JP5703246B2 - 液体吐出装置及び液体供給装置 - Google Patents

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本発明は液体吐出装置及び液体供給装置に係り、特にインクジェットヘッドなど液体を使用する流路構造物に対して圧力変動を抑えつつ液体を供給するための液体供給技術に関する。
特許文献1には、インクジェット方式の記録ヘッドの内部圧力(背圧)を維持しつつ連続的な液体循環を行うことが可能なインクジェット記録装置の構成が開示されている。このインクジェット記録装置は、インク供給源としてのメインタンクからバッファタンクにインクが供給され、このバッファタンクからサブタンク(「供給側サブタンク」という。)を経由して記録ヘッドにインクが供給される。記録ヘッドに流入したインクのうち一部はインク吐出口(ノズル)から吐出され、残りのインクはヘッド内の流路(内部流路)を通って記録ヘッドの排出口からヘッド外に排出される。記録ヘッドの排出口はインク回収用のサブタンク(「回収側サブタンク」という。)に連通しており、この回収サブタンクを経由してインクをバッファタンクに戻す循環流路構造となっている。
インク供給側及び回収側のそれぞれに配置される各サブタンクは、内部を可撓膜で仕切られた液体室(インク室)と気体室(空気室)とで構成される。バッファタンクと供給側サブタンクの液体室とをつなぐ流路にはポンプ(第1サブポンプ)が設けられており、この第1サブポンプの駆動によりバッファタンクと供給サブタンクの液体室の間でインクの移動が行われる。また、回収側サブタンクの液体室とバッファタンクとをつなぐ流路にもポンプ(第2サブポンプ)が設けられており、この第2サブポンプの駆動により回収側サブタンクの液体室とバッファタンクの間でインクの移動が行われる。供給側の第1サブポンプによって供給側サブタンクの液体室の内部圧力を調整することができ、回収側の第2サブポンプによって回収側サブタンクの液体室の内部圧力を調整することができる。
このようなサブタンクを利用したインク循環方式は、ポンプや記録ヘッドのインク吐出による急峻な圧力変動を各サブタンクの可撓膜の弾性力と気体室の圧縮性による適度な弾性力の作用によって減衰させることができる。このため、記録ヘッドの内圧変動を低く抑えることができ、記録ヘッドの吐出安定性を向上させることができるものである。
特開2009−101516号公報
しかしながら、サブタンクを小型化した場合、可撓膜の変位量がある所定値を超えると膜の弾性力が無視できず、非常に弾性力が大きい場所で使用した場合、ポンプの脈動を効率的に消すことができず、圧力変動が大きい状態でプリントを行う懸念がある。
また、サブタンクで検出した圧力値をフィードバック制御させながら、圧力制御及びインク循環を行うことが多くのインクジェット機器でなされているが、圧力の検出方法については、直接インク側の圧力(液体室内の圧力)を測定する場合と、サブタンクの空気室の圧力を測定する場合の2種類の方法がある。
インク側の圧力を直接測定する方法は多くの機器で採用され、最も一般的な手法である。特許文献1に記載の装置においても、各サブタンクの液体室の内部圧力を検出する圧力センサが設けられている。
しかし、インク側の圧力を直接測定する方法は、圧力センサ(圧力計)を取り付ける時に液漏れが生じないように取り付けが必要であること、また、圧力センサがインクに対して化学的な耐性を有していなければならないことなど、製造上満たすべき制約事項が多く、組み立てコスト及び部品コストの観点で比較的コストかかるものであった。
それに対して、気体室の圧力測定を行う方式は、センサが液体に直接触れない方式であるため、センサ取り付け時のインク漏れの懸念や化学的耐性を考慮する必要がなく、組み立て作業が容易であり、かつ、センサ本体のコストとしても液体圧力センサに比べれば安価になる。
また、万が一、圧力センサが故障を起こした場合でも、気体室の圧力を読み取る圧力センサ(空気圧力センサ)の場合、液体室の圧力を測る液体圧力センサに比べて取り外しが容易であり、簡単にその交換を行うことができる。
このような理由から、サブタンクの気体室(空気室)側の圧力を測定する方式を採用することが望まれる。ただし、膜の初期位置を正しく設定できず、可撓膜の不感帯外で動作させてしまった場合、膜の弾性力の寄与が大きいため、ポンプ起因の脈動を十分に抑えることができず、背圧の制御を正常に行えない可能性がある。さらに、このような状態が発生しても、気体室側の圧力は液体室(インク室)側の圧力に比べて膜の弾性力の影響がないため、液体室側で大きな圧力変動が起きているのを気体室側の圧力センサで検知することが難しい。かかる課題について図20〜図22を用いて説明する。
図20はサブタンクの構成を示す模式図である。図20において、サブタンク810は、密閉容器812の内部が可撓膜814によって液体室816と気体室818の2つの空間部に仕切られた構成となっている。液体室816は流路822を介してポンプ824と接続されるとともに、流路826を介して図示せぬインクジェットヘッドに接続される。この図20では、サブタンクの特性を説明する単純な構成として、入口側の流路822にシリンジポンプ(符号824)を接続し、出口側の流路826に液体圧力センサ828を配置した。
一方、気体室818には連通路830を介してエアタンク(空気緩衝室)832が接続されている。エアタンク832には大気連通用のバルブ834が設けられている。
図20の構成において、ポンプ824の駆動量を調整することで液体室816に供給する液体の量(液体体積)を変化させることができる。液体室816と気体室818とを仕切る可撓膜814は、液体室816内の液体量に応じて変形する。
図21は液体室内に出し入れする液量と静的圧力の関係(静的圧力応答)を示すグラフである。図21の横軸は液量(体積)を表し、縦軸は圧力を表す。なお、図21の横軸の値は、ある基準の膜位置に対応した液量からの液の増減を示す相対的な値として意味があるため「0」の位置には任意性がある。図21における横軸の「0」に対応する膜位置は、例えば図20中の点線で示した膜位置(サブタンク810の全容積量に対して液体が半分供給されている状態)である。図21中の「A」は、可撓膜の弾性力による圧力の静的応答を示している。「B」は空気室の圧力(空気圧)の静的応答を示している。「C」は可撓膜の圧力と空気室の圧力の和、すなわち液体室内のインク圧力を示している。図21に示した静的応答は、バルブ834を閉じた状態で液体室816に液体を供給又は液体室から816から液体を排出して測定されたものである。
図21の(1)で示すような、膜の弾性力を無視できる領域(例えば、膜に張力が殆どかからず、膜が弛んでいる状態となる領域)で空気室の弾性力を用いて動作させた場合、弾性力の小さい箇所で使用することができるため、ポンプの脈動を効率的に抑えることができる。
逆に、図21の(2)で示すような膜の弾性力が支配的に効いてくる領域(膜に張力がかかり、膜が伸びて張られている状態となる領域)で動作させた場合、図22に示すように、可撓膜814が弾性変形しており膜弾性力が大きい。このため、圧力変動の緩和作用が弱く、ポンプの脈動を抑えることができないため、定常的にプリントヘッド(記録ヘッド)に圧力変動が生じる懸念がある。なお、図22で示した模式図は、図21の(2)で示した領域(不感帯外の領域)の可撓膜814を示している。
本明細書では、可撓膜の弾性力を無視できる動作領域を「不感帯」と呼ぶ。不感帯は、可撓膜の変位に対する膜弾性力が無視できる程度に小さい領域である。別の観点から定義すると、不感帯は、膜の変位量に対する膜弾性力が比例(線形)の関係とならない領域である。
図21の例では、横軸の値が概ね「−10mL(ミリリットル)」から「15mL」の範囲で液体の体積変化に対して膜の弾性力が殆ど寄与しない領域となっており、この範囲が「不感帯」に相当する。
特許文献1に記載されているとおり、液体室側に圧力センサを設け、液体室側での液体圧力を直接モニターしながら圧力制御を行う場合、圧力の脈動を検知することで、可撓膜の不感帯で使用しているか否かを容易に検知することが可能になる。これに対し、気体室側での気体圧力を検知しながら制御を行う場合、特に、不感帯外で使用しているときの液体室の圧力変動に対して気体室側の圧力変動は小さく、気体室の圧力を検知するだけでは不感帯での使用であるか不感帯外の使用であるかを検知できない恐れがある。
例えば、図21の(2)で示す領域(不感帯外の領域)において、ポンプの脈動により液体体積が変化した場合、液体室側での液体圧力を検知する液体圧力センサであれば本来の圧力の脈動を検知できるが、気体室側での気体室側の気体圧力を検知するセンサでは、液体体積の変化に対する空気圧力の変化の傾き(変化率)がインク室側に比べて小さいため、大きく変動する圧力が小さく測定される。
つまり、特許文献1に開示された構成において、サブタンクのサイズが小さいような場合に、液体室側での圧力を検知する方式から気体室側での圧力を検知する方式に変えた場合、可撓膜の不感帯外で使用する懸念があり、その場合、圧力変動が大きく生じてしまう可能性がある。このように、気体室側の圧力を検知する圧力センサを用いるだけの制御では、うまく不感帯での動作を保証することができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、可撓膜の不感帯内での使用を保証し、圧力変動を効果的に抑制して安定した背圧制御や安定した液体供給が可能な液体吐出装置及び液体供給装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、下記の発明態様を提供する。
(第1態様):液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに液体を供給する供給側流路部に設けられた供給側ポンプと、供給側ポンプに連通され前記供給側流路部に設けられた供給側サブタンクであって、第1容器の内部が第1可撓膜によって第1液体室と第1気体室とに仕切られて構成され、第1液体室が液体吐出ヘッドに連通される供給側サブタンクと、第1気体室内の気体の圧力を検出する第1気体圧力検出手段と、液体吐出ヘッドに供給されたの液体の一部又は全部を液体吐出ヘッドから回収する回収側流路部に設けられる回収側ポンプと、回収側ポンプに連通され回収側流路部に設けられた回収側サブタンクであって、第2容器の内部が第2可撓膜によって第2液体室と第2気体室とに仕切られて構成され、第2液体室が液体吐出ヘッドに連通される回収側サブタンクと、第2気体室内の気体の圧力を検出する第2気体圧力検出手段と、第1気体圧力検出手段及び第2気体圧力検出手段で検出した情報を用いて、供給側ポンプ及び回収側ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、第1気体圧力検出手段及び第2気体圧力検出手段で検出される各気体室の圧力値と、供給側流路部から液体吐出ヘッドを経由して回収側流路部に流れる液体の流量との関係から、第1可撓膜及び第2可撓膜のそれぞれが不感帯での動作であるか不感帯外での動作であるかを検知する液体吐出装置を提供する。
不感帯内と不感帯外とでは膜弾性力の寄与の違いがあり、その相違に対応して、各気体室側で検出される圧力値と、供給側ポンプ及び回収側ポンプの駆動によって流れる液体の流量との対応関係(相関)に差がある。この差を利用することで、不感帯内の動作であるか否かを検知することが可能である。
供給側ポンプと回収側ポンプの駆動によって流れる液体の流量は、ポンプ回転数(ポンプ速度)と相関がある。したがって、流量の把握はポンプ回転数で代用することが可能である。つまり、流量を直接的に把握する態様に限らず、流量と相関のある物理量によって間接的に流量の情報を得ることもできる。本発明は、流量を反映した流量以外の物理量と、各気体室の圧力との関係から不感帯の動作であるか否かを把握するものも含まれる。
第1態様に係る液体吐出装置によれば、各ポンプの脈動等に起因する圧力変動を効果的に抑制して所望の背圧制御を行うことができ、安定した液体供給が可能である。
(第2態様):第1態様に記載の液体吐出装置において、制御手段は、供給側ポンプ及び回収側ポンプの駆動によって供給側流路部から液体吐出ヘッドを経由して回収側流路部に流れる液体の流量と、第1気体圧力検出手段から得られる第1気体室の圧力値との関係を用いて、第1可膜の不感帯での動作か否かを検知し、流量と、第2気体圧力検出手段から得られる第2気体室の圧力値との関係を用いて、第2可膜の不感帯での動作か否かを検知する構成とすることができる。
かかる態様によれば、各サブタンクについて、それぞれ不感帯での動作か否かを検知することができる。いずれか一方のサブタンク、又は両方のサブタンクで不感帯外の動作が検知されたときには、その該当するサブタンクについて可撓性膜の初期位置を修正するなどの対処により、各サブタンクについて不感帯内の動作を保証することができる。
(第3態様):第1態様又は第2態様に記載の液体吐出装置において、制御手段は、供給側ポンプ及び回収側ポンプからそれぞれポンプ回転数の情報を取得し、流量は、供給側ポンプ及び回収側ポンプの少なくとも一方のポンプ回転数によって把握される構成とすることができる。
この態様によれば、ポンプ回転数と各気体室の圧力値の関係から不感帯内であるか否かを検知することができる。
(第4態様):第1態様から第3態様のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、制御手段は、第1気体室及び第2気体室の設定圧力を段階的に変えながら第1気体室及び第2気体室の圧力を検出し、圧力に対する流量の変化の情報から前記不感帯での動作であるか否かを判定する制御を行う構成とすることができる。
不感帯内と不感帯外とでは、圧力の変化に対する流量の変化の応答関係(例えば、変化率)が異なるため、応答関係の違いに基づいて不感帯内であるか否かの判定が可能である。
(第5態様):第4態様に記載の液体吐出装置において、制御手段は、流量を段階的に変えながら第1気体室及び第2気体室の圧力を検出し、圧力の増分に対する流量の変化量が基準値を超える場合に前記不感帯外の動作であると検知する構成とすることができる。
(第6態様):第4態様に記載の液体吐出装置において、制御手段は、第1気体室と第2気体室との間の設定圧力差を一定の差圧に保ちつつ第1気体室及び第2気体室の設定圧力を段階的に変えて、第1気体室及び第2気体室の圧力を検出し、その設定圧力における流量が基準値を超える場合に不感帯外の動作であると検知する構成とすることができる。
(第7態様):第1態様から第6態様のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、不感帯外の動作であると検知した場合に、当該不感帯外と検知された可撓膜の初期位置を変更する初期位置修正手段を備える構成とすることができる。
かかる態様によれば、各サブタンクについて不感帯内での動作を保証することができる。
(第8態様):第1態様から第7態様のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、液体を貯留しておくタンクを有し、液体吐出ヘッドは供給側流路部を介してタンクに接続されるとともに、回収側流路部を介してタンクに接続されており、タンクから供給側流路部を通って液体吐出ヘッドに液体が供給され、液体吐出ヘッドから回収側流路部を通ってタンクに液体が戻される循環型の流路構造を有する構成とすることができる。
(第9態様):液体を使用する流路構造物に対して液体を供給する供給側流路部に設けられた供給側ポンプと、供給側ポンプに連通され供給側流路部に設けられた供給側サブタンクであって、第1容器の内部が第1可撓膜によって第1液体室と第1気体室とに仕切られて構成され、第1液体室が流路構造物に連通される供給側サブタンクと、第1気体室内の気体の圧力を検出する第1気体圧力検出手段と、流路構造物に供給された液体の一部又は全部を流路構造物から回収する回収側流路部に設けられる回収側ポンプと、回収側ポンプに連通され回収側流路部に設けられた回収側サブタンクであって、第2容器の内部が第2可撓膜によって第2液体室と第2気体室とに仕切られて構成され、第2液体室が流路構造物に連通される回収側サブタンクと、第2気体室内の気体の圧力を検出する第2気体圧力検出手段と、第1気体圧力検出手段及び第2気体圧力検出手段で検出した情報を用いて、供給側ポンプ及び回収側ポンプの駆動を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、第1気体圧力検出手段及び第2気体圧力検出手段で検出される各気体室の圧力値と供給側流路部から流路構造物を経由して回収側流路部に流れる液体の流量との関係から、第1可撓膜及び第2可撓膜のそれぞれの不感帯での動作であるか不感帯外での動作であるかを検知する液体供給装置を提供する。
第9態様に係る液体供給装置によれば、各ポンプの脈動等に起因する圧力変動を効果的に抑制することができ、流路構造物に対して安定した液体供給が可能である。
第9態様に記載の液体供給装置について、第2態様から第8態様に記載した事項を適宜組み合わせることができる。この場合、第2態様から第8態様の「液体吐出ヘッド」が「流路構造物」となる。また、「液体吐出ヘッド」としてのインクジェットヘッドを用いることにより、インクジェット記録装置を提供することができる。
本発明によれば、各サブタンクについて可撓膜の不感帯内であるか不感帯外であるかを検知することができる。これにより、可撓膜を所望の位置に制御することができる。本発明によれば、不感帯内での動作を保証することができ、ポンプの脈動等に起因する圧力変動を効果的に抑制することができる。
また、従来の液体圧力センサに代えて、気体圧力を検出する手段を用いることができるため、低コスト化を実現することができる。
本発明の実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す模式図 供給側サブタンクでの差圧変化に伴う気体室圧力(P_air_in)とポンプ回転数(ω)の関係を示すグラフ 印字循環前の不感帯検知シーケンスのフローチャート 供給側と回収側の設定圧力を段階的に変化させていく様子を示す説明図 供給側での膜位置初期化修正動作の説明図 回収側での膜位置初期化修正動作の説明図 差圧を一定にして設定圧力を変化させたときの気体室圧力(P_air_in)とポンプ回転数(ω)の関係を示すグラフ 不感帯の変化を調べるサブタンクメンテナンスシーケンスのフローチャート 差圧を一定にして供給側と回収側の設定圧力を段階的に変化させていく様子を示す説明図 実施形態に係るインク供給装置の構成図 供給側サブタンクの構造例を示す断面図 インク供給装置の制御系の構成を示すブロック図 インクジェットヘッドバーの構成例を示す斜視図 ヘッドモジュールにおけるノズル面の平面図 ヘッドモジュールの斜視図 ヘッドモジュールの内部流路構造を示す模式図 ヘッドモジュール内部の流路構造を示す拡大図 図17中のB−B線に沿う断面図 インクジェット記録装置の全体構成図 サブタンクが膜の不感帯内で動作している様子を示す模式図 サブタンクの静的応答特性を示すグラフ 不感帯外での構成を示す模式図
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は本発明の実施形態に係る液体吐出装置の構成を模式的に示した図である。この液体吐出装置10は、インクジェット方式の液体吐出ヘッドモジュール(以下、ヘッドモジュールという。)12を複数個並べて長尺のラインヘッドとして構成されたヘッドバー14と、ヘッドバー14に供給する液体20を貯留しておくタンク22と、タンク22からヘッドバー14に液体20を送る供給側流路部30と、ヘッドバー14からタンク22に液体20を戻す回収側流路部60とを備える。
供給側流路部30には、供給側ポンプ34と、供給側サブタンク40と、供給側マニホールド54とが設けられている。回収側流路部60には、回収側ポンプ64と、回収側サブタンク70と、回収側マニホールド84とが設けられている。
供給側サブタンク40は、容器42(「第1容器」に相当)の内部が可撓膜44(「第1可撓膜」に相当)によって液体室46(「第1液体室」に相当)と気体室48(「第1気体室」に相当)との2つの空間部に仕切られた構成となっている。回収側サブタンク70も同様の構造を有し、容器72(「第2容器」に相当)の内部が可撓膜74(「第2可撓膜」に相当)によって液体室76(「第2液体室」に相当)と気体室78(「第2気体室」に相当)との2つの空間部に仕切られた構成となっている。なお、サブタンク(40、70)は、各ヘッドモジュール12に所要の負圧を与えるため背圧タンクと呼ばれる場合がある。
可撓膜44、74は、それぞれ弾性変形可能な弾性膜で構成されており、膜の変位量に対して膜弾性力が殆ど無視できる程度に小さい動作範囲(不感帯)と、膜の変位によって膜が弾性変形して相応の膜弾性力が現れる動作範囲(不感帯外)とを有する。
タンク22は、第1流路91を介して供給側ポンプ34に接続され、供給側ポンプ34は第2流路92を介して供給側サブタンク40の液体室46に接続されている。この液体室46は第3流路93を介して供給側マニホールド54に接続されている。供給側マニホールド54は、ヘッドバー14の各ヘッドモジュール12に対応して複数に分岐された第4流路94を介して各ヘッドモジュール12の液体供給口16に接続される。
各ヘッドモジュール12の液体回収口18は第5流路95を介して回収側マニホールド84に接続されている。回収側マニホールド84は第6流路96を介して回収側サブタンク70の液体室76に接続され、この液体室76は第7流路97を介して回収側ポンプ64に接続されている。回収側ポンプ64は第8流路98を介してタンク22に接続されている。
このような流路構造により、タンク22の液体20は第1流路91、第2流路92、供給側サブタンク40の液体室46、第3流路、供給側マニホールド54、第4流路94を介して各ヘッドモジュール12に供給される。ヘッドモジュール12に供給された液体の一部はヘッドモジュール12のノズル(不図示)から液滴13として吐出される。
ヘッドモジュール12に供給された液体のうちノズルからの吐出に使用されなかった液体はヘッドモジュール12内の内部流路を通り液体回収口18から第5流路95、回収側マニホールド84、第6流路96、回収側サブタンク70の液体室76、第7流路97、第8流路98を介してタンク22に戻される。
供給側マニホールド54と各ヘッドモジュール12とをつなぐ第4流路94には、開閉弁101(以下、「供給バルブ」という。)とダンパ104が設けられている。回収側マニホールド84と各ヘッドモジュール12とをつなぐ第5流路95にも開閉弁102(以下、回収バルブという。)とダンパ105が設けられている。これらのダンパ104、105はヘッドモジュール12の液滴吐出動作に起因する脈動(脈流)を減衰させる役割を果たす。
供給側サブタンク40には、気体室48の圧力(空気圧)を検出する気体圧力センサ110(「第1気体圧力検出手段」に相当、図中の「S1」で示す)が設けられ、回収側サブタンク70にも、気体室78の圧力(空気圧)を検出する気体圧力センサ120(「第2気体圧力検出手段」に相当、図中「S2」で示す。)が設けられている。気体圧力センサ110、120によって、気体室48,78の圧力をモニタリングしながら、供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64の駆動が制御される。
液体吐出装置10は、供給側ポンプ34、回収側ポンプ64、供給バルブ101、回収バルブ102を制御する制御手段として機能する制御部(コントローラ)150を有する。制御部150は、所定のプログラムにしたがって液体吐出装置10の動作を制御する。制御部150は、気体圧力センサ110、120から得られる情報を基に、供給側ポンプ34、回収側ポンプ64の駆動を制御する。
<サブタンクの特性について>
供給側サブタンク40について説明するが、回収側サブタンク70も同様の構成である。ただし、必ずしも全く同等の特性を有している必要はない。なお、以下の説明において供給側を「IN側」、回収側を「OUT側」と表記する場合がある。また、可撓膜44、74を「膜」と表記する場合がある。
気体圧力センサ110で検出される気体室側の気体圧力をP_airとして、ポンプの回転数をωとしてインクを循環させた場合、ポンプの回転数が上がれば上がるほど、供給側(IN側)のサブタンクの圧力(P_air_in)は上がり、回収側(OUT側)のサブタンクの圧力(P_air_out)は下がる。なお、ポンプ回転数(ω)が大きくなるほど、差圧が上がる。ここでのポンプの回転数は、IN側とOUT側のポンプのどちらの回転数の値であってもよい。
既に説明したとおり、不感帯内で動作した場合は、インク室内の圧力はそのまま空気室内の圧力として測定される。これに対して、不感帯外での動作でIN側のサブタンクを考えると、回転数が上がればあがるほど、インク室の圧力は上がるが、空気室の圧力は膜の弾性力の影響があるため、回転数の上昇に対して不感帯内での動作と比べると鈍感な応答になる。その応答を図示したものが図2である。
図2はIN側サブタンクでの差圧変化に伴う気体室圧力P_air_inとポンプの回転数ωの関係を示すグラフである。このように気体室圧力P_air_inとポンプの回転数ωの関係から、グラフの傾き(変化率)の変化を検知することにより不感帯内での動作か不感帯外での動作かを知ることが可能になる。
不感帯外での動作であることを検知した場合、膜の初期位置などを変更することにより、不感帯の動作圧力を変更させ、不感帯内での動作を行うように調整する。また、動作圧力を変更できる場合は、ポンプ制御のための設定圧力の変更を行う。
OUT側のサブタンクでも同様に、気体室78の気体圧力とポンプ回転数の関係から、不感帯内か外かの検知を行うことができる。
なお、ここでのポンプの回転数は、IN側とOUT側のポンプのどちらの回転数の値であっても不感帯内外の判定に用いることができる。
また、経時変化などにより、可撓膜44、74の特性が変わり、不感帯領域が変わったとしても、この手法を用いれば不感帯内外の検知が可能になる。
<具体的な動作例>
ここでは、ヘッドバー14がインクジェットプリンタのプリントヘッドとして用いられるインクジェットヘッドバーであり、液体20がインクであるとして説明する。
実現すべきは、印字のときのインク循環を行うための最終的なIN側及びOUT側の設定圧力(気体室側の圧力)をそれぞれPin_target、Pout_targetとし、最終的な目標は、これらの圧力値において、可撓膜の不感帯で用いることにある。
(第1例)印字用インク循環を行う前に各サブタンクが膜の不感帯内で動作するか否かの確認を行う。例えば、初期膜位置を設定後に以下のような動作を行う。
最初は気体室での設定差圧が0Paの段階から(つまり循環していない状態から)、数ステップごとに圧力値を加算していって、目標圧力(Pin_target, Pout_target)まで加圧する。例えば、IN側の目標圧力が+3000Paに対して初期圧力が0Paだった場合、ステップ圧力を30Paとすると、3000/30 =100ステップとなる。そして、この100ステップ毎に圧力とポンプ回転数(ポンプ速度)を記録していく。
そして、この100個のペアのデータを図2のような形式でデータ点をプロットする。目標到達圧力点まで到達する際に、折れ曲がりの点(傾きが急激に変化する点)があった場合、不感帯外で動作することになるため、膜の初期位置を変えるなどして、不感帯内で動作するように膜位置をシフトさせる。
(第2例)他の具体的な例を説明する。
<印字用インク循環前の不感帯動作検知処理について>
図3は、印字循環前の不感帯検知シーケンスのフローチャートである。この動作シーケンスは、印字動作用のインク循環前に行う。まず、各サブタンクの可撓膜の膜位置を初期位置に設定する膜位置初期化を実施する(ステップS12)。膜位置初期化の動作は、供給側サブタンク40、回収側サブタンク70のそれぞれについて実施される。各サブタンクについて同様の動作であるため、供給側サブタンク40の膜位置初期化の動作を説明する。
供給側サブタンク40につながる流路(例えば、図1の第2流路92など)にはリリーフバルブ(図1中不図示、図5の符号114参照)を設けておく。まず、供給バルブ101を閉じ、気体室48を大気と連通させた状態で、供給側ポンプ34を供給方向に駆動し、気体室48と液体室46の容量(容積)の和の体積分の液体(ここではインク)を供給側サブタンク40内に入れる。供給側ポンプ34の駆動量(回転数と駆動時間)とインク量の関係は予め把握されており、容器42の容積を完全に満たす最大収容量のインク量を確実に入れる。これにより、可撓膜44を供給側サブタンク40の容器42の内壁に張り付かせることができる。
なお、供給側サブタンク40に対するインクの供給量が多くなってもリリーフバルブ114により、供給側サブタンク40内の圧力が過剰に高くなることが防止される。
可撓膜44が容器42の内壁に張り付いた状態の膜位置を原点として、そこから所定の容量(体積)の液をタンク内から引き出す(供給側ポンプ34を逆方向に駆動することでサブタンク内の液の一部をタンク22に戻す)ことで膜位置を初期の基準位置(初期膜位置)に設定する。このとき容器42から排出する液の量によって可撓膜44の初期膜位置が決まる。排出した液量が初期膜位置における気体室48の容積量となる。
その後、気体室48を密閉することで(図10のエアバルブ118を閉じることで)、大気と遮断され、可撓膜44の初期膜位置が設定される。
回収側サブタンク70についても、同様であり、リリーフバルブ(図1中不図示、図6の符号124参照)を回収側サブタンク70に繋がる流路(例えば、図1の第7流路97など)に設けておき、回収バルブ102を閉じ、かつ気体室78を大気と連通させた状態で、回収側ポンプ64をタンク22から回収側サブタンク70に液体を送る方向に駆動し、気体室78と液体室76の容量(容積)の和の体積分のインクを回収側サブタンク70内に入れる。これにより、可撓膜74の膜位置を容器72の内壁に張り付かせる。この膜位置を原点として、そこから所定の容量(体積)の液をタンク内から引き出す(回収側ポンプ64を駆動して、サブタンク内の一部をタンク22に戻す)ことで膜位置を初期の基準位置(初期膜位置)に設定する。その後、気体室78が密閉され、可撓膜74の初期膜位置が設定される。
なお、供給側サブタンク40と回収側サブタンク70の容量が異なる場合や、使用する可撓膜44、74の特性が異なる場合などには、膜位置が容器内壁に張り付いた状態から液体を引き出すときの所定の容量は各サブタンクについて個別に設定される。
こうして、各サブタンクの可撓膜を初期の基準位置に設定後、供給側(IN側)の設定圧力P_in_airと、回収側(OUT側)の設定圧力P_out_airとを、ある中心圧力P_centerに設定する(ステップS14)。なお、このときの供給側ポンプ速度Vinと、回収側ポンプ速度Voutはともにゼロである(両ポンプ停止)。
その後、この中心圧力P_centerを中心として、正圧側及び負圧側にそれぞれ所定のステップ圧力P_step分だけ設定差圧を大きくし、その設定の下でポンプを駆動してインク循環を開始する(図3のステップS16)。
図4には、供給(IN)側と回収(OUT)側の設定圧力をステップ圧力P_stepの単位で段階的に変化させていく様子を示した。図4の「step0」は、供給側(IN側)の設定圧力P_in_airと回収側(OUT側)の設定圧力P_out_airを中心圧力P_centerに設定したことを意味しており、図のステップS14に対応する。
図4の「step1」は、供給側(IN側)の設定圧力P_in_airをP_center+P_step、回収側(OUT側)の設定圧力P_out_airをP_center−P_stepにそれぞれ設定し、供給側と回収側の設定差圧(ΔP=[P_in_-air]−[P_out_air])を「2×P_step」に設定したことを示す。
中心圧力Pの設定状態から正圧側及び負圧側にステップ圧力の刻みで差圧(ΔP=[P_in_-air]−[P_out_air]))を段階的に拡大していくときの繰り返しステップ回数を「i」(ただし、iは0以上の整数)とすると、差圧ΔPは、iの値の増加に伴い、ステップ圧力の2倍の単位で増えていく。つまりΔP=ΔPi-1+P_step×2=P_step×2×iと表すことができる。図4の「step1」はi=1のときであり、「step2」はi=2、「stepn」はi=nのときを表している。
図3のステップS16で差圧ΔPを設定し(最初はi=1から始める)、バルブ101、102を開けて供給側及び回収側のポンプを図1に示す順方向に駆動してインクを循環させる。気体圧力センサで各気体室の圧力を測定しながらインクを循環させ、測定される圧力が安定した後に(循環の流れが安定した後に)、この安定状態における供給側ポンプ速度Vinと回収側ポンプ速度Voutの情報を取得する(図3のステップS18)。この取得されたポンプ速度の情報は制御部150のメモリ(記憶手段)に記憶される。
次に、供給側と回収側とでそれぞれポンプ速度の変化量(差圧の変更前後でのポンプ速度の差分)を計算し、所定の基準値(予め定められれた閾値)との比較を行う(ステップS20)。
現在の繰り返しステップ回数「i」の時の供給側ポンプ速度Vin_iと、前回(「i−1」の時)の供給側ポンプ速度Vin_i-1の差分(ΔVin=Vin_i−Vin_i-1)を計算し、この差分(増加分)が所定の基準値ΔVin_orgを超えて大きいか否かを判定する。また、現在の繰り返しステップ回数「i」の時の回収側ポンプ速度Vout_iと、前回(「i−1」の時)の回収側ポンプ速度Vout_i-1の差分(ΔVout=Vout_i−Vout_i-1)を計算し、この差分(増加分)が所定の基準値ΔVout_orgを超えて大きいか否かを判定する。
判定の基準となる基準値(ΔVin_org、ΔVout_org)は、予め可撓膜の不感帯で動作させた場合でのステップ圧力P_stepに対応したポンプ速度(回転数)Vin、Voutの増分を測定しておき、この増分の値を基準値(ΔVin_org、ΔVout_org)として用いる。これらの値(ΔVin_org、ΔVout_org)は、系に固有のものであるため、毎回新たに測定し直す必要はない。
なお、ポンプの速度増分値(ΔVin、ΔVout)には測定誤差が含まれるため、ΔVin_orgおよびΔVout_orgは、誤差分を考慮したマージンを含めた形としてもよい。
上記のとおり、ステップS20では、P_step分の設定圧力の増分変化に応じてポンプが回転し安定したところで、ポンプ回転速度の増分(ΔVin=Vin_i−Vin_i-1 、ΔVout=Vout_i−Vout_i-1)を取得する。その増分値が予め取得していたもの(ΔVin_org、ΔVout_org)と同じまたはそれ以下である場合は不感帯内での動作とみなすことができる。
供給側及び回収側のポンプ回転速度の増分値がいずれも基準値(ΔVin_org、ΔVout_org)以下であるときはステップS20においてNO判定となり、ステップS22に進む。ステップS22では、現在の差圧が印字循環時の目標差圧を超えているか否かの判定が行われる。ステップS22で現在の差圧が目標差圧以内であればステップS16に戻る。そして、再び設定差圧をステップ圧力分だけ増やし、ポンプ速度増分を取得し、比較を行う(ステップS16〜20)。このような動作を繰り返し、印字用循環時の目標圧力値に至るまで実施する。
目標圧力値に至るまで、ΔVin≦ΔVin_org、かつΔVout ≦ΔVout_org の条件が成り立った場合、本フローを終了し、印字用の循環制御に移行する。
その一方で、目標圧力値に至る途中のステップで、ΔVin >ΔVin_org又はΔVout > ΔVout_org となった場合(ステップS20でYES判定時)、膜の不感帯外での動作になるため、ステップS12に戻り、膜位置初期化を再度行い、可撓膜の初期位置を変更する。膜の初期位置を修正する場合は図3のステップS12で説明した膜位置初期化の動作において、可撓膜を容器内壁に貼り付けた後の液体室から液体を引き出す量(所定の液量)を変えることにより、膜位置を調整することができる。
また、この第2例は、IN側及びOUT側の両方の圧力設定値を同時に変えるだけでなく、IN側とOUT側を別々に行うことも可能である。例えば、OUT側の圧力を固定し、IN側だけをステップ圧力ごとに変更する、その後、IN側の圧力を固定し、OUT側だけをステップ圧力ごとに変更する、といった方法を用いてもよい。
また、供給側サブタンクと回収側サブタンクの重力方向の高さ関係が異なる場合、設定圧力値に水頭圧の補正を加える。例えば、差圧をゼロにする場合、水頭圧を考慮しなければIN側とOUT側の目標圧力値は一致するが(図4のP_centerに対応する)、供給側及び回収側サブタンクの高さが異なれば、IN側とOUT側それぞれで水頭圧の影響を考慮した圧力目標値を設定する。
<可撓膜の初期位置を修正する処理について>
例えば、IN側目標圧力に達する前に不感帯外を検出した場合、より正圧側で不感帯での動作を行わせる必要あるため、次のように膜の初期位置を修正する。
図5はIN側での膜位置初期化修正動作の説明図である。図5において、(1)で示した膜位置が当初設定された最初の初期膜位置であるとする。この初期膜位置(1)の設定の下で図3のフローチャートによる不感帯動作検知を実施したことによって、不感帯外の動作が検知された場合には、図5中の(1)の膜位置に比べ負圧側に初期膜位置を置く(例えば、図5の(2)で示す膜位置に置く)ことで、所定圧力での不感帯の動作を行わせる。なお、図5において、符号114はリリーフバルブ、符号116はエアタンク、符号118は大気開放用のエアバルブである。エアバルブ118を開けることで、気体室48を大気に連通させることができる。
その一方、例えば、OUT側目標圧力に達する前に不感帯外を検出した場合、より負圧側で不感帯での動作を行わせる必要あるため、次のように膜の初期位置を修正する。
図6はOUT側での膜位置初期化修正動作の説明図である。図6において、(1)で示した膜位置が当初設定された最初の初期膜位置であるとする。この初期膜位置(1)の設定の下で図3のフローチャートによる不感帯動作検知を実施したことによって、不感帯外の動作が検知された場合には、(1)の膜位置に比べ正圧側に初期膜位置を置く(例えば、図6の(2)で示す膜位置に置く)ことで、所定圧力での不感帯の動作を行わせる。なお、図6において、符号124はリリーフバルブ、符号126はエアタンク、符号128は大気開放用のエアバルブである。エアバルブ128を開けることで、気体室78を大気に連通させることができる。
こうして、初期膜位置を修正した後、再度、図3のフローチャート(ステップS14〜S22)を実施し、それぞれのステップ毎に目標圧力まで、問題が生じなかった場合、印字用の循環へ移行する。
(第3例)上述した第1例、第2例の他に、次のような態様も可能である。
例えば、初期膜位置を設定後、空気室での設定差圧値を一定に保っておき、INとOUTの空気室での個別の圧力設定値を両方とも同じステップ圧力値で同時に変化させる。つまり、差圧は常に同じとしたまま、絶対値としての設定圧力の値を変え、全体として設定圧力の範囲を上下にシフトさせる。もしIN側とOUT側で両方共に不感帯内で動作できている場合、同じポンプを用いていれば、回転速度ωは変わらず、圧力値のみが変わる。
これに対して、IN側もしくはOUT側のいずれか一方、又はその両方が不感帯外に入った場合、空気室において設定圧力値を達成するためには、さらに膜の弾性力が余分にかかってくる、つまり、余分に膜が変位する体積を必要とする。
別の言い方をすると、インク室から見た場合は、不感帯外に入った場合、差圧が大きくなるのと同じであり、それだけ余分にポンプの回転量を必要とする。
図7にそのグラフを示す。図7は供給側サブタンクでの全体(IN/OUT)圧力シフトに伴う空気室圧力P_airとポンプの回転数ωの関係を示すグラフである。不感帯内で動作しているときは、空気室での差圧が同じであれば、インク室側でも差圧に変化はなく、ポンプの回転量(すなわち、インクの流量)は同じである。
その一方で、不感帯外のときは、空気室の設定圧力をIN/OUT同時に変化させた場合、空気室での差圧は同じでもインク室から見ると差圧は大きくなるのでポンプ回転数は増える。
設定圧力をプラスの圧力にシフト、およびマイナスの圧力にシフトさせることにより、図7のようなグラフの折れ曲がりを検知して、それぞれ不感帯の圧力を検知し、初期膜位置の変更もしくは設定圧力値を変えることで、不感帯内の動作を保証し、脈動少なく動作させることが可能になる。
(第4例)他の具体的な例を説明する。
ここでは、経年変化などによる不感帯の変化を調べるためのサブタンク(背圧タンク)メンテナンスシーケンスを説明する。第2例で説明したシーケンスは、インクジェット記録装置を起動させたときに毎回行うなど、インク循環を行う前に毎回実行することが好ましいものであるのに対し、以下に述べるサブタンクメンテナンスシーケンスは、ある程度長期間のインターバルで定期的に或いは不定期に(適宜のタイミングで随時に)実施され、経年変化などの影響による不感帯の状態を検知し、膜の初期設定位置を調整することを目的とする。
<不感帯の変化を調べるサブタンクメンテナンスシーケンスについて>
図8は、不感帯の変化を調べるシーケンスのフローチャートである。また、図9は差圧を一定に保ちながら設定圧力を変化させていく様子を示した説明図である。
図8に示すように、まず、各サブタンクの可撓膜の膜位置を初期位置に設定する膜位置初期化を実施する(ステップS42)。膜位置初期化の動作については、図3のステップS12で説明したとおりである。
膜位置初期化を実施後、予め定めたある差圧ΔPとなるIN側及びOUT側の各設定圧力値を定め(ステップS44)、そのIN/OUT設定圧力値の状態で循環を行う。最初は図9の「step0」で示すようなIN/OUT設定圧力値の状態で循環を行う。圧力安定後にIN/OUTでのポンプ速度Vin、Vout を取得し(ステップS46)、それぞれ所定の基準値Vin_org、Vout_orgとの大小関係を比較する(ステップS48)。
ここで、Vin_org及びVout_orgは事前に取得した不感帯内でのIN側及びOUT側のポンプの回転数(ポンプ速度)である。なお、測定時の誤差等を考慮して、場合によってはこれらの値に測定誤差(マージン)を含める場合もある。
ステップS48の判定において、現在の供給側ポンプ速度Vin_iと回収側のポンプ速度Vout_iがそれぞれ基準値のVin_org、Vout_org以下であるときは、不感帯内であると判断され、ステップS48でNO判定となり、ステップS50に進む。なお、「i」は図9のstep0、step1、…、stepnとして示したステップの回数番号を表している。
ステップS50では、Nステップまで終了したか否かの判定がなされる。「N」の値は、iの上限値(最大値)として設定されおり、現在のステップ回数iがNに到達していなければ、ステップS44に戻り、差圧ΔPを保ったまま、ステップ圧力(P_step)の分だけ、IN側及びOUT側の設定圧力をシフトさせる(図9参照)。そして、その設定圧力でインクを循環させ圧力安定後にポンプ速度の情報(Vin_i、Vout_i)を取得し(ステップS46)、基準値(Vin_org、Vout_org)と比較する(ステップS48)。
以後同様に、ステップ毎に差圧は同じのまま、IN/OUT設定圧力をステップ圧力P_step分、順次スライドさせていくことになる(図9)。
不感帯内で動作している場合は、すべてポンプの速度Vin/outはステップ圧力P_step分スライドした前後で同じ値になる。
その一方、不感帯外で動作している場合、可撓膜の弾性力の影響により気体室よりもインク室のほうが圧力が大きいため、設定上は同じ差圧であるが、実際は設定差圧ΔPよりも差圧が大きくなる。そのため安定後のポンプの回転数がVin > Vin_org 及びVout>Vout_org の少なくとも一方を満たすものとなり、これにより不感帯外での動作を検知する。
ステップS48において不感帯外での動作を検知した場合(ステップS48でYES時)、ステップS42に戻り、膜位置初期化を再度行い、可撓膜の初期位置を変更する。
例えば、IN側目標圧力付近で不感帯外を検知した場合、図5で説明したような膜位置初期化を行い、不感帯での動作を確認後、今後の膜位置初期化のデフォルト値をその設定を用いることにする。
或いはまた、OUT側目標圧力付近で不感帯外を検知した場合、図6で説明したような膜位置初期化を行い、不感帯での動作を確認後、今後の膜位置初期化のデフォルト値をその設定を用いることにする。
なお、目標圧力値での不感帯での動作には、ある一定のマージンを持たせるのが好ましいため、例えば、図9の「step0」の場合(i=0)、IN側設定圧力>IN側印字循環時目標圧力>OUT側設定圧力のようにしてもよい。
これは、「IN側設定圧力 =IN側印字循環時目標圧力」のように設定すると動作圧力に対して不感帯のマージンが取れていない可能性があるためである。
本実施形態における制御部150(図1参照)は、可撓膜の初期位置を変更する「初期位置修正手段」として機能する。また第2例と同様に、供給側サブタンクと回収側サブタンクの重力方向の高さ関係が異なる場合、IN/OUT設定圧力値に水頭圧の補正を加える。
<インクジェット記録装置への適用例>
次に、インクジェット記録装置への適用例についてさらに詳細に説明する。
(インク供給装置の構成)
図10は実施形態に係るインクジェット記録装置に適用される循環型のインク供給装置200(「液体供給装置」に相当)の構成図である。なお、図10に示した構成のうち図1で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図10に示すヘッドバー14は、複数個のヘッドモジュール12‐1,12‐2,…,12‐nがつなぎ合わせられた構造を有するヘッドである。なお、図10中、n個のヘッドモジュールをつなぎ合わせているが、ここでいうモジュール個数「n」と図4や図9で説明したステップ数を示す「n」とは無関係である。
ヘッドモジュール12のそれぞれが供給バルブ101‐1,101‐2,…,101‐nを介して供給側マニホールド54と連通されるとともに、回収バルブ102‐1,102‐2,…,102‐nを介して回収側マニホールド84と連通される。
供給側マニホールド54と回収側マニホールド84は、それぞれバイパス流路290、292により連通され、バイパス流路290、292にはそれぞれ、バイパス流路バルブ294,296が設けられている。
供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64にはチューブポンプを用いることができる。供給側ポンプ34と回収側ポンプ64は同一の性能(容量)を有するポンプを適用することができる。
供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64は、ヘッドバー14が吐出動作を停止している期間(すなわち、インクが安定して流れている期間)は、一方向にのみ回転し、ヘッドバー14が吐出動作をしている期間に内部圧力が減少すると、供給側ポンプ34は回転速度を増加させるとともに、回収側ポンプ64は逆転してヘッド14の内部圧力を上昇させることができる。
供給側サブタンク40の液体室46は、ドレイン流路228及びドレインバルブ230を介してタンク22と連通している。ドレイン流路228は、液体室46内の液を強制的に排出させる際の流路であり、ドレインバルブ230が開かれると、液体室46内のインクが所定の流路を介してタンク22へ送られる。
気体室48は、エア流路232、エアコネクトバルブ234を介してエアタンク116と連通し、エアタンク116は大気連通路238に設けられたエアバルブ118を介して大気と連通可能に構成されている。すなわち、気体室48はエアコネクトバルブ234を開くことでエアタンク116と連通させることができ、インク送液の圧力制御に応じて気体室48の容積を増加させることができる。さらに、エアバルブ118を開くことで、エアタンク116及び気体室48を大気連通させることができる。
気体室48のバッファタンクとして機能するエアタンク116は、気体室48の最大体積の数倍から10倍の体積を有している。なお、「気体室48の最大体積」とは、可撓膜44がデフォルトの初期位置に位置する状態の気体室48の体積である。また、圧力緩衝機能の観点から気体室48の体積は大きい方が好ましい。しかし、可撓膜44の変形量は有限のために気体室48の体積は可撓膜44の変形量により制限される。
回収側流路部60の回収側サブタンク70についても同様であり、図中のドレイン流路328、ドレインバルブ330、エア流路332、エアコネクトバルブ334、エアタンク126、大気連通路338、エアバルブ128はそれぞれ、供給側のドレイン流路228、ドレインバルブ230、エア流路232、エアコネクトバルブ234、エアタンク116、大気連通路238、エアバルブ118に対応している。
なお、ドレインバルブ230、330は、ラッチタイプの電磁バルブが適用され、エアコネクトバルブ234、334はノーマルオープン型の電磁バルブが適用され、供給バルブ101、回収バルブ102、エアバルブ118、128はノーマルクローズ型の電磁バルブが適用される。
図10に示すインク供給装置200は、タンク22と供給側ポンプ34との間に脱気モジュール260及びインクの逆流を防止するための一方向弁262が設けられるとともに、供給側ポンプ34と供給側サブタンク40の間には、フィルタ264及び熱交換器(冷却加熱装置)266が設けられている。タンク22から送り出されたインクは脱気モジュール260によって脱気処理が施され、フィルタ264によって気泡や異物が除去され、熱交換器266による温度調整処理が施された後に供給側サブタンク40へ送られる。
また、脱気モジュール260と回収側ポンプ64との間には、インクの逆流防止のための一方向弁270が設けられるとともに、フィルタ272が設けられ、タンク22から回収側サブタンク70へインクが送られる場合にも、所定の脱気処理及びフィルタ処理が施される。
さらに、インク供給装置200の供給側の経路及び回収側の経路には、それぞれリリーフバルブ(安全弁)114,124が設けられており、供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64に異常が発生した場合や膜位置初期化時に膜をタンク内壁に貼り付ける際など、供給側流路部30及び回収側流路部60の内部圧力が所定値よりも上昇した場合には、安全弁114,124が動作して内部圧力を降下させる。また、供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64を逆転動作させたときにインクの逆流を防止するための一方向弁278,280が設けられている。
図10に示すメインタンク256は、タンク22(インクを貯留するバッファタンクとして機能する)に供給されるインクが貯留されている。タンク22内のインク量が減少すると、補充ポンプ282を動作させてメインタンク256内のインクがタンク22へ送られる。メインタンク256は、内部にフィルタ284が設けられている。
(循環の説明)
かかる構成を有するインク供給装置200は、供給側ポンプ34と回収側ポンプ64とを動作させて、供給側マニホールド54と回収側マニホールド84との間に差圧を設けてインクを循環させる。例えば、供給バルブ101と回収バルブ102を開いた状態で、供給側ポンプ34を正転動作させて供給側マニホールド54に負圧を発生させるとともに、回収側ポンプ64を動作させて回収側マニホールド84に供給側より低い負圧を発生させると、供給側マニホールド54からヘッド14を介して回収側マニホールド84へインクを流し、さらに回収側流路部60を介してインクを回収する(循環させる)ことができる。
なお、インクを循環させるときは、第2のバイパス流路292に設けられたバイパス流路バルブ296を開き、供給側マニホールド54と回収側マニホールド84とを第2のバイパス流路292を介して連通させるとよい。また、バイパス流路290、292の一つが加圧時における圧力損失が発生しない直径を有するものであれば、バイパス流路290、292いずれか一方を備えていればよい。
<サブタンクの構造>
図11は、供給側サブタンク40の構造例を示す断面図である。同図に示すように、供給側サブタンク40は、可撓膜44を用いて密閉容器42の内部を仕切り、可撓膜44の一方側を液体室46とし、他方側を気体室48としている。インク流出口46A及びインク流入口46Bは液体室46の可撓膜44と反対側の面(可撓膜44と対面する面)に設けられており、図11の上側から下方向へインクが供給される構造を有している。さらに、液体室46は、液体室46に溜まった気泡を排出させるための気泡排出口227を有し、気泡排出口227を介してドレイン流路228(図10参照)と連通している。気泡排出口227は気泡が上部から抜け易いため一番上部に設けられており、インク流出口46Aはヘッドに気泡が流れないように気泡が流れにくい一番下部に設けられている。インク流入口46Bからインクが流入すると、液体室46の圧力(インクの送液量)と気体室48内の圧力がつり合うように可撓膜44が気体室48側へ変形する。かかる構造によって、供給側流路部30に圧力変動が生じても供給側サブタンク40がダンパとして機能する。
供給側サブタンク40の気体室48側の内壁は、可撓膜44と対向する面(対向面)48Aが曲面で構成される、おわん型(ドーム型)形状を有している。このため、可撓膜44が変形して対向面48Aに接触しても角が当たって可撓膜44が破損することがなく、可撓膜44の耐久性が確保されている。また、気体室48の対向面48Aを構成する壁にはエア流路232(図10参照)と連通するエア流路連通口48Bが設けられている。
(制御系の構成)
図12は、本例に示すインク供給装置200の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すインク供給装置200は、制御系を統括制御するシステム制御部350と、システム制御部350から送られる制御信号に基づいて供給側ポンプ34の制御を行う供給側ポンプ制御部352と、供給バルブ101、ドレインバルブ230、エアコネクトバルブ234、エアバルブ118等の供給側のバルブ類の開閉を制御する供給側バルブ制御部354と、システム制御部350から送られる制御信号に基づいて回収側ポンプ64の制御を行う回収側ポンプ制御部362と、回収バルブ102、ドレインバルブ330、エアコネクトバルブ334、エアバルブ128等の回収側のバルブ類の開閉を制御する回収側バルブ制御部364と、装置各部に異常が発生した場合にその旨を報知するなどの各種の情報を提示する手段としての表示装置375と、を備えている。また、インク供給装置200は、パラメータ記憶部380と、プログラム格納部382と、気体圧力センサ110、120と、を具備している。
パラメータ記憶部380は、インク供給装置200の制御に用いられる各種パラメータや、制御の際に参照されるデータテーブルが格納されている。例えば、各液体室46、76の体積と気体圧力センサ110、120の検出圧力との関係を示すデータテーブルが格納される。
プログラム格納部382は、インク供給装置200の制御に使用されるプログラムが格納されている。システム制御部350は、プログラム格納部382に格納されている各種制御プログラムを読み出して実行し、パラメータ記憶部380に格納されている各種パラメータやデータテーブルを参照して、インク供給装置200を統括して制御する。
なお、図12におけるシステム制御部350と、ポンプ制御部(352、362)とバルブ制御部(354、364)、パラメータ記憶部380、プログラム格納部382、表示装置375を含んだ構成が図1の「制御部150」に相当している。
本例に示すインク供給装置200は、気体圧力センサ110、120から得られた圧力情報に基づいて、バルブ類の動作が制御するとともに、ポンプ(34、64)の動作が制御される。気体圧力センサ110、120から得られた圧力情報は、システム制御部350が参照する所定のメモリ(不図示)へ逐次書き込まれる。また、本例に示すインク供給装置200は不図示のタイマーを具備し、圧力制御の切換タイミングからの経過時間や、バルブの開閉からの経過時間が計測され、当該計測結果は不図示のメモリに逐次書き込まれる。
なお、図12では、供給側と回収側とでそれぞれ個別に、バルブ制御部及ポンプ制御部を設ける構成を示したが、供給側と回収側とで制御部が共通化されていてもよい。
システム制御部350は、気体圧力センサ110、120の検出結果に基づいて、供給側サブタンク40及び回収側サブタンク70の各気体室48、78の内部がそれぞれ所定の圧力(設定圧力)に調整されるように供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64の駆動を制御する。ヘッドバー14に(図10参照)にインクを供給する際には、供給側サブタンク40の液体室46の内部圧力が回収側サブタンク70の液体室76の内部圧力よりも相対的に高くなるように、サブタンク(40,70)の気体室(48,78)間に所定の圧力差が設定され、且つ、各ヘッドモジュール12‐1,12‐2,…,12‐nのノズル内部のインクに所定の背圧(負圧)が付与されるように、システム制御部350によって供給側ポンプ34及び回収側ポンプ64の駆動が制御される。
<インクジェットヘッドバーの構成例>
図13は本発明の実施形態に用いられるインクジェットヘッドバー14(以下、ヘッドバーという。)の斜視図である。図13では、ヘッドバー14の下方(斜め下方向)から吐出面を見上げた様子が図示されている。このヘッドバー14は、インクジェット印刷機の描画部に設置されるプリントヘッドであり、複数個のヘッドモジュール12を用紙幅方向に並べて繋ぎ合わせて長尺化したフルライン型のラインヘッド(シングルパス印字方式のページワイドヘッド)となっている。ここでは17個のヘッドモジュール12を繋ぎ合わせた例を示しているが、モジュールの構成、モジュールの個数及び配列形態については、図示の例に限定されない。図中の符号13は、複数のヘッドモジュール12を固定するための枠体となるハウジング(バー状のラインヘッドを構成するためのハウジング)、符号16は、各ヘッドモジュール12に接続されたフレキシブル基板である。
図14はヘッドモジュール12におけるノズル面の平面図(吐出側から見た図)である。図14ではノズル数を省略して描いているが、1個のヘッドモジュール12のインク吐出面には、例えば、32×64個のノズル422が2次元配列されている。図14においてY方向が記録媒体(用紙)の送り方向(副走査方向)であり、X方向は記録媒体の幅方向(主走査方向)である。このヘッドモジュール12は、X方向に対して角度γの傾きを有するv方向に沿った長辺側の端面と、Y方向に対して角度αの傾きを持つw方向に沿った短辺側の端面とを有する平行四辺形の平面形状となっている。このようなヘッドモジュール12をX方向(用紙幅方向)に複数個繋ぎ合わせることにより(図13参照)、用紙幅について全描画範囲をカバーするノズル列が形成され、1回の描画走査で所定の記録解像度(例えば、1200dpi)による画像記録が可能なフルライン型のヘッドが構成される。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッド(マトリクスヘッド)の場合、当該二次元ノズル配列における各ノズルを媒体搬送方向(「副走査方向」に相当)と直交する方向(「主走査方向」に相当)に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、主走査方向(媒体幅方向)について、記録解像度を達成するノズル密度でノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。「概ね等間隔」とは、インクジェット印刷システムで記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差や着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列(「実質的なノズル列」ともいう。)を考慮すると、主走査方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、ノズル位置(ノズル番号)を対応付けることができる。
本発明の実施に際してヘッドモジュール12におけるノズル422の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図14で説明したマトリクス配列に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
このようなノズル列を備えるヘッドモジュール12を複数組み合わせたヘッドバー14に対して用紙(記録媒体)を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(1回の副走査で)、用紙の画像形成領域に所定記録解像度の画像を記録することができる。
図15はヘッドモジュール12の斜視図(一部に断面図を含む図)である。ヘッドモジュール12は、インク滴の吐出口となる複数のノズル422(図15中不図示、図14参照)が形成された吐出面(ノズル面ともいう。)424を有する吐出デバイス基板430と、この吐出デバイス基板430を保持するハウジング440とを備える。ヘッドモジュール12は、吐出デバイス基板430における吐出面424と反対側(図15において上側)にインク供給室452とインク循環室456等からなるインク供給/循環ユニットを有している。ハウジング440は、内部ハウジング460と、その外側を覆う外部ハウジング462の二重構造から成り、内部ハウジング460の略中央にインク供給室452とインク循環室456とを隔てる隔壁部材464が配置されている。インク供給室452は、供給管路454を介して供給側マニホールド54(図15中不図示、図1,図11参照)に接続され、インク循環室456は、循環管路458を介して回収側マニホールド84(図15中不図示、図1,図11参照)に接続される。
図16は、ヘッドモジュール内部の流路構造を示した透視視平面図である。図16のように、図中のw方向に沿うノズル列ごとに、それぞれノズル列を挟んで供給側インク流路470と、回収側インク流路480が設けられている。w方向に沿って設けられた供給側インク流路470は、供給側共通流路本流472から分岐した支流路となっており、供給側共通流路本流472は図示せぬ供給接続口を介して供給側流路部30(図16中不図示、図1,図11参照)の供給側マニホールド54に接続され。また、回収側インク流路480は回収側共通流路本流482から分岐した支流路となっており、回収側共通流路本流482は図示せぬ接続口を介して回収側マニホールド84(図16中不図示、図1,図11参照)に接続される。
図17は、ヘッドモジュール内部の流路構造を示す拡大図であり、図18は図17中のB−B線に沿う断面図である。これらの図面において、符号500は圧力室、502は供給側インク流路470と各圧力室500とを繋ぐ個別供給路、504は圧力室500からノズル422(図17中不図示、図16、図18参照)に繋がるノズル流路、506はノズル流路504と回収側インク流路480とを繋ぐ個別回収路である。図18における符号520はノズルプレート、530は流路基板、540は振動板、550はピエゾアクチュエータ(圧電素子)である。符号560はピエゾアクチュエータ550の可動空間554を確保しつつ、ピエゾアクチュエータ550の周囲を封止するカバープレートである。
図18には示されていないが、このカバープレート560の上方に供給側インク室及び回収側インク室が形成され、それぞれ不図示の連通路を介して、図16で説明した供給側共通流路本流472、回収側共通流路本流482(図17参照)に連結されている。
供給側インク流路470から個別供給路502を介して圧力室500に供給されたインクは、ノズル流路504を通ってノズル422から吐出される。また、吐出に使用されないインクは、ノズル流路504から個別回収路506を介して回収側インク流路480に回収される。
本実施形態のヘッドモジュール12は、いわゆるピエゾ方式によってノズルからインクの液滴を吐出させる。各ノズル422は、それぞれ圧力室500に連通されており、この圧力室500の壁面(例えば、ノズル422からの液滴の吐出方向を下方としたときの圧力室500の上面)をピエゾアクチュエータ550で振動させることにより、ノズル422から液滴が吐出される。
<インクジェット記録装置の構成例>
上述した実施形態に係るインクジェットヘッドバー14及びインク供給装置200を適用したインクジェット記録装置の例を説明する。
図19は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置600の構成図である。このインクジェット記録装置600は、描画ドラム670に保持された記録媒体624(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体624上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体624上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたドロップオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置600は、主として、給紙部612、処理液付与部614、描画部616、乾燥部618、定着部620、及び排紙部622から構成される。
(給紙部)
給紙部612には、給紙トレイ650が設けられ、この給紙トレイ650から記録媒体624が一枚ずつ処理液付与部614に給紙される。本例では、記録媒体624として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部614は、記録媒体624の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部616で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部614は、給紙胴652、処理液ドラム654、及び処理液塗布装置656を備えている。処理液ドラム654は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)655を備え、記録媒体624の先端を保持できるようになっている。
処理液塗布装置656は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラから処理液を記録媒体624に転移するゴムローラとで構成される。なお、ローラによる塗布方式に代えて、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部614で処理液が付与された記録媒体624は、処理液ドラム654から中間搬送部626を介して描画部616の描画ドラム670へ受け渡される。
(描画部)
描画部616は、描画ドラム670、用紙抑えローラ674、及びインクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yを備えている。描画ドラム670は、処理液ドラム654と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)671を備える。描画ドラム670に固定された記録媒体624にインクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yは、それぞれ、記録媒体624における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。インクの色毎に設けられたこれら各色のヘッド(672M,672K,672C,672Y)として、図1、図13〜18等で説明したヘッドバー14が用いられる。なお、本例ではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の標準色(4色)を用いる構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
各インクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yは、記録媒体624の搬送方向(描画ドラム670の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム670上に密着保持された記録媒体624の記録面に向かって各インクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体624上での色材流れなどが防止され、記録媒体624の記録面に画像が形成される。
描画部616で画像が形成された記録媒体624は、描画ドラム670から中間搬送部628を介して乾燥部618の乾燥ドラム676へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部618は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム676、及び溶媒乾燥装置678を備えている。乾燥ドラム676は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)677を備え、この保持手段677によって記録媒体624の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置678は、複数のハロゲンヒータ680と、各ハロゲンヒータ680の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル682とで構成される。乾燥部618で乾燥処理が行われた記録媒体624は、乾燥ドラム676から中間搬送部630を介して定着部620の定着ドラム684へ受け渡される。
(定着部)
定着部620は、定着ドラム684、ハロゲンヒータ686、定着ローラ688、及びインラインセンサ690で構成される。定着ドラム684は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)685を備え、この保持手段685によって記録媒体624の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム684の回転により、記録媒体624の記録面に対して、ハロゲンヒータ686による予備加熱と、定着ローラ688による定着処理と、インラインセンサ690による検査が行われる。
紫外線(UV)硬化型のインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ688に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、紫外線(活性光線)を照射する手段が設けられる。
インラインセンサ690は、記録媒体624に記録された画像(テストパターンなども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための読取手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
(排紙部)
排紙部622は、排出トレイ692を備えており、この排出トレイ692と定着部620の定着ドラム684との間に、これらに対接するように渡し胴694、搬送ベルト696、張架ローラ698が設けられている。記録媒体624は、渡し胴694により搬送ベルト696に送られ、排出トレイ692に排出される。搬送ベルト696による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体624は無端状の搬送ベルト696間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト696の回転によって排出トレイ692の上方に運ばれてくる。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置600には、上記構成の他、各インクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部614に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド672M,672K,672C,672Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体624の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
このインクジェット記録装置600の各ヘッド(672M,672K,672C,672Y)にそれぞれインクを供給する手段として、図10で説明したインク供給装置200が用いられる。
<実施形態の作用効果>
上述した実施形態には次のような利点がある。
(1)気体圧力センサを用いているため、液体圧力センサに比べ、取り付けが簡便であり交換が容易である。また、気体圧力センサは液体(インク)と接触しないため、センサの化学的耐性を考慮する必要がない。センサ本体の価格も液体圧力センサに比べ、気体圧力センサは安価であるため低コストに実現可能である。
(2)気体室の圧力とポンプの回転数(すなわち、流量)の関係を用いているため、膜の不感帯内か不感帯外かの検知を行うことができ、再度膜位置調整などを行うことで脈動を低減できる。
(3)さらに、不感帯の経時変化により、不感帯位置が変化することがあっても、不感帯検知が可能になる。
(4)膜の不感帯内での動作を保証することができ、安定した液体供給が可能である。
<変形例1>
上記実施形態では、タンク22からヘッドモジュール12に供給した液体を回収側流路部60を介して再びタンク22に戻す構成を説明したが、本発明の実施に際しては、ヘッドモジュール12から回収した液体を別のタンク(供給側のタンクとは別に設けた回収側のタンク)に収容する構成も可能である。
<変形例2>
また、上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置(1回の副走査によって画像を完成させるシングルパス方式の画像形成装置)を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、複数のヘッドモジュール12を組み合わせたヘッドバー14を説明したが、単一のヘッドについても同様である。つまり、1つのヘッドモジュール12で「液体吐出ヘッド」を構成することができる。ヘッドモジュール12又はヘッドバー14が「液体吐出ヘッド」に相当する。
<吐出方式について>
インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らない。圧電素子の他、静電アクチュエータ、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(吐出エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<ヘッドと記録媒体とを相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体(被描画媒体)に対してヘッドを移動させる構成も可能であり、また、両者を移動させる構成も可能である。
なお、シングルパス方式のフルライン型の記録ヘッドは、通常、記録媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。その場合であっても、交差する2軸(第1方向、第2方向)を定義することで、実質的なノズル列方向などを特定することが可能である。
また、上述の実施形態では、記録媒体を搬送手段として、ドラム搬送方式を例示したが、これに代えて、又はこれと組み合わせて、ベルト搬送方式やニップ搬送方式などを採用することもできる。
<記録媒体について>
「記録媒体」は、液体吐出ヘッドから吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体、印刷用紙など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
<装置応用例>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェット装置に広く適用できる。
さらに、インク供給装置200として例示した液体供給装置は、液体吐出ヘッド以外の他の流路構造物に対しても同様に適用できる。本発明は、流路構造物の内部流路を通して液体を循環させる構成に対して広く適用できる。流路構造物に供給した液体の一部が流路構造物によって消費される場合(例えば、インクジェットヘッドのようにノズルからの吐出によってインクが消費される場合)には、消費されなかった液体が回収側流路部を通して回収される。もちろん流路構造物にて液体が消費されない場合も、その消費されない回収側流路部を通して回収される。
10…液体吐出装置、12…ヘッドモジュール、14…ヘッドバー、20…液体、22…タンク、30…供給側流路部、34…供給側ポンプ、40…供給側サブタンク、42…容器、44…可撓膜、46…液体室、48…気体室、60…回収側流路部、64…回収側ポンプ、70…回収側サブタンク、72…容器、74…可撓膜、76…液体室、78…気体室、110…気体圧力センサ、120…気体圧力センサ、150…制御部、200…インク供給装置、350…システム制御部、422…ノズル、600…インクジェット記録装置

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給側流路部に設けられた供給側ポンプと、
    前記供給側ポンプに連通され前記供給側流路部に設けられた供給側サブタンクであって、第1容器の内部が第1可撓膜によって第1液体室と第1気体室とに仕切られて構成され、前記第1液体室が前記液体吐出ヘッドに連通される供給側サブタンクと、
    前記第1気体室内の気体の圧力を検出する第1気体圧力検出手段と、
    前記液体吐出ヘッドに供給された液体の一部又は全部を前記液体吐出ヘッドから回収する回収側流路部に設けられる回収側ポンプと、
    前記回収側ポンプに連通され前記回収側流路部に設けられた回収側サブタンクであって、第2容器の内部が第2可撓膜によって第2液体室と第2気体室とに仕切られて構成され、前記第2液体室が前記液体吐出ヘッドに連通される回収側サブタンクと、
    前記第2気体室内の気体の圧力を検出する第2気体圧力検出手段と、
    前記第1気体圧力検出手段及び前記第2気体圧力検出手段で検出した情報を用いて、前記供給側ポンプ及び前記回収側ポンプの駆動を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記第1気体圧力検出手段及び前記第2気体圧力検出手段で検出される各気体室の圧力値と前記供給側流路部から前記液体吐出ヘッドを経由して前記回収側流路部に流れる液体の流量との関係から、前記第1可撓膜及び前記第2可撓膜のそれぞれが不感帯での動作であるか不感帯外での動作であるかを検知する液体吐出装置。
  2. 前記制御手段は、前記供給側ポンプ及び前記回収側ポンプの駆動によって前記供給側流路部から前記液体吐出ヘッドを経由して前記回収側流路部に流れる液体の流量と、前記第1気体圧力検出手段から得られる第1気体室の圧力値との関係を用いて、前記第1可膜の不感帯での動作か否かを検知し、
    前記流量と、前記第2気体圧力検出手段から得られる第2気体室の圧力値との関係を用いて、前記第2可膜の不感帯での動作か否かを検知する請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御手段は、前記供給側ポンプ及び前記回収側ポンプからそれぞれポンプ回転数の情報を取得し、前記流量は、前記供給側ポンプ及び前記回収側ポンプの少なくとも一方のポンプ回転数によって把握される請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1気体室及び前記第2気体室の設定圧力を段階的に変えながら前記第1気体室及び前記第2気体室の圧力を検出し、圧力に対する流量の変化の情報から前記不感帯での動作であるか否かを判定する請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記制御手段は、前記流量を段階的に変えながら前記第1気体室及び前記第2気体室の圧力を検出し、圧力の増分に対する流量の変化量が基準値を超える場合に前記不感帯外の動作であると検知する請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記制御手段は、前記第1気体室と前記第2気体室との間の設定圧力差を一定の差圧に保ちつつ前記第1気体室及び前記第2気体室の設定圧力を段階的に変えて、前記第1気体室及び前記第2気体室の圧力を検出し、その設定圧力における流量が基準値を超える場合に前記不感帯外の動作であると検知する請求項4に記載の液体吐出装置。
  7. 前記不感帯外の動作であると検知した場合に、当該不感帯外と検知された可撓膜の初期位置を変更する初期位置修正手段を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記液体を貯留しておくタンクを有し、
    前記液体吐出ヘッドは前記供給側流路部を介して前記タンクに接続されるとともに、前記回収側流路部を介して前記タンクに接続されており、
    前記タンクから前記供給側流路部を通って前記液体吐出ヘッドに液体が供給され、前記液体吐出ヘッドから前記回収側流路部を通って前記タンクに液体が戻される循環型の流路構造を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 液体を使用する流路構造物に対して液体を供給する供給側流路部に設けられた供給側ポンプと、
    前記供給側ポンプに連通され前記供給側流路部に設けられた供給側サブタンクであって、第1容器の内部が第1可撓膜によって第1液体室と第1気体室とに仕切られて構成され、前記第1液体室が前記流路構造物に連通される供給側サブタンクと、
    前記第1気体室内の気体の圧力を検出する第1気体圧力検出手段と、
    前記流路構造物に供給された液体の一部又は全部を前記流路構造物から回収する回収側流路部に設けられる回収側ポンプと、
    前記回収側ポンプに連通され前記回収側流路部に設けられた回収側サブタンクであって、第2容器の内部が第2可撓膜によって第2液体室と第2気体室とに仕切られて構成され、前記第2液体室が前記流路構造物に連通される回収側サブタンクと、
    前記第2気体室内の気体の圧力を検出する第2気体圧力検出手段と、
    前記第1気体圧力検出手段及び前記第2気体圧力検出手段で検出した情報を用いて、前記供給側ポンプ及び前記回収側ポンプの駆動を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記第1気体圧力検出手段及び前記第2気体圧力検出手段で検出される各気体室の圧力値と前記供給側流路部から前記流路構造物を経由して前記回収側流路部に流れる液体の流量との関係から、前記第1可撓膜及び前記第2可撓膜のそれぞれの不感帯での動作であるか不感帯外での動作であるかを検知する液体供給装置。
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