JP5656570B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)種類の異なる元素Aと元素Mとを含み、前記元素AがSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記元素MがCu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第2の相を有し、前記第1の相は、酸素を含み、前記第1の相と前記第2の相とは、界面を介して接合しており、前記第1の相と前記第2の相の両方が、外表面に露出しており、前記第1の相と前記第2の相が、25000〜1600000倍の倍率においてSEMで観察した時に界面以外の表面が滑らかな曲面を有する略球面状であり、平均粒径が2〜500nmであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
(2)前記第2の相がMAx(x≦1、3<x)なる化合物であることを特徴とする(1)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(3)前記第1の相が主に結晶質シリコンで構成されることを特徴とする(1)または(2)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(4)前記元素Mが、Cuであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(5)前記第1の相がリンまたはホウ素を添加したシリコンで構成されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(6)前記第1の相は酸素を含み、前記第1の相に含まれる前記酸素の原子比率がAOz(0<z<1)であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(7)前記元素Aと前記元素Mの合計に占める前記元素Mの原子比率が0.01〜60%であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(8)Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素M´をさらに含み、前記元素M´が、前記第2の相を構成する前記元素Mとは種類の異なる元素であり、前記元素Aと前記元素M´との化合物または前記元素M´の単体もしくは固溶体である第3の相をさらに有し、前記第1の相は、酸素を含み、前記第1の相と前記第3の相とは、界面を介して接合しており、前記第3の相が、外表面に露出しており、前記第3の相が、SEMで観察した時に界面以外の表面が滑らかな曲面を有する略球面状であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(9)Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(CeおよびPmを除く)、Hf、Ta、W、Re、OsおよびIrからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素Dをさらに含み、前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第4の相をさらに有し、前記第1の相と前記第4の相が、界面を介して接合しており、前記第4の相が、外表面に露出していることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(10)前記元素Dが、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、RhおよびBaからなる群より選ばれた1種の元素であることを特徴とする(9)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(11)前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第5の相をさらに有し、前記第5の相の一部または全部が、前記第1の相に覆われていることを特徴とする(9)または(10)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(12)前記第4の相および/または前記第5の相がDAy(1<y≦3)なる化合物であることを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(13)前記元素Aと前記元素Dの合計に占める前記元素Dの原子比率が0.01〜25%であることを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(14)前記元素Dが、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素であり、一つの前記元素Dと前記元素Aの化合物である前記第4の相および/または前記第5の相に、他の前記元素Dが、固溶体または化合物として含有されることを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(15)Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(CeおよびPmを除く)、Hf、Ta、W、Re、OsおよびIrからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素D´をさらに含み、前記元素D´が、前記第4の相を構成する前記元素Dとは種類の異なる元素であり、前記元素Aと前記元素D´との化合物である第6の相をさらに有し、前記第1の相と前記第6の相が、界面を介して接合しており、前記第6の相が、外表面に露出していることを特徴とする(9)〜(14)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(16)前記元素Aと前記元素D´との化合物である第7の相をさらに有し、前記第7の相の一部または全部が、前記第1の相に覆われていることを特徴とする(15)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(17)63.7MPaで粉体粒子を圧縮した条件で、粉体導電率が4×10−8[S/cm]以上であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(18)導電助剤をさらに有し、前記導電助剤がC、Cu、NiおよびAgからなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末であることを特徴とする(1)〜(17)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(19)前記導電助剤がカーボンナノホーンを含むことを特徴とする(18)に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
(20)(1)ないし(19)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたリチウムイオン二次電池用負極。
(21)リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、(20)に記載の負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
(22)Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Aと、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Mと、を含む原料を、プラズマ化し、ナノサイズの液滴を経由してナノサイズ粒子を得る工程と、前記ナノサイズ粒子を酸化させる工程と、を備えることを特徴とし、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第2の相を有し、前記第1の相は、酸素を含み、前記第1の相と前記第2の相とは、界面を介して接合しており、前記第1の相と前記第2の相の両方が、外表面に露出しており、前記第1の相と前記第2の相が、25000〜1600000倍の倍率においてSEMで観察した時に界面以外の表面が滑らかな曲面を有する略球面状であり、平均粒径が2〜500nmであるナノサイズ粒子の製造方法。
(23)Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Aと、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Mと、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(CeおよびPmを除く)、Hf、Ta、W、Re、OsおよびIrからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Dと、を含む原料を、プラズマ化し、ナノサイズの液滴を経由してナノサイズ粒子を得る工程と、を備えることを特徴とし、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第2の相を有し、前記第1の相は、酸素を含み、前記第1の相と前記第2の相とは、界面を介して接合しており、前記第1の相と前記第2の相の両方が、外表面に露出しており、前記第1の相と前記第2の相が、25000〜1600000倍の倍率においてSEMで観察した時に界面以外の表面が滑らかな曲面を有する略球面状であり、前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第4の相をさらに有し、前記第1の相と前記第4の相が、界面を介して接合しており、前記第4の相が、外表面に露出しており、平均粒径が2〜500nmであるナノサイズ粒子の製造方法。
(1−1.ナノサイズ粒子1の構成)
第1の実施形態に係るナノサイズ粒子1について説明する。
図1は、ナノサイズ粒子1を示す概略断面図である。ナノサイズ粒子1は、第1の相3と第2の相5を有しており、第1の相3と第2の相5は、両方がナノサイズ粒子1の外表面に露出しており、第1の相3と第2の相5との界面は平面あるいは曲面を示し、第1の相3と第2の相5は界面を介して接合しており、界面以外が略球面状の表面を有する。
第1の実施形態によれば、第1の相3がリチウムを吸蔵すると体積膨張するが、第2の相5はリチウムを吸蔵しないため、第2の相5に接する箇所の第1の相3の膨張は、抑えられる。つまり、第1の相3がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第2の相5が膨張しにくいため、第1の相3と第2の相5との界面は滑りにくく、第2の相5がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和して、ナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第2の相5を有しない粒子に比べて、第2の相5を有するナノサイズ粒子1は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、第1の実施形態によれば、ナノサイズ粒子1は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、サイクル特性時の放電容量の低下が抑制される。
(2−1.ナノサイズ粒子11の構成)
第2の実施形態に係るナノサイズ粒子11について説明する。以下の実施形態で第1の実施形態と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。
図2(a)は、ナノサイズ粒子11の概略断面図である。ナノサイズ粒子11は、第1の相3と第2の相5と第4の相13とを有しており、第1の相3と第2の相5とは界面を介して接合し、第1の相3と第4の相13とは、界面を介して接合している。また、第1の相3と第2の相5と第4の相13は、ナノサイズ粒子1の外表面に露出しており、第1の相3と第2の相5と第4の相13は、界面以外が略球面状の表面を有している。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態で得られる効果に加えて、ナノサイズ粒子11は、リチウムを吸蔵させても、微粉化しにくい。第2の実施形態において、第1の相3がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第2の相5と第4の相13は、リチウムをほとんど吸蔵しないため、第2の相5と第4の相13に接する第1の相3の膨張は、抑えられる。つまり、第1の相3がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第2の相5と第4の相13が膨張しにくいため、第1の相3と第2の相5または第4の相13の界面は滑りにくく、第2の相5と第4の相13がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和してナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第4の相13を有しない粒子に比べて、第4の相13を有するナノサイズ粒子11は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、ナノサイズ粒子11は、リチウムを吸蔵および放出させても、体積膨張に伴う歪が緩和され、サイクル特性時の放電容量の低下が抑制される。
本発明に係るナノサイズ粒子の製造方法を説明する。本発明に係るナノサイズ粒子は、気相合成法により合成される。特に、原料粉末を、プラズマ化し、1万K相当にまで加熱し、その後冷却することで、ナノサイズ粒子を製造可能である。プラズマの発生方法には、(1)高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、(2)電極間のアーク放電を利用する方法、(3)マイクロ波により気体を加熱する方法等があり、いずれも使用可能である。
(4−1.リチウムイオン二次電池用負極の作製)
まず、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法を説明する。ミキサーに、スラリー原料を投入し、混練してスラリーを作製する。スラリー原料は、ナノサイズ粒子、導電助剤、結着剤、増粘剤、溶媒などである。
まず、正極活物質、導電助剤、結着剤および溶媒を混合して正極活物質の組成物を準備する。前記正極活物質の組成物をアルミ箔などの金属集電体上に直接塗布・乾燥し、正極を準備する。
セパレータとしては、正極と負極の電子伝導を絶縁する機能を有し、リチウムイオン二次電池で通常的に使われるものであればいずれも使用可能である。例えば、微多孔性のポリオレフィンフィルムを使用できる。
リチウムイオン二次電池、Liポリマー電池などにおける電解液および電解質には、有機電解液(非水系電解液)、無機固体電解質、高分子固体電解質等が使用できる。
有機電解液の溶媒の具体例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ―ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の非プロトン性溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの2種以上を混合した混合溶媒が挙げられる。
前述したような正極と負極との間にセパレータを配置して、電池素子を形成する。このような電池素子を巻回、または積層して円筒形の電池ケースや角形の電池ケースに入れた後、電解液を注入して、リチウムイオン二次電池とする。
第1、第2および第3の実施形態によれば、これらのナノサイズ粒子を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池は、ナノサイズ粒子が炭素よりも単位体積あたりの容量の高い元素Aを有するため、従来のリチウムイオン二次電池よりも容量が大きく、かつナノサイズ粒子が微粉化しにくいためサイクル特性が良い。
[実施例1]
(ナノサイズ粒子の作製)
図6の装置を用い、シリコン粉末と銅粉末とをモル比でSi:Cu=3:1になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、反応チャンバー内に発生させたArガスのプラズマ中にキャリアガスで連続的に供給することにより、シリコンと銅のナノサイズ粒子を製造した。
ナノサイズ粒子を、CuKα線を用いた粉末X線回折装置(リガク製、RINT−UltimaIII)により同定した。図8は、実施例1に係るナノサイズ粒子の酸化処理前のX線回折(XRD)パターンである。実施例1に係るナノサイズ粒子は結晶性のSiを有することが分かった。また、元素単体(価数0)としてのCuは存在しないことが分かった。
粉体状態における電子伝導性を評価するため、三菱化学製の粉体抵抗測定システムMCP−PD51型を用いて粉体導電率の評価を行った。導電率は、任意の圧力でサンプル粉体を圧縮したときの抵抗値から求めた。後述する表1のデータは、63.7MPaでサンプル粉体を圧縮して測定したときの値である。
(i)負極スラリーの調製
実施例1に係るナノサイズ粒子を用いた。ナノサイズ粒子45.5重量部とアセチレンブラック(平均粒径35nm、電気化学工業株式会社製、粉状品)47.5重量部の比率でミキサーに投入した。さらに結着剤としてスチレンブタジエンラバー(SBR)40wt%のエマルジョン(日本ゼオン(株)製、BM400B)を固形分換算で5重量部、スラリーの粘度を調整する増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学工業(株)製、#2200)1wt%溶液を固形分換算で10重量部の割合で混合してスラリーを作製した。
(ii)負極の作製
調製したスラリーを自動塗工装置のドクターブレードを用いて、厚さ10μmの集電体用電解銅箔(古河電気工業(株)製、NC−WS)上に15μmの厚みで塗布し、70℃で乾燥させた後、プレスによる調厚工程を経てリチウムイオン二次電池用負極を製造した。
(iii)特性評価
リチウムイオン二次電池用負極と、1mol/LのLiPF6を含むエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液からなる電解液と、金属Li箔対極を用いてリチウム二次電池を構成し、充放電特性を調べた。特性の評価は、初回の放電容量および50サイクルの充電・放電後の放電容量を測定し、放電容量の低下率を算出することによって行った。放電容量は、シリサイドと、リチウムの吸蔵・放出に有効な活物質Siの総重量を基準として算出した。まず、25℃環境下において、電流値を0.1C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値0.1Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行い、0.1C初期放電容量を測定した。なお、1Cとは、1時間で満充電できる電流値である。また、充電と放電はともに25℃環境下において行った。次いで、0.1Cでの充放電速度で上記充放電を50サイクル繰り返した。0.1C初期放電容量に対する、充放電を50サイクル繰り返したときの放電容量の割合を百分率で求め、容量維持率とした。
シリコン粉末と鉄粉末と銅粉末とをモル比でSi:Fe:Cu=24:1:6になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末とする以外は、実施例1と同様にして、ナノサイズ粒子を合成し、XRDとSTEMにより観察を行った。また、実施例1と同様の方法(酸化処理工程を除く)で、リチウムイオン二次電池を構成し、サイクル特性を測定した。
シリコン粉末と鉄粉末と銅粉末とをモル比でSi:Fe:Sn=37:1:4になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末とする以外は、実施例1と同様にして、ナノサイズ粒子を合成し、XRDとSTEMにより観察を行った。また、実施例1と同様の方法(酸化処理工程を除く)で、リチウムイオン二次電池を構成し、サイクル特性を測定した。
実施例1に係るナノサイズ粒子を用いた。ナノサイズ粒子と、カーボンナノホーン(NEC(株)製、平均粒径80nm)をナノサイズ粒子:CNH=7:3(重量比)の割合で磨砕機((株)奈良機械製作所製、ミラーロ)で精密混合させた後、精密混合品65重量部とアセチレンブラック28重量部の比率でミキサーに投入した。さらに、実施例1と同じ結着材と増粘剤を、実施例1と同じ割合、同じ方法で混合し、スラリーを作製した。実施例1と同様の方法で、リチウムイオン二次電池を構成し、サイクル特性を測定した。
ナノサイズ粒子に代えて、平均粒径60nmのシリコンナノ粒子(Hefei Kai’er NanoTech製)を用い、実施例1と同様の方法で、リチウムイオン二次電池を構成し、サイクル特性を測定した。
ナノサイズ粒子に代えて、平均粒径5μmのシリコンナノ粒子(SIE23PB、高純度化学研究所製)を用い、実施例1と同様の方法で、リチウムイオン二次電池を構成し、サイクル特性を測定した。
実施例1〜3、比較例1〜2で作成したSi系ナノサイズ粒子において、実施例1と同様の方法で、63.7MPaで粉体粒子を圧縮した条件で測定した粉体導電率を、表1に示した。
実施例1〜3は、粉体導電率が4×10−8[S/cm]以上であり、比較例1〜2は粉体導電率が4×10−8[S/cm]以下を示した。なお、比較例1〜2は、測定限界である1×10−8[S/cm]以下であった。粉体導電率が高いと導電助剤の配合を少なくすることができ、電極の単位体積当りの容量を高くすることができるとともに、ハイレート特性で有利となる。
実施例1に係るナノサイズ粒子の形成過程を考察する。図26は、銅とシリコンの2元系状態図である。シリコン粉末と銅粉末とをモル比でSi:Cu=3:1になるように混合したので、原料粉末でのmole Si/(Cu+Si)=0.75となる。図26中の太線は、mole Si/(Cu+Si)=0.75を示す線である。高周波コイルにより生成したプラズマは、1万K相当となるので、状態図の温度範囲をはるかに超え、銅原子とシリコン原子が均一に混合したプラズマが得られる。プラズマが冷却すると、プラズマから気体へ、気体から液体へと変化する過程で球状の液滴が成長し、銅シリサイドCu19Si6(またはCu3Si)とSiの両方が析出する。よって、シリコンと銅のプラズマが冷却すると、Cu19Si6(またはCu3Si)とSiを有するナノサイズ粒子が形成される。その際、自由エネルギーが最小となるように、シリサイドCu19Si6(またはCu3Si)と、Siは互いに表面積が最小となるように、二つの粒子が接合した形状を取ると考えられる。
3………第1の相
5………第2の相
7………ナノサイズ粒子
9………第3の相
11………ナノサイズ粒子
13………第4の相
15………ナノサイズ粒子
16………ナノサイズ粒子
17………第5の相
19………ナノサイズ粒子
21………ナノサイズ粒子
23………ナノサイズ粒子
25………第6の相
27………ナノサイズ粒子
29………第7の相
31………ナノサイズ粒子
41………ナノサイズ粒子製造装置
45………原料粉末供給口
47………原料粉末
49………シースガス供給口
51………シースガス
53………キャリアガス
55………反応チャンバー
57………高周波コイル
59………高周波電源
61………プラズマ
63………フィルター
71………リチウムイオン二次電池
73………正極
75………負極
77………セパレータ
79………電池缶
81………正極リード
83………正極端子
85………負極リード
87………非水系電解液
89………封口体
Claims (8)
- 種類の異なる元素Aと元素Mとを含み、
Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Aと、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Mと、を含む原料を、プラズマ化し、
プラズマの冷却に伴い、プラズマから気体へ、気体から液体へと変化させて形成したナノサイズの液滴を経由して作成され、かつ、酸素を導入したナノサイズ粒子であって、
前記元素Aの単体または固溶体、および酸素を含む第1の相と、
前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第2の相を有し、
前記第1の相と前記第2の相とは、界面を介して接合しており、
前記第1の相と前記第2の相の両方が、外表面に露出していることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用負極材料。 - 前記第2の相がMAx(x≦1、3<x)なる化合物であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記第1の相が主に結晶質シリコンで構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記元素Mが、Cuであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記第1の相がシリコンで構成されるとき、当該シリコンが、リンまたはホウ素を添加したシリコンで構成されることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記第1の相に含まれる前記酸素の原子比率がAOz(0<z<1)であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記元素Aと前記元素Mの合計に占める前記元素Mの原子比率が0.01〜60%であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Aと、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Mと、を含む原料を、プラズマ化し、
プラズマの冷却に伴い、プラズマから気体へ、気体から液体へと変化させて形成したナノサイズの液滴を経由してナノサイズ粒子を得る工程と、
前記ナノサイズ粒子を酸化させる工程と、
を備えることを特徴とし、
前記元素Aの単体または固溶体、および酸素を含む第1の相と、
前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第2の相を有し、
前記第1の相と前記第2の相とは、界面を介して接合しており、
前記第1の相と前記第2の相の両方が、外表面に露出していることを特徴とする、リチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
Priority Applications (6)
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