JP2005089677A - ダークイエローインクとそれを用いたインクセット、インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、樹脂微粒子を含有するダークイエローインクを用い、大幅に酸化性ガス褪色耐性を向上し、ドットムラやドット形状崩れによる画像劣化が低減し、かつ画像光沢性が向上した新規のダークイエローインクとそれを用いたインクセット、インクジェット記録方法及び記録物を提供することである。
【解決手段】 イエローインクと共にインクジェット記録方法に使用され、染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したダークイエローインクであって、インク明度が、該イエローインクの明度よりも低く、かつイエロー染料として、下記一般式(I)または(II)で表される第一の染料と、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料から選ばれる少なくとも1種の第二の染料とを含有することを特徴とするダークイエローインク。
【化1】
Figure 2005089677

【化2】
Figure 2005089677

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のダークイエローインクとそれを用いたインクセット、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などのインクジェット記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
近年、複数のカラーインクを用いてインクジェット記録によってカラー画像を形成することが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)及びシアンインク(C)の3色と、さらにブラックインク(K)を加えた4色によって行われている。
また、最近では、前記した四色のインクの他に、色濃度の低い(ライト)シアンインクおよび色濃度の低い(ライト)マゼンタインクを加えた6色によってカラー画像形成を行うことが行われている。このようなカラー画像の形成に用いられるインクには、それ自体が良好な発色性を有していることに加え、複数のインクと組み合わせたときに良好な中間色を発色することが求められる。つまり、インクおよびそれを用いたインクセットには画像再現性と広範な色再現性とが望まれているのである。
更に、上記構成の6色のインクに加えて、イエローインクとは別にダークイエローインクを用いることにより、色再現性及び粒状性を向上する技術が開示されている。(例えば、特許文献1〜6参照。)。この技術により、ノーマルイエローインクよりも、明度の低いダークイエローインクを用いることにより、シャドー領域の粒状性が向上し、かつインク打ち込み量を低減することが可能となる。また、使用する染料を選択することにより、耐光性や酸化性ガス褪色耐性(オゾン退色性)等の画像堅牢性に優れた記録物が得られる。
しかしながら、酸化性ガス褪色耐性に対する効果は未だ十分でなく、特に、酸化性ガス褪色が起こりやすい空隙型のインクジェット記録媒体との組合せにおいては、更なる技術改良が望まれている。一般に、この酸化性ガス褪色は、使用する染料の構造で異なり、例えば、シアンインクで一般的に使用される銅フタロシアンの酸化性ガス褪色耐性が非常に低く、フルカラー画像の場合では、シアン系の色相部分が他の色材の比較し早期に褪色を起こし、色濃度が低下するという問題のほかに、カラーバランスの悪い画像になるという問題があった。
前述の各公報に提案された方法のダークイエローインクの多くは、イエロー染料とマゼンタ染料、シアン染料、ブラック染料が混合されたインクであり、特に、酸化性ガス褪色が発生すると、ダークイエローインクのドット(画素)で部分的な褪色が起こり、均一濃度であるべきドットが、濃度ムラやドット形状の崩れを引き起こすという問題を抱えていおり、早急な改良が望まれている。
特開2002−60664号公報 特開2002−105365号公報 特開2002−105366号公報 特開2002−105367号公報 特開2002−105368号公報 特開2002−138224号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂微粒子を含有するダークイエローインクを用い、大幅に酸化性ガス褪色耐性を向上し、ドットムラやドット形状崩れによる画像劣化が低減し、かつ画像光沢性が向上した新規のダークイエローインクとそれを用いたインクセット、インクジェット記録方法及び記録物を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
イエローインクと共にインクジェット記録方法に使用され、染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したダークイエローインクであって、インク明度が、該イエローインクの明度よりも低く、かつイエロー染料として、下記一般式(I)または(II)で表される第一の染料と、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料から選ばれる少なくとも1種の第二の染料とを含有することを特徴とするダークイエローインク。
Figure 2005089677
〔式中、R1、R1′、R2、R2′は各々独立して、H、CH3またはOCH3を表し、A、A′は各々独立して
Figure 2005089677
のいずれかの構造を有する基であり、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表し、nは1または2を表す。Bは、−NHC24OHまたは
Figure 2005089677
を表す。〕
(請求項2)
前記第一の染料が、C.I.ダイレクトイエロー50、55、86、132または173であることを特徴とする請求項1に記載のダークイエローインク。
(請求項3)
前記第二の染料が、下記一般式(III)または下記一般式(IV)で表されるマゼンタ染料、下記一般式(V)で表されるシアン染料及びC.I.ダイレクトブラック195、C.I.フードブラック2、C.I.サルファーブラック1、C.I.リアクティブブラック31及びC.I.リアクティブブラック35から選択されるブラック染料とから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のダークイエローインク。
Figure 2005089677
〔式中、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表し、R3はClまたは下記一般式(1)で表される基を表し、R4は、H、Cl、SO3M、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
Figure 2005089677
〔式中、Xは少なくとも1つのSO3Mで置換されたアニリノ基を表し、YはOH、Clまたはモルホリノ基を表す。Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
Figure 2005089677
〔式中、αは炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基、またはOH、SO3H、COOMで置換されたフェニル基もしくはナフチル基を表し、βは、Hまたは下記一般式(2)を表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
Figure 2005089677
〔式中、R5は、H、OHまたはCOOHで置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6は、OH、OCH3、OC25、SO3MまたはCOOMで置換された炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R7は、OH、COOHまたはNHR8を表し、R8は、SO3MまたはCOOHで置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
Figure 2005089677
〔式中、R9は、OH、COOMまたはR10COOM(ここで、R10は炭素数4〜9のアルキル基を表す)を表し、m、nおよびpは、それぞれ0〜4であり、かつ(m+n+p)=4である。〕
(請求項4)
イエローインクと、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダークイエローインクとを含むインクセットであって、前記イエローインクが染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクセット。
(請求項5)
マゼンタ染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したマゼンタインクと、シアン染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したシアンインクとを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクセット。
(請求項6)
マゼンタ染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれマゼンタ染料濃度の異なる2種のマゼンタインクと、シアン染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれシアン染料濃度の異なる2種のシアンインクとを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクセット。
(請求項7)
ブラック染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したブラックインクを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のインクセット。
(請求項8)
インクをインクジェット記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、該インクが、イエローインクと請求項1〜3のいずれか1項に記載のダークイエローインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項9)
インクをインクジェット記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、該インクが、請求項4〜7のいずれか1項に記載のインクセットであることを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項10)
前記インクジェット記録媒体が、支持体の上に少なくとも1層の空隙型インク受容層を有することを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録方法。
(請求項11)
請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で画像形成したことを特徴とする記録物。
本発明によれば、大幅に酸化性ガス褪色耐性を向上し、ドットムラやドット形状崩れによる画像劣化が低減し、かつ画像光沢性が向上した新規のダークイエローインクとそれを用いたインクセット、インクジェット記録方法及び記録物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のダークイエローインクにおいては、染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、インク明度が、ノーマルのイエローインクの明度よりも低く、かつイエロー染料として、前記一般式(I)または(II)で表される第一の染料と、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料から選ばれる少なくとも1種の第二の染料とを含有することを特徴とする。
本発明に係るダークイエローインクは、少なくとも染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有するダークイエローインクとノーマルのイエローインクとの2種のイエローインクを少なくとも用いるインクジェット記録方法に使用されるものである。このとき、このダークイエローインクの明度は、ノーマルイエローインクの明度よりも低いことを1つの特徴とし、かつ着色剤として、第一の着色剤と、イエロー以外の第二の着色剤とを少なくとも含んでなるものである。
本発明でいう「インクの明度」とは、インク自体の明度のことをいい、例えば、インクを、必要に応じて所定の溶媒により希釈した後、分光光度計のような分光分析装置を用いた測定によって求めることができる。また、「ノーマルのイエローインク」とは、インクとしての明度が、このノーマルのイエローインクに比べて低いダークイエローインクとの対比において使用される用語であって、ダークイエローインクと共に使用できるものである限り、慣用のイエローインクのいずれのものであってもよい。
本発明のダークイエローインクは、少なくとも染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有する。
一般に、明るい領域(ハイライト領域)の画像を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)の4色インクのみを用いて印刷すると、C、M、Kのドットを疎らに形成させる必要が生ずる。このため、これらのドットが目立ち、画質が低下することがある。また、ドットを疎らに形成させることは、細部の画像情報を再現する点で不利である。
そこで、前記の4色のインクの他に、ライトシアンインク(LC)およびライトマゼンタインク(LM)を加えた6色、更にライトイエローインク(LY)を加えた7色によってインクジェットカラー画像形成を行い、記録画像の画質向上を図ることが行われている。これらのライト系のインクを使用することにより、ハイライト領域の画像を再現する際に、4色のみの場合よりも高い密度でドットを形成させることができ、また細部の画像情報を再現することも可能となる。
しかしながら、ハイライト領域とは異なり、明度の低い領域(シャドー領域)を含む画像の画質をLC、LMさらにはLYの利用によって改善することは難しい。
インク記録方法において中間色を再現する場合には、通常、前記したような4色または6色のインクを複数種組み合わせて使用して、その色を再現する。この場合、所望される中間色によっては、その色を再現するために必要なインクの種類および量が多くなり、記録媒体への単位面積当たりのインク打ち込み量が増大してしまうことがある。特に、シャドー領域において画像の画質向上を図る場合には、インク打ち込み量を従来よりもさらに増大させる必要が生じることがある。
ところが、インクジェット記録媒体においては、単位面積当たりの打ち込み可能なインクの総量に制限があり(以下、インクデューティ制限ともいう)、ドットの形成密度を無制限に高くすることはできない。インクデューティ制限の量を超えて記録媒体にインク記録を行うと、記録物において、インクの滲みを生じさせ、画質の低下を招くおそれがある。
このため、印字品質を確保するためにインク打ち込み量をインクデューティ制限量の範囲内に制限する必要があるが、このようにインク使用量が制限されると、記録画像の発色性および色再現範囲に関して制約を受けざるを得なくなり、シャドー領域において画像画質を向上させることは困難となる。発色性の向上や色再現範囲を広くするために濃度の濃いインクを積極的に用いることが考えられるが、色濃度の濃いインクの使用量の増加は、通常、記録画像において、吐出されたインクのドットが視認できる状態、すなわち画像に粒状感のある状態、を生じ易くする。いきおい画質は低下する。
本発明によるダークイエローインクによれば、数種のインクの組み合わせによって表現していた色を、ダークイエローインクをベースに他のインクを使用して表現できるので、同じ色をより少ないインク使用量で表現できる。このようにより少ないインク量によって色再現が可能となると、インクデューティ制限の下で、別途インクをさらに用いることができるので、記録画像の画質および色再現性をさらに向上させることができる。本発明によるダークイエローインクによれば、シャドー領域における広範な色再現性を達成することができる点で有利である。
また、従来、色濃度の濃いインク、例えば、マゼンタインク(特に色濃度の濃い方のマゼンタインク)、シアンインク(特に色濃度の濃い方のシアンインク)およびブラックインク、を使用することにより再現していた色領域の色を、本発明によるダークイエローインクを代用することによって表現することができるため、色濃度の濃いインクの使用が求められる色領域を減らすことができる。これにより、記録画像において、色濃い濃度のインクを使用した場合に生じやすい画像に粒状感のある状態の発生を抑えることができ、画像再現性を向上させることができる。
すなわち、本発明のように、慣用のイエローインク、すなわちノーマルのイエローインクの他に、ダークイエローインクを用いて、これら二種類のイエローインクを用いてカラー印字を行うことによって、従来のような1種類のイエローインクを用いた場合のカラー印字よりも、印刷物における粒状性を低下させ色再現性の範囲を広げることが容易となる。
更に、本発明のダークイエローインクは、ノーマルのイエローインクと組み合わせて使用されるものであるため、記録媒体に対してイエローインクを重ねて打ち込むことができる。このため、従来のように1種類のイエローインクを用いる場合に比べて、形成される記録画像におけるカラー発色性(または色味)を向上させることができる。
本発明のダークイエローインクは、着色剤として、第一の着色剤と、イエロー以外である第二の着色剤とを少なくとも含むことを特徴とする。
ここで、使用される第一の着色剤は、いわゆるイエロー色(または黄色)を呈することができるイエロー着色剤、特に染料のことをいい、具体的には、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物からなる群より選択される染料である。好ましくは、第一の着色剤としては、C.I.ダイレクトイエロー50、55、86、132、173からなる群より選択される染料である。
また、使用される第二の着色剤は、マゼンタ染料、シアン染料、およびブラック染料からなる群より選択される少なくとも一種の染料である。
ここで、第二の着色剤として使用可能なマゼンタ染料としては、マゼンタ色を示すことができる染料であればいずれのものも包含されるが、好ましくは、前記一般式(III)で表される化合物、または、前記一般式(IV)で表される化合物から選択されるものであることが好ましい。第二の着色剤として使用可能なマゼンタ染料としては、前記一般式(III)および(IV)で表される化合物の群から単独種選択して使用してもよく、あるいは複数種混合して用いてもよい。
以下、本発明に係る前記一般式(III)で表されるマゼンタ染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005089677
Figure 2005089677
Figure 2005089677
以下、本発明に係る前記一般式(IV)で表されるマゼンタ染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005089677
Figure 2005089677
また、第二の着色剤として使用可能なシアン染料としては、シアン色を呈することができる染料であればいずれのものも包含されるが、好ましくは、前記一般式(V)で表される化合物から選択されるものであることが好ましい。シアン染料としては、前記一般式(V)で表される化合物の群から単独種選択して使用してもよく、複数種混合して用いてもよい。
本発明に係る前記一般式(V)で表される化合物の具体例としては、C.I.ダイレクトブルー86、87、199等が挙げられる。
第二の着色剤として使用可能なブラック染料としては、黒色(ブラック)を呈することができる染料であればいずれのものも包含されるが、好ましくは、C.I.ダイレクトブラック195、C.I.フードブラック2、C.I.サルファーブラック1、およびC.I.リアクティブブラック31、35等が挙げられる。ブラック染料としては、前記の群から単独種選択して使用してもよく、複数種混合して用いてもよい。
このように、ダークイエローインクの着色剤を特定のものに限定することによって、耐光性、耐湿性および耐水性等の画像堅牢性に優れた記録物を得ることができる。また、このようなインクは、インクの目づまり安定性および保存安定性等の点でも有利である。
本発明のダークイエローインクの着色剤としては、前記した特定の第一および第二の着色剤に加えて、更に別の着色剤を使用してもよい。このような着色剤としては、慣用の染料の中から適宜選択することができる。
本発明のインクセットにおいては、インクセットを構成する上記説明したダークイエローインクの他、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクが、樹脂微粒子を含有することを特徴とする。
本発明に係る樹脂微粒子は、媒質中、例えば、水中に分散状態にあるポリマー粒子を指し、ポリマー微粒子あるいはラテックスとも呼ばれている。
上記樹脂微粒子は、各種ポリマーの水分散体の形態で用いることができる。具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各ポリマーを挙げることができる。
通常、これらの樹脂微粒子は、乳化重合法によって得られる。そこで用いられる界面活性剤、重合開始剤等については、常法で用いられるものを用いれば良い。樹脂微粒子の合成法に関しては、米国特許第2,852,368号、同2,853,457号、同3,411,911号、同3,411,912号、同4,197,127号、ベルギー特許第688,882号、同691,360号、同712,823号、特公昭45−5331号、特開昭60−18540号、同51−130217号、同58−137831号、同55−50240号等に詳しく記載されている。
本発明で用いる樹脂微粒子は、平均粒径が10〜200nmであることが酸化性ガスに起因する褪色をより抑えるという点から好ましく、より好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。上記の効果が得られる理由は明らかではないが、樹脂微粒子の平均粒径を小さくしたことで、樹脂微粒子の体積に対する表面積が増大し、樹脂微粒子同士の融着力が増大し、隣接する樹脂微粒子同士が充分に融着して、樹脂微粒子による被服率が向上したためと思われる。これは本発明の、一吐出動作当たりのインク液適量を0.5〜3.0plと小さくし、記録解像度を1600〜10000dpiと比較的高くした場合に特に効果的だった。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当りのドット数を表す。
樹脂微粒子の平均粒径は、光散乱方式や、レーザードップラー方式を用いた市販の粒径測定装置、例えば、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)等を用いて、簡便に求めることができる。
樹脂微粒子の平均粒径が10nm以上であると、樹脂微粒子のインク中での分散安定性がよく、インクを安定に保存できる期間が長くなるためよい。樹脂微粒子の平均粒径が200nm以下の場合には、インク自体の透明性が上がり、そのようなインクを用いて記録物を得た際には、彩度の高い絵が得られるためよい。
本発明に係るインクにおいては、樹脂微粒子のインク中での含有量が、0.2〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。樹脂微粒子の添加量が0.2質量%以上であれば、褪色性に対しより十分な効果を発揮することができ、10質量%以下であれば、インク吐出性がより安定となり、更に保存中でのインク粘度の上昇を抑制することができより好ましい。
本発に係る樹脂微粒子においては、最低造膜温度(MFT)が、0〜60℃であることが好ましい。本発明においては、樹脂微粒子の最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は、可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
本発明のダークイエローインクあるいはインクセットには、上記の染料、樹脂微粒子の他に、少なくとも水溶性有機溶媒を含有している。
本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
本発明のダークイエローインクあるいはインクセットにおいては、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
また、本発明のダークイエローインクあるいはインクセット中に、高分子界面活性剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
本発明のダークイエローインクあるいはインクセットにおいては、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明のダークイエローインクあるいはインクセットにおいては、安定吐出するためと、インクの記録媒体でのレベリングによる光沢性の観点から、インクの表面張力は40mN/m以下であることが好ましく、20〜40mN/mであることがより好ましい。表面張力が20mN/m以上であれば、本発明のダークイエローインクあるいはインクセット中の樹脂微粒子の保存安定の面で好ましく、また、40mN/m以下であれば、インクの記録媒体でのレベリング性が高まり、光沢の面で好ましい。
本発明のインクセットにおいては、マゼンタ染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれマゼンタ染料濃度の異なる2種のマゼンタインクと、シアン染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれシアン染料濃度の異なる2種のシアンインクとを含むことが好ましい。
すなわち、本発明においては、マゼンタ及びシアンインクにおいて、着色剤濃度の異なる2種の濃淡インクからなることが好ましい。
使用されるマゼンタ及びシアンインクは、広い濃度範囲にわたって連続的かつなめらかに変化する階調性を表現するために、各々染料濃度が異なる2種のインクを使用するインクセットを用いる。このとき両者の濃度比(淡色インク/濃色インク)は0.5〜0.1が好ましい。
また、本発明のインクセットの濃度の異なるインク組成物において、濃色インクの表面張力(γa)と淡色インクの表面張力(γb)の比が、1.2≦γa/γb≦0.8であることが好ましく、更に好ましくは、1.1≦γa/γb≦0.9である。広い濃度範囲にわたって滑らかな階調性を表現し、かつ広い濃度域で光沢性や耐擦過性を保持するには、濃度の異なるインクの表面張力がなるべく同じであるのが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明のダークイエローインクあるいはインクセットを用いて、インクジェット記録媒体に付着させて印字を行うことを特徴とし、好ましくは支持体の上に少なくとも1層の空隙型インク受容層を有するインクジェット記録媒体である。
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体について説明する。
一般に、インク受容層としては、大きく分けて膨潤型と空隙型があるが、本発明においては、空隙構造を有する層(以下、空隙層ともいう)を設けたインクジェット記録媒体を用いることが特徴である。
以下、空隙層について、更に詳しく説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子との質量比で2:1〜20:1の範囲で使用して形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明に係る記録媒体においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で、空隙層の上に保護層等を設けても良い。
本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが好ましい。
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
無機微粒子の平均二次粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
本発明においては、無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
本発明においては、空隙層に水溶性バインダーを含有することができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
空隙層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録媒体1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
また、空隙層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
本発明に係るインクジェット記録媒体においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録媒体作製の任意の時期に添加することができ、例えば、空隙層形成用の塗布液中に添加しても良い。
本発明において、硬膜剤を使用する場合には、空隙層形成後に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する方法を単独で用いても良いが、好ましくは、上述の硬化剤を空隙層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体で用いる支持体について説明する。
本発明で用いることのできる支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスチック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体等を、適宜選択して用いることができるが、本発明においては、用いる支持体が、非吸水性支持体であることが好ましい。本発明でいう非吸水性支持体とは、水が通過しないような材質及び緻密性を有した支持体である。非吸水性支持体としては、プラスチック支持体又は両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体であることが、より酸化性ガス耐性に優れるため、特に好ましい。これらの非吸水性支持体は、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで高品質の画像が得られるため、特に好ましい。
以下、原紙支持体の両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜200g/m2が好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他にLLDPE(リニアローデンシティーポリエチレン)やポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、空隙層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2.引き裂き強度:JIS−P−8116に規定される方法で、縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20Nが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1MPa
4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい
6.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
7.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい
8.クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい
9.中紙の含水率:中紙に対して、通常2〜100質量%、更には2〜6質量%であることが好ましい
また、本発明で用いることのできるプラスチック支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録媒体においては、表面平均粗さRaが20〜100nmであることが好ましい。空隙型記録媒体の表面平均粗さRaが20nm以上であれば、十分な空隙が形成され、インク吸収性が十分となり、インク溢れなどが発生せず沢性の面で好ましく、表面平均粗さRaが100nm以下であれば、表面の平滑性が高く、光沢性も好ましい。
次に、本発明に係る記録媒体の製造方法について説明する。
インクジェット記録媒体の製造方法としては、空隙層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、最表層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明で用いることのできるプリンターは、市販されているプリンターのように、例えば、記録用紙収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録用紙収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができ、好ましくは、ピエゾ方式を用いたヘッドが好ましく、特にシェアモード方式が、長期間にわたり安定した吐出を行うことができるため好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《ダークイエローインクの調製》
〔ダークイエローインク1〜5の調製〕
表1に記載の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過して、ダークイエローインク1〜5を調製した。
なお、表1に記載の各組成物の詳細は、以下の通りである。
〈イエロー染料〉
Y1:C.I.ダイレクトイエロー 86
Y2:Project Fast Yellow2(ゼネカ社製)
Y3:C.I.ダイレクトイエロー 132
〈マゼンタ染料〉
M−1:例示化合物M−1
M−13:例示化合物M−13
〈シアン染料〉
C1:C.I.ダイレクトブルー 199
〈ブラック染料〉
K1:C.I.ダイレクトブラック 195
K2:C.I.フードブラック 2
〈樹脂微粒子〉
SF150:スーパーフレックス150(ウレタン樹脂微粒子 第一工業製薬社製 MFT5℃ 平均粒径90nm、固形分濃度30%)
〈水溶性有機溶媒〉
Gly:グリセリン
DEG:ジエチレングリコール
TEG:トリエチレングリコール
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
〈その他〉
2−Pyr:2−ピロリドン
S465:サーフィノール465(非ノニオン性アセチレングリコール系界面活性剤 日信化学社製)
E930:エマルゲン930(非ノニオン性ポリオキシエチレン界面活性剤 花王社製)
XL2:プロキセル XL2(ゼネカ社製)
*1:トリエタノールアミン
Figure 2005089677
《インクジェット記録媒体の作製》
下記の方法に従って、記録媒体を作製した。
(支持体の作製)
含水率が6%、坪量が200g/m2の写真用原紙の裏面側に、押し出し塗布法により、密度が0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで塗布した。次いで、表面側にアナターゼ型酸化チタンを5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを40μmの厚さで押し出し塗布法で塗布し、両面をポリエチレンで被覆した。表側にコロナ放電を行い、ポリビニルアルコールからなる下引き層を0.03g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後、ラテックス層を0.12g/m2の乾燥質量となるように塗布し、表面処理を行って、支持体を作製した。
(各分散液の調製)
〈シリカ分散液−1の調製〉
一次粒子の平均粒径が約12nmの気相法シリカ(トクヤマ製:レオロシールQS−20)の160kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した480Lの純水(エタノール10Lを含有)中に室温で吸引分散した後、全量を600Lに純水で仕上げて、シリカ分散液−1を調製した。
〈シリカ分散液−2の調製〉
カチオン性ポリマー(HP−1)を2.12kg、エタノールを2.2L、n−プロパノールを1.1L含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、上記シリカ分散液−1の60.0Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸320gとホウ砂190gを含有する水溶液8.0Lを添加し、サンノブコ株式会社製の消泡剤SN381を2g含有する水溶液200mlを添加した。
この混合液を、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で85Lに仕上げて、シリカ分散液−2を調製した。
Figure 2005089677
(塗布液の調製)
〈塗布液−1の調製〉
650mlの上記シリカ分散液−2を40℃で攪拌しながら、下記の各添加剤を順次混合して、塗布液−1を調製した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液
6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の5%水溶液
260ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA245)の5%水溶液
95ml
界面活性剤(S−1)30%溶液 4ml
アニオン性蛍光増白剤(チバスペシャリティーケミカルズ製;UVITEX NFW LIQUID9)の10%液 10ml
純水で全量を1000mlに仕上げた。塗布液のpHは約4.5であった。
Figure 2005089677
(記録媒体の作製)
前記作製した支持体に、上記塗布液−1を湿潤膜厚が140μmになるように塗布し、約7℃に一度冷却した後、20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、記録媒体を作製した。
《インクジェット画像記録》
上記作製したダークイエローインク1〜5を、それぞれPM950(セイコーエプソン社製)のカートリッジに詰め、インクジェットプリンターとしてPM950を用いて、濃度グラデーションパターンを、ダークイエローインクのみ印字するようにドライバーを調整し、設定モードをPM写真モードで、かつフォトスーパーの設定で、上記作製した記録媒体上に印字して、プリント1〜5を作成した。
《作成画像の評価》
〔酸化性ガス褪色耐性の評価〕
上記作成したダークイエローインクによる濃度グラデーションパターンにおいて、明度(L*)が約70付近の画像について、印字直後と、23℃でオゾン濃度が50ppmの環境下に120分間曝露させた後の各反射濃度を光学濃度計(X−Rite社製X−Rite938)を用いてL*、a*、b*を測定し、下式(1)に従って色差ΔEを求め、下記の判定基準に則り酸化性ガス褪色耐性の評価を行った。
式(1)
ΔE={(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
式中、ΔL*はオゾン曝露前後のL*差、Δa*はオゾン曝露前後のa*差、Δb*はオゾン曝露前後のb*差を表す。
〈判定基準〉
○:ΔEが、10未満
△:ΔEが、10〜20
×:ΔEが、21以上
〔粒状性の評価〕
上記酸化性ガス褪色耐性の評価で作成したダークイエローインクによる濃度グラデーションパターンのオゾン曝露前後の各試料について、粒状性を表すノイズ量の測定を行った。
評価は、主走査方向、L*70、観察距離20cmを評価ポイントとし、青山、榎本、洪:日本写真学会誌,57(6),392(1994)に記載された方法に従い、ノイズ量の測定を行った。
具体的には、下記の手順に従って行った。
1)画像濃度をマイクロデンシトメーターで測定する
2)フーリエ変換を計算するために濃度を輝度に変換する(階調補正を行う)
3)フーリエ変換を行う
4)フーリエ空間上で、人間の眼の解像度関数を掛ける
5)フーリエ逆変換を行う
6)人間の眼が輝度によってコントラストに対する感度が異なる現象を補正するために、輝度の代わりに明度を単位とし、明度の標準偏差を計算し、この値をノイズ量とする
以上により求めたノイズ量を粒状性の尺度とし、下記の評価基準に則り評価を行った。
○:ノイズ量が0.5未満
△:ノイズ量が0.5以上0.8未満
×:ノイズ量が0.8以上
〔光沢の評価〕
上記作成したダークイエローインクによる濃度グラデーションパターンについて、日本電飾工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて、60度光沢度を測定し、下記の基準に則り光沢の評価を行った。
○:60度光沢度が81以上
△:60度光沢度が71以上、80以下
×:60度光沢度が70以下
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2005089677
表2の結果より明らかなように、樹脂微粒子を含有し、イエロー染料として一般式(I)または(II)で表される第一の染料と、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料から選ばれる少なくとも1種の第二の染料とを含有する本発明のダークイエローインクは、比較例に対し、酸化性ガス褪色耐性、粒状性、特に酸化性ガス褪色後の粒状性に優れ、かつ良好な光沢を有していることが分かる。
実施例2
《インクセットの調製》
〔各色インクの調製〕
表3に記載の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過して、各々2種のイエローインク、マゼンタインク、淡マゼンタインク、シアンインク、淡シアンインク及びブラックインクを調製した。
なお、表3に記載の各組成物の詳細は、表1に記載の組成物と同様である。
Figure 2005089677
〔インクセット1〜4の調製〕
(インクセット1)
上記調製したイエローインク1、マゼンタインク1、淡マゼンタインク1、シアンインク1、淡シアンインク1及びブラックインク1に、実施例1で調製したダークイエローインク1を加えて、これをインクセット1とした。
(インクセット2〜4)
上記インクセット1の調製において、ダークイエローインク1に代えて、実施例1で調製したダークイエローインク2〜4を用いた以外は同様にして、インクセット2〜4を調製した。
(インクセット5)
上記調製したイエローインク2、マゼンタインク2、淡マゼンタインク2、シアンインク2、淡シアンインク2及びブラックインク2に、実施例1で調製したダークイエローインク5を加えて、これをインクセット5とした。
《インクジェット画像記録》
上記作製したインクセット1〜5を、それぞれPM950(セイコーエプソン社製)のカートリッジに詰め、インクジェットプリンターとしてPM950を用いて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド及び黒の濃度グラデーションパターンを、設定モードをPM写真モードで、かつフォトスーパーの設定で、実施例1で作製した記録媒体上に印字して、プリント11〜15を作成した。
《作成画像の評価》
〔酸化性ガス褪色耐性の評価〕
実施例1に記載の方法と同様にして、各色画像のΔEを測定し、各色の平均値を求め、実施例1に記載の基準に従って、酸化性ガス褪色耐性の評価を行った。
〔粒状性の評価〕
実施例1に記載の方法と同様にして、各色画像のオゾン曝露前後のノイズ値を測定し、各色のΔEの平均値を求め、実施例1に記載の基準に従って、オゾン曝露前後の粒状性の評価を行った。
〔光沢の評価〕
実施例1に記載の方法と同様にして、各色画像の60度光沢度を測定し、各色の平均値を求め、実施例1に記載の基準に従って、光沢の評価を行った。
以上により得られた結果を、表4に示す。
Figure 2005089677
表4の結果より明らかなように、本発明のダークイエローインクを含み、かつ各色インクが樹脂微粒子を含有する本発明のインクセットは、比較例に対し、酸化性ガス褪色耐性、粒状性、特に酸化性ガス褪色後の粒状性に優れ、かつ良好な光沢を有していることが分かる。

Claims (11)

  1. イエローインクと共にインクジェット記録方法に使用され、染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したダークイエローインクであって、インク明度が、該イエローインクの明度よりも低く、かつイエロー染料として、下記一般式(I)または(II)で表される第一の染料と、マゼンタ染料、シアン染料及びブラック染料から選ばれる少なくとも1種の第二の染料とを含有することを特徴とするダークイエローインク。
    Figure 2005089677
    〔式中、R1、R1′、R2、R2′は各々独立してH、CH3またはOCH3を表し、A、A′は各々独立して
    Figure 2005089677
    のいずれかの構造を有する基であり、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表し、nは1または2を表す。Bは、−NHC24OHまたは
    Figure 2005089677
    を表す。〕
  2. 前記第一の染料が、C.I.ダイレクトイエロー50、55、86、132または173であることを特徴とする請求項1に記載のダークイエローインク。
  3. 前記第二の染料が、下記一般式(III)または下記一般式(IV)で表されるマゼンタ染料、下記一般式(V)で表されるシアン染料及びC.I.ダイレクトブラック195、C.I.フードブラック2、C.I.サルファーブラック1、C.I.リアクティブブラック31及びC.I.リアクティブブラック35から選択されるブラック染料とから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のダークイエローインク。
    Figure 2005089677
    〔式中、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表し、R3はClまたは下記一般式(1)で表される基を表し、R4は、H、Cl、SO3M、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
    Figure 2005089677
    〔式中、Xは少なくとも1つのSO3Mで置換されたアニリノ基を表し、YはOH、Clまたはモルホリノ基を表す。Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
    Figure 2005089677
    〔式中、αは炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基、またはOH、SO3H、COOMで置換されたフェニル基もしくはナフチル基を表し、βは、Hまたは下記一般式(2)を表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
    Figure 2005089677
    〔式中、R5は、H、OHまたはCOOHで置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6は、OH、OCH3、OC25、SO3MまたはCOOMで置換された炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R7は、OH、COOHまたはNHR8を表し、R8は、SO3MまたはCOOHで置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。Mは、H、Li、Na、K、アンモニウムまたは有機アミン類を表す。〕
    Figure 2005089677
    〔式中、R9は、OH、COOMまたはR10COOM(ここで、R10は炭素数4〜9のアルキル基を表す)を表し、m、nおよびpは、それぞれ0〜4であり、かつ(m+n+p)=4である。〕
  4. イエローインクと、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダークイエローインクとを含むインクセットであって、前記イエローインクが染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有することを特徴とするインクセット。
  5. マゼンタ染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したマゼンタインクと、シアン染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したシアンインクとを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクセット。
  6. マゼンタ染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれマゼンタ染料濃度の異なる2種のマゼンタインクと、シアン染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有し、かつそれぞれシアン染料濃度の異なる2種のシアンインクとを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクセット。
  7. ブラック染料、水、水溶性有機溶媒及び樹脂微粒子を含有したブラックインクを含むことを特徴とする請求項5または6に記載のインクセット。
  8. インクをインクジェット記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、該インクが、イエローインクと請求項1〜3のいずれか1項に記載のダークイエローインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. インクをインクジェット記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、該インクが、請求項4〜7のいずれか1項に記載のインクセットであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 前記インクジェット記録媒体が、支持体の上に少なくとも1層の空隙型インク受容層を有することを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法で画像形成したことを特徴とする記録物。
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