JP2024018915A - リチウムイオン電池負極用Si合金粉末 - Google Patents

リチウムイオン電池負極用Si合金粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性を高めることが可能なリチウムイオン電池負極用Si合金粉末を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池負極用Si合金粉末は、Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方と、を含むSi合金粉末である。元素Xは、Fe,Ni,Cr,Co,Mn,Zr,Tiよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成され、元素Yは、Ag,Au,B,Ba,Be,C,Ca,Cd,Ce,Cs,Dy,Er,Eu,F,Ga,Gd,H,Hf,Hg,Ho,Ir,La,Mo,N,Nd,O,Os,Pr,Pt,Rb,Re,Rh,Ru,S,Sb,Sc,Se,Sr,Ta,Tc,Te,Th,Tl,Tm,W,Yよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成されている。このSi合金粉末の平均粒径が50μm以下で、Si合金全体に占めるSi相量が30~95質量%である。【選択図】 なし

Description

この発明はリチウムイオン電池負極用Si合金粉末に関する。
リチウムイオン電池は高容量、高電圧で小型化が可能である利点を有し、携帯電話やノートパソコン等の電源として広く用いられている。また近年、電気自動車やハイブリッド自動車等のパワー用途の電源として大きな期待を集め、その開発が活発に進められている。
このリチウムイオン電池では、正極と負極との間でリチウムイオン(以下Liイオンとする場合がある)が移動して充電と放電とが行われ、負極側では充電時に負極活物質中にLiが吸蔵され、放電時には負極活物質からイオンとしてLiが放出される。
従来、一般には正極側の活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)が用いられ、また負極活物質として黒鉛が広く使用されていた。しかしながら、負極活物質の黒鉛は、その理論容量が372mAh/gに過ぎず、より一層の高容量化が望まれていた。
特開2017-224499号公報
炭素系電極材料の代替として、高容量化が期待できるSi等の金属材料(Siの理論容量は4198mAh/gである)が検討されている。SiはLiとの合金化反応によりLiの吸蔵を行うため、Liの吸蔵・放出に伴って大きな体積膨張・収縮を生じる。このためSiの粒子が割れたり集電体から剥離したりし、充放電を繰り返したときの容量維持特性であるサイクル特性が悪化する問題がある。
このような問題を解決するための手段としては、Si自体を微細化してその膨張量を抑えることや、Siを合金化することが提案されている(例えば上記特許文献1参照)。しかしながら、このようなサイクル特性を高めるため手段は、初期放電容量を低下させてしまう場合もあり、初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性を高めることについては、未だ改善の余地があった。
本発明は以上のような事情を背景とし、初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性を高めることができる新規なリチウムイオン電池負極用Si合金粉末を提供することを目的とするものである。
而して本発明のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末は、Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方と、を含むSi合金粉末であって、
前記元素Xは、Fe,Ni,Cr,Co,Mn,Zr,Tiよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成され、
前記元素Yは、Ag,Au,B,Ba,Be,C,Ca,Cd,Ce,Cs,Dy,Er,Eu,F,Ga,Gd,H,Hf,Hg.Ho,Ir,La,Mo,N,Nd,O,Os,Pr,Pt,Rb,Re,Rh,Ru,S,Sb,Sc,Se,Sr,Ta,Tc,Te,Th,Tl,Tm,W,Yよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成され、
前記Si合金粉末の平均粒径が50μm以下で、
Si合金全体に占める前記Si相量が30~95質量%であることを特徴とする。
このように規定されたリチウムイオン電池負極用Si合金粉末は、リチウムイオン電池の負極活物質として用いられて初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性を高めることができる。
また本発明のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末では、前記元素XをFe,Ni,Cr,Tiの何れかとすることができる。
また、前記Si合金粉末の平均粒径を10μm以下とすることができる。
また、Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方を、それぞれ分離した状態で別々に存在させることも可能である。
この場合、前記Si相、SiX化合物相およびSnY化合物相のそれぞれの平均粒径をmdSi、mdSiX、mdSnYとしたとき、前記平均粒径mdSi、mdSiX、mdSnYがいずれも0.1~50μmの範囲内で、mdSi/mdSiXおよびmdSi/mdSnYで表される平均粒径の比をいずれも0.1~5.0の範囲内とすることで、更にサイクル特性を向上させることができる。
(A)はSi相、SiX化合物相およびSnY化合物相を備えたSi合金粒子の模式図、(B)は(A)のSi合金粒子を微粉砕させて得た本発明の他の実施形態の負極用Si合金粉末の模式図を示している。 図1(B)の負極用Si合金粉末の効果を説明するための模式図である。 図1(B)の負極用Si合金粉末の効果を説明するための図2とは異なる模式図である。
次に本発明の一実施形態のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末(以下、単に負極用Si合金粉末とする場合がある)、および、本負極用Si合金粉末を負極に用いたリチウムイオン電池(以下、単に電池とする場合がある)について具体的に説明する。
1.負極用Si合金粉末
本負極用Si合金粉末は、Si、SnおよびAlの少なくとも一方、元素X、および、元素Yを主構成元素とするものである。ここで、元素XはFe,Ni,Cr,Co,Mn,Zr,Tiよりなる群の中から選択された1種以上の元素、また元素YはSnまたはAlと化合物を形成する1種以上の元素である。
この元素Yとしては、Ag,Au,B,Ba,Be,Bi,C,Ca,Cd,Ce,Cs,Dy,Er,Eu,F,Ga,Gd,Ge,H,Hf,Hg.Ho,In,Ir,La,Mg,Mo,N,Nb,Nd,O,Os,P,Pb,Pd,Pr,Pt,Rb,Re,Rh,Ru,S,Sb,Sc,Se,Sr,Ta,Tc,Te,Th,Tl,Tm,V,W,Y,Znを例示することができる。
これら主構成元素(Si、Sn、Al、元素X、元素Y)以外の元素は不可避的なものを除けば含まれていない。
本負極用Si合金粉末は、その金属組織として、Si相、SiX化合物相、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方、を含んでいる。なお、全体に占める割合が5質量%以下であれば非化合物のSn単体(Sn相)等が不純物として含まれていてもよい。
Si相は、Siを主に含有する相である。Li吸蔵量が大きくなるなどの観点から、好ましくはSiの単相よりなると良い。もっとも、Si相中には不可避的な不純物が含まれていても良い。
本負極用Si合金粉末において、Liイオンを吸蔵するSi相の割合が低い場合、初期放電容量が低下する。このため本実施形態では、Si相量を30質量%以上とする。好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
但しSi相の割合が高いと相対的にSiX化合物相の割合が低下してサイクル特性が悪化する。このため本実施形態では、Si相量を95質量%以下とする。好ましくは80質量%以下である。
一方、SiX化合物相を構成するSiX化合物は、Li吸蔵性に乏しくLiイオンとの反応による膨張は非常に小さい。このためSiX化合物相は、電極の構造を維持する骨格の役割を果たしている。このような効果を得るため、Si合金全体に占めるSiX化合物の割合は、1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上である。但し、SiX化合物の割合が高くなると初期放電容量の低下を招くため、Si合金全体に占めるSiX化合物の割合は、70質量%以下が好ましい。より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは35質量%以下である。
なお、サイクル特性を高める観点から、SiX化合物を形成する元素Xは、Fe,Ni,Cr,Tiの何れかとすることが好ましい。
また、本負極用Si合金粉末におけるSiX化合物相は、1種の化合物のみで構成する場合のほか、例えばSiFe化合物とSiNi化合物など、2種以上の化合物で構成することも可能である。
他方、SnY化合物相を構成するSnY化合物およびAlY化合物相を構成するSnY化合物は、理論容量がSiよりも低く、SiX化合物よりも高いものとされており、SnY化合物相(もしくはAlY化合物相)を介してLiイオンの拡散パスが確保され易くなる。このため本負極用Si合金粉末は、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方を含む構成とすることで、吸蔵されるLi濃度の均一化を図ることができる。
Liとの反応による膨張の程度は、Liとの反応性が高いSi単体に比べて小さいため、SnY化合物相(もしくはAlY化合物相)が形成されたことによるサイクル特性への悪影響も低く抑えることができる。
本実施形態では、Si合金全体に占めるSnY化合物とAlY化合物の合計が、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上である。
一方で、これら化合物の上限については、Si合金全体に占めるSnY化合物とAlY化合物の合計が20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは9質量%以下である。
本負極用Si合金粉末は、SnY化合物相およびAlY化合物相の何れか一方のみを含む場合の他、SnY化合物相およびAlY化合物相の両相を含むものであってもよい。SnY化合物相およびAlY化合物相は、SiX化合物相の場合と同様に、1種の化合物のみで構成する場合のほか、それぞれ2種以上の化合物で構成することも可能である。
以上のように、SiX化合物と、SnY化合物およびAlY化合物とでは、果たす役割が異なっており、これら化合物を所定の割合で含むように構成することで、電池特性を向上させることができる。
詳しくは、SiX化合物/(SnY化合物+AlY化合物)で表される質量比が小さいと、即ちSnY化合物とAlY化合物との合計が相対的に大きいと、Liとの反応により膨張するSnY化合物およびAlY化合物の影響が大きくなりサイクル特性が低下する虞がある。
一方、同質量比が大きいと、即ちSnY化合物とAlY化合物との合計が相対的に小さいと、Liイオンの拡散性が低下しSi相に吸蔵されるLi濃度が不均一となることから、Li濃度の高い部分で局所的に高い応力が生じ、その結果、粉末粒子の割れが促進されてサイクル特性が低下する虞がある。このため本例では、SiX化合物/(SnY化合物+AlY化合物相)で表される質量比を0.1~39の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは1~39の範囲内、更に好ましくは1~10の範囲内、更に好ましくは2~8の範囲内である。
このように構成された本負極用Si合金粉末の平均粒径(メジアン径d50)は、50μm以下である。好ましくは1μm以下である。微細化によりSi相の膨張量が抑えられ、その崩壊が抑制されるからである。但し、粒径が過度に小さい場合にはSi合金粉末の比表面積が大きくなった(電解質と接触する面積が増えた)ことにより表面で生じる不可逆反応量が増大するため、平均粒径(d50)は0.1μm以上であることが好ましい。ここで平均粒径(d50)は、体積基準を意味し、レーザ回折・散乱式粒子分布測定装置を用いて測定することができる。
以上のような構成相を得るのに好適な各主要元素の含有量は以下の通りである。尚、以降の説明では、特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする。
Siは、その含有量が少ないと初期放電容量が低くなる。但し、含有量が多くなり過ぎるとサイクル特性が低下する。このためSiは、50%以上の範囲で含有させるのが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは71%以上である。また、Siは、95%以下の範囲で含有させるのが好ましい。より好ましい範囲は80%以下である。
元素Xは、その含有量が少ないとサイクル特性が低くなる。但し、含有量が多くなり過ぎると初期放電容量が低下する。このため元素Xは、1%以上で含有させるのが好ましい。より好ましくは5%以上である。また、元素Xは、30%以下で含有させるのが好ましい。より好ましく20%以下である。
元素Yは、その含有量が少ないとLi拡散パスとしての効果が得られない。但し、含有量が多くなり過ぎるとSnY化合物もしくはAlY化合物による膨張が大きくなりサイクル特性が低下する。このため元素Yは、0.1%以上含有させるのが好ましい。より好ましくは1%以上である。また、元素Yは、15%以下の範囲で含有させるのが好ましい。より好ましい範囲は10%以下である。
次に、本負極用Si合金粉末の製造方法について説明する。
所定の化学組成となるように各原料を量り取り、量り取った各原料を、アーク炉、高周波誘導炉、加熱炉などの溶解手段を用いて溶解させるなどして得た合金溶湯をアトマイズ法を用いて急冷して急冷合金としてのSi合金を得る。
アトマイズ法では、噴霧チャンバ内に出湯されて連続的(棒状)に下方に流れ落ちる合金溶湯に対し、N2、Ar、He等によるガスを高圧(例えば、1~10MPa)で噴き付け、溶湯を粉砕しつつ冷却する。冷却された溶湯は、半溶融のまま噴霧チャンバ内を自由落下しながら球形に近づき、Si合金粒子が得られる。Si合金粒子の組織内にはSi相、SiX化合物相およびSnY化合物相が形成されている。
なおアトマイズ法においては、冷却効果を向上させる観点からガスに代えて高圧水を噴き付けても良い。また場合によってはアトマイズ法に代えてロール急冷法を用いて箔片化されたSi合金を得ることも可能である。
次に上記Si合金粒子を湿式粉砕法が用いて微粉砕し、本負極用Si合金粉末を得ることができる。
湿式粉砕法としては、ビーズミルや遊星ボールミルを用いた湿式粉砕法を採用することができる。湿式粉砕では、粉砕するSi合金粒子とともに溶媒が用いられる。溶媒として、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ナフテゾールなどを用いることができる。また、分散材を加えることも可能である。湿式粉砕の後、粉砕物に対してアルゴンなどの不活性ガスを流すことにより、または真空乾燥を実施することにより溶媒が除去され、微粉砕された本負極用Si合金粉末を得ることができる。
なお、上記の製造方法に代えて、Si単相粒子、SiX化合物粒子、SnY化合物粒子およびAlY化合物粒子の少なくとも一方、をそれぞれ単独で製造し、これら粒子を所定の比率で混合、粉砕して本負極用Si合金粉末を得ることも可能である。
図1(B)は、本発明の他の実施形態の負極用Si合金粉末の模式図である。
同図で示すように、負極用Si合金粉末3では、Si相3a、SiX化合物相3bおよびSnY化合物相3cがそれぞれ分離した状態で存在する。そして、Si相3a、SiX化合物相3bおよびSnY化合物相3cのそれぞれの平均粒径をmdSi、mdSiX、mdSnYとしたとき、平均粒径mdSi、mdSiX、mdSnYはいずれも0.1~50μmの範囲内とされている。
ここでの「粒径」とは、電子顕微鏡観察下で本負極用Si合金粉末を構成する各相の面積を測定し、同じ面積を有する円に換算したときの直径、即ち円相当直径をいう。また、「平均粒径」とは、Si相、SiX化合物相およびSnY化合物相のそれぞれの粉末の断面SEM画像(5000倍)から粒子100個について解析した平均粒径(メジアン径d50)をいう。
本負極用Si合金粉末では、Si相が、他のSiX化合物相、SnY化合物相とは独立に存在するためSi相の周りにはSiの膨張を許容するスペースが形成され易く、このスペースがSiの膨張に対する緩衝領域となって、電極内で骨格としての役割を果たすSiX化合物相の崩壊を抑制することができ、サイクル特性の向上を図ることができる。
但し、図2で示すように、Si相3aの粒径がSiX化合物相3b(もしくはSnY化合物相3c)に対して過度に大きい場合には、Si相3aの膨張および収縮が繰り返されることで電極が崩壊しサイクル特性が悪化する。なお、同図における4は、電極の一部を構成する導電性基材である。
一方、図3で示すように、Si相3aの粒径がSiX化合物相3b(もしくはSnY化合物相3c)に対して過度に小さい場合は、Si相3aがSiX化合物相3b(もしくはSnY化合物相3c)により囲まれて、Si相3aにおけるLiイオンの吸蔵・放出が妨げられてしまうため、初期クーロン効率および初期容量が悪化する場合がある。
このため本例ではmdSi/mdSiXおよびmdSi/mdSnYで表される平均粒径の比をいずれも0.1~5.0の範囲内とすることで、初期特性(初期放電容量、初期クーロン効率)およびサイクル特性の悪化を防いでいる。より好ましい平均粒径の比は0.3~1.5の範囲内である。更に好ましい平均粒径の比は0.5~1.2の範囲内である。
本実施形態の負極用Si合金粉末3は、アトマイズ法で得られた図1(A)で示すようなSi合金粒子1(このSi合金粒子1の組織内にはSi相、SiX化合物相およびSnY化合物相が形成されている)を湿式粉砕法が用いて微細化することで得ることができる。
また、上記3種の相を内部に備えたSi合金粒子1を粉砕する方法に換えて、溶湯から直接Si粒子、SiX化合物粒子、SnY化合物粒子を別々に形成し、これら粒子をそれぞれ所定の粒径となるよう粉砕し、その後混合する方法を採用することも可能である。
なお、本実施形態ではSi相、SiX化合物相およびSnY化合物の3相を備えた負極用Si合金粉末を例示したが、本実施形態の負極用Si合金粉末は、SnY化合物相に代えてAlY化合物相を含むものであってもよいし、SnY化合物相とAlY化合物相の両方を含むものであってもよい。本実施形態の負極用Si合金粉末中にAlY化合物相が含まれる場合、前記平均粒径mdSnYはSnY化合物相およびAlY化合物相の平均粒径を示す。
2.電池
次に、本負極用Si合金粉末を含む負極を用いて構成された電池について説明する。
負極は、導電性基材と、導電性基材の表面に積層された導電膜とを有している。導電膜は、バインダ中に少なくとも上述した本負極用Si合金粉末を含有している。導電膜は、他にも、必要に応じて、導電助材を含有していても良い。導電助材を含有する場合には、電子の導電経路を確保しやすくなる。
また、導電膜は、必要に応じて、骨材を含有していても良い。骨材を含有する場合には、充放電時の負極の膨張・収縮を抑制しやすくなり、負極の崩壊を抑制できるため、サイクル特性を一層向上させることができる。
上記導電性基材は、集電体として機能する。その材質としては、例えば、Cu、Cu合金、Ni、Ni合金、Fe、Fe基合金などを例示することができる。好ましくは、Cu、Cu合金であると良い。また、具体的な導電性基材の形態としては、箔状、板状等を例示することができる。好ましくは、電池としての体積を小さくできる、形状自由度が向上するなどの観点から、箔状であると良い。
上記バインダの材質としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸などを好適に用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、機械的強度が強く、活物質の体積膨張に対しても良く耐え得、バインダの破壊によって導電膜の集電体からの剥離を良好に防ぐ意味で、ポリイミド樹脂が特に好ましい。
上記導電助材としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、電子伝導性を確保しやすいなどの観点から、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを好適に用いることができる。
上記導電助材の含有量は、導電性向上度、電極容量などの観点から、本負極用Si合金粉末100質量部に対して、好ましくは、0~30質量部、より好ましくは、4~13質量部の範囲内であると良い。また、上記導電助材の平均粒子径(d50)は、分散性、扱い易さなどの観点から、好ましくは、10nm~1μm、より好ましくは、20~50nmであると良い。
上記骨材としては、充放電時に膨張・収縮しない、または、膨張・収縮が非常に小さい材質のものを好適に用いることができる。例えば、黒鉛、アルミナ、カルシア、ジルコニア、活性炭などを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、導電性、Li活性度などの観点から、黒鉛などを好適に用いることができる。
上記骨材の含有量は、サイクル特性向上などの観点から、本負極用Si合金粉末100質量部に対して、好ましくは、10~400質量部、より好ましくは、43~100質量部の範囲内であると良い。また、上記骨材の平均粒子径は、骨材としての機能性、電極膜厚の制御などの観点から、好ましくは、10~50μm、より好ましくは、20~30μmであると良い。なお、上記骨材の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
本負極は、例えば、適当な溶剤に溶解したバインダ中に、本負極用Si合金粉末、必要に応じて、導電助材、骨材を必要量添加してペースト化し、これを導電性基材の表面に塗工、乾燥させ、必要に応じて、圧密化や熱処理等を施すことにより製造することができる。
本負極を用いてリチウムイオン電池を構成する場合、本負極以外の電池の基本構成要素である正極、電解質、セパレータなどについては、特に限定されるものではない。
上記正極としては、具体的には、例えば、アルミニウム箔などの集電体表面に、LiCoO2、LiNiO2、LiFePO4、LiMnO2などの正極活物質を含む層を形成したものなどを例示することができる。
上記電解質としては、具体的には、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液などを例示することができる。その他にも、ポリマー中にリチウム塩が溶解されたもの、ポリマーに上記電解液を含浸させたポリマー固体電解質などを用いることもできる。
上記非水溶媒としては、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記リチウム塩としては、具体的には、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、その他の電池構成要素としては、セパレータ、缶(電池ケース)、ガスケット等が挙げられるが、これらについても、リチウムイオン電池で通常採用される物であれば、何れの物であっても適宜組み合わせて電池を構成することができる。
なお、電池形状は、特に限定されるものではなく、筒型、角型、コイン型など何れの形状であっても良く、その具体的用途に合わせて適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
1.負極用Si合金粉末の作製
予め製造したSi単相粒子、SiX化合物粒子、SnY化合物粒子もしくはAlY化合物粒子を、下記表1~3の目標構成相が得られるような比率で混合した後、湿式ビーズミルを用いて機械的に微粉砕し、負極用Si合金粉末とした。
Figure 2024018915000001
Figure 2024018915000002
Figure 2024018915000003
2. 充放電試験用コイン型電池の作製
作製した負極活物質としての負極用Si合金粉末100質量部と、導電助材としてのケッチェンブラック(ライオン(株)製)6質量部と、結着剤としてのポリイミド(熱可塑性樹脂)バインダ19質量部とを配合し、これを溶剤としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と混合し、各負極用Si合金粉末を含む各ペーストを作製した。
続いて以下の通り、各コイン型半電池を作製した。ここでは、簡易的な評価とするため、負極用Si合金粉末を用いて作製した電極を試験極とし、Li箔を対極とした。先ず、負極集電体となるSUS316L箔(厚み20μm)表面に、ドクターブレード法を用いて、50μmになるように各ペーストを塗布し、乾燥させ、各負極活物質層を形成した。形成後、ロールプレスにより負極活物質層を圧密化した。これにより、実施例および比較例に係る試験極を作製した。
次いで、実施例および比較例に係る試験極を、直径11mmの円板状に打ち抜き、各試験極とした。
次いで、Li箔(厚み500μm)を上記試験極と略同形に打ち抜き、各対極を作製した。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等量混合溶媒に、LiPF6を1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
次いで、各試験極を各正極缶に収容するとともに(各試験極はリチウムイオン電池では負極となるべきものであるが、対極をLi箔としたときにはLi箔が負極となり、試験極が正極となる)、対極を各負極缶に収容し、各試験極と各対極との間に、ポリオレフィン系微多孔膜のセパレータを配置した。
次いで、各缶内に上記非水電解液を注入し、各負極缶と各正極缶とをそれぞれ加締め固定した。
3.負極用Si合金粉末の評価
3-1.負極用Si合金粉末の平均粒径測定
各負極用Si合金粉末の平均粒径(d50)を、粒子径分布測定装置(日機装株式会社製 マイクロトラックMT3000)を用いて、レーザ回折法により測定した。
3-2.充放電試験
作製した各コイン型電池を用い、電流値0.2mAの定電流充放電を1サイクル分実施した。このLi放出時に使用した容量(mAh)を活物質量(g)で割った値から初期放電容量C0(mAh/g)を算出した。
初期放電容量(mAh/g)についての判定は、520以上であった場合を「優」、470~520未満であった場合を「良」、420~470未満であった場合を「可」、420未満であった場合を「不可」とし、その結果を表1~3に示している。
充放電試験の2サイクル目以降は、1/5Cレートで充放電試験を実施した(Cレート:電極を(充)放電するのに要する電気量C0を1時間で(充)放電する電流値を1Cとする。5Cならば12分で、1/5Cならば5時間で(充)放電することとなる。)。そして、上記充放電サイクルを100回行うことにより、サイクル特性の評価を行った。得られた各放電容量から容量維持率(100サイクル後の放電容量/初期放電容量(1サイクル目の放電容量)×100)を求めた。そして、容量維持率についての判定は、90%以上であった場合を「優」、85%~90%未満であった場合を「良」、80%~85%未満であった場合を「可」、80%未満であった場合を「不可」とし、その結果を表1~3に示している。
以上のようにして得られた表1~3の結果から次のことが分かる。
比較例1,2は、平均粒径が本実施形態で規定する上限(50μm)を上回っており、サイクル特性についての評価が「不可」であった。
比較例3は、SiX相を備えていない例であり、サイクル特性についての評価が「不可」であった。
比較例4は、Si相量が本実施形態で規定する下限値(30質量%)を下回っており、初期放電容量についての評価が「不可」であった。
比較例5は、Si相量が本実施形態で規定する上限値(95質量%)を上回っており、サイクル特性についての評価が「不可」であった。
以上のように比較例1~5は、初期放電容量、サイクル特性いずれかの評価が「不可」であり、初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性ついては十分に高められていない。
これに対し負極用Si合金粉末が、Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方と、を含み、平均粒径が50μm以下で、Si合金全体に占めるSi相量が30~95質量%である各実施例については、初期放電容量、サイクル特性のいずれにおいても「不可」の評価は無く、初期放電容量およびサイクル特性を考慮した電池特性が高められていることが分かる。
更に詳しくは、実施例1~4と実施例7~9とを比較すると、Siと化合物を形成する元素XがFe,Ni,Cr,Tiの何れかである場合に、元素XがMn,Zr,Coの何れかである場合よりも高いサイクル特性が得られていることが分かる。
また、平均粒径に注目して実施例1~4と実施例72~75とを比較すると、同一の構成相であっても平均粒径が10μm以下にまで微細化された場合において、更にサイクル特性が高められていることが分かる。
次に、下記表4で示す実施例は、Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相をそれぞれ分離させ、各相の平均粒径比を制御した例である。Si粒子、SiX化合物粒子、SnY化合物粒子を別々に形成し、これら粒子をそれぞれ所定の粒径となるよう粉砕し、その後混合して負極用Si合金粉末を作製した。
なお、別々に存在するSi相、SiX化合物相およびSnY化合物相のそれぞれの粉末の断面SEM画像(倍率5000倍)から各100個について粒径(円相当直径)を測定し、それぞれの粒径分布における積算値50%での粒径を、各相における平均粒径mdSi、mdSiX、mdSnYとした。このようにして求めた各相の平均粒径mdSi,mdSiX,mdSnYおよび平均粒径の比mdSi/mdSiX,mdSi/mdSnYの値を充放電試験の結果とともに表4に示している。
Figure 2024018915000004
以上のようにして得られた表4の結果から次のことが分かる。
表4で示す実施例81,82,83,84は、それぞれ同じ構成の実施例1,2,12,15(表1参照)と比べてみると、初期放電容量は同じであるがサイクル特性の値が高くなっている。このことからSi相と、SiX化合物相と、SnY化合物相をそれぞれ分離させ、各相の平均粒径比を制御すること(詳しくは、mdSi/mdSiXおよびmdSi/mdSnYで表される平均粒径比をいずれも0.1~5.0の範囲内とすること)が、サイクル特性を向上させるのに有効であることが分かる。
以上、本発明のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末およびリチウムイオン電池について詳しく説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。例えば、本発明の負極材料粉末は、上記実施形態のような液系リチウムイオン電池用の負極材料粉末ほか、全固体リチウムイオン電池用の負極材料粉末にも適用可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (4)

  1. Si相と、SiX化合物相と、SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方と、を含むSi合金粉末であって、
    前記元素Xは、Fe,Ni,Cr,Co,Mn,Zr,Tiよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成され、
    前記元素Yは、Ag,Au,B,Ba,Be,C,Ca,Cd,Ce,Cs,Dy,Er,Eu,F,Ga,Gd,H,Hf,Hg.Ho,Ir,La,Mo,N,Nd,O,Os,Pr,Pt,Rb,Re,Rh,Ru,S,Sb,Sc,Se,Sr,Ta,Tc,Te,Th,Tl,Tm,W,Yよりなる群の中から選択された1種以上の元素で構成され、
    前記Si合金粉末の平均粒径が50μm以下で、
    Si合金全体に占める前記Si相量が30~95質量%である、リチウムイオン電池負極用Si合金粉末。
  2. 前記元素XがFe,Ni,Cr,Tiの何れかの元素である、請求項1に記載のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末。
  3. 前記平均粒径が10μm以下である、請求項1に記載のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末。
  4. 前記Si相と、前記SiX化合物相と、前記SnY化合物相およびAlY化合物相の少なくとも一方は、それぞれ分離した状態で別々に存在し、
    前記Si相、前記SiX化合物相および前記SnY化合物相のそれぞれの平均粒径をmdSi、mdSiX、mdSnYとしたとき、
    前記平均粒径mdSi、mdSiX、mdSnYはいずれも0.1~50μmの範囲内で、
    mdSi/mdSiXおよびmdSi/mdSnYで表される平均粒径の比がいずれも0.1~5.0の範囲内である(但し、AlY化合物相を含む場合、前記平均粒径mdSnYはSnY化合物相およびAlY化合物相の平均粒径を示す)、請求項1~3の何れかに記載のリチウムイオン電池負極用Si合金粉末。
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