JP5702048B2 - (メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法 Download PDF

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本発明は高分子合成の際のモノマーとして好適に使用される(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法に関する。
一般に(メタ)アクリル酸ナフチルエステル(アクリル酸とメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と示す。)は、ナフチルエステルが有する高屈折性、低吸湿性、耐熱性等を生かし、プラスチック、塗料、粘着剤、紙加工処理剤、繊維油剤、潤滑油添加剤、建築用シーラント、インキなどの多岐にわたる用途において有用である。一般にエステルを製造する方法としては、カルボン酸とアルコールを触媒の存在下で反応させて製造することが良く知られている。しかしナフチルエステルやフェニルエステルといった芳香族系のエステルを製造するに際し、カルボン酸と芳香族系アルコール類とのエステル化反応は進行しにくいことが知られている。カルボン酸として(メタ)アクリル酸を用いた場合についてもエステル化反応は進行しにくく、(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを製造することを目的として、従来から様々な方法が提案されてきた。
特許文献1によれば、硫酸又は硫酸とB(OH)3を触媒として(メタ)アクリル酸とフェノール類との脱水エステル化反応によりフェニルエステルを製造する方法が提案されているが、反応率が低く、未反応の(メタ)アクリル酸およびフェノール類が多量に存在する。そのため、精製工程において中和処理を行なうが、原料を効率的に回収することが出来ない。特許文献2によれば、相間移動触媒やアミン触媒を用いて、強アルカリ性水溶液とハロゲン化溶媒中でメタクリル酸クロリドとナフトールを反応させることにより製造する方法が提案されているが、高価なメタクリル酸クロリドを用いたり、ハロゲン化溶媒を用いるため工業的な製造法としては問題がある。特許文献3によれば、触媒存在下、フェノール類やナフトール類と、(メタ)アクリル酸無水物とを反応させることにより製造する方法が提案されているが、ナフトール類を用いた実施例の記載がない。
以上のように従来から(メタ)アクリル酸ナフチルエステルに関する製造方法は開発されていたが、特許文献1では十分な収率が得られず、反応液の着色が大きいため更なる改善が求められている。特許文献2では十分な収率が得られず、使用する試薬が高価であることが問題であった。特許文献3では、触媒によっては反応液の着色が大きくなる問題がある。したがって従来の製造方法では、低コストで容易に製造できる実用的な工業製法としては必ずしも満足できるものではなかった。また、これらの製造方法により得られた(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを重合すると、重合率が低いという問題がある。
特開昭60−258144号公報 特開平05−345743号公報 特開2000−191590号公報
本発明は、このような従来の(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法が有する課題に鑑み、(メタ)アクリル酸無水物とナフトールとを反応させることにより、高収率でかつ低着色な(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを製造する方法を提供することを目的とする。さらには、高い重合率が得られる(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを得る方法を提供することを目的とする。
本発明は、ナフトールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて、(メタ)アクリル酸ナフチルエステル類を製造する方法において、炭酸塩を存在させることを特徴とする(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法である。
すなわち、本発明に係る(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法は、
下記式[2]で表されるナフトール
Figure 0005702048
(式中、X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アセチル基、ニトリル基、アルコキシカルボニル基及びホルミル基からなる群から選択される1つの原子又は基を表す)
と、下記式[3]で表される(メタ)アクリル酸無水物
Figure 0005702048
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す)
を反応させて、下記式[1]で表される(メタ)アクリル酸ナフチルエステル
Figure 0005702048
(式中、R1、X1及びX2は、前記式[2]及び[3]と同義である。)
を製造する方法において、
前記ナフトールと前記(メタ)アクリル酸無水物との反応系内に、炭酸塩を存在させることを特徴とする。
また、前記炭酸塩の使用量が、前記ナフトールのヒドロキシ基1モル当たり、0.01モル以上、0.5モル以下であることを特徴とする。
本発明によれば、簡単な方法で低着色な(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを高収率で得ることができる。また、本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸ナフチルエステルをモノマーとして重合させる場合、高い重合率を示す。
本発明に係る(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法は、前記式[2]で表されるナフトールと、前記式[3]で表される(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて、前記式[1]で表される(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを製造する方法において、前記ナフトールと前記(メタ)アクリル酸無水物との反応系内に、炭酸塩を存在させることを特徴とする。
本発明で用いるナフトールは、前記式[2]で表される。ここで、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アセチル基、ニトリル基、アルコキシカルボニル基及びホルミル基からなる群から選択される1つの原子又は基を表す。
前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
本発明に用いられる前記式[2]で表されるナフトールとしては、例えば1−ナフトール、2−クロロ−1−ナフトール、3−クロロ−1−ナフトール、4−クロロ−1−ナフトール、5−クロロ−1−ナフトール、6−クロロ−1−ナフトール、7−クロロ−1−ナフトール、8−クロロ−1−ナフトール、2−ブロモ−1−ナフトール、3−ブロモ−1−ナフトール、4−ブロモ−1−ナフトール、5−ブロモ−1−ナフトール、6−ブロモ−1−ナフトール、7−ブロモ−1−ナフトール、8−ブロモ−1−ナフトール、2−メトキシ−1−ナフトール、3−メトキシ−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、5−メトキシ−1−ナフトール、6−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−1−ナフトール、8−メトキシ−1−ナフトール、2−エトキシ−1−ナフトール、3−エトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、5−エトキシ−1−ナフトール、6−エトキシ−1−ナフトール、7−エトキシ−1−ナフトール、8−エトキシ−1−ナフトール、2−アセチル−1−ナフトール、3−アセチル−1−ナフトール、4−アセチル−1−ナフトール、5−アセチル−1−ナフトール、6−アセチル−1−ナフトール、7−アセチル−1−ナフトール、8−アセチル−1−ナフトール、2−ニトリル−1−ナフトール、3−ニトリル−1−ナフトール、4−ニトリル−1−ナフトール、5−ニトリル−1−ナフトール、6−ニトリル−1−ナフトール、7−ニトリル−1−ナフトール、8−ニトリル−1−ナフトール、2−メトキシカルボニル−1−ナフトール、3−メトキシカルボニル−1−ナフトール、4−メトキシカルボニル−1−ナフトール、5−メトキシカルボニル−1−ナフトール、6−メトキシカルボニル−1−ナフトール、7−メトキシカルボニル−1−ナフトール、8−メトキシカルボニル−1−ナフトール、2−エトキシカルボニル−1−ナフトール、3−エトキシカルボニル−1−ナフトール、4−エトキシカルボニル−1−ナフトール、5−エトキシカルボニル−1−ナフトール、6−エトキシカルボニル−1−ナフトール、7−エトキシカルボニル−1−ナフトール、8−エトキシカルボニル−1−ナフトール、2−ホルミル−1−ナフトール、3−ホルミル−1−ナフトール、4−ホルミル−1−ナフトール、5−ホルミル−1−ナフトール、6−ホルミル−1−ナフトール、7−ホルミル−1−ナフトール、8−ホルミル−1−ナフトール、2−ヒドロキシ−1−ナフトール、3−ヒドロキシ−1−ナフトール、4−ヒドロキシ−1−ナフトール、5−ヒドロキシ−1−ナフトール、6−ヒドロキシ−1−ナフトール、7−ヒドロキシ−1−ナフトール、8−ヒドロキシ−1−ナフトール、2−ナフトール、1−クロロ−2−ナフトール、3−クロロ−2−ナフトール、4−クロロ−2−ナフトール、5−クロロ−2−ナフトール、6−クロロ−2−ナフトール、7−クロロ−2−ナフトール、8−クロロ−2−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、3−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−2−ナフトール、5−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、7−ブロモ−2−ナフトール、8−ブロモ−2−ナフトール、1−メトキシ−2−ナフトール、3−メトキシ−2−ナフトール、4−メトキシ−2−ナフトール、5−メトキシ−2−ナフトール、6−メトキシ−2−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、8−メトキシ−2−ナフトール、1−エトキシ−2−ナフトール、3−エトキシ−2−ナフトール、4−エトキシ−2−ナフトール、5−エトキシ−2−ナフトール、6−エトキシ−2−ナフトール、7−エトキシ−2−ナフトール、8−エトキシ−2−ナフトール、1−アセチル−2−ナフトール、3−アセチル−2−ナフトール、4−アセチル−2−ナフトール、5−アセチル−2−ナフトール、6−アセチル−2−ナフトール、7−アセチル−2−ナフトール、8−アセチル−2−ナフトール、1−ニトリル−2−ナフトール、3−ニトリル−2−ナフトール、4−ニトリル−2−ナフトール、5−ニトリル−2−ナフトール、6−ニトリル−2−ナフトール、7−ニトリル−2−ナフトール、8−ニトリル−2−ナフトール、1−メトキシカルボニル−2−ナフトール、3−メトキシカルボニル−2−ナフトール、4−メトキシカルボニル−2−ナフトール、5−メトキシカルボニル−2−ナフトール、6−メトキシカルボニル−2−ナフトール、7−メトキシカルボニル−2−ナフトール、8−メトキシカルボニル−2−ナフトール、1−エトキシカルボニル−2−ナフトール、3−エトキシカルボニル−2−ナフトール、4−エトキシカルボニル−2−ナフトール、5−エトキシカルボニル−2−ナフトール、6−エトキシカルボニル−2−ナフトール、7−エトキシカルボニル−2−ナフトール、8−エトキシカルボニル−2−ナフトール、1−ホルミル−2−ナフトール、3−ホルミル−2−ナフトール、4−ホルミル−2−ナフトール、5−ホルミル−2−ナフトール、6−ホルミル−2−ナフトール、7−ホルミル−2−ナフトール、8−ホルミル−2−ナフトール等が挙げられる。これらのナフトール類は市販されているものをそのまま用いてもよいし、使用前に再結晶や蒸留などの通常の精製法にて精製してから用いてもよい。また、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる前記式[3]で表される(メタ)アクリル酸無水物は、市販されているものをそのまま用いてもよいし、特許文献3などの公知の方法により製造したものを用いることもできる。
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸無水物の使用量は特に限定されないが、(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを収率よく得る点から、前記ナフトールのヒドロキシ基1モル当たり0.5モル以上が好ましく、0.7モル以上がより好ましく、0.9モル以上がさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸無水物由来の重合を防止する点では、2モル以下が好ましく、1.8モル以下がより好ましく、1.5モル以下がさらに好ましい。
本発明においては、エステル化の触媒として炭酸塩を用いることにより、低着色な(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを製造することができる。反応系内に存在させる炭酸塩としては、周期律表で1族、2族の金属炭酸塩が好ましい。具体的には、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。さらに価格が低く工業的に利用しやすく好ましいものとしては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
前記炭酸塩の使用量としては、反応速度の点から、前記ナフトールのヒドロキシ基1モル当たり、0.01モル以上が好ましく、0.1モル以上がより好ましい。また副反応抑制の点から、0.5モル以下が好ましく、0.2モル以下がより好ましい。
本発明における(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法において、反応時に重合禁止剤を存在させることは必ずしも不可欠ではない。しかし、必要に応じて一般に重合禁止剤として知られているブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MQ)、ハイドロキノン(HQ)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(HO−TEMPO)、フェノチアジン、銅塩等、公知のものを反応系に添加して使用することも可能である。これらは1種を用いても2種以上を併用してもよい。重合禁止剤の添加量としては、5000ppm以下が好ましい。あるいは空気の吹込みを行ってもよい。
エステル化反応における反応温度は通常のエステル化に供される温度であればよいが、反応温度が低いと、反応時間が長くなる等の問題が生じる可能性があるため、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。また反応温度が高いと、(メタ)アクリル酸無水物及び前記ナフトールの留出、重合、副反応等の問題が生じる可能性があるため、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは110℃以下である。エステル化反応を行う際の反応圧力は特に制限されず、減圧、常圧、加圧いずれの圧力下においても実施できる。
反応時間は、反応温度、炭酸塩の種類及びその使用量によって異なるため適宜決めればよいが、通常0.5〜20時間程度とすることができる。
本発明の製造方法において、反応溶媒を用いる必要は特にないが、前記ナフトールの(メタ)アクリル酸無水物や経時的に生成する(メタ)アクリル酸への溶解性が低い場合、また反応系の粘度が高い場合や重合を防止する場合には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、活性水素を含有しない溶媒であればよい。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化物類などが挙げられる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。また、その使用量は適宜、決めればよい。
このようにして(メタ)アクリル酸ナフチルエステルを製造した後、反応液に原料の(メタ)アクリル酸無水物が若干残存する場合がある。その場合、通常の後処理や精製法で分解や除去できるが、反応液にアルコールを添加し、残存する(メタ)アクリル酸無水物を(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルに分解することもできる。添加するアルコールは、コスト、精製のし易さの点から、メタノール等の低級アルコールが好ましい。
アルコールの使用量は特に限定されないが、通常、残存する(メタ)アクリル酸無水物を分解する点から、残存する(メタ)アクリル酸無水物1モルに対して0.5モル以上が好ましく、0.7モル以上がより好ましく、0.9モル以上がさらに好ましい。また使用するアルコールによる副生物や精製効率が低下する点から、5モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましく、3モル以下がさらに好ましい。
通常、アルコールを添加した反応液を0〜100℃程度で0.1〜20時間程度保持し、反応させることで、十分に残存する(メタ)アクリル酸無水物を分解除去することができる。
本発明のエステル化反応終了後の精製方法については、生成物の物性、原料、炭酸塩の種類及び量、溶剤の有無等を考慮して、アルカリ水洗、水洗、蒸留、晶析、濾過等の公知の精製方法を、適宜組み合わせることができる。
本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル酸ナフチルエステルは、従来の方法により製造した(メタ)アクリル酸ナフチルエステルと比較して着色が少ない。また、前記(メタ)アクリル酸ナフチルエステルをモノマーとして重合させた場合、高い重合率を示す。なお、本発明者らは、(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの着色と重合率との間に相関関係を見出し、着色を低減することによって重合率を改善できることを見出している。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
反応追跡はガスクロマトグラフィー(GC)により実施した。また反応液の着色は紫外可視光分光度計(商品名:「紫外可視分光光度計」、日本分光株式会社製)を用いて405〜750nmの範囲における吸光度の最大値により比較した。
<実施例1>1−ナフチルメタクリレートの合成
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えたガラス製のフラスコに、1−ナフトール1.00g(6.93mmol)、無水メタクリル酸1.18g(7.63mmol;重合禁止剤としてフェノチアジンを133ppm含有)、炭酸リチウム51.2mg(0.693mmol)を仕込み、80℃で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、GCにて1−ナフチルメタクリレートが生成したことを確認した。1−ナフチルメタクリレートの収率は、98%であった。さらに、原料の1−ナフトール及び無水メタクリル酸と、副生するメタクリル酸を除き、1−ナフチルメタクリレート以外のピークは存在しなかった。
得られた反応液を表1に示す量のトルエンで希釈して、表1に示す測定波長で吸光度を紫外可視光分光度計にて測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005702048
<実施例2>1−ナフチルメタクリレートの合成
炭酸リチウムの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様に実施し、1−ナフチルメタクリレートを取得した。結果を表1に示す。なお、1−ナフチルメタクリレートの収率は、97%であった。
<実施例3>1−ナフチルアクリレートの合成
無水メタクリル酸の代わりに無水アクリル酸(純度95%;重合禁止剤としてフェノチアジンを3.1mg含有)を用いた以外は実施例1と同様に実施し、1−ナフチルアクリレートを取得した。結果を表1に示す。なお、1−ナフチルアクリレートの収率は、98%であった。
<実施例4>2−ナフチルメタクリレートの合成
1−ナフトールの代わりに2−ナフトールを用いた以外は実施例1と同様に実施し、2−ナフチルメタクリレートを取得した。結果を表1に示す。なお、2−ナフチルメタクリレートの収率は、98%であった。
(2−ナフチルメタクリレートの単離)
得られた2−ナフチルメタクリレートの反応液を冷却後、トルエン40mlを加え、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液10mlで3回洗浄してメタクリル酸を除去した。次いでトルエン相にメタノール1mlを添加し、50℃で1時間加熱処理して残存した無水メタクリル酸をアルコール分解させた。この反応液を冷却した後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液10mlで3回洗浄してメタクリル酸を除去した。引き続き飽和食塩水10mlで1回洗浄し、トルエン相を濃縮して2−ナフチルメタクリレート1.24gを得た。
((2−ナフチルメタクリレート)ホモポリマーの合成)
シュレンク反応器にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.8mgを量りとり、トルエン2.8gで溶解した2−ナフチルメタクリレート1.40gをこの反応器へ移液し、この溶液にキャピラリーにて窒素を室温にて15分導入して脱揮した。引き続き窒素雰囲気下、70〜75℃にて6時間加熱して2−ナフチルメタクリレートを重合させた。そして、トルエン8.0gで希釈して室温に冷却後、メタノール150ml中にゆっくり滴下して、ポリマーを析出させた。桐山ロートにてポリマーをろ過後、メタノール20mlで洗浄して80℃にて3時間乾燥させ、白色の(2−ナフチルメタアクリレート)ホモポリマー1.24g(重合収率89%)を取得した。
<比較例1〜3>1−ナフチルメタクリレートの合成
炭酸リチウムの代わりに表1に示す他の触媒を用いた以外は実施例1と同様に実施し、1−ナフチルメタクリレートを取得した。比較例1において、1−ナフチルメタクリレートの収率は、95%であった。比較例2において、1−ナフチルメタクリレートの収率は、98%であった。比較例3において、1−ナフチルメタクリレートの収率は、98%であった。
表1に示すように、比較例1及び2では実施例1と比較して高い吸光度を示し、着色の程度が大きかった。なお、比較例3では反応液のトルエンによる希釈量を40mlとしたが、それでも高い吸光度を示し、着色の程度がさらに大きかった。
<比較例4>2−ナフチルメタクリレートの合成
1−ナフトールの代わりに2−ナフトールを用い、炭酸リチウムの代わりにp−トルエンスルホン酸・1水和物を用いたこと以外は実施例1と同様に実施し、2−ナフチルメタクリレートを取得した。結果を表1に示す。なお、比較例4では実施例4と比較して、反応液のトルエンによる希釈量を160mlとしたが、それでも高い吸光度を示し、着色の程度が大きかった。
得られた2−ナフチルメタクリレートの反応液を用いた以外は実施例4と同様の操作により(2−ナフチルメタクリレート)ホモポリマー0.62g(重合収率44%)を取得した。取得したポリマーは薄黄色に着色していた。

Claims (2)

  1. 下記式[2]で表されるナフトール
    Figure 0005702048
    (式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アセチル基、ニトリル基、アルコキシカルボニル基及びホルミル基からなる群から選択される1つの原子又は基を表す)
    と、下記式[3]で表される(メタ)アクリル酸無水物
    Figure 0005702048
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を表す)
    とを反応させて、下記式[1]で表される(メタ)アクリル酸ナフチルエステル
    Figure 0005702048
    (式中、R1、X1及びX2は、前記式[2]及び[3]と同義である。)
    を製造する方法において、
    前記ナフトールと前記(メタ)アクリル酸無水物との反応系内に、炭酸塩を存在させることを特徴とする(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法。
  2. 前記炭酸塩の使用量が、前記ナフトールのヒドロキシ基1モル当たり、0.01モル以上、0.5モル以下である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸ナフチルエステルの製造方法。
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