JP2015131746A - 複合粒子、その製造方法、及び複合粒子を用いたリチウムイオン2次電池用負極材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】1次ナノSi粒子単体に比べ導電性を向上することができる複合粒子、複合粒子を容易に(処理量高く)製造することができる製造方法、及び複合粒子を用いたリチウムイオン2次電池用負極材料を提供する。【解決手段】Si粒子12の集合体と、前記Si粒子12に担持された導電性金属粒子14とを備え、前記導電性金属粒子14は、金属M又は、金属MとSiの合金を含むことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、複合粒子、その製造方法、及び複合粒子を用いたリチウムイオン2次電池用負極材料に関し、特にリチウムイオン2次電池の活物質に適用可能なものに関する。
リチウムイオン2次電池は、従来のニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池等に比べ、軽量かつ高容量であるため、携帯電話などの電子機器用電源に広く使用されている。またリチウムイオン2次電池は、ハイブリッド自動車や、電気自動車に搭載される電源としても有力な候補になっている。
リチウムイオン2次電池の負極は、集電体と、集電体上に形成された合材電極とで形成されている。合材電極は、活物質と、バインダーと、導電助剤とを含む。従来、負極活物質としては、一般に黒鉛が利用されている。ところが黒鉛の理論容量は372mAh/gであるので、高容量化するには限界があった。
そこで、黒鉛に対し理論容量が約10倍大きいSiを負極活物質に適用することにより、リチウムイオン2次電池の高密度・高容量化を図ることが期待されている。ところが、Siは、リチウムを吸蔵すると、体積が約4倍に膨張するため、集電体と合材電極の剥離や、負極の破断が起こり、サイクル特性が低下してしまうという問題点がある。
これに対し、Si粒子のナノサイズ化や、ポーラス構造化など、材料組織化が検討されている(例えば、非特許文献1〜4)。またSi粒子への導電性金属材料のコーティング(非特許文献5)や、Si粒子と導電性金属粒子との複合化(非特許文献6〜7)も検討されている。
Graetz et al., Electrochemicaland Solid-State Letters, 6(9), 2003, A194-A197
C.K.Chan, et al., naturenanotechnology, VOL 3, JANUARY, 2008, p.31-p.35
Magasinski, et al., NatureMaterials, VOL9, APRIL, 2010, p.353-p.358
Niu et al., Electrochemicaland Solid-State Letters, 5(6), 2002, A107-A110
S-H. Ng, et al., Angew.Chem. Int. Ed. 2006, 45, p.6896-p.6899
高見則雄 他、東芝レビュー、vol.61、No.2、2006、p.6-p.10
W-R. Liu, et al., Journalof Power Sources, 140, 2005, p.139-p.144
しかしながら上記非特許文献1〜7の場合、Si粒子を多段階のCVD法やゾルゲル法により作製するため、必ずしも生産性が良いとはいえない課題がある。
また、単にSi粒子と導電性金属粒子を単純に混合する場合では、ナノ粒子を使用しても、粒子間は物理的接触であり、必ずしもSi粒子と導電性金属粒子が良好な導電性界面を有しているとは言えない。さらに、Si粒子間に導電性粒子が均質に分散し接触するとも限らない。結果的に、マクロな導電性パスは得られたとしても、ナノ粒子のレベルで良好な電子伝導網が均質に形成されているとは言い難い。
また、単にSi粒子と導電性金属粒子を単純に混合する場合では、ナノ粒子を使用しても、粒子間は物理的接触であり、必ずしもSi粒子と導電性金属粒子が良好な導電性界面を有しているとは言えない。さらに、Si粒子間に導電性粒子が均質に分散し接触するとも限らない。結果的に、マクロな導電性パスは得られたとしても、ナノ粒子のレベルで良好な電子伝導網が均質に形成されているとは言い難い。
そこで本発明は、1次ナノSi粒子単体に比べ導電性を向上することができる複合粒子、複合粒子を容易に(処理量高く)製造することができる製造方法、及び複合粒子を用いたリチウムイオン2次電池用負極材料を提供することを目的とする。
本発明に係る複合粒子は、Si粒子の集合体と、前記Si粒子に担持された導電性金属粒子とを備え、前記導電性金属粒子は、金属M又は、金属MとSiの合金を含む。
本発明に係るリチウムイオン2次電池用負極材料は、上記複合粒子を含むことを特徴とする。
本発明に係る複合粒子の製造方法は、Siと金属Mとを含む混合蒸気中で、均質核生成されたSi粒子表面に直接、前記金属M又は、金属MとSiの合金からなる導電性金属粒子が不均質核生成する工程を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複合粒子は、Siナノ粒子に導電性金属粒子が核生成により直接、強固に担持されていることにより、1次粒子であるSi粒子において良好な導電パスが形成されるため、Si粒子単体に比べ導電性を向上することができる。
また、本発明によれば、複合粒子をリチウムイオン2次電池の活物質として用いることにより、サイクル特性の向上(高容量を長期サイクルで維持すること)が可能になる。
さらに、本発明によれば、粉末を原料とすることが出来るため高処理が可能であるだけでなく、混合蒸気中における共凝縮過程(異なる相の同時核生成)を利用することから、ナノ複合粒子を、一貫プロセス(ナノ粒子形成と複合化形成を1プロセスで行う)で製造することができるため、従来の熱CVD法やゾルゲル法に比べても、比較的容易に製造することができる。
また、本発明によれば、複合粒子をリチウムイオン2次電池の活物質として用いることにより、サイクル特性の向上(高容量を長期サイクルで維持すること)が可能になる。
さらに、本発明によれば、粉末を原料とすることが出来るため高処理が可能であるだけでなく、混合蒸気中における共凝縮過程(異なる相の同時核生成)を利用することから、ナノ複合粒子を、一貫プロセス(ナノ粒子形成と複合化形成を1プロセスで行う)で製造することができるため、従来の熱CVD法やゾルゲル法に比べても、比較的容易に製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.実施形態
図1に示す複合粒子10は、1次粒子であるSi粒子12と、当該Si粒子12に担持された導電性金属粒子14とからなる1次複合粒子13が凝集して形成された2次複合粒子15を備えている。ここで、前記1次複合粒子13が凝集するとは、かかる粒子同士(Si−Si間やSi−導電性金属粒子間)で物理的な弱い相互作用によって固着されたものから、熱融着等によって強く固着又は格子接合されているものまで広く含み、中でも強く固着又は格子接合された凝集が更に好ましい。Si粒子12は、粒径が150nm以下のナノサイズであることが好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましい。本実施形態の場合では、粒子径が20〜50nmのSi粒子12を用いる。
図1に示す複合粒子10は、1次粒子であるSi粒子12と、当該Si粒子12に担持された導電性金属粒子14とからなる1次複合粒子13が凝集して形成された2次複合粒子15を備えている。ここで、前記1次複合粒子13が凝集するとは、かかる粒子同士(Si−Si間やSi−導電性金属粒子間)で物理的な弱い相互作用によって固着されたものから、熱融着等によって強く固着又は格子接合されているものまで広く含み、中でも強く固着又は格子接合された凝集が更に好ましい。Si粒子12は、粒径が150nm以下のナノサイズであることが好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましい。本実施形態の場合では、粒子径が20〜50nmのSi粒子12を用いる。
導電性金属粒子14は、金属M、及び、金属MとSiの合金で形成され、粒径は100nm以下のナノサイズであることが好ましく、2〜50nmの範囲が更に好ましい。本実施形態の場合、Si粒子12よりも小さな5〜20nm程度の導電性金属粒子14を用いる。金属Mは、リチウムと不可逆反応を生じない元素であるのが好ましい。金属Mは、Cu、Ti、Al、Mo、Sb、Niのいずれか1種以上であるのが好ましい。
また、金属M、或いは金属MとSiとの合金相が、Siと近い結晶構造を有するのがより好ましい。この場合、導電性金属粒子14とSi粒子12の界面において、局所的にエピタキシャル(格子整合)界面が形成される。エピタキシャル界面が形成されることにより、導電性金属粒子14とSi粒子12の密着性が向上する。
上記の複合粒子13は、Si及び金属Mを含む混合蒸気中で、始めに均質核生成するSi粒子12表面に、前記金属M、及び前記金属Mと前記Siの合金からなる導電性金属粒子14が不均質核生成することにより、生成することができる。
上記のように構成された1次複合粒子13が複数凝集して形成された2次複合粒子15は、好ましくは50〜300nmの範囲の大きさであって、更に好ましくは100〜200nmの大きさを有する。さらにこの2次複合粒子15が複数凝集して形成された複合粒子10は、前記2次複合粒子15が少なくとも2種集まった大きさであればよく、例えば
0.05〜10μmの範囲が良く、5μm程度の大きさを有するのが好ましい。混合蒸気を生成するには、例えば、公知の熱プラズマスプレー装置(図示しない)を用いることができる。熱プラズマスプレー装置は、原料供給部と、プラズマガス供給部と、プラズマ発生部と、チャンバーとを備える。プラズマ発生部は、直流プラズマトーチ単独、高周波プラズマトーチ単独、或いはこれらを重畳したハイブリッド型プラズマトーチを利用する。ハイブリッドトーチ利用の場合、直流プラズマトーチは、陰極電極と陽極電極とを有し、直流電源から両電極間に直流電圧を放電させることにより、プラズマジェットを発生する。高周波プラズマトーチは、高周波誘導コイルが巻き付けられており、高周波電源から高周波誘導コイルに高周波を供給することにより、トーチ内に熱プラズマを発生する。
0.05〜10μmの範囲が良く、5μm程度の大きさを有するのが好ましい。混合蒸気を生成するには、例えば、公知の熱プラズマスプレー装置(図示しない)を用いることができる。熱プラズマスプレー装置は、原料供給部と、プラズマガス供給部と、プラズマ発生部と、チャンバーとを備える。プラズマ発生部は、直流プラズマトーチ単独、高周波プラズマトーチ単独、或いはこれらを重畳したハイブリッド型プラズマトーチを利用する。ハイブリッドトーチ利用の場合、直流プラズマトーチは、陰極電極と陽極電極とを有し、直流電源から両電極間に直流電圧を放電させることにより、プラズマジェットを発生する。高周波プラズマトーチは、高周波誘導コイルが巻き付けられており、高周波電源から高周波誘導コイルに高周波を供給することにより、トーチ内に熱プラズマを発生する。
このように構成された熱プラズマスプレー装置において、直流プラズマ発生ガスとしてArガスを直流プラズマトーチに供給し、点火してプラズマジェットを形成すると共に、高周波プラズマ発生ガスとしてArガスとH2ガスを導入して熱プラズマを生成する。これにより高速・高温のガス流がチャンバー内に向けて供給される。このガス流は、例えば、プラズマトーチ内の中心部で温度が10000℃、トーチ出口で平均5000℃、平均速度が数十m/sである。原料であるSi粉末と金属Mの混合粉末を所定の濃度で、トーチ上部より、この最高温度部を通過するように投入する。ここで、金属Mの投入量は、Siと金属Mの総量を100%として0.1at%(原子%)〜70at%の範囲がよく、好ましくは0.5at%〜60at%の範囲がよい。Si粉末と金属Mの粉末は、図2に示すように、まず、熱プラズマによって完全に熱分解され、蒸発する。このようにしてSiと金属Mを含む混合蒸気が生成される。
混合蒸気は、プラズマジェット下部において冷却される。この時、混合蒸気中に含まれるSiと金属Mは、冷却に従って順次凝縮し、段階的に複合化が進む。
まず混合蒸気は、投入するSi粉末量の分圧に依存して変化するが、例えば2000〜3000℃程度に冷却されることにより、均質核生成によりSi粒子12が形成される。次いで、Si粒子12及び金属Mを含む蒸気が、投入する金属Mの元素及び粉末量によって異なるが例えばNiの場合1000〜2000℃程度の不均質核生成温度に冷却されることにより、Si粒子12表面に、金属Mを含む準安定合金融液及び蒸気が付着し、前記金属M、及び前記金属Mと前記Siの合金からなる導電性金属粒子14が不均質核生成される。これにより、Si粒子12に導電性金属粒子14が密着性高く担持される(第1の構造的複合化)。さらに1次複合粒子13が凝集することによって2次複合粒子15が形成される(第2の構造的複合化)。
投入するSiと金属Mの量により決まる初期濃度によって、それぞれの核生成温度が決まり、その核生成温度次第で、凝集が先に進むか、導電性金属粒子14の不均質核生成が進むかが決まる。最終構造からするに、まずSi粒子12が1次粒子として形成され、その後に導電性金属粒子14が担持して1次複合粒子13が形成される。次いで、1次複合粒子13が凝集して2次複合粒子15を形成すると考えられる。実際Si粒子12に直接導電性金属粒子14が担持するためにもこの順番になるよう、初期組成を制御することが望ましい。結晶粒サイズは核生成後の成長時間によるため、添加元素濃度と冷却速度により制御される。
これに加えて、金属M或いは金属MとSiの合金相がSiと結晶構造に類似性を有する場合には、Si粒子12と導電性金属粒子14の界面に局所的にエピタキシャル界面が形成される。この界面形成により、導電性金属粒子14は、Si粒子12と原子レベルで強固に密着する。
例えば、金属MにNiを選択した場合、Si粒子12と、Si粒子12に担持された導電性金属粒子14が1000℃程度に冷却されることにより、固相内相変態が進行する。固相内相変態とは、始めに不均質核生成した純金属M、又は合金相に1次粒子であるSi粒子12からSi原子が拡散し反応することで低温で安定な相が形成されることをいう。これにより、Siに近い結晶構造を有する合金相であるNiSi2相が、Siとエピタキシャル界面を有して担持した、本実施形態に係る複合粒子10を生成することができる。
このように、高温で安定な相が不均質核生成で直接1次粒子に担持する複合構造に加えて、特定の材料系では、非調和溶融相であっても低温で安定な相を固相変態によって複合化に加えることも期待される。
このように、Si粒子12に導電性金属粒子14が担持された1次複合粒子13を要素粒子とした粉末では、化学的な結合で担持した導電性金属粒子が、1次ナノ粒子のレベルで比較的均一に導入分散された粉末となる。本発明の複合粒子10は、Si粒子12の集合体と、前記Si粒子12に担持された導電性金属粒子14とを備え、前記導電性金属粒子に含有される金属Mの組成は、Siと金属Mの総量を100%として0.1at%(原子%)〜70at%の範囲がよく、好ましくは、0.5at%〜50at%の範囲がよい。
このことから、複合粒子10をリチウムイオン2次電池の活物質として用いることにより、粒子の体積膨張に伴う割れが生じても導電パスを維持しやすくなり、高い容量を長期サイクルでも維持することが可能になる。
加えて、導電性金属粒子14がSi粒子12との界面に局所的にエピタキシャル界面を形成する場合には、原子レベルで化学的な結合をすることにより、導電性金属粒子14とSi粒子12間の密着性が向上する。これにより導電性金属粒子14が、Si粒子12を機械的に補強し、Si粒子12の耐割れ性を向上させることも期待できる。
本実施形態の場合、複合粒子10は、低級な冶金級粉末を原料として利用することができ、比較的高密度な混合蒸気中において核生成することにより製造することができるので、従来のCVD法やゾルゲル法に比べ、容易に製造することができる。また本実施形態に係る複合粒子10は、ナノ粒子化と、複合化とを一貫したプロセスで製造することができる。
2.実施例
(1)金属MとしてNiを用いた場合
金属MとしてNiを用い、上記手順で複合粒子を生成した。Ni粉末は、高純度化学社製(純度99.9%、平均粒径20μm程度)を用いた(図3A)。Si粉末は、信越化学社製(平均粒径20〜30μm)を用いた(図3B)。本実施例の場合、直流プラズマは、直流プラズマ発生ガスとしてArガスを用い、流量を10L/min、DC出力を7kWとした。高周波プラズマは、高周波プラズマ発生ガスとしてArガスとH2ガス(濃度15vol/%)を用い、それぞれ流量を170L/min,30L/min、RF出力を100kWとした。チャンバー内の圧力は、53.32kPa(400Torr)とした。SiとNi粉末を所定の濃度に事前に混合し、この混合粉末を1g/minでプラズマに連続供給する。少なくとも6g/minまでは、同様のナノサイズの粒子を製造できることは確認済みである。
(1)金属MとしてNiを用いた場合
金属MとしてNiを用い、上記手順で複合粒子を生成した。Ni粉末は、高純度化学社製(純度99.9%、平均粒径20μm程度)を用いた(図3A)。Si粉末は、信越化学社製(平均粒径20〜30μm)を用いた(図3B)。本実施例の場合、直流プラズマは、直流プラズマ発生ガスとしてArガスを用い、流量を10L/min、DC出力を7kWとした。高周波プラズマは、高周波プラズマ発生ガスとしてArガスとH2ガス(濃度15vol/%)を用い、それぞれ流量を170L/min,30L/min、RF出力を100kWとした。チャンバー内の圧力は、53.32kPa(400Torr)とした。SiとNi粉末を所定の濃度に事前に混合し、この混合粉末を1g/minでプラズマに連続供給する。少なくとも6g/minまでは、同様のナノサイズの粒子を製造できることは確認済みである。
Si粉末を100とした場合、Ni粉末を1at%添加し、熱プラズマ溶射により実施例1に係る複合粒子を生成した(図3D)。Ni粉末の添加量を5at%とした以外は、実施例1と同じ条件で生成した複合粒子を実施例2とした(図3E)。さらにNi粉末の添加量を33at%、50at%とした以外は、実施例1と同じ条件で生成した複合粒子をそれぞれ実施例3、実施例4とした(図3F、図3G(図3H))。またNi粉末を添加しない以外は実施例1と同じ条件で生成した粒子を比較例1とした(図3C)。
得られた複合粒子の粒子径を静的レーザー散乱法(SLS)により測定した。その結果を図4に示す。本図は、縦軸が体積比率(%)、横軸が粒子径(μm)を示す。比較例1に対し実施例1〜4は、いずれも粒子径が大きくなっていることが確認できた。実施例1〜4は、Ni粒子によってSi粒子の凝集が促進されたため、粒径が大きくなったものと考えられる。
得られた複合粒子のX線回折(XRD:X-ray diffraction)結果を図5に示す。図5Aの挿入図は、図5Aの77°付近の拡大図であり、NiSi2相の存在を明確に示している。また図5B〜図5Dの結果から、Niの添加量の増加に伴い、Ni2Si相が相対的に増加することが確認された。
実施例2に係る複合粒子について、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy-Loss Spectroscopy)により、図6Aに示す矢印方向へ線分析を行った。その結果を図6Bに示す。図6Aにおける白色の領域において、NiとSiが共存する領域の存在が確認できた。さらに実施例2に係る複合粒子について、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF−STEM:High-angle Annular Dark Field Scanning TEM)による分析を行った(図7)。本図においても白色の領域は、Niを含む相である。全てのNiを含む相が、ナノサイズのSi粒子の表面に形成されていることが確認できた。以上より、複合粒子は、20nm前後のSiの1次粒子の表面に直接NiとSiからなる合金相が導電性金属粒子として担持、分散されていることが分かった。
実施例2に係る複合粒子の高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM:High Resolution TEM)による結晶格子像を図8に示す。本図から、Siと結晶構造が同じNiSi2相がエピタキシャル界面を形成していることがわかった。特に、(111)面をエピタキシャル界面としており、Si粒子のLi合金化の主要な異方的膨張の結晶方位である<110>が(111)面内に有ることから、Siの膨張と割れに対して、導電性金属粒子が面で働く事が確認される。この点は、単なる粒子混合の場合の点接触とは大きな違いと言える。
Cu箔上に複合粒子を公知な導電助剤20%程度と共に塗工して形成した電極を負極とし、対向電極としてリチウム金属箔を用い、電解質として1MのLiPF6(EC:DEC=1:1)を用いて電気化学セルを作製した。負極としての活物質以外は全て同一の条件で作製している。当該電気化学セルにより、充電直前に交流インピーダンスを測定した。その結果を図9に示す。本図は、縦軸が虚数成分、横軸が実成分を示す。本図から、実施例1、2、4は、比較例1に比べ抵抗が低下することが確認できた。このことから、複合粒子は、Niを少量添加するだけで、導電性が向上することがわかった。
また電気化学セルを用い、充放電特性を測定した。充放電は初期3サイクルまで0.1mA、4サイクル以降は0.5mAの定電流の条件で行った。その結果を図10に示す。本図は、縦軸が放電容量、横軸がサイクル数を示す。本図から、実施例1及び2は、比較例1に比べ放電容量が低下しないことが確認できた。このことから、複合粒子は、Niを少量添加するだけで、サイクル特性が向上することがわかった。すなわち複合粒子は、添加されたNiがSiと結晶構造が同じNiSi2相をエピタキシャル成長により形成することにより、Siの体積膨張に伴う耐割れ性が向上すると共に、導電性の損失を抑制できると考えられる。
以上より、図8に示すように、Siと結晶構造が同じNiSi2相がエピタキシャル成長により形成されていることで、サイクル特性を向上できることがわかった。
また実施例3及び4では、Niの添加量の増加に伴い導電性が向上するものの、電池容量は低下してしまうことが確認された。これは、Niの添加量増加に伴い電池不活性なNiSiやNi2Si合金などを多く形成し、活物質であるSi粒子を多く消費してしまうことによる。すなわち、導電性の向上が少しでも見られ、できる限り電池不活性な合金相形成が少なくなる、低添加量を選択した方が良い。但し、初期組成により核生成温度が変化して、複合構造自体も変化する点に注意する必要がある。
(2)金属MとしてCuを用いた場合
金属MとしてCuを用いた以外は実施例1と同じ条件で、実施例5に係る複合粒子を生成した。なおCu粉末は、高純度社製(商品名:99%、平均粒径20μm程度)を用いた。
金属MとしてCuを用いた以外は実施例1と同じ条件で、実施例5に係る複合粒子を生成した。なおCu粉末は、高純度社製(商品名:99%、平均粒径20μm程度)を用いた。
実施例5に係る複合粒子について、明視野観察法によって撮影した写真を図11Aに示す。本図から粒径20〜30nmのSi粒子の表面に、粒径10nm程度の粒子(SiCux)が直接核生成されていることが確認できた。また図11BにHAADF−STEM像を示す。本図において白色の領域は、Cuを含む相であることを示している。観察される領域での全てのCuを含む相は、1次Si粒子の表面に形成されていることが確認できた。
実施例5に係る複合粒子について、EELSにより、図12Aに示す矢印方向へ線分析を行った。その結果を図12Bに示す。図12Aにおける白色の領域ではSiとCuが共存していること、黒色との境界において、Cuの濃度が低下していることが確認できた。また複合粒子について行ったXRD分析の結果から、Si粒子の表面に核生成された粒子の多くは、SiCu3相であることが確認された。以上より、複合粒子は、Si粒子の表面にCuとSiの合金(主にSiCu3相)からなる導電性金属粒子が不均質核生成されていることが分かった(Si−Cu系の合金相は、Siと結晶構造が異なるが、Si−Ni系と同様に1次粒子上に直接不均質核生成は可能であることが確認できた)。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
本実施形態の場合、熱プラズマスプレー装置によって複合粒子を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、熱CVDなどの方法により形成することとしてもよい。
また本実施形態の場合、ハイブリッド型プラズマトーチを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、直流プラズマトーチ、高周波プラズマトーチのみを用いることとしてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
本実施形態の場合、熱プラズマスプレー装置によって複合粒子を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、熱CVDなどの方法により形成することとしてもよい。
また本実施形態の場合、ハイブリッド型プラズマトーチを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、直流プラズマトーチ、高周波プラズマトーチのみを用いることとしてもよい。
10 複合粒子
12 Si粒子
13 1次複合粒子
14 導電性金属粒子
15 2次複合粒子
12 Si粒子
13 1次複合粒子
14 導電性金属粒子
15 2次複合粒子
Claims (6)
- Si粒子の集合体と、前記Si粒子に担持された導電性金属粒子とを備え、前記導電性金属粒子は、金属M又は、金属MとSiの合金を含むことを特徴とする複合粒子。
- 前記金属Mは、リチウムと不可逆反応を生じない元素であることを特徴とする請求項1記載の複合粒子。
- 前記金属Mが、Cu、Ti、Al、Mo、Sb、Niのいずれか1種、或いは複数組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2記載の複合粒子。
- 前記導電性金属粒子が、前記Si粒子との界面に局所的にエピタキシャル成長により形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合粒子。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の複合粒子を含むことを特徴とするリチウムイオン2次電池用負極材料。
- Siと、金属Mとを含む混合蒸気中で、均質核生成されたSi粒子表面に直接、前記金属M、又は金属MとSiの合金からなる導電性金属粒子が不均質核生成する工程を備えることを特徴とする複合粒子の製造方法。
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JP2014004634A JP2015131746A (ja) | 2014-01-14 | 2014-01-14 | 複合粒子、その製造方法、及び複合粒子を用いたリチウムイオン2次電池用負極材料 |
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2014
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