JP3940508B2 - 二次電池の保護回路装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の保護回路装置に係り、特に過充電保護機能に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、二次電池を使用した電池パックでは、二次電池を過充電や過放電から保護する保護回路装置が内蔵されている。この保護回路装置は、具体的には二次電池の充放電路、すなわち二次電池と充電器や負荷が接続される外部接続端子との間に、MOS−FETからなる充電制御スイッチ素子と放電制御用スイッチ素子を直列に挿入し、充電時に電池電圧が充電禁止電圧に達したとき、充電制御スイッチ素子をオフ状態にして充電を停止し、放電時には電池電圧が放電禁止電圧に達したとき、放電制御用スイッチ素子をオフ状態にして放電を停止させるように構成される。
【0003】
このような二次電池の保護回路装置において、従来では過充電防止を防止するために、電池電圧を充電禁止電圧に相当する基準電圧(以下、充電禁止基準電圧という)と比較する電圧比較器(過充電検出用電圧比較器)を設け、この電圧比較器の出力によって、電池電圧が充電禁止基準電圧に達したとき充電制御スイッチ素子をオフ状態にするようにしている。また、この過充電検出用電圧比較器にヒステリシスを持たせ、電池電圧が充電禁止基準電圧より低い充電禁止解除電圧まで低下した場合に、この電圧比較器の出力によって充電制御スイッチ素子を再度オン状態にして充電を開始させるようにしている。
【0004】
過充電検出用電圧比較器にヒステリシスを持たせない場合は、電池電圧が充電禁止基準電圧に達して充電制御スイッチ素子がオフ状態になり、電池電圧が充電禁止基準電圧より低くなると充電制御スイッチ素子がオン状態となって充電が再開するという充電制御スイッチ素子のオン/オフ動作が短時間で繰り返され、過充電禁止動作のチャタリングが起こる。過充電検出用電圧比較器にヒステリシスを持たせれば、充電制御スイッチ素子が一旦オフ状態になると、充電禁止解除電圧まで低下しない限りオフ状態を保持するので、このような充電禁止動作のチャタリングが防止される。
【0005】
二次電池がリチウムイオン電池の場合を例にとると、例えば、充電禁止基準電圧は4.35V、過充電検出用電圧比較器のヒステリシス(充電禁止基準電圧と充電解除電圧との差)は通常、数mV〜300mV程度にそれぞれ設定される。しかし、現実にはこのヒステリシスが有効でない条件が存在し、そのような条件では過充電禁止動作のチャタリングを避けることができない。
【0006】
通常、パーソナルコンピュータなどの機器の電源として使用される二次電池は専用の充電器によって充電される。ところが、充電禁止解除電圧より十分に低い電圧の二次電池に対して、例えば自動車用蓄電池(カーバッテリ)を充電用電源として用いて、通常の充電器による充電電圧・充電電流の2倍以上の高電圧・大電流で充電を行うと、電池電圧が急激に上昇し、瞬時に充電禁止電圧に達して充電制御スイッチ素子がオフ状態となり、充電が停止される。
【0007】
このように自動車用蓄電池などの高電圧、大電流の充電用電源を二次電池にせ接続すると、充電開始後に瞬時に充電電流が遮断されるため、実際の積算充電量は非常に僅かであり、充電電流が遮断されると電池電圧は瞬時に元の値に戻ってしまう。電池電圧が元の値に戻り、充電禁止解除電圧以下になると充電が再開されるが、瞬時に充電禁止電圧に達して再び充電電流が遮断されるという動作が繰り返されることになり、過充電検出用電圧比較器にヒステリシスを持たせても、過充電禁止動作のチャタリングが起こる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の二次電池の保護回路装置では、通常の充電器より充電電圧・充電電流が極端に大きい充電用電源によって二次電池の誤充電を行った場合には、ヒステリシスを有する過充電検出用電圧比較器を用いても、過充電禁止動作のチャタリングを防止することができない。従って、充電制御スイッチ素子が大電流で高速のスイッチング動作を強いられるため、素子の発熱が起こり、条件によっては素子が破壊されたり、発火に至る可能性がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、通常の充電器より充電電圧・充電電流が極端に大きい充電用電源によって二次電池の誤充電を行った場合でも、過充電充電禁止動作のチャタリングを確実に防止できる二次電池の保護回路装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は二次電池の充電時に電池電圧が充電禁止基準電圧に達し、充電制御用スイッチ素子をオフ状態として充電電流を遮断している状態のとき、充電用電源の電圧と電池電圧との電圧差が所定値以上の場合には、本来の充電器で使用される充電用電源と異なる高電圧、大電流の充電用電源が接続されていると判断して、充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持することにより、充電禁止動作のチャタリングを防止するようにしたものである。
【0011】
第1の態様によると、本発明に係る二次電池の保護回路装置は、二次電池と充電用電源との間の充電路に挿入される充電制御用スイッチ素子と、二次電池の電圧を充電禁止基準電圧と比較する電圧比較手段と、この電圧比較手段の出力に基づいて、二次電池の電圧が充電禁止基準電圧より高い場合に充電制御用スイッチ素子をオフ状態にするスイッチ駆動手段と、充電制御用スイッ素子がオフ状態のときの充電用電源の電圧と二次電池の電圧との電圧差を検出し、この電圧差が所定値以上のときオン状態となることにより、充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持する電圧差検出用スイッチ素子とを有する。
【0012】
充電制御用スイッチ素子としては、例えばドレインが二次電池側に接続され、ソースが充電用電源側に接続された第1のFETが用いられる。電圧差検出用スイッチ素子は、例えばドレインが第1のFETのゲートに接続され、ソースが第1のFETのソースに接続され、ゲートがスイッチ駆動手段の出力端子および第1のFETのドレインに接続された第2のFETが用いられる。
【0013】
また、充電制御用スイッチ素子として、例えばドレインが二次電池側に接続され、ソースが充電用電源側に接続されたFETを用い、電圧差検出用スイッチ素子は、例えばコレクタがFETのゲートに接続され、エミッタがFETのソースに接続され、ベースがスイッチ駆動手段の出力端子およびFETのドレインに接続されたバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0014】
第2の態様によると、本発明に係る二次電池の保護回路装置は、二次電池と充電用電源との間の充電路に挿入される充電制御用スイッチ素子と、この充電制御用スイッチ素子の制御端子と充電用電源側の端子との間に接続され、制御端子が充電制御用スイッチ素子の二次電池側の端子に接続された電圧差検出用スイッチ素子と、二次電池の電圧を充電禁止基準電圧と比較する電圧比較手段と、この電圧比較手段の出力に基づいて、二次電池の電圧が充電禁止基準電圧より高い場合に電圧差検出用スイッチ素子をオン状態にするスイッチ駆動手段とを有し、電圧差検出用スイッチ素子は、充電制御用スイッチ素子がオフ状態のときの充電用電源の電圧と二次電池の電圧との電圧差が所定値以上のときオン状態となることにより、充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持することを特徴とする。
【0015】
ここで、充電制御用スイッチ素子としては、例えばドレインが二次電池側に接続され、ソースが充電用電源側に接続された第1のFETが用いられる。電圧差検出用スイッチ素子は、例えばドレインが第1のFETのゲートに接続され、ソースが第1のFETのソースに接続され、ゲートがスイッチ駆動手段の出力端子および第1のFETのドレインに接続された第2のFETが用いられる。
【0016】
また、充電制御用スイッチ素子として、例えばドレインが二次電池側に接続され、ソースが充電用電源側に接続されたFETを用い、電圧差検出用スイッチ素子として、例えばコレクタがFETのゲートに接続され、エミッタがFETのソースに接続され、ベースがスイッチ駆動手段の出力端子およびFETのドレインに接続されたバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二次電池の保護回路装置の構成を示す図である。図1において、保護回路装置1Aは電池接続端子2a,2bと外部接続端子3a,3bを有し、電池接続端子2a,2b間に二次電池4が接続され、外部接続端子3a,3b間に外部装置5が接続される。二次電池4は、例えばリチウムイオン電池であり、その端子電圧を3.8Vとする。外部装置5としては、二次電池4の充電時には充電用電源として専用の充電器が接続され、放電時には負荷、つまり二次電池4を電源として使用する各種の電子機器がそれぞれ接続される。
【0018】
次に、保護回路装置1Aの詳細な構成について説明する。
まず、二次電池4のマイナス側の充放電路である外部接続端子3bと電池接続端子2bとの間に、充電制御用スイッチ素子であるFET(以下、充電制御用FETという)11と、放電制御用スイッチ素子であるFET(以下、放電制御用FETという)12が直列に接続されている。この例では充電制御用FET11および放電制御用FET12に、NチャネルMOS−FETを用いている。すなわち、充電制御用FET11のソースはマイナス側の外部接続端子3bに接続され、ドレインは放電制御用FET12のドレインに接続され、放電制御用FET12のソースはマイナス側の電池接続端子2bに接続される。
【0019】
D11,D12はそれぞれ充電制御用FET11、放電制御用FET12のドレイン・ソース間の寄生ダイオードであり、充電制御用FET11および放電制御用FET12は、二次電池4からの放電電流の方向が寄生ダイオードD11の順方向となり、二次電池4への充電電流の方向が寄生ダイオードD12の順方向となるように接続される。
【0020】
また、電圧差検出用スイッチ素子であるFET(以下、電圧差検出用FETという)13が設けられている。この電圧差検出用FET13は、充電器(充電用電源)の電圧と二次電池4の電圧(以下、電池電圧という)Vbとの電圧差を検出し、この電圧差が所定値以上のときオン状態となって充電制御用FET11をオフ状態に保持するものであり、そのゲートは保護用抵抗20を介して充電制御用FET11のドレインに接続され、ソースは充電制御用FET11のソースに接続され、ドレインは充電制御用FET11のゲートに接続されている。
【0021】
制御IC10Aは、充電制御用FET11および放電制御用FET12を制御する回路であり、過充電検出用電圧比較器14、過放電検出用電圧比較器15、FET駆動回路16および17によって構成される。充電制御用FET11は、過充電検出用電圧比較器14の出力に従ってFET駆動回路16により駆動され、放電制御用FET12は、過放電検出用電圧比較器15の出力に従ってFET駆動回路17により駆動される。
【0022】
過充電検出用電圧比較器14は、電池電圧Vbと二次電池4に対して予め定められた充電禁止基準電圧V1(例えば、V1=4.35V)を比較し、電池電圧Vbが充電禁止基準電圧V1以上になると出力が低レベルから高レベルに反転するように構成される。FET駆動回路16は、その出力端子が抵抗18を介して充電制御用FET11のゲートに接続されており、過充電検出用電圧比較器14の出力が高レベルになると出力端子が高レベルから低レベルに反転することにより、充電制御用FET11をオフ状態にする。
【0023】
また、過充電検出用電圧比較器14はヒステリシス特性を持っており、電池電圧Vbが充電禁止基準電圧V1に達して、その出力が低レベルから高レベルに転じた後、充電禁止基準電圧V1より低い充電禁止解除電圧(例えば、4.05V)まで低下したとき、出力が高レベルから低レベルに反転するように構成されている。
【0024】
一方、過放電検出用電圧比較器15は、電池電圧Vbと二次電池4に意思手予め定められた放電禁止基準電圧V2(例えば、V2=2.3V)を比較し、電池電圧Vbが放電禁止基準電圧V2以下になると出力が低レベルから高レベルに反転するように構成されている。FET駆動回路17は、その出力端子が抵抗19を介して放電制御用FET12のゲートに接続され、過放電検出用電圧比較器15の出力が高レベルになると出力端子が高レベルから低レベルに反転することにより、放電制御用FET12をオフ状態にする。
【0025】
次に、本実施形態における保護回路装置1Aの動作を説明する。
[通常の過充電保護動作]
二次電池4の充電時には、外部接続端子3a,3b間に外部装置5として充電器が接続される。この場合、充電制御用FET11および放電制御用FET12は通常オン状態であり、「充電器の+側出力端子→端子3a→端子2a→二次電池4→端子2b→放電制御用FET12→充電制御用FET11→充電器の−側出力端子」の経路で充電電流Icが流れる。
【0026】
この充電中に電池電圧Vbが上昇し、充電禁止基準電圧V1に達すると、過充電検出用電圧比較器14の出力が高レベルとなり、FET駆動回路16の出力が低レベルとなるため、充電制御用FET11がオフ状態となって、充電電流が遮断され、二次電池4の過充電保護が行われる。
【0027】
また、過充電検出用電圧比較器14はヒステリシス特性を持っており、電池電圧Vbがいったん充電禁止基準電圧V1に達すると、この充電禁止基準電圧V1より低い充電禁止解除電圧まで低下しない限り出力が反転しないため、電池電圧Vbが充電禁止基準電圧V1の前後で充電制御用FET11がオン・オフを繰り返す現象、すなわち充電禁止動作のチャタリングが防止される。
【0028】
さらに、充電制御用FET11がオフ状態になった時点では、二次電池4は充電禁止電圧まで充電されており、電池電圧Vbは外部装置5として接続された充電用電源の電圧とほぼ同じであるから、電圧差検出用FET13はゲート・ソース間電圧がほぼ0でオフ状態を保つ。従って、放電などによって電池電圧Vbが充電禁止解除電圧まで低下すると、過充電検出用電圧比較器14の出力が低レベルとなり、FET駆動回路16の出力が高レベルとなるため、充電制御用FET11はオン状態となり、充電が可能となる。
【0029】
[過放電保護動作]
二次電池4の放電時には、外部接続端子3a,3b間に外部装置5として負荷が接続される。この場合、充電制御用FET11および放電制御用FET12は通常オン状態であり、「二次電池4の+側電極→端子2a→端子3a→負荷→端子3b→充電制御用FET11→放電制御用FET12→二次電池4の−側電極」の経路で放電電流Idが流れる。
【0030】
この放電中に電池電圧Vbが低下し、放電禁止基準電圧V2に達すると、過放電検出用電圧比較器15の出力が高レベルとなり、FET駆動回路17の出力が低レベルとなるため、放電制御用FET12がオフ状態となって、放電電流が遮断され、二次電池4の過放電保護が行われる。
【0031】
[高電圧による誤充電に対する過充電保護動作]
次に、外部接続端子3a,3b間に外部装置5として、二次電池4であるリチウムイオン電池用の充電器に比較して充電電圧・充電電流の大きい充電用電源、例えば自動車用鉛蓄電池(出力電圧12V)を誤って接続した場合を考える。
【0032】
この場合、外部接続端子3a,3bに自動車用鉛蓄電池を接続すると、二次電池4に大電流の充電電流が流れる。そして、電池電圧Vbは直ちに充電禁止基準電圧V1に達し、過充電検出用電圧比較器14の出力が高レベルになるので、FET駆動回路16の出力が低レベルとなって充電制御用FET11がオフ状態となり、充電電流が遮断される。
【0033】
このようにして充電開始後、直ぐに充電電流が遮断されると、二次電池4は極めて僅かな充電量しか充電されないため、電池電圧Vbは瞬時にほぼ充電前の値に戻る。従って、充電電流が遮断されると、電池電圧Vbと外部装置5として接続された充電用電源との間の大きな電圧差が現れる。この電圧差が保護用抵抗20を介して電圧差検出用FET13のゲート・ソース間に印加されることにより、FET13がオン状態となる。
【0034】
電圧差検出用FET13がオン状態になると、充電制御用FET11のゲート・ソース間電圧が0となるため、充電制御用FET11はオフ状態を保持する。すなわち、二次電池4の充電電流が遮断されることにより、電池電圧Vbが低下し、充電禁止解除電圧まで下がると、過充電検出用電圧比較器14の出力は低レベルとなり、FET駆動回路16の出力は高レベルとなるが、電圧差検出用FET13がオン状態であるために、充電制御用FET11のゲート・ソース間に電圧が加わらず、充電制御用FET11はオフ状態を依然として保持する。
【0035】
このように、外部装置5として自動車用鉛蓄電池のような高電圧・大電流の充電用電源を誤って接続した場合、電圧差検出用FET13によって充電制御用FET11をオフ状態に保持することができ、充電制御用FET11のチャタリングが防止される。
【0036】
そして、外部装置5である自動車用鉛蓄電池のような充電用電源を保護回路装置1Aから取り外すと、電圧差検出用FET13のソース電位はゲート・ソース間の漏れ電流によってゲート電位と同じになるため、電圧差検出用FET13はオフ状態となる。これによりFET駆動回路16の出力(高レベル)によって充電制御用FET11はオン状態となり、再び充電が可能な状態となる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
本実施形態の保護回路装置1Bは、電圧差検出用FET23がFET駆動回路21と共に充電制御用FET11の駆動系を兼ねている例である。
【0038】
すなわち、電圧差検出用FET23はドレインが充電制御用FET11のゲートに接続されるとともに、プルアップ用抵抗24を介してプラス側の充放電路に接続され、ソースが充電制御用FET11のソースに接続され、ゲートがFET駆動回路21の出力端子および充電制御用FET11のドレインに接続されている。
【0039】
また、本実施形態における制御IC10B内のFET駆動回路21は、第1の実施形態におけるFET駆動回路16とは異なり、出力段がオープンコレクタ形式であり、出力が負論理となるように構成されている。すなわち、このFET駆動回路21は、過充電検出用電圧比較器14において電池電圧Vbが充電禁止電圧V1に達して出力が低レベルから高レベルに反転したとき、出力が低レベルから高レベルに反転するように構成されている。
【0040】
次に、本実施形態における保護回路装置1Bの動作を説明する。
[通常の過充電保護動作]
本実施形態における通常の充電時の動作は基本的に同様であるが、充電制御用FET11が電圧差検出用FET23を介してFET駆動回路21により駆動される点が異なっている。
【0041】
すなわち、外部接続端子3a,3b間に外部装置5として充電器が接続され、二次電池4が充電されている間に、電池電圧Vbが充電禁止基準電圧V1に達して過充電検出用電圧比較器14の出力が高レベルとなると、FET駆動回路21の出力が高レベルとなる。これにより電圧差検出用FET23がオン状態となって、充電制御用FET11のゲート・ソース間電圧が0となるため、充電制御用FET11がオフ状態となって充電電流が遮断され、二次電池4の過充電保護が行われる。また、過充電検出用電圧比較器14のヒステリシス特性により、充電禁止動作のチャタリングが防止される。
【0042】
[過放電保護動作]
本実施形態における通常の放電時の動作は第1の実施形態と全く同様であるため、説明を省略する。
【0043】
[高電圧による誤充電に対する過充電保護動作]
一方、外部接続端子3a,3b間に外部装置5として、通常の充電器に比較して充電電圧・充電電流の大きい例えば自動車用鉛蓄電池のような電源を誤って充電用電源として接続した場合、二次電池4に大電流の充電電流が流れ、電池電圧Vbは直ちに充電禁止基準電圧V1に達し、過充電検出用電圧比較器14の出力が高レベル、FET駆動回路21の出力が高レベルとなる。これにより電圧差検出用FET23がオン状態となって、充電制御用FET11のゲート・ソース間電圧が0となるために、充電制御用FET11がオフ状態となって充電電流が遮断される。
【0044】
このようにして充電開始後、直ぐに充電電流が遮断されると、二次電池4は極めて僅かな充電量しか充電されないため、電池電圧Vbは瞬時に充電前の値に戻る。従って、充電電流が遮断されると、電池電圧Vbと外部装置5として接続された充電用電源との間の大きな電圧差が現れる。この電圧差が抵抗22を介して電圧差検出用FET23のゲート・ソース間に印加されることにより、FET23がオン状態となる。
【0045】
電圧差検出用FET23がオン状態になると、充電制御用FET11のゲート・ソース間電圧が0となるため、充電制御用FET11はオフ状態を保持する。すなわち、二次電池4の充電電流が遮断されることにより、電池電圧Vbが低下し、充電禁止解除電圧まで下がると、過充電検出用電圧比較器14の出力は低レベルとなり、FET駆動回路21の出力も低レベルとなるが、電圧差検出用FET23がオン状態であるために、充電制御用FET11のゲート・ソース間電圧が0となり、充電制御用FET11はオフ状態を依然として保持する。
【0046】
このように外部装置5として自動車用鉛蓄電池のような高電圧・大電流の充電用電源を誤って接続した場合、電圧差検出用FET23によって第1の実施形態と同様に充電制御用FET11をオフ状態に保持することができ、充電制御用FET11のチャタリングを防止することができる。
【0047】
そして、外部装置5である自動車用鉛蓄電池のような充電用電源を保護回路装置1Bから取り外すと、電圧差検出用FET23のソース電位はゲート・ソース間の漏れ電流によってゲート電位と同じになるため、電圧差検出用FET23はオフ状態となる。電圧差検出用FET23がオフ状態になると、充電制御用FET11はゲートがプルアップ用抵抗24を介して高レベルとなるためにオン状態となり、再び充電が可能な状態となる。
【0048】
ところで、本実施形態のようにオープンコレクタ形式で負論理出力のFET駆動回路21を用いる構成の保護回路装置において、従来では本実施形態における電圧差検出用FET23に相当するFETを論理反転用として用い、このFETとFET駆動回路とで充電制御用FETの駆動系を構成している。その場合、従来ではFET23に相当する論理反転用FETのソースを充電制御用FETのドレインと接続している。
【0049】
これに対して、本実施形態では電圧差検出用FET23のソースを充電制御用FET11のソースに接続することにより、FET23が論理反転と電圧差検出の両方の機能を兼ねるようにしている。従って、本実施形態によるとて素子数を増やすことなく、所期の目的を達成することができ、回路の簡単化を図ることが可能となる。
【0050】
次に、図3および図4を用いて本発明の効果について説明する。
図3は、本発明による二次電池の保護回路装置、例えば第1の実施形態で説明した保護回路装置1Aを用いた場合の充電禁止動作時の電池電圧と充電電流の時間波形を示す図であり、図4は同様に、従来の保護回路装置を用いた場合の充電禁止動作時の電池電圧と充電電流の時間波形を示す図である。測定条件は、二次電池としてリチウムイオン電池を2本直列にして使用し、充電用電源には自動車用鉛蓄電池と同電圧の12V定電圧電源を使用した。ただし、電流は安全のため1Aに制限したが、効果の確認には影響はない。
【0051】
図4では、充電電流が周期的にオン/オフしながら流れ続けている。これは充電制御用スイッチのチャタリングによるものである。これに対し、図3では充電電流が一旦遮断されるとその状態が維持され、再度充電状態に移行しないことが分かる。すなわち、充電禁止動作のチャタリングは生じない。
【0052】
自動車用鉛蓄電池のような高電圧、大電流の電源を充電用電源として接続すると、充電電流は正しく制御されずに数十Aも流れるため、従来の保護回路装置では前述のように充電禁止動作のチャタリングが発生する結果、充電制御用FETの発熱や発火の問題が発生するが、本発明による保護回路装置では、このような大電流下でのチャタリングを防止できるため、充電制御用FETの発熱や発火は起こらない。
【0053】
なお、上記各実施形態では充電制御用FET11と放電制御用FET12を二次電池4のマイナス側の充放電路に挿入したが、プラス側の充放電路に挿入してもよい。その場合、電圧差検出用FET13,21の接続も変える必要があることはいうまでもない。
【0054】
また、上記各実施形態では過充電保護と過放電保護の両方の機能を有する保護回路装置について述べたが、過充電保護の機能のみを有する保護回路装置にも本発明を適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば二次電池の充電時に電池電圧が充電禁止基準電圧に達し、充電制御用スイッチ素子をオフ状態として充電電流を遮断している状態のとき、充電用電源の電圧と電池電圧との電圧差を検出して、この電圧差が所定値以上の場合に、充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持することにより、対象とする二次電池のための充電器で使用される充電用電源と異なる高電圧、大電流の充電用電源が接続されている場合において、従来問題となっていた充電禁止動作のチャタリングを防止することができる。
【0056】
従って、充電制御用スイッチ素子である例えばFETが大電流の下でオン/オフを繰り返すことによる素子の発熱や発火の問題を避けることが可能となり、保護回路装置としての信頼性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二次電池の保護回路装置の構成を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る二次電池の保護回路装置の構成を示す図
【図3】本発明による過充電禁止動作を説明するための図
【図4】従来の二次電池の保護回路装置による過充電禁止動作を説明するための図
【符号の説明】
1A,1B,1C…保護回路装置
2a,2b…電池接続端子
3a,3b…外部接続端子
4…二次電池
5…外部装置(充電用電源または負荷)
11…充電制御用FET
12…放電制御用FET
13…電圧差検出用FET
14…過充電検出用電圧比較器
15…過放電検出用電圧比較器
16…充電制御用FETの駆動回路
17…放電制御用FETの駆動回路
18,19…抵抗
20…保護用抵抗
21…電圧差検出用FETの駆動回路
22…抵抗
23…電圧差検出用FET
24…プルアップ用抵抗

Claims (6)

  1. 二次電池と充電用電源との間の充電路に挿入される充電制御用スイッチ素子と、
    前記二次電池の電圧を充電禁止基準電圧と比較する電圧比較手段と、
    前記電圧比較手段の出力に基づいて、前記二次電池の電圧が前記充電禁止基準電圧より高い場合に前記充電制御用スイッチ素子をオフ状態にするスイッチ駆動手段と、
    前記充電制御用スイッ素子がオフ状態のときの前記充電用電源の電圧と前記二次電池の電圧との電圧差を検出し、この電圧差が所定値以上のときオン状態となることにより、前記充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持する電圧差検出用スイッチ素子と、
    を有することを特徴とする二次電池の保護回路装置。
  2. 前記充電制御用スイッチ素子は、ドレインが前記二次電池側に接続され、ソースが前記充電用電源側に接続された第1のFETであり、
    前記電圧差検出用スイッチ素子は、ドレインが前記第1のFETのゲートに接続され、ソースが前記第1のFETのソースに接続され、ゲートが前記第1のFETのドレインに接続された第2のFETであることを特徴とする請求項1記載の二次電池の保護回路装置。
  3. 前記充電制御用スイッチ素子は、ドレインが前記二次電池側に接続され、ソースが前記充電用電源側に接続されたFETであり、
    前記電圧差検出用スイッチ素子は、コレクタが前記FETのゲートに接続され、エミッタが前記FETのソースに接続され、ベースが前記FETのドレインに接続されたバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1記載の二次電池の保護回路装置。
  4. 二次電池と充電用電源との間の充電路に挿入される充電制御用スイッチ素子と、
    前記充電制御用スイッチ素子の制御端子と前記充電用電源側の端子との間に接続され、制御端子が前記充電制御用スイッチ素子の前記二次電池側の端子に接続された電圧差検出用スイッチ素子と、
    前記二次電池の電圧を充電禁止基準電圧と比較する電圧比較手段と、
    前記電圧比較手段の出力に基づいて、前記二次電池の電圧が前記充電禁止基準電圧より高い場合に前記電圧差検出用スイッチ素子をオン状態にするスイッチ駆動手段とを有し、
    前記電圧差検出用スイッチ素子は、前記充電制御用スイッチ素子がオフ状態のときの前記充電用電源の電圧と前記二次電池の電圧との電圧差を検出し、この電圧差が所定値以上のときオン状態となることにより、前記充電制御用スイッチ素子をオフ状態に保持することを特徴とする二次電池の保護回路装置。
  5. 前記充電制御用スイッチ素子は、ドレインが前記二次電池側に接続され、ソースが前記充電用電源側に接続された第1のFETであり、前記電圧差検出用スイッチ素子は、ドレインが前記第1のFETのゲートに接続され、ソースが前記第1のFETのソースに接続され、ゲートが前記スイッチ駆動手段の出力端子および前記第1のFETのドレインに接続された第2のFETであることを特徴とする請求項4記載の二次電池の保護回路装置。
  6. 前記充電制御用スイッチ素子は、ドレインが前記二次電池側に接続され、ソースが前記充電用電源側に接続されたFETであり、
    前記電圧差検出用スイッチ素子は、コレクタが前記FETのゲートに接続され、エミッタが前記FETのソースに接続され、ベースが前記スイッチ駆動手段の出力端子および前記FETのドレインに接続されたバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項4記載の二次電池の保護回路装置。
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