JP5682310B2 - 高分子粒子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、この製造方法は回分式であり、ロット間で平均粒子径や粒子径分布がばらつく虞がある。
すなわち、本発明は、分散液状態のまま保持しても、粒子径分布の狭い高分子粒子を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
1.高分子を良溶媒に溶解してなる高分子溶液と、高分子の非溶媒であり、かつ良溶媒と相溶性を有する高分子非溶媒とを連続的又は断続的に混合し、高分子溶液と高分子非溶媒との混合液を略鉛直に設けられた管状体内を流下させて高分子粒子の析出を完了させることを特徴とする高分子粒子の製造方法
2.高分子溶液及び高分子非溶媒を供給する原料液供給手段と、供給された原料液を開放系で合流混合する混合液合流部と、該混合液合流部の下流に設けた略鉛直の管状体と、該管状体の下流に設けた分散液捕集部とを有する装置であって、該混合液合流部から該管状体までに攪拌手段を有さず、該管状体は、該管状体内で高分子粒子の析出が完了する長さを有することを特徴とする高分子粒子の製造装置、及び
3.高分子溶液及び高分子非溶媒を供給する原料液供給手段と、供給された原料液を閉塞系の空間内で合流させた後に開放系へ吐出する噴霧ノズルと、該噴霧ノズルの下流に設けた略鉛直の管状体と、該管状体の下流に設けた分散液捕集部とを有する装置であって、該混合液合流部から該管状体までに攪拌手段を有さず、該管状体は、該管状体内で高分子粒子の析出が完了する長さを有することを特徴とする高分子粒子の製造装置
を提供するものである。
1−a:高分子溶液供給手段
1−b:有機非溶媒供給手段
2:混合液合流部
3:管状体
4:分散液捕集部
5:高分子溶液供給装置
6:有機非溶媒供給装置
これらのポリアミドには、さらに、テレフタル酸、イソフタル酸、m−キシリレンジアミンなどの少量の芳香族成分を共重合してもよい。
前記の極限粘度数が1.5以上のポリイミド前駆体またはポリイミドは高分子間の相互作用および高分子と良溶媒との相互作用が大きいために粒子を形成するには不適当である。
芳香族ジアミンとしては、例えば、一般式(1)
H2N―Ar(R1)m―[A―Ar(R1)m]n−NH2 (1)
(ただし、前記一般式において、Arは芳香環で、R1またはR2は、水素、低級アルキル、低級アルコキシなどの置換基であり、Aは、直接結合、O、S、CO、SO2、SO、CH2、C(CH3)2などの二価の基であり、mは0、1〜4の整数であり、nは0、1〜3の整数である。)で示される芳香族ジアミン化合物が好ましい。
またジアミン成分として、一般式(2)
H2N−(Py)−NH2 (2)
で示されるジアミノピリジンであってもよく、具体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げられる。
テトラカルボン酸成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある)が好ましいが、2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(a−BPTA又は、s−BPTA)、あるいは2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル化誘導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物であってもよい。
開放系で合流させる方法の具体例としては、二液または複数液をそれぞれ別個の供給口から供給したり、高分子溶液と、複数の高分子非溶媒を予め混合してなる有機非溶媒とを別個の供給口から、ノズル等を用いて互いに合流するように供給したりして合流させる方法が挙げられる。高分子溶液と高分子非溶媒とは、管状体内の空間中で混合することが好ましく、具体的には、二液または複数液の供給口として、管状体中の空間中で各液を吐出、放出、噴射等の方法で供給できるものを用いて合流させることが好ましい。供給口の具体例としては、適度の管径の管、噴射ノズル、スクリュー口、オリフィス口、吐出口などが挙げられる。
また、混合液は、管状体内を自然流下させることが好ましい。
また、二液または複数液が合流した混合液は、メッシュ、織物、不織布、パンチングメタルなどの障害物を通過させることで、より均一とすることができる。メッシュの材質は、金属、ガラス、セラミックス、樹脂製等の1種以上を適宜選択できる。
一方、高分子非溶媒を供給口に送る装置としては、高流量を制御可能なものが好ましく、例えば、回転式ポンプ、ダイアフラムポンプ、カスケードポンプなどが挙げられる。
本発明においては、高分子粒子の分散液を濾過し、濾液にさらに過剰の非溶媒を添加した際に、にごりや沈殿が生じないものであれば、その分散液は、高分子粒子の析出が完了しているといえる。
分離された高分子粒子は、洗浄して高分子溶液の溶媒等を除去することが好ましい。洗浄に用いられる洗浄液としては、高分子溶液の溶媒と親和性のある溶媒でかつ高分子粒子の非溶媒であることが好ましく、例えば、脂肪族アルコール、熱水、これらの混合物を常温で、あるいは加温して用いることが好ましい。
洗浄後の高分子粒子は、真空乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥、流動乾燥等の乾燥処理を行うことができる。また、乾燥と同時に、仕上げ剤、表面処理剤などを用いて高分子粒子を処理することもできる。また、高分子粒子が析出した分散液を噴霧乾燥して高分子粒子を乾燥してもよい。
以下、図1を参照しつつ本発明に係る高分子粒子の製造装置の一態様を説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
原料液供給手段1は、複数液が空間中において、開放系で合流するように供給口等を設けることで構成され、供給口の具体例としては、適度の管径の管、噴射ノズル、スクリュー口、オリフィス口、吐出口などが挙げられる。
管状体3及び分散液捕集部4は、互いに連通管の関係に配置されていることが好ましい。すなわち、管状体3と分散液捕集部4とを、可撓性を有する管やパイプ等で接続し、管状体3より排出された高分子粒子の分散液が、管状体3の入口と同じ水準の高さを通過した後、下降して分散液捕集部4に捕集されるようにすることができる。
噴霧ノズルとしては、前述のように、スタティックミキサーつきノズルや二流体ノズルが好ましく用いられる。
原料液供給手段は、噴霧ノズルに直接接続され、供給された原料液を閉塞系の空間内で合流させるように構成される以外は上述と同様である。
混合液合流部、管状体、分散液捕集部及び攪拌手段は上述と同様である。
(評価方法)
粒子成長完了判定:得られた高分子球状粒子の分散液を濾過し、濾液に過剰の非溶媒を添加した。にごりや沈殿が発生したものは濾液に未析出の高分子成分が残っていると判定し、にごりや沈殿がなければ、粒子の析出は完了しているとした。
背圧変化(ΔP):運転開始1時間後のライン背圧(MPa/hr)の変化を測定し、ラインのつまりの目安とした。
数平均粒子径、体積平均粒子径及び粒子径分布指数:コールターカウンターをまたはSEM写真監察結果から、得られたポリアミド多孔質球状粒子の数平均粒子径及び体積平均粒子径を測定した。粒子径分布としては、粒子径分布指数(PDI)として、数平均粒子径(Dn)に対する体積平均粒子径(Dv)の相対値で表した。
RI=S/S0
ただし、
S0=6/(ρ×Dn)
ρ(kg/m2)は、高分子粒子の真密度、Dnは、数平均粒子径(m)である。Sは実測値である。
P(%)=100×V/(V+1000/ρ)
ただし、V(m3/kg)は、高分子粒子の粒子内累積細孔容積であり、ρ(kg/m2)は、高分子粒子の真密度である。
図1に概念図を示す装置を用いて、ポリアミド多孔質球状粒子を製造した。ポリアミド6(宇部興産製1013B)10質量部及びフェノール(90質量%)−メタノール(10質量%)からなる混合溶媒90質量部からなるポリアミド溶液を、液温25℃、流量273g/minで、ギアーポンプを用いて連続供給し、また、メタノール75質量部と水25質量部からなる有機非溶媒を、液温18℃、流量1938g/minで、カスケードポンプで連続供給した。
別々の細管ノズルより出た両液は、管状体中の空間中で開放系で合流され、また、同時に分散混合された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体内を、ほぼ層流で下降させた。析出管の内径は、0.0976mで、混合液の平均流速は、0.00561m/sであった。ポリアミド溶液の粘度は、0.2Pa・s、密度は1039.8kg/m3であった。非溶媒の粘度は、0.00124Pa・s、密度は859.2kg/m3であった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は20℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、281.2となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。
得られた各ポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡により観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。得られたポリアミド多孔質微粒子の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
上述のようにして得られた各ポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、すべての粒子について、捕集した時間に関係なく数平均粒子径(Dn)は9.0μmであり、体積平均粒子径(Dv)は11.4μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.27であった。また、BET比表面積は14.6m2/kgであり、空孔率は48%であり、多孔度は25であり、結晶化度は50%であった。
ポリアミド溶液の流量を524g/minにして、さらに、非溶媒の流量を3721g/minにした以外は、実施例1と同様の条件で実施した。混合液の平均流速は、0.01077m/sであった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は20℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、540.1となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。
捕集された分散液を遠心分離機を用いて固液分離してポリアミド多孔質球状粒子を分離・乾燥し、乾燥粉状態で2.0kgのポリアミド多孔質球状粒子を得た。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡により観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られたポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、分散液の捕集時間に関係なく、数平均粒子径(Dn)は7.2μmであり、体積平均粒子径(Dv)は8.6μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.19であった。また、BET比表面積は18.2m2/kgであり、空孔率は48%であり、多孔度は25であり、結晶化度は48%であった。
ポリアミド溶液の流量を流量5240g/minにして、さらに、非溶媒の流量を37210g/minにした以外は、実施例1と同様の条件で実施した。混合液の平均流速は、0.1077m/sであった。管状体は、実施例1で用いたものと同一のものを用いたが、混合液の流速が速かったため、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できなかった。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、濾液に未析出のポリアミド成分が残っていた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は19℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、5401であった。管内の流れは、層流状態ではないことが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。
捕集された分散液を遠心分離機を用いて固液分離してポリアミド多孔質球状粒子を分離・乾燥し、乾燥粉状態で2.0kgのポリアミド粒子を得た。
得られたポリアミド粒子を走査型電子顕微鏡を観察したところ、球形に近い粒子が凝集した嵩高いネットワーク構造物であった。得られた構造体の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
ポリアミド溶液の流量を流量349g/minにして、さらに、非溶媒の流量を2480g/minにし、非溶媒の温度を5℃にした以外は、実施例1と同様の条件で実施した。混合液の平均流速は、0.007089m/sであった。非溶媒の粘度は、0.00172Pa・s、密度は871.3kg/m3であった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温6.5℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、264.4となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。
捕集された分散液を遠心分離機を用いて固液分離してポリアミド多孔質球状粒子を分離・乾燥し、乾燥粉状態で1.5kgのポリアミド多孔質球状粒子を得た。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡により観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られたポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、分散液の捕集時間に関係なく、数平均粒子径(Dn)は6.0μmであり、体積平均粒子径(Dv)は8.3μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.38であった。また、BET比表面積は19.7m2/kgであり、空孔率は49%であり、多孔率は23であり、結晶化度は46%であった。
実施例1において、ポリアミド溶液と有機非溶媒とを、スタティックミキサーつきノズルを用いて一度供給管内で内部混合してからノズル噴射して、筒内に混合液を導入した。初期背圧0.2MPaで運転を開始し、1時間の運転を行ったが、背圧は0.6MPaに達した。
捕集された分散液を20分毎にまとめて捕集して、遠心分離機を用いて固液分離してポリアミド多孔質球状粒子を分離・乾燥し、乾燥粉状態で3種類のポリアミド多孔質球状粒子(0〜20分、20分〜40分、40分〜60分)を得た。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡により観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られた各ポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は分散液の捕集時間ごとに9.5μm(0〜20分)、6.8μm(20〜40分)、5.8μm(40〜60分)であり、体積平均粒子径(Dv)は12.0μm(0〜20分)、8.0μm(20〜40分)、6.6μm(40〜60分)と、時間とともに粒子径が小さくなった粒子が得られた。
各比表面積は、10.6m2/g(0〜20分)、11.1m2/g(20〜40分)、12.9m2/g(40〜60分)であった。
ポリアミド6(宇部興産製1010X1)20質量部及びフェノール(90質量%)−イソプロパノール(10質量%)からなる混合溶媒80質量部からなるポリアミド溶液を、液温25℃、流量277g/minで、ギアーポンプを用いて連続供給し、また、イソプロパノール66.6質量部と水33.3質量部からなる有機非溶媒を、液温15℃、流量2560g/minで、カスケードポンプで連続供給した。
別々の細管ノズルより出た両液は、大気中で開放系で合流され、また、同時に分散混合された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体内を、ほぼ層流で下降させた。析出管の内径は、0.0976mで、混合液体の平均流速は、0.007128m/sであった。ポリアミド溶液の粘度は、0.92Pa・s、密度は1049.5kg/m3であった。非溶媒の粘度は、0.00376Pa・s、密度は872kg/m3であった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまで、滞留時間10分間で保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は17℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、125.5となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。
捕集された分散液を遠心分離機を用いて固液分離してポリアミド多孔質球状粒子を分離・乾燥し、乾燥粉状態で4.0kgのポリアミド多孔質球状粒子を得た。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡を観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られたポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、分散液の捕集時間に関係なく、数平均粒子径(Dn)は6.5μmであり、体積平均粒子径(Dv)は7.3μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.12であった。また、BET比表面積は22.0m2/gであり、空孔率は48%であり、多孔率は27であり、結晶化度は51%であった。
攪拌装置を備えた溶解槽に、精製した無水のパラフェニレンジアミン(PPD)を無水のN−メチル−2−ピロリドンに加えて溶解した。ついで、精製した無水の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)をPPDとのモル比が0.940となるまで攪拌しながら少量ずつ添加し、充分反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の重量比が3.0%であるポリアミック酸溶液を得た。この溶液にイソプロパノールを攪拌しながら投入することでポリアミック酸2.5質量部、NMP80.8質量部、16.7質量部イソプロパノールからなる原料溶液を作製した。得られた溶液粘度は6poise、ポリアミック酸の極限粘度数は0.4であった。
参考例1で精製した無水のパラフェニレンジアミン(PPD)を4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)に置きかえる以外は同様の操作を行ない、原料溶液を得た。溶液粘度は5poiseで、ポリアミック酸の極限粘度数は0.35であった。
(熟成液の調製)
窒素置換した400ミリリットルオートクレーブ熟成槽にブタジエン150g(2.8モル)を注入する。コバルトオクトエートを0.6ミリモルおよびトリエチルアルミニウム1.8ミリモルを添加して室温で5時間攪拌した。
(重合)
窒素置換した1.5リットルのオートクレーブにイオン交換水600mL、ポリビニルアルコール2g、塩化メチレン120mL及びアセトン0.477モルを添加して、攪拌しながら10℃に温度設定した。前記で調製した熟成液をオートクレーブ中に添加して10℃で10分間分散させた後、二硫化炭素0.8ミリモルを添加して重合を開始した。30℃で60分間重合した。重合後、未反応モノマーを開放し、老化防止剤を添加し、ポリビニルアルコールを水洗浄し、ペーパーフィルターで濾過後、乾燥してSPBを得た。SPBの収量は130gであり、SPBの融点は150℃であった。還元粘度は、1.2であった。13C−NMRによる1,2結合含量は、85%、1.2結合中のシンジオタクティシティーは100%であった。
図1に概念図を示す装置を用いて、ポリアミック酸粒子を製造した。参考例1のポリアミック酸2.5質量部のポリアミック酸溶液を供給装置5に十分な量を投入し、液温30℃、流量201g/minで、ギアーポンプを用いて混合液合流部2に連続で供給した。また、イソプロパノール70質量部と水35質量部からなる有機非溶媒を非溶媒供給装置6に必要十分な量を投入し、ポリアミック酸溶液の供給と同時のタイミングで液温18℃、流量2100g/minで、カスケードポンプにより混合液合流部2に連続供給した。
別々の細管ノズルより出た両液は、大気中で開放系で合流され、また、同時に分散混合された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体3内を、ほぼ層流で下降させた。管状体3は、ポリアミック酸粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミック酸粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。得られたポリアミック酸多孔質微粒子の分散液の液温は19℃であった。
運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、271.7となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。
捕集直後のポリアミック酸多孔質微粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。また、この分散液をろ過してポリアミック酸多孔質微粒子を分離したのち、乾燥することで、乾燥粉状態で0.4kgのポリアミック酸多孔質微粒子を得た。
得られたポリアミック酸多孔質微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、形状が球形の比較的粒子の径が揃った多孔質の粒子であることを確認した。
得られたポリアミック酸球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は3.5μmであり、体積平均粒子径(Dv)は4.8μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.37であった。また、BET比表面積は5.0m2/gであった。
原料溶液として参考例1のかわりに参考例2で作製した溶液を用いる以外は実施例6と同様の操作を行い、ポリアミック酸多孔質微粒子を得た。回収した粉末は乾燥粉状態で0.45kgであり、走査型電子顕微鏡で観察したところ、形状が球形の比較的粒子の径が揃った多孔質粒子であることを確認した。また、管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、273.8となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。
得られたポリアミック酸多孔質微粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は3.8μmであり、体積平均粒子径(Dv)は5.3μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.39であった。また、BET比表面積は4.1m2/gであった。
実施例6で得られたポリアミック酸多孔質微粒子をアルミナ製の坩堝に静置しカーボンペーパーでふたをした。次に、坩堝を電気炉内にセットして大気中で10℃/分の昇温速度で400℃まで加熱して15分間保持した後に自然冷却してポリイミド球状粒子を得た。
得られたポリイミド多孔質微粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は3.2μmであり、体積平均粒子径(Dv)は4.3μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.35であった。また、BET比表面積は4.6m2/gであった。
実施例7で得られたポリアミック酸多孔質微粒子をアルミナ製の坩堝に静置しカーボンペーパーでふたをした。次に、坩堝を電気炉内にセットして大気中で10℃/分の昇温速度で330℃まで加熱して15分間保持した後に自然冷却してポリイミド多孔質微粒子を得た。
得られたポリイミド多孔質微粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は3.3μmであり、体積平均粒子径(Dv)は4.4μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.33であった。また、BET比表面積は3.5m2/gであった。
攪拌装置を備えた溶解槽に、参考例3で得られたSPBおよびパラキシレンを120℃で2時間攪拌し、0.6質量%SPB溶液を作成した。この溶液を供給装置5に十分な量を投入し、液温30℃、流量105g/minで、ギアーポンプを用いて混合液合流部2に連続で供給した。また、メタノール80質量部と水20質量部からなる有機非溶媒を非溶媒供給装置6に必要十分な量を投入し、SPB溶液の供給と同時のタイミングで液温20℃、流量2100g/minで、カスケードポンプにより混合液合流部2に連続供給した。
別々の細管ノズルより出た両液は、大気中で開放系で合流され、また、同時に分散混合された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体3内を、ほぼ層流で下降させた。管状体3は、SPB粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、SPB粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。得られたSPB粒子の分散液の液温は20℃であった。
運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。また、管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、41.0となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。
捕集直後のSPB粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。また、この分散液をろ過してSPB粒子を分離したのち、乾燥することで、乾燥粉状態で0.1kgのSPB粒子を得た。
得られたSPB粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、形状が球形の比較的粒子の径が揃った表面に凹凸のある多孔質の粒子であることを確認した。
図4に走査型顕微鏡写真を示す。得られたSPB粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、数平均粒子径(Dn)は15.6μmであり、体積平均粒子径(Dv)は28.8μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.84であった。また、BET比表面積は3.5m2/gであった。
ポリアミド6(宇部興産製1010X1)20質量部及びフェノール(80質量%)−イソプロパノール(10質量%)−水(10質量%)からなる混合溶媒100質量部からなるポリアミド溶液を、液温25℃、流量597g/minで、ギアーポンプを用いて連続供給し、また、イソプロパノール53.7質量部と水46.3質量部からなる有機非溶媒を、液温15℃、流量2553g/minで、カスケードポンプで連続供給した。
両液は二流体ノズル内部にて混合攪拌後、ノズルより噴霧され管状体内液面に向かって均一に分散された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体内を、ほぼ層流で下降させた。析出管の内径は、0.0976mで、混合液体の平均流速は、0.007571m/sであった。ポリアミド溶液の粘度は、0.78Pa・s、密度は1045.2kg/m3であった。非溶媒の粘度は、0.00330Pa・s、密度は900kg/m3であった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は19℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、121.3となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始1時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。また、ノズル内部および外部噴霧口におけるジェルの発生は確認されなかった。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡を観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られたポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、分散液の捕集時間に関係なく、数平均粒子径(Dn)は4.7μmであり、体積平均粒子径(Dv)は5.2μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.10であった。また、BET比表面積は22.5m2/gであり、空孔率は62%であり、多孔率は21であり、結晶化度は49%であった。
ポリアミド6(宇部興産製1010X1)30質量部及びフェノール(70質量%)−イソプロパノール(15質量%)−水(10質量%)からなる混合溶媒95質量部からなるポリアミド溶液を、液温25℃、流量336g/minで、ギアーポンプを用いて連続供給し、また、イソプロパノール52質量部と水48質量部からなる有機非溶媒を、液温15℃、流量2814g/minで、カスケードポンプで連続供給した。
両液は二流体ノズル内部にて混合攪拌後、ノズルより噴霧され管状体内液面に向かって均一に分散された。続いて、該混合液を攪拌せずに、長い筒状であり、略鉛直に設けた管状体内を、ほぼ層流で下降させた。析出管の内径は、0.0976mで、混合液体の平均流速は、0.007633m/sであった。ポリアミド溶液の粘度は、2.15Pa・s、密度は1037.4kg/m3であった。非溶媒の粘度は、0.00330Pa・s、密度は900kg/m3であった。管状体は、ポリアミド多孔質粒子の成長が完了するまでの滞留時間(約10分間)、流下している混合液を保持できる長さであった。その後、ポリアミド多孔質粒子は分散液状として懸濁しつつ、フレキシブルなパイプの捕集管を通過し、捕集槽に捕集された。捕集直後のポリアミド多孔質球状粒子の分散液について、粒子成長完了判定を行ったところ、粒子の析出は完了していた。得られたポリアミド多孔質球状粒子の分散液の液温は19℃であった。管状体内流下中の混合液のレイノルズ数は、145.2となり、管内の流れは、層流状態であることが確認された。運転開始2時間経過後も、ライン背圧の上昇は観測されず、安定した運転であった。また、ノズル内部および外部噴霧口におけるジェルの発生は確認されなかった。
得られたポリアミド多孔質球状粒子を走査型電子顕微鏡を観察したところ、多孔質の、均一な粒子であり、また、透過型電子顕微鏡により検鏡したところ、粒子の中心から放射状に成長した単独球晶状粒子であった。
上述のようにして得られたポリアミド多孔質球状粒子について、コールターカウンターで粒子径および粒子径分布を測定したところ、分散液の捕集時間に関係なく、数平均粒子径(Dn)は6.5μmであり、体積平均粒子径(Dv)は7.5μmであり、粒子分布指数(PDI)は1.15であった。また、BET比表面積は58.6m2/gであり、空孔率は62%であり、多孔率は74.2であり、結晶化度は50%であった。
Claims (18)
- ポリオレフィン、ポリスチレン、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド及びポリイミド前駆体の一種又は二種以上から選択される高分子を良溶媒に溶解してなる高分子溶液と、前記高分子の非溶媒であり、かつ前記良溶媒と相溶性を有する高分子非溶媒とを連続的又は断続的に混合し、前記高分子溶液と前記高分子非溶媒との混合液を略鉛直に設けられた管状体内を流下させて高分子粒子の析出を完了させることを特徴とする高分子粒子の製造方法。
- 高分子溶液と高分子非溶媒とを、開放系で合流させる方法又は閉塞系の空間内で合流させた後に開放系へ吐出させる方法で混合する請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 混合液を、管状体内を自然流下させる請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 混合液を、レイノルズ数が4000以下となるように管状体内を流す請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 混合液を、レイノルズ数が2100以下となるように管状体内を流す請求項4に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子溶液と高分子非溶媒の流量質量比が、1:1〜1:25である請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子粒子を分散液状態で捕集する請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子粒子が略球状である請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子粒子が多孔質粒子または表面に凹凸構造を有する粒子である請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子がポリイミド前駆体又はポリイミドである請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子がポリブタジエンである請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子がポリアミドである請求項1に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子粒子が球晶状構造を有する請求項12に記載の高分子粒子の製造方法。
- 高分子溶液及び高分子非溶媒を供給する原料液供給手段と、供給された原料液を開放系で合流混合する混合液合流部と、該混合液合流部の下流に設けた略鉛直の管状体と、該管状体の下流に設けた分散液捕集部とを有する装置であって、該混合液合流部から該管状体までに攪拌手段を有さず、該管状体は、該管状体内で高分子粒子の析出が完了する長さを有することを特徴とする、ポリオレフィン、ポリスチレン、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド及びポリイミド前駆体の一種又は二種以上から選択される高分子粒子の製造装置。
- 原料液供給手段として、高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、高分子の非溶媒を供給する非溶媒供給手段とを別個に有する請求項14に記載の高分子粒子の製造装置。
- 管状体と分散液捕集部とが、互いに連通管の関係に配置されている請求項14に記載の高分子粒子の製造装置。
- 高分子溶液及び高分子非溶媒を供給する原料液供給手段と、供給された原料液を閉塞系の空間内で合流させた後に開放系へ吐出する噴霧ノズルと、該噴霧ノズルの下流に設けた略鉛直の管状体と、該管状体の下流に設けた分散液捕集部とを有する装置であって、該混合液合流部から該管状体までに攪拌手段を有さず、該管状体は、該管状体内で高分子粒子の析出が完了する長さを有することを特徴とする高分子粒子の製造装置。
- ポリオレフィン、ポリスチレン、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド及びポリイミド前駆体の一種又は二種以上から選択される高分子の粒子の製造装置として用いる請求項17に記載の高分子粒子の製造装置。
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