JP7375569B2 - リチウムイオン電池用負極活物質 - Google Patents

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Description

この発明はリチウムイオン電池用負極活物質に関する。
リチウムイオン電池は高容量、高電圧で小型化が可能である利点を有し、携帯電話やノートパソコン等の電源として広く用いられている。また近年、電気自動車やハイブリッド自動車等のパワー用途の電源として大きな期待を集め、その開発が活発に進められている。
このリチウムイオン電池では、正極と負極との間でリチウムイオン(以下Liイオンとする)が移動して充電と放電とが行われ、負極側では充電時に負極活物質中にLiイオンが吸蔵され、放電時には負極活物質からLiイオンが放出される。
従来、一般には正極側の活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)が用いられ、また負極活物質として黒鉛が広く使用されていた。しかしながら、負極活物質の黒鉛は、その理論容量が372mAh/gに過ぎず、より一層の高容量化が望まれている。そこで最近では炭素系負極活物質の代替材料として、高容量化が期待できるSi等の金属材料(Siの理論容量は4198mAh/gである)が盛んに研究されている。
ところが、SiはLiとの合金化反応によりLiイオンの吸蔵を行うため、Liイオンの吸蔵・放出に伴って大きな体積膨張・収縮を生じる。従ってSi単独で負極活物質を構成した場合、その膨張・収縮応力によってSiの粒子が割れたり集電体から剥離したりし、充放電を繰り返したときの容量維持特性であるサイクル特性が悪化する問題があった。
このような問題を解決するため、Siを用いた負極活物質において、Siを合金化することが各種提案されている(例えば下記特許文献1参照)。SiとともにSiと合金化する元素を含有した負極活物質では、Si相の周りに形成されたSi化合物相が、Si相の膨張時にその膨張応力を吸収するように働くことでSi相の割れや崩壊が抑制され、サイクル特性の向上を図ることが可能である。
一方、負極活物質中のSiを微細化することもサイクル特性向上に有効な手法として知られている。しかしながら、Siを合金化した負極活物質では、Si化合物相のLi吸蔵性、即ちLiパス特性が高くない。このため、微細化した場合に、LiイオンがSi化合物相中を拡散移動してSi相に到達し難くなり、その結果、初期放電容量や初期クーロン効率が低下してしまう問題があった。
特開2017-224499号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、サイクル特性、初期放電容量および初期クーロン効率がバランス良く改善されたリチウムイオン電池用負極活物質を提供することを目的としてなされたものである。
而して本発明は、Si相と、Si-Zr化合物相およびSn-X化合物相を含んで構成され、前記元素XはCu,Ti,Co,Fe,Ni,Zrよりなる群の中から選択された1種以上の元素であって、
全体に占める前記Sn-X化合物相の割合が0.1~18質量%で、Si相量が10~80質量%であることを特徴とする。
Si-Zr合金は、溶湯を冷却・凝固させる過程で、Si-Zr化合物相が島状、Si相が海状、となる。海状のSi相は多くの部分は最表面に位置しているため、Si相膨張時、Si-Zr化合物相に加わる応力が小さくなり、粒子の崩壊を抑制できる。また島状に配置されたSi-Zr化合物相は膨張しないため、粒子の構造を維持する骨材の役割を果たし、粒子の崩壊をより効果的に抑制することができ、充放電を繰り返したときの容量維持特性、即ちサイクル特性を高めることが可能である。
更に本発明では、Sn-X化合物相を含んで構成したことを特徴としている。Cu,Ti,Co,Fe,Ni,Zrよりなる群の中から選択された元素とSnから成るSn-X化合物は、Si-Zr化合物よりも高いLiイオン拡散性を有するため、合金粒子内にSi-Zr化合物とともにSn-X化合物を分散させることによりLiイオンの拡散パスの確保が容易となる。このためSi相を微細化してサイクル特性を高めた場合でも、初期放電容量や初期クーロン効率の低下を抑制することができる。
ここで本発明では、全体に占めるSn-X化合物相の割合を0.1~18質量%とする。Sn-X化合物相は、Sn単体より程度は小さいもののLiイオンとの反応により膨張するため過度にSn-X化合物相の割合が高いと、サイクル特性が低下する虞がある。このため本発明では、Sn-X化合物相の割合を0.1~18質量%としている。より好ましいSn-X化合物相の割合は、1~10質量%である。
また本発明では、Si相量を10~80質量%とする。Liイオンを吸蔵するSiの量が少ない場合、初期放電容量が低下し、逆にSiの量が多いと相対的にSi化合物相の量が低下してサイクル特性が低下する虞がある。このため本発明では、Si相量は、10~80質量%の範囲としている。より好ましいSi相量は、20~65質量%である。
ここでSi相は、最大サイズが500nm以下となるよう微細化することが好ましい。
以上のような本発明によれば、サイクル特性、初期放電容量および初期クーロン効率がバランス良く改善されたリチウムイオン電池用負極活物質を提供することができる。
実施例2に係る負極活物質の走査型電子顕微鏡による微細組織写真である。
次に本発明の一実施形態のリチウムイオン電池用負極活物質(以下単に負極活物質とする場合がある)、本負極活物質を負極に用いたリチウムイオン電池(以下単に電池とする場合がある)について具体的に説明する。
1.本負極活物質
本負極活物質は、Si-Zr-Sn-X合金からなり、Si相、Si-Zr化合物相およびSn-X化合物相を含んで構成される。ここで、元素XはCu,Ti,Co,Fe,Ni,Zrよりなる群の中から選択された1種以上の元素である。これら主構成元素(Si、Zr、Sn、元素X)以外の元素は不可避的なものを除けば含まれていない。
Si相は、Siを主に含有する相である。Li吸蔵量が大きくなるなどの観点から、好ましくはSiの単相よりなると良い。もっとも、Si相中には不可避的な不純物が含まれていても良い。
Si-Zr化合物相は、Si2Zrを主に含有する相であるが、不可避的に他のZrシリサイド相(Si4Zr、Si3Zr2、Si5Zr4、SiZr、SiZr2など)が含まれていても良い。マトリクス相(Si相)中に分散するSi-Zr化合物相の形状は、特に限定されるものではないが、このSi-Zr化合物相にてSi相の膨張・収縮を抑制する点を考慮すれば、Si相との接触面積が増加する扁平形状が望ましい。
一方、Sn-X化合物相は、Snと、Cu,Ti,Co,Fe,Ni,Zrよりなる群の中から選択された元素との化合物で構成された相である。Sn-X化合物の特徴は、Si-Zr化合物よりも高いLiイオン拡散性を有していることである。Li反応性を比較すると、Si-Zr化合物が100mAh/g、Sn単体が930mAh/gであるのに対し、Sn-X化合物は150~600mAh/gである。
即ち、本例の負極活物質では、Sn-X化合物相を介してLiイオンの拡散パスが確保され易くなる。一方で、Liイオンとの反応による膨張の程度は、Liイオンとの反応性が高いSnに比べて小さいため、Sn-X化合物が形成されたことによるサイクル特性への悪影響も低く抑えることができる。なお、Sn-X化合物相は、1種の化合物のみで構成する場合のほか、例えばSn-Zr化合物およびSn-Cu化合物の2種で構成することも可能である。このように本例の負極活物質は、Si、Si-Zr化合物、Sn-X化合物の相から成るものであるが、全体に占める割合が5質量%以下であれば非化合物のSn単体が不純物として含まれていても良い。
負極活物質の形態は、特に限定されるものではない。具体的には、薄片状、粉末状などの形態を例示することができる。好ましくは、負極の製造に適用しやすいなどの観点から、粉末状であると良い。また、本発明の負極活物質は、適当な溶媒中に分散されていても構わない。
本発明の負極活物質は、所定の化学組成を有する合金溶湯を急冷して急冷合金を形成する工程を経る方法にて製造することができる。得られた急冷合金が粉末状でない場合又は小径化したい場合には、急冷合金を適当な粉砕手段により粉砕して粉末状にする工程を追加しても良い。また、必要に応じて、得られた急冷合金を分級処理して適当な粒度に調整する工程などを追加しても良い。なお、Si、Si-Zr化合物およびSn-X化合物を別々に作製し、これらを混合することで、本発明の負極活物質を製造することも可能である。
尚、活物質の粒径(平均粒子径(d50))は、1~20μmの範囲内としておくことが望ましい。本発明における平均粒子径(d50)は、体積基準を意味し、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3000)を用いて測定することができる。
Si合金を活物質に用いた場合であっても、充放電反応に伴う活物質自体の体積膨張・収縮を生じ、これにより負極活物質をバインダにて結着して成る合剤層、つまり導電膜中に応力が発生する。この場合、バインダがその応力に耐えられないとバインダの崩壊が生じ、その結果、導電膜の集電体からの剥離を生じ、結果として電極内の導電性が低下し、充放電サイクル特性が低下する。しかるに活物質の平均粒径を1~20μmの微細な粒子としておいた場合、活物質が微細化であることによってバインダとの接触面積が増加し、これによりバインダの崩壊が良好に抑制され、結果としてサイクル特性を向上させることができる。
上記製造方法において、合金溶湯は、具体的には、例えば、所定の化学組成となるように各原料を量り取り、量り取った各原料を、アーク炉、高周波誘導炉、加熱炉などの溶解手段を用いて溶解させるなどして得ることができる。
合金溶湯を急冷する方法としては、具体的には、例えば、ロール急冷法(単ロール急冷法、双ロール急冷法等)、アトマイズ法(ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心アトマイズ法等)などの液体急冷法等を例示することができるが、特に冷却速度が高いロール急冷法を用いることが望ましい。
ここで、Si,Zrを含む合金溶湯を用いて、本発明の負極活物質を製造する場合には、具体的には、以下の方法によると良い。
即ち、ロール急冷法を適用する場合、急冷および回収チャンバ等のチャンバ内に出湯されて連続的(棒状)に下方に流れ落ちる合金溶湯を、周速10m/s~100m/s程度で回転する回転ロール(材質は、Cu、Feなど、ロール表面はメッキが施されていても良い)上で冷却する。合金溶湯は、ロール表面で冷却されることにより箔化または箔片化された合金材料となる。この場合、ボールミル、ディスクミル、コーヒーミル、乳鉢粉砕等の適当な粉砕手段により合金材料を粉砕し、その後必要に応じて分級や更なる微粉砕を行なうことで、粉末状の負極活物質が得られる。
一方、アトマイズ法を適用する場合、噴霧チャンバ内に出湯されて連続的(棒状)に下方に流れ落ちる合金溶湯に対し、N2、Ar、He等によるガスを高圧(例えば、1~10MPa)で噴き付け、溶湯を粉砕しつつ冷却する。冷却された溶湯は、半溶融のまま噴霧チャンバ内を自由落下しながら球形に近づき、粉末状の負極活物質が得られる。また、冷却効果を向上させる観点からガスに代えて高圧水を噴き付けても良い。
2.本電池
本電池は、本負極活物質を含む負極を用いて構成されている。
負極は、導電性基材と、導電性基材の表面に積層された導電膜とを有している。導電膜は、バインダ中に少なくとも上述した本負極活物質を含有している。導電膜は、他にも、必要に応じて、導電助材を含有していても良い。導電助材を含有する場合には、電子の導電経路を確保しやすくなる。
また、導電膜は、必要に応じて、骨材を含有していても良い。骨材を含有する場合には、充放電時の負極の膨張・収縮を抑制しやすくなり、負極の崩壊を抑制できるため、サイクル特性を一層向上させることができる。
上記導電性基材は、集電体として機能する。その材質としては、例えば、Cu、Cu合金、Ni、Ni合金、Fe、Fe基合金などを例示することができる。好ましくは、Cu、Cu合金であると良い。また、具体的な導電性基材の形態としては、箔状、板状等を例示することができる。好ましくは、電池としての体積を小さくできる、形状自由度が向上するなどの観点から、箔状であると良い。
上記バインダの材質としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸などを好適に用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、機械的強度が強く、活物質の体積膨張に対しても良く耐え得、バインダの破壊によって導電膜の集電体からの剥離を良好に防ぐ意味で、ポリイミド樹脂が特に好ましい。
上記導電助材としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、電子伝導性を確保しやすいなどの観点から、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを好適に用いることができる。
上記導電助材の含有量は、導電性向上度、電極容量などの観点から、本負極活物質100質量部に対して、好ましくは、0~30質量部、より好ましくは、4~13質量部の範囲内であると良い。また、上記導電助材の平均粒子径(d50)は、分散性、扱い易さなどの観点から、好ましくは、10nm~1μm、より好ましくは、20~50nmであると良い。
上記骨材としては、充放電時に膨張・収縮しない、または、膨張・収縮が非常に小さい材質のものを好適に用いることができる。例えば、黒鉛、アルミナ、カルシア、ジルコニア、活性炭などを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、導電性、Li活性度などの観点から、黒鉛などを好適に用いることができる。
上記骨材の含有量は、サイクル特性向上などの観点から、本負極活物質100質量部に対して、好ましくは、10~400質量部、より好ましくは、43~100質量部の範囲内であると良い。また、上記骨材の平均粒子径は、骨材としての機能性、電極膜厚の制御などの観点から、好ましくは、10~50μm、より好ましくは、20~30μmであると良い。なお、上記骨材の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
本負極は、例えば、適当な溶剤に溶解したバインダ中に、本負極活物質、必要に応じて、導電助材、骨材を必要量添加してペースト化し、これを導電性基材の表面に塗工、乾燥させ、必要に応じて、圧密化や熱処理等を施すことにより製造することができる。
本負極を用いてリチウムイオン電池を構成する場合、本負極以外の電池の基本構成要素である正極、電解質、セパレータなどについては、特に限定されるものではない。
上記正極としては、具体的には、例えば、アルミニウム箔などの集電体表面に、LiCoO2、LiNiO2、LiFePO4、LiMnO2などの正極活物質を含む層を形成したものなどを例示することができる。
上記電解質としては、具体的には、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液などを例示することができる。その他にも、ポリマー中にリチウム塩が溶解されたもの、ポリマーに上記電解液を含浸させたポリマー固体電解質などを用いることもできる。
上記非水溶媒としては、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記リチウム塩としては、具体的には、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、その他の電池構成要素としては、セパレータ、缶(電池ケース)、ガスケット等が挙げられるが、これらについても、リチウムイオン電池で通常採用される物であれば、何れの物であっても適宜組み合わせて電池を構成することができる。
なお、電池形状は、特に限定されるものではなく、筒型、角型、コイン型など何れの形状であっても良く、その具体的用途に合わせて適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、合金組成の%は、特に明示する場合を除き、質量%である。
1.負極活物質の作製
下記表1に示す合金組成となるように各原料を秤量した。秤量した各原料を高周波誘導炉を用いて加熱、溶解し、合金溶湯とした。得られた各合金溶湯を、単ロール急冷法を用いて急冷し、各急冷合金リボンを得た。なお、ロール周速は42m/s、ノズル距離は3mmとした。得られた各急冷合金リボンを、乳鉢を用いて機械的に粉砕し、粉末状の各負極活物質を作製した。また必要に応じて目的のSi相サイズが得られるように遊星型ボールミルを用いた微細化を行った。
Figure 0007375569000001
2.負極活物質の組織観察等
各実施例,比較例に係る負極活物質について、走査型電子顕微鏡(SEM)により組織観察を行った。またXRD(X線回折)による分析も併せて行ない、Si、Si-Zr化合物、Sn化合物の相からなることを確認した。確認された化合物相の種類は下記表2の通りである。尚、XRD分析はCo管球を用いて120°~20°の角度の範囲を測定した。
Figure 0007375569000002
本実施例の代表例として、Si-Zr-Sn-Cu合金からなる実施例2に係る負極活物質の走査型電子顕微鏡写真を図1に示した。図中黒色のSi相からなるマトリクス相中に、図中灰色の扁平形状のSi化合物相が多数分散していることが分かる。合金溶湯を冷却・凝固させる過程で、先にSi-Zr化合物が晶出し、その後Si(Si相)が晶出するため、Si-Zr化合物相は島状に、Si相は海状に形成される。なお、図1において、白色に分散して見えるのは、Siの後に晶出したSn-Cu化合物相である。
3.Si相のサイズの評価
SEMを用いて10000倍の倍率でSi相を撮影した。撮影した画像よりSi相のサイズを測定した。詳しくは5視野撮影し、各視野のSi相の最大長さを測定し、その最大値をSi相のサイズとした。なお、Si相が海状に広がっている場合は、つながったSi相を1つのSi相とみなし、その最大長さを測定した。その結果を表2に示している。
4.Si相量およびSn-X化合物相量の算出
表2で示すSi相量およびSn-X化合物相量の算出方法について、Si、Zr、Snを含有する実施例7の場合を例に算出方法を説明する。
(1)まず構成相を確認する。実施例7の場合、上記XRD分析の結果、Si、Si2Zr、Sn2Zrが確認された(表2参照)。
(2)Sn2Zrは、質量%比で表すと、72.3[Sn]-27.7[Zr]である。Snは全量が化合物となっており、これに対応してSn化合物化するZrの量は、3.6×27.7/72.3=1.4(質量%)となる。
(3)残りのZrの量40.8-1.4=39.4(質量%)は、Si化合物化するZrの量に相当する。
(4)Si2Zrは、質量%比で表すと、38.1[Si]-61.9[Zr]である。上記(3)のようにSi化合物化するZrの量は39.4(質量%)であることから、これに対応して化合物化するSiの量は39.4×38.1/61.9=24.3(質量%)となる。
(5)従って、全Si量から化合物化したSi量を差し引いて得たSi相量は、55.6-24.3=31.3(質量%)と算出することができる。
(6)またSn-X化合物(Sn2Zr)相量は、3.6(Sn量)×100/72.3=5.0(質量%)と算出することができる。
5.負極活物質の評価
5.1 充放電試験用コイン型電池の作製
初めに、各負極活物質100質量部と、導電助材としてのケッチェンブラック(ライオン(株)製)6質量部と、結着剤としてのポリイミド(熱可塑性樹脂)バインダ19質量部とを配合し、これを溶剤としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と混合し、各負極活物質を含む各ペーストを作製した。
以下の通り、各コイン型半電池を作製した。ここでは、簡易的な評価とするため、負極活物質を用いて作製した電極を試験極とし、Li箔を対極とした。先ず、負極集電体となるSUS316L箔(厚み20μm)表面に、ドクターブレード法を用いて、50μmになるように各ペーストを塗布し、乾燥させ、各負極活物質層を形成した。形成後、ロールプレスにより負極活物質層を圧密化した。これにより、実施例および比較例に係る試験極を作製した。
次いで、実施例および比較例に係る試験極を、直径11mmの円板状に打ち抜き、各試験極とした。
次いで、Li箔(厚み500μm)を上記試験極と略同形に打ち抜き、各対極を作製した。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等量混合溶媒に、LiPF6を1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
次いで、各試験極を各正極缶に収容するとともに(各試験極はリチウムイオン電池では負極となるべきものであるが、対極をLi箔としたときにはLi箔が負極となり、試験極が正極となる)、対極を各負極缶に収容し、各試験極と各対極との間に、ポリオレフィン系微多孔膜のセパレータを配置した。
次いで、各缶内に上記非水電解液を注入し、各負極缶と各正極缶とをそれぞれ加締め固定した。
5.2 充放電試験
各コイン型電池を用い、電流値0.2mAの定電流充放電を1サイクル分実施し、このLi放出時に使用した容量(mAh)を活物質量(g)で割った値を初期放電容量C0(mAh/g)とした。また、上記充放電サイクルにおける充電容量に対する放電容量の比率を、放電容量/充電容量の百分率で求めて初期クーロン効率(%)とした。
測定した上記初期放電容量C0については、1000(mAh/g)以上を「◎」、500~1000未満を「△」、500未満を「×」と評価し、その結果を表2に示している。
また、初期クーロン効率については、70%以上を「◎」、65~70%未満を「△」、65%未満を「×」と評価し、その結果を表2に示している。
2サイクル目以降は、1/5Cレートで充放電試験を実施した(Cレート:電極を(充)放電するのに要する電気量C0を1時間で(充)放電する電流値を1Cとする。5Cならば12分で、1/5Cならば5時間で(充)放電することとなる。)。そして、上記充放電サイクルを50回行うことにより、サイクル特性の評価を行った。そして、得られた各放電容量から容量維持率(50サイクル後の放電容量/初期放電容量(1サイクル目の放電容量)×100)を求めた。容量維持率については、70%以上を「◎」、60~70%未満を「△」、60%未満を「×」と評価し、その結果を表2に示している。
尚、表2の総合判定は、初期放電容量、初期クーロン効率および容量維持率の各項目の評価結果に基づいている。ここでは、
各項目が何れも「◎」であった場合に「◎(合格)」
何れか1つの項目が「△」、他の項目が「◎」であった場合に「○(合格)」
何れか2つの項目が「△」、もしくは何れか1つの項目が「×」であった場合に「×(不合格)」とした。
以上のようにして得られた表2の結果から次のことが分かる。
比較例1~4は、Sn-X化合物相を備えていない例である。Si相量が40%以上である比較例2,3は、初期放電容量および初期クーロン効率は高いが容量維持率が低い。
Si相量が33%の比較例1は、容量維持率が向上しているが目標(70%以上)未達である。
Siサイズが300nmに微細化された比較例4は、容量維持率は高いが、初期放電容量および初期クーロン効率が低下している。比較例1~4は、何れも総合判定が「×」である。
比較例5は、Si-Zr合金粉末とSn粉末を用いてメカニカルミリングにより活物質を作製した例で、Sn-X化合物に換えてLiイオンとの反応性が高いSnの相が形成されている。このため比較例5は、初期放電容量および初期クーロン効率は高いが、容量維持率が低く評価が「×」である。
比較例6は、Si-Zr化合物相に換えてSi-Fe化合物を形成した例であるが、容量維持率が低く評価が「×」である。比較例6は、Si相が島状、シリサイド相が海状の海島構造となっているため、Siが膨張する際に発生する応力がシリサイド相に加わり粒子が崩壊してしまいサイクル特性が悪くなったものと推定される。
これに対し各実施例は、総合判定が「◎」もしくは「○」であり、サイクル特性、初期放電容量および初期クーロン効率がバランス良く改善されていることが分かる。特にSi相量を20~65%、Si相サイズを500nm以下、更にSn-X化合物相量を1~10%とした実施例において、高い評価が得られている。
以上本発明のリチウムイオン電池用負極活物質およびリチウムイオン電池について詳しく説明したが、本発明は上記実施形態,実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (4)

  1. Si相、Si-Zr化合物相およびSn-X化合物相を含んで構成され、前記元素XはCu,Ti,Co,Fe,Ni,Zrよりなる群の中から選択された1種以上の元素であって、
    全体に占める前記Sn-X化合物相の割合が0.1~18質量%で、Si相量が10~80質量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用負極活物質。
  2. 前記Si相の最大サイズが500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極活物質。
  3. 前記Si相量が20~65質量%であることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載のリチウムイオン電池用負極活物質。
  4. 前記Sn-X化合物相の割合が1~10質量%であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のリチウムイオン電池用負極活物質。
JP2020006710A 2019-02-06 2020-01-20 リチウムイオン電池用負極活物質 Active JP7375569B2 (ja)

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