図1は、本実施例の電池システム(本発明の蓄電システムに相当する)の構成を示す図である。図1に示す電池システムは、例えば、車両に搭載することができる。この車両では、組電池10の出力を用いて車両を走行させることができる。なお、車両以外であっても、本発明を適用することができる。
組電池10は、電気的に直列に接続された複数の単電池(本発明の蓄電素子に相当する)11を有する。単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることができる。単電池11の数は、組電池10の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。本実施例では、組電電池10を構成する、すべての単電池11が電気的に直列に接続されているが、組電池10には、電気的に並列に接続された複数の単電池11が含まれていてもよい。
電流センサ21は、組電池10に流れる電流を検出し、検出結果を電池ECU(Electric Control Unit)30に出力する。また、電池ECU30は、電流センサ21によって検出された電流値を上位ECU(Electric Control Unit)34に出力する。ここで、組電池10を放電しているときには、電流センサ21によって検出される電流値として、正の値を用いることができる。また、組電池10を充電しているときには、電流センサ21によって検出される電流値として、負の値を用いることができる。
本実施例では、組電池10の正極端子と接続された正極ラインPLに電流センサ21を設けているが、電流センサ21は、組電池10に流れる電流を検出できればよく、電流センサ21を設ける位置は適宜設定することができる。具体的には、正極ラインPL又は、組電池10の負極端子と接続された負極ラインNLに、電流センサ21を設けることができる。また、複数の電流センサ21を用いることもできる。
正極ラインPLには、システムメインリレー(本発明における第1リレーに相当する)SMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、上位ECU34からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。ここで、電池ECU30および上位ECU34は、本発明におけるコントローラに相当する。
図2に示すように、システムメインリレーSMR−Bは、励磁コイル51と、可動接点52と、固定接点53とを有する。励磁コイル51の一端は、スイッチ42を介して電源41と接続されており、励磁コイル51の他端は、接地されている。電源41としては、例えば、車両に搭載された補機バッテリを用いることができる。
スイッチ42は、上位ECU34からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。スイッチ42がオフからオンに切り替わると、電源41から励磁コイル51に電流が流れ、励磁コイル51には、磁力が発生する。一方、スイッチ42がオンからオフに切り替わると、電源41から励磁コイル51への通電が遮断される。
可動接点52は、例えば、バネなどによって、固定接点53から離れる方向に付勢されている。励磁コイル51に電流が流れると、励磁コイル51に発生した磁力によって、可動接点52は、付勢力に抗して移動する。これにより、可動接点52が固定接点53と接触して、システムメインリレーSMR−Bは、オフからオンに切り替わる。一方、励磁コイル51への通電が遮断されると、可動接点52は、付勢力を受けて固定接点53から離れる。これにより、システムメインリレーSMR−Bは、オンからオフに切り替わる。
図1において、負極ラインNLには、システムメインリレー(本発明における第2リレーに相当する)SMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、上位ECU34からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。システムメインリレーSMR−Gの構造は、システムメインリレーSMR−Bの構造(図2参照)と同様である。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレー(本発明における第3リレーに相当する)SMR−Pおよび電流制限抵抗R1が電気的に並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗R1は、電気的に直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、上位ECU34からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Pの構造は、システムメインリレーSMR−B(図2参照)と同様である。電流制限抵抗R1は、組電池10を負荷(具体的には、後述するインバータ22)と接続するときに、コンデンサ25に突入電流が流れることを抑制するために用いられる。コンデンサ25は、正極ラインPLおよび負極ラインNLに接続されており、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧変動を抑制するために用いられる。
正極ラインPLおよび負極ラインNLには、電圧センサ24が接続されている。具体的には、電圧センサ24は、システムメインリレーSMR−Bおよびインバータ22を接続する正極ラインPLと、システムメインリレーSMR−Gおよびインバータ22を接続する負極ラインNLとに接続されている。電圧センサ24は、インバータ22に入力される電圧値、言い換えれば、コンデンサ25の電圧値を検出し、検出結果を電池ECU30に出力する。
組電池10は、正極ラインPLおよび負極ラインNLを介して、インバータ22と接続されている。組電池10をインバータ22と接続するとき、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンにする。ここで、組電池10およびインバータ22を接続するときにおける、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの詳細な制御については、後述する。
組電池10およびインバータ22の接続が完了することにより、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-ON)となる。上位ECU34には、車両のイグニッションスイッチのオン/オフに関する情報が入力される。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、上位ECU34は、図1に示す電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、上位ECU34は、組電池10およびインバータ22の接続を遮断する。ここで、組電池10およびインバータ22の接続を遮断するときにおける、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの詳細な制御については、後述する。組電池10およびインバータ22の接続が遮断されることにより、図1に示す電池システムは、停止状態(Ready-OFF)となる。電池システムが停止状態にあるとき、組電池10の充放電が行われない。
インバータ22は、組電池10から出力された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ(MG)23に出力する。モータ・ジェネレータ23は、インバータ22から出力された交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ23によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ23は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ22は、モータ・ジェネレータ23が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池10に出力する。これにより、組電池10は、回生電力を蓄えることができる。
電池ECU30は、監視IC(Integrated Circuit)31を有する。監視IC31は、電圧検出ラインL1を介して、各単電池11と接続されており、各単電池11の電圧値を検出する。ここで、電圧検出ラインL1は、各単電池11における正極端子および負極端子のそれぞれと接続されている。
本実施例では、監視IC31が単電池(本発明の蓄電ブロックに相当する)11の電圧値を検出しているが、これに限るものではない。例えば、監視IC31は、複数の単電池11を含む電池ブロック(本発明の蓄電ブロックに相当する)の電圧値を検出することができる。ここで、電圧検出ラインL1は、各電池ブロックにおける正極端子および負極端子のそれぞれと接続されている。
電池ブロックは、例えば、電気的に直列に接続された複数の単電池11によって構成することができる。また、電池ブロックは、例えば、電気的に並列に接続された複数の単電池11によって構成することができる。そして、複数の電池ブロックを電気的に直列に接続することにより、組電池10を構成することができる。
電池ECU30は、フォトカプラ32およびCPU(Central Processing Unit)33を有する。監視IC31の出力は、フォトカプラ32を介して、CPU33に入力される。ここで、フォトカプラ32を用いることにより、フォトカプラ32の入力側に位置する回路と、フォトカプラ32の出力側に位置する回路とを、絶縁状態とすることができる。CPU33は、監視IC31の出力に基づいて、単電池11の電圧値を取得することができる。
電池ECU30(CPU33)は、取得した単電池11の電圧値を上位ECU34に出力する。上位ECU34は、単電池11の電圧値を電池ECU30から取得することにより、この電圧値に基づいて、組電池10の充放電を制御することができる。組電池10の充放電を制御する処理については、後述する。
本実施例では、組電池10をインバータ22に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池10およびインバータ22を接続する電流経路において、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路は、組電池10の出力電圧を昇圧して、昇圧後の電力をインバータ22に出力することができる。また、昇圧回路は、インバータ22の出力電圧を降圧して、降圧後の電力を組電池10に出力することができる。
次に、単電池11の電圧値に基づいて、組電池10の充放電を制御する処理(一例)について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。ここで、図3に示す処理は、上位ECU34によって実行される。具体的には、上位ECU34に組み込まれたコンピュータプログラムに基づいて、上位ECU34は、図3に示す処理を実行する。また、図3に示す処理は、所定の周期で繰り返して行われる。
ステップS101において、上位ECU34は、各単電池11の電圧値Vbを取得する。ここで、電池ECU30は、監視IC31を用いて、各単電池11の電圧値Vbを検出しており、検出結果を上位ECU34に出力する。
ステップS102において、上位ECU34は、電圧値Vbが上限電圧値Vc_thよりも高いか否かを判別する。上限電圧値Vc_thは、単電池11の過充電を抑制するために、予め定められた電圧値である。すなわち、電圧値Vbが上限電圧値Vc_thよりも高いとき、上位ECU34は、単電池11が過充電状態に到達するおそれがあることを判別することができる。また、電圧値Vbが上限電圧値Vc_thよりも低いとき、上位ECU34は、単電池11が過充電状態に到達するおそれはないと判別することができる。
単電池11が過充電状態に到達するおそれがあるか否かの判別は、単電池11が実際に過充電状態に到達する前に行うことが好ましい。このため、上限電圧値Vc_thは、実際に過充電状態となる単電池11の電圧値よりも低い値に設定することができる。上限電圧値Vc_thに関する情報は、メモリに記憶しておくことができる。
本実施例では、複数の単電池11の電圧値を検出しており、いずれかの単電池11が過充電状態となることを抑制するようにしている。複数の単電池11では、自己放電特性のバラツキや内部抵抗のバラツキが発生することがあり、このバラツキによって、複数の単電池11における電圧値にバラツキが発生することがある。そこで、単電池11の過充電状態を判別するときには、最も高い電圧値Vbおよび上限電圧値Vc_thを比較することが好ましい。
電圧値Vbが上限電圧値Vc_thよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS104の処理を行う。一方、電圧値Vbが上限電圧値Vc_thよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS103の処理を行う。
ステップS103において、上位ECU34は、電圧値Vbが下限電圧値Vd_thよりも低いか否かを判別する。下限電圧値Vd_thは、単電池11の過放電を抑制するために、予め定められた電圧値である。すなわち、電圧値Vbが下限電圧値Vd_thよりも低いとき、上位ECU34は、単電池11が過放電状態に到達するおそれがあることを判別することができる。また、電圧値Vbが下限電圧値Vd_thよりも高いとき、上位ECU34は、単電池11が過放電状態に到達するおそれはないと判別することができる。
単電池11が過放電状態に到達するおそれがあるか否かの判別は、単電池11が実際に過放電状態に到達する前に行うことが好ましい。このため、下限電圧値Vd_thは、実際に過放電状態となる単電池11の電圧値よりも低い値に設定することができる。下限電圧値Vd_thに関する情報は、メモリに記憶しておくことができる。
本実施例では、複数の単電池11の電圧値を検出しており、いずれかの単電池11が過放電状態となることを抑制するようにしている。上述したように、自己放電特性のバラツキや内部抵抗のバラツキによって、複数の単電池11における電圧値にバラツキが発生することがある。そこで、単電池11の過放電状態を判別するときには、最も低い電圧値Vbおよび下限電圧値Vd_thを比較することが好ましい。
電圧値Vbが下限電圧値Vd_thよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS105の処理を行う。一方、電圧値Vbが下限電圧値Vd_thよりも高いとき、上位ECU34は、図3に示す処理を終了する。
ステップS104において、上位ECU34は、組電池10の充電を制限する。具体的には、上位ECU34は、組電池10の充電を許容する上限電力Winを低下させることにより、組電池10の充電を制限することができる。ここで、上位ECU34は、組電池10の入力電力(充電電力)が上限電力Winを超えないように、組電池10の充電を制御する。
上限電力Winは、組電池10の温度やSOC(State of Charge)に基づいて予め設定することができる。ここで、SOCとは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合を示す。具体的には、組電池10の温度が上昇するほど、上限電力Winを低下させたり、組電池10の温度が低下するほど、上限電力Winを低下させたりすることができる。また、組電池10のSOCが上昇するほど、上限電力Winを低下させたりすることができる。ステップS104の処理では、上限電力Winを、組電池10の温度やSOCに基づいて予め設定された値よりも低下させる。
ステップS105において、上位ECU34は、組電池10の放電を制限する。具体的には、上位ECU34は、組電池10の放電を許容する上限電力Woutを低下させることにより、組電池10の放電を制限することができる。ここで、上位ECU34は、組電池10の出力電力(放電電力)が上限電力Woutを超えないように、組電池10の放電を制御する。
上限電力Woutは、組電池10の温度やSOC(State of Charge)に基づいて予め設定することができる。具体的には、組電池10の温度が上昇するほど、上限電力Woutを低下させたり、組電池10の温度が低下するほど、上限電力Woutを低下させたりすることができる。また、組電池10のSOCが低下するほど、上限電力Woutを低下させたりすることができる。
ステップS105の処理では、上限電力Woutを、組電池10の温度やSOCに基づいて予め設定された値よりも低下させる。なお、組電池10の放電を制限することには、組電池10の放電を停止させることも含まれる。ここで、上限電力Woutを0[kW]に設定すれば、組電池10の放電を停止させることができる。
図3に示す処理では、単電池11の電圧値Vbに基づいて、組電池10の充放電を制御しているが、これに限るものではない。例えば、組電池10のSOCを算出し、このSOCに基づいて、組電池10の充放電を制御することができる。例えば、組電池10と、組電池10以外の動力源(エンジン又は燃料電池など)とを用いて、車両を走行させるときには、組電池10のSOCが基準SOCに沿って変化するように、組電池10の充放電を制御することができる。
ここで、組電池10のSOCは、単電池11の電圧値Vbや、単電池11に流れる電流値を用いて算出することができる。SOCを算出する方法は、従来において様々提案されており、これらの提案を適宜採用することができる。このため、SOCを算出する詳細な方法については、省略する。
図4に示すように、組電池10には、電圧検出ラインL2を介して、電流遮断回路60が接続されている。ここで、電圧検出ラインL2は、電圧検出ラインL1から分岐しており、電圧検出ラインL1の数だけ設けられている。
複数の電圧検出ラインL2は、各単電池11における正極端子および負極端子と接続されており、電流遮断回路60は、各単電池11の電圧値を検出することができる。なお、上述したように、複数の電圧検出ラインL1が電池ブロックの正極端子および負極端子に接続されているとき、電流遮断回路60は、複数の電圧検出ラインL2を用いて、電池ブロックの電圧値を検出することができる。
電流遮断回路60は、単電池11が過充電状態であるときに、組電池10およびインバータ22の接続を遮断する。具体的には、単電池11が過充電状態であるとき、電流遮断回路60は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替える。ここで、組電池10およびインバータ22の接続を遮断することができればよいため、電流遮断回路60は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの少なくとも一方をオンからオフに切り替えればよい。図1に示す電池システムが起動状態(Ready-ON)にあるとき、電流遮断回路60は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方をオンからオフに切り替えればよい。
具体的には、単電池11の電圧値が、過充電状態に対応した電圧値よりも高いとき、電流遮断回路60は、励磁コイル51への通電を遮断することにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替えることができる。
本実施例において、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pのオン/オフは、上位ECU34からの指令を受けて切り替わったり、電流遮断回路60からの指令を受けて切り替わったりする。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pのオン/オフを切り替えるための指令ラインとしては、上位ECU34を介した指令ラインと、電流遮断回路60を介した指令ラインとが設けられている。
これらの指令ラインは、図4に示すように、互いに独立している。すなわち、電流遮断回路60は、上位ECU34の制御に関わらず、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替えることができる。ここで、電流遮断回路60がシステムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオフにしているとき、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオフからオンに切り替えることはできない。
次に、電流遮断回路60の構成について、図5を用いて説明する。
電流遮断回路60は、抵抗R2を有しており、抵抗R2は、各電圧検出ラインL2に設けられている。抵抗R2は、組電池10(単電池11)からの過電圧が電流遮断回路60に印加することを防止するために用いられる。すなわち、電流遮断回路60に過電圧が印加しようとするときには、抵抗R2が溶断することにより、電流遮断回路60に対する過電圧の印加を防止している。
電流遮断回路60は、複数のツェナーダイオードDを有する。各ツェナーダイオードDは、電圧検出ラインL2を介して、各単電池11と電気的に並列に接続されている。ここで、ツェナーダイオードDのカソードは、単電池11の正極端子と接続されており、ツェナーダイオードDのアノードは、単電池11の負極端子と接続されている。複数のツェナーダイオードDは、電気的に直列に接続されている。
ツェナーダイオードDは、組電池10(単電池11)からの過電圧が電流遮断回路60に印加することを抑制するために用いられる。すなわち、電流遮断回路60に過電圧が印加しようとするときには、ツェナーダイオードDが導通状態となることにより、カソードからアノードの側に電流を流すことができる。これにより、後述するIC(Integrated Circuit)61の側に過電圧が印加されることを抑制することができる。
ツェナーダイオードDが導通状態となったとき、抵抗R2に電流を流すことにより、抵抗R2を溶断させることができる。すなわち、組電池10からIC61に過電圧が印加しようとしたときには、抵抗R2が溶断することにより、組電池10およびIC61の接続を遮断することができる。これにより、IC61を保護することができる。なお、電流遮断回路60への過電圧の印加を除外できれば、ツェナーダイオードDを省略することができる。
電流遮断回路60は、コンデンサCを有する。コンデンサCは、2つの電圧検出ラインL2を介して、単電池11と電気的に並列に接続されている。ここで、一方の電圧検出ラインL2に対するコンデンサCの接続点は、電圧検出ラインL2に対するツェナーダイオードD(カソード)の接続点と、コンパレータCMPとの間に位置している。
また、他方の電圧検出ラインL2に対するコンデンサCの接続点は、電圧検出ラインL2に対するツェナーダイオードD(アノード)の接続点と、コントローラCMPとの間に位置している。複数の単電池11に対応して設けられた複数のコンデンサCは、電気的に直列に接続されている。
電流遮断回路60は、IC61を有する。IC61は、電池ECU30から起動信号を受けたり、停止信号を受けたりする。起動信号とは、電源からの電力をIC61に供給することを許容する信号であり、起動信号によって、IC61を動作させることができる。停止信号とは、電源からIC61への電力供給を停止させる信号であり、停止信号によって、IC61の動作を停止させることができる。
電池ECU30によってIC61の動作を停止させることができれば、図1に示す電池システムを停止させているときに、IC61の動作も停止させることができる。これにより、IC61の消費電力を低減することができる。
IC61は、コンパレータCMPを有する。各単電池11の正極端子と接続された電圧検出ラインL2は、コンパレータCMPの負側入力端子と接続されている。また、各単電池11の負極端子と接続された電圧検出ラインL2は、コンパレータCMPの正側入力端子と接続されている。
ここで、図5に示すように、一方の単電池11の正極端子と、他方の単電池11の負極端子とに接続された電圧検出ラインL2は、分岐している。分岐された電圧検出ラインL2は、一方のコンパレータCMPにおける正側入力端子と、他方のコンパレータCMPにおける負側入力端子とにそれぞれ接続されている。
コンパレータCMPは、単電池11における正極端子および負極端子の電位差、言い換えれば、単電池11の電圧値を出力する。図5に示す構成では、コンパレータCMPがコンデンサCの電圧値を検出する。すなわち、図5に示す構成では、単電池11の電荷がコンデンサCにチャージされることにより、コンデンサCの電圧値は、単電池11の電圧値と等しくなる。そして、コンパレータCMPは、コンデンサCの電圧値(安定化された電圧値)を検出する。
IC61は、コンパレータCMPと接続されたOR回路62を有しており、コンパレータCMPの出力信号は、OR回路62に入力される。OR回路62は、複数のコンパレータCMPと接続されており、いずれかのコンパレータCMPの出力信号がOR回路62に入力されると、OR回路62は出力信号を生成する。
本実施例において、複数のコンパレータCMPは、互いに異なるタイミングで動作する。すなわち、複数のコンパレータCMPにおける出力信号は、互いに異なるタイミングにおいて、OR回路62に入力される。このため、各単電池11の電圧値が検出されるたびに、この電圧値に相当する信号をOR回路62が出力する。
IC61は、OR回路62と接続されたアラーム確定回路(本発明のアラーム回路に相当する)63を有しており、OR回路62の出力信号は、アラーム確定回路63に入力される。アラーム確定回路63は、単電池11の過充電状態を判別し、単電池11が過充電状態であるときには、アラーム信号を出力する。アラーム信号とは、単電池11が過充電状態であることを示す信号である。
具体的には、図6に示すように、アラーム確定回路63は、コンパレータ63aによって構成することができる。OR回路62の出力信号(単電池11の電圧値Vb)は、コンパレータ63aにおける正側入力端子に入力される。また、閾値(電圧値)V_thは、コンパレータ63aにおける負側入力端子に入力される。
ここで、閾値(電圧値)V_thは、単電池11の過充電状態を判別するための電圧値であり、単電池11の充放電特性などを考慮して適宜設定することができる。例えば、閾値(電圧値)V_thとしては、単電池11が実際に過充電状態となるときの電圧値に設定したり、単電池11が実際に過充電状態となるときの電圧値よりも低い値に設定したりすることができる。ここで、閾値(電圧値)V_thは、図3に示すステップS102の処理で説明した上限電圧値Vc_thよりも高い値に設定することができる。
OR回路62の出力信号(単電池11の電圧値Vb)が閾値(電圧値)V_thよりも高いときには、コンパレータ63aの出力信号(アラーム信号)が生成される。一方、OR回路62の出力信号(単電池11の電圧値Vb)が閾値(電圧値)V_thよりも低いときには、コンパレータ63aの出力信号(アラーム信号)が生成されない。
一方、アラーム確定回路63としては、図7に示す構成を用いることもできる。図7において、コンパレータ63aの出力ラインには、コンデンサ63bの一端が接続されている。また、コンデンサ63bの他端は、接地されている。コンデンサ63bを設けることにより、アラーム確定回路63の出力信号にノイズが含まれてしまうことを抑制できる。すなわち、コンデンサ63bを用いてノイズを除去することにより、アラーム確定回路63の出力信号(アラーム信号)に対する信頼性を向上させることができる。
図5において、IC61は、アラーム確定回路63と接続されたアラームラッチ回路64を有しており、アラーム確定回路63の出力信号(アラーム信号)が、アラームラッチ回路64に入力される。アラームラッチ回路64は、アラーム確定回路63からの入力信号を保持して、ラッチ信号(アラーム信号に相当する)を出力する。
IC61(アラームラッチ回路64)は、フォトカプラ65と接続されている。フォトカプラ65は、スイッチ素子として用いられ、アラームラッチ回路64からのラッチ信号を受けることにより、オフからオンに切り替わる。フォトカプラ65は、絶縁素子であるため、フォトカプラ65の入力側に位置する回路(高電圧回路)と、フォトカプラ65の出力側に位置する回路(低電圧回路)とを絶縁状態とすることができる。言い換えれば、フォトカプラ65は、入力信号としての高電圧信号を、出力信号としての低電圧信号に変更することができる。
フォトカプラ65は、OR回路66の入力端子と接続されている。フォトカプラ65がオフからオンに切り替わったときには、フォトカプラ65の出力信号が、OR回路66の入力端子に入力される。フォトカプラ65の出力信号がOR回路66に入力されれば、OR回路66の出力信号(アラーム信号に相当する)が生成される。
本実施例では、アラームラッチ回路64およびOR回路66の間に、フォトカプラ65を設けているが、これに限るものではない。例えば、アラーム確定回路63およびアラームラッチ回路64の間に、フォトカプラ65を設けることもできる。
OR回路66の出力端子は、遅延回路67と接続されており、OR回路66の出力信号は、遅延回路67に入力される。遅延回路67は、OR回路66の出力信号が入力されてから所定時間が経過した後に、信号(アラーム信号に相当する)を出力する。遅延回路67は、トランジスタ(スイッチ)68と接続されている。トランジスタ68は、遅延回路67の出力信号を受けて、オンからオフに切り替わる。ここで、遅延回路67の出力信号がトランジスタ68に入力されていないとき、トランジスタ68は、オンになる。
トランジスタ68の一端は、電源69と接続されており、トランジスタ68の他端は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの励磁コイル51と接続されている。図5に示す電源69は、図2に示す電源41と同じである。また、トランジスタ68は、図2に示すスイッチ42と同じである。このため、トランジスタ68は、上位ECU34からの制御信号を受けて動作したり、遅延回路67の出力信号を受けて動作したりする。
図2を用いて説明したように、トランジスタ68がオンであるとき、電源69から励磁コイル51に電流が流れることにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンになる。一方、トランジスタ68がオフであるとき、電源69から励磁コイル51への電力供給が遮断され、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオフになる。
本実施例によれば、IC61が単電池11の過充電状態を検出すると、IC61の出力信号(アラーム信号)がトランジスタ68に入力されることにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替えることができる。これにより、過充電状態の単電池11に対して、充放電が行われることを防止できる。
本実施例では、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pが、上位ECU34からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。一方、単電池11が過充電状態となったときには、上位ECU34による制御ではなく、電流遮断回路60が、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替える。このように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動制御は、上位ECU34を含む経路と、電流遮断回路60を含む経路とで別々に行われる。
このため、上位ECU34や電池ECU30の設計を変更しても、この設計変更による影響を、電流遮断回路60は受けない。言い換えれば、上位ECU34や電池ECU30の設計を変更した後であっても、電流遮断回路60を使用し続けることができる。電流遮断回路60は、単電池11の過充電時にシステムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオフにするための専用部品となり、汎用性を高めることができる。
上述したように、電流遮断回路60は、電子部品(主に、半導体素子)を用いて構成されており、コンピュータプログラムを用いた処理を行っていない。このため、電流遮断回路60を用いれば、プログラムのバグを考慮せずに、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを駆動することができる。また、通常、半導体素子では、摩耗劣化(経年劣化)が発生しにくいため、半導体素子を用いて電流遮断器60を構成することにより、部品(電流遮断回路60)の信頼性を向上させることができる。
なお、図5に示す構成では、組電池10に対して、1つの電流遮断回路60を設けているが、これに限るものではない。具体的には、組電池10を構成する、すべての単電池11を、複数のグループに分けたときには、各グループに対して電流遮断回路60を設けることができる。
ここで、グループ毎に電流遮断回路60を設ける場合には、フォトカプラ65の出力側に位置する回路を共用することができる。すなわち、図5に示す電流遮断回路60のうち、フォトカプラ65の入力側に位置する回路(フォトカプラ65を含む)を、グループの数だけ設けることができる。そして、各フォトカプラ65の出力信号を、OR回路66に入力させることができる。
本実施例において、OR回路66の入力端子は、電池ECU30と接続されており、電池ECU30の出力信号がOR回路66の入力端子に入力される。上述したように、電池ECU30は、IC61に対して、起動信号を出力したり、停止信号を出力したりする。このため、IC61を停止させる信号は、OR回路66にも入力される。
フォトカプラ65の出力信号を受けたとき、又は、IC61の停止信号を電池ECU30から受けたとき、OR回路66は、出力信号を生成する。これにより、トランジスタ68をオンからオフに切り替えることができ、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替えることができる。ここで、フォトカプラ65からOR回路66に信号が出力されていなく、かつ、IC61の停止信号が電池ECU30から出力されていないとき、OR回路66は、出力信号を生成しない。
上述したように、IC61がアラーム信号を出力していなくても、電池ECU30がIC61の停止信号を出力したときには、トランジスタ68をオフにして、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオフにすることができる。
これにより、IC61の動作を停止させるときには、組電池10およびインバータ22の接続を遮断して、組電池10の充放電を停止させることができる。言い換えれば、IC61の動作を停止させるときには、組電池10およびインバータ22が接続されたままとなることを防止できる。したがって、IC61が動作していない間に、組電池10の充放電が行われ、単電池11が過充電状態となってしまうことを防止できる。
一方、OR回路66の出力信号は、遅延回路67に入力されるだけでなく、電池ECU30にも入力される。すなわち、IC61からアラーム信号が出力されるときには、この情報が電池ECU30にも伝達される。これにより、電池ECU30は、単電池11の過充電状態によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わることを確認することができる。
図1に示す電池システムを搭載した車両がエンジンを備えているとき、電池ECU30は、OR回路66の出力信号(アラーム信号)を受けることにより、エンジンを始動させることができる。具体的には、OR回路66の出力信号(アラーム信号)が電池ECU30に入力されたとき、電池ECU30は、OR回路66から取得した情報を上位ECU34に出力する。上位ECU34は、電池ECU30からの情報を受けて、エンジンを始動させる。ここで、組電池10の出力を用いて、エンジンを始動させることができる。
エンジンを既に始動しているときには、OR回路66の出力信号(アラーム信号)が電池ECU30に入力されている間、エンジンの始動を停止させないことができる。OR回路66の出力信号(アラーム信号)が発生しているときには、上述したように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わり、組電池10の充放電が行われなくなる。この場合には、エンジンの始動を停止させないことにより、車両の走行を確保することができる。
本実施例では、OR回路66およびトランジスタ68の間に、遅延回路67を設けている。このため、遅延回路67の出力に基づいて、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える前に、OR回路66の出力信号を電池ECU30に入力させて、エンジンを始動させることができる。すなわち、組電池10の充放電を停止させる前に、エンジンを始動させておくことができる。
組電池10の出力電力を用いて、エンジンを始動させる構成では、エンジンを始動させる前に、組電池10の充放電を停止させてしまうと、組電池10の出力電力を用いてエンジンを始動させることができなくなってしまう。そこで、車両の走行を確保するためには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える前に、エンジンを始動させておく必要がある。
本実施例では、遅延回路67を用いることにより、組電池10の出力電力によってエンジンを始動させる時間を確保した上で、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替えることができる。これにより、組電池10の充放電を停止させる場合であっても、エンジンを用いて車両を走行させ続けることができる。
なお、組電池10とは異なる電源(例えば、補機バッテリ)を用いてエンジンを始動させるときには、遅延回路67を省略することができる。エンジンを始動させるための電源として、組電池10以外の電源を用いれば、組電池10の充放電を停止させた後であっても、エンジンを始動させることができる。この場合には、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替えるタイミングを遅延させる必要はなく、遅延回路67を省略することができる。
本実施例では、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力されたときには、アラームラッチ回路64において、アラーム信号が保持される。すなわち、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力された後では、アラームラッチ回路64から信号が出力され続け、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオフのままとなる。アラームラッチ回路64を省略すると、単電池11の電圧値に応じて、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力されたり、アラーム信号が出力されなかったりする。
図8は、アラームラッチ回路64を省略した構成において、アラーム確定回路63の出力と、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pのオン/オフとの関係を示す図である。
図8に示すように、単電池11の電圧値Vbが閾値V_thに到達することに応じて、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力される。アラーム信号が出力されれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わる。これにより、組電池10(単電池11)の充放電が行われなくなり、組電池10(単電池11)の分極が解消される。
組電池10(単電池11)の充放電を行っているときには、組電池10に分極が発生し、単電池11の電圧値は、開放電圧に対して、分極に伴う電圧変化量の分だけ変化する。組電池10(単電池11)の充放電を停止させると、単電池11の分極が解消され、分極に相当する電圧変化量(電圧降下量)ΔVbだけ、単電池11の電圧値Vbが低下することになる。分極が解消すれば、電圧値Vbは、単電池11の開放電圧となる。
分極の解消に伴って、単電池11の電圧値Vbが低下すると、電圧値Vbが閾値V_thよりも低下することがある。特に、電圧変化量ΔVbが大きくなるほど、分極が解消した後の電圧値Vbは、閾値V_thよりも低下しやすくなる。
電圧変化量ΔVbは、単電池11に流れる電流値と、単電池11の内部抵抗との積で表される。このため、単電池11に流れる電流値(充電電流)が大きくなるほど、電圧変化量ΔVbが大きくなる。また、単電池11の内部抵抗が高くなるほど、電圧変化量ΔVbが大きくなる。ここで、単電池11の温度が低下するほど、単電池11の内部抵抗が上昇しやすくなる。
分極の解消に伴って、単電池11の電圧値Vbが閾値V_thよりも低くなると、アラーム確定回路63からは、アラーム信号が出力されず、トランジスタ68は、オフからオンに切り替わる。これにより、励磁コイル51への通電が許容され、システムメインリレーSMR−B,SMR−G、SMR−Pは、オフからオンに切り替わる。
システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオフからオンに切り替われば、組電池10(単電池11)の充放電が再開され、単電池11の電圧値Vbが再び閾値V_thよりも高くなってしまうことがある。電圧値Vbが閾値V_thよりも高くなれば、上述したように、電流遮断回路60によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わる。
上述した電圧値Vbの挙動によれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンおよびオフの間で繰り返して切り替わることになってしまう。このように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンおよびオフの間で繰り返して切り替わると、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの摩耗劣化が進行してしまう。
本実施例では、アラームラッチ回路64を設けているため、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力されたときには、図9に示すように、アラームラッチ回路64によってアラーム信号が保持される。アラーム信号が保持されれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフのままとなる。
これにより、図8に示す電圧値Vbの挙動によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンおよびオフの間で繰り返して切り替わることを防止できる。ここで、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフのままであるため、単電池11の電圧値Vbは、電圧変化量ΔVbだけ低下した状態に維持される。言い換えれば、単電池11の電圧値Vbは、開放電圧に維持される。
次に、電流遮断回路60の異常状態を判別する構成について、図10を用いて説明する。図10は、電流遮断回路60の一部の構成を示す図であり、電流遮断回路60の異常状態を判別するために、図5に示す構成に対して、後述するスイッチSW1,SW2を追加している。ここで、異常状態とは、電流遮断回路60が正常に動作していない状態をいう。
各電圧検出ラインL2には、スイッチSW1が設けられている。具体的には、スイッチSW1は、単電池11の電極端子(正極端子又は負極端子)および抵抗R2の間に設けられている。ここで、複数のスイッチSW1は、マルチプレクサによって構成することができる。各スイッチSW1は、電池ECU30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
スイッチSW2は、2つの電圧検出ラインL2を介して、単電池11と電気的に並列に接続されている。すなわち、スイッチSW2は、コンデンサCと電気的に並列に接続されたバイパス回路に設けられている。スイッチSW2は、電池ECU30からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
一方の電圧検出ラインL2に対するスイッチSW2の接続点は、一方の電圧検出ラインL2に対するコンデンサCの接続点と、コンパレータCMPとの間に位置している。また、他方の電圧検出ラインL2に対するスイッチSW2の接続点は、他方の電圧検出ラインL2に対するコンデンサCの接続点と、コンパレータCMPとの間に位置している。
図11に示すように、電池ECU30が、スイッチSW1a,SW1c,SW2aだけをオフからオンに切り替えると、単電池11Bに対応したコンデンサCbには、図11の点線で示す経路に沿って、単電池11A,11Bの電荷がチャージされる。すなわち、コンデンサCbの電圧値は、単電池11A,11Bの端子間電圧と等しくなる。これにより、コンパレータCMPbは、コンデンサCbの電圧値を出力する。
図6又は図7を用いて説明したように、アラーム確定回路63は、コンデンサCbの電圧値と、閾値(電圧値)V_thとを比較する。ここで、コンデンサCbの電圧値は、図11に示す単電池11Bの電圧値ではなく、単電池11A,11Bの電圧値であるため、閾値(電圧値)V_thよりも高くなりやすい。コンデンサCbの電圧値が、閾値(電圧値)V_thよりも高いと、アラーム確定回路63は、単電池11が過充電状態であることを示すアラーム信号を出力する。このアラーム信号は、電流遮断回路60の異常状態を判別するために用いられる。
アラーム確定回路63がアラーム信号を出力すれば、上述したように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わり、組電池10の充放電が停止する。組電池10の充放電が停止すれば、インバータ22に入力される電圧値が0[V]となったり、組電池10に流れる電流値が0[A]となったりする。
図11に示す例では、コンデンサCbの電圧値を、2つの単電池11A,11Bの電圧値としているが、これに限るものではない。すなわち、電気的に直列に接続された3つ以上の単電池11の電荷を、1つのコンデンサCにチャージすることにより、コンデンサCの電圧値を、3つ以上の単電池11の電圧値とすることができる。3つ以上の単電池11の電荷を、1つのコンデンサCにチャージするときでも、図11に示す場合と同様に、スイッチSW1,SW2のオン/オフを制御すればよい。
ここで、コンデンサCに電荷をチャージする単電池11の数は、コンデンサCの耐電圧を考慮して適宜設定することができる。すなわち、コンデンサCに電荷をチャージする複数の単電池11の電圧値が、コンデンサCの耐電圧を超えないように、単電池11の数を設定することができる。
また、組電池10を放電した後では、単電池11の電圧値が低下しているため、電池ECU30によって検出された単電池11の電圧値に基づいて、コンデンサCに電荷をチャージする単電池11の数を設定することができる。具体的には、単電池11の電圧値が低下しているほど、1つのコンデンサCに電荷をチャージする単電池11の数を増やすことができる。これにより、アラーム確定回路63に入力される電圧値を、閾値(電圧値)V_thよりも高くすることができ、アラーム確定回路63からアラーム信号を出力させることができる。
次に、電流遮断回路60の異常状態を判別する処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。図12に示す処理は、電池ECU30によって実行される。
ステップS201において、電池ECU30は、図10に示す複数のスイッチSW1,SW2におけるオン/オフを制御する。例えば、図11に示すように、2つの単電池11A,11Bの電荷をコンデンサCbにチャージするとき、電池ECU30は、スイッチSW1a,SW1c,SW2aだけをオフからオンに切り替える。ここで、スイッチSW1a,SW1c,SW2a以外の他のスイッチSW1,SW2については、オフのままにしておく。
ステップS201の処理を行うと、図11を用いて説明したように、コンデンサCbの電圧値が単電池11A,11Bの電圧値と等しくなり、アラーム確定回路63で比較される閾値(電圧値)V_thよりも高くなる。これにより、アラーム確定回路63は、アラーム信号を出力し、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替える。これに伴って、組電池10の充放電が停止する。
ステップS202において、電池ECU30は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、電池ECU30は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。閾値Vminは、組電池10の充放電が停止しているか否かを判別するための値であり、閾値Vminに関する情報は、メモリに記憶することができる。
ステップS201の処理によって、組電池10の充放電が停止しているため、インバータ22に入力される電圧値は、0[V]となる。このため、閾値Vminとしては、例えば、0[V]に設定することができる。なお、電圧センサ24の検出誤差を考慮して、閾値Vminを、0[V]よりも高い値に設定することもできる。
ステップS202において、電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、電池ECU30は、ステップS203の処理を行う。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、電池ECU30は、ステップS204の処理を行う。
ステップS203において、電池ECU30は、電流遮断回路60が異常状態であることを判別する。電流遮断回路60が正常に動作していれば、上述したように、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力され、組電池10の充放電が停止することになる。
一方、電流遮断回路60が異常状態であれば、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力されなかったり、アラームラッチ回路64の出力信号がトランジスタ68に入力されなかったりすることがある。この場合には、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンからオフに切り替わらず、組電池10の充放電が継続されることになる。
組電池10の充放電が継続されていれば、電圧値VLが閾値Vminよりも高くなる。この場合において、電池ECU30は、意図的にアラーム信号を出力させる制御を行っているにも関わらず、組電池10の充放電が停止していないことを確認することができる。これにより、電池ECU30は、電流遮断回路60が異常状態であることを判別することができる。
ステップS204において、電池ECU30は、電流遮断回路60が正常状態であることを判別する。電圧値VLが閾値Vminよりも低いときには、組電池10の充放電が停止していることになるため、電池ECU30は、電流遮断回路60が正常に動作していることを判別することができる。すなわち、電池ECU30は、意図的に生成したアラーム信号によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わっていることを確認することができる。
図12に示す処理では、電圧センサ24の出力に基づいて、電流遮断回路60の異常状態を判別しているが、これに限るものではない。上述したように、電流遮断回路60から出力されたアラーム信号によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わったときには、組電池10に電流が流れないことになる。このため、電流センサ21の出力に基づいて、電流遮断回路60の異常状態を判別することもできる。
具体的には、図13に示す処理を行うことにより、電流遮断回路60の異常状態を判別することができる。図13において、図12で説明した処理と同じ処理については、同一の符号を用いている。図13に示す処理では、図12に示すステップS202の処理の代わりに、ステップS205の処理を行っている。
ステップS205において、電池ECU30は、電流センサ21を用いて、組電池10に流れる電流値Ibを検出する。そして、電池ECU30は、電流値Ibが閾値Iminよりも大きいか否かを判別する。閾値Iminは、組電池10の充放電が停止しているか否かを判別するための値であり、閾値Iminに関する情報は、メモリに記憶することができる。
ステップS201の処理によって、組電池10の充放電が停止しているため、組電池10には電流が流れないことになる。このため、閾値Iminとしては、例えば、0[A]に設定することができる。なお、電流センサ21の検出誤差を考慮して、閾値Iminを、0[A]とは異なる値に設定することもできる。
上述したように、組電池10を放電しているときには、電流センサ21によって検出される電流値Ibが正の値となり、組電池10を充電しているときには、電流センサ21によって検出される電流値Ibが負の値となる。このため、ステップS205の処理において、電流値Ibおよび閾値Iminを比較するときには、これらの絶対値を比較することが好ましい。
ステップS205において、電流値Ibが閾値Iminよりも大きいとき、電池ECU30は、ステップS203の処理を行う。一方、電流値Ibが閾値Iminよりも小さいとき、電池ECU30は、ステップS204の処理を行う。
本実施例では、図10に示すスイッチSW1,SW2のオン/オフを制御することにより、アラーム確定回路63において、過充電の判別を行わせているが、これに限るものではない。具体的には、図6又は図7に示すアラーム確定回路63において、コンパレータ63aに入力される基準電圧(閾値V_th)を変更することにより、アラーム確定回路63において、過充電の判別を行わせることができる。
具体的には、図14に示すように、コンパレータ63aの負側入力端子には、スイッチ63cが接続されており、スイッチ63cを切り替えることにより、コンパレータ63aに入力される基準電圧を変更することができる。具体的には、基準電圧としての閾値V_th1又は閾値V_th2をコンパレータ63aに入力することができる。
電池ECU30は、スイッチ63cの駆動を制御することができる。閾値V_th1は、単電池11の過充電状態を判別するために用いられる。すなわち、閾値V_th1は、図6又は図7に示す閾値V_thと同じである。組電池10を充放電している間に、電流遮断回路60によって単電池11の過充電状態を判別するときには、電池ECU30は、スイッチ63cの駆動を制御して、閾値V_th1をコンパレータ63aに入力させる。
一方、閾値V_th2は、電流遮断回路60の異常状態を判別するために用いられる。そして、閾値V_th2は、閾値V_th1よりも低い値である。電流遮断回路60の異常状態を判別するとき、電池ECU30は、スイッチ63cの駆動を制御することにより、閾値V_th2をコンパレータ63aに入力させる。
閾値V_th2は、閾値V_th1よりも低いため、コンパレータ63aに入力される単電池11の電圧値Vbは、閾値V_th2よりも高くなりやすい。このため、閾値V_th2がコンパレータ63aに入力されているときには、アラーム確定回路63からアラーム信号が出力される。このアラーム信号によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替えることができ、図12又は図13に示す処理によって、電流遮断回路60が異常状態であるか否かを判別することができる。
図14に示す構成では、コンパレータ63aに入力される基準電圧を変更しているが、これに限るものではない。具体的には、図15に示すように、コンパレータ63aの負側入力端子に入力される基準電圧(閾値V_th)は変更せずに、コンパレータ63aの正側入力端子に入力される電圧値を変更することができる。
図15に示す構成において、コンパレータ63aの正側入力端子には、スイッチ63dが接続されている。スイッチ63dは、電池ECU30からの制御信号を受けて動作する。スイッチ63dは、単電池11の電圧値Vbをコンパレータ63aに入力させたり、電源からの電圧値Vcをコンパレータ63aに入力させたりする。電源としては、例えば、安定化電源を用いることができる。
電圧値Vcは、閾値V_thよりも高い値であり、適宜設定することができる。電圧値Vcをコンパレータ63aに入力したときには、電圧値Vcが閾値V_thよりも高くなるため、アラーム確定回路63は、アラーム信号を出力する。したがって、電流遮断回路60の異常状態を判別するとき、電池ECU30は、スイッチ63dの駆動を制御することにより、電圧値Vcをコンパレータ63aに入力させることができる。そして、図12又は図13に示す処理によって、電流遮断回路60が異常状態であるか否かを判別することができる。
なお、組電池10の充放電を行っている間に、電流遮断回路60によって単電池11の過充電状態を判別するときには、電池ECU30は、スイッチ63dの駆動を制御することにより、単電池11の電圧値Vbをコンパレータ63aに入力させることができる。これにより、単電池11が過充電状態であるときには、電流遮断回路60から出力されたアラーム信号によって、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンからオフに切り替えることができる。
本実施例によれば、単電池11が過充電状態ではなくても、電池ECU30から出力された指令に基づいて、電流遮断回路60において、単電池11が過充電状態であることを判別させることができる。言い換えれば、単電池11が過充電状態ではなくても、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させることができる。これにより、電流遮断回路60からアラーム信号が正常に出力されるか否かを確認することができ、電流遮断回路60が異常状態であるか否かを判別することができる。
上述したように、電流遮断回路60の異常状態を判別するためには、まず、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンにしておく。そして、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させ、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオンからオフに切り替わったこと、言い換えれば、組電池10が充放電されていないことを確認する。ここで、組電池10の充放電が継続されていれば、電流遮断回路60が異常状態であることを判別できる。一方、組電池10の充放電が停止していれば、電流遮断回路60が正常状態であることを判別できる。電流遮断回路60の異常状態を判別した後では、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオフに切り替えることができる。
このように、電流遮断回路60の異常状態を判別するためには、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンにしたり、オフにしたりする必要がある。このため、電流遮断回路60の異常状態を判別するために、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させなければならない。システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数が増えれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの摩耗劣化を進行させてしまう。
そこで、電流遮断回路60の異常状態を判別するときでも、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの動作回数が増えてしまうことを抑制する方法について、以下に説明する。
図16は、本実施例の電池システムにおける一部の構成を示す図である。システムメインリレーSMR−Bにおける励磁コイル51の一端は、接地ラインL_GNDを介して、接地されている。システムメインリレーSMR−Bにおける励磁コイル51の他端は、駆動ラインL_Bを介して、SMR駆動回路34bと接続されている。SMR駆動回路34bは、上位ECU34に含まれており、励磁コイル51の通電および非通電を制御する。
SMR駆動回路34bの動作によって、励磁コイル51に電流を流せば、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えることができる。また、SMR駆動回路34bの動作によって、励磁コイル51への通電を遮断すれば、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替えることができる。
システムメインリレーSMR−G,SMR−Pについても、システムメインリレーSMR−Bと同様の構成を有している。すなわち、各システムメインリレーSMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の一端は、接地ラインL_GNDを介して、接地されている。また、各システムメインリレーSMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の他端は、駆動ラインL_G,L_Pを介して、SMR駆動回路34bと接続されている。
SMR駆動回路34bは、各システムメインリレーSMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を制御し、各システムメインリレーSMR−G,SMR−Pをオンおよびオフの間で切り替えることができる。ここで、SMR駆動回路34bは、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電/非通電を独立して制御することができる。
システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの励磁コイル51は、共通の接地ラインL_GNDを介して接地されている。このため、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの励磁コイル51に対して、接地ラインL_GNDを個別に設ける場合に比べて、接地ラインL_GNDの数を減らすことができる。なお、各励磁コイル51に対して、接地ラインL_GNDを個別に設けることもできる。
接地ラインL_GNDには、電流遮断回路60が設けられている。上述したように、電流遮断回路60からアラーム信号が出力されれば、励磁コイル51への通電が遮断され、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オンからオフに切り替わる。電流遮断回路60からアラーム信号が出力されていれば、SMR駆動回路34bが、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pをオンにしようとしても、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pはオンに切り替わらない。
図16に示す構成では、接地ラインL_GNDに電流遮断回路60を設けているが、これに限るものではない。具体的には、図17に示すように、駆動ラインL_B,L_G,L_Pに対して電流遮断回路60を設けることができる。図17に示す構成であっても、電流遮断回路60からアラーム信号が出力されれば、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51への通電を遮断することができる。また、電流遮断回路60からアラーム信号が出力されなければ、SMR駆動回路34bの駆動に応じて、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電および非通電が切り替わる。
次に、図1に示す電池システムを起動状態(Ready-ON)にするときの処理について、図18に示すフローチャートを用いて説明する。図18に示す処理は、上位ECU34によって実行される。
また、図18に示す処理は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったときに開始される。図18に示す処理を開始する前において、電池システムは、停止状態(Ready-OFF)となっており、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフとなっている。
ステップS301において、上位ECU34(SMR駆動回路34b)は、イグニッションスイッチのオンに関する情報を受けたとき、まず、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる。電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理は、上述したとおりである。
また、ステップS301において、上位ECU34は、アラーム信号を出力させる処理を行った後に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、各システムメインリレーSMR−B,SMR−Pの励磁コイル51に電流を流す処理を行う。ここで、システムメインリレーSMR−Gについては、上位ECU34は、オフのままにしておく。
上述したように、電流遮断回路60が正常状態であれば、SMR駆動回路34bが各システムメインリレーSMR−B,SMR−Pの励磁コイル51に電流を流そうとしても、励磁コイル51には、電流が流れない。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、オフからオンに切り替わらない。一方、電流遮断回路60が異常状態であれば、各システムメインリレーSMR−B,SMR−Pの励磁コイル51に電流が流れ、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、オフからオンに切り替わる。
ステップS302において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、上位ECU34は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、図12に示すステップS202の処理で説明した閾値Vminと同じである。
ステップS301の処理では、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理を行っているため、電流遮断回路60が正常状態であれば、SMR駆動回路34bがシステムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンにしようとしても、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pはオンに切り替わらない。言い換えれば、組電池10の充放電は行われない。したがって、電圧値VLは、閾値Vminよりも低くなる。
一方、電流遮断回路60が異常状態であれば、電流遮断回路60からアラーム信号が出力されないため、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、SMR駆動回路34bの動作によって、オフからオンに切り替わる。これにより、組電池10が負荷(図1に示すインバータ22)と接続され、組電池10の充放電が行われることになる。したがって、電圧値VLは、閾値Vminよりも高くなる。
ステップS302において、電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS303の処理を行う。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS304の処理を行う。
ステップS303において、上位ECU34は、電流遮断回路60が異常状態であることを判別する。ステップS303の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS307の処理を行う。ステップS303の処理は、図12に示すステップS203の処理と同様である。ステップS302からステップS304の処理に進むとき、上位ECU34は、電流遮断回路60が正常状態であることを確認することができる。
ステップS304において、上位ECU34は、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理を停止させる。また、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理を行う。ここで、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Bをオンのままとし、システムメインリレーSMR−Gをオフのままとする。
電流遮断回路60が正常状態であるときには、アラーム信号を出力させる処理を停止させることに伴って、システムメインリレーSMR−Bは、オフからオンに切り替わる。すなわち、ステップS301の処理によって、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Bの励磁コイル51に対する通電を許可し続けているため、電流遮断回路60からアラーム信号が出力されなくなれば、システムメインリレーSMR−Bは、オフからオンに切り替わる。
また、正常状態の電流遮断回路60からアラーム信号が出力されているときには、SMR駆動回路34bが、システムメインリレーSMR−Pの励磁コイル51に対する通電を許可していても、励磁コイル51には電流が流れない。このため、電流遮断回路60が正常状態であるときには、ステップS301からステップS304までの処理において、システムメインリレーSMR−Pは、オフからオンに切り替わらない。
ステップS305において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、上位ECU34は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、ステップS302の処理で説明した閾値Vminと同じである。電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS306の処理を行い、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS308の処理を行う。
ステップS304の処理では、システムメインリレーSMR−Bだけがオンとなっている。この状態において、電圧値VLが閾値Vminよりも高いときには、組電池10が負荷(インバータ22)に接続されていると判別することができる。ステップS301からステップS304までの処理において、システムメインリレーSMR−Gは、オフのままである。一方、ステップS301からステップS304までの処理において、システムメインリレーSMR−Pは、オンおよびオフの間で切り替えられている。
このため、電圧値VLが閾値Vminよりも高くなっているときには、ステップS301の処理によって、システムメインリレーSMR−Pがオンの状態で固着していることを判別することができる。そこで、ステップS306において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Pが固着して異常状態であることを判別する。ステップS306の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS307の処理を行う。
ステップS307において、上位ECU34は、電池システムにおいて、異常が発生していることを警告する。ここでの異常には、ステップS303の処理で判別された電流遮断回路60の異常状態や、ステップS306の処理で判別されたシステムメインリレーSMR−Pの異常状態が含まれる。ここで、電池システムに異常が発生しているとき、上位ECU34は、電池システムの起動を許可しないことができる。すなわち、電池システムに異常が発生しているときには、電池システムを停止状態(Ready-OFF)のままとすることができる。
異常が発生したことの警告は、ユーザなどに行うことができる。また、警告を行う方法は、ユーザなどが警告を認識できる方法であればよく、例えば、音又は表示を用いて警告を行うことができる。音を用いた警告では、警告を示す音をスピーカから出力させることができる。また、表示を用いた警告では、警告を示す情報をディスプレイに表示させることができる。このような警告を行うことにより、ユーザなどは、電池システムに異常が発生していることを認識することができ、ディーラでの点検などといった対処を行うことができる。
ステップS308において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Pの励磁コイル51に対して電流を流す。ここで、電流遮断回路50からはアラーム信号が出力されていないため、システムメインリレーSMR−Pは、SMR駆動回路34bの動作によって、オフからオンに切り替わる。
ステップS304の処理によって、システムメインリレーSMR−Bがオフからオンに切り替わっている。このため、ステップS308の処理によって、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替えることにより、組電池10は、負荷(インバータ22)と接続される。
ここで、組電池10の放電電流は、電流制限抵抗R1を介して、コンデンサ25に流れ、コンデンサ25が充電される。放電電流を電流制限抵抗R1に流すことにより、コンデンサ25に突入電流が流れてしまうことを抑制できる。コンデンサ25が充電されることに伴い、電圧センサ24によって検出される電圧値VLが上昇する。コンデンサ25の充電が完了すると、コンデンサ25の電圧値、言い換えれば、電圧センサ24によって検出される電圧値VLは、組電池10の電圧値と等しくなる。
ステップS309において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理を行うとともに、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Pの励磁コイル51に対する通電を遮断するとともに、システムメインリレーSMR−Gの励磁コイル51に電流を流す。
ここで、ステップS309の処理は、コンデンサ25の充電が完了した後に行われる。ステップS309の処理が終了すると、電池システムは、起動状態(Ready-ON)となり、図18に示す処理が終了する。
図19には、図18に示す処理を行うときにおいて、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動指令と、電流遮断回路60の動作とを示す。ここで、図19に示すSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動指令は、SMR駆動回路34bの動作を示しており、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示すものではない。
ステップS301の処理で説明したように、イグニッションスイッチのオンに関する情報が、上位ECU34に入力されると、時刻t11において、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理が開始される。そして、時刻t12において、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理が行われる。
本実施例では、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理と、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理とを、互いに異なる時刻t11,t12に行っているが、これに限るものではない。具体的には、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理と、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理とを、同一の時刻に行うこともできる。
また、本実施例では、同一の時刻t12において、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理を行っているが、これに限るものではない。具体的には、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替える処理と、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える処理とを、互いに異なる時刻で行うこともできる。ただし、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える処理は、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理を行っている間に行う必要がある。
電流遮断回路60が異常状態であれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオフからオンに切り替わることにより、組電池10が負荷(インバータ22)と接続される。これに伴い、図19の点線で示すように、時刻t12以降において、電圧値VLが上昇する。この電圧値VLの挙動を監視することにより、電流遮断回路60が異常状態であるか否かを判別することができる。
時刻t13では、図18に示すステップS304の処理が行われる。すなわち、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理が行われるとともに、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理が停止される。時刻t13以降では、システムメインリレーSMR−Bだけがオンになっているが、システムメインリレーSMR−Pがオンの状態で固着しているときには、図19の点線で示すように、電圧値VLが上昇する。この電圧値VLの挙動を監視することにより、システムメインリレーSMR−Pが固着しているか否かを判別することができる。
本実施例では、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理と、アラーム信号の出力を停止させる処理とを、同一の時刻t13において行っているが、これに限るものではない。すなわち、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理と、アラーム信号の出力を停止させる処理とを、互いに異なる時刻で行うこともできる。ただし、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理は、アラーム信号を出力させる処理を行っている間、言い換えれば、アラーム信号の出力を停止させる処理を行う前に行う必要がある。
時刻t14では、図18に示すステップS308の処理が行われる。時刻t14以降では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオンになるため、電圧値VLが上昇する。時刻t15では、図18に示すステップS309の処理が行われる。時刻t15以降では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gだけがオンになり、電池システムが起動状態(Ready-ON)となる。
本実施例では、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理と、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替える処理とを、同一の時刻t15で行っているが、これに限るものではない。具体的には、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える前に、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えることができる。
電流遮断回路60の異常状態を判別しないときには、図20に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させることができる。ここで、図20に示す「SMR−B,SMR−G,SMR−Pの動作」は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示す。
図20に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させれば、図19を用いて説明した場合と同様に、システムメインリレーSMR−Pの固着状態を判別したり、コンデンサ25を充電したり、電池システムを起動状態(Ready-ON)としたりすることができる。
一方、本実施例で説明したように、電池システムを起動状態(Ready-ON)とする間に、電流遮断回路60の異常状態を判別するとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、図21に示すように動作する。図21は、図19に対応した図である。ここで、図21に示す「SMR−B,SMR−G,SMR−Pの動作」は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示す。また、図21では、電流遮断回路60が正常状態にあるものとしている。
図20および図21を比較すれば分かるように、電流遮断回路60の異常状態を判別しない場合(図20)と、電流遮断回路60の異常状態を判別する場合(図21)とにおいて、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数は、等しい。すなわち、図18に示す処理を行うことにより、電流遮断回路60の異常状態を判別するために、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数が増えることもない。これにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの摩耗劣化が進行してしまうことを抑制できる。
なお、電流遮断回路60が異常状態にあるときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、図19に示すように、オンおよびオフの間で切り替わる。これにより、図19に示す時刻t12,t13の間において、電流遮断回路60が異常状態にあることを判別することができる。
本実施例では、図16又は図17を用いて説明したように、電流遮断回路60が、すべてのシステムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断しているが、これに限るものではない。図19に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動を制御するときには、電流遮断回路60が、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断することができる。ここで、システムメインリレーSMR−Gにおける励磁コイル51の通電は、電流遮断回路60によって遮断されない。
また、電流遮断回路60は、システムメインリレーSMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断することができる。ここで、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gにおける励磁コイル51の通電は、電流遮断回路60によって遮断されない。このように、電流遮断回路60が、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断したり、システムメインリレーSMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断したりする構成であっても、本実施例と同様の効果を得ることができる。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数を増やすことなく、電流遮断回路60の異常状態を判別することができる。
本発明の実施例3である電池システムについて説明する。本実施例において、実施例1,2で説明した構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1,2と異なる点について、主に説明する。
実施例1では、電池システムを起動状態(Ready-ON)とする間に、電流遮断回路60の異常状態を判別している。一方、本実施例では、電池システムを停止状態(Ready-OFF)とする間に、電流遮断回路60の異常状態を判別している。ここで、電池システムを起動状態(Ready-ON)にするときと、電池システムを停止状態(Ready-OFF)にするときの両方において、電流遮断回路60の異常状態を判別することもできる。
図25および図26は、本実施例において、電池システムを停止状態(Ready-OFF)とするときの処理を示すフローチャートである。図25および図26に示す処理は、上位ECU34によって実行される。また、図25および図26に示す処理は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときに開始される。図25および図26に示す処理を開始する前において、電池システムは、起動状態(Ready-ON)となっており、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gがオンとなっている。
ステップS501において、上位ECU34(SMR駆動回路34b)は、イグニッションスイッチのオフに関する情報を受けたとき、システムメインリレーSMR−Gをオンからオフに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Gの励磁コイル51に対する通電を遮断する。システムメインリレーSMR−Gをオンからオフに切り替えることにより、組電池10および負荷(インバータ22)の接続が遮断され、組電池10の充放電が停止する。
ステップS502において、上位ECU34は、コンデンサ25(図1参照)の放電が完了するまで待機する。例えば、まず、コンデンサ25の放電が完了するまでの時間(放電完了時間という)を予め求めておく。上位ECU34は、タイマを用いて、ステップS501の処理を行ってからの時間を計測し、計測時間が放電完了時間に到達したときに、コンデンサ25の放電が完了したことを判別することができる。組電池10および負荷(インバータ22)の接続を遮断すると、コンデンサ25に蓄積された電荷が放出される。これに伴い、電圧センサ24によって検出される電圧値VLが低下し始める。
ステップS503において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、上位ECU34は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、図18に示すステップS302の処理で説明した閾値Vminと同じである。
電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS504の処理を行う。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS505の処理を行う。組電池10および負荷(インバータ22)の接続を遮断すると、上述したように、電圧値VLが低下し、閾値Vminよりも低くなる。
ここで、システムメインリレーSMR−Gをオンからオフに切り替える処理を行ったにも関わらず、電圧値VLが閾値Vminよりも高いときには、組電池10が負荷(インバータ22)と接続されていると判別することができる。言い換えれば、システムメインリレーSMR−Gは、オンの状態に固着していると判別することができる。
そこで、ステップS503からステップS504の処理に進んだとき、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Gが固着状態であると判別する。ステップS504の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS505の処理を行う。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低ければ、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Gがオンの状態に固着していなく、正常状態であると判別することができる。
ステップS505において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Bの励磁コイル51に対する通電を遮断する。
ステップS506において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、上位ECU34は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、ステップS503の処理で説明した閾値Vminと同じである。電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS507の処理を行う。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS508の処理を行う。組電池10および負荷(インバータ22)の接続を遮断すると、上述したように、電圧値VLが低下し、閾値Vminよりも低くなる。
ステップS505の処理によって、システムメインリレーSMR−Bがオンからオフに切り替われば、組電池10および負荷(インバータ22)の接続を遮断することができ、電圧値VLを低下させることができる。一方、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理を行っても、電圧値VLが閾値Vminよりも高いときには、組電池10および負荷(インバータ22)が接続されていると判別することができる。
ここで、ステップS504の処理では、システムメインリレーSMR−Gが固着状態であることを判別している。この状態において、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替わる処理を行っても、電圧値VLが閾値Vminよりも高いときには、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態で固着していることになる。したがって、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Bが異常状態であることを判別できる。
システムメインリレーSMR−Gがオンの状態で固着していても、システムメインリレーSMR−Bを正常にオンからオフに切り替えることができれば、組電池10および負荷(インバータ22)の接続を遮断することができる。言い換えれば、電圧値VLを閾値Vminよりも低くすることができる。システムメインリレーSMR−Gがオンの状態で固着しているときに、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理を行っても、電圧値VLが閾値Vminよりも高ければ、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bが固着して異常状態であることを判別できる。
ステップS507の処理では、上述したように、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bが固着状態であることを判別する。ステップS507の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS514の処理を行う。また、ステップS504の処理において、システムメインリレーSMR−Gが固着状態であることを判別したときでも、上位ECU34は、ステップS514の処理を行う。
ステップS508において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Pの励磁コイル51に対する通電を開始する。これにより、システムメインリレーSMR−Pは、オフからオンに切り替わる。
ステップS509において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、電池ECU30は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、ステップS503の処理で説明した閾値Vminと同じである。
ステップS508の処理によって、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替えた後において、電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態で固着していると判別することができる。すなわち、システムメインリレーSMR−Pだけでなく、システムメインリレーSMR−Bもオンであれば、組電池10が負荷(インバータ22)と接続されており、電圧値VLが閾値Vminよりも高くなる。
そこで、電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS510において、システムメインリレーSMR−Bが固着して異常状態であることを判別する。ステップS510の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS514の処理を行う。一方、ステップS509の処理において、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS511の処理を行う。
ステップS511において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、システムメインリレーSMR−Bの励磁コイル51に電流を流す。また、ステップS511において、上位ECU34は、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理を行う。
ここで、電流遮断回路60が正常状態にあるとき、アラーム信号の出力によって、システムメインリレーSMR−Bは、オフのままとなる。すなわち、SMR駆動回路34bがシステムメインリレーSMR−Bの励磁コイル51に電流を流そうとしても、励磁コイル51には電流が流れない。また、アラーム信号の出力によって、システムメインリレーSMR−Pは、オンからオフに切り替わる。すなわち、SMR駆動回路34bがシステムメインリレーSMR−Pの励磁コイル51に電流を流していても、電流遮断回路60によって、励磁コイル51への通電が遮断される。
一方、電流遮断回路60が異常状態にあるときには、アラーム信号が出力されない。このため、ステップS511の処理によって、システムメインリレーSMR−Bは、オフからオンに切り替わる。一方、システムメインリレーSMR−Pは、オンのままとなる。
ステップS512において、上位ECU34は、電圧センサ24を用いて、インバータ22に入力される電圧値VLを検出する。そして、電池ECU30は、電圧値VLが閾値(電圧値)Vminよりも高いか否かを判別する。この閾値Vminは、ステップS503の処理で説明した閾値Vminと同じである。
電圧値VLが閾値Vminよりも高いとき、上位ECU34は、ステップS513の処理を行う。上述したように、電流遮断回路60が異常状態にあるときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオンになるため、電圧値VLは閾値Vminよりも高くなる。一方、電圧値VLが閾値Vminよりも低いとき、上位ECU34は、ステップS515の処理を行う。上述したように、電流遮断回路60が正常状態にあるときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオフになるため、電圧値VLは閾値Vminよりも低くなる。
ステップS513において、上位ECU34は、電流遮断回路60が異常状態であることを判別する。ステップS513の処理を行った後、上位ECU34は、ステップS514の処理を行う。ステップS513の処理は、図18に示すステップS303の処理と同様である。ステップS512からステップS515の処理に進むとき、上位ECU34は、電流遮断回路60が正常状態であることを確認することができる。
ステップS514において、上位ECU34は、電池システムにおいて、異常が発生していることを警告する。ここでの異常には、ステップS504の処理で判別されたシステムメインリレーSMR−Gの異常状態や、ステップS507の処理で判別されたシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの異常状態や、ステップS510の処理で判別されたシステムメインリレーSMR−Bの異常状態や、ステップS513の処理で判別された電流遮断回路60の異常状態が含まれる。
ここで、電池システムに異常が発生しているとき、上位ECU34は、電池システムを停止状態(Ready-OFF)にすることができる。ステップS514の処理は、図18に示すステップS307の処理と同様である。
ステップS515において、上位ECU34は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンからオフに切り替える処理を行う。具体的には、SMR駆動回路34bは、各システムメインリレーSMR−B,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断する。また、ステップS515において、上位ECU34は、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理を停止させる。
アラーム信号の出力を停止させれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、SMR駆動回路34bの動作に応じて、オンからオフに切り替わる。すなわち、電流遮断回路60が正常状態であれば、システムメインリレーSMR−Pは、オンからオフに切り替わる。なお、電流遮断回路60が正常状態にあるとき、システムメインリレーSMR−Bは、上述したようにオフのままとなる。ステップS515の処理を行うことにより、電池システムを停止状態(Ready-OFF)とすることができる。
図27には、図25および図26に示す処理を行うときにおいて、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動指令と、電流遮断回路60の動作とを示す。ここで、図27に示すSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動指令は、SMR駆動回路34bの動作を示しており、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示すものではない。
ステップS501の処理で説明したように、イグニッションスイッチのオフに関する情報が、上位ECU34に入力されると、時刻t21において、システムメインリレーSMR−Gをオンからオフに切り替える処理が行われる。これにより、時刻t21以降では、コンデンサ25の放電が開始され、電圧値VLが低下し始める。時刻t21から時刻t22までの間では、図25に示すステップS502の処理が行われる。
コンデンサ25の放電が完了すると、時刻t22から時刻t23までの間において、システムメインリレーSMR−Gがオンの状態で固着しているか否かが判別される。すなわち、時刻t22から時刻t23までの間では、図25に示すステップS503の処理が行われる。システムメインリレーSMR−Gがオンの状態で固着しているときには、図27の点線で示すように、時刻t22以降において、電圧値VLが上昇する。この電圧値VLの挙動を監視することにより、システムメインリレーSMR−Gが固着しているか否かを判別することができる。
時刻t23では、図25に示すステップS505の処理が行われる。すなわち、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理が行われる。時刻t23以降では、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bをオフにする処理を行っているが、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bがオンの状態で固着しているときには、図27の点線で示すように、電圧値VLが上昇したままとなる。この電圧値VLの挙動を監視することにより、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bが固着しているか否かを判別することができる。
時刻t24では、図25に示すステップS508の処理が行われる。時刻t24以降では、システムメインリレーSMR−Pだけがオンになるが、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態で固着しているときには、図27の点線で示すように、電圧値VLが上昇する。この電圧値VLの挙動を監視することにより、システムメインリレーSMR−Bが固着しているか否かを判別することができる。なお、時刻t24から時刻t25までの間では、図26に示すステップS509の処理が行われる。
時刻t25では、図26に示すステップS511の処理が行われる。すなわち、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替える処理が行われるとともに、電流遮断回路60からアラーム信号を出力させる処理が行われる。電流遮断回路60が異常状態であれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオンになることにより、組電池10が負荷(インバータ22)と接続される。これに伴い、図27の点線で示すように、時刻t25以降において、電圧値VLが上昇する。この電圧値VLの挙動を監視することにより、電流遮断回路60が異常状態であるか否かを判別することができる。
一方、電流遮断回路60が正常状態であれば、システムメインリレーSMR−Bはオフのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオンのままである。このとき、システムメインリレーSMR−Pだけがオンであるため、組電池10は負荷(インバータ22)と接続されず、電圧値VLは上昇しない。時刻t25から時刻t26までの間では、図26に示すステップS512の処理が行われる。
なお、本実施例では、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替える処理と、アラーム信号を出力させる処理とを、同一の時刻t25において行っているが、これに限るものではない。具体的には、アラーム信号を出力させる処理を行った後に、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替える処理を行うこともできる。
時刻t26では、図26に示すステップS515の処理が行われる。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンからオフに切り替える処理が行われるとともに、アラーム信号の出力を停止させる処理が行われる。時刻t26では、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pがオフとなっており、電池システムが停止状態(Ready-OFF)となる。
なお、本実施例では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンからオフに切り替える処理と、アラーム信号の出力を停止させる処理とを、同一の時刻t26において行っているが、これに限るものではない。具体的には、アラーム信号の出力を停止させる処理を行う前に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンからオフに切り替える処理を行うことができる。
また、本実施例では、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理と、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理とを、同一の時刻t26において行っているが、これに限るものではない。具体的には、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える処理と、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える処理とを、互いに異なる時刻で行うことができる。ただし、アラーム信号の出力を停止させる処理を行う前に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオンからオフに切り替える処理を行う必要がある。
電流遮断回路60の異常状態を判別しないときには、図28に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させることができる。ここで、図28に示す「SMR−B,SMR−G,SMR−Pの動作」は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示す。
図28に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させれば、図27を用いて説明した場合と同様に、システムメインリレーSMR−G,SMR−Bの固着状態を判別したり、電池システムを停止状態(Ready-OFF)としたりすることができる。
一方、本実施例で説明したように、電池システムを停止状態(Ready-OFF)とする間に、電流遮断回路60の異常状態を判別するとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、図29に示すように動作する。図29は、図27に対応した図である。ここで、図29に示す「SMR−B,SMR−G,SMR−Pの動作」は、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの実際の動作を示す。また、図29では、電流遮断回路60が正常状態にあるものとしている。
図28および図29を比較すれば分かるように、電流遮断回路60の異常状態を判別しない場合(図28)と、電流遮断回路60の異常状態を判別する場合(図29)とにおいて、各システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数は、等しい。すなわち、図25および図26に示す処理を行うことにより、電流遮断回路60の異常状態を判別するために、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数が増えることもない。これにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの摩耗劣化が進行してしまうことを抑制できる。
なお、電流遮断回路60が異常状態にあるときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pは、図27に示すように、オンおよびオフの間で切り替わる。これにより、図27に示す時刻t25,t26の間において、電流遮断回路60が異常状態にあることを判別することができる。
図27に示すように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pの駆動を制御するときには、電流遮断回路60が、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断することができる。ここで、システムメインリレーSMR−Gにおける励磁コイル51の通電は、電流遮断回路60によって遮断されない。また、電流遮断回路60は、システムメインリレーSMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断することができる。ここで、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gにおける励磁コイル51の通電は、電流遮断回路60によって遮断されない。
このように、電流遮断回路60が、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断したり、システムメインリレーSMR−Pにおける励磁コイル51の通電を遮断したりする構成であっても、本実施例と同様の効果を得ることができる。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを動作させる回数を増やすことなく、電流遮断回路60の異常状態を判別することができる。
上述した実施例1〜3では、3つのシステムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pを用いて、組電池10および負荷(インバータ22)を接続したり、組電池10および負荷の接続を遮断したりしているが、これに限るものではない。例えば、システムメインリレーSMR−Pを省略して、2つのシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gを用いることもできる。また、2つのシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gのうち、一方を省略することもできる。