JP2014197497A - 非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 Download PDF

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英郎 西久保
Hideo Nishikubo
英郎 西久保
西村 健
Takeshi Nishimura
健 西村
俊夫 谷
Toshio Tani
俊夫 谷
耕二 幡谷
Koji Hataya
耕二 幡谷
俊哉 樋上
Toshiya Higami
俊哉 樋上
昌明 久保田
Masaaki Kubota
昌明 久保田
阿部 英俊
Hidetoshi Abe
英俊 阿部
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Abstract

【課題】高容量かつ、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池用負極を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池の負極として、集電体61と、前記集電体61上に形成された、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質6、導電助剤7、結着材9とを、少なくとも含む負極活物質層6を具備し、前記負極活物質8は、平均粒径が2nm〜500nmであり、前記導電助剤7は、リチウム吸蔵後の前記負極活物質8の平均粒径よりも大きな平均粒径を有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極5を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池に用いられる負極と、この負極を用いた非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は携帯機器を中心に使用されているが、使用機器の小型化や、多機能化のため、高容量化が要求されている。しかし、現在のリチウムイオン二次電池の負極活物質には、人造黒鉛や天然黒鉛などの炭素系材料が使用されているが、理論容量が372mAh/gであり、これ以上の容量増大は望めない。
そのため、理論容量がより大きいケイ素(Si)や錫(Sn)等の金属材料やその酸化物材料を用いた負極が提案され(例えば、特許文献1参照)、注目されているが、これらの材料は初期の数サイクル程度は非常に高い容量を示すが、充放電を繰り返すことによって活物質の膨張収縮による微粉化が生じ、負極活物質が集電体から脱落するため、サイクル特性は非常に悪いという問題があった。
そこで、SiやSnなどのLiを吸蔵可能な成分と、Liを吸蔵しないCuやFeなどの成分とをメカニカルアロイング法により混合することによって、充放電サイクルによる劣化を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
一方、電極の製法として、これらの材料をCVD法、スパッタリング法、蒸着法、またはイオンプレーティング法(真空めっき法)により集電体に薄膜を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
特開平07−29602号公報 特開2005−78999号公報 特開平11−135115号公報
しかしながら、特許文献2に記載の発明では、ナノサイズのレベルで各成分を均質に分散させることが困難であり、特に、負極材料としての実用化が期待されているシリコンは、充放電時の体積変化が大きいため、クラックが発生しやすく、サイクル特性の劣化は十分には防げなかった。
また、特許文献3に記載の発明では、負極活物質層をCVD法、スパッタリング法、蒸着法、またはイオンプレーティング法(真空めっき法)により形成することで、サイクル特性の劣化はある程度抑制することができるものの、負極活物質層の厚みが薄い薄膜電極しか形成することができず、リチウム二次電池を構成するには活物質量が不足するため実用化は困難である。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、高容量と良好なサイクル特性を実現する非水電解質二次電池用の負極を得ることである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ナノサイズの負極活物質を用いて塗布法で電極に負極活物質層を形成した場合、活物質がリチウムを吸蔵して膨張したときの粒子サイズよりも大きいサイズの導電助剤を電極に含むことにより、充放電時の負極活物質層の厚み変化が抑制され、電極内でのクラック形成が軽減されることを見出した。すなわち、負極活物質層中に粗大粒子が存在することでクラックの進行経路をブロックすることができる。
また、本発明者は、主としてリチウム吸蔵性を有するナノサイズレベルの負極活物質を使用することで、負極活物質の微粉化を抑制できることを見出した。さらに、本発明者は、リチウムを吸蔵する第1の相と、リチウムを吸蔵しない第2の相が界面を介して接合されることにより、充放電による第1の相の体積膨張を抑えることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
前述した目的を達成するために、以下の発明を提供する。
(1)集電体と、前記集電体上に形成された、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質、導電助剤、結着材を少なくとも含む負極活物質層を具備し、前記負極活物質は、平均粒径が2nm〜500nmであり、前記導電助剤は、リチウム吸蔵後の前記負極活物質の平均粒径よりも大きな平均粒径を有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(2)前記負極活物質が、ケイ素、スズ、アルミニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、インジウム、亜鉛から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする(1)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(3)前記負極活物質が、元素Xと元素Mとを含むナノサイズ粒子からなり、前記元素Xは、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、In、Znからなる群より選ばれた1種の元素であって、前記元素Mが、第4〜11族の遷移金属元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であって、前記ナノサイズ粒子は、前記元素Xの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Mの単体または化合物である第2の相と、を少なくとも有することを特徴とする(2)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(4)前記ナノサイズ粒子は、前記第1の相と前記第2の相との両方が外表面に露出するととともに、界面を介して接合しており、前記第1の相は、外表面が略球面状であることを特徴とする(3)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(5)前記ナノサイズ粒子は、平均粒径が2〜300nmであることを特徴とする(3)または(4)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(6)前記ナノサイズ粒子は、Cu、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素M’をさらに含み、前記元素M’が、前記第2の相を構成する前記元素Mとは種類の異なる元素であり、前記元素M’の単体または化合物である他の第2の相をさらに有していることを特徴とする(3)〜(5)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(7)前記ナノサイズ粒子は、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、In、Znからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素X’をさらに含み、前記元素X’の単体または固溶体である第3の相をさらに有していることを特徴とする(3)〜(6)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(8)前記第3の相が、前記第1の相と前記第2の相の少なくとも一方と、界面を介して接合していることを特徴とする(7)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(9)前記導電助剤が、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(10)前記導電助剤の平均粒径が、2μm〜30μmであることを特徴とする(9)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(11)導電助剤をさらに有し、前記導電助剤が炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末であり、その平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする(1)〜(10)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(12)リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、(1)〜(11)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質二次電池。
本発明により、高容量と良好なサイクル特性を実現する非水電解質二次電池用の負極を得ることができる。
本発明に係る非水電解質二次電池の断面図。 本発明に係る非水電解質二次電池用負極の断面図 (a)〜(c)は第1の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)は第1の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)は第1の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)〜(c)は第2の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)は第2の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 本発明に係るナノサイズ粒子の製造装置を示す図。 本発明に係る負極の製造に用いられるミキサーを示す図。 本発明に係る負極の製造に用いられるコーターを示す図。 実施例1に係るナノサイズ粒子のXRD解析結果。 (a)実施例1に係るナノサイズ粒子のBF−STEM写真、(b)実施例1に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真。 (a)実施例1に係るナノサイズ粒子の第1の観察箇所でのHAADF−STEM写真、(b)〜(c)同一視野でのEDSマップ。 (a)実施例1に係るナノサイズ粒子の第2の観察箇所でのHAADF−STEM写真、(b)〜(c)同一視野でのEDSマップ。 FeとSiの2元系状態図。 実施例2に係るナノサイズ粒子のXRD解析結果。 (a)、(b)実施例2に係るナノサイズ粒子のBF−STEM写真。 (a)実施例2に係るナノサイズ粒子の第1の観察箇所でのHAADF−STEM写真、(b)〜(d)同一視野でのEDSマップ。 (a)実施例2に係るナノサイズ粒子の第2の観察箇所でのHAADF−STEM写真、(b)〜(d)同一視野でのEDSマップ。 実施例3に係るナノサイズ粒子のXRD解析結果。 (a)実施例3に係るナノサイズ粒子のBF−STEM写真、(b)同一視野でのHAADF−STEM写真。 (a)〜(c)実施例3に係るナノサイズ粒子の高分解能TEM写真。 (a)実施例3に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM像、(b)〜(d)同一視野でのEDSマップ。 実施例4に係るナノサイズ粒子のXRD解析結果。 (a)実施例4に係るナノサイズ粒子のBF−STEM写真、(b)実施例4に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真。 (a)〜(b)実施例4に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真。 (a)実施例4に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真、(b)〜(e)同一視野でのEDSマップ。 (a)実施例4に係るナノサイズ粒子のEDSマップ、(b)同一視野でのHAADF−STEM写真。 (a)実施例4に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真、(b)(a)中の第1の箇所でのEDS分析結果、(c)(a)中の第2の箇所でのEDS分析結果、(d)(a)中の第3の箇所でのEDS分析結果。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(非水電解質二次電池の構成)
まず、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を、図1を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の非水電解質二次電池1は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極3と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極5と、正極3と負極5との間に配置されたセパレータ24とを有し、リチウムイオン伝導性を有する非水系電解液26中に、正極3と負極5とセパレータ24とが設けられている。
(負極)
図2に示すように、非水電解質二次電池用負極5は、集電体61の上の少なくとも片面に負極活物質層6を有する。負極活物質層6は、負極活物質8、導電助剤7、結着材9を含む。集電体61は、銅、ニッケル、ステンレスからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む箔である。それぞれの金属は、単独で用いてもよいし、それぞれの合金として用いてもよい。厚さは4μm〜35μmが好ましく、さらに8μm〜18μmがより好ましい。
(負極活物質)
負極活物質8は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料を使用し、平均粒径が2nm〜500nmである。平均粒径が2nm未満の負極活物質8は、製造が困難であり、平均粒径が500nmを超える負極活物質を使用すると、体積あたりのエネルギー密度が低下するという問題がある。
また、負極活物質8のリチウム吸蔵後の体積変化率が150%以上であると、負極活物質8は多くのリチウムを吸蔵できる。
なお、リチウム吸蔵後の負極活物質8の体積に関しては、リチウム吸蔵前の体積の200%より大きく、400%未満であることが好ましい。体積変化量が400%を超えると、体積変化が大きすぎるため、負極活物質8の微粉化が進み、サイクル特性に劣るためである。
負極活物質8の体積変化を直接測定することは困難であるため、負極活物質8を構成する元素の割合を測定し、それぞれの元素がリチウムを吸蔵した後の膨張率を、元素の割合で案分することにより、負極活物質8のリチウム吸蔵後の体積変化率を推定することができる。
また、リチウム吸蔵後の体積とは、リチウムを最大限に吸蔵した負極活物質8の体積をいう。
負極活物質8は、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、および、亜鉛(Zn)から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。これらの元素は、1種のみではリチウム吸蔵時に150%以上の体積変化を生じるからである。ケイ素は、リチウムを吸蔵するとLi22Siとなり、Siの4.1倍の体積に膨張する。スズは、リチウムを吸蔵すると、Li22Snとなり、Snの3.6倍の体積に膨張する。ゲルマニウムは、リチウムを吸蔵するとLi22Geとなり、Geの3.8倍の体積に膨張する。アルミニウムは、リチウムを吸蔵するとLiAlとなり、Alの1.9倍の体積に膨張する。鉛は、リチウムを吸蔵するとLi22Pbとなり、Pbの3.4倍の体積に膨張する。アンチモンは、リチウムを吸蔵するとLiSbとなり、Sbの2.4倍の体積に膨張する。ビスマスは、リチウムを吸蔵するとLiBiとなり、Biの2.1倍の体積に膨張する。インジウムは、リチウムを吸蔵するとLiInとなり、Inの1.8倍の体積に膨張する。亜鉛は、リチウムを吸蔵するとLiZnとなり、Znの2倍の体積に膨張する。
ただし、負極活物質は2種以上の元素を含む場合には、1種の元素のときよりも体積の膨張の程度が小さくなる。
負極活物質を上記元素の中から選ばれた少なくとも1種の元素を含むようにすることにより、より高容量の非水電解質二次電池用の負極を得ることができる。
また、負極活物質8としては、後述する負極活物質A、Bなどのナノサイズ粒子を使用することができる。
(導電助剤)
また、導電助剤7は、リチウム吸蔵により膨張した負極活物質8の平均粒径よりも大きな平均粒径を有する。負極活物質8がリチウムを吸蔵して膨張した時の平均粒径とは、リチウム吸蔵前の負極活物質8の平均粒径に、リチウム吸蔵による体積変化率をかけて推定することができる。
導電助剤7は、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の導電性物質からなる粉末である。炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀の単体の粉末でもよいし、複数の粉末でもよいし、またそれぞれの合金の粉末でもよい。例えば、グラファイトの粉末を使用できる。これらの材料は、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、導電助剤7の平均粒径は、負極活物質8がリチウムを吸蔵して膨張した時の平均粒径よりも大きければよく、好ましくは、2μm〜30μmである。
導電助剤7の種類を上記物質より選ばれた少なくとも1種を含むようにすることにより負極全体の導電性が向上し、サイクル特性が改善される。また、導電助剤の平均粒径を上記範囲にすることにより、負極活物質の体積変化に伴う負極の劣化を抑えることができる。
また、前記導電助剤7以外に、さらに上記群より選ばれた少なくとも1種の粉末であり、その平均粒径が10〜300nmである粉末である導電助剤7’(図示しない)を含んでいてもよい。なお、この場合、導電助剤全体の配合量としては、負極活物質の平均粒径より大きい導電助剤7の配合量は、50%以上が好ましい。
負極活物質の平均粒径より小さい通常の導電助剤7’をさらに含むようにすることにより、負極活物質と、負極活物質の平均粒径より大きい導電助剤7との間の導電ネットワークが良好になって負極全体の導電性が向上し、さらにサイクル特性を改善することができる。
ここで、導電助剤7、7’の平均粒径は一次粒子の平均粒径を指す。アセチレンブラックのような高度にストラクチャー形状が発達している場合にも、ここでは一次粒径で平均粒径を定義し、SEM写真の画像解析で平均粒径を求めることができる。
また、導電助剤7’は、粒子状以外にワイヤー形状を用いても良い。ワイヤー形状の導電助剤は導電性物質のワイヤーであり、粒子状の導電助剤に挙げられた導電性物質を用いることができる。ワイヤー形状の導電助剤は、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、銅ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤーなどの外径が300nm以下の線状体を用いることができる。ワイヤー形状の導電助剤を用いることで、負極活物質や集電体などと電気的接続が保持しやすくなり集電性能が向上するとともに、ポーラス膜状の負極に繊維状物質が増え、負極にクラックが生じにくくなる。例えば粒子状の導電助剤として銅粉末を用い、ワイヤー形状の導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)を用いることが考えられる。
ワイヤー形状の導電助剤の長さは、好ましくは0.1μm〜2mmである。導電助剤の外径は、好ましくは4nm〜1000nmであり、より好ましくは25nm〜200nmである。導電助剤の長さが0.1μm以上であれば、導電助剤の生産性を上げるのには十分な長さであり、長さが2mm以下であれば、スラリーの塗布が容易である。また、導電助剤の外径が4nmより太い場合、合成が容易であり、外径が1000nmより細い場合、スラリーの混練が容易である。外径と長さの測定方法は、SEMによる画像解析により行った。
(結着材)
結着材9は、樹脂の結着材であり、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、スチレンブタジエン系ゴム(SBR)等の合成ゴム、アクリル系樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリイミド、ポリアミドイミド等の有機材料を用いることができる。これらの材料は、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(本発明の効果)
本発明は、負極活物質8として、リチウムイオンを吸蔵しやすい元素からなる粒子を用い、また、負極活物質8がリチウムを吸蔵して体積膨張したときの粒子サイズよりも、大きい粒子サイズを有する導電助剤7を含有していることを特徴とする。このような特徴により、充放電時の負極活物質層6の厚み変化が抑制され、負極活物質層6でのクラック形成が軽減されることを見出した。すなわち、負極活物質層6中に粗大粒子が存在することで、クラックの進行経路をブロックすることができる。結果として、本発明に係る負極は、サイクル特性に優れる。
(第1の実施形態に係る負極活物質Aの構成)
第1の実施形態に係る負極活物質Aは、元素Xと元素Mとを含むナノサイズ粒子11または17からなる。
元素Xは、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、In、Znからなる群より選ばれた1種の元素である。元素Xは、リチウムを吸蔵しやすい元素である。
また、元素Mは、第4〜11族の遷移金属元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であって、例えば、第4〜11族の遷移金属元素のうち、安定な元素、具体的には、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au等である。これらの元素Mは、リチウムを吸蔵しにくい元素である。
図3(a)に示す通り、第1の実施形態に係るナノサイズ粒子11は、第1の相13と第2の相15を少なくとも有している。
第1の相13は、元素Xの単体であってもよいし、Siを主成分とする固溶体であってもよい。また、第1の相13は、結晶質であっても非晶質であってもよい。この第1の相13は、リチウムを吸蔵可能である。第1の相13は一度リチウムを吸蔵して合金化した後、リチウムを脱離して脱合金化すると非晶質となる。
また、第2の相15は、元素Mの単体であってもよいし、または元素Mを主成分とする化合物であってもよい。この第2の相15は、リチウムをほとんど吸蔵しない。
元素Xと元素Mが化合物を形成可能な組み合わせであれば、第2の相15は、元素Xと元素Mの化合物であるMX等から形成されていてもよい。一方、元素Xと元素Mとが化合物を形成しない組み合わせであれば、第2の相15は元素Mの単体や固溶体等であってよい。
例えば、元素XがSiであり、元素MがCuである場合、第2の相15は、元素Mと元素Xの化合物である銅シリサイドで形成することができる。
例えば、元素XがSiであり、元素MがAgまたはAuである場合、第2の相15は、元素Mの単体または元素Mを主成分とする固溶体等で形成することができる。
また、元素XがSiである場合、Siと元素Mは、MX(1<Y≦3)で表される化合物を形成可能である。このような化合物としては、例えば、具体的には、FeSiやCoSi(Y=2)、RhSi(Y=1.33)、RuSi(Y=1.5)、SrSi(Y=1.67)、MnSiやTcSi(Y=1.75)、IrSi(Y=3)などを例示することができる。ここで、Siと元素Mの合計に占める元素Mの原子比率は、0.01〜25%であることが好ましい。この原子比率が0.01〜25%であると、ナノサイズ粒子11を負極活物質として用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。一方、0.01%を下回ると、ナノサイズ粒子11のリチウム吸蔵時の体積変化を抑制できず、25%を超えると、高容量であるメリットが特になくなってしまう。
そしてナノサイズ粒子11は、例えば図3に示したように、第1の相13と第2の相15との両方が、ナノサイズ粒子11の外表面に露出するととともに、界面を介して互いに接合していることが好ましい。第1の相13と第2の相15との界面は、平面あるいは曲面を示している。また、界面は階段状であってもよい。第1の相13は、外表面が略球面状である。第1の相13と第2の相15の接合部の界面形状は、円形ないしは楕円形となる。リチウム吸蔵により膨張する第1の相13上にリチウムを吸蔵しない第2の相15が存在することで、リチウム吸蔵による第1の相13の膨張を抑制することができる。
なお、第1の相13の外表面が略球面状であるとは、第1の相13と第2の相15とが接する界面以外の第1の相13の表面が、おおむね滑らかな曲面で構成されていることを意味し、言い換えると、第1の相13と第2の相15とが接する箇所から先を除き、第1の相13が、球形ないしは楕円球形であることを意味する。球ないしは楕円球との表現は、幾何学的に厳密な球形や楕円球形を意味するものではない。第1の相13は、破砕法により形成される粒子の形状に代表されるような、表面に角を有する形状とは異なる形状を有する。
また、図3(b)に示すナノサイズ粒子11のように、元素Mの単体または化合物である第2の相15が、第1の相13中に分散していてもよい。第2の相15は、第1の相13に覆われている。第2の相15は、外表面に露出している第2の相15と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない。また、図3(c)のように、第1の相13に覆われている第2の相15の一部が表面に露出していてもよい。つまり、必ずしも第2の相15の周囲の全てを第1の相13で覆っている必要はなく、第2の相15の周囲の一部のみを第1の相13で覆っていてもよい。
なお、図3(b)においては、第1の相13中に、複数の第2の相15が分散しているが、単一の第2の相15が内包されていてもよい。
図4(a)に示す第2の相15’のように、元素Mの単体または化合物の結晶の安定性等の影響により、多面体形状となることもある。
さらに、図4(b)に示すナノサイズ粒子11のように、第1の相13上に第2の相15を複数有してもよい。例えば、粒子の製造過程において、元素Mの割合が少なく、ガス状態や液体状態における元素M同士の衝突頻度が少なくなる場合や、第1の相13および第2の相15の融点の関係や濡れ性、さらに冷却速度の影響等により、第2の相15が、第1の相13の表面に分散して接合する場合が考えられる。
第1の相13上に複数の第2の相15を有する場合、第1の相13と第2の相15との界面の面積が広くなり、第1の相13の膨張収縮をさらに抑えることができる。また、第2の相15は第1の相13よりも導電率が高いため、第2の相15により電子の移動が促進され、ナノサイズ粒子11は、それぞれのナノサイズ粒子に複数の集電スポットを有することとなる。よって、第2の相15を複数有するナノサイズ粒子11は高い粉体導電率を有する負極材料となり、導電助剤を減らすことが可能となり、高容量の負極を形成することができる。さらに、ハイレート特性に優れる負極が得られる。
また、ナノサイズ粒子11は、元素Mに加えて、元素M’を含んでも良い。元素M’は、Cu、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記の第2の相を構成する元素Mとは種類の異なる元素である。
図5(a)に示すナノサイズ粒子17は、元素Mと元素M’を含み、元素Mの単体または化合物である第2の相15に加えて、他の第2の相19を有する。例えば、第1の相13の一端に第2の相15があり、他端に他の第2の相19があり、ナノサイズ粒子17は、大きな球の表面に二つの小さな球が接合している形状を有することができる。他の第2の相19は、元素M’の単体または化合物であり、第2の相15と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない。また、ナノサイズ粒子17は、元素Mと元素M’からなる固溶体(図示せず)を含んでもよい。例えば、第2の相15がSiとFeの化合物であり、他の第2の相19がSiとCoの化合物であり、元素Mと元素M’からなる固溶体がFeとCoの固溶体である場合などが挙げられる。
また、図5(b)に示すように、元素Mの単体または化合物である第2の相15と、元素M’の単体または化合物である他の第2の相19が、第1の相13中に分散していてもよい。なお、図5(a)および(b)は元素M及び元素M’を選ぶことができる元素の群から2種類の元素を選んだ場合の例を示したが、3種類以上の元素を選んでもよい。
なお、このように元素M及び元素M’の群から2種類以上の元素を選ぶ場合においても、元素Xと元素M及び元素M’の群の元素の合計に対する、元素M及び元素M’の群の元素の合計の原子比率が0.01〜30%であることが好ましい。
また、第1の実施形態において、第1の相13が主として結晶質シリコンであり、第2の相15が結晶質シリサイドであることが好ましい。また、第1の相13は、リンまたはホウ素を添加したSiであることがより好ましい。リンまたはホウ素を添加することでシリコンの導電性を高めることができる。リンの代わりに、インジウムやガリウムを用いることもでき、ホウ素の代わりにヒ素を用いることも可能である。第1の相13のシリコンの導電性を高めることで、このようなナノサイズ粒子17を用いた負極は、内部抵抗が小さくなり、大電流を流すことが可能となり、良好なハイレート特性を有する。
さらに、第1の実施形態において、ナノサイズ粒子11や17、後述する21の平均粒径は、好ましくは2〜300nmであり、より好ましくは50〜200nmである。ホールペッチの法則により、粒子サイズが小さいと降伏応力が高まるため、ナノサイズ粒子の平均粒径が2〜300nmであれば、粒子サイズが十分小さく、降伏応力が十分大きく、充放電により微粉化しにくくなる。なお、平均粒径が2nmより小さいと、ナノサイズ粒子の合成後の取扱いが困難となり、平均粒径が300nmより大きいと、粒子サイズが大きくなってしまい、降伏応力が十分でない。
なお、微粒子は通常は凝集して存在しているので、ナノサイズ粒子の平均粒径は、ここでは一次粒子の平均粒径を指す。粒子の計測は、電子顕微鏡(SEM)の画像情報と動的光散乱光度計(DLS)の体積基準メディアン径を併用する。平均粒径は、SEM画像によりあらかじめ粒子形状を確認し、画像解析(例えば、旭化成エンジニアリング製「A像くん」(登録商標))で粒径を求めたり、粒子を溶媒に分散してDLS(例えば、大塚電子製DLS−8000)により測定したりすることが可能である。微粒子が十分に分散しており、凝集していなければ、SEMとDLSでほぼ同じ測定結果が得られる。また、ナノサイズ粒子の形状が、アセチレンブラックのような高度に発達したストラクチャー形状である場合にも、ここでは一次粒径で平均粒径を定義し、SEM写真の画像解析で平均粒径を求めることができる。
なお、ナノサイズ粒子11または17の最表面に酸素が結合しても良い。空気中にナノサイズ粒子を取り出すと、空気中の酸素がナノサイズ粒子の表面の元素と反応するからである。つまり、ナノサイズ粒子11または17の最表面は、厚さ0.5〜15nm程度のアモルファスの層を有してもよく、特に第1の相13が主として結晶質シリコンの場合などは、酸化膜層を有していてもよい。
(負極活物質Aの効果)
第1の実施形態によれば、第1の相13がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第2の相15はリチウムを吸蔵しないため、第2の相15に接する第1の相13の膨張は、抑えられる。つまり、第1の相13がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第2の相15が膨張しにくいため、第2の相15がくさびやピンのような効果を発揮し、ナノサイズ粒子11または17全体の膨張を抑制する。そのため、第2の相15を有しない粒子に比べて、第2の相15を有するナノサイズ粒子11または17は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウムの放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、第1の実施形態によれば、ナノサイズ粒子11または17は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張に伴う歪が緩和され、サイクル特性時の放電容量の低下が抑制される。
さらに、第1の実施形態によれば、ナノサイズ粒子11または17は膨張しにくいため、ナノサイズ粒子を大気中に出したとしても、大気中の酸素と反応しにくい。一方、どちらか一方の相のみを有するナノサイズ粒子は、表面保護せずに大気中に放置すると、表面から酸素と反応し、表面から粒子内部へと酸化が進行するため、ナノサイズ粒子全体が酸化する。しかしながら、第1の実施形態のナノサイズ粒子11または17を大気中に放置した場合、粒子の最表面は酸素と反応するが、全体としてナノサイズ粒子が膨張しにくいため、酸素が内部に侵入しにくく、ナノサイズ粒子の中心部まで酸化が及びにくい。従って、通常の金属ナノ粒子は比表面積が大きく、酸化して発熱や体積膨張が生じやすいが、第1の実施形態のナノサイズ粒子11または17は、有機物や金属酸化物で特別な表面コートを行う必要がなく、大気中で粉体のまま扱うことができる。このような特徴は、工業的利用価値が大きい。
また、第1の実施形態によれば、第2の相15は元素Mを含むため導電性が高く、導電性の低い元素Xを含む第1の相13を主相として有していても、ナノサイズ粒子11または17全体としての導電率が飛躍的に上昇する。見方を変えれば、ナノサイズ粒子11または17は、それぞれのナノサイズ粒子にナノレベルの集電スポットを有した構造と等価であり、導電助剤が少なくても導電性を有する負極材料となり、高容量の電極を形成することが可能となり、また、ハイレート特性に優れる負極活物質となり得る。特に、第2の相15に導電性の高いFeやCuなどの金属元素を用いることで、シリコンナノ粒子のみの場合等に比べて、導電性の良い負極活物質が得られる。
また、第1の相13中に第2の相15を含むナノサイズ粒子11や、第1の相13中に第2の相15と他の第2の相19とを含むナノサイズ粒子17は、第1の相13のより多くの部分がリチウムを吸蔵しない相と接することになり、第1の相13の膨張がより効果的に抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子17は、少ない量の元素Mで体積膨張を抑制する効果を発揮することが可能となり、リチウム吸蔵可能なSi等の元素Xの量を効果的に増やすことができ、高容量かつサイクル特性が向上する。
外表面に露出する第2の相15と他の第2の相19の両方を備えるナノサイズ粒子17は、上記同様の効果を有するうえ、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が効果的に向上する。2種以上の元素Mおよび元素M’の群の元素を添加すると、2種以上の化合物が生成し、これらの化合物は相互に分離しやすいため異なる化合物が分離しやすいから、集電スポットが増加しやすく、より好ましい。
(第2の実施形態に係る負極活物質Bの構成)
さらに、第2の実施形態に係るナノサイズ粒子21について説明する。以下の実施形態で第1の実施形態と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。
図6(a)〜(c)は、第2の実施形態の負極5の負極活物質8を構成するナノサイズ粒子21の概略断面図である。図6(a)に示すように、ナノサイズ粒子21は、前記と同じ第1の相13と、第2の相15に加えて、さらに、第3の相23を有している。第3の相23は、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素X’を含み、元素Xとは異なる種類の元素である。これら元素X’はリチウムを吸蔵しやすい元素である。第3の相23は、元素X’の単体であってもよいし、元素X’を主成分とする固溶体であってもよい。元素X’と固溶体を形成する元素は、元素X’を選ぶことができる群より選ばれた元素でもよいし、前記群に挙げられていない元素であってもよい。第3の相23はリチウムを吸蔵可能である。
元素X’は、負極活物質と同様にリチウム吸蔵時に150%以上の体積変化を生じるため、多くのリチウムを吸蔵できるため、元素X’を上記元素の群の中から選ばれた少なくとも1種の元素を含むようにすることにより、より高容量の非水電解質二次電池用の負極を得ることができる。
第1の相13と第2の相15と第3の相23は、全てが外表面に露出し、第1の相13と第2の相15と第3の相23の外表面は略球形状であってよい。第2の相15は第1の相13と接合しており、第3の相23は、第1の相13と第2の相15の少なくとも一方と、界面を介して互いに接合している。例えば、第1の相13の一端に第2の相15があり、他端に第3の相23があり、ナノサイズ粒子21は、大きな球の表面に二つの小さな球が接合している形状を有することができる。第3の相23と第1の相13との界面は、平面あるいは曲面を示している。一方で、図7(a)に示すように、第2の相15と第3の相23とが界面を介して接合していても良い。
このように第3の相が、リチウムを吸蔵する第1の相とリチウムを吸蔵しない第2の相の少なくとも一方と、界面を介して接合されることにより、充放電による第1の相の体積膨張を抑えることができる。
このようなナノサイズ粒子21については、負極活物質8としてのリチウム吸蔵特性や導電性等を考慮すると、例えば、第1の相13がSiで、第2の相15がSiとFeの化合物で、第3の相23がSnとすること等が例示される。
また、図6(b)に示すナノサイズ粒子21のように、元素Mの単体または化合物である第2の相15や、元素X’の単体または固溶体である第3の相23が、第1の相13中に分散していてもよい。また、元素X’と元素Mの化合物である相(図示せず)が分散していてもよい。これらの相15、23は、第1の相13に覆われているが、図6(c)のように、一部の相15、23が表面に露出していてもよい。つまり、必ずしも第1の相13中に分散されている相15、23の周囲の全てを第1の相13で覆っている必要はなく、周囲の一部のみを第1の相13で覆っていてもよい。なお、第1の相13中には、複数の相が分散していてもよいし、例えば、第2の相15、第3の相23、元素X’と元素Mの化合物である相のいずれかが分散されていてもよい。
また、第3の相23の界面以外の表面の形状は、図6(a)に示す第3の相23のように、表面がおおむね滑らかな球面であってもよいし、図7(b)に示す第3の相23’のように、多面体形状となってもよい。多面体形状は、第3の相23を介してナノサイズ粒子11、17または21が接合した後、剥離して生じたものである。
また、第1の相13および第3の相23は、酸素を含むことでリチウムと反応するサイトを抑制することができる。酸素を含むと容量は減少するが、リチウム吸蔵に伴う体積膨張を抑制することができる。酸素の添加量zは、例えばXO、X’Oとしたとき、0<z<1の範囲が好ましい。zが1以上になると元素Xや元素X’のLi吸蔵サイトが抑制され、容量が大幅に低下する。
ナノサイズ粒子が元素X、元素X’、元素M、元素M’を含む場合、これらの合計に占める元素M及び元素M’の原子比率については、上記と同じ理由から、0.01〜25%程度とすることが好ましい。この原子比率が0.01〜25%であると、ナノサイズ粒子21を負極活物質8として用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。
また、第2の実施形態に係るナノサイズ粒子21の構成については、他にも様々な態様を考慮することができる。例えば、第1の相13の表面に、第3の相23を複数有することができる。また、例えば、ナノサイズ粒子21は、さらに、2種以上の元素X’を含むことができる。例えば、2種目の元素X’は、前記の元素X’の群より選ばれた1種の元素であって、1種目の元素X’とは異なる種類の元素である。例えば、元素Xとしてシリコン、元素X’としてスズ、アルミニウムを用いることができる。元素X’は、単体もしくは固溶体として他の第3相を形成してもよいし、元素Mおよび元素M’等との化合物を形成してもよい。他の第3相は、第3の相23と同様に、外表面が球面状であり、ナノサイズ粒子21の外表面に露出することができる。また、元素X’と元素Mとの化合物である相が、第1の相13や第3の相23中に分散するなどしていてもよい。さらに、ナノサイズ粒子21は、元素Mに加えて、元素M’を含んでも良い。
このように、ナノサイズ粒子21は、元素X、X’の群の元素、元素Mの群の元素、及び元素M’の群の元素の様々な組み合わせから、多様な組成の化合物、固溶体の相を含むことができる。このような相は、ナノサイズ粒子21の表面に露出していても良いし、第1の相13中や、あるいは他のいずれかの相中に、分散していてもよい。
なお、ナノサイズ粒子21の最表面に酸素が結合しても良い。空気中にナノサイズ粒子21を取り出すと、空気中の酸素がナノサイズ粒子21の表面の元素と反応するからである。つまり、ナノサイズ粒子21の最表面は、厚さ0.5〜15nm程度のアモルファスの層を有してもよく、特に第1の相13が主として結晶質シリコンの場合などは、酸化膜層を有していてもよい。
(負極活物質Bの効果)
第2の実施形態によれば、第1の実施形態で得られる効果と同様の効果が得られる。ただし、第2の実施形態によれば、第1の相13がリチウムを吸蔵すると、体積膨張し、第3の相23もリチウムを吸蔵すると膨張する。しかし、第1の相13と第3の相23では、リチウムを吸蔵する電気化学的電位が異なるため、一方の相が優先的にリチウムを吸蔵し、一方の相が体積膨張する際に、他方の相の体積膨張が相対的に少なくなり、他方の相により一方の相が体積膨張しにくくなる。そのため、第3の相23がない場合の粒子に比べて、第1の相13と第3の相23を有するナノサイズ粒子21は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくい。そのため、第2の実施形態によれば、ナノサイズ粒子21は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、サイクル特性時の放電容量の低下が抑制される。
また、本発明に係る負極活物質としては、上記の負極活物質A〜Bにおけるナノ粒子11、17、21の表面の少なくとも一部を、例えば、銅、スズ、亜鉛、銀、ニッケルまたは炭素により被覆したものをも使用することができる。被覆の厚みは、0.01〜0.5μmの範囲とすることが例示される。例えば、このような構成は、図5に示したナノ粒子17において、元素M’としてCuを選択し、元素M’の単体である他の第2の相19が、第1の相13の表面に接合しているのではなく、第1の相13および第2の相15を覆う形で(図示せず)存在していると理解することもできる。
このように負極活物質の表面が導電性の良い材料で被覆されることで、導電助剤等の添加量を減らしても、負極全体の導電性が向上され、サイクル特性も改善される。また、負極活物質の表面が被覆されているため、シリコン等の酸化を抑制することができる。表面被覆をすることで、充放電による体積変化にも耐性が向上する。
(ナノサイズ粒子の製造方法)
ここで、ナノサイズ粒子の製造方法を説明する。
ナノサイズ粒子は、気相合成法により合成することができる。特に、原料粉末を、プラズマ化し、1万K相当にまで加熱し、その後冷却することで、ナノサイズ粒子を製造可能である。
ナノサイズ粒子の製造に用いられる製造装置の一具体例を、図8に基づいて説明する。図8に示すナノサイズ粒子製造装置37において、反応チャンバー39の上部外壁には、プラズマ発生用の高周波コイル45が巻き付けてある。高周波コイル45には、高周波電源47より、数MHzの交流電圧が印加される。好ましい周波数は4MHzである。なお、高周波コイル45を巻きつける上部外壁は石英ガラスなどで構成された円筒形の2重管となっており、その隙間に冷却水を流してプラズマによる石英ガラスの溶融を防止している。
また、反応チャンバー39の上部には、原料粉末供給口41と共に、シースガス供給口43が設けてある。原料粉末フィーダーから供給される原料粉末42は、キャリアガス(ヘリウム、アルゴンなどの希ガス)とともに原料粉末供給口41を通してプラズマ49中に供給される。また、シースガス44はシースガス供給口43を通して反応チャンバー39に供給される。なお、原料粉末供給口41は、必ずしも図8のようにプラズマ49の上部に設置する必要はなく、プラズマ49の横方向にノズルを設置することもできる。また、原料粉末供給口41を冷却水により水冷しても良い。なお、プラズマ49に供給するナノサイズ粒子の原料の性状は、粉末だけに限られず、原料粉末のスラリーやガス状の原料を供給しても良い。
反応チャンバー39は、プラズマ反応部の圧力の保持や、製造された微粉末の分散を抑制する役割を果たす。反応チャンバー39も、プラズマ49による損傷を防ぐため、水冷されている。また、反応チャンバー39の側部には、吸引管が接続してあり、その吸引管の途中には合成された微粉末を捕集するためのフィルター51が設置してある。反応チャンバー39とフィルター51を連結する吸引管も、冷却水により水冷されている。反応チャンバー39内の圧力は、フィルター51の下流側に設置されている真空ポンプの吸引能力によって調整する。
ナノサイズ粒子の製造方法は、プラズマ49から気体、液体を経由して固体となり、ナノサイズ粒子を析出させるボトムアップの手法なので、液滴の段階で球形状となり、第1の相13と第2の相15は球形状となる。一方、破砕法やメカノケミカル法のような、大きな粒子を小さくするトップダウンの手法では、粒子の形状はごつごつしたものとなり、ナノサイズ粒子の球形状の形状とは大きく異なる。
なお、原料粉末42に元素Xと元素Mのそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第1の実施形態に係るナノサイズ粒子11が得られる。一方、原料粉末42に元素X、元素M、元素M’のそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第1の実施形態に係るナノサイズ粒子17が得られる。また、原料粉末42に元素Xと元素M(および元素M’)と元素X’のそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第2の実施形態に係るナノサイズ粒子21が得られる。
また、粒子の表面被覆の手法についても特に制限されず、公知の各種の方法を採用することができる。金属の被覆には、無電解メッキまたは置換メッキが用いられ、シリコン等の粒子の表面酸化が小さく、導電性を有する場合には電気メッキも可能である。炭素の被覆には、カーボンブラックなどの無機系やポリビニルアルコールなどの有機系の炭素源を混合した後に不活性または還元性雰囲気中熱処理する方法などを用いることができる。また、炭化水素系ガスを600℃以上に加熱して熱分解させることで、粒子の表面にカーボンのコーティングを施す熱分解CVD法なども利用することができる。
(負極の製造方法)
次に、非水電解質二次電池用負極の製造方法を説明する。本発明の負極は、少なくとも、負極活物質8、導電助剤7および結着材9を含む塗布液が、集電体61に塗布され、乾燥されて形成されることができる。塗布液は、例えば、図9に示すように、ミキサー53に、スラリー原料57を投入し、混練してスラリー(塗布液)55を形成することで調製することができる。スラリー原料57は、負極活物質8、導電助剤7、結着材9、増粘剤、溶媒などである。
スラリー55中の固形分において、例えば、ナノサイズ粒子25〜90重量%、導電助剤5〜70重量%、結着材1〜30重量%、増粘剤0〜25重量%の配合を目安とすることができる。
ミキサー53は、スラリー55の調製に用いられる一般的な混練機を用いることができ、ニーダー、撹拌機、分散機、混合機などと呼ばれる、スラリーを調製可能な装置を用いてもよい。また、増粘剤としてはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることが適している。また、溶媒としては水を用いることができる。また、有機系スラリーを調製するときは、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることができる。
溶媒としては、水や、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を使用することができる。
次に、図10に示すように、例えば、コーター59を用いて、集電体61の片面に、スラリー55を塗布する。コーター59は、スラリー55を集電体61に塗布可能な一般的な塗工装置を用いることができ、例えばロールコーターやドクターブレードによるコーター、コンマコーター、ダイコーターである。
集電体61は、銅、ニッケル、ステンレスからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む箔である。それぞれの金属は、単独で用いてもよいし、それぞれの合金として用いてもよい。厚さは4μm〜35μmが好ましく、さらに8μm〜18μmがより好ましい。
その後、50〜150℃程度で乾燥し、厚みを調整するため、ロールプレスを通して、非水電解質二次電池用負極を得ることができる。結着材9として、ポリイミドやポリアミドイミドを使用したときは、さらに250℃〜450℃の範囲で加熱処理を行うことが好ましい。
(正極)
正極3は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な各種の正極を用いることができる。このリチウムイオン電池用正極は、正極活物質、導電助剤、結着材および溶媒等を混合して正極活物質の組成物を準備し、これをアルミ箔などの金属集電体上に直接塗布・乾燥することで製造することができる。
正極活物質としては、一般的に使われるものであればいずれも使用可能であり、例えばLiCoO、LiMn、LiMnO、LiNiO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiFePOなどの化合物が例示される。
導電助剤としては、例えばカーボンブラックを使用し、結着材としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、水溶性アクリル系バインダーを使用し、溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水などを使用することができる。このとき、正極活物質、導電助剤、結着材および溶媒の含量は、非水電解質二次電池等で通常的に使用するレベルである。
(セパレータ)
セパレータ24としては、正極3と負極5の電子伝導を絶縁する機能を有し、非水電解質二次電池1で通常的に使われるものであればいずれも使用可能である。例えば、微多孔性のポリオレフィンフィルム、多孔質のアラミド樹脂フィルム、多孔質のセラミックス、不織布などを使用できる。
(電解液・電解質)
電解液および電解質としては、リチウムイオン二次電池、Liポリマー電池などに使用される、リチウムイオン伝導性を有する非水系の有機電解液を使用することができる。
有機電解液の溶媒の具体例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ―ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の非プロトン性溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの2種以上を混合した混合溶媒が挙げられる。
有機電解液の電解質には、LiPF、LiClO、LiBF、LiAlO、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiCSO、LiN(CFSO等のリチウム塩からなる電解質の1種または2種以上を混合させたものを用いることができる。
また、電解質に、分子内に不飽和結合を有し還元重合が可能な有機物を含有してもよい。このような有機物を電解質に添加することで、負極活物質の表面に有効な固体電解質界面被膜を形成することができ、電解液質材料の分解を抑制することが可能となる。分子内に不飽和結合を有し、充電時に還元重合できる物質としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート等のカーボネート及びその誘導体の他、不飽和のカルボン酸エステル類、リン酸エステル類、ホウ酸エステル類、及びアルコール類等を用いることができる。中でも、ビニレンカーボネート(VC)を用いるのが好ましい例として示される。
(非水電解質二次電池の組立て)
本発明の非水電解質二次電池1は、前述したような正極3と負極5との間にセパレータ24を配置して、電池構造体を形成している。このような電池構造体を巻くか、または折って円筒形や角形の電池缶25に入れた後、電解液を注入して、リチウムイオン二次電池が完成する。
具体的には、図1に示したように、本発明の非水電解質二次電池1は、正極3、負極5を、セパレータ24を介して、セパレータ−負極−セパレータ−正極の順に積層配置し、正極3が内側になるように巻回して極板群を構成し、これを電池缶25内に挿入する。そして正極3は正極リード27を介して正極端子29に、負極5は負極リード31を介して電池缶25にそれぞれ接続し、非水電解質二次電池1内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部に取り出し得るようにする。次いで、電池缶25内に非水系電解液26を極板群を覆うように充填した後、電池缶25の上端(開口部)に、円形蓋板とその上部の正極端子29からなり、その内部に安全弁機構を内蔵した封口体33を、環状の絶縁ガスケットを介して取り付けて、本発明の非水電解質二次電池1を製造することができる。
(本発明に係る非水電解質二次電池の効果)
本発明に係る非水電解質二次電池は、炭素よりも単位体積あたりの容量の高いSiを含むナノサイズ粒子を負極活物質として用いているため、従来のリチウムイオン二次電池よりも容量が大きく、かつ、ナノサイズ粒子が微粉化しにくいためにサイクル特性が良い。
また、このようなナノサイズの負極活物質がリチウムを吸蔵することによって体積膨張しても、より粒子径の大きい導電助剤を電極内に含むことによって、電極全体の膨張収縮が抑制され、電極内の導電パスが維持されることによって、サイクル特性が向上する。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(ナノサイズ粒子)
図8のナノサイズ粒子製造装置を用い、シリコン粉末と鉄粉末とをモル比でSi:Fe=23:2になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、反応チャンバー内に発生させたArガスのプラズマ中にキャリアガスで連続的に供給することにより、シリコンと鉄のナノサイズ粒子を製造した。
詳細には、下記のとおりの方法で製造した。反応チャンバー内を真空ポンプで排気した後、Arガスを導入して大気圧とした。この排気とArガス導入を3回繰り返して、反応容器内の残留空気を排気した。その後、反応容器内にプラズマガスとしてArガスを13L/minの流量で導入し、高周波コイルに交流電圧をかけて、高周波電磁場(周波数4MHz)により高周波プラズマを発生させた。この時のプレート電力は、20kWとした。原料粉末を供給するキャリアガスは、1.0L/minの流速のArガスを用いた。得られた微粉末をフィルターで回収した。
(ナノサイズ粒子の構成の評価)
ナノサイズ粒子の結晶性に関して、リガク社製RINT−UltimaIIIを用いてXRD解析を行った。図11に実施例1のナノサイズ粒子のXRD回折パターンを示す。実施例1で得られたナノサイズ粒子は、SiとFeSiの2成分で構成されることが分かった。また、Feは全てシリサイドFeSiとして存在し、元素単体(価数0)としてのFeはほとんど存在しないことが分かった。
ナノサイズ粒子の粒子形状の観察を、走査透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM 3100FEF)を用いて行った。図12(a)は、実施例1に係るナノサイズ粒子のBF−STEM(Bright−Field Scanning Transmission Electron Microscopy、明視野走査透過電子顕微鏡)像である。粒径約80〜100nm程度の略球形状の粒子に、半球状の粒子が界面を介して接合したナノサイズ粒子が観察され、同一粒子内で、色の比較的濃い箇所が、鉄を含む鉄シリサイドからなり、色の比較的薄い箇所がシリコンからなる。また、ナノサイズ粒子表面にアモルファスな厚さ2〜4nmのシリコンの酸化膜が形成されていることがわかる。図12(b)は、HAADF−STEM(High−Angle−Annular−Dark−Field−Scanning−Transmission−Electron−Microscopy:高角度散乱暗視野−走査透過型電子顕微鏡法)によるSTEM写真である。HAADF−STEMでは同一粒子内で色の比較的薄い箇所が鉄シリサイドからなり、色の比較的濃い箇所がシリコンからなる。
ナノサイズ粒子の粒子形状の観察と組成分析を、走査透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM 3100FEF)を用いて、HAADF−STEMによる粒子形状の観察と、EDS(Energy Dispersive Spectroscopy:エネルギー分散型X線分析)分析により行った。図13(a)は、ナノサイズ粒子のHAADF−STEM像であり、図13(b)は、同一の観察箇所におけるシリコン原子のEDSマップであり、図13(c)は、同一の観察箇所における鉄原子のEDSマップである。
図13(a)によれば、粒径約50〜150nm程度のナノサイズ粒子が観察され、それぞれのナノサイズ粒子は、それぞれ略球形状である。図13(b)より、ナノサイズ粒子の全体にシリコン原子が存在し、図13(c)より、図13(a)で明るく観察される箇所に鉄原子が多く検出されることが分かる。以上のことより、ナノサイズ粒子は、シリコンで形成される第1の相に、シリコンと鉄の化合物で形成される第2の相が接合している構造を有することが分かる。
図14(a)〜(c)においても、同様に実施例1に係る別のナノサイズ粒子の粒子形状の観察と組成分析を行った。図14においても、図13と同様に、シリコンで形成される第1の相に、シリコンと鉄の化合物で形成される第2の相が接合している構造を有することが分かる。
得られたナノサイズ粒子の形成過程を考察する。図15は、SiとFeの2元系状態図である。シリコン粉末と鉄粉末とをモル比でSi:Fe=23:2になるように混合したので、原料粉末でのmole Si/(Fe+Si)=0.92となる。図15中の太線は、mole Si/(Fe+Si)=0.92を示す線である。高周波コイルにより生成したプラズマは、1万K相当となるので、状態図の温度範囲をはるかに超え、鉄原子とシリコン原子が均一に混合したプラズマが得られる。プラズマが冷却すると、プラズマから気体へ、気体から液体へと変化する過程で球状の液滴が成長し、1470K程度にまで冷却すると、FeSiとSiの両方が析出する。その後、1220K程度にまで冷却すると、FeSiが、FeSiとSiに相変化する。よって、シリコンと鉄のプラズマが冷却すると、FeSiとSiとが界面を介して接合するナノサイズ粒子が形成される。SiとFeは親和性が低いため、SiとFeは互いに接触する面積を減らすように、二つの粒子が接合した形状をとる。
得られたナノサイズ粒子の平均粒径は、100nmであった。
(非水電解質二次電池のサイクル特性の評価)
(i)負極スラリーの調製
負極活物質として上記で得られたSiとFeから成る平均粒径100nmのナノサイズ粒子を用い、炭素系の導電助剤としてKS4(TIMCAL製グラファイト、平均粒径=2.4μm)をミキサーに投入した後、さらに結着材としてのスチレンブタジエンラバー(SBR)40wt%のエマルジョン(日本ゼオン(株)製、BM−400B)、スラリーの粘度を調整する増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学工業(株)製、#2200)1wt%溶液を混合してスラリーを作製した。スラリーの配合は、負極活物質64重量%、導電助剤16重量%、結着材(固形分換算)5重量%、増粘材(固形分換算)15重量%とした。なお、SiはLiを吸蔵することによって最大で約400%の体積膨張をすることが知られているので、導電助剤のKS4の平均粒径は、ナノサイズ粒子がLiを吸蔵して膨張したときの平均粒径よりも大きい。
(ii)負極の作製
調製したスラリーを自動塗工装置のドクターブレードを用いて、厚さ10μmの集電体用電解銅箔(古河電気工業(株)製、NC−WS)上に15μmの厚みで塗布し、70℃で10分間乾燥させて負極Aを製造した。
(iii)評価
試験極に負極Aと、対極と参照極にリチウム、セパレータにはポリオレフィン製の微孔膜、電解液に1.3mol/LのLiPFを含むエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶液にビニレンカーボネート(VC)を1重量%添加した電解液を用いて評価用セルを構成し、充放電特性を調べた。
なお、充放電特性の評価は、初回の放電容量および50サイクルの充電・放電後の放電容量を測定し、初回放電容量に対する100サイクルの充電・放電後の放電容量の割合を百分率で求め、容量維持率とした。放電容量は、活物質の重量を基準として算出した。まず、25℃環境下において、0.1Cの電流で、0.02Vの電圧まで定電流充電を行い、電流値が0.05Cに低下するまで定電圧充電をした。次いで、0.1Cの電流で、1.5Vの電圧まで定電流放電を行い、0.1C初期放電容量を測定した。なお、1Cとは、1時間で満充電できる電流値である。次いで、上記充放電を100サイクル繰り返した。
[実施例2]
図8のナノサイズ粒子製造装置を用い、シリコン粉末と鉄粉末とをモル比でSi:Fe=38:1になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、実施例1と同様の方法で、平均粒径が100nmのナノサイズ粒子を作製した。そして、このナノサイズ粒子を負極活物質として用い、実施例1と同様の方法で、負極Bを製造し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
図16に実施例2に係るナノサイズ粒子のXRD回折パターンを示す。実施例2はSiとFeSiの2成分で構成されることが分かった。また、Feは全てシリサイドFeSiとして存在し、元素単体のFeはほとんど存在しないことが分かった。また、図9と比較すると、実施例1に係るナノサイズ粒子に比べて、Feの比率が少なく、FeSi由来のピークは痕跡程度しか確認できない。
BF−STEMによる観察結果を図17に示す。図17(a)によれば、直径50〜150nm程度の略球状の粒子が多数観察される。重なりのない粒子内で、色の濃い部分が、鉄シリサイドであり、色の薄い部分がシリコンであると考えられる。また、シリコン部分の原子が規則的に配列していることが観察され、第1の相に該当するシリコンが結晶質であることが分かる。また、図17(b)より、ナノサイズ粒子の表面にはシリコン部分には厚さ約1nmのアモルファス層が、鉄シリサイドの部分には厚さ約2nmのアモルファス層が覆っていることが分かる。また、図12と図17のBF−STEM写真の比較により、SiとFeSiの相対的な大きさが確認でき、実施例2に係るナノサイズ粒子のFeSiは、実施例1に係るナノサイズ粒子のFeSiに比べて小さいことがわかる。
HAADF−STEMによる粒子形状の観察と、EDS分析の結果を、図18、図19に示す。図18(a)によれば、粒径約150〜250nm程度のナノサイズ粒子が観察され、それぞれのナノサイズ粒子は、それぞれ略球形状である。図18(b)より、ナノサイズ粒子の全体にシリコン原子が存在し、図18(c)より、図18(a)で明るく観察される箇所に鉄原子が多く検出されることがわかる。図18(d)より、酸化によると思われる酸素原子がナノサイズ粒子全体にわずかに分布していることが分かる。
同様に、図19(a)によれば、粒径約250nmの略球形状のナノサイズ粒子が観察され、図19(b)より、ナノサイズ粒子の全体にシリコン原子が存在し、図19(c)より、図19(a)で明るく観察される箇所に鉄原子が多く検出されることがわかる。図19(d)より、酸化によると思われる酸素原子がナノサイズ粒子全体にわずかに分布していることが分かる。以上のことより、ナノサイズ粒子は、シリコンで形成される第1の相に、シリコンと鉄の化合物で形成される第2の相が接合している構造を有することが分かる。
[実施例3]
図8のナノサイズ粒子製造装置を用い、シリコン粉末とニッケル粉末とをモル比でSi:Ni=12:1になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、実施例1と同様の方法で、平均粒径が100nmのナノサイズ粒子を作製した。そして、このナノサイズ粒子を負極活物質として用い、実施例1と同様の方法で、負極Cを製造し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
図20に実施例3に係るナノサイズ粒子のXRD回折パターンを示す。実施例3はSiとNiSiの2成分で構成されることが分かった。また、Niは全てシリサイドNiSiとして存在し、元素単体(価数0)としてのNiはほとんど存在しないことが分かった。SiとNiSiは回折角2θが一致し、面間隔がほぼ一致していることが分かる。
図21(a)は、BF−STEM像であり、図21(b)は、同一視野のHAADF−STEM像である。図21によれば、粒径約75〜150nm程度のナノサイズ粒子が観察され、それぞれのナノサイズ粒子は、それぞれ略球形状の大きな粒子に、略半球状の他の粒子が界面を介して接合したような形状を有する。
図22は、実施例3に係るナノサイズ粒子の高分解TEM像である。図22(a)〜(c)には、格子像が見られ、シリコン相とシリサイド相の格子縞がほぼ一致しており、シリサイドが多面体形状になっていることが分かる。また、シリコン相とシリサイド相の境界は、直線や曲線、階段状となっている。また、ナノサイズ粒子の表面を厚さ約2nmのシリコンのアモルファス層が覆っていることが分かる。
図23に、実施例3に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM像と、EDS分析の結果を示す。図23(a)によれば、粒径約75〜150nm程度のナノサイズ粒子が観察される。図23(b)より、ナノサイズ粒子の全体にシリコン原子が存在し、図23(c)より、図23(a)で明るく観察される箇所にニッケル原子が多く検出されることがわかる。以上のことより、ナノサイズ粒子は、シリコンで形成される第1の相に、シリコンとニッケルの化合物で形成される第2の相が接合している構造を有することが分かる。また、図23(d)より、酸化によると思われる酸素原子がナノサイズ粒子全体にわずかに分布していることが分かる。
[実施例4]
図8のナノサイズ粒子製造装置を用い、シリコン粉末と鉄粉末とをモル比でSi:Fe:Sn=21:1:1になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、実施例1と同様の方法で、平均粒径が100nmのナノサイズ粒子を作製した。そして、このナノサイズ粒子を負極活物質として用い、実施例1と同様の方法で、負極Dを製造し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
図24は、実施例4に係るナノサイズ粒子のX線回折(XRD)パターンである。実施例4に係るナノサイズ粒子はSiとSnとFeSiとを有することが分かる。
実施例4に係るナノサイズ粒子のBF−STEM写真を図25(a)に、またそのHAADF−STEM写真を図25(b)に示す。粒径約50〜150nm程度の外表面が略球面状のナノサイズ粒子が観察された。図25(a)において、色の濃い部分がSnであり、色の薄い箇所がSiであると考えられる。
実施例4に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真を図26(a)〜(b)に示す。粒径約50〜150nm程度の外表面が略球面状のナノサイズ粒子が観察された。明るい領域は主にSnで構成され、暗い領域は主にSiで構成されると考えられる。
図27(a)によれば、粒径約100〜150nmのナノサイズ粒子が観察され、図27(b)より、図27(a)で暗く観察される箇所にシリコン原子が多く検出されることがわかる。図27(c)より、図27(a)でやや明るく観察される箇所に鉄原子が多く検出されることがわかる。図27(d)より、図27(a)で明るく観察される箇所にスズ原子が多く検出されることがわかる。図27(e)より、酸化によると思われる酸素原子がナノサイズ粒子全体に分布していることがわかる。
図28は、EDS分析結果をさらに示す図である。図28(a)は、FeとSnのEDSマップと、これらを重ね合わせた図であり、図28(b)は、同一視野でのHAADF−STEM像である。図28(a)によれば、SnとFeの検出地点の重なりは少ない。XRD解析においても、Sn−Fe合金由来のピークは確認されていないため、本ナノサイズ粒子にはSn−Fe合金は形成されていない。また、SiとSnは合金を形成しないため、Snは単体で存在している。
図29は、実施例4に係るナノサイズ粒子中での第1〜第3の箇所でのEDS分析結果を示す図である。図29(b)の第1の箇所では、Siが主に観察され、わずかにSnが観察された。図29(c)の第2の箇所では、SiとSnが観察された。図29(d)の第3の箇所では、SiとFeが主に観察され、わずかにSnが観察された。なお、観察時にサンプルを保持するTEMメッシュ由来のCuのバックグラウンドが広く観察される。
[比較例1]
導電助剤として平均粒径が35nmのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を使用したほかは、実施例1と同様の活物質、結着材、増粘剤を使用して、実施例1と同様の手法により負極Eを作製し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
[比較例2]
導電助剤として平均粒径が35nmのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を使用したほかは、実施例2と同様の活物質、結着材、増粘剤を使用して、実施例2と同様の手法により負極Fを作製し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
[比較例3]
導電助剤として平均粒径が35nmのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を使用したほかは、実施例3と同様の活物質、結着材、増粘剤を使用して、実施例3と同様の手法により負極Gを作製し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
[比較例4]
導電助剤として平均粒径が35nmのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)を使用したほかは、実施例4と同様の活物質、結着材、増粘剤を使用して、実施例4と同様の手法により負極Hを作製し、評価用セルを構築して、充放電特性を調べた。
実施例1〜4では、導電助剤に平均粒径が2.4μmのグラファイトを使用するため、平均粒径100nmのナノサイズ粒子がリチウムを吸蔵して膨張したとしても、リチウム吸蔵後のナノサイズ粒子の平均粒径よりも、導電助剤の平均粒径が大きくなる。
表1に示すように、本発明の実施例1〜4と、比較例1〜4を比較すると、導電助剤に平均粒径が2.4μmのグラファイトを使用することにより、実施例1〜4に係る非水電解質二次電池は100サイクル後容量維持率が高くなり、サイクル特性が良好であることが分かる。
一方、比較例1〜4において使用する導電助剤は、平均粒径が35nmのアセチレンブラックである。この導電助剤は、リチウム吸蔵前の平均粒径100nmのナノサイズ粒子よりも平均粒径が小さいため、当然、リチウム吸蔵後のナノサイズ粒子よりも小さい。そのため、比較例1〜4に係る非水電解質二次電池は、実施例1〜4よりも100サイクル後容量維持率が劣っていた。
本実施例では、負極活物質として、Siとの化合物で第二の相を形成する元素MとしてFeとNi、第三の相を形成する元素AとしてSnを使用したが、本発明に使用できる負極活物質はこれに限るものではない。Siからなる第1の相と、元素MとSiとの化合物MSi(1<X≦3)の第2の相を少なくとも含むナノサイズ粒子であればよく、FeやNiの他に、例えばTiやCoを使用しても同様の結果が得られることが推測される。さらに、Siのような、Liを吸蔵して体積変化を起こす材料の単体を活物質としても同様の結果が得られることが推測される。
本実施例では、活物質がリチウムを吸蔵して体積膨張したときの粒子サイズよりも、大きい粒子サイズを有する導電助剤に、炭素材料としてグラファイトであるKS4を使用したが、本発明に使用できる導電助剤としては、これに限るものではない。Liを吸蔵することにより体積膨張した活物質の粒径よりも、大きい粒径の導電助剤で、負極活物質層のクラックが抑制できればよく、例えば、その他の炭素材料や、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀などの導電性材料を使用しても、本実施例と同じ傾向の結果が得られることが推測される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………非水電解質二次電池
3………正極
5………負極
6………負極活物質層
7、7’………導電助剤
8………負極活物質
9………結着材
11………ナノサイズ粒子
13………第1の相
15、15’………第2の相
17………ナノサイズ粒子
19………他の第2の相
21………ナノサイズ粒子
23、23’………第3の相
24………セパレータ
25………電池缶
26………非水系電解液
27………正極リード
29………正極端子
31………負極リード
33………封口体
37………ナノサイズ粒子製造装置
39………反応チャンバー
41………原料粉末供給口
42………原料粉末
43………シースガス供給口
44………シースガス
45………高周波コイル
47………高周波電源
49………プラズマ
51………フィルター
53………ミキサー
55………スラリー(塗布液)
57………スラリー原料
59………コーター
61………集電体

Claims (12)

  1. 集電体と、
    前記集電体上に形成された、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質、導電助剤、結着材を少なくとも含む負極活物質層を具備し、
    前記負極活物質は、平均粒径が2nm〜500nmであり、
    前記導電助剤は、リチウム吸蔵後の前記負極活物質の平均粒径よりも大きな平均粒径を有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  2. 前記負極活物質が、ケイ素、スズ、アルミニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、インジウム、亜鉛から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
  3. 前記負極活物質が、元素Xと元素Mとを含むナノサイズ粒子からなり、
    前記元素Xは、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、In、Znからなる群より選ばれた1種の元素であって、前記元素Mが、第4〜11族の遷移金属元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であって、前記ナノサイズ粒子は、前記元素Xの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Mの単体または化合物である第2の相と、を少なくとも有することを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
  4. 前記ナノサイズ粒子は、前記第1の相と前記第2の相との両方が外表面に露出するととともに、界面を介して接合しており、前記第1の相は、外表面が略球面状であることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極。
  5. 前記ナノサイズ粒子は、平均粒径が2〜300nmであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の非水電解質二次電池用負極。
  6. 前記ナノサイズ粒子は、Cu、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(CeおよびPmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素M’をさらに含み、前記元素M’が、前記第2の相を構成する前記元素Mとは種類の異なる元素であり、前記元素M’の単体または化合物である他の第2の相をさらに有していることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  7. 前記ナノサイズ粒子は、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、In、Znからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である元素X’をさらに含み、前記元素X’の単体または固溶体である第3の相をさらに有していることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  8. 前記第3の相が、前記第1の相と前記第2の相の少なくとも一方と、界面を介して接合していることを特徴とする請求項7に記載の非水電解質二次電池用負極。
  9. 前記導電助剤が、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  10. 前記導電助剤の平均粒径が、2μm〜30μmであることを特徴とする請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極。
  11. 導電助剤をさらに有し、前記導電助剤が炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末であり、その平均粒径が10〜300nmであることを特徴とする請求項1〜10に記載の非水電解質二次電池用負極。
  12. リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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