアミドイミド樹脂を40μm、更にその上にフェノキシ樹脂を5μm焼付被覆したエナメル線を心線として用いた。この心線に、押出機(三葉製作所社製:50V−24D−HB、50mmφ、L/D=24)により、PES(ウルトラゾーンE3010、BASF社製)、又はポリフェニルスルホン樹脂(表2、3中ではPPSUと表す。:レーデルR5800、ソルベイアドバンストポリマーズ社製)を、表2、3に示すダイス内径、ポイント外径、及びダイスとポイントの間のクリアランスを有する引落ダイス(円型ダイス)を用いて押出塗装し(線速15m/分、心線温度160℃)、厚さ100μmの押出層を形成し絶縁電線を得た。
[絶縁電線の評価]
前記で得られた絶縁電線(長さ:20cm)のそれぞれについて、3%伸張を行い、その後恒温槽にて180℃で5分間熱処理した。処理後の絶縁電線の表面を顕微鏡で詳細に観察し、長さ20cmあたりのクレーズ数(目視できる微小クラック)を記録し、以下に示す基準に基づき評価した。その評価結果を表2、3に示す。
(評価基準)
○: 0〜20個
×: 21〜100個
××: 101個以上
前記で得られた絶縁電線(長さ:20cm)のそれぞれについて、3%伸張を行い、その後恒温槽にて180℃で5分間熱処理した。処理後の絶縁電線の表面を顕微鏡で詳細に観察し、長さ20cmあたりのクレーズ数(目視できる微小クラック)を記録し、以下に示す基準に基づき評価した。その評価結果を表2、3に示す。
(評価基準)
○: 0〜20個
×: 21〜100個
××: 101個以上
表2及び3の結果より明らかなように、DDR(引落率)が100未満の場合は、樹脂の種類がPES、PPSUのいずれの場合も、クレーズ数が多い。一方、DDR(引落率)が100以上の場合は、樹脂の種類がPES、PPSUのいずれの場合も、クレーズ数が少なく、絶縁電線の製造方法として好ましいことが示されている。
1、 心線
5、 被覆電線
10、絶縁電線
11、加熱炉
12、被覆装置
13、保温炉
14、冷却水槽
15、ドライヤーゾーン
17、リール
21、巻出し部
23、押出し機ゾーン
5、 被覆電線
10、絶縁電線
11、加熱炉
12、被覆装置
13、保温炉
14、冷却水槽
15、ドライヤーゾーン
17、リール
21、巻出し部
23、押出し機ゾーン
Claims (7)
- 導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層が、
ポリエーテルスルホン樹脂(A)を主体として形成される下層と、前記下層上に前記下層に接して形成される上層を含み、
前記上層は、
ポリエーテルスルホン樹脂(A)とポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイ、又は、
変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂、
を主体として形成されることを特徴とする絶縁電線。 - 前記上層が、変性ポリエーテルエーテルケトン樹脂から形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記上層が、ポリエーテルスルホン樹脂(A)とポリフェニレンスルフィド樹脂及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選ばれる少なくとも1種の結晶性樹脂(B)とを、(A):(B)の重量比が50:50〜90:10の範囲内で配合したポリマーアロイから形成されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記絶縁層の、粘弾性スペクトロメーターにより、引張モードで、周波数1Hz、歪み5μm、昇温速度10℃/分の条件で測定したときの弾性率E’外挿温度が、150℃以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記絶縁層のUL温度indexが、150℃以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 導体、及び、その外周を直接又は他の樹脂層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線の製造方法であって、
導体、又は導体上に他の樹脂層を被覆した心線の表面上に、前記絶縁層を形成する樹脂を押出成形により被覆する押出被覆工程を有し、前記押出被覆工程でのDDR引落率が100以上であることを特徴とする絶縁電線の製造方法。 - 前記絶縁層を形成する樹脂が、PES、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂より選ばれることを特徴とする請求項6に記載の絶縁電線の製造方法。
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-
2008
- 2008-11-19 JP JP2008295820A patent/JP2010123390A/ja active Pending
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