JP4261112B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させ、(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸性触媒または塩基性触媒存在下でアルコール類またはフェノール類とカルボン酸無水物とを反応させてエステルを製造する方法は知られており、これまでに多くの触媒が提案されている。このうち塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類(特開昭56-123939号公報、特開平3-264549号公報、特開平3-264550号公報、特開平4-288092号公報、特開2000-319226号公報)や、有機酸塩(特開平3-264549号公報、特開2000-191590号公報)、無機塩(特開平4-288092号公報)が用いられている。
【0003】
しかし、触媒としてアミン類を用いた場合、反応後に酸洗浄によりアミン類を除去する必要があるが、酸洗浄だけでは十分除去しきれないことが多く、残存したアミン類が製品エステル中に混入するという問題がある。また、通常アミン類は特有のアミン臭があるため、工業的規模では扱いにくいという問題もある。
【0004】
一方、上記の特開平3-264549号公報には、触媒として酢酸ソーダを用いることが記載されており、上記の特開2000-191590号公報には、触媒として酢酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム等の低級カルボン酸のアルカリ金属塩を用いることが記載されている。しかし、実施例で用いられている触媒は、反応原料のカルボン酸無水物とは異なるカルボン酸の塩である。この方法では、製造されるカルボン酸エステルに、不純物として触媒に由来するカルボン酸のエステルが混入する可能性がある。
【0005】
また、上記の特開平4-288092号公報には、触媒として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いる糖類のアルケニルコハク酸エステルの製造方法が記載されている。触媒としてこのような塩基性の無機塩を用いた場合、触媒は水洗のみで除去可能であり、臭気もないため、触媒としてアミン類を用いた場合と比べて工業的に有利である。しかし、上記の特開平4-288092号公報を始めとして、塩基性無機塩は水添加系で用いられる。このような方法では、過剰の水により生成したエステルの加水分解が進むため、収率が低くなるという問題がある。また、有機溶剤系で塩基性無機塩を用いた例は現在のところ知られていない。これは、有機溶剤に固体の塩基性無機塩が溶解しないためである。実際、有機溶剤中、塩基性無機塩のみを存在させてアルコールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させようとしても、ほとんど反応は進行しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応後に触媒を簡便に除去でき、工業的規模で実施可能であり、しかも効率よく高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成できる。
(1)有機溶剤中、アルカリ金属の無機塩メタクリル酸またはアクリル酸との存在下でアルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させ、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを製造する方法。
(2)有機溶剤中、メタクリル酸またはアクリル酸のアルカリ金属塩存在下でアルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させ、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを製造する方法。
(3)アルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させた後、反応液を塩基性水溶液で洗浄する工程を有する前記(1)〜(2)のいずれかのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの製造方法。
(4)反応液を塩基性水溶液で洗浄した後、得られたメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを薄膜蒸留する工程を有する前記(3)の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、有機溶剤中、アルカリ金属の無機塩およびメタクリル酸存在下で、または、メタクリル酸のアルカリ金属塩存在下で、アルコールとメタクリル酸無水物とを反応させてメタクリル酸エステルを製造する。メタクリル酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の無機塩およびメタクリル酸存在下でこの反応を行ってもよい。あるいは、有機溶剤中、アルカリ金属の無機塩およびアクリル酸存在下で、または、アクリル酸のアルカリ金属塩存在下で、アルコールとアクリル酸無水物とを反応させてアクリル酸エステルを製造する。アクリル酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の無機塩およびアクリル酸存在下でこの反応を行ってもよい。
【0010】
本発明において用いる触媒、すなわち、アルカリ金属の無機塩、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩は、例えば、反応後に反応液を塩基性水溶液で洗浄することで簡便に除去することができる。そのため、本発明は工業的規模で実施することができる。
【0011】
また、本発明において用いる触媒は、反応原料がメタクリル酸無水物の場合はメタクリル酸またはその塩、反応原料がアクリル酸無水物の場合はアクリル酸またはその塩である。そのため、本発明では目的生成物以外のエステルが混入することはなく、高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。
【0012】
なお、前述の通り、通常の有機反応系では触媒としてアルカリ金属の無機塩を単独で用いてもエステル化反応はほとんど進行しない。本発明では、アルカリ金属の無機塩とともに(メタ)アクリル酸を共存させることでアルカリ金属の無機塩の溶解性を向上させ、エステル化反応を開始、進行させている。
【0013】
ここで「(メタ)アクリル酸」とは、常用されるように「アクリル酸」および「メタクリル酸」を意味する。
【0014】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明で用いる原料アルコールは目的生成物に応じて適宜決めればよく、−OH基を2個以上有する多価アルコールであってもよい。特に、原料アルコールとして下記式(1)で表されるヒドロキシラクトン類を用い、下記式(2)にしたがって(メタ)アクリル酸エステルを製造する場合に本発明は有効である。
【化1】
Figure 0004261112
(式(1)中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、mは0または1である。)
【0016】
【化2】
Figure 0004261112
(式(2)中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは0または1である。)
上記式(1)および式(2)において、R1は水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、反応性、精製のしやすさ、重合性等の点から1〜5が好ましい。また、アルキル基は分岐を有していてもよいが、反応性、精製のしやすさ、重合性等の点から直鎖状のものが好ましい。
【0017】
1としては、反応性、精製のしやすさ、重合性等の点から、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜5の直鎖アルキル基がより好ましく、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはn−ブチル基が特に好ましい。
【0018】
原料の(メタ)アクリル酸無水物の使用量(モル量)は特に限定されないが、製品エステルを収率よく得るためには、原料アルコール中の−OH基の全モル数に対して0.8倍以上が好ましく、1.0倍以上がより好ましい。また、原料の(メタ)アクリル酸無水物の使用量(モル量)は、原料コストと精製工程の負荷を抑制する点から、原料アルコール中の−OH基の全モル数に対して3.0倍以下が好ましく、2.0倍以下がより好ましい。
【0019】
本発明では、触媒としてアルカリ金属の無機塩および(メタ)アクリル酸、あるいは、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩を用いる。アルカリ金属の無機塩および(メタ)アクリル酸存在下で反応を行う場合と、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩存在下で反応を行う場合とでは、通常、反応速度、特に反応開始時の初期速度が異なる。多くの場合、反応性の点からは(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩存在下で反応を行うことが好ましい。一方、原料の入手しやすさ、コスト等の点からはアルカリ金属の無機塩および(メタ)アクリル酸存在下で反応を行うことが好ましい。いずれの触媒を用いて反応を行うかは適宜選択することができる。
【0020】
本発明で用いるアルカリ金属の無機塩としては特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等のナトリウム塩を用いることが好ましい。アルカリ金属の無機塩は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0021】
本発明で用いる(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸ナトリウムを用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
アルカリ金属の無機塩の添加量は、反応速度の点から、アルコール1モルに対して0.0001モル以上が好ましく、0.001モル以上がより好ましい。また、アルカリ金属の無機塩の添加量は、副反応抑制の点から、アルコール1モルに対して0.5モル以下が好ましく、0.2モル以下がより好ましい。
【0023】
(メタ)アクリル酸の添加量は、反応速度の点から、アルコール1モルに対して0.0001モル以上が好ましく、0.001モル以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸の添加量は、副反応抑制の点から、アルコール1モルに対して0.5モル以下が好ましく、0.2モル以下がより好ましい。
【0024】
また、(メタ)アクリル酸の添加量は、アルカリ金属の無機塩1モルに対して0.01モル以上が好ましく、0.1モル以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸の添加量は、アルカリ金属の無機塩1モルに対して10モル以下が好ましく、5モル以下がより好ましい。
【0025】
(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩の添加量は、反応速度の点から、アルコール1モルに対して0.0001モル以上が好ましく、0.001モル以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩の添加量は、副反応抑制の点から、アルコール1モルに対して0.5モル以下が好ましく、0.2モル以下がより好ましい。
【0026】
本発明で用いる有機溶剤としては、生成する(メタ)アクリル酸エステルを溶解するものが好ましい。また、用いる有機溶剤の極性が低いほど好ましく、特に無極性溶剤を用いることが好ましい。用いる有機溶剤の極性が低いほど反応速度が速くなる傾向がある。例えば、γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成において、無極性のトルエン溶媒を用いてエステル化反応を行った場合、トルエンと2−ブタノンの混合溶媒を用いて同じ反応を行った場合よりも反応速度が速くなる。本発明において好適な有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。有機溶剤は、1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
有機溶剤の使用量は適宜決めればよいが、通常、原料アルコールの重量の1倍以上が好ましく、また、100倍以下が好ましい。
【0028】
反応液には必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としてはMEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、HQ(ハイドロキノン)、HO−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)など公知のものを用いることができ、1種を用いても2種以上を併用してもよい。通常、重合禁止剤の添加量は5000ppm以下が好ましい。
【0029】
エステル化の反応温度は、反応速度の点から、−30℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましい。また、エステル化の反応温度は、副反応抑制の点から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。エステル化反応を行う際の反応圧力は特に制限されず、減圧、常圧、加圧いずれの圧力下においても実施できる。
【0030】
反応時間は適宜決めればよいが、通常、1〜40時間程度とすることができる。
【0031】
反応を進行させるために、反応の進行とともに副生する(メタ)アクリル酸は系外に除去してもよい。(メタ)アクリル酸は、例えば、適当な溶媒との共沸混合物として反応系外に取り出すことができる。
【0032】
このようにしてアルコールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させた後、反応液に原料の(メタ)アクリル酸無水物が若干残存する場合がある。その場合、反応液にアルコールを添加し、残存する(メタ)アクリル酸無水物を(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルに分解して除去することが好ましい。添加するアルコールは、コスト、精製のしやすさの点から、メタノール等の低級アルコールが好ましい。
【0033】
アルコールの使用量は特に限定されないが、通常、残存する(メタ)アクリル酸無水物1モルに対して1モル以上が好ましく、また、残存する(メタ)アクリル酸無水物1モルに対して5モル以下が好ましい。
【0034】
通常、アルコールを添加した反応液を0〜100℃程度で0.1〜20時間程度保持し、反応させることで、十分に残存する(メタ)アクリル酸無水物を分解除去することができる。
【0035】
また、残存する(メタ)アクリル酸無水物は、後述する薄膜蒸留によっても除去することができる。
【0036】
本発明では、アルコールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させた後、あるいは、反応液にアルコールを添加して残存する(メタ)アクリル酸無水物を分解除去した後、反応液を塩基性水溶液で洗浄する。反応液を塩基性水溶液で洗浄することにより、触媒として添加した、または、反応時に副生した(メタ)アクリル酸を容易に除去することができる。また、この時、触媒として添加したアルカリ金属の無機塩や(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩も水層に除去される。
【0037】
塩基性水溶液は一般的なものを用いればよく、例えば、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。通常、用いる塩基性水溶液のpHは12以下が好ましい。
【0038】
塩基性水溶液の使用量は特に限定されないが、通常、反応液の0.1質量倍以上が好ましく、また、反応液の10質量倍以下が好ましい。
【0039】
反応液を塩基性水溶液で洗浄した後、必要に応じて水で洗浄し、濃縮して(メタ)アクリル酸エステルが得られる。得られた(メタ)アクリル酸エステルは、薄膜蒸留によって精製することが好ましい。薄膜蒸留することで、触媒由来の金属などの金属不純物もより十分に除去でき、金属不純物含有量を(各々の金属に対して)50ppb未満にコントロールした特殊(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0040】
薄膜蒸留器は一般的なものを用いればよく、蒸留条件も目的生成物に応じて適宜決めればよい。
【0041】
薄膜蒸留する際、必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては公知のものを用いることができ、1種を用いても2種以上を併用してもよい。通常、重合禁止剤の添加量は(メタ)アクリル酸エステルの1質量%以下が好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
実施例において、原料および生成物の定量分析はガスクロマトグラフィー(以下、GCという)により行った。また、金属含有量は、Na、Kについてはフレームレス原紙吸光法、その他の金属についてはICP発光分析法により測定した。
【0044】
なお、反応収率および実得収率は以下のように定義される。
【0045】
反応収率または実得収率(%)=(A/B)×100
ここで、Aは目的生成物のモル数、Bは原料であるアルコールまたは(メタ)アクリル酸のモル数を表す。
【0046】
<実施例1>
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成)
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えたガラス製のフラスコに、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン102g(1.0mol)、メタクリル酸無水物184.8g(1.2mol)、トルエン692g(800ml)、炭酸ナトリウム5.3g(0.05mol)、メタクリル酸8.6g(0.1mol)、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)0.034gを仕込んだ。そして、50℃で10時間加熱攪拌し、エステル化反応を行った。反応終了後の反応液中のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート含有量は125.7g、反応収率は74%(3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン基準)であった。
【0047】
次いで、反応液にメタノール4.8g(0.15mol)を添加し、50℃で6時間反応させ、残存したメタクリル酸無水物をメタクリル酸とメタクリル酸メチルに分解した。なお、添加したメタノールの量は、残存するメタクリル酸無水物1molに対して1.2molであった。
【0048】
この反応液を冷却した後、8%炭酸水素ナトリウム水溶液(pH8.0)640gで1回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(pH7.7)640gで1回、水320gで1回洗浄し、濃縮して粗γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート138gを得た。得られた粗γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート中のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート含有量は113.3g、実得収率は67%(3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン基準)であった。
【0049】
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの蒸留)
このようにして得られた粗γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート113.3gを、薄膜蒸留器(SIBATA社製、ガラス薄膜蒸留器)を用い、134〜140℃/27〜200Paで減圧蒸留した。その際、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシルの4位にエチレンオキサイドを平均6モル付加させた化合物を1000質量ppm添加した。初留カット後、留出したγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートは86.4gであった。
【0050】
得られたγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの金属含有量はNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe、Cuの各元素について50ppb未満であった。
【0051】
<比較例1>
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成)
メタクリル酸8.6g(0.1mol)を仕込まなかった以外は実施例1と同様にして50℃で20時間加熱攪拌したが、エステル化反応は全く進行しなかった。
【0052】
<比較例2>
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成)
トルエン800mlの代わりに水800mlを用いた以外は実施例1と同様にして50℃で10時間加熱攪拌し、エステル化反応を行った。反応終了後の反応液中のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート含有量は6.03g、反応収率は3.5%(3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン基準)であった。反応液には副生成物の2−ブテン−4−オリドが大量に含まれていた。
【0053】
<実施例2>
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成)
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えたガラス製のフラスコに、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン25.5g(0.25mol)、メタクリル酸無水物42.4g(0.275mol)、トルエン86.5g(100ml)、2−ブタノン80.5g(100ml)、炭酸ナトリウム1.325g(0.0125mol)、メタクリル酸2.15g(0.025mol)、MEHQ 0.0085gを仕込んだ。そして、50℃で15時間加熱攪拌し、エステル化反応を行った。反応終了後の反応液中のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート含有量は25g、反応収率は59%(3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン基準)であった。
【0054】
有機溶剤として無極性のトルエンのみを用いた実施例1の結果と比較して、トルエンと2−ブタノンとを用いた実施例2は反応速度が遅くなり、収率が低くなった。
【0055】
<実施例3>
(γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートの合成)
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えたガラス製のフラスコに、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン5.1g(0.05mol)、メタクリル酸無水物11.6g(0.075mol)、トルエン34.6g(40ml)、メタクリル酸ナトリウム0.805g(0.005mol)、MEHQ 0.0017gを仕込んだ。そして、50℃で4時間加熱攪拌し、エステル化反応を行った。反応終了後、GC分析より反応液中にγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレートが生成していることを確認した。反応終了後の反応液中のγ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート含有量は6.7g、反応収率は79%(3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン基準)であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、反応後に触媒を簡便に除去でき、工業的規模で実施可能であり、しかも効率よく高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。

Claims (4)

  1. 有機溶剤中、アルカリ金属の無機塩メタクリル酸またはアクリル酸との存在下で、アルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させ、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを製造する方法。
  2. 有機溶剤中、メタクリル酸またはアクリル酸のアルカリ金属塩存在下でアルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させ、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを製造する方法。
  3. アルコールとメタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物とを反応させた後、反応液を塩基性水溶液で洗浄する工程を有する請求項1〜のいずれかに記載のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの製造方法。
  4. 反応液を塩基性水溶液で洗浄した後、得られたメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを薄膜蒸留する工程を有する請求項に記載のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの製造方法。
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