JP5700140B2 - 積層型コモンモードチョークコイル - Google Patents

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Description

本発明は、高周波信号の伝送線路に適用される積層型コモンモードチョークコイルに関する。
例えばUSB(UniversalSerial Bus)やHDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)等の高速インターフェースでは、一対の信号線路(=平衡線路)にて位相が180°異なる信号を伝送する「差動伝送方式」が用いられている。差動伝送方式では、平衡線路にて放射ノイズや外来ノイズが相殺されるため、これらノイズによる影響を受けにくい。しかし、現実には、特に高速インターフェース用の信号線路においては、信号線路の非対称性に基づくコモンモードのノイズ電流が発生してしまう。そこで、このコモンモードノイズを抑制するため、コモンモードチョークコイルが用いられる。
通常、コモンモードチョークコイルは、特許文献1の図1や特許文献2の図2等に開示されているように、同方向に巻回された2つのコイル(一次コイル、二次コイル)を備えた小型の積層型チップ部品として構成されている。ここで、一次コイルおよび二次コイルは、積層素体の内部にて、積層方向に並べられている。
図13は特許文献1に示されているコモンモードチョークコイルの断面図である。このコモンモードチョークコイルは、積層素子1中に、同軸上に巻回され、軸方向に分離して配設された2つのコイル(積層型コイル)2,3を備えた構造を有し、各コイル2,3の始端部及び終端部は、積層素子1の両側の端面に引き出されて、所定の外部電極に接続されている。
特開2003−068528号公報 特開2008−098625号公報
しかし、一次コイルと二次コイルを積層素体の内部にて、単純に積層方向に並べただけでは、一次コイルと二次コイルの結合度を高くすることが難しい。一次コイルと二次コイルの結合度が低いと、ノーマルモード信号の通過損失が増えてしまう。他方、結合度を高くするために一次コイルと二次コイルとを近接配置すると、一次コイルと二次コイルとの間に生じる容量(浮遊容量)が増大してしまう。この容量が大きくなると、コモンモードチョークコイルの差動インピーダンスが低くなって、平衡線路のインピーダンスとマッチングできなくなる。
また、一次コイルと二次コイルを積層素体の内部にて積層方向に並べる構造では、コイルパターンの形成位置ずれやシートの積みずれがプロセス上の問題で生じる。また、プリント配線板に搭載したとき、各コイルとプリント配線板上のグランド導体との結合量が異なる等の構造上の問題により、一次コイル−グランド導体間の容量と、二次コイル−グランド導体間の容量とが不均衡になる。そのため、一次コイルと二次コイルの対称性が確保できず、コモンモードノイズがノーマルモード信号に変換されてしまう。すなわちコモンモードノイズの除去能力が低下してしまう。
また、積層素体として磁性体を用いることがあるが、磁性体は比較的大きな周波数依存性を持っているため、特に高周波帯域におけるノーマルモード信号の損失が大きくなりやすい。また、特に高周波帯域で一次コイルと二次コイルとの間で十分な結合値が得られず、ノーマルモードの損失が大きくなりやすい。
本発明は上述の課題を解消するためになされたものであり、その目的は、ノーマルモード信号の損失が少なく、コモンモードノイズの除去能の高い、小型のコモンモードチョークコイルを提供することにある。
本発明のコモンモードチョークコイルは、
複数の基材層を積層してなる積層素体と、前記積層素体に設けられ、互いに結合した一次コイルおよび二次コイルと、を有し、前記一次コイルの第1端および前記二次コイルの第1端を一方の入出力端子、前記一次コイルの第2端および前記二次コイルの第2端を他方の入出力端子とする積層型コモンモードチョークコイルであって、
前記一次コイルは、前記複数の基材層に設けられた第1環状導体と、前記第1環状導体同士を層間で接続する層間接続導体とを含み、
前記二次コイルは、前記複数の基材層に設けられた第2環状導体と、前記第2環状導体同士を層間で接続する層間接続導体とを含み、
前記複数の第1環状導体および第1環状導体同士を層間で接続する層間接続導体によって、前記積層素体の下層から上層へ巻回された形状の、一次コイルの第1螺旋状部およびこの第1螺旋状部に繋がり、前記積層素体の上層から下層へ巻回された形状の、一次コイルの第2螺旋状部が形成されていて、
前記複数の第2環状導体および第2環状導体同士を層間で接続する層間接続導体によって、前記積層素体の下層から上層へ巻回された形状の、二次コイルの第1螺旋状部およびこの第1螺旋状部に繋がり、前記積層素体の上層から下層へ巻回された形状の、二次コイルの第2螺旋状部が形成されていて、
前記一次コイルおよび前記二次コイルの第1螺旋状部と前記一次コイルおよび前記二次コイルの第2螺旋状部とは実質的に対称に配置され、
前記一次コイルの第1螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記二次コイルの第1螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、前記二次コイルの第1螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記一次コイルの第1螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、
前記一次コイルの第2螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記二次コイルの第2螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、前記二次コイルの第2螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記一次コイルの第2螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、
複数の前記第1環状導体と複数の前記第2環状導体とは、前記基材層の積層方向に交互に配置され、かつ前記基材層の積層方向に対面する範囲は全長の半分以下である
ことを特徴とする。
本発明によれば、一次コイルと二次コイルとの間の浮遊容量を増大させることなく、一次コイルと二次コイルとの結合度を高くできる。ゆえに、特に高周波帯域で、ノーマルモード信号の損失が小さく、かつ、コモンモードノイズがノーマルモード信号に変換されにくい、小型のコモンモードチョークコイルが得られる。
図1は第1の実施形態のコモンモードチョークコイルの各層の導体パターン等を示す分解平面図である。 図2は第1の実施形態のコモンモードチョークコイル101の外観斜視図である。 図3はコモンモードチョークコイル101の等価回路図である。 図4はコモンモードチョークコイル101の一次コイルと二次コイルの位置関係を示す模式図である。 図5(A)はコモンモードチョークコイル101のコモンモードノイズの電流と磁束の向きを示す図、図5(B)はコモンモードチョークコイル101のノーマルモード(ディファレンシャルモード)信号の電流と磁束の向きを示す図である。 図6は第2の実施形態のコモンモードチョークコイル102の模式断面図である。 図7は第3の実施形態のコモンモードチョークコイルの各層の導体パターン等を示す分解平面図である。 図8は第3の実施形態のコモンモードチョークコイル103の外観斜視図である。 図9(A)はコモンモードチョークコイル103の断面図、図9(B)はESD保護素子部の断面図である。 図10は放電電極De11,De12を含む部分の断面構造を表す模式図である。 図11はコモンモードチョークコイル103の等価回路図である。 図12は、第3の実施形態のコモンモードチョークコイルの周波数特性を示す図である。 図13は特許文献1に示されているコモンモードチョークコイルの断面図である。
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態のコモンモードチョークコイルの各層の導体パターン等を示す分解平面図である。図2は第1の実施形態のコモンモードチョークコイル101の外観斜視図である。
コモンモードチョークコイル101は、図1において(1)〜(9)で示す基材層を含む複数の基材層を積層してなる積層素体10と、この積層素体に設けられ、互いに結合した一次コイルおよび二次コイルと、を有する積層型コモンモードチョークコイルである。
図1において、(1)は最下層、(9)は最上層である。図1に示すように、基材層(1)には入出力端子P1〜P4の電極が形成されている。基材層(2),(4),(6),(8)には第1環状導体が形成されている。基材層(3),(5),(7),(9)には第2環状導体が形成されている。図1中の円形のパターンはビアホール導体(層間接続導体)である。各環状導体の両端部または片端部には、ビアホール導体との接続部(パッド部)が設けられている。この構造により、層方向に隣接する環状導体と環状導体とが層間で接続されている。
第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1d,L1e,L1f,L1g,L1hとそれらを接続するビアホール導体によって一次コイルが形成されている。また、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2d,L2e,L2f,L2g,L2hとそれらを接続するビアホール導体によって二次コイルが形成されている。
図1において、第1環状導体L1aの端部は入出力端子P1に、第1環状導体L1hの端部は入出力端子P2に、それぞれ接続されている。また、第2環状導体L2aの端部は入出力端子P3に、第2環状導体L2hの端部は入出力端子P4に、それぞれ接続されている。
図2に表れているように、積層素体10の外面には入出力端子P1,P2,P3,P4が形成されている。
基材層用の材料としては、HF帯用のコモンモードチョークコイルを形成する場合は渦電流損失が相対的に小さいので、磁気エネルギーの閉じ込め性の点で、磁性体材料(透磁率の高い誘電体材料)を用いることができる。一方、例えばUHF帯用のコモンモードチョークコイルを形成する場合は、高周波数領域での渦電流損失を抑えるために、電気絶縁抵抗の高い誘電体材料を用いることが好ましい。フェライトに代表される磁性体は透磁率に周波数依存性をもっているため、利用周波数帯が高くなるにつれ、損失が大きくなってしまうが、誘電体は周波数依存性が比較的小さいため、広い周波数帯で損失の小さい積層型コモンモードチョークコイルを実現できる。すなわち、広帯域、特に高周波帯域を含む高速インターフェースに用いられるコモンモードチョークコイルとしては、基材層として非磁性体層である誘電体層を用いることが好ましい。
基材層は低温焼成セラミックス(LTCC[Low Temperature Co-firedCeramics])のような誘電体セラミック層であってもよいし、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる樹脂層であってもよい。すなわち、積層素体は、セラミック積層体であってもよいし、樹脂積層体であってもよい。また、各コイルを構成する環状導体や層間接続導体、積層素体の表面に設けられる表面導体等は、銅や銀等の比抵抗の小さな金属を主成分とする金属材料を用いることが好ましい。
図3はコモンモードチョークコイル101の等価回路図である。一次コイルL1は、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1d,L1e,L1f,L1g,L1hおよびそれらを接続するビアホール導体によって形成されていて、二次コイルL2は、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2d,L2e,L2f,L2g,L2hおよびそれらを接続するビアホール導体によって形成されている。後に詳述するように、一次コイルL1と二次コイルL2はコモンモード電流が流れることにより強く磁界結合する。また、一次コイルL1と二次コイルL2との間には浮遊容量が生じる。図3(A)においては、この浮遊容量を集中定数回路としてキャパシタC1,C2で表している。コモンモードチョークコイル101の等価回路は図3(B)のように表すこともできる。図3(B)においては、前記浮遊容量をキャパシタC11,C12,C21,C22で表している。
図4はコモンモードチョークコイル101の一次コイルと二次コイルの位置関係を示す模式図である。第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dは下層から上層へ順次配置され、螺旋状に形成されている。第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hは上層から下層へ順次配置され、螺旋状に形成されている。また、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dは下層から上層へ順次配置され、螺旋状に形成されている。第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hは上層から下層へ順次配置され、螺旋状に形成されている。
第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dと第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dとは、積層方向に交互に配置されている。同様に、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hと第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hとは、積層方向に交互に配置されている。
また、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dは、それらの中心がコイル軸CA1上に並ぶように配置されていて、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hは、それらの中心がもう一つのコイル軸CA2上に並ぶように配置されている。また、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dは、それらの中心がコイル軸CA1上に並ぶように配置されていて、第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hは、それらの中心がもう一つのコイル軸CA2上に並ぶように配置されている。
図4に示した例では、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dのコイル軸と第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dのコイル軸が一致していて、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hのコイル軸と第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hのコイル軸が一致しているが、第1環状導体のコイル軸と第2環状導体のコイル軸とは多少ずれていてもよい。例えば、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dのコイル軸と第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dのコイル軸は、平面視でこれらの環状導体の形成範囲内にあればよい。同様に、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hのコイル軸と第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hのコイル軸は、平面視でこれらの環状導体の形成範囲内にあればよい。
このコモンモードチョークコイル101によれば、一次コイルと二次コイルとが、いわゆる「バイファイラ巻き」されているため、一次コイルと二次コイルとの結合度が高く、したがって、ノーマルモード信号の挿入損失は小さい。
第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dおよび第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dは、層方向に隣接する環状導体同士で、その主要部が平面視で重ならないように配置されている。同様に、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hおよび第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hは、層方向に隣接する環状導体同士で、その主要部が平面視で重ならないように配置されている。端的に表現すると、第1環状導体および第2環状導体は、基材層の積層方向に対面する範囲は全長の半分以下である。第1の実施形態では、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dおよび第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dは平行部分が平面視で重ならないように配置されている。同様に、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hおよび第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hは平行部分が平面視で重ならないように配置されている。
前記環状導体の主要部とは、環状導体の接続部(パッド部)を除くほぼ全域であるが、例えば第1環状導体と第2環状導体とが交差する箇所のように、第1環状導体と第2環状導体とが平面視で重なる部分が一部にあっても構わない。
図5(A)はコモンモードチョークコイル101のコモンモードノイズの電流と磁束の向きを示す図、図5(B)はコモンモードチョークコイル101のノーマルモード(ディファレンシャルモード)信号の電流と磁束の向きを示す図である。
図5(A)に示すように、コモンモード電流が流れると、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dによる一次コイル(一次コイルの半分)に生じる磁束の向きと、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dによる二次コイル(二次コイルの半分)に生じる磁束の向きとは一致する。そのため、互いに磁界を強め合う。また、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hによる一次コイル(一次コイルの半分)に生じる磁束の向きと、第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hによる二次コイル(二次コイルの半分)に生じる磁束の向きとは一致する。そのため、互いに磁界を強め合う。このように、コモンモード電流に対しては大きなインダクタンス値のインダクタとして作用し、そのため、入出力端子P1,P3からコモンモードチョークコイル101を見たインピーダンスは高く、コモンモード電流(コモンモードノイズ)は抑制される。
図5(B)に示すように、ノーマルモード電流が流れると、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1dによる一次コイル(一次コイルの半分)に生じる磁束の向きと、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2dによる二次コイル(二次コイルの半分)に生じる磁束の向きとは逆向きとなる。そのため、互いに磁界を弱め合う。また、第1環状導体L1e,L1f,L1g,L1hによる一次コイル(一次コイルの半分)に生じる磁束の向きと、第2環状導体L2e,L2f,L2g,L2hによる二次コイル(二次コイルの半分)に生じる磁束の向きとは互いに逆向きとなる。そのため、ノーマルモード(ディファレンシャルモード)の信号に対しては、互いに磁界を弱め合うことになり、一次コイルL1および二次コイルL2のインダクタンス値は小さい。したがって、ノーマルモード信号は低損失で伝送される。
本発明によれば、基材層にフェライトのような磁性体を用いなくとも一次コイルL1と二次コイルL2とを強く結合させることができるので、基材層に誘電体を用いることにより、特に高周波帯域におけるノーマルモード信号の損失が大きくならない。
また、本発明によれば、第1環状導体および第2環状導体は、積層方向に対面する範囲が全長の半分以下となるように配置されているので、一次コイルL1と二次コイルL2との間に生じる浮遊容量は小さい。すなわち、一次コイルL1と二次コイルL2との磁界結合を高めるために、一次コイルを構成する第1環状導体と二次コイルを構成する第2環状導体との層間距離を小さくしても、一次コイルL1と二次コイルL2との間に生じる浮遊容量は小さい。そのため、コモンモードチョークコイルの差動インピーダンスは適正に確保でき、平衡線路のインピーダンスとマッチングできる。特に、第1環状導体および第2環状導体の大部分が平面視で重ならないように配置されていると、前記浮遊容量はさらに小さくなり、コモンモードチョークコイルの差動インピーダンスはより適正に確保でき、平衡線路のインピーダンスとのマッチングがさらに容易となる。
また、本発明によれば、第1環状導体が設けられた基材層の間に第2環状導体が設けられた基材層が位置するため、同様に、第2環状導体が設けられた基材層の間に第1環状導体が設けられた基材層が位置するため、第1環状導体における線間容量、第2環状導体における線間容量は共に小さい。ゆえに、この線間容量と一次コイルおよび二次コイルのインダクタンスとによる自己共振周波数(カットオフ周波数)を高周波側にシフトさせることができ、広い周波数帯域にて優れた通過特性を確保できる。
第1の実施形態によれば、実装先のプリント配線板に形成されているグランド導体と第1環状導体L1a〜L1hとの間に生じる容量は前記グランド導体と第2環状導体L2a〜L2hとの間に生じる容量と殆ど等しいので、一次コイルと二次コイルとの対称性は確保される。すなわち、図3(B)に示したキャパシタC11,C12,C21,C22の値は、C11≒C21、C12≒C22の関係である。そのため、このキャパシタンスの不平衡によるコモンモードノイズからノーマルモード信号(ノイズ)への変換は殆どない。
特に、第1の実施形態によれば、互いのコイル軸が同一軸上に並ぶように配置された複数の第1環状導体L1a〜L1hおよび複数の第2環状導体L2aL2による2つの環状導体群を備え、この二つの環状導体群は直列接続されるとともに、基材層の積層方向からの平面視で互いに実質的に対称性を保つように配置されているので、入出力端子P1−P3と入出力端子P2−P4との間での、浮遊成分を含めた回路の対称性も高い。そのため、上述のコモンモードノイズからノーマルモード信号(ノイズ)への変換がより抑制される。
また、前記キャパシタC11,C12,C21,C22の値は、C11≒C12、C21≒C22の関係でもある。そのため、入出力端子P1−P2間の線路インピーダンスと入出力端子P3−P4間の線路インピーダンスとは等しく、コモンモードチョークコイル101でのノーマルモード信号の反射は殆どない。
また、第1の実施形態によれば、第1環状導体L1a〜L1hによる一次コイルと第2環状導体L2a〜L2hによる二次コイルは、いずれも入出力端子に近い側の環状導体L1a,L1h,L2a,L2hが、実装先のプリント配線板に形成されているグランド導体に対面するので、積層素体内での無駄な配線が殆ど無く、不要な浮遊容量が削減できる。
なお、第1の実施形態では互いのコイル軸が同一軸上に並ぶように配置された複数の第1環状導体L1a〜L1hおよび複数の第2環状導体L2aL2による2つの環状導体群を備えた例を示したが、4つ以上の複数の環状導体群を、直列接続するとともに、基材層の積層方向からの平面視で互いに実質的に対称性を保つように配置してもよい。
《第2の実施形態》
図6は第2の実施形態のコモンモードチョークコイル102の模式断面図である。このコモンモードチョークコイル102は、最外層を磁性体層10mで構成し、第1環状導体L1a〜L1hおよび第2環状導体L2a〜L2hを非磁性体層(低透磁率層、誘電体層)10nに形成している。この非磁性体層10nと各環状導体の構成は第1の実施形態で示したコモンモードチョークコイル101と同じである。非磁性体層10nの比透磁率μrは1、磁性体層10mの比透磁率μrは約200〜500である。
コモンモード電流による生じる磁界は図5(A)に示したとおりであるので、磁性体層10mを磁束が通る。したがってコモンモードノイズにとっては、インダクタンス値がより効果的に大きくなる。また、磁性体層10mは磁気シールドとしても作用し、外部から磁界ノイズが入ってくるのを防ぎ、また、コモンモードノイズにより生じる磁界が外部へ漏れるのを防止する。ノーマルモード電流に対しては、図5(B)に示したとおり、一次コイルによる磁界と二次コイルによる磁界とが打ち消し合っているため、磁性体層10mの影響は無い。
《第3の実施形態》
図7は第3の実施形態のコモンモードチョークコイルの各層の導体パターン等を示す分解平面図である。図8は第3の実施形態のコモンモードチョークコイル103の外観斜視図である。図9(A)はコモンモードチョークコイル103の断面図、図9(B)はESD保護素子部の断面図である。
コモンモードチョークコイル103は、図7において(1)〜(24)で示す基材層を含む複数の基材層を積層してなる積層素体10と、この積層素体に設けられ、互いに結合した一次コイルおよび二次コイルと、を有する積層型コモンモードチョークコイルである。
図7において、(1)〜(24)は積層素体の各層に対応し、各層に形成された導体パターン等の形状を示している。(1)は最下層、(24)は最上層である。最下層(1)の下面(底面)が、実装先である配線板に対する実装面である。最下層(1)の下面には入出力端子P1,P2,P3,P4およびグランド端子GNDが形成されている(図8参照)。第2層(2)にはシールド層Sh11,Sh13が形成されている。第3層(3)には放電補助電極Se1,Se3が形成されている。第4層(4)には放電電極De11,De12,De31,De32が形成されている。第5層(5)には空洞層Ah1,Ah3が形成されている。第6層(6)にはシールド層Sh21,Sh23が形成されている。但し、第2層(2)〜第5層(5)はそれぞれ個別のグリーンシートに形成されているのではなく、最下層(1)の上面に重ね塗りされている。この部分の積層構造については後に詳述する。
第7層(7)〜第9層(9)は導体パターンの無い誘電体層である。これらの層は、コモンモードチョークコイル部とESD保護素子部との間隔を大きくするために設けられている。
第10層(10)、第12層(12)、第14層(14)、第16層(16)、第18層(18)、第20層(20)、には、第1環状導体L1a,L1b,L1c,L1d,L1e,L1fが形成されている。
第11層(11)、第13層(13)、第15層(15)、第17層(17)、第19層(19)、第21層(21)、には、第2環状導体L2a,L2b,L2c,L2d,L2e,L2fが形成されている。
前記第1環状導体L1aの一端は入出力端子P1に導通していて、第1環状導体L1fの一端は入出力端子P2に導通している。
前記第2環状導体L2aの一端は入出力端子P3に導通していて、第2環状導体L2fの一端は入出力端子P4に導通している。
図7中の円形のパターンはビアホール導体(層間接続導体)である。各環状導体の両端部または片端部には、ビアホール導体との接続部(パッド部)が設けられている。この構造により、層方向に隣接する環状導体と環状導体とが層間で接続されている。
第1環状導体L1a〜L1fとそれらを接続するビアホール導体によって一次コイルが形成されている。また、第2環状導体L2a〜L2fとそれらを接続するビアホール導体によって二次コイルが形成されている。
第22層(22)、第23層(23)は導体パターンの無い誘電体層である。これらの層は、実装面(底面)と一次コイルおよび二次コイルとの間隔を所定距離に保つために設けられている。この間隔により、実装先のグランド導体と一次コイルおよび二次コイルとの間に生じる容量が所定値に定められている。
最上層(24)の上面には入出力端子P1,P2,P3,P4およびグランド端子GNDとしての外部電極が形成されている。
図9(A)において積層部LL1に、前記シールド層Sh11,Sh13、放電補助電極Se1,Se3、放電電極De11,De12,De31,De32、空洞層Ah1,Ah3、シールド層Sh21,Sh23が形成されている。積層部LL2には前記各環状導体が形成されている。
図10は放電電極De11,De12を含む部分の断面構造を表す模式図である。放電電極De31,De32を含む部分の断面構造も同様である。この例では、シールド層Sh11は絶縁性セラミック層であり、基材となるLTCCグリーンシートの一体焼成の際に基材からガラス成分が放電補助電極Se1部分へ滲出するのを防止するために設けられている。
放電補助電極Se1は放電補助材39A,39Bを含む。放電補助材39Aは、粒子状の金属材料39A1と、この金属材料39A1の表面に設けられる絶縁性被膜39A2とを備える。また、放電補助電極Se1は、粒子状の半導体材料39B1と、この半導体材料39B1の表面に設けられる絶縁性被膜39B2とを備える。ここでは、金属材料39A1はCu粒子であり、半導体材料39B1はSiC粒子である。また、絶縁性被膜39A2はアルミナ被膜であり、絶縁性被膜39B2は半導体材料39B1が酸化されてなるSiO2被膜である。
また、放電補助電極Se1には、放電補助材39A,39Bを囲むようにガラス様物質40が形成されている。ガラス様物質40は作為的に形成したものではなく、空洞Ah1を形成するために用いる犠牲層の周辺部材由来の構成材料などの酸化等の反応によって形成されるものである。
図10に示した構造により、放電電極De11−De12間に高電圧が掛かると、(1) 放電補助電極Se1の沿面放電、(2) 放電電極De11−De12間の気中放電、(3) 放電補助材39A,39Bを飛び石のように伝搬する放電、が生じる。これらの放電により静電気が放電される。
図9、図10に示したコモンモードチョークコイル103は以降に述べるような材料および工程で製造する。
前記積層部LL1部分のシールド層Sh11,Sh13は、例えば、アルミナ粉を主成分とするアルミナペーストを用いる。また、放電電極を形成するための電極ペーストは、Cu粉とエチルセルロース等からなるバインダー樹脂に溶剤を添加し、撹拌、混合することで得る。
空洞Ah1,Ah3を形成する起点となる樹脂ペーストも同様の方法にて作製する。この樹脂ペーストは樹脂と溶剤のみからなる。樹脂材料には焼成時に分解、消失する樹脂を用いる。例えば、PET、ポリプロピレン、アクリル樹脂などである。
放電補助電極Se1,Se3を形成するための混合ペーストは、導電性材料としてCu粉と、セラミック材料としてBAS粉を所定の割合で調合し、バインダー樹脂と溶剤を添加し撹拌、混合することで得る。
前記シールド層Sh11,Sh13用のペーストは下地のグリーンシートに塗布し、その後、放電電極用の電極ペーストを塗布し、空洞Ah1,Ah3形成用の樹脂ペーストを塗布し、さらにシールド層Sh21,Sh23用のペーストを塗布する。
図9に示した積層部LL2は、通常のセラミック多層基板と同様に、セラミックグリーンシートを積層し、圧着することにより構成する。
接合圧着された積層体は、LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様にマイクロカッタでカットして、各素体に分離する。その後、各素体の端面に、焼成後に各種外部端子となる電極ペーストを塗布する。
次いで、通常のセラミック多層基板と同様に、N2雰囲気中で焼成する。また、ESDに対する応答電圧を下げるため空洞部にAr,Ne等の希ガスを導入する場合には、セラミック材料の収縮、焼結が行われる温度領域をAr,Neなどの希ガス雰囲気で焼成すればよい。放電電極De11,De12,De31,De32および外部電極が酸化しない電極材料である場合には、大気雰囲気で焼成してもよい。
その後、LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様に、外部電極の表面に電解Ni-SnめっきによりNi-Snめっき膜を形成する。
ところで、一般に、フェライト中のFeを酸化状態とし、電極材料のCuを酸化させない状態で焼成することは極めて困難であるので、積層素体にフェライトを用いる場合には、電極材料にはAgを用いることが必要となる。しかし、前記放電電極De11,De12,De31,De32をAgで形成すると、マイグレーションが顕著に顕れ、スパークギャップが経時変化する。これに対し、本発明によれば、積層素体にLTCCを用いることで、電極材料にCuを用いることができる。前記放電電極De11,De12,De31,De32をCuで形成すると、放電時のエネルギーで電極表面Cuの酸化膜が形成されるが、この膜は放電電極材としては作用しないので、放電を繰り返しても放電ギャップは実質上一定に保たれる。
図11はコモンモードチョークコイル103の等価回路図である。以上に示した構成により、第1端が入出力端子P1、第2端が入出力端子P2である一次コイルL1と、第1端が入出力端子P3、第2端が入出力端子P4である二次コイルL2とが構成される。すなわち、一次コイルL1は環状導体L1a〜L1fの直列回路で構成される。また、二次コイルL2は環状導体L2a〜L2fの直列回路で構成される。
入出力端子P1と入出力端子P3との間には例えば給電回路が接続される。入出力端子P2と入出力端子P4との間には例えばデジタル信号処理回路が接続される。図11中のキャパシタC1,C2は一次コイルL1と二次コイルL2間の浮遊容量を等価的に表したものである。
入出力端子P1に保護すべき電圧を超える静電気が印加されると、前記放電電極および放電補助電極による放電素子Dg1が放電(導通)して低インピーダンスとなる。このことにより、入出力端子P1に印加された静電気は放電素子Dg1を介してグランドへシャントされる。同様に、入出力端子P3に保護すべき電圧を超える静電気が印加されると、放電素子Dg3が導通して低インピーダンスとなる。このことにより、入出力端子P3に印加された静電気は放電素子Dg3を介してグランドへシャントされる。
放電素子Dg1,Dg3は図11に示すように、静電気が入ってくる側に設けられていることが好ましい。特に、入出力端子P2,P4に接続される回路の入力インピーダンスが低い場合でも、一次コイルL1および二次コイルL2によるコモンモードチョークコイルはESDのような高周波成分のサージに対して高インピーダンスであるので、サージがコモンモードチョークコイルで反射し、放電素子Dg1,Dg3に高電圧が掛かり、放電素子Dg1,Dg3は速やかに放電電圧に達し、放電を開始する。そのため、入出力端子P2,P4に接続される回路へのサージの流入がより確実に防止される。
このようにして、第3の実施形態のコモンモードチョークコイル103では、基材層が非磁性体層であるため、積層素体の表面または内層に、ESD(Electrostatic Discharge)保護素子を容易に取り込む(一体的に構成する)ことができる。
なお、ESD保護素子として、バリスタ等の非直線性抵抗素子を用いることもできるが、このような電圧可変抵抗方式を利用したESD保護素子は、応答性があまり良くないため、一次コイルや二次コイルの前段に配置しておくと、突入電流により、この素子自体が壊れてしまうことがある。したがって、ESD保護素子としては、積層素体の内部に形成された空洞部と、空洞部内に設けられた一対の放電電極とをそれぞれ含む、いわゆる電極間放電方式(スパークギャップ方式)のESD保護素子を構成することが好ましい。
なお、図7に示した環状導体の配置によれば、コモンモードチョークコイル103がプリント配線板に実装された状態で、プリント配線板上のグランド導体と各環状導体との間に生じる容量が一次コイルと二次コイルとについて対称性が高い。そのため、コモンモードノイズの位相差0°の関係が保たれる。したがって、この位相差のずれによるコモンモードノイズからノーマルモード成分への信号変換がなされず、コモンモードノイズがノーマルモード(ディファレンシャルモード)信号(ノイズ)として流入することがない。
図12は、前記積層体の平面サイズを1.2mm×1.0mm、厚みを0.6mm、各層の間隔を25μmとしたときの第3の実施形態のコモンモードチョークコイルの実測による周波数特性を示す図である。ここで各特性曲線の意味は次のとおりである。
Sdd11 ノーマルモードの反射特性
Sdd21 ノーマルモードの通過特性
Scc11 コモンモードの反射特性
Scc21 コモンモードの通過特性
Scd21 コモンモードがノーマルモードに変換される量の周波数特性
図12のSdd11(ノーマルモード信号の反射特性)から明らかなように、数MHz〜5000MHzの範囲でノーマルモード信号について低反射特性が得られている。また、Scc11(コモンモードノイズの反射特性)から明らかなように、数10MHz以上の周波数でコモンモードノイズについて低反射特性が得られている。また、Scc21(コモンモードノイズの通過特性)から明らかなように、数100MHz以上の周波数でコモンモード信号について大きな減衰特性が得られている。この特性で1200MHz付近に極ができているのはコモンモードで発生するインダクタンスの自己共振による。また、Scd21(コモンモードがノーマルモードに変換される量)から明らかなように、全周波数帯域で−10db以下となっており充分に抑制されている。なお、Sdd21は周波数fnにノッチができているが、これは一次コイルL1と二次コイルL2とのインダクタンスの違いにより生じる共振点である。この共振周波数を適宜設定すれば、ノーマル信号を所定の周波数を減衰させるフィルタ機能を持たせることもできる。そのため、コモンモードチョークコイル以外に例えばバランス型ローパスフィルタを別途設ける必要がなく、部品点数が削減され低コスト化が図れる。
なお、図7、図8に示した例では二つのグランド端子を設けたが、共通の一つのグランド端子を設けてもよい。また、目的によっては、入出力端子P2とグランドとの間にのみ、または入出力端子P4とグランドとの間にのみESD保護素子を設けてもよい。
なお、以上に示した各実施形態において、積層体の構成図で示したコイルのターン数および一次コイルと二次コイルの交差回数は当然ながら例示であり、各環状導体のタ−ン数および交差回数はこれらの図に示したものに限られるものではない。所望の特性に応じて定めればよい。一次コイルおよび二次コイルのターン数はノーマルモードでのインピーダンスを定めることに寄与する。また、一次コイルと二次コイルとの交差回数は一次コイルと二次コイルとの結合度に寄与する。
特に、一層あたりの環状導体のターン数が1ターン以上であると、基材層の積みずれによるインダクタンスおよび結合度のばらつきは小さくなる。また、一層あたりの環状導体のターン数が3ターン以上であると、層間で隣接する第1環状導体と第2環状導体との間の層間容量が増大する傾向がある。したがって、一層あたりの環状導体のターン数は1ターン以上3ターン以下であることが好ましい。
本発明のコモンモードチョークコイルはUSBやHDMI(登録商標)等の高速インターフェースに用いることができる。また、スイッチング周波数の高い(たとえば1MHz以上)電源回路や、高速(たとえば転送レート600MBit/sec)のBUSライン等のフィルタとして有用である。
Ah1,Ah3…空洞層
CA1,CA2…コイル軸
De11,De12,De31,De32…放電電極
Dg1,Dg3…放電素子
GND…グランド端子
L1…一次コイル
L2…二次コイル
L1a,L1b,L1c,L1d,L1e,L1f,L1g,L1h…第1環状導体
L2a,L2b,L2c,L2d,L2e,L2f,L2g,L2h…第2環状導体
LL1,LL2…積層部
P1,P2,P3,P4…入出力端子
Se1,Se3…放電補助電極
Sh11,Sh13,Sh21,Sh23…シールド層
10…積層素体
10m…磁性体層
10n…非磁性体層
101,102,103…コモンモードチョークコイル

Claims (7)

  1. 複数の基材層を積層してなる積層素体と、前記積層素体に設けられ、互いに結合した一次コイルおよび二次コイルと、を有し、前記一次コイルの第1端および前記二次コイルの第1端を一方の入出力端子、前記一次コイルの第2端および前記二次コイルの第2端を他方の入出力端子とする積層型コモンモードチョークコイルであって、
    前記一次コイルは、前記複数の基材層に設けられた第1環状導体と、前記第1環状導体同士を層間で接続する層間接続導体とを含み、
    前記二次コイルは、前記複数の基材層に設けられた第2環状導体と、前記第2環状導体同士を層間で接続する層間接続導体とを含み、
    前記複数の第1環状導体および第1環状導体同士を層間で接続する層間接続導体によって、前記積層素体の下層から上層へ巻回された形状の、一次コイルの第1螺旋状部およびこの第1螺旋状部に繋がり、前記積層素体の上層から下層へ巻回された形状の、一次コイルの第2螺旋状部が形成されていて、
    前記複数の第2環状導体および第2環状導体同士を層間で接続する層間接続導体によって、前記積層素体の下層から上層へ巻回された形状の、二次コイルの第1螺旋状部およびこの第1螺旋状部に繋がり、前記積層素体の上層から下層へ巻回された形状の、二次コイルの第2螺旋状部が形成されていて、
    前記一次コイルおよび前記二次コイルの第1螺旋状部と前記一次コイルおよび前記二次コイルの第2螺旋状部とは実質的に対称に配置され、
    前記一次コイルの第1螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記二次コイルの第1螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、前記二次コイルの第1螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記一次コイルの第1螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、
    前記一次コイルの第2螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記二次コイルの第2螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、前記二次コイルの第2螺旋状部のコイル軸は、前記基材層の積層方向からの平面視で前記一次コイルの第2螺旋状部の外形の内側の範囲内にあり、
    複数の前記第1環状導体と複数の前記第2環状導体とは、前記基材層の積層方向に交互に配置され、かつ前記基材層の積層方向に対面する範囲は全長の半分以下である
    ことを特徴とする積層型コモンモードチョークコイル。
  2. 前記複数の第1環状導体のうち少なくとも最下層側にある第1環状導体と、前記複数の第2環状導体のうち少なくとも最下層側にある第2環状導体とは、前記基材層の積層方向に視て重なっていない、請求項1に記載の積層型コモンモードチョークコイル。
  3. 前記一方の入出力端子にコモンモード電流が流れるとき、前記一次コイルの第1螺旋状部による磁束の向きと前記二次コイルの第1螺旋状部による磁束の向きとが同じであり、且つ、前記一次コイルの第2螺旋状部による磁束の向きと前記二次コイルの第2螺旋状部による磁束の向きとが同じである、請求項1または2に記載の積層型コモンモードチョークコイル。
  4. 前記基材層は、非磁性体層である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層型コモンモードチョークコイル。
  5. 前記積層素体の表面または内層に、前記一次コイルに接続された第1のESD保護素子および前記二次コイルに接続された第2のESD保護素子が設けられている、請求項4に記載の積層型コモンモードチョークコイル。
  6. 前記第1のESD保護素子および前記第2のESD保護素子は、前記積層素体の内部に形成された空洞部と、前記空洞部内に設けられた一対の放電電極とをそれぞれ含む、請求項5に記載の積層型コモンモードチョークコイル。
  7. 複数の前記第1環状導体および複数の前記第2環状導体は、一層あたりのターン数が1ターン以上3ターン以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層型コモンモードチョークコイル。
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