JP5660704B2 - 回転機器および回転機器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転機器および回転機器の製造方法に関する。
ハードディスクドライブなどのディスク駆動装置は、小型化、大容量化が進み、種々の電子機器に搭載されている。特に携帯電話や携帯型音楽再生機器などの携帯型の電子機器へのディスク駆動装置の搭載が進んでいる。このような携帯型の電子機器に搭載されるディスク駆動装置に対しては、デスクトップPC(Personal Computer)などの据置型の電子機器に搭載されるものと比べて、落下などの衝撃にも耐えうるように耐衝撃性の向上が求められている。
その一方で携帯型の電子機器にとっては小型薄型化や軽量化が命題であり、それに搭載されるディスク駆動装置にも小型薄型化や軽量化が求められる。しかしながら小型薄型化や軽量化を追求すると耐衝撃性が低下する可能性がある。つまり携帯型の電子機器に搭載されるディスク駆動装置には、二律背反の要請が課せられていると言える。
例えば、デスクトップPCでの使用を想定した場合には、ディスク駆動装置に加わる衝撃は小さく、実使用で障害を生じることはほとんどないと考えられる。しかしながら、携帯型の電子機器での使用を想定すると、落下などの強い衝撃を受けうるので、ディスク駆動装置に加わる衝撃は大きい場合が多い。したがって、相当な耐衝撃性がないと実使用で障害を生じる可能性がある。
これに対応するため、従来ではディスク駆動装置には流体動圧軸受ユニット(以下Fluid Dynamic Bearing:FDBと称す)が搭載される。このFDBでは、スリーブの張出部材とハウジングの一端面との間に挟まれるフランジ部が筒状の内胴部内に形成される。そのフランジ部とスリーブの張出部材との間に潤滑剤が介在されているとともに、フランジ部とハウジングの一端面との間にも潤滑剤が介在されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−198555号公報
このような状況の下、本発明者は以下の課題を認識した。
例えば特許文献1に見られるように、典型的なディスク駆動装置ではベースにFDBが取り付けられ、このFDBを介してハブがベースに対して回転自在に支持される。このハブに磁気記録ディスクを載置して回転駆動する。このようなディスク駆動装置に衝撃による加速度が加わると、磁気記録ディスクとハブとFDBとコアとコイルとの合計質量に衝撃による加速度を乗じた値に応じた大きさの応力がベースの中央付近に加わる。特に、ベースのうち上側に突出してFDBを保持する環状の壁部の根元にこの応力が集中する傾向がある。
ディスク駆動装置の耐衝撃性を維持するためには、ベースは環状の壁部の根元に集中する応力に耐えねばならない。そのため従来では、ベースをこの応力に耐えうる程度に厚くする必要があった。しかしながら、ディスク駆動装置の薄型化に際し、この厚みがボトルネックとなる可能性がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は耐衝撃性に優れた回転機器の提供にある。
本発明のある態様は、回転機器に関する。この回転機器は、記録ディスクが載置されるべきハブと、流体動圧軸受ユニットを介してハブを回転自在に支持するベースと、ベースに固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、を備える。流体動圧軸受ユニットはラジアル動圧溝が形成される部材を固定するハウジングを含み、ベースは、ハブ側に突出して外周部にコアの円環部の中心孔を通して接着固定されると共に内周部に形成された軸受孔にハウジングが挿入され接着固定されるコア外設ハウジング環囲部と、コア外設ハウジング環囲部の半径方向外側に連続して設けられると共にコア外設ハウジング環囲部に近いほど厚く形成された厚み増大部と、一体にし、ラジアル動圧溝はハウジングに環囲され、ハウジングはコア外設ハウジング環囲部に環囲され、コア外設ハウジング環囲部は厚み増大部に環囲されると共に、ハブの回転軸に沿った軸方向に軸方向座標を定義するとき、厚み増大部のハブ側の面のハブから遠い側の端がラジアル動圧溝の軸方向座標範囲内に位置する。
この態様によると、厚み増大部が設けられているので、応力を分散できる。
本発明の別の態様は、回転機器の製造方法である。この方法は、流体動圧軸受を有する回転機器の製造方法であって、潤滑剤が注入されていない流体動圧軸受を所定の作業空間に準備する工程と、作業空間を減圧する工程と、流体動圧軸受の潤滑剤を貯める貯留領域に潤滑剤を吐出する工程と、作業空間を復圧することで、貯留領域に貯められた潤滑剤を流体動圧軸受の潤滑剤が存在すべき領域に導入する工程と、潤滑剤が導入された流体動圧軸受について、第1気圧のもとでの回転軸方向における潤滑剤の液面の第1高さを計測する工程と、潤滑剤が導入された流体動圧軸受について、第1気圧とは異なる第2気圧のもとでの回転軸方向における潤滑剤の液面の第2高さを計測する工程と、潤滑剤が導入された流体動圧軸受について、計測された第1高さと計測された第2高さとを基に検査をする工程と、を含む。
この態様によると、異なる気圧のもとで潤滑剤の液面の高さを計測できる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、耐衝撃性に優れた回転機器を提供できる。
図1(a)〜(c)は、実施の形態に係るディスク駆動装置を示す上面図および側面図および下面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2の吸引プレートを示す上面図である。 図2のディスク駆動装置のスラストリング付近の拡大断面図である。 図2の左半分を拡大した拡大断面図である。 図6(a)〜(c)は、シミュレーションにより得られた応力分布を等高線で示す応力分布図である。 図7(a)、(b)は、計測工程を説明するための説明図である。 変形例に係るディスク駆動装置の断面図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
実施の形態に係るディスク駆動装置は回転機器の一例であり、磁気記録ディスクを搭載するハードディスクドライブとして好適に用いられる。
実施の形態に係るディスク駆動装置では、ベースの軸受ユニットを環囲して支える部分に向けてベースの厚みを徐々に増やす。これにより、ベースの耐衝撃性を改善できる。
(ディスク駆動装置100)
図1(a)〜(c)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100を示す上面図および側面図および下面図である。図1(a)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100の上面図である。図1(a)では、ディスク駆動装置100の内側の構成を示すため、トップカバー2を外した状態が示される。ディスク駆動装置100は、ベース4と、ロータ6と、磁気記録ディスク8と、データリード/ライト部10と、トップカバー2と、を備える。
以降ベース4に対してロータ6が搭載される側を上側として説明する。
磁気記録ディスク8は、ロータ6に載置され、ロータ6の回転に伴って回転する。ロータ6は、図1(a)では図示しない軸受ユニット12を介してベース4に対して回転可能に取り付けられる。ベース4はアルミニウムの合金をダイカストにより成型して形成される。ベース4は、ディスク駆動装置100の底部を形成する底板部4aと、磁気記録ディスク8の載置領域を囲むように底板部4aの外周に沿って形成された外周壁部4bと、を有する。外周壁部4bの上面4cには、6つのねじ穴22が設けられる。
データリード/ライト部10は、記録再生ヘッド(不図示)と、スイングアーム14と、ボイスコイルモータ16と、ピボットアセンブリ18と、を含む。記録再生ヘッドは、スイングアーム14の先端部に取り付けられ、磁気記録ディスク8にデータを記録し、磁気記録ディスク8からデータを読み取る。ピボットアセンブリ18は、スイングアーム14をベース4に対してヘッド回転軸Sの周りに揺動自在に支持する。ボイスコイルモータ16は、スイングアーム14をヘッド回転軸Sの周りに揺動させ、記録再生ヘッドを磁気記録ディスク8の上面上の所望の位置に移動させる。ボイスコイルモータ16およびピボットアセンブリ18は、ヘッドの位置を制御する公知の技術を用いて構成される。
図1(b)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100の側面図である。トップカバー2は、6つのねじ20を用いてベース4の外周壁部4bの上面4cに固定される。6つのねじ20は、6つのねじ穴22にそれぞれ対応する。特にトップカバー2と外周壁部4bの上面4cとは、それらの接合部分からディスク駆動装置100の内側へリークが生じないように互いに固定される。ここでディスク駆動装置100の内側とは具体的には、ベース4の底板部4aと、ベース4の外周壁部4bと、トップカバー2と、で囲まれる清浄空間24である。この清浄空間24は密閉されるように、つまり外部からのリークインもしくは外部へのリークアウトが無いように設計される。清浄空間24は、パーティクルが除去された清浄な気体(gas)で満たされる。これにより、磁気記録ディスク8へのパーティクルなどの異物の付着が抑えられ、ディスク駆動装置100の動作の信頼性が高められている。
清浄空間24に充填される清浄な気体は、例えば空気(air)であってもよく、あるいはまたヘリウムの分子(単原子分子)などの分子量の小さな分子からなる気体を所定の割合で含んでもよく、あるいはまたほぼ純粋なヘリウムガスであってもよい。
磁気記録ディスク8の回転中、その回転により生じる風圧によって磁気記録ディスク8は浮き上がろうとする。この浮き上がりの力が強いと、接触を避けるため記録再生ヘッドと磁気記録ディスク8との隙間を広めに設計する必要がある場合がある。しかしながら、清浄空間24に充填される清浄な気体がヘリウムガスを含む場合、ヘリウムの分子量は小さいので磁気記録ディスク8の回転中の風圧も相対的に小さくなりうる。したがって、記録再生ヘッドと磁気記録ディスク8との隙間をより狭くして磁気記録ディスク8の単位面積当たりの記録データ量を多くすることができる。
また、原理的には記録再生ヘッドと磁気記録ディスク8との隙間の下限は、清浄空間24に充填される清浄な気体の分子の大きさに対応するところ、清浄な気体が小さな分子を相対的に多く含むことにより、その隙間をより狭くすることができる。
図1(c)は、実施の形態に係るディスク駆動装置100の下面図である。図1(a)〜図1(c)を参照すると、ステンレス製のピンなどを固定するため、もしくはその他の目的で、ベース4の底板部4aには第1貫通孔82aが、外周壁部4bには第2貫通孔82bが設けられる。ディスク駆動装置100の薄型化、軽量化のために底板部4aや外周壁部4bを薄くした場合、ピンが挿入され機械的に固定された第1貫通孔82aや第2貫通孔82bにおけるリーク量が増大しうる。特に清浄空間24に充填される清浄な気体がヘリウムガスを多く含む場合、分子量のより大きな気体と比べてリーク量は相対的に多くなる。リーク量が多くなると、清浄空間24に充填される清浄な気体の総量やヘリウムガスの割合が、例えば経時試験で使用される期間内で有意に変化しうる。それらが変化すると記録再生ヘッドと磁気記録ディスク8との隙間も変化しうるので、正常なデータリード/ライトを妨げる可能性がある。
そこで、ベース4の下面4kにおいて、第1貫通孔82aの縁に沿って第1シール部材84aが設けられる。特に第1シール部材84aは第1貫通孔82aを覆う。また、外周壁部4bの側面4baにおいて、第2貫通孔82bの縁に沿って第2シール部材84bが設けられる。特に第2シール部材84bは第2貫通孔82bを覆う。第1シール部材84aおよび第2シール部材84bのそれぞれを、例えば樹脂を含むシート状の材料を所定の形状、例えば円盤状に加工して接着剤で固定することによって形成してもよい。この場合、容易に作業しうる点で好ましい。あるいはまた、第1シール部材84aおよび第2シール部材84bのそれぞれを、液状の硬化性樹脂を塗布した後に、加熱やUV照射等により硬化させて形成してもよい。この場合、衝撃によるシール部材の脱落を抑えうる点で好ましい。
また、第1シール部材84aや第2シール部材84bを設けた後、経時試験を行ってもよい。この経時試験では、所定の期間が経過した後の、清浄空間24に充填された清浄な気体の総量やヘリウムガスの割合の変化を確認する。ここで所定の基準変化量以上の変化量が認められる被試験体はシール不良として取り除かれてもよい。
以上より、ディスク駆動装置100の信頼性が向上しうる。
図2は、図1のA−A線断面図である。ロータ6は、シャフト26と、ハブ28と、スラストリング30と、円筒状マグネット32と、を含む。ハブ28のディスク載置面28a上に磁気記録ディスク8が載置される。ハブ28の上面28bには3つのディスク固定用ねじ穴34がロータ6の回転軸Rの周りに120度間隔で設けられている。クランパ36は、3つのディスク固定用ねじ穴34に螺合される3つのディスク固定用ねじ38によってハブ28の上面28bに圧着されると共に磁気記録ディスク8をハブ28のディスク載置面28aに圧着させる。
ハブ28は、軟磁性を有する例えばSUS430F等の鉄鋼材料から形成される。ハブ28は、鉄鋼板を例えばプレス加工や切削加工することにより形成され、略カップ状の所定の形状に形成される。ハブ28の鉄鋼材料としては、例えば、大同特殊鋼株式会社が供給する商品名DHS1のステンレスはアウトガスが少なく、加工容易である点で好ましい。また、同様に同社が供給する商品名DHS2のステンレスはさらに耐食性が良好な点でより好ましい。
シャフト26は、ハブ28の中心に設けられた孔28cであってロータ6の回転軸Rと同軸に設けられた孔28cに圧入と接着とを併用した状態で固着される。
スラストリング30は円環形状を有し、スラストリング30の断面は、逆L字形状を有する。スラストリング30は、ハブ28の下垂部28dの内周面28eに接着により固定される。スラストリング30は、例えばSUS303やSUS430F等の鉄鋼材料から形成される。スラストリング30は、鉄鋼板を例えばプレス加工や切削加工することにより形成される。スラストリング30の鉄鋼材料としては、例えば、大同特殊鋼株式会社が供給する商品名DHS1のステンレスはアウトガスが少なく、加工容易である点で好ましい。また、同様に同社が供給する商品名DHS2のステンレスはさらに耐食性が良好な点でより好ましい。
スラストリング30をハブ28、特に下垂部28dより柔らかい鉄鋼材料から形成する場合、スラストリング30を下垂部28dの内周面28eに装着する際にスラストリング30が変形しやすい。スラストリング30が変形すると、周囲との隙間を必要なだけ確保できない可能性がある。そこでスラストリング30は、ハブ28と実質的に同じ硬さの鉄鋼材料から形成される。この場合、スラストリング30の変形を抑えうる。
円筒状マグネット32は、略カップ形状のハブ28の内側の円筒面に相当する円筒状内周面28fに接着固定される。円筒状マグネット32は、ネオジウム、鉄、ホウ素などの希土類材料によって形成され、積層コア40の12本の突極と半径方向に対向する。円筒状マグネット32にはその周方向に16極の駆動用着磁が施される。円筒状マグネット32の表面には電着塗装やスプレー塗装などによる防錆処理が施される。
ディスク駆動装置100は、軸受ユニット12と、積層コア40と、コイル42と、吸引プレート86と、をさらに備える。ベース4は、軸受ユニット12を介してハブ28を回転自在に支持する。ベース4の上面4dには、ロータ6の回転軸Rを中心とし、上側に突出して軸受ユニット12を環囲する円環状の環状壁部4eが設けられる。環状壁部4eの内周面は軸受ユニット12が挿入され接着固定される軸受孔4hを形成する。ベース4は、環状壁部4eに近いほど厚く形成された厚み増大部4nを有する。厚み増大部4nの断面の上辺は、下に凸で滑らかな関数もしくは直線とされる。図2において、厚み増大部4nのハブ28側の面はハブ28から遠い側の端4ndから半径方向内側に向かって延在してハブ28に近い側の端4nuに至る。
軸受ユニット12は、ハウジング44と、スリーブ46と、を含み、ロータ6をベース4に対して回転自在に支持する。
ハウジング44はベース4の軸受孔4hに接着により固定される。ハウジング44は、円筒部と底部とが一体に形成された有底カップ形状を有し、その底部を下にしてベース4に対して接着固定される。
スリーブ46は、ハウジング44の内側の側面に接着により固定される円筒状の部材である。スリーブ46の上端には径方向外側に向けて張り出した張出部46aが形成されている。この張出部46aは、スラストリング30と協働してロータ6の軸方向の移動を制限する。
ハウジング44を有底カップ形状とすることにより、円筒部と底部とを別々に形成して結合する場合と比べて高い強度を実現できる。また、組立にかかる手間を軽減できる。また、円筒部と底部とを別々に形成して結合する場合は、所定の接着強度を実現するために接着用の領域を設ける必要がありハウジングの軸方向の寸法を小さくすることが難しい。そこでハウジング44を有底カップ形状とすることにより、ハウジング44をより薄くすることができる。
スリーブ46にはシャフト26が収まる。シャフト26およびハブ28およびスラストリング30と軸受ユニット12との間の空間である潤滑剤充填空間88には潤滑剤48が注入される。潤滑剤充填空間88は、スリーブ46の内周面に設けられ、上下に離間した1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝50に対応する2つの溝部90a、90bと、2つの溝部90a、90bの間の動圧溝がない領域に対応する非溝部92と、を有する。
軸受ユニット12は、2つの溝部90a、90bの軸方向の長さのそれぞれが非溝部92の軸方向の長さよりも長くなるように形成される。この場合、ディスク駆動装置100を薄くした場合にもラジアル動圧の低下を抑制しうる。
また、軸受ユニット12は、2つの溝部90a、90bのうちロータ6に近い側(上側)の溝部90aの軸方向の長さがもう一方の溝部90bの軸方向の長さよりも長くなるように形成される。この場合、溝部90aの軸方向の長さを相対的に長くすることによって、そこでの軸受剛性を高めることができる。これにより、ロータ6に近い側の溝部90aはもう一方の溝部90bよりも相対的に大きなラジアル荷重を負うという状況において、そのような状況に合致して効率的にラジアル荷重に対処することができる。
ハウジング44の上面に対向するスラストリング30の下面には、ヘリングボーン形状またはスパイラル形状の第1スラスト動圧溝(不図示)が形成される。張出部46aの下面に対向するスラストリング30の上面には、ヘリングボーン形状またはスパイラル形状の第2スラスト動圧溝(不図示)が形成される。ロータ6の回転時には、ラジアル動圧溝およびスラスト動圧溝が潤滑剤48に生成する動圧によって、ロータ6はラジアル方向およびスラスト方向に支持される。
なお、1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝をシャフト26に形成してもよい。また、第1スラスト動圧溝をハウジング44の上面に形成してもよく、第2スラスト動圧溝を張出部46aの下面に形成してもよい。あるいはまた、スラスト動圧溝を、ハブ28の下面のうち張出部46aと対向する面または張出部46aの上面に設けてもよい。
ハウジング44の上側には、スラストリング30の内周面30cとハウジング44の外周面44aとの間の隙間が下方に向けて徐々に広がる部分であるキャピラリーシール部TSが形成される。清浄空間24に充填される清浄な気体と潤滑剤48との境界面すなわち液面はキャピラリーシール部TSの中間に位置する。キャピラリーシール部TSは潤滑剤充填空間88の入口を形成する。キャピラリーシール部TSは毛細管現象により潤滑剤48の漏れ出しを防止する。スラストリング30の内周面30cは軸方向下向きに径が小さくなるように形成される。この場合、ロータ6の回転に伴う遠心力により潤滑剤48に奥向きの力が加えられる。図2に示すように、ベース4は、キャピラリーシール部TSの一部が環状壁部4eの半径方向内側領域に進入するように構成されている。
積層コア40は円環部とそこから半径方向外側に伸びる12本の突極とを有し、ベース4の上面4d側に固定される。積層コア40は、6枚の薄型電磁鋼板を積層しカシメにより一体化して形成される。積層コア40の表面には電着塗装や粉体塗装などによる絶縁塗装が施される。それぞれの突極にはコイル42が巻回される。このコイル42に3相の略正弦波状の駆動電流が流れることにより突極に沿って駆動磁束が発生する。
厚み増大部4nはコイル42側に厚くなっている。したがって、何ら対策を施さずディスク駆動装置に衝撃が加わった場合、厚み増大部4nとコイル42とが接触して両者の絶縁を維持できなくなる可能性がある。これに対応して、コイル42は、厚み増大部4nと所定の間隔、例えば0.1mmより大きな間隔を有するように形成される。すなわち、厚み増大部4nとコイル42との間の距離の最小値は0.1mm以上である。これにより、ディスク駆動装置100に衝撃が加わった場合に厚み増大部4nとコイル42とが接触する可能性を低減できる。
特にコイル42は、厚み増大部4nのプロファイルに対応して薄くなる厚み減少部42aを有する。厚み減少部42aは、回転軸Rに近づくほど薄くなるように形成される。例えばコイル42の巻数を回転軸Rに近くなるほど少なくすることで、厚み減少部42aを形成できる。あるいはまた、コイル42の回転軸Rに近い部分を厚み方向からプレスして薄くすることで厚み減少部42aを形成できる。
積層コア40はその円環部の中心孔40aを通して、環状壁部4eの外周面4gに圧入されもしくは隙間ばめによって接着固定される。ここでの嵌め合わされ方としては、積層コア40は、軸受孔4hの側面のうちハウジング44の外周面44aと接する部分を環囲する位置に固定される。この場合、積層コア40をベース4に取り付けてから軸受ユニット12をベース4に取り付けるという工程を経ることにより、軸受ユニット12の取り付けの際にはベース4の環状壁部4eが積層コア40によって径方向に固定されているので、軸受ユニット12を軸受孔4hに挿入することに伴う環状壁部4eの変形を抑えることができる。この結果、挿入後の軸受ユニット12の直角度が改善される。特に、ベース4は金属としては比較的軟らかいアルミニウムから形成される場合が多いが、本実施の形態はそのような場合に好適である。
ハウジング44とベース4との接着部分について説明する。ベース4の軸受孔4hの側面には、ロータ6の回転軸Rを中心とする環状の第1の溝4jが設けられる。第1の溝4jの断面は半円形状を有する。軸受孔4hの側面と接するハウジング44の外周面44aには、回転軸Rに沿った方向において第1の溝4jとは異なる位置に、回転軸Rを中心とする環状の第2の溝44bが設けられる。第2の溝44bの断面は半円形状を有する。
なお、第1の溝4jの断面の形状および第2の溝44bの断面の形状はそれぞれ、多角形状や半楕円形状や丸みを帯びた形状であってもよい。
第1の溝4jおよび第2の溝44bは接着剤を保持する。
導電性樹脂52は、ベース4の下面4kにおける軸受孔4hの縁部4lに塗布される。この導電性樹脂52によってベース4とハウジング44とが電気的に接続される。ベース4の下面4kには、軸受孔4hの縁部4lに沿って切削した切削部4mが設けられる。切削部4mの径方向の幅は、切削部4mの切削の深さより大きい。導電性樹脂52は切削部4mからハウジング44の底面44cに亘って塗布される。特に、切削部4mにおいては、導電性樹脂52はその高さ(回転軸Rに沿った方向の厚み)が切削部4mの切削の深さよりも小さくなるように塗布される。
導電性樹脂52としては、種々の材料を採用し得る。例えばエポキシ樹脂に銀パウダーを混合した主剤に硬化剤としてポリオキシプロピレンジアミンを作用させたいわゆる二液性エポキシ導電性樹脂は、塗布が容易で強靭で可撓性を有し耐衝撃性に優れる。また揮発成分が少ない点で好ましい。
ハウジング44とベース4とを接着する接着剤としては、種々の接着剤を採用し得る。例えばアクリル酸エステルを主成分とする嫌気性接着剤は、作業が容易となる点で好ましい。この嫌気性接着剤は空気に触れている間は硬化せず、ハウジング44とベース4との嵌合部に入ると急速に反応し重合硬化し、短時間で初期の強度が得られる。また収縮が少ないので、嵌合部におけるリークを防止するシール剤としても好ましい。さらには、かかる接着剤に紫外線硬化性を付与したものは、はみ出した接着剤を紫外線の照射により短時間で硬化させることで早期に取り扱いを可能とする点で好ましい。
なお、これらの接着剤や導電性樹脂52は揮発成分を徐々に放出することがある。これらの揮発成分は清浄空間24を汚染し、正常なデータのリード/ライト動作の障害となる場合がある。これに対応して、接着剤を用いてベース4と軸受ユニット12とを接着し導電性樹脂52を塗布してベース4とハウジング44との間の導通を確保した後、ロータ6に磁気記録ディスク8が搭載される前に、組立中のディスク駆動装置100を高温槽に長時間放置してもよい。この場合、接着剤や導電性樹脂52の揮発成分をより早く除去できる。例えば高温槽の温度を65℃以上に保ち1時間以上放置することで、接着剤や導電性樹脂52の揮発成分がほぼ除去される。また、高温槽の温度を75℃以上に保ち1時間以上放置することで、接着剤や導電性樹脂52の揮発成分が十分に除去される。なお、高温槽の温度を100℃以下に保つことで、高温による接着剤や導電性樹脂52の変性や強度低下を防止し得る。
図3は、吸引プレート86を示す上面図である。図3のA−A線は図2の断面に対応する。吸引プレート86は、回転軸R方向において円筒状マグネット32と対向する。吸引プレート86は磁性材料により形成される。吸引プレート86は、円環部86bとそこから半径方向内側に伸びる6本の突出部86aとを有する。吸引プレート86は、6本の突出部86aがベース4に例えばカシメにより固定されることによってベース4に固定される。吸引プレート86は磁性材料により形成されるので、円筒状マグネット32と引き付け合う。これにより円筒状マグネット32に軸方向下向きの力が加わり、ロータ6の回転中にロータ6の浮き上がりが抑制される。
図4は、図2のディスク駆動装置100のスラストリング30付近の拡大断面図である。スラストリング30は、軸方向に沿ってハブ28と対向するハブ対向面を有する。ハブ対向面は、外周領域30aと内周領域30bとを有する。外周領域30aはハブ28の下面28gに当接している。内周領域30bは、第2スラスト動圧溝を有する。内周領域30bは張出部46a下側で回転する。
外周領域30aと内周領域30bとを軸方向において異なる高さに形成する場合、内周領域30bの軸方向の高さの精度を高めることは難しい。ハブ28の下面28gの製造上の寸法誤差に外周領域30aと内周領域30bとの製造上の寸法誤差が加わるからである。内周領域30bの軸方向の高さの精度が低いと張出部46aとの隙間の精度が低下する。この隙間の精度が低いと、これらの接触を防止するためにこの隙間を広くする必要があり、その分だけディスク駆動装置を薄くすることが難しくなる。
これに対応してスラストリング30の外周領域30aと内周領域30bとは、回転軸Rと直交する平面に接するように形成されてもよい。すなわち、スラストリング30はハブ対向面が実質的に平坦となるように形成されてもよい。この場合、外周領域30aと内周領域30bとは軸方向において同一面内にあり、内周領域30bはハブ28の下面28gと軸方向において同一の位置に配置される。その結果、内周領域30bの軸方向高さの精度を高く維持できる。
キャピラリーシール部TSに存在する潤滑剤48の軸方向の長さL3と、軸受孔4hの軸方向の長さL1とは、一方を長くすると、他方が短くなる関係にある。また、ディスク駆動装置100の軸方向の寸法(厚み)を一定とする場合は、下垂部28dの軸方向の長さL2を長くすると、軸受孔4hの軸方向の長さL1はその分短くなる。
潤滑剤48の軸方向の長さL3を軸受孔4hの軸方向の長さL1より長くすることもできる。あるいはまた、下垂部28dの軸方向の長さL2を軸受孔4hの軸方向の長さL1より長くすることもできる。しかしながら、軸受孔4hの軸方向の長さL1が短くなると、ディスク駆動装置100に衝撃が加えられた場合にベース4と軸受ユニット12の接着部分が剥離し易くなる。この接着の剥離が生じると、狭い隙間で構成されたディスク駆動装置に接触等の障害が生じうる。これに対応して、ディスク駆動装置100は、軸受孔4hの軸方向の長さL1がキャピラリーシール部TSに存在する潤滑剤48の軸方向の長さL3より長くなるように構成されてもよい。また、ディスク駆動装置100は、軸受孔4hの軸方向の長さL1が下垂部28dの軸方向の長さL2より長くなるように構成されてもよい。これらの場合、ベース4と軸受ユニット12との接着部分の耐衝撃性を高めることができる。
図5は、図2の左半分を拡大した拡大断面図である。図5では、回転軸Rに沿ってz座標を定義する。ベース4の下面4kのz座標をz=0とする。
ハウジング44と環状壁部4eとの接触部分はz座標においてz0<z<z2の範囲を占める。また、積層コア40はz座標においてz1<z<z3の範囲を占める。ここでディスク駆動装置100は、z0<z1<z2<z3となるように、言い換えるとハウジング44と環状壁部4eとの接触部分のz座標の範囲と積層コア40のz座標の範囲とに重なり合う部分が存在するように、形成される。この場合、接触部分を多めに確保できるので、ベース4と軸受ユニット12との接着部分の耐衝撃性を高めることができる。また、図5に示すように、ベース4は、厚み増大部4nのz座標範囲が軸受ユニットと環状壁部4eとの接触部分のz座標範囲と重なり合う部分を有している。
吸引プレート86はz座標においてz<z<zの範囲を占める。ハブ28はz座標においてz<z<zの範囲を占める。ここでディスク駆動装置100は、z<z<z<zとなるように、言い換えると吸引プレート86のz座標の範囲とハブ28のz座標の範囲とに重なり合う部分が存在するように、形成される。これにより、ハブ28の内側の空間と外側の空間との間に、吸引プレート86とハブ28のマグネット保持部28hとによるラビリンス構造が設けられる。この場合、ハブ28の内側の空間に潤滑剤48の飛沫などの異物が存在していても、ラビリンス構造によりそのような異物のハブ28の外側への飛散は抑制される。
環状壁部4eの内周面は軸受孔4hの側面の一部を形成している。環状壁部4eの上部にはハブ28側にさらに突出した環状凸部4rが設けられる。環状凸部4rの外周面は積層コア40の円環部と嵌め合わされる。下垂部28dとスラストリング30とは環状凸部4rの回転軸R側の領域で回転する。つまり、ベース4は、スラストリング30の一部が、環状壁部4eの半径方向内側の領域に進入するように構成されている。また、図5に示すように、ベース4は、厚み増大部4nのハブ28側の端部から半径方向内向きに延在してコア40の端面と軸方向に接する端面が形成されている。
厚み増大部4nは、環状凸部4rの半径方向外側に設けられ、環状凸部4rに向けて厚みが増大する形状を有する。つまり、厚み増大部4nは環状壁部4eの半径方向外側に設けられている。コイル対向部4pは、厚み増大部4nの半径方向外側に厚み増大部4nと隣接して設けられ、実質的に均一な厚みHを有する。厚みHは、軸受孔4hの軸方向の長さL1の2分の1よりも小さい。厚み増大部4nのハブ28側の面とコイル対向部4pのハブ28側の面とはスムーズに接続されている。
コイル対向部4pの厚みHは0.7mm以下とすることができる。ディスク駆動装置100を薄く構成できる点で有利である。また、コイル対向部4pの厚みHを薄くしていくと、アルミダイカスト工程や切削加工の際にピンホールを生じる可能性が高くなる。このため、コイル対向部4pの厚みHは0.4mm以上としてもよい。ピンホールの発生を抑えうる点で好ましい。
図5において、回転軸Rと交差し回転軸Rに垂直な直線に沿ってx座標を定義する。回転軸Rのx座標をx=0とする。
厚み増大部4nは、
Figure 0005660704
が満たされるように形成される。ここで、xは厚み増大部4nにおけるある位置のx座標、xは厚み増大部4nの最も回転軸R側のx座標、H(x)は厚み増大部4nの位置xにおける厚み、である。x、x、H(x)、Hは全て同じ単位、例えばmm単位とする。
また、H=0.7mm、x=4.8mm、H=H(x)=0.88mm、(厚み増大部4nの最も半径方向外側のx座標x)=5.8mmである。
軸方向においてコイル42と対向するハブ28の部分と、同じく軸方向においてコイル42と対向するベース4のコイル対向部4pと、に着目する。ディスク駆動装置100の薄型化を進めるに際し、軸方向においてコイル42と対向するハブ28の部分を薄くすることが考えられる。しかしながらこの場合、コイル対向部4pを薄くする場合と比べて、磁気記録ディスク8を載置して高速で回転させたときに磁気記録ディスク8に振動が生じ易くなることが本発明者によって認識された。そこで、ディスク駆動装置100では、軸方向においてコイル42と対向するハブ28の部分はコイル対向部4pよりも厚く形成される。言い換えると、(軸方向においてコイル42と対向するハブ28の部分の厚みH)>Hである。
以上のように構成されたディスク駆動装置100の動作について説明する。磁気記録ディスク8を回転させるために、3相の駆動電流がコイル42に供給される。その駆動電流がコイル42を流れることにより、12本の突極に沿って駆動磁束が発生する。この駆動磁束によって円筒状マグネット32にトルクが与えられ、ロータ6およびそれに嵌合された磁気記録ディスク8が回転する。同時にボイスコイルモータ16がスイングアーム14を揺動させることによって、記録再生ヘッドが磁気記録ディスク8上の揺動範囲を行き来する。記録再生ヘッドは磁気記録ディスク8に記録された磁気データを電気信号に変換して制御基板(不図示)へ伝え、また制御基板から電気信号の形で送られてくるデータを磁気記録ディスク8上に磁気データとして書き込む。
ディスク駆動装置100を薄型化する場合、上記の通り回転中の振動の観点からハブ28よりもベース4を薄くすることが考えられる。ベース4を薄くする場合に考慮すべき点のひとつとして耐衝撃性がある。ディスク駆動装置100に衝撃による加速度が加わると、磁気記録ディスク8とハブ28と軸受ユニット12と積層コア40とコイル42との合計質量に衝撃による加速度を乗じた値に応じた大きさの応力が、ベース4の中央部分に加わる。特に環状壁部4eと厚み増大部4nとの境目の部分にこの応力が集中する傾向にある。
厚み増大部4nが設けられず、環状壁部4eから厚み一定のコイル対向部が環状壁部4eに隣接して設けられる場合は、コイル対向部における衝撃による応力は概ね回転軸Rからの距離に反比例して分布する。したがって、環状壁部4eとコイル対向部との境目の部分、特に角の部分に応力が集中してそこから塑性変形や亀裂が生じやすい。
そこで本実施の形態に係るディスク駆動装置100によると、厚み増大部4nは環状壁部4eに近いほど厚く形成される。したがって、環状壁部4eと厚み増大部4nとの境目の部分における応力は分散され、その境目は全体としてより大きな応力に耐えることができる。言い換えると、応力の分布を回転軸Rからの距離によらずに実質的に均一にすることができる。その結果、ディスク駆動装置100はより大きな衝撃に耐えることができる。
また、厚み増大部4nを設けて耐衝撃性が向上した分だけベース4を薄くすることができるので、ディスク駆動装置100をより薄くすることができる。
本発明者は、厚み増大部4nの形状を変えては応力分布をシミュレーションすることを繰り返した。その結果、コイル対向部4pの厚みHが0.5mmから1.2mmの範囲にあり、厚み増大部4nの最も回転軸R側のx座標xが4mmから15mmの範囲にある場合に、厚み増大部4nが
Figure 0005660704
が満たされるように形成されると、応力が適切に分散されシミュレーション上応力がベースの材料の弾性限界を超えないで、ベースの変形が実使用上問題とならない範囲に抑えられることを見出した。ここでkはベースの材料の機械的強度によって定まる定数である。kは実験により求めることができる。
本シミュレーションではベースはアルミダイカスト(JIS名ADC12)であることを想定した。この場合、引張強度は300MPa程度である。しかしながら本発明者の当業者としての経験から、150MPa程度の応力でも既に0.2%程度の変形が生じる場合がある。したがって、応力は120MPa程度以下に抑えると好適である。また、ベースをアルミダイカストで構成する場合には、いわゆる鋳巣と呼ばれる密度の低い領域が存在する場合がある。鋳巣が存在する領域における応力が150MPaを超えると、ベースに大きな変形を生じうる。このため、応力は100MPa程度以下に抑えることができると一層好適である。この判断基準のもと本発明者は、ディスク駆動装置に上向きに11760m/s(1200G)の衝撃による加速度が加わり、かつ、ベースがアルミニウムから形成されている場合のしきい値としてk=1.25を得た。すなわち、k=1.25のときの上記式1を満たすディスク駆動装置であれば、1200Gの試験衝撃荷重を受けても所定のハブの高さを維持することができる。
図6(a)〜(c)は、シミュレーションにより得られた応力分布を等高線で示す応力分布図である。ここで使用されたシミュレーションは、有限要素法を応用したコンピュータシミュレーションである。図6(a)は、ベースが厚み増大部4nを有さない場合のシミュレーション結果を示す。図6(a)に示される通り、ベースが厚み増大部4nを有さない場合、ベースの角部200で等高線が密となっており応力が集中している。特に角部200付近には応力が180MPaを超える領域202が見られる。またその周辺には応力が150MPaを超える領域204が広く見られる。応力が150MPaを超える領域204に鋳巣が存在すると大きな変形を生じうる。
図6(b)は、厚み増大部4nが、
Figure 0005660704
が満たされるように形成される場合のシミュレーション結果を示す。図6(b)では、応力が最も高くなる領域206においても応力は100MPa程度となっている。したがって、この厚み増大部4nの形状では、応力が適切に分散されていると言える。
図6(c)は、厚み増大部4nが、
Figure 0005660704
が満たされるように形成される場合のシミュレーション結果を示す。図6(c)では図6(b)の場合と比べて厚み増大部4nがより厚く形成されている。したがって、より一層応力は分散され、最大でも80MPa程度となっている。したがって、鋳巣が存在してもそこでの変形を抑制できる。
ディスク駆動装置の設計では、ディスク駆動装置を薄くしてもトルクを十分に得たいという要請がある。薄型化によるトルクの低下を抑えるために、円筒状マグネット32を相対的に厚くすることが一般的である。円筒状マグネット32を相対的に厚くするために、その分吸引プレートを薄くすることも考えられる。しかしながら、吸引プレートの全内周に亘って均一な荷重を加えて吸引プレートをベース4に固定する場合、吸引プレートを薄くすると、内周に加えるカシメ荷重に僅かな不均一があっても吸引プレートに大きな変形を生じる可能性がある。吸引プレートが変形すると円筒状マグネット32との隙間を周方向に均一に保つことが難しくなる。この隙間が不均一になると円筒状マグネット32との引き付け合う力が周方向で変化して、ロータ6の回転が不安定となり、最悪の場合吸引プレートが円筒状マグネット32に接触する可能性がある。これを避けるため、本発明者の当業者としての経験から、吸引プレートの全内周に亘って均一な荷重を加えて吸引プレートをベース4に固定する場合は、一般的には吸引プレートを0.5mm厚以下に形成することは難しい。
これに対応して、本実施の形態に係るディスク駆動装置100では、吸引プレート86は、円環部86bとそこから半径方向内側に伸びる6本の突出部86aとを有する。吸引プレート86は、6本の突出部86aがベース4に例えばカシメにより固定されることによってベース4に固定される。ここでは6本の突出部86aに荷重が加えられる。したがって、吸引プレートの全内周に亘って均一な荷重を加えて吸引プレートをベース4に固定する場合と比較して、吸引プレート86の変形を抑制しうる。また、吸引プレート86をより薄くしてその分円筒状マグネット32を厚くし、トルクを増やすことができる。特に吸引プレート86を0.5mm厚以下、より好ましくは0.4mm厚以下に形成することができる。
なお、吸引プレート86を薄くしすぎると磁気飽和を生じ易くなり所定の吸引力を確保することが難しくなる。このため、吸引プレート86を0.1mm厚以上に形成してもよい。この場合、所定の吸引力を確保しうる点で有利である。吸引プレート86の厚みを0.2〜0.3mmとすると、その変形を抑制しつつ安定した吸引力を得ることができるので好ましい。
本実施の形態では、図5を参照すると、吸引プレート86の中央を通り回転軸Rに平行な直線に沿った寸法は、
ハブ28の厚みL1=1.5mm
円筒状マグネット32の厚みL2=2.0mm
円筒状マグネット32と吸引プレート86との隙間L3=0.38mm
吸引プレート86の厚みL4=0.25mm
ベース4の厚みL5=0.7mm
ディスク駆動装置100の厚み=4.83mm
とされている。
なお、吸引プレート86の厚みL4を0.4mmで設計する場合は、円筒状マグネット32の厚みL2を1.85mmとすればよい。
突出部86aの数が少ないと吸引プレート86が傾いて固定される可能性がある。このため、突出部86aの数を3つ以上としてもよい。この場合、吸引プレート86が傾いて固定される可能性を低減できる。また突出部86aの数が多いと、これらに加える荷重が不均一となり変形が生じうる。そこで突出部86aの数を12以下としてもよい。この場合、変形を抑えうる。
実施の形態に係るディスク駆動装置100によると、接着剤で満たされた第1の溝4jおよび第2の溝44bは接着剤溜まりの役割を果たすので、ベース4と軸受ユニット12との間の接着の強度がより強まる。また、その溝においてより確実に気密性が保たれる。
(製造方法)
実施の形態に係るディスク駆動装置100の製造方法を説明する。以下、シャフト26とハブ28とスラストリング30と軸受ユニット12と潤滑剤48とをまとめて流体動圧軸受と呼ぶ。
軸受組立工程では、潤滑剤48が注入されない状態の流体動圧軸受を組み立てる。
準備工程では、潤滑剤48を注入する前の流体動圧軸受を、キャピラリーシール部TSの入口を上に向けて減圧可能な作業空間に載置する。そして作業空間の気圧である作業圧力をたとえば100Pa以下に減圧することで、潤滑剤充填空間88を減圧する。
注入工程ではまず潤滑剤48を吐出する吐出ノズルをキャピラリーシール部TSの入口の内部に挿入する。この際、吐出ノズルは入口に対応する水平位置まで移動し、次に入口の内部まで鉛直方向に移動する。これにより、潤滑剤48を注入する前の流体動圧軸受を作業空間にセットする際に吐出ノズルが邪魔をすることはなく、流体動圧軸受を容易に短時間でセットできる。
吐出ノズルをキャピラリーシール部TSの入口の内部に挿入した後、潤滑剤48を吐出ノズルから吐出する。吐出される潤滑剤48の量はキャピラリーシール部TSからあふれ出ない量、たとえばキャピラリーシール部TSを満たす程度の量とする。
引き込み工程では、作業空間を大気圧などの潤滑剤充填空間88内部の圧力よりも高い圧力まで復圧し、潤滑剤充填空間88の内部と外部との圧力差によって潤滑剤48を潤滑剤充填空間88の内部へ引き込む。これにより、潤滑剤充填空間88に潤滑剤48が充填される。
この引き込み工程において、流体動圧軸受に充填した潤滑剤48の中に空気などの気体が残留することがある。流体動圧軸受に空気が多く残留したままだと、高温で低圧力の状態になった場合に、残留した空気が膨張して潤滑剤48を軸受ユニット12から押し出して飛散させる可能性がある。潤滑剤48が飛散するとディスク駆動装置の信頼性を損なうおそれがある。これに対応して、本製造方法は、引き込み工程の後に、流体動圧軸受に充填した潤滑剤48の中に残留した空気の量が所定の量より多い流体動圧軸受を検出して、不良品として除去する残留気体検査工程を含む。この場合、かかる検査工程を経て製造されたディスク駆動装置について、残留した空気に起因して潤滑剤48が流出する可能性が低減される。
残留気体検査工程は、第1計測工程と、第2計測工程と、除去工程と、を含む。
図7(a)、(b)は、計測工程を説明するための説明図である。
図7(a)は、第1計測工程を説明するための説明図である。第1計測工程では、潤滑剤48が導入された流体動圧軸受について、第1気圧、例えば1013hPa(1気圧)のもとでの回転軸R方向における潤滑剤48の液面48aの第1高さhを、スラストリング30の下面を基準として計測する。図7(a)は、キャピラリーシール部TSの上部に残留空気94が存在する場合を示す。
図7(b)は、第2計測工程を説明するための説明図である。第2計測工程では、潤滑剤48が導入された流体動圧軸受について、第1気圧より低い第2気圧、例えば30Paのもとでの回転軸R方向における潤滑剤48の液面48aの第2高さhをスラストリング30の下面を基準として計測する。第2気圧は100Pa以下であり、30〜50Paが好ましい。第2気圧は第1気圧より低いので、残留空気94は図7(a)の場合と比べて膨張する。その分潤滑剤48の液面48aは下方に移動し、第2高さhは小さくなる。
除去工程では、潤滑剤48が導入された流体動圧軸受について、計測された第1高さhと計測された第2高さhとを基に検査をする。より具体的には、第1高さhと第2高さhとの差の絶対値が所定の基準値よりも大きい場合、その流体動圧軸受は基準を満たさない流体動圧軸受とする。基準を満たさないと判断された流体動圧軸受は除去される。
この残留気体検査工程によると、残留気体に起因する影響を高精度で検出しうる。例えば、第1高さhと第2高さhの差(h−h)が50μmを超える流体動圧軸受を不良品として除去してもよい。
ステータ組立工程では、残留気体検査工程の後、コイル42を巻いた積層コア40を予めベース4に固定し、そのベース4の軸受孔4hに、流体動圧軸受の軸受ユニット12を接着固定する。
高温工程では、軸受ユニット12を接着した後、65〜100℃の清浄雰囲気の高温槽に1〜3時間放置する。なお、第1シール部材84a、第2シール部材84bが液状の硬化性樹脂である場合は、高温工程の前いずれかの工程でそれらを塗布してもよい。高温工程で硬化が促進する点で有利である。また、第1シール部材84a、第2シール部材84bがシート状の部材を固定して形成される場合は、高温工程の後の工程で固定してもよい。シール部材が劣化しない点で好ましい。
ディスク組立工程では、磁気記録ディスク8やデータリード/ライト部10等の部材が組み付けられる。ディスク組立工程では、ねじ20を用いてトップカバー2をベース4の外周壁部4bの上面4cに固定する。この際、ベース4に設けた開口部を介して清浄空間24に清浄な気体を充填する。その後、当該開口部を所定の閉塞部材を用いて塞ぐ。その後、所定の性能検査工程等を経てディスク駆動装置100が製造される。
以上、実施の形態に係るディスク駆動装置100の構成と動作およびその製造方法について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、コイル42は、厚み増大部4nのプロファイルに対応して薄くなる厚み減少部42aを有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、コイル42に厚み減少部42aを設ける代わりに、厚み増大部を、コイルと所定の間隔、例えば0.1mmより大きな間隔を有するように形成してもよい。この場合でも、ディスク駆動装置に衝撃が加わった場合に厚み増大部とコイルとが接触する可能性を低減できる。
実施の形態では、吸引プレート86は、円環部86bとそこから半径方向内側に伸びる6本の突出部86aとを有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、吸引プレートは、円環部とそこから半径方向外側に伸びる複数の突出部とを有してもよい。この場合、吸引プレートは、複数の突出部がベース4に例えばカシメにより固定されることによってベース4に固定される
実施の形態では、ハウジング44は、円筒部と底部とが一体に形成された有底カップ形状を有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、ハウジングは、環状壁部との接触部分の直径が他の部分の直径よりも大きくなるように形成されてもよい。
図8は、変形例に係るディスク駆動装置300の断面図である。ハウジング44’は、ベース4’の軸受孔4’hとの接触部分の直径D1が、他の部分、例えばハウジング44’上部の直径D2よりも大きくなるように形成される。ベース4’は、軸受孔4’hの直径がスラストリング30の直径よりも大きくなるように形成される。
本変形例によると、ハウジング44’とベース4’との接着部分の面積を実施の形態よりも増やすことができるので、接着強度を高めることができる。
実施の形態では、円筒状マグネット32が積層コア40の外側に位置する、いわゆるアウターロータ型のディスク駆動装置100について説明したが、これに限られない。たとえば円筒状マグネットが積層コアの内側に位置する、いわゆるインナーロータ型のディスク駆動装置であってもよい。
実施の形態では、軸受ユニット12がベース4に固定され、シャフト26が軸受ユニット12に対して回転する場合について説明したが、たとえばシャフトがベースに固定され、軸受ユニットがハブと共にシャフトに対して回転するようなシャフト固定型であってもよい。
実施の形態では、ベース4に直接軸受ユニット12が取り付けられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、ロータ、軸受ユニット、積層コア、コイルおよびベースからなるブラシレスモータを別途形成した上で、そのブラシレスモータをシャーシに取り付ける構成としてもよい。
実施の形態では積層コアを用いる場合について説明したが、コアは積層コアでなくてもよい。
実施の形態では、ハウジング44とスリーブ46とは別体である場合について説明したが、これに限られず、ハウジングとスリーブとは一体に形成されてもよい。この場合、部品点数を削減でき、組立の手間を軽減できる。
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
4 ベース、 4h 軸受孔、 4n 厚み増大部、 6 ロータ、 8 磁気記録ディスク、 10 データリード/ライト部、 12 軸受ユニット、 26 シャフト、 28 ハブ、 30 スラストリング、 32 円筒状マグネット、 40 積層コア、 42 コイル、 44 ハウジング、 46 スリーブ、 48 潤滑剤、 86 吸引プレート、 100 ディスク駆動装置、 R 回転軸。

Claims (11)

  1. 記録ディスクが載置されるべきハブと、
    流体動圧軸受ユニットを介して前記ハブを回転自在に支持するベースと、
    前記ベースに固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、
    前記複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、を備え、
    前記流体動圧軸受ユニットはラジアル動圧溝が形成される部材を固定するハウジングを含み
    記ベースは、前記ハブ側に突出して外周部に前記コアの前記円環部の中心孔を通して接着固定されると共に内周部に形成された軸受孔に前記ハウジングが挿入され接着固定されるコア外設ハウジング環囲部と、前記コア外設ハウジング環囲部の半径方向外側に連続して設けられると共に前記コア外設ハウジング環囲部に近いほど厚く形成された厚み増大部と、を一体に有し、
    前記ラジアル動圧溝は前記ハウジングに環囲され、前記ハウジングは前記コア外設ハウジング環囲部に環囲され、前記コア外設ハウジング環囲部は前記厚み増大部に環囲されると共に、前記ハブの回転軸に沿った軸方向に軸方向座標を定義するとき、前記厚み増大部の前記ハブ側の面の前記ハブから遠い側の端が前記ラジアル動圧溝の軸方向座標範囲内に位置することを特徴とする回転機器。
  2. 記厚み増大部の前記ハブ側の面の前記ハブに近い側の端が前記コアの端面と軸方向に接すると共に前記ラジアル動圧溝の軸方向座標範囲内に位置することを特徴とする請求項1に記載の回転機器。
  3. 前記ハブに固定され前記ハブの回転軸を中心とする円環状の部材であって、前記ベース側の端面及び前記ベースと反対側の端面のそれぞれにスラスト動圧溝が形成されるスラストリングを備え、
    記スラストリングは、前記厚み増大部の半径方向内側に位置すると共に、前記コア外設ハウジング環囲部と前記ハウジングの半径方向隙間に進入する部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機器。
  4. 記厚み増大部の前記ハブ側の面の軸方向座標範囲が前記流体動圧軸受ユニットと前記コア外設ハウジング環囲部との接触部分の軸方向座標範囲に含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回転機器。
  5. 前記ハウジングの側面に毛細管現象により潤滑剤の漏れ出しを防止するキャピラリーシール部が軸方向に延在し、
    記キャピラリーシール部は、前記厚み増大部の半径方向内側に位置すると共に、前記コア外設ハウジング環囲部の半径方向内側領域に進入する部分を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の回転機器。
  6. 前記ハブの回転軸に直交する半径方向に半径方向座標を定義するとき、
    記厚み増大部は、その半径方向座標範囲が前記コイルの半径方向座標範囲と重なり合う部分を有すると共に、前記厚み増大部の軸方向座標範囲が前記コイルの軸方向座標範囲と重なり合う部分を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の回転機器。
  7. 前記コイルは、前記厚み増大部と軸方向に対向する部分に前記厚み増大部の形状に対応して前記コア外設ハウジング環囲部に近いほど薄くなる厚み減少部を有し、前記厚み減少部のうち前記コアより前記厚み増大部側にある部分の軸方向座標範囲が前記厚み増大部の軸方向座標範囲に含まれることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の回転機器。
  8. 記流体動圧軸受ユニットと前記コア外設ハウジング環囲部との接触部分の軸方向座標範囲と、前記コアの軸方向座標範囲とに重なり合う部分が存在することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の回転機器。
  9. 前記ベースに対して前記ハブ側となる空間は、ヘリウムを所定の割合で含む気体によって満たされ、
    前記ベースは、前記厚み増大部が前記ヘリウムを含む気体に接触することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の回転機器。
  10. 前記厚み増大部における前記ハブの回転軸からの距離をx、所定の基準距離をx、前記厚み増大部の距離xにおける厚みをH(x)、所定の基準厚みをH、kを所定の定数とするとき、前記厚み増大部は、
    Figure 0005660704
    が満たされるように形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の回転機器。
  11. 記録ディスクが載置されるべきハブと、
    流体動圧軸受ユニットを介して前記ハブを回転自在に支持するベースと、
    前記ベースに固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、
    前記複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、を備え、
    前記流体動圧軸受ユニットはラジアル動圧溝を環囲する円筒部を含み、
    前記ベースは、前記ハブ側に突出して外周部に前記コアの前記円環部の中心孔を通して接着固定されると共に内周部に形成された軸受孔に前記流体動圧軸受ユニットが挿入され接着固定される環囲部と、前記環囲部の半径方向外側に連続して設けられると共に前記環囲部に近いほど厚く形成された厚み増大部と、を一体に有し、
    前記ラジアル動圧溝を環囲する前記円筒部は前記環囲部に環囲され、前記環囲部は前記厚み増大部に環囲されると共に、前記ハブの回転軸に沿った軸方向に軸方向座標を定義するとき、前記厚み増大部の前記ハブ側の面の軸方向座標範囲は前記ラジアル動圧溝の軸方向座標範囲と重なり合う部分を有することを特徴とする回転機器。
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