JP5166323B2 - ディスク駆動装置およびその生産方法 - Google Patents
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Description
ハブに変形が生じると磁気記録ディスクを嵌める際の障害となり、あるいはたとえ嵌合できたとしても磁気記録ディスクに意図しない応力が加わって磁気記録ディスクが変形し、またはヨークの変形によって期待通りに円筒状マグネットを固定できなくなりうる。これらにより、磁気ヘッドの記録トラックのトレースが不安定になり、高密度・大容量化を図るとエラーレートが高くなりうる。
この態様によると、ヨークは隔壁の内周面に接着と圧入とを併用して固定されるので、ハブとヨークとの間の十分な固定の強度を保ちつつ、圧入の強度を低減することができる。
図1は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100の断面図である。図2は、図1のブラシレスモータ100の断面のうちハブ10とヨーク30との接触部分を拡大した拡大図である。図2では図1のハブ10とヨーク30との接触部分のうち、図1中左側の接触部分を示す。右側の接触部分は図2と同様に構成される。以降、図1および図2を用いてブラシレスモータ100の構成を説明する。
ブラシレスモータ100はハードディスクドライブに搭載され、直径が95mmの3.5インチ型の2枚の磁気記録ディスク200を回転させる。想定される2枚の磁気記録ディスク200のそれぞれの中央の孔の直径は25mm、厚みは1.27mmである。
ブラシレスモータ100は、略カップ状のハブ10と、シャフト20と、フランジ22と、ヨーク30と、円筒状マグネット40と、ベースプレート50と、積層コア60と、コイル70と、スリーブ80と、プレート90と、潤滑油92と、接着剤94と、を備える。以降ベースプレート50に対してハブ10が設けられている側を上側として説明する。
ヨーク30はその断面が逆L字型であり、鉄などの磁性材料により形成される。ヨーク30は隔壁14の内周面14aに接着と圧入とを併用して固定される。隔壁14の内周面14aには、ヨーク30が圧入される際にヨーク30が押し当てられる第1凸部16および第2凸部18が形成される。第1凸部16および第2凸部18は両方ともモータ回転軸Rの周りに形成された円環状の凸部であり、第1凸部16を上側としてスラスト方向に互いに離間して形成される。第1凸部16および第2凸部18は、第1凸部16のモータ回転軸Rを中心とした第1直径φ1が、第2凸部18のモータ回転軸Rを中心とした第2直径φ2よりも小さくなるよう形成される。
なお、第1凸部16および第2凸部18は、接着剤溜まり96が所望の接着強度を得るために必要な量の接着剤94を保持できるような形状を有するように形成されてもよい。
なお、第1圧入代δ1は(したがって第2圧入代δ2も)、100μm以下に設定されると、ヨーク30の変形や取付の精度の面で好ましい。
着座面10cには、2枚の磁気記録ディスク200のうち下側の磁気記録ディスクを着座させるための上側に突き出た隆起部13が形成される。隆起部13は、モータ回転軸Rの周りに円環状に形成され、隆起部13のうち磁気記録ディスクが着座する部分の面13aは、滑らかな曲面である。その曲面の断面は円弧状であり、その半径はR1である。これにより、磁気記録ディスクは着座面10cに線状に接することとなる。
なお、隆起部13を着座面10cの全体に亘って設けてもよい。
なお、ベースプレート50はハードディスクドライブのベースと別体とされてもよい。
スリーブ80の内周面には、上下に離間した1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝82が形成される。フランジ22の上面には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝24が、フランジ22の下面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝26が形成される。ブラシレスモータ100の回転時には、これらの動圧溝が潤滑油92に生成する動圧によって、ロータはラジアル方向およびスラスト方向に支持される。
スリーブ80の開放端側には、スリーブ80の内周面とシャフト20の外周面との間の隙間が上方に向けて徐々に広がる部分であるキャピラリーシール部98が形成される。キャピラリーシール部98は毛細管現象により潤滑油92の漏れ出しを防止する。
この課題は、ハブが、磁気記録ディスクがハブに載置された場合にヨークとその磁気記録ディスクとによって挟まれる円筒状の隔壁を有する場合、つまり載置後の磁気記録ディスクのスラスト方向の位置とヨークのスラスト方向の位置とが重なる場合に顕著である。ヨークの圧入により隔壁が変形した場合でも、その変形した部分を通して磁気記録ディスクを嵌合しなければならないからである。
なお、ハブ10とヨーク30との固定強度の殆どを接着に負わせることも可能であるが、その場合、圧入を併用することで、接着剤が硬化するまでの間ハブ10とヨーク30とが相対的に動かないよう仮に固定することができる。これにより、ブラシレスモータ100を製造する際、ハブ10とヨーク30との接着工程の後接着剤が硬化しないまでに次の工程へ部材を持ち運べたりするので製造にかかる時間を短縮できる。
また、第1凸部16および第2凸部18は両方ともモータ回転軸Rの周りに形成された円環状の凸部であり、第1凸部16を上側としてスラスト方向に互いに離間して形成される。これにより、ヨーク30がハブ10に固定される際のヨーク30の傾きを抑制でき、ヨーク30をラジアル方向に精度良く位置決めできる。
そこで本実施の形態に係るブラシレスモータ100では、着座面10cは磁気記録ディスクを着座させるための隆起部13を有し、隆起部13のうち磁気記録ディスクが着座する部分は、滑らかな曲面となるよう形成される。したがって、磁気記録ディスクとハブ10とは線状の接触部分を有する。これにより、磁気記録ディスクを着座面10cに押しつけるときの磁気記録ディスクの傾きを、第1スペーサ202、第2スペーサ204、クランパ206による力のかけ具合によって低減することが可能となる。その結果、磁気ヘッドの記録トラックのトレースが安定し、記録トラックのトレースの幅を狭くして高密度・大容量化を図ったとしても、エラーレートを低く保つことができる。
第2の実施の形態に係るブラシレスモータ300を、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100との差異を中心に説明する。第2の実施の形態に係るブラシレスモータ300では、第1の実施の形態のように隔壁14の内周面14aに第1凸部16および第2凸部18を設ける代わりに、ハブにヨークを圧入した後にハブを再度切削加工する。
ヨーク30をハブ310に圧入する前のハブは、磁気記録ディスク220が嵌合されるべき外筒面の直径が、目標とする仕上がり直径より100μmだけ大きく形成される。ヨーク30がそのハブに圧入されると、図3で示したような変形が起こる場合がある。そこでヨーク30の圧入後、ハブ310を回転させながら外筒面を目標とする仕上がり直径まで切削加工する。
この加工により、外筒面に変形が起こっていたとしてもその変形は解消され、加工後の外筒面310bはモータ回転軸Rに沿って平坦となる。したがって、磁気記録ディスク220を精度良くハブ310に載置することができる。
まずトルクリップルについて考察する。ブラシレスモータでは、コイルに発生する磁界と、円筒状マグネットの磁極との相互作用により駆動トルクが生成される。この駆動トルクにはトルクリップルが存在し、トルクリップルの基本波の周波数(以下、トルクリップル中心周波数という)はブラシレスモータの回転数N(Hz)に比例し、下記の式1で示される。
3・P・N(Hz) …(式1)
現実には、ロータに働く駆動トルクはロータの1回転を通じて均一ではないという相互作用の不均一性があるので、トルクリップルは、回転数N(Hz)と等しい周波数の変調を受ける。したがってトルクリップルは下記の式2に示される周波数のサイドバンド成分を含む。
3・P・N±N=(3・P±1)・N(Hz) …(式2)
以降トルクリップル中心周波数3・P・Nと、その2つのサイドバンド成分(3・P±1)・Nとを考慮する。これら3つの周波数をあわせてトルクリップル周波数と表記する。
F0>(3・P+2)・N(Hz) …(式3)
式3が満足されている状態では、共振の2つのスプリット周波数のうちの低い方の周波数が、トルクリップルの3つの周波数のうちの最も高い周波数よりも高い。したがって、トルクリップル周波数と共振の2つのスプリット周波数とが一致することを避けることができる。その結果、2次ロッキングモード共振による大きな振動を低減できる。
なお、温度の変化、経時変化、部品精度のばらつきや、製造上のばらつきなどにより共振の周波数が変化して、式3を満たさなくなる場合もある。これに対応するため、余裕を考慮して、F0>N・(3・P+3)の条件を満足するようにすることもできる。この場合、温度等が変化しても式3を満足し得る点で好ましい。
図5は、第1変形例に係るブラシレスモータのハブ410の下面図である。図5では説明の便宜上、ハブ410のみを示す。ハブ410はその内周面414aに、ヨーク30がハブ410に圧入される際にヨーク30に押し当てられる3つの凸部416を有する。この3つの凸部416はモータ回転軸Rの周りに等間隔、つまり120度間隔で設けられる。この場合、3つの凸部416の厚さ、つまりラジアル方向の厚さを調整することにより、ヨーク30のラジアル方向の位置の微調整をより容易に行うことができる。また、第1の実施の形態における円環状の第1凸部16および第2凸部18と比べて、接着剤を保持するスペースも大きくとれる。
図6は、第2変形例に係るブラシレスモータのハブ510の上面図である。図6では説明の便宜上、ハブ510のみを示す。ハブ510はその着座面510cに、磁気記録ディスクを着座させるための3つの隆起部513を有する。3つの隆起部513はそれぞれ着座面510cをラジアル方向に沿って横切る半円筒形状に形成される。この3つの隆起部513はモータ回転軸Rの周りに等間隔、つまり120度間隔で設けられる。この場合、線状の接触を保ったまま、ラジアル方向に沿ってより均一な力で磁気記録ディスクを支えることができる。
第2直径φ2:22.9 0/−0.02 (mm)
ヨーク外周直径φ3:22.9 +0.03/0 (mm)
外周直径φ4:30.2±0.05 (mm)。
Claims (8)
- 記録ディスクが載置されるハブと、
軸受を介して前記ハブを回転自在に支持するベースと、
前記ベースに固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、
前記複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、
前記ハブに固定される円筒状の軸方向延在部を有するヨークと、
前記ヨークの内周面に固定され、前記複数の突極と径方向に対向し、周方向に複数の駆動用着磁が施された円筒状マグネットと、を備え、
前記ハブは、回転軸を中心とする凸状部を有して前記凸状部に前記記録ディスクの中央の孔が嵌合された場合に前記記録ディスクが着座する前記凸状部の着座面が形成され、前記記録ディスクが前記ハブに載置された場合に前記ヨークとその記録ディスクとによって挟まれるとともに内周側に前記ヨークを介して前記円筒状マグネットを固定的に支持する円筒状のマグネット内装隔壁を有し、
前記ヨークは前記マグネット内装隔壁の内周面に接着と圧入とを併用して固定され、
前記マグネット内装隔壁の内周面に、前記ハブの回転軸の周りであって前記円筒状マグネットを環囲する位置に前記ヨークが圧入される際に前記ヨークが押し当てられてそれぞれ圧入状態にされる円環状の凸部であって前記ベースに近い側から順に第2凸部と第1凸部とが離間して形成され、前記ヨークと前記マグネット内装隔壁の半径方向の隙間であって、前記第2凸部より前記ベースに近い領域及び前記第2凸部と前記第1凸部の間の領域及び前記第1凸部より前記ベースに遠い領域のそれぞれに接着剤が保持されることを特徴とするディスク駆動装置。 - 前記ヨークが圧入される際に前記ヨークが先に接する側の前記第2凸部の直径は、前記第1凸部の直径よりも大きく、前記ヨークの外周の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
- 前記第2凸部は、前記ヨークとの接触面が滑らかな曲面とされることを特徴とする請求項1または2に記載のディスク駆動装置。
- 前記ヨークは、軸方向延在部が前記マグネット内装隔壁の前記ベースに近い側の端から軸方向に突出して、前記軸方向延在部の前記ベースに近い側の端に半径方向外向きに張り出した鍔部が形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のディスク駆動装置。
- 前記ヨークは、前記軸方向延在部の前記ベースから遠い側の端部から半径方向内側に延在する半径方向延在部とを含む逆L字型の断面を有し、前記半径方向延在部の内周面は前記円筒状マグネットの内周面より回転中心に近いことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のディスク駆動装置。
- 前記第1凸部が前記ヨークに及ぼすラジアル方向の圧力が、前記第2凸部が前記ヨークに及ぼすラジアル方向の圧力よりも高いことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のディスク駆動装置。
- 前記コイルは3相駆動され、
前記円筒状マグネットは周方向にP極(Pは自然数)の駆動用着磁が施され、
前記ハブに前記記録ディスクが載置された状態の2次ロッキングモード共振の非回転時の固有周波数をF0(Hz)とし、前記ハブの回転数をN(Hz)とした場合、前記固有周波数F0が、F0>N・(3・P+2)を満たすことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のディスク駆動装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載のディスク駆動装置を生産する方法であって、
前記ヨークが前記マグネット内装隔壁の内周面に圧入された後、前記マグネット内装隔壁の外周面が回転軸に沿って平坦となるように切削加工される工程を含むことを特徴とするディスク駆動装置の生産方法。
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