JP5667791B2 - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
インクジェット用インクとして広く用いられているイエロー、マゼンタ、及びシアンの各インクの中でも、特にイエローインクの画像の耐光性が他のインクの画像に比べて劣る傾向がある。
このような問題に対して、色調が良好で、光、湿熱、オゾン等のガスなど対する堅牢性の改善を目指した種々のイエローインクが提案されている(特許文献1〜3参照)。
<1>
少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、
前記第1の色材が下記一般式(I−1)で表される化合物であり、前記第2の色材が下記一般式(II−1)で表される化合物であるインク。
(一般式(I−1)中、R 4 はそれぞれ独立に1価の基を表し、R 5 はそれぞれ独立に−OR 6 又は−NHR 7 を表し、R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、X 3 はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、−O−、−CO−、−NR(Rは水素原子、アルキル基又はアリール基)−、−S−、−SO 2 −、−SO−又はこれらの組み合わせより選択される2価の連結基を表し、n 3 は0又は1であり、Ar 3 はそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Ar 4 はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
(一般式(II−1)中、R 11 は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R 12 は、水素原子又は−O(CH 2 )xSO 3 Mを表し、xは2〜4の整数を表す。A 11 及びA 12 はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
mは1〜3の整数を表す。A 13 は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SO 3 M、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
<2>
前記一般式(I−1)における、前記X 3 が下記連結基群より選択される2価の連結基を表す、<1>に記載のインク。
<3>
前記一般式(II−1)で表される化合物が、下記一般式(II−2)で表される化合物である<1>又は<2>に記載のインク。
(一般式(II−2)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、mは1〜3の整数、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
<4>
前記一般式(II−2)で表される化合物が、下記一般式(II−3)で表される化合物である<3>に記載のインク。
(一般式(II−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基であり、nは1又は2、lは1又は2、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数であり、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
<5>
第1の色材の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である<1>〜<4>のいずれかに記載のインク。
<6>
第2の色材の含有量の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である<1>〜<5>のいずれかに記載のインク。
<7>
前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で1.0倍以上5.0倍以下である<1>〜<6>のいずれかに記載のインク。
<8>
<1>〜<7>のいずれか一項に記載のインクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
本発明は、前記<1>〜<8>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[7])についても記載している。
[1]
少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、
前記第1の色材が下記一般式(I−1)で表される化合物であり、前記第2の色材が下記一般式(II−1)で表される化合物であるインク。
(一般式(I−1)中、R4はそれぞれ独立に1価の基を表し、R5はそれぞれ独立に−OR6又は−NHR7を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、X3は2価の連結基を表し、n3は0又は1であり、Ar3はそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Ar4はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH2)xSO3Mを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SO3M、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[2]
前記一般式(II−1)で表される化合物が、下記一般式(II−2)で表される化合物である[1]に記載のインク。
(一般式(II−2)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。nは1又は2、mは1〜3の整数、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[3]
前記一般式(II−2)で表される化合物が、下記一般式(II−3)で表される化合物である[2]に記載のインク。
(一般式(II−3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基であり、nは1又は2、lは1又は2、xは2〜4の整数、yは1〜3の整数であり、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
[4]
第1の色材の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインク。
[5]
第2の色材の含有量の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のインク。
[6]
前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で1.0倍以上5.0倍以下である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のインク。
[7]
[1]〜[6]のいずれか一項に記載のインクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
色材として一般式(I−1)で表される化合物又は一般式(II−1)で表される化合物のみを含有するインクを調製し、種々の画像の検討や信頼性の検討を行ったところ、以下のことが分かった。
即ち、一般式(I−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像の色調は優れるものの、それに対して一般式(II−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像の色調がやや劣ることが分かった。
また、一般式(I−1)で表される化合物又は一般式(II−1)で表される化合物のみを色材として含有するインクを用いて形成した画像は、水に浸漬してしまったり、水滴がかかったりした際に画像の滲みが目立つこともあり、耐水性を改良することが望ましいことが分かった。本発明者らが検討した結果、両者を含有させたインクを用いて形成した画像については、耐水性に優れることが分かった。
以下に、本発明のインクについて詳細に説明する。
〔第1の色材:一般式(I−1)で表される化合物〕
本発明のインクは、下記一般式(I−1)の化合物を、第1の色材として含有する。
まず、置換基群Sを以下のように定義する。
置換基群Sに含まれる置換基としては、置換可能な基であればよく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基(塩でもよい)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基(塩でもよい)、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Sから選択される基を挙げることができる。更なる置換基を有する置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
ハロゲン原子は、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
アルキル基は、置換若しくは無置換のアルキル基が含まれる。アルキル基としては、炭素原子数が1〜30の置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられるが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい)及びカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル及び4−スルホブチルなどが挙げられる。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
アリール基は、置換若しくは無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルなどが挙げられる。
ヘテロ環基は、置換若しくは無置換のへテロ環基が含まれる。へテロ環基としては、5若しくは6員の、置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のへテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基が好ましく、炭素数3〜30の5若しくは6員の芳香族へテロ環基がより好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環基の例としては、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
シリルオキシ基は、置換若しくは無置換のシリルオキシ基が含まれる。シリルオキシ基としては、炭素数3〜20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記シリルオキシ基の例としては、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどが挙げられる。
ヘテロ環オキシ基は、置換若しくは無置換のへテロ環オキシ基が含まれる。へテロ環オキシ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環オキシ基の例としては、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどが挙げられる。
カルバモイルオキシ基は、置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。カルバモイルオキシ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記カルバモイルオキシ基の例としては、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどが挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例としては、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−(n−ヘキサデシルオキシ)フェノキシカルボニルオキシなどが挙げられる。
アシルアミノ基は、置換若しくは無置換のアシルアミノ基が含まれる。アシルアミノ基としては、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アシルアミノ基の例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどが挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基は、置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が含まれる。アミノカルボニルアミノ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例としては、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどが挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノが好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルホニルアミノ基の例としては、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどが挙げられる。
アリールチオ基は、置換若しくは無置換のアリールチオ基が含まれる。アリールチオ基としては、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールチオ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アリールチオ基の例としては、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどが挙げられる。
ヘテロ環チオ基は、置換若しくは無置換のへテロ環チオ基が含まれる。へテロ環チオ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記へテロ環チオ基の例としては、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどが挙げられる。
アルキル又はアリールスルフィニル基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルフィニル基が含まれる。アルキル又はアリールスルフィニル基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルフィニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルフィニル基の例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどが挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニル基は、置換又は無置換の、アルキル又はアリールスルホニル基が含まれる。アルキル又はアリールスルホニル基としては、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルキル又はアリールスルホニル基の例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニルなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルバモイル基は、置換若しくは無置換のカルバモイル基が含まれる。カルバモイル基としては、炭素数1〜30置換若しくは無置換のカルバモイル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記カルバモイル基の例としては、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどが挙げられる。
ホスフィニル基は、置換若しくは無置換のホスフィニル基が含まれる。ホスフィニル基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニル基の例としては、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどが挙げられる。
ホスフィニルオキシ基は、置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基が含まれる。ホスフィニルオキシ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例としては、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどが挙げられる。
ホスフィニルアミノ基は、置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基が含まれる。ホスフィニルアミノ基としては、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例として、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどが挙げられる。
シリル基は、置換若しくは無置換のシリル基が含まれる。シリル基としては、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシリル基が好ましい。置換基の例としては、置換基群Sの基が挙げられる。前記シリル基の例としては、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどが挙げられる。
一般式(I−1)において、R4は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチルが更に好ましく、t−ブチルが特に好ましい。
R5は−NHR7であることが好ましい。
R6及びR7は、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、又はRで表されるアルキル基若しくはアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の置換基Sの項で述べた基が挙げられるが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、スルホ基(塩の形でもよい)及びカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。
X3としては、好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、2価のヘテロ環基、−O−、−S−又はこれらの組み合わせである。
X3で表される2価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
なかでも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましく、チアジアゾールが最も好ましい。
Ar2が表す2価のヘテロ環基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、置換基群Sの各基が挙げられる。
Ar4が表すアルキル基及びアリール基は、置換基群Sのアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
Ar4としては、アリール基又は1価のトリアジン環基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニルが更に好ましい。
Ar4はアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基は、更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、前述の置換基群Sの各基が挙げられ、なかでもスルホ基又はカルボキシル基好ましい。
ここで、イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩の中でも、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンが最も好ましい。
一般式(I−1)においては、特にAr4がイオン性親水性基を有していることが好ましい。
一般式(I−1)で表される化合物は、色再現性の観点から、水溶液中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することが更に好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
本発明のインクは、下記一般式(II−1)の化合物を、第2の色材として含有する。
R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基である。
アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。なかでも、メチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。なかでも、メトキシ基が好ましい。
R11がアルキル基又はアルコキシ基の場合、更に置換基を有してもよい。
ただし、A11が下記の基(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)である場合に、mは3であることが好ましい。
5又は6員の含窒素へテロ環としては、酸素原子を0又は1個を含有するものが挙げられる。具体的には、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンなどが挙げられ、なかでもピペリジン、モルホリンが好ましい。
Lで表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどが挙げられる。なかでもメチレンが好ましい。
Lで表されるアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。なかでもフェニレンが好ましい。
pは1〜6の整数であり、1〜3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
Zは、−SO3M、−COOM又は−OMを表し、−SO3M、−COOMであることが好ましく、−SO3Mであることが特に好ましい。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。
有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。
一般式(II−1)中、Mが複数存在する場合は、互いに同じでも異なってもよいが、同じであることが好ましい。
yは1〜3の整数であり、2であることが好ましい。
nは1又は2であり、1であることが好ましい。
lは1又は2であり、1であることが好ましい。
一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物は、色再現性の観点から、水溶液中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することが更に好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
本発明のインク中の第1の色材(一般式(I−1)で表される化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。
また、インク中の第2の色材(一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5〜4.0質量%以下であることが好ましい。
一般式(I−1)で表される化合物は、もともと溶解性が低いため、これらの化合物を含有するインクを記録媒体に付与すると、その直後から速やかに色材の会合や凝集が起こる。会合や凝集は、画像を形成している記録媒体上の色材の堅牢性を向上させる傾向がある。しかし、その一方で、過度の会合や凝集は、分子構造が本来有する耐光性、耐オゾン性の能力を低下させる場合がある。これに対して、一般式(II−1)〜(II−3)で表される化合物を共存させることで、記録媒体上で、一般式(I−1)で表される化合物が耐光性、耐オゾン性に関して最適な会合や凝集の状態を形成し、これにより耐光性、耐オゾン性が向上したものと考えられる。
本発明のインクは、インクの保存安定性及び吐出性の観点から、pHが7.0以上10.0以下であることが好ましい。
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。更に、本発明のインクは必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有してもよい。
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクを、本発明のインクとは別の色調を有するインクと組み合わせて用いることができる。本発明のインクは、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク及びブルーインクなどから選択される少なくともいずれか1種のインクと共に用いられることが好ましい。また、これらのインクと実質的に同一の色調を有する、所謂淡インクを更に組み合わせて用いることもできる。これらのインク又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
本発明のインクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、インクを付与して記録を行う記録媒体であればいずれのものでも用いることができる。本発明においては、染料や顔料などの色材をインク受容層の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させる、インクジェット用の記録媒体を用いることが好ましい。特には、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、所謂、隙間吸収タイプのインク受容層を有する記録媒体を用いることが好ましい。隙間吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体として構成されるものであり、更に必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に用いることができる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
前述の第1の色材及び第2の色材を用い、下記組成に基づき、各成分を常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより実施例1〜51及び比較例1〜13の各インク組成物を得た。なお、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の質量%を示し、更に水の量を示す「残り」は水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
・第1の色材(種類、含有量は表1及び2に記載)
・第2の色材(種類、含有量は表1及び2に記載)
・グリセリン:9%
・トリエチレングリコール:9%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:9%
・サーフィンノール104PG60(商品名、アセチレングリコール系界面活性剤、Air Products and Chemicals Inc.製):1%
・2−ピロリドン:2%
・尿素:1%
・トリエタノールアミン:0.7%
・プロキセルXL2(1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン、AVECIA社製):0.5%
・水:残り
(1)色調
色調については、目視にてA(最良)、B(良好)、C(不良)の3段階で評価した。
(2)耐水性
画像を形成した光沢紙を、1時間乾燥させた後、30秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが少ないものをA、滲みが中程度のものをB、滲みが多いものをCとし、3段階で評価した。
(3)耐光性
画像を形成した光沢紙に、キセノン光(10万ルックス)を14日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率{(照射後の画像濃度)/(照射前の画像濃度)×100}として評価した。反射濃度は照射前の画像濃度が0.7、1.0及び1.8の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が85%以上の場合をA、1又は2点が85%未満をB、全ての濃度で85%未満の場合をCとして3段階で評価した。
(4)耐オゾン性
画像を形成したフォト光沢紙をオゾンガス濃度5ppm(25℃、60%RH)に設定された条件下で7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率{(照射後の画像濃度)/(照射前の画像濃度)×100}として評価した。反射濃度は照射前の画像濃度が0.7、1.0及び1.8の3点で測定した。何れの濃度でも色素残存率が85%以上の場合をA、1又は2点が85%未満をB、全ての濃度で85%未満の場合をCとして3段階で評価した。
Claims (8)
- 少なくとも、第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有するインクであって、
前記第1の色材が下記一般式(I−1)で表される化合物であり、前記第2の色材が下記一般式(II−1)で表される化合物であるインク。
(一般式(I−1)中、R4はそれぞれ独立に1価の基を表し、R5はそれぞれ独立に−OR6又は−NHR7を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、X3はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、−O−、−CO−、−NR(Rは水素原子、アルキル基又はアリール基)−、−S−、−SO 2 −、−SO−又はこれらの組み合わせより選択される2価の連結基を表し、n3は0又は1であり、Ar3はそれぞれ独立に2価のヘテロ環基を表し、Ar4はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は1価のトリアジン環基を表す。)
(一般式(II−1)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。R12は、水素原子又は−O(CH2)xSO3Mを表し、xは2〜4の整数を表す。A11及びA12はそれぞれ独立に下記いずれかの基を表す(下記において*はアゾ基への結合位置を表す)。
mは1〜3の整数を表す。A13は、5又は6員の含窒素へテロ環又は−NH−(L)p−Zを表し、Lはアルキレン基又はアリーレン基を表し、pは1〜6の整数である。Zは、−SO3M、−COOM又は−OMを表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。) - 第1の色材の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク。
- 第2の色材の含有量の含有量が、インク全質量に対して、0.1〜10.0質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク。
- 前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比で1.0倍以上5.0倍以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法。
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