JP2014157827A - 非水電解質二次電池用負極及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極及びそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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英郎 西久保
Takeshi Nishimura
健 西村
Toshio Tani
俊夫 谷
Koji Hataya
耕二 幡谷
Toshiya Higami
俊哉 樋上
Masaaki Kubota
昌明 久保田
Hidetoshi Abe
英俊 阿部
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Abstract

【課題】高容量で、良好なサイクル特性を有する非水電解質二次電池用の負極を得る。
【解決手段】 集電体上に活物質層を有し、
前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
前記活物質粒子が、特定の元素群から選択される元素Aと元素Dとを含むナノサイズ粒子であり、
前記ナノサイズ粒子は、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第2の相を少なくとも有し、
前記第1の相と前記第2の相が、界面を介して接合している
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用の負極などに関するものであり、特に、高容量かつ長寿命の非水電解質二次電池用の負極に関する。
従来、負極活物質としてグラファイトを用いた非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)が実用化されている。これらの非水電解質二次電池においては、図26に示すような、活物質粒子207と、結着剤209と、カーボンブラック等の導電助剤211とを混練したスラリーを集電体203の上に塗布・乾燥して活物質層205を形成した非水電解質二次電池用負極201が用いられていた。
一方、高容量化を目指し、リチウム化合物として理論容量の大きな金属や合金、特にシリコンおよびその合金を負極活物質として用いる非水電解質二次電池用の負極が開発されている。しかし、リチウムイオンを吸蔵したシリコンは、吸蔵前のシリコンに対して約4倍まで体積が膨張するため、シリコン系合金を負極活物質として用いた負極は、充放電サイクル時に膨張と収縮を繰り返す。例えば、図27は、シリコン系活物質粒子207が充電後、体積で約4倍に、線膨張率で約60%膨張した充電後の活物質粒子207aを示す。
また、グラファイト系負極活物質を含むスラリーでよく用いられているスチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンなどの結着剤では、シリコン系負極活物質の膨張・収縮に追随できず、シリコン系負極活物質の微粉化、負極活物質の集電体からの剥離、活物質層の亀裂の発生、負極活物質間の導電性の低下などが発生し、従来のグラファイト電極と比較して、寿命が極めて短いという問題があった。
そこで、従来の結着剤に代えて、強度が強く、耐熱性及び耐久性に優れるポリイミド系結着剤を用いることが検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2011−070892号公報
しかしながら、ポリイミド系結着剤を用いると、負極活物質と集電体である銅箔との密着性が高いため、負極活物質の膨張・収縮によって銅箔にも引張力・圧縮力が付加され、銅箔にシワが発生するなどの不可逆な変形が生じることがあった。このような不可逆な変形が生じると、充放電に悪影響を及ぼしてサイクル特性が悪化するだけでなく、電池の安全性や信頼性、製品のバラツキにも悪影響を及ぼしてしまうという問題点があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、高容量で、良好なサイクル特性を有する非水電解質二次電池用の負極を得ることである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、負極活物質を造粒した後にスラリーに添加して活物質層を形成することで、負極活物質の膨張収縮により銅箔に付与される応力が緩和され、銅箔の変形を防ぐことができることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、以下の非水電解質二次電池用負極などを提供するものである。
(1) 集電体上に活物質層を有し、
前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
前記活物質粒子が、元素Aと元素Dとを含むナノサイズ粒子であり、
前記元素AがSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
前記元素DがFe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
前記ナノサイズ粒子は、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第2の相を少なくとも有し、
前記第1の相と前記第2の相が、界面を介して接合している
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(2)集電体上に活物質層を有し、
前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
前記活物質粒子が、元素Aと元素Mとを含むナノサイズ粒子であり、
前記元素AがSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
前記元素MがCu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
前記ナノサイズ粒子は、前記元素Aの単体または固溶体である第6の相と、前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第7の相を有し、
前記第6の相と前記第7の相とは、界面を介して接合している
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(3) 集電体上に活物質層を有し、
前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
前記活物質粒子が、元素A‐1と元素A‐2と元素Dとを含むナノサイズ粒子であり、
元素A‐1と元素A‐2は、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた2種の元素であり、
元素Dは、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
前記ナノサイズ粒子は、前記元素A‐1の単体または固溶体である第13の相と、前記元素A‐2の単体または固溶体である第14の相と、前記元素A‐1と前記元素Dとの化合物である第15の相とを有し、
前記第13の相と前記第14の相とが、界面を介して接合しており、
前記第13の相と前記第15の相とが、界面を介して接合している
ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(4) さらに、前記塗布用結着剤が、ポリフッ化ビニリデンより強度が強い塗布用結着剤であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(5) さらに、前記塗布用結着剤が、ポリフッ化ビニリデンより耐熱性及び耐久性に優れる塗布用結着剤であることを特徴とする、(4)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(6) さらに、前記塗布用結着剤が、スチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンより強度が強い塗布用結着剤であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極。
(7) さらに、前記塗布用結着剤が、スチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンより耐熱性及び耐久性に優れる塗布用結着剤であることを特徴とする、(6)に記載の非水電解質二次電池用負極。
(8) さらに、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、
(1)〜(7)のいずれかに記載の負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、
リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質二次電池。
本発明により、高容量で、良好なサイクル特性を有する非水電解質二次電池用の負極を得ることができる。
(a)、(b)本発明に係る非水電解質二次電池用負極1、1aの概略断面図。 (a)、(b)本発明に係る造粒体7、7aの概略断面図。 (a)、(b)、(c)第1の実施形態に係るナノサイズ粒子を示す概略断面図。 (a)、(b)第1の実施形態に係るナノサイズ粒子の他の例を示す概略断面図。 (a)、(b)第1の実施形態に係るナノサイズ粒子の他の例を示す概略断面図。 本発明に係るナノサイズ粒子製造装置を示す図。 (a)、(b)第2の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)、(c)第3の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)第3の実施形態の他の例に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)第3の実施形態の他の例に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 第3の実施形態の他の例に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)、(c)第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の概略断面図。 (a)、(b)第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の他の例の概略断面図。 (a)、(b)第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の他の例の概略断面図。 (a)、(b)第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の他の例の概略断面図。 本発明に係る非水電解質二次電池の例を示す断面図。 (a)、(b)本発明に係るナノサイズ粒子の充電前と充電後の模式図。 実施例1−1に係るナノサイズ粒子のXRD解析結果。 実施例1−1に係るナノサイズ粒子のTEM写真。 (a)実施例1−1に係るナノサイズ粒子のHAADF−STEM写真、(b)〜(c)同一視野でのEDSマップ。 実施例1−1に係る造粒体のSEM写真。 (a)実施例1−1に係る負極の断面SEM写真、(b)実施例1−1に係る負極の500サイクル充放電後の集電体の写真。 (a)比較例1に係る負極の断面SEM写真、(b)比較例1に係る負極の1サイクル充放電後の集電体の写真。 実施例1−1、実施例1−2と比較例1のサイクル特性の比較。 参考例2−1、参考例2−2、参考例2−3と比較例2のサイクル特性の比較。 従来の非水電解質二次電池用負極を示す概略断面図。 (a)、(b)従来の活物質粒子の充電前と充電後の模式図。
(1.非水電解質二次電池用負極)
(1−1.非水電解質二次電池用負極の構成)
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係る非水電解質二次電池用負極1を示す概略断面図である。
非水電解質二次電池用負極1は、集電体3上に活物質層5を有する。活物質層5は、造粒体7と、塗布用結着剤8とを含む。
塗布用結着剤8としては、従来用いられていた結着剤より強度が強い、もしくは耐熱性及び耐久性に優れているものが挙げられる。
従来用いられていた結着剤の例として、具体的には、原出願の背景技術欄に記載されている、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。
造粒体7は、図2(a)に示すとおり、Si,Sn,Al,Pb,Sb、Bi,Ge,In,Znからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素Aを含む活物質粒子9と、造粒用結着剤10とを少なくとも含む。
活物質粒子9としては、元素Aを含む粒子であれば特に限定されないが、好ましくは、後述するナノサイズ粒子11,17,18,21,22,23,27,61,67,71,75,76,79,81,83,87,91,101,109,110,113,117,119,123,125,129を用いることができる。
造粒用結着剤10としては、造粒できる結着剤であれば得に限定はされないが、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、スチレンブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸のいずれか一つ以上であることが好ましい。塗布用結着剤8とは異なり、ポリイミドなどの強度の高い材料である必要はない。
また、図1(b)に示す非水電解質二次電池用負極1aのように、造粒体7と塗布用結着剤8のほかに、導電助剤6を活物質層5a中に加えてもよい。
導電助剤6は、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀などからなる群より選ばれた少なくとも1種の導電性物質からなる粉末である。炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀の単体の粉末でもよいし、それぞれの合金の粉末でもよい。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーなどを使用できる。
導電助剤6を添加することで、非水電解質二次電池用負極1aの活物質層5aの導電性が良くなり、充放電が行いやすくなる。
また、図2(b)に示す造粒体7aのように、活物質粒子9と造粒用結着剤10のほかに、導電助剤6を造粒体7a中に加えてもよい。
(1−2.造粒体の製造方法)
まず、ミキサーに活物質粒子9と造粒用結着剤10などを投入し、混練してスラリーを形成する。スラリーとしては、活物質粒子25〜90重量%、導電助剤0〜70重量%、結着剤1〜30重量%程度である。
これらのスラリーをスプレードライ法、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、湿式破砕造粒法などにより造粒して、造粒体7を形成する。
(1−3.非水電解質二次電池用負極の製造方法)
ミキサーに、スラリー原料を投入し、混練してスラリーを形成する。スラリー原料は、造粒体、導電助剤、結着剤、増粘剤、溶媒などである。
スラリー中の固形分において、造粒体を構成する成分と合わせて、活物質粒子25〜95重量%、導電助剤0〜70重量%、結着剤(造粒用と塗布用の合計量)1〜30重量%、増粘剤0〜25重量%を含むことが好ましい。好ましくは、固形分で、活物質粒子50〜90質量%。導電助剤5〜30質量%、結着剤5〜25質量%の割合である。結着剤が少なすぎると接着性が低下して、造粒体および電極の形状を維持するのが困難である。また、結着剤が多すぎると導電性が下がってしまい充放電が難しくなる。
ミキサーは、スラリーの調製に用いられる一般的な混練機を用いることができ、ニーダー、撹拌機、分散機、混合機などと呼ばれるスラリーを調製可能な装置を用いてもよい。溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることができる。
導電助剤は、前述のとおり、例えば、ファーネスブラックやアセチレンブラックなどの一般的なカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーなどを使用できる。
また、ナノサイズ粒子11の元素Aが導電性の低いシリコンである場合、ナノサイズ粒子11の表面には、シリコンが露出することとなり、導電性が低くなるため、カーボンナノホーンを導電助剤として加えることが好ましい。ここで、カーボンナノホーン(CNH)とは、グラフェンシートを円錐形に丸めた構造をしており、実際の形態は多数のCNHが頂点を外側に向けて、放射状のウニの様な形態の集合体として存在する。CNHのウニ様集合体の外径は50nm〜250nm程度である。特に、平均粒径80nm〜150nm程度のCNHが好ましい。
導電助剤の平均粒径は一次粒子の平均粒径を指す。アセチレンブラック(AB)のような高度にストラクチャー形状が発達している場合にも、ここでは一次粒径で平均粒径を定義し、SEM写真の画像解析で平均粒径を求めることができる。
また、粒子状の導電助剤とワイヤー形状の導電助剤の両方を用いても良い。ワイヤー形状の導電助剤は導電性物質のワイヤーであり、粒子状の導電助剤に挙げられた導電性物質を用いることができる。ワイヤー形状の導電助剤は、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、銅ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤーなどの外径が300nm以下の線状体を用いることができる。ワイヤー形状の導電助剤を用いることで、負極活物質や集電体などと電気的接続が保持しやすくなり集電性能が向上するとともに、ポーラス膜状の負極に繊維状物質が増え、負極にクラックが生じにくくなる。例えば粒子状の導電助剤としてABや銅粉末を用い、ワイヤー形状の導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)を用いることが考えられる。なお、粒子状の導電助剤を加えずに、ワイヤー形状の導電助剤のみを用いても良い。
ワイヤー形状の導電助剤の長さは、好ましくは0.1μm〜2mmである。導電助剤の外径は、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは10nm〜200nmである。導電助剤の長さが0.1μm以上であれば、導電助剤の生産性を上げるのには十分な長さであり、長さが2mm以下であれば、スラリーの塗布が容易である。また、導電助剤の外径が2nmより太い場合、合成が容易であり、外径が500nmより細い場合、スラリーの混練が容易である。導電物質の外径と長さの測定方法は、SEMによる画像解析により行った。
次に、例えば、コーターを用いて、集電体の片面に、スラリーを塗布する。コーターは、スラリーを集電体に塗布可能な一般的な塗工装置を用いることができ、例えばロールコーターやドクターブレードによるコーター、コンマコーター、ダイコーターなどである。
集電体は、銅、ニッケル、ステンレスからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる箔である。それぞれを単独で用いてもよいし、それぞれの合金でもよい。厚さは4μm〜35μmが好ましく、さらに8μm〜18μmがより好ましい。
調製したスラリーを集電体に均一に塗布し、その後、50〜150℃程度で乾燥し、厚みを調整するため、ロールプレスを通す。そして、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドからなる群より選ばれた1種以上の結着剤を150℃〜350℃で焼成して、非水電解質二次電池用負極を得る。
(1−4.本発明に係る非水電解質二次電池用負極の効果)
本発明では、活物質粒子を造粒した造粒体を含むスラリーに塗布して活物質層を形成することで、負極活物質の膨張収縮により集電体に付与される応力が緩和でき、充放電を行っても集電体の変形を防ぐことができる。その結果、ポリイミドなどの、強度が高く、集電体に密着する結着剤を塗布用結着剤に使用することができ、本発明に係る非水電解質二次電池用負極のサイクル特性は良好である。
本発明では、シリコンを始めとする、単位体積および単位重量当たりの充放電容量が炭素よりも高い元素Aを含む活物質粒子を用いるため、従来に比べて高容量な非水電解質二次電池用負極を得ることができる。
(2.第1の実施形態に係るナノサイズ粒子)
(2−1.ナノサイズ粒子の構成)
第1の実施形態に係るナノサイズ粒子11について説明する。
図3は、ナノサイズ粒子11を示す概略断面図である。ナノサイズ粒子11は、第1の相13と第2の相15を有しており、第1の相13は、界面以外の表面が略球面状であり、第2の相15が第1の相13に界面を介して接合している。第1の相13と第2の相15との界面は平面あるいは曲面を示している。また、界面は階段状であってもよい。
第1の相13は、元素Aの単体であり、元素AはSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Aは、リチウムを吸蔵しやすい元素である。なお、第1の相13は、元素Aを主成分とする固溶体であってもよい。第1の相13は、結晶質であっても非晶質であってもよい。元素Aと固溶体を形成する元素は、元素Aを選ぶことができる前記群より選ばれた元素でもよいし、前記群に挙げられていない元素であってもよい。第1の相13はリチウムを吸蔵および脱離可能である。第1の相13は一度リチウムを吸蔵して合金化した後、リチウムを脱離して脱合金化すると非晶質となる。
界面以外の表面が略球面状であるとは、球形や楕円体形に限られるものではなく、表面がおおむね滑らかな曲面で構成されていることを意味し、部分的には平坦な面があっても良い。ただし、破砕法により形成される固体のような、表面に角を有する形状とは異なる形状である。
第2の相15は、元素Aと元素Dとの化合物であり、結晶質である。元素DがFe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Dは、リチウムを吸蔵しにくい元素であり、元素AとDA(1<x≦3)である化合物を形成可能である。大部分の元素Aに対して、例えば、FeSiやCoSiのようにx=2であるが、RhSi(RhSi1.33)のようにx=1.33となる場合や、RuSi(RuSi1.5)のようにx=1.5となる場合、SrSi(SrSi1.67)のようにx=1.67となる場合、MnSi(MnSi1.75)やTcSi(TcSi1.75)のようにx=1.75となる場合、さらにIrSiのようにx=3となる場合がある。第2の相15は、リチウムをほとんど吸蔵しない。なお、元素Dとして、他にTc、Re、Osを使用することもできる。
ナノサイズ粒子を、水系スラリーを作製して塗布する場合は、ランタノイド元素は、水系スラリーで水酸化物を形成しやすく、各相間の剥離を招くため、好ましくない。また、ランタノイド元素を含むナノサイズ粒子は、形成時のプラズマ中でも、水素化されやすいという問題点がある。なお、ナノサイズ粒子形成時のプラズマ中において水分の混入を防いだり、有機溶媒系スラリーを作製したりすれば、ランタノイド元素を含むナノサイズ粒子でも問題なく使用できる。
また、図3(b)に示すナノサイズ粒子17のように、元素Aと元素Dとの化合物である第3の相19が、第1の相13中に分散していてもよい。第3の相19は、第1の相13に覆われている。第3の相19は、第2の相15と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない。また、図3(c)のように、一部の第3の相19が表面に露出していてもよい。つまり、必ずしも第3の相19の周囲の全てを第1の相13で覆っている必要はなく、第3の相19の周囲の一部のみを第1の相13で覆っていてもよい。
なお、図3(b)においては、第1の相13中に、複数の第3の相19が分散しているが、単一の第3の相19が内包されていてもよい。
また、第2の相15の界面以外の表面の形状は、図3(a)に示す第2の相15のように、表面がおおむね滑らかな球面であってもよいし、図4(a)に示す第2の相15´のように、多面体形状となってもよい。第2の相15´は、元素Aと元素Dの化合物の結晶の安定性等の影響により、多面体形状となる。
また、図4(b)に示すナノサイズ粒子22のように、第2の相15を複数有してもよい。例えば、元素Dの割合が少なく、ガス状態や液体状態における元素D同士の衝突頻度が少なくなる場合や、第1の相13および第2の相15の融点の関係や濡れ性、さらに冷却速度の影響等により、第2の相15が、第1の相13の表面に分散して接合する場合が挙げられる。
第1の相13上に複数の第2の相15を有する場合、第1の相13と第2の相15との界面の面積が広くなり、第1の相13の膨張収縮をさらに抑えることができる。また、第1の相13がSiやGeの場合、第2の相15は、第1の相13よりも導電率が高いため、電子の移動が促進され、ナノサイズ粒子22は、第1の相13上に、それぞれのナノサイズ粒子22に複数の集電スポットを有することとなる。よって、ナノサイズ粒子22は高い粉体導電率を有する負極材料となり、導電助剤を減らすことが可能となり、高容量の負極を形成することが出来る。さらに、ハイレート特性に優れる負極が得られる。
元素Dとして、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合、ある一つの元素Dと元素Aの化合物である第2の相15および/または第3の相19に、別の他の元素Dが、固溶体または化合物として含有されることがある。つまり、ナノサイズ粒子中に、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合でも、後述の元素D´のように、第4の相25を形成しない場合がある。例えば、元素AがSi、一つの元素DがNi、他の元素DがFeの場合、FeはNiSi2に固溶体として存在することがある。また、EDSで観察した場合、Niの分布とFeの分布がほぼ同じ場合もあれば、異なる場合が有り、別の他の元素Dが、第2の相15および/または第3の相19に均一に含有されることもあれば、部分的に含有されることもある。
また、ナノサイズ粒子は、元素Dに加えて、元素D´を含んでも良い。元素D´は、元素Dを選ぶことができる群より選ばれた元素であり、元素Aと元素Dと元素D´は種類の異なる元素である。図5(a)に示すナノサイズ粒子23は、元素Dと元素D´を含み、元素Aと元素Dの化合物である第2の相15に加えて、第4の相25を有する。第4の相25は、元素Aと元素D´の化合物である。ナノサイズ粒子23は、元素Dと元素D´からなる固溶体(図示せず)を含んでもよい。例えば、第2の相15がSiとFeの化合物であり、第4の相25がSiとCoの化合物であり、元素Dと元素D´からなる固溶体がFeとCoの固溶体である場合が挙げられる。
また、図5(b)に示すように、元素Aと元素Dとの化合物である第3の相19と、元素Aと元素D´との化合物である第5の相29が、第1の相13中に分散していてもよい。なお、図5(a)および(b)は元素Dから2種類の元素を選んだ場合の例を示したが、3種類以上の元素を選んでもよい。
これらのナノサイズ粒子の平均粒径は、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは50〜300nmである。ホールペッチの法則により、粒径サイズが小さいと、降伏応力が高まるため、ナノサイズ粒子の平均粒径が2〜500nmであれば、粒径サイズが十分小さく、降伏応力が十分大きく、充放電により微粉化しにくい。なお、平均粒径が2nmより小さいと、ナノサイズ粒子の合成後の取扱いが困難となり、平均粒径が500nmより大きいと、粒径サイズが大きくなってしまい、降伏応力が十分でない。
元素Aと元素Dの合計に対する元素Dの原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。この原子比率が0.01〜25%であると、ナノサイズ粒子11を非水電解質二次電池の負極材料に用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。一方、0.01%を下回ると、ナノサイズ粒子11のリチウム吸蔵時の体積膨張を抑制できず、25%を超えると、元素Dと化合する元素Aの量が多くなり、リチウムの吸蔵可能な元素Aのサイトが少なくなり、高容量であるメリットが特になくなってしまう。なお、ナノサイズ粒子が元素D´を含む場合は、元素Aと元素Dと元素D´の合計に対する、元素Dと元素D´の合計の原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。
特に、第1の相が主として結晶質シリコンであり、第2の相が結晶質シリサイドであることが好ましい。また、リンまたはホウ素を添加することでシリコンの導電性を高めることができる。なお、リンの代わりに、インジウムやガリウムを用いることができ、ホウ素の代わりにヒ素を用いることも可能である。第1の相のシリコンの導電性を高めることで、このようなナノサイズ粒子を用いた負極は、内部抵抗が小さくなり、大電流を流すことが可能となり、良好なハイレート特性を有する。
さらに、第1の相のSiに酸素を添加することでLiと結合するSiサイトを抑制し、Li吸蔵に伴う体積膨張を抑制することで良好な寿命特性を得ることができる。なお、酸素の添加量yは、SiO[0≦y<0.9]の範囲が好ましい。yが0.9以上の条件では、Li吸蔵可能なSiサイトが減少し、容量低下を招く。
なお、微粒子は通常は凝集して存在しているので、ナノサイズ粒子の平均粒径は、ここでは一次粒子の平均粒径を指す。粒子の計測は、電子顕微鏡(SEM)の画像情報と動的光散乱光度計(DLS)の体積基準メディアン径を併用する。平均粒径は、SEM画像によりあらかじめ粒子形状を確認し、画像解析ソフトウェア(例えば、旭化成エンジニアリング製「A像くん」(登録商標))で粒径を求めたり、粒子を溶媒に分散してDLS(例えば、大塚電子製DLS−8000)により測定したりすることが可能である。微粒子が十分に分散しており、凝集していなければ、SEMとDLSでほぼ同じ測定結果が得られる。また、ナノサイズ粒子の形状が、アセチレンブラックのような高度に発達したストラクチャー形状である場合にも、ここでは一次粒径で平均粒径を定義し、SEM写真の画像解析で平均粒径を求めることができる。さらに、平均粒径はBET法等により比表面積を測定し、球形粒子と仮定して求めることもできる。この方法は、SEM観察やTEM観察により、あらかじめナノサイズ粒子が多孔質でない、中実な粒子であることを確認して適用することが必要である。
なお、第1の相が主として結晶質シリコンの場合などは、ナノサイズ粒子11の最表面に酸素が結合しても良い。空気中にナノサイズ粒子11を取り出すと、空気中の酸素がナノサイズ粒子11の表面の元素と反応するからである。つまり、ナノサイズ粒子11の最表面は、厚さ0.5〜15nmのアモルファス層を有してもよく、特に、第1の相が主として結晶質シリコンの場合などは、酸化膜層を有していてもよい。アモルファス層で覆われることで、空気中で安定する上、スラリーの溶媒として水系を利用することができ、工業的利用価値が大きい。
(2−2.ナノサイズ粒子の効果)
図17(a)に示すように、第1の相13がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第2の相15は、リチウムを吸蔵し難いため、図17(b)に示すように、第2の相15に接する第1の相13の膨張は、第2の相15がない場合よりも抑えられる。つまり、第1の相13がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第2の相15が膨張しにくいため、第1の相13と第2の相15との界面は滑りにくく、第2の相15がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和してナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第2の相15を有しない粒子に比べて、第2の相15を有するナノサイズ粒子11は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、本発明によれば、ナノサイズ粒子11は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張に伴う歪が緩和され、繰返し充放電時の放電容量の低下が抑制される。
また、本発明によれば、第2の相15は元素Dを含むため導電性が高く、特に第1の相13がSiやGeの場合、ナノサイズ粒子11全体としての導電率が飛躍的に上昇する。そのため、ナノサイズ粒子11は、それぞれのナノサイズ粒子11にナノレベルの集電スポットを有することになり、導電助剤が少なくても導電性を有する負極材料となり、高容量の電極を形成することが可能となり、また、ハイレート特性に優れる負極が得られる。
また、第1の相13中に第3の相19を含むナノサイズ粒子17や、第3の相19と第5の相29とを含むナノサイズ粒子27は、第1の相13の多くの部分がリチウムを吸蔵しない相と接することになり、第1の相13の膨張がより効果的に抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子17や18および27は、少ない量の元素Dで体積膨張を抑制する効果を発揮することが可能となり、リチウム吸蔵可能な元素Aを増やすことができ、高容量かつサイクル特性が向上する。
第2の相15と第4の相25の両方を備えるナノサイズ粒子23と27は、ナノサイズ粒子11と同様の効果を有するうえ、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が効果的に向上する。2種以上のD元素を添加すると、2種以上の化合物が生成し、これらの化合物は相互に分離しやすいため、集電スポットが増加しやすく、より好ましい。
(2−3.ナノサイズ粒子の製造方法)
これらのナノサイズ粒子の製造方法を説明する。これらのナノサイズ粒子は、気相合成法により合成される。特に、原料粉末を、プラズマ化し、1万K相当にまで加熱し、その後冷却することで、これらのナノサイズ粒子を製造可能である。プラズマの発生方法には、(1)高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、(2)電極間のアーク放電を利用する方法、(3)マイクロ波により気体を加熱する方法等があり、いずれも使用可能である。
すなわち、元素Dは元素Aと化合物を形成する元素であるため、原料粉末をプラズマ化した後に冷却する際に、一部の元素Aは元素Dと化合物を形成し、残った元素Aは単体または固溶体で析出する。そのため、元素Aの単体または固溶体の第1の相に、元素Aと元素Dの化合物である第2の相が界面を介して接合した、いわゆるダルマ形状のナノサイズ粒子11を得ることができる。
ナノサイズ粒子の製造に用いられる製造装置の一具体例として、(1)高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法に関して、図6に基づいて説明する。図6に示すナノサイズ粒子製造装置31において、反応チャンバー45の上部外壁には、プラズマ発生用の高周波コイル47が巻き付けてある。高周波コイル47には、高周波電源49より、数MHzの交流電圧が印加される。好ましい周波数は4MHzである。なお、高周波コイル47を巻きつける上部外壁は石英ガラスなどで構成された円筒形の2重管となっており、その隙間に冷却水を流してプラズマによる石英ガラスの溶融を防止している。
また、反応チャンバー45の上部には、原料粉末供給口35と共に、シースガス供給口39が設けてある。原料粉末フィーダーから供給される原料粉末37は、キャリアガス43(ヘリウム、アルゴンなどの希ガス)とともに原料粉末供給口35を通してプラズマ51中に供給される。また、シースガス41はシースガス供給口39を通して反応チャンバー45に供給される。シースガス41は、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスなどである。なお、原料粉末供給口35は、必ずしも図6のようにプラズマ51の上部に設置する必要はなく、プラズマ51の横方向にノズルを設置することもできる。また、原料粉末供給口35を冷却水により水冷してもよい。なお、プラズマに供給するナノサイズ粒子の原料の性状は、粉末だけに限られず、原料粉末のスラリーやガス状の原料を供給しても良い。
反応チャンバー45は、プラズマ反応部の圧力の保持や、製造された微粉末の分散を抑制する役割を果たす。反応チャンバー45も、プラズマによる損傷を防ぐため、水冷されている。また、反応チャンバー45の側部には、吸引管が接続してあり、その吸引管の途中には合成された微粉末を捕集するためのフィルター53が設置してある。反応チャンバー45からフィルター53を連結する吸引管も、冷却水により水冷されている。反応チャンバー45内の圧力は、フィルター53の下流側に設置されている真空ポンプ(VP)の吸引能力によって調整する。
ナノサイズ粒子11の製造方法は、プラズマから気体、液体を経由して固体となりナノサイズ粒子11を析出させるボトムアップの手法なので、液滴の段階で球形状となり、ナノサイズ粒子11は球形状となる。一方、破砕法やメカノケミカル法などの大きな粒子を小さくするトップダウンの手法では、粒子の形状はいびつでごつごつしたものとなり、ナノサイズ粒子11の球形状の形状とは大きく異なる。
なお、原料粉末に元素Aの粉末と元素Dの粉末の混合粉末を用いると、ナノサイズ粒子11、17、18、21、22が得られる。また、原料粉末に元素Aと元素Dと元素D´のそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、ナノサイズ粒子23、27が得られる。さらに、第1の相13に酸素を導入するときは、例えば、SiとSiOのように元素Aとその酸化物AO等を粉末として導入することで簡単に組成比率を制御することができる。
(3.第2の実施形態に係るナノサイズ粒子)
(3−1.ナノサイズ粒子61の構成)
第2の実施形態に係るナノサイズ粒子61について説明する。
図7は、ナノサイズ粒子61を示す概略断面図である。ナノサイズ粒子61は、第6の相63と第7の相65を有しており、第6の相63と第7の相65は、両方がナノサイズ粒子61の外表面に露出しており、第6の相63と第7の相65との界面は平面あるいは曲面を示し、第6の相63と第7の相65は界面を介して接合しており、界面以外が略球面状の表面を有する。
第6の相63は、元素Aの単体または固溶体で構成され、元素AはSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Aは、リチウムを吸蔵しやすい元素である。元素Aと固溶体を形成する元素は、元素Aを選ぶことができる前記群より選ばれた元素でもよいし、前記群に挙げられていない元素であってもよい。第6の相63はリチウムを吸蔵及び脱離可能である。
第6の相63と第7の相65の界面以外が略球面状であるとは、第6の相63と第7の相65とが接する界面以外の第6の相63と第7の相65とが、球や楕円体であることを意味する。言い換えると、第6の相63と第7の相65とが接する箇所以外の第6の相63と第7の相65の表面がおおむね滑らかな曲面で構成されていることを意味する。第6の相63と第7の相65の形状は、破砕法により形成される固体のような表面に角を有する形状とは異なる形状を意味する。また、第6の相63と第7の相65の接合部の界面形状が、円形または楕円形である。
第7の相65は、元素Aと元素Mとの化合物または元素Mの単体もしくは固溶体であり、結晶質である。元素MがCu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Mは、リチウムを吸蔵しにくい元素であり、第7の相65は、リチウムをほとんど吸蔵しない。
元素Aと元素Mが化合物を形成可能な組み合わせであれば、第7の相65は元素Aと元素Mの化合物であるMA(x≦1、3<x)から形成される。一方、元素Aと元素Mとが化合物を形成しない組合せであれば、第7の相65は元素Mの単体や固溶体となる。
例えば、元素AがSiであり、元素MがCuである場合、第7の相65は、元素Mと元素Aの化合物である銅シリサイドで形成される。
例えば、元素AがSiであり、元素MがAgまたはAuである場合、第7の相65は、元素Mの単体または元素Mを主成分とする固溶体で形成される。
特に、第6の相63は結晶質シリコンであることが好ましい。また、第6の相63がリンまたはホウ素を添加したシリコンであることが好ましい。リンまたはホウ素を添加することでシリコンの導電性を高めることができる。リンの代わりに、インジウムやガリウムを用いることができ、ホウ素の代わりにヒ素を用いることも可能である。第6の相63のシリコンの導電性を高めることで、このようなナノサイズ粒子を用いた負極は、内部抵抗が小さくなり、大電流を流すことが可能となり、良好なハイレート特性を有する。また、第6の相63は酸素を含むことでリチウムと反応するサイトを抑制することができる。酸素を含むと容量は減少するが、リチウム吸蔵に伴う体積膨張を抑制することができる。酸素の添加量zは、AO(0<z<1)の範囲が好ましい。zが1以上になるとAのLi吸蔵サイトが抑制され、容量が低下する。
ナノサイズ粒子61の平均粒径は、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは50〜200nmである。ホールペッチの法則により、粒子サイズが小さいと、降伏応力が高まるため、ナノサイズ粒子61の平均粒径が2〜500nmであれば、粒子サイズが十分小さく、降伏応力が十分大きく、充放電により微粉化しにくい。なお、平均粒径が2nmより小さいと、ナノサイズ粒子の合成後の取扱いが困難となり、平均粒径が500nmより大きいと、粒子サイズが大きくなってしまい、降伏応力が十分でない。
前記元素Aと前記元素Mの合計に占める前記元素Mの原子比率が0.01〜60%であることが好ましい。この原子比率が0.01〜60%であると、ナノサイズ粒子61を非水電解質二次電池の負極材料に用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。一方、0.01%を下回ると、ナノサイズ粒子61のリチウム吸蔵時の体積膨張を十分に抑制できず、60%を超えると、高容量であるメリットが特になくなってしまう。
なお、第2の実施形態に係るナノサイズ粒子61は、図7(b)に示すナノサイズ粒子67のように、第8の相69を有してもよい。ナノサイズ粒子67は、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた元素M´をさらに含み、元素M´は元素Mとは種類が異なる。第8の相69は、元素Aと元素M´との化合物または元素M´の単体もしくは固溶体である。例えば、元素AがSi、元素MがCu、元素M´がAgであり、第6の相63がシリコンの単体または固溶体、第7の相65が銅シリサイドであり、第8の相69が銀の単体または固溶体であるナノサイズ粒子67が挙げられる。
第6の相63と第7の相65と第8の相69の全てが外表面に露出し、第6の相63と第7の相65と第8の相69が界面以外は略球面状である。例えば、ナノサイズ粒子67は、大きな球形状の第6の相63の表面に小さな球形状である第7の相65と第8の相69とが接合している、水分子のような形状を有する。また、元素Aと元素Mと元素M´の合計に占める、元素Mと元素M´の合計の原子比率が0.01〜60%であることが好ましい。
なお、第6の相が主として結晶質シリコンの場合などは、ナノサイズ粒子61の最表面に酸素が結合しても良い。空気中にナノサイズ粒子61を取り出すと、空気中の酸素がナノサイズ粒子61の表面の元素と反応するからである。つまり、ナノサイズ粒子61の最表面は、厚さ0.5〜15nmのアモルファスの酸化膜を有してもよい。さらに、酸素はAO(0<z<1)の範囲で第6の相63に導入することで空気中で安定する上、スラリーの溶媒として水系を利用することができ、工業的利用価値が大きい。
(3−2.第2の実施形態の効果)
第2の実施形態によれば、第6の相63がリチウムを吸蔵すると体積膨張するが、第7の相65はリチウムを吸蔵しないため、第7の相65に接する箇所の第6の相63の膨張は、抑えられる。つまり、第6の相63がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第7の相65が膨張しにくいため、第6の相63と第7の相65との界面は滑りにくく、第7の相65がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和して、ナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第7の相65を有しない粒子に比べて、第7の相65を有するナノサイズ粒子61は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、第2の実施形態によれば、ナノサイズ粒子61は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、繰返し充放電時の放電容量の低下が抑制される。
また、第2の実施形態によれば、第7の相65は元素Mを含むため、第7の相65は第6の相63よりも導電性が高い。そのため、ナノサイズ粒子61は、それぞれのナノサイズ粒子61にナノレベルの集電スポットを有し、ナノサイズ粒子61は導電性の良い負極材料となり、集電性能の良い負極が得られる。
第7の相65と第8の相69の両方を備えるナノサイズ粒子67は、ナノサイズ粒子61と同様の効果を有するうえ、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が効果的に向上する。
(4.第3の実施形態)
(4−1.ナノサイズ粒子71の構成)
第3の実施形態に係るナノサイズ粒子71について説明する。以下の実施形態で第2の実施形態と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。
図8(a)は、ナノサイズ粒子71の概略断面図である。ナノサイズ粒子71は、第6の相63と第7の相65と第9の相73とを有しており、第6の相63と第7の相65とは界面を介して接合し、第6の相63と第9の相73とは、界面を介して接合している。また、第6の相63と第7の相65と第9の相73は、ナノサイズ粒子71の外表面に露出しており、第6の相63と第7の相65と第9の相73は、界面以外が略球面状の表面を有している。
第9の相73は、元素Aと元素Dとの化合物であり、導電性が高く、結晶質である。元素DがFe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Dは、リチウムを吸蔵しにくい元素であり、元素AとDA(1<y≦3)である化合物を形成可能である。第9の相73は、リチウムをほとんど吸蔵しない、あるいは吸蔵してもわずかである。
元素Aと元素Dの合計に占める元素Dの原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。この原子比率が0.01〜25%であると、ナノサイズ粒子を非水電解質二次電池の負極材料に用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。一方、0.01%を下回ると、ナノサイズ粒子のリチウム吸蔵時の体積膨張を抑制できず、25%を超えると、元素Dと化合する元素Aの量が多くなり、リチウムの吸蔵可能な元素Aのサイトが少なくなり、高容量であるメリットが特になくなってしまう。なお、後述のようにナノサイズ粒子が元素D´を含む場合は、元素Aと元素Dと元素D´の合計に占める、元素Dと元素D´の合計の原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。
また、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子71は、図8(b)に示すナノサイズ粒子75のように、元素Aと元素Dとの化合物である第10の相77が、第6の相63中に分散していてもよい。第10の相77は、第6の相63に覆われている。第10の相77は、第7の相65と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない、あるいは吸蔵してもわずかである。
なお、図8(b)においては、第6の相63中に、複数の第10の相77が分散しているが、単一の第10の相77が内包されていてもよい。
また、図8(c)に示すナノサイズ粒子76のように、一部の第10の相77が表面に露出していてもよい。つまり、必ずしも第10の相77の周囲の全てを第6の相63で覆っている必要はなく、第10の相77の周囲の一部のみを第6の相63で覆っていてもよい。
また、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子71、75は、図9(a)に示すナノサイズ粒子79や、図9(b)に示すナノサイズ粒子81のように、第8の相69を有してもよい。ナノサイズ粒子79、81は、Cu、AgおよびAuからなる群より選ばれた元素M´をさらに含み、元素M´は元素Mとは種類が異なる。第8の相69は、元素Aと元素M´との化合物または元素M´の単体もしくは固溶体である。
元素Dとして、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合、ある一つの元素Dと元素Aの化合物である第9の相73および/または第10の相77に、別の他の元素Dが、固溶体または化合物として含有されることがある。つまり、ナノサイズ粒子中に、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合でも、後述の元素D´のように、第11の相85を形成しない場合がある。例えば、元素AがSi、一つの元素DがNi、他の元素DがFeの場合、FeはNiSi2に固溶体として存在することがある。また、EDSで観察した場合、Niの分布とFeの分布がほぼ同じ場合もあれば、異なる場合が有り、別の他の元素Dが、第9の相73および/または第10の相77に均一に含有されることもあれば、部分的に含有されることもある。
また、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子71は、図10(a)に示すナノサイズ粒子83のように元素Dと元素D´を含み、第6の相63に接合する第11の相85が形成されていても良い。第11の相85は、元素Aと元素D´との化合物である。第11の相85は、第6の相63と界面を介して接合しており、外表面に露出している。例えば、元素Aがシリコンであり、元素Dが鉄であり、元素D´がコバルトであり、第6の相63がシリコンの単体または固溶体であり、第9の相73が鉄シリサイドであり、第11の相85がコバルトシリサイドである場合が挙げられる。この場合、第6の相63中に鉄とコバルトの固溶体が形成されていても良い。
元素D´は、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた元素であり、元素Dとは異なる種類の元素である。
また、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子83は、図10(b)に示すナノサイズ粒子87のように元素Dと元素D´を含み、元素Aと元素Dとの化合物である第10の相77と、元素Aと元素D´との化合物である第12の相89が、第6の相63中に分散していてもよい。第12の相89は、第6の相63に覆われている。第12の相89は、第11の相85と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない、あるいは吸蔵してもわずかである。
また、第9の相73と第11の相85の界面以外の表面の形状は、図8(a)に示す第9の相73や、図10(a)に示す第11の相85のように、表面がおおむね滑らかな球面であってもよいし、図11に示すナノサイズ粒子91の第9の相73´や第11の相85´のように、多面体形状となってもよい。第9の相73´や第11の相85´は、元素Aと元素Dの化合物の結晶の影響により、多面体形状となる。
第9の相73や第11の相85を介して、複数のナノサイズ粒子どうしが結合して接合体を形成することがある。また、ナノサイズ粒子どうしが結合した複合体から一部のナノサイズ粒子が分割して、接合部分が多面体形状となることがある。
(4−2.第3の実施形態の効果)
第3の実施形態によれば、第2の実施形態で得られる効果に加えて、ナノサイズ粒子71は、リチウムを吸蔵させても、微粉化しにくい。第3の実施形態において、第6の相63がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第7の相65と第9の相73は、リチウムをほとんど吸蔵しないため、第7の相65と第9の相73に接する第6の相63の膨張は、抑えられる。つまり、第6の相63がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第7の相65と第9の相73が膨張しにくいため、第6の相63と第7の相65または第9の相73の界面は滑りにくく、第7の相65と第9の相73がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和してナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第9の相73を有しない粒子に比べて、第9の相73を有するナノサイズ粒子71は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、ナノサイズ粒子71は、リチウムを吸蔵および放出させても、体積膨張に伴う歪が緩和され、繰返し充放電時の放電容量の低下が抑制される。
また、第6の相63中に第10の相77を含むナノサイズ粒子75やナノサイズ粒子81は、第6の相63の多くの部分がリチウムを吸蔵しない相と接するため、より少ない第10の相77で、第6の相63の膨張が効果的に抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子75や81は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、繰返し充放電時の放電容量の低下がより抑制される。
第7の相65と第8の相69の両方を備えるナノサイズ粒子79やナノサイズ粒子81は、ナノサイズ粒子61と同様の効果を有するうえ、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が効果的に向上する。そのため、ハイレート特性が向上する。
同様に、第9の相73と第11の相85の両方を備えるナノサイズ粒子83やナノサイズ粒子87は、ナノサイズ粒子61と同様の効果を有するうえ、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が効果的に向上する。そのため、ハイレート特性が向上する。
また、第6の相63中に第10の相77と第12の相89を含むナノサイズ粒子87は、第6の相63の多くがリチウムを吸蔵しない相あるいはリチウムを僅かにしか吸蔵しない相と接するため、第6の相63の膨張がより抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子87は、繰返し充放電時の放電容量の低下がより抑制されるとともに、ハイレート特性が向上する。
(5.第2の実施形態及び第3の実施形態に係るナノサイズ粒子の製造方法)
本発明に係るナノサイズ粒子の製造方法を説明する。本発明に係るナノサイズ粒子は、気相合成法により合成される。特に、原料粉末を、プラズマ化し、1万K相当にまで加熱し、その後冷却することで、ナノサイズ粒子を製造可能である。プラズマの発生方法には、(1)高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、(2)電極間のアーク放電を利用する方法、(3)マイクロ波により気体を加熱する方法等があり、いずれも使用可能である。
すなわち、元素Mが元素Aと化合物を形成する元素である場合、原料粉末をプラズマ化した後に冷却する際に、一部の元素Aは元素Mと化合物を形成し、残った元素Aは単体または固溶体で析出する。また、元素Mが元素Aと化合物を形成しない元素である場合、原料粉末をプラズマ化した後に冷却する際に、元素Mと元素Aがそれぞれ別々に、単体または固溶体で析出する。そのため、元素Aの単体または固溶体の第6の相に、元素Aと元素Mの化合物または元素Mの単体または固溶体である第7の相が界面を介して接合した、いわゆるダルマ形状のナノサイズ粒子61を得ることができる。
ナノサイズ粒子の製造に用いられる製造装置の一具体例は、図6に示すナノサイズ粒子製造装置31である。
ナノサイズ粒子の製造方法は、プラズマから気体、液体を経由して固体となりナノサイズ粒子を析出させるボトムアップの手法なので、液滴の段階で球形状となり、第6の相63と第7の相65は略球形状となる。一方、破砕法やメカノケミカル法では、大きな粒子を小さくするトップダウンの手法なので、粒子の形状はごつごつしたものとなり、ナノサイズ粒子61の球形状の形状とは大きく異なる。
その後、製造したナノサイズ粒子を、大気下で加熱し、ナノサイズ粒子の酸化を進めることができる。例えば、大気中、250℃1時間の加熱を行うことで、ナノサイズ粒子を酸化させ、安定化させることができる。また、第6の相中にAO(0<z<1)として意図的に酸素を導入することで初期容量を抑制しつつ、寿命特性向上を図ることもできる。例えば、元素AとしてSiとその酸化物SiOを導入することで、簡単に組成比率を制御することができる。
なお、原料粉末に元素Aの粉末と元素Mの粉末の混合粉末を用いると、第2の実施形態に係るナノサイズ粒子61が得られる。一方、原料粉末に元素Aと元素Mと元素Dのそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子71が得られる。また、原料粉末に元素Aと元素Mと元素M´と元素Dのそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子79が得られる。また、原料粉末に元素Aと元素Mと元素Dと元素D´のそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、第3の実施形態に係るナノサイズ粒子83が得られる。
(6.第4の実施形態に係るナノサイズ粒子)
(6−1.第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の構成)
第4の実施形態に係るナノサイズ粒子101について説明する。
図12(a)は、ナノサイズ粒子101の概略断面図である。ナノサイズ粒子101は、第13の相103と第14の相105と第15の相107とを有しており、第13の相103と第14の相105と第15の相107は、ナノサイズ粒子101の外表面に露出しており、第13の相103と第14の相105と第15の相107の界面以外の外表面が略球面状であり、第13の相103と第14の相105は界面を介して接合し、第13の相103と第15の相107は界面を介して接合している。
第13の相103は、元素A‐1の単体であり、元素A‐1はSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた1種の元素である。元素A‐1は、リチウムを吸蔵しやすい元素である。なお、第13の相103は、元素A‐1を主成分とする固溶体であってもよい。元素A‐1と固溶体を形成する元素は、元素A‐1を選ぶことができる前記群より選ばれた元素でもよいし、前記群に挙げられていない元素であってもよい。第13の相103はリチウムを吸蔵および脱離可能である。第13の相103と第14の相105との界面は、平面あるいは曲面を示している。第13の相103と第15の相107との界面は平面或いは曲面を示している。また、第14の相105と第15の相107とが界面を介して接合していても良い。
第13の相103と第14の相105の界面以外の外表面が略球面状であるとは、第13の相103と第14の相105とが接する界面以外の第13の相103と第14の相105とが、球や楕円体であることを意味し、言い換えると、第13の相103と第14の相105とが接する箇所以外の第13の相103と第14の相105の表面がおおむね滑らかな曲面で構成されていることを意味する。第13の相103と第14の相105の形状は、破砕法により形成される固体のような、表面に角を有する形状とは異なる形状である。第15の相107についても同様である。また、第13の相103と第14の相105の接合部の界面形状や、第13の相103と第15の相107の接合部の界面形状が、円形または楕円形である。
第14の相105は、元素A‐2の単体もしくは固溶体である。元素A‐2はSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた1種の元素であり、元素A‐1とは種類の異なる元素である。元素A‐2はLiを吸蔵および脱離可能である。
また、第13の相103がリンまたはホウ素を添加したシリコンであることが好ましい。リンまたはホウ素を添加することでシリコンの導電性を高めることができる。リンの代わりに、インジウムやガリウムを用いることができ、ホウ素の代わりにヒ素を用いることも可能である。第13の相103のシリコンの導電性を高めることで、このようなナノサイズ粒子を用いた負極は、内部抵抗が小さくなり、大電流を流すことが可能となり、良好なハイレート特性を有する。また、第13の相103は酸素を含むことでリチウムと反応するサイトを抑制することができる。酸素を含むと容量は減少するが、リチウム吸蔵に伴う体積膨張を抑制することができる。酸素の添加量zは、AO(0<z<1)の範囲が好ましい。zが1以上になるとAのLi吸蔵サイトが抑制され、容量が低下する。
第15の相107は、元素A−1と元素Dとの化合物であり、結晶質である。元素DがFe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。元素Dは、リチウムを吸蔵しにくい元素であり、元素A−1とD(A−1)(1<x≦3)である化合物を形成可能である。大部分の元素A−1に対して、例えば、FeSiやCoSiのようにx=2であるが、RhSi(RhSi1.33)のようにx=1.33となる場合や、RuSi(RuSi1.5)のようにx=1.5となる場合、SrSi(SrSi1.67)のようにx=1.67となる場合、MnSi(MnSi1.75)やTcSi(TcSi1.75)のようにx=1.75となる場合、さらにIrSiのようにx=3となる場合がある。第15の相107は、リチウムをほとんど吸蔵しない、あるいは吸蔵してもわずかである。
ナノサイズ粒子101の平均粒径は、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは50〜300nmである。ホールペッチの法則により、粒子サイズが小さいと、降伏応力が高まるため、ナノサイズ粒子101の平均粒径が2〜500nmであれば、粒子サイズが十分小さく、降伏応力が十分大きく、充放電により微粉化しにくい。なお、平均粒径が2nmより小さいと、ナノサイズ粒子の合成後の取扱いが困難となり、平均粒径が500nmより大きいと、粒子サイズが大きくなってしまい、降伏応力が十分でない。
元素A‐1と元素A‐2と元素Dの合計に占める元素Dの原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。この原子比率が0.01〜25%であると、ナノサイズ粒子101を非水電解質二次電池の負極材料に用いた際に、サイクル特性と高容量を両立できる。一方、0.01%を下回ると、ナノサイズ粒子101のリチウム吸蔵時の体積膨張を抑制できず、25%を超えると、元素Dと化合する元素A‐1の量が多くなり、リチウムの吸蔵可能な元素A‐1のサイトが少なくなり、高容量であるメリットが特になくなってしまう。なお、後述のようにナノサイズ粒子が元素D´を含む場合は、元素A‐1と元素A‐2と元素Dと元素D´の合計に占める、元素Dと元素D´の合計の原子比率が0.01〜25%であることが好ましい。
また、図12(b)に示すナノサイズ粒子109のように、元素A−1と元素Dとの化合物である第16の相111が、第13の相103中に分散していてもよい。第16の相111は、第13の相103に覆われている。第16の相111は、第15の相107と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない。また、図12(c)のように、一部の第16の相111が表面に露出していてもよい。つまり、必ずしも第16の相111の周囲の全てを第13の相103で覆っている必要はなく、第16の相111の周囲の一部のみを第13の相で覆っていてもよい。
なお、図12(b)においては、第13の相103中に、複数の第16の相111が分散しているが、単一の第16の相111が内包されていてもよい。
また、図13(a)に示すナノサイズ粒子113のように、元素A−1と元素Dとの化合物である第17の相115が、第14の相105に界面を介して接合し、外表面に露出していてもよい。第17の相115は、第15の相107と同様、リチウムをほとんど吸蔵しない。
また、第15の相107の界面以外の表面の形状は、図12(a)に示す第15の相107のように、表面がおおむね滑らかな球面であってもよいし、図13(b)に示す第15の相107´のように、多面体形状となってもよい。多面体形状は、第15の相を介してナノサイズ粒子101、109、110、113または117が接合した後、剥離して生じたものである。
また、本発明に係るナノサイズ粒子101は、図14(a)に示すナノサイズ粒子119のように、第14の相105に加えて、第18の相121を有してもよい。第18の相121は、元素A‐3の単体もしくは固溶体であり、元素A‐3はSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた1種の元素であり、元素A‐1、元素A‐2とは異なる種類の元素である。第18の相121は、外表面が球面状であり、ナノサイズ粒子119の外表面に露出する。例えば、元素A‐1としてシリコン、元素A‐2としてスズ、元素A‐3としてアルミニウムを用いることができる。また、図14(b)に示すナノサイズ粒子123のように、元素A−1と元素Dとの化合物である第16の相111が、第13の相103中に分散していてもよい。
元素Dとして、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合、ある一つの元素Dと元素A−1の化合物である第15の相107および/または第16の相111に、別の他の元素Dが、固溶体または化合物として含有されることがある。つまり、ナノサイズ粒子中に、元素Dを選ぶことのできる群より選ばれた2種以上の元素が含まれる場合でも、後述の元素D´のように、第19の相127を形成しない場合がある。例えば、元素A−1がSi、一つの元素DがNi、他の元素DがFeの場合、FeはNiSi2に固溶体として存在することがある。また、EDSで観察した場合、Niの分布とFeの分布がほぼ同じ場合もあれば、異なる場合が有り、別の他の元素Dが、第15の相107および/または第16の相111に均一に含有されることもあれば、部分的に含有されることもある。
また、ナノサイズ粒子は、元素Dに加えて、元素D´を含んでも良い。元素D´は、元素Dを選ぶことができる群より選ばれた元素であり、元素Dと元素D´は種類の異なる元素である。図15(a)に示すナノサイズ粒子125は、元素Dと元素D´を含み、元素Aと元素Dの化合物である第15の相107に加えて、第19の相127を有する。第19の相127は、元素A−1と元素D´の化合物である。ナノサイズ粒子125は、元素Dと元素D´からなる固溶体(図示せず)を含んでもよい。例えば、第15の相107がSiとFeの化合物であり、第19の相127がSiとCoの化合物であり、元素Dと元素D´からなる固溶体がFeとCoの固溶体である場合が挙げられる。
また、図15(b)に示すナノサイズ粒子129のように、元素A−1と元素Dとの化合物である第16の相111と元素A−1と元素D´との化合物である第20の相131が、第13の相103中に分散していてもよい。さらに、第16の相111または第20の相131が図12(c)のように、表面に露出していても良い。
なお、ナノサイズ粒子101の最表面に酸素が結合しても良い。空気中にナノサイズ粒子101を取り出すと、空気中の酸素がナノサイズ粒子101の表面の元素と反応するからである。つまり、ナノサイズ粒子101の最表面は、厚さ0.5〜15nmのアモルファスの層を有してもよく、特に第13の相が主として結晶質シリコンの場合などは、酸化膜層を有していてもよい。
(6−2.第4の実施形態に係るナノサイズ粒子の効果)
本発明によれば、第13の相103がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第14の相105もリチウムを吸蔵すると膨張する。しかし、第13の相103と第14の相105では、リチウムを吸蔵する電気化学的電位が異なるため、一方の相が優先的にリチウムを吸蔵し、一方の相が体積膨張する際に、他方の相の体積膨張が相対的に少なくなり、他方の相によって一方の相が体積膨張しにくくなる。そのため、一方の相のみを有する粒子に比べて、第13の相103と第14の相105を有するナノサイズ粒子101は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウムの吸蔵量が抑制される。そのため、本発明によれば、ナノサイズ粒子101は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、繰返し充放電時の放電容量の低下が抑制される。
また、第13の相103がリチウムを吸蔵すると、体積膨張するが、第15の相107は、リチウムを吸蔵し難いため、第15の相107に接する第13の相103の膨張は、抑えられる。つまり、第13の相103がリチウムを吸蔵して体積膨張をしようとしても、第15の相107が膨張しにくいため、第13の相103と第15の相107との界面は滑りにくく、第15の相107がくさびやピンのような効果を発揮し、体積歪を緩和して、ナノサイズ粒子全体の膨張を抑制する。そのため、第15の相107を有しない粒子に比べて、第15の相107を有するナノサイズ粒子101は、リチウムを吸蔵する際に膨張しにくく、リチウム放出時には復元力が働いて元の形状に戻りやすくなる。そのため、本発明によれば、ナノサイズ粒子101は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張に伴う歪が緩和され、繰返し充放電時の放電容量の低下が抑制される。
また、本発明によれば、ナノサイズ粒子101は膨張しにくいため、ナノサイズ粒子101を大気中に出したとしても、大気中の酸素と反応しにくい。一方の相のみを有するナノサイズ粒子は、表面保護せずに大気中に放置すると、表面から酸素と反応し、表面から粒子内部へと酸化が進行するため、ナノサイズ粒子全体が酸化する。しかしながら、本発明のナノサイズ粒子101を大気中に放置した場合、粒子の最表面は酸素と反応するが、全体としてナノサイズ粒子が膨張しにくいため、酸素が内部に侵入しにくく、ナノサイズ粒子101の中心部まで酸化が及びにくくなる。従って、通常の金属ナノ粒子は比表面積が大きく、酸化して発熱や体積膨張が生じやすいが、本発明のナノサイズ粒子101は、有機物や金属酸化物で特別な表面コートを行う必要がなく、大気中で粉体のまま扱うことができ、工業的利用価値が大きい。
また、本発明によれば、第13の相103と第14の相105は、どちらも炭素よりもリチウムを大量に吸蔵可能な元素で構成されるため、ナノサイズ粒子101は、炭素の負極活物質よりもリチウムの吸蔵量が多くなる。
また、本発明によれば、第14の相105が第13の相103よりも導電性が高い場合、ナノサイズ粒子101は、それぞれのナノサイズ粒子101にナノレベルの集電スポットを有し、ナノサイズ粒子101は導電性の良い負極材料となり、集電性能の良い負極が得られる。特に、第13の相103が導電性の低いシリコンで形成される場合、第14の相105をシリコンより導電性の高いスズやアルミニウムなどの金属元素を用いることで、シリコンナノ粒子に比べて導電性の良い負極材料が得られる。
また、第13の相103中に第16の相111を含むナノサイズ粒子109は、第13の相103の多くの部分がリチウムを吸蔵し難い相と接するため、第13の相103の膨張がより抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子109は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、繰返し充放電での放電容量の低下がより抑制される。
第14の相105と第15の相107と第18の相121を有するナノサイズ粒子119と123や、第14の相105と第15の相107と第19の相127を有するナノサイズ粒子125と129は、ナノレベルの集電スポットが増加し、集電性能が、効果的に向上する。
また、第13の相103中に第16の相111を含むナノサイズ粒子123や、第13の相103中に第16の相111と第20の相131を含むナノサイズ粒子129は、第13の相103の多くの部分がリチウムを吸蔵しない相と接するため、第13の相103の膨張がより抑えられる。その結果、ナノサイズ粒子123とナノサイズ粒子129は、リチウムを吸蔵させても、体積膨張が抑えられ、繰返し充放電での放電容量の低下がより抑制される。
(6−3.ナノサイズ粒子の製造方法)
ナノサイズ粒子の製造方法を説明する。
ナノサイズ粒子は、気相合成法により合成される。特に、原料粉末を、プラズマ化し、1万K相当にまで加熱し、その後冷却することで、ナノサイズ粒子を製造可能である。プラズマの発生方法には、(1)高周波電磁場を利用して誘導的に気体を加熱する方法、(2)電極間のアーク放電を利用する方法、(3)マイクロ波により気体を加熱する方法等があり、いずれも使用可能である。
すなわち、元素Dが元素A−1と化合物を形成する元素であり、元素A−1と元素A−2は化合物を作らないため、原料粉末をプラズマ化した後に冷却する際に、一部の元素A−1は元素Mと化合物を形成し、残った元素A−1と元素A−2は単体または固溶体で析出する。そのため、元素A−1の単体または固溶体の第13の相に、元素A−2の単体または固溶体の第14の相と、元素A−1と元素Dの化合物である第15の相が界面を介して接合したナノサイズ粒子101を得ることができる。
ナノサイズ粒子の製造に用いられる製造装置の一具体例は、図6に示すナノサイズ粒子製造装置31である。
ナノサイズ粒子の製造方法は、プラズマから気体、液体を経由して固体となり、ナノサイズ粒子を析出させるボトムアップの手法なので、液滴の段階で球形状となり、第13の相103と第14の相105とは球形状となる。一方、破砕法やメカノケミカル法では、大きな粒子を小さくするトップダウンの手法では、粒子の形状はごつごつしたものとなり、ナノサイズ粒子101の球形状の形状とは大きく異なる。
なお、原料粉末に元素A‐1と元素A‐2と元素Dのそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、本発明に係るナノサイズ粒子101,109,113,117が得られる。一方、原料粉末に元素A‐1と元素A‐2と元素A‐3と元素Dのそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、ナノサイズ粒子119、23が得られる。また、原料粉末に元素A‐1と元素A‐2と元素Dと元素D´のそれぞれの粉末の混合粉末を用いると、ナノサイズ粒子125、129が得られる。これらのナノサイズ粒子は、直流や交流などのプラズマ発生装置にかかわらず、構成する元素がプラズマとなり、冷却とともに気体となり、構成する元素が均一に混合される。さらに冷却されることにより、気体からナノサイズの液滴を経由してナノサイズ粒子が形成される。
(7.非水電解質二次電池の作製)
(7−1.非水電解質二次電池用負極の作製)
負極としては、本発明に係る非水電解質二次電池用負極を用いる。
(7−2.非水電解質二次電池用正極の作製)
まず、正極活物質、導電助剤、結着剤および溶媒を混合して正極活物質の組成物を準備する。前記正極活物質の組成物をアルミ箔などの金属集電体上に直接塗布・乾燥し、正極を準備する。
前記正極活物質としては、一般的に使われるものであればいずれも使用可能であり、例えばLiCoO、LiMn、LiMnO、LiNiO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiFePOなどの化合物である。
導電助剤としては、例えばカーボンブラックを使用し、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、水溶性アクリル系バインダーを使用し、溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水などを使用する。このとき、正極活物質、導電助剤、結着剤および溶媒の含量は、非水電解質二次電池で通常的に使用するレベルである。
(7−3.セパレータ)
セパレータとしては、正極と負極の電子伝導を絶縁する機能を有し、非水電解質二次電池で通常的に使われるものであればいずれも使用可能である。例えば、微多孔性のポリオレフィンフィルム、多孔質のアラミド樹脂フィルム、多孔質のセラミックス、不織布などを使用できる。
(7−4.電解液・電解質)
非水電解質二次電池、Liポリマー電池などにおける電解液および電解質には、有機電解液(非水系電解液)、無機固体電解質、高分子固体電解質等が使用できる。
有機電解液の溶媒の具体例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ―ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の非プロトン性溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの2種以上を混合した混合溶媒が挙げられる。
有機電解液の電解質には、LiPF、LiClO、LiBF、LiAlO、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiCSO、LiN(CFSO等のリチウム塩からなる電解質の1種または2種以上を混合させたものを用いることができる。
有機電解液の添加剤として、負極活物質の表面に有効な固体電解質界面被膜を形成できる化合物を添加することが望ましい。例えば、分子内に不飽和結合を有し、充電時に還元重合できる物質、例えばビニレンカーボネート(VC)などを添加する。
また、上記の有機電解液に代えて固体状のリチウムイオン伝導体を用いることができる。たとえばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等からなるポリマーに前記リチウム塩を混合した固体高分子電解質や、高分子材料に電解液を含浸させゲル状に加工した高分子ゲル電解質を用いることができる。
さらに、リチウム窒化物、リチウムハロゲン化物、リチウム酸素酸塩、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiSiO、LiSiS、LiPO−LiS−SiS、硫化リン化合物などの無機材料を無機固体電解質として用いてもよい。
(7−5.非水電解質二次電池の組立て)
前述したような正極と負極との間にセパレータを配置して、電池素子を形成する。このような電池素子を巻回、または積層して円筒形の電池ケースや角形の電池ケースに入れた後、電解液を注入して、非水電解質二次電池とする。
本発明の非水電解質二次電池の一例(断面図)を図16に示す。非水電解質二次電池171は、正極173、負極175を、セパレータ177を介して、セパレータ―正極―セパレータ―負極の順に積層配置し、正極173が内側になるように巻回して極板群を構成し、これを電池缶179内に挿入する。そして正極173は正極リード181を介して正極端子183に、負極175は負極リード185を介して電池缶179にそれぞれ接続し、非水電解質二次電池171内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部に取り出し得るようにする。次いで、電池缶179内に電解質187を極板群を覆うように充填した後、電池缶179の上端(開口部)に、円形蓋板とその上部の正極端子183からなり、その内部に安全弁機構を内蔵した封口体189を、環状の絶縁ガスケットを介して取り付けて、本発明の非水電解質二次電池171を製造することができる。
(7−6.本発明に係る非水電解質二次電池の効果)
本発明に係る非水電解質二次電池用負極を用いる非水電解質二次電池は、炭素よりも単位体積、および単位重量あたりの容量の高い元素Aを有するため、従来の非水電解質二次電池よりも容量が大きい。
また、活物質粒子は造粒体を形成した後に、スラリーを塗布して活物質層を形成するため、空隙率の大きい活物質層を得ることができる。活物質層の空隙率が大きいため、活物質粒子が膨張・収縮しても集電体に過剰な力が加わることがない。
また、造粒体を活物質層として集電体上に固定するための結着剤として、強度の高いポリイミドなどを用いており、造粒体どうしが強固に結着し、集電体と造粒体が強固に密着する。そのため、本発明に係る非水電解質二次電池は、長寿命である。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1−1]
(ナノサイズ粒子の作製)
シリコン粉末と鉄粉末とをモル比でSi:Fe=23:2になるように混合し、乾燥させた混合粉末を原料粉末として、図6の装置を用い、反応チャンバー内に発生させたAr-H混合ガスのプラズマ中にキャリアガスで連続的に供給することにより、シリコンと鉄のナノサイズ粒子を作製した。
さらに詳細には、下記の通りの方法で製造した。反応チャンバー内を真空ポンプで排気した後、Arガスを導入して大気圧とした。この排気とArガス導入を3回繰り返して、反応容器内の残留空気を排気した。その後、反応容器内にAr-H混合ガスを13L/minの流量で導入し、高周波コイルに交流電圧をかけて、高周波電磁場(周波数4MHz)により高周波プラズマを発生させた。この時のプレート電力は、20kWとした。原料粉末を供給するキャリアガスは、1.0L/minの流速のArガスを用いた。反応終了後12時間以上徐酸化処理を施した後、得られた微粉末をフィルターで回収した。
(ナノサイズ粒子の構成の評価)
ナノサイズ粒子の結晶性に関して、リガク社製RINT−UltimaIIIを用いてXRD解析を行った。図18に実施例1−1のナノサイズ粒子のXRD回折パターンを示す。実施例1−1に係るナノサイズ粒子はSiとFeSiの2成分で構成されることが分かった。また、Feは全てシリサイドFeSiとして存在し、元素単体(価数0)としてのFeはほとんど存在しないことが分かった。
ナノサイズ粒子の粒子形状の観察を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った。図19は、実施例1−1に係るナノサイズ粒子のTEM像である。粒径約80〜150nm程度の略球形状の粒子に、半球状の粒子が界面を介して接合したナノサイズ粒子が観察され、同一粒子内で、色の比較的濃い箇所が、鉄を含む鉄シリサイドからなり、色の比較的薄い箇所がシリコンからなる。また、ナノサイズ粒子表面にアモルファスな厚さ2〜4nmのシリコンの酸化膜が形成されていることがわかる。
実施例1−1に係るナノサイズ粒子の粒子形状の観察と組成分析を、走査透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM 3100FEF)を用いて、HAADF−STEMによる粒子形状の観察と、EDS(Energy Dispersive Spectroscopy:エネルギー分散型X線分析)分析を行った。図20(a)は、ナノサイズ粒子のHAADF−STEM像であり、図20(b)は、同一の観察箇所におけるシリコン原子のEDSマップであり、図20(c)は、同一の観察箇所における鉄原子のEDSマップである。
図20(a)によれば、粒径約50〜150nm程度のナノサイズ粒子が観察され、それぞれのナノサイズ粒子は、それぞれ略球形状である。図20(b)より、ナノサイズ粒子の全体にシリコン原子が存在し、図20(c)より、図20(a)で明るく観察される箇所に鉄原子が多く検出されることがわかる。以上のことより、ナノサイズ粒子は、シリコンで形成される第1の相に、シリコンと鉄の化合物で形成される第2の相が接合している構造を有することが分かる。
(造粒体の作製)
ナノサイズ粒子64質量部と、結着剤としてポリイミド(日立化成工業(株)製、HCI−1000S)を固形分換算で5質量部の割合で混合してスラリーを作製した。
このスラリーを、スプレードライ法により造粒して、造粒体を作製した。
さらに、得られた造粒体を330℃で熱処理することで、造粒体に含まれる結着剤を固化した。
造粒体のSEM写真を図21に示す。直径1〜10μmの造粒体が観察された。
(負極の作製)
造粒体69質量部(ナノサイズ粒子を64質量部含有する)、アセチレンブラック16質量部、ポリイミドを固形分換算で15質量部の割合で混合してスラリーを作製した。
調製したスラリーを自動塗工装置のドクターブレードを用いて、厚さ10μmの集電体用電解銅箔(古河電気工業(株)製、NC−WS)上に15μmの厚みで塗布し、100℃で乾燥させた後、プレスによる調厚工程を経た後、330℃の焼成工程を経て、非水電解質二次電池用負極を製造した。
実施例1−1に係る負極の断面図を図22(a)に示す。集電体上に空隙を持って造粒体粒子が配置されていることが分かる。また、500回充放電を繰り返した後に、負極を取り出し、活物質層を除去して集電体を観察した写真を図22(b)に示す。しわがほとんど発生していないことが分かる。
(サイクル特性の評価)
非水電解質二次電池用負極と、1.3mol/LのLiPFを含むエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの混合溶液にビニレンカーボネートを添加した電解液と、金属Li箔対極を用いて3つの異なるリチウム二次電池を構成し、充放電特性を調べた。特性の評価は、初回の放電容量および1〜200サイクルの充電・放電後の放電容量を測定し、放電容量の維持率を算出することによって行った。放電容量は、シリサイドと、リチウムの吸蔵・放出に有効な活物質Siの総重量を基準として算出した。
まず、1サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.1C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値0.1Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行い、0.1C初期放電容量を測定した。なお、1Cとは、1時間で満充電できる電流値である。
2〜30サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.2C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値0.2Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
31サイクル25℃環境下において、電流値を0.2C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値0.5Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
32サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.2C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値1.0Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
33サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.2C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値2.0Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
34サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.2C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、電流値が0.05Cに低下した時点で充電を停止した。次いで、電流値5.0Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
35〜500サイクルは、25℃環境下において、電流値を0.5C、電圧値を0.02Vまで定電流定電圧条件で充電を行い、充電時間が3時間に達した時点で充電を停止した。次いで、電流値5.0Cの条件で、金属Liに対する電圧が1.5Vとなるまで放電を行った。
[実施例1−2]
実施例1−1と同じナノサイズ粒子を用いて、造粒体作成時にアセチレンブラックを4質量部加える点と、塗布用スラリーにアセチレンブラックを4質量部加えた点以外は実施例1−1と同様にして負極を作製した。
[比較例1]
実施例1−1に係るナノサイズ粒子64質量部とアセチレンブラック16質量部の比率でミキサーに投入した。実施例1とは異なり、これを造粒せずに、さらに結着剤としてポリイミドを固形分換算で20質量部の割合で混合してスラリーを作製した以外は、実施例1−1と同様に負極を作製した。
比較例1に係る負極の断面図を図23(a)に示す。集電体上に緻密に活物質粒子が配置され、活物質相に空隙がないことが分かる。また、1回充放電を繰り返した後の集電体の写真を図23(b)に示す。集電体に多数のしわがよっていることが分かる。
実施例1−1と実施例1−2、比較例1のサイクル特性の評価結果を図24に示す。比較例1に比べて、実施例1−1と実施例1−2のほうが容量維持率が高いことが分かる。
すなわち、活物質層の空隙が多いため、銅箔への応力が緩和され、銅箔にしわがよらなくなった結果、サイクル特性が向上した。
[参考例2−1]
ナノサイズ粒子に代えて、粒径100nmの純シリコン粒子を活物質粒子として用い、造粒体作製時に加えるポリイミドの量を4質量部とした以外は実施例1−1と同様にして負極を作製した。
[参考例2−2]
造粒体作製時に加えるポリイミドの量を7質量部とし、塗布用のスラリーに加えるポリイミドの量を13質量部とした以外は参考例2−1と同様にして負極を作製した。
[参考例2−3]
造粒体作製時に加えるポリイミドの量を7質量部とし、アセチレンブラックの量を7質量部とし、塗布用のスラリーに加えるポリイミドの量を13質量部とし、アセチレンブラックの量を9質量部とした以外は参考例2−1と同様にして負極を作製した。
[比較例2]
ナノサイズ粒子に変えて、粒径5μmの純シリコン粒子を活物質粒子として用いる以外は、比較例2と同様にして負極を作製した。
各実施例・比較例の条件を表1に示す。すなわち、参考例2−1〜2−3は、最終的な電極に含まれる活物質、アセチレンブラック、ポリイミドの量は同じであるが、造粒体やスラリーへどの程度加えるかを変化させた実施例である。
参考例2−1〜2−3、比較例2のサイクル特性の評価結果を図25に示す。参考例2−1〜2−3では、造粒することにより、比較例2に比べてサイクル特性が良好であることが分かる。特に、参考例2−1の割合で、アセチレンブラックとポリイミドを造粒体およびスラリーに加える場合に、200サイクル後の放電容量が最も高いことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a………非水電解質二次電池用負極
3………集電体
5、5a………活物質層
6………導電助剤
7………造粒体
8………塗布用結着剤
9………活物質粒子
10………造粒用結着剤
11………ナノサイズ粒子
13………第1の相
15………第2の相
17………ナノサイズ粒子
18………ナノサイズ粒子
19………第3の相
21………ナノサイズ粒子
22………ナノサイズ粒子
23………ナノサイズ粒子
25………第4の相
27………ナノサイズ粒子
29………第5の相
31………ナノサイズ粒子製造装置
35………原料粉末供給口
37………原料粉末
39………シースガス供給口
41………シースガス
43………キャリアガス
45………反応チャンバー
47………高周波コイル
49………高周波電源
51………プラズマ
53………フィルター
61………ナノサイズ粒子
63………第6の相
65………第7の相
67………ナノサイズ粒子
69………第8の相
71………ナノサイズ粒子
73………第9の相
75………ナノサイズ粒子
76………ナノサイズ粒子
77………第10の相
79………ナノサイズ粒子
81………ナノサイズ粒子
83………ナノサイズ粒子
85………第11の相
87………ナノサイズ粒子
89………第12の相
91………ナノサイズ粒子
101………ナノサイズ粒子
103………第13の相
105………第14の相
107………第15の相
109………ナノサイズ粒子
110………ナノサイズ粒子
111………第16の相
113………ナノサイズ粒子
115………第17の相
117………ナノサイズ粒子
119………ナノサイズ粒子
121………第18の相
123………ナノサイズ粒子
125………ナノサイズ粒子
127………第19の相
129………ナノサイズ粒子
131………第20の相
171………非水電解質二次電池
173………正極
175………負極
177………セパレータ
179………電池缶
181………正極リード
183………正極端子
185………負極リード
187………電解質
189………封口体
201………非水電解質二次電池用負極
203………集電体
205………活物質層
207………活物質粒子
207a………充電後の活物質粒子
209………結着剤

Claims (8)

  1. 集電体上に活物質層を有し、
    前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
    前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
    前記活物質粒子が、元素Aと元素Dとを含むナノサイズ粒子であり、
    前記元素AがSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
    前記元素DがFe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
    前記ナノサイズ粒子は、前記元素Aの単体または固溶体である第1の相と、前記元素Aと前記元素Dとの化合物である第2の相を少なくとも有し、
    前記第1の相と前記第2の相が、界面を介して接合している
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  2. 集電体上に活物質層を有し、
    前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
    前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
    前記活物質粒子が、元素Aと元素Mとを含むナノサイズ粒子であり、
    前記元素AがSi、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
    前記元素MがCu、AgおよびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
    前記ナノサイズ粒子は、前記元素Aの単体または固溶体である第6の相と、前記元素Aと前記元素Mとの化合物または前記元素Mの単体もしくは固溶体である第7の相を有し、
    前記第6の相と前記第7の相とは、界面を介して接合している
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  3. 集電体上に活物質層を有し、
    前記活物質層中に、造粒体と、塗布用結着剤(ただし、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアミドを除く。)と、を少なくとも含み、
    前記造粒体中に、活物質粒子と、造粒用結着剤とを少なくとも含み、
    前記活物質粒子が、元素A‐1と元素A‐2と元素Dとを含むナノサイズ粒子であり、
    元素A‐1と元素A‐2は、Si、Sn、Al、Pb、Sb、Bi、Ge、InおよびZnからなる群より選ばれた2種の元素であり、
    元素Dは、Fe、Co、Ni、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ba、ランタノイド元素(Pmを除く)、Hf、Ta、W、Re、Os、Irからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素であり、
    前記ナノサイズ粒子は、前記元素A‐1の単体または固溶体である第13の相と、前記元素A‐2の単体または固溶体である第14の相と、前記元素A‐1と前記元素Dとの化合物である第15の相とを有し、
    前記第13の相と前記第14の相とが、界面を介して接合しており、
    前記第13の相と前記第15の相とが、界面を介して接合している
    ことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  4. 前記塗布用結着剤が、ポリフッ化ビニリデンより強度が強い塗布用結着剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  5. 前記塗布用結着剤が、ポリフッ化ビニリデンより耐熱性及び耐久性に優れる塗布用結着剤であることを特徴とする、請求項4記載の非水電解質二次電池用負極。
  6. 前記塗布用結着剤が、スチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンより強度が強い塗布用結着剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
  7. 前記塗布用結着剤が、スチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンより耐熱性及び耐久性に優れる塗布用結着剤であることを特徴とする、請求項6記載の非水電解質二次電池用負極。
  8. リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の負極と、
    前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータとを有し、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質中に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを設けたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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