JP5652965B2 - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
このような状況下、長時間に亘って安定的に高い効率でジアリールカーボネートを製造する技術を開発することへの要望が高まっている。
金属含有触媒組成物を反応触媒として用いるジアリールカーボネートの製造方法であって、
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とをエステル交換反応させることにより、アルキルアリールカーボネートを得るとともに、副生するアルコール類を反応系外に取り出す工程(1)と、
該工程(1)で得られたアルキルアリールカーボネートをエステル交換反応または不均化反応させることにより、ジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る工程(2)と、
該工程(2)で得られた反応生成物を蒸留することにより、ジアリールカーボネートを含む低沸点成分と、反応触媒を含む高沸点成分とに分離する工程(3)と、
該工程(3)で分離された高沸点成分を、前記工程(1)および/または前記工程(2)にリサイクルする工程(4)とを含み、
前記工程(3)で分離された高沸点成分中に該ジアリールカーボネートより高沸点の成分が70質量%以下含まれており、
前記工程(3)で分離された高沸点成分が下記式(1)で表される化合物を含み、
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる下記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ下記(iv)〜(vi)の条件を満たすことを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法;
(i)下記式(1)において、Xが下記式(2)または下記式(3)であり、Yが下記式(3)である化合物、
(ii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが下記式(3)である化合物、および/または下記式(1)において、Xが下記式(3)であり、Yが水素である化合物、
(iii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが水素である化合物、
(iv)「上記(i)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜20であること、
(v)「上記(ii)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜4であること、
(vi)「上記(iii)の化合物のモル数/金属原子のモル数」が2未満であること。
[2]
前記金属含有触媒組成物が、チタン含有触媒組成物であることを特徴とする[1]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[3]
前記チタン含有触媒組成物が、ジアリールカーボネートおよびアリールオキシチタン組成物から形成されるチタン含有組成物であって、該チタン含有組成物100質量%に対して、前記アリールオキシチタン組成物を構成するチタンの含有率が0.1〜20質量%であることを特徴とする[2]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[4]
前記アリールオキシチタン組成物を構成するチタンが4価であることを特徴とする[3]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[5]
前記アリールオキシチタン組成物が、チタン原子1個に対して、アリールオキシ基を1以上4以下の整数個有していることを特徴とする[3]または[4]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[6]
前記工程(1)および/または前記工程(2)において反応溶媒を用い、
前記金属含有触媒組成物が、前記反応溶媒に可溶であること、または前記反応溶媒と均一相となることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[7]
前記式(1)で表される化合物が、下記式(4)〜下記式(8)で表される化合物群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[8]
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分において、「前記式(1)で表される化合物の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜10であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[9]
前記工程(1)および/または前記工程(2)が、ジアリールカーボネート、アリールオキシチタン組成物ならびに下記式(X)および/または下記式(Y)で表される化合物を含む組成物Aの存在下で行われ、
前記組成物Aにおける、下記式(X)および下記式(Y)で表される化合物の合計モル数とチタン原子のモル数の比率(下記式(X)および下記式(Y)で表される化合物の合計/チタン原子)が0.005〜4であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[10]
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分を採取して、
前記採取した高沸点成分に、金属原子と配位結合する単座配位子または多座配位子を、高沸点成分中のチタン原子に対して1当量以上添加して分析用サンプルを調製し、
該分析用サンプルを分析することにより、前記高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量を行う工程をさらに含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[11]
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分を採取して、
前記採取した高沸点成分に、水、多価ヒドロキシ化合物、窒素含有ヘテロ環系化合物、硫黄含有ヘテロ環系化合物、フッ素置換アルコール、フッ素置換有機酸類からなる群より選択される少なくとも1種の添加物を、高沸点成分中の金属原子に対して1当量以上添加して分析用サンプルを調製し、
該分析用サンプルを、ガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーで分析することにより、前記高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量を行う工程をさらに含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[12]
[10]または[11]に記載の前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量工程後、
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ前記(iv)〜(vi)の条件を満たすよう制御する工程をさらに含むことを特徴とする[10]または[11]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[13]
前記工程(1)で用いるジアルキルカーボネートが下記式(9)で表される化合物であり、
前記工程(1)で用いる芳香族モノヒドロキシ化合物が下記式(10)で表される化合物であり、
前記工程(1)で得られるアルキルアリールカーボネートが下記式(11)で表される化合物であり、
前記工程(2)で得られるジアリールカーボネートが下記式(12)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[14]
前記工程(1)および/または前記工程(2)において、前記組成物Aを供給することにより、ジアリールカーボネートの製造を開始することを特徴とする[9]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[15]
前記工程(1)および前記工程(2)の反応が、
攪拌槽、多段攪拌槽、充填塔、蒸留塔、多段蒸留塔、連続多段蒸留塔、内部に支持体を備えた反応器および強制循環反応器からなる群より選択される少なくとも1種を具備する反応装置を用いて行われることを特徴とする[1]〜[14]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[16]
工程(1)においてジアルキルカーボネートおよび芳香族モノヒドロキシ化合物を連続的に前記反応装置に供給し、
工程(2)において得られた反応生成物を連続的に前記反応装置から取り出すことを特徴とする[15]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[17]
前記工程(1)または前記工程(2)における金属含有触媒組成物中の金属原子の含有率が0.0001〜20質量%であることを特徴とする[1]〜[16]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[18]
前記式(9)におけるR4が炭素数1〜8の脂肪族アルキル基であることを特徴とする[13]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[19]
前記工程(1)および前記工程(2)において、反応温度が150〜300℃であり、反応時間が0.05〜50hrであることを特徴とする[1]〜[18]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[20]
前記工程(3)における蒸留を蒸留塔により行い、
該蒸留塔の塔底温度が150〜300℃であり、
該蒸留塔の塔底における滞留時間が0.02〜100hrであることを特徴とする[1]〜[19]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[21]
前記アリールオキシチタン組成物がフェノキシチタニウムであることを特徴とする[3]または[4]に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
[22]
前記ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートであることを特徴とする[1]〜[21]のいずれかに記載のジアリールカーボネートの製造方法。
なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施の形態に係るジアリールカーボネートの製造方法は、金属含有触媒組成物を反応触媒として用いるジアリールカーボネートの製造方法であって、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とをエステル交換反応させることにより、アルキルアリールカーボネートを得るとともに、副生するアルコール類を反応系外に取り出す工程(1)と、該工程(1)で得られたアルキルアリールカーボネートをエステル交換反応または不均化反応させることにより、ジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る工程(2)と、該工程(2)で得られた反応生成物を蒸留することにより、ジアリールカーボネートを含む低沸点成分と、反応触媒を含む高沸点成分(以下「高沸点成分」とも記す。)とに分離する工程(3)と、該工程(3)で分離された高沸点成分を、前記工程(1)および/または前記工程(2)にリサイクルする工程(4)とを含み、前記工程(3)で分離された高沸点成分中に該ジアリールカーボネートより高沸点の成分が70質量%以下含まれており、前記工程(3)で分離された高沸点成分が下記式(1)で表される化合物を含み、前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる下記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ下記(iv)〜(vi)の条件を満たす。
(i)下記式(1)において、Xが下記式(2)または下記式(3)であり、Yが下記式(3)である化合物。
(ii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが下記式(3)である化合物、および/または下記式(1)において、Xが下記式(3)であり、Yが水素である化合物。
(iii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが水素である化合物。
(iv)「上記(i)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜20であること。
(v)「上記(ii)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜4であること。
(vi)「上記(iii)の化合物のモル数/金属原子のモル数」が2未満であること。
工程(1)は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とをエステル交換反応させることにより、アルキルアリールカーボネートを得るとともに、副生するアルコール類を反応系外に取り出す工程である。当該エステル交換反応は、通常、後述する反応触媒の存在下で行う。
前記工程(1)で用いるジアルキルカーボネートが下記式(9)で表される化合物であることが好ましい。
前記工程(1)で用いる芳香族モノヒドロキシ化合物は下記式(10)で表される化合物であることが好ましい。
上述したジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを用いて、後述する反応触媒の存在下で、下記式(a)に示すようなエステル交換反応を行い、アルキルアリールカーボネートを得ることができる。
前記工程(1)で得られるアルキルアリールカーボネートが下記式(11)で表される化合物であることが好ましい。
工程(2)は、上述した工程(1)で得られたアルキルアリールカーボネートをエステル交換反応または不均化反応させることにより、ジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る工程である。当該エステル交換反応は、下記式(a’)に示すような反応であり、前記アルキルアリールカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とがさらに反応し、ジアリールカーボネートとアルコールとが生成する反応である。当該エステル交換反応は前述工程(1)のエステル交換反応と同様に、通常、後述する反応触媒の存在下で行う。
上記式(a)および/または(a’)で示される反応により副生するアルコールは、リサイクルのために回収してもよく、ジアルキルカーボネートの合成のために使用することが好ましい。脂肪族カーボネートは、従来公知に方法により得られる。
また、上記式(b)で示される反応により生成する脂肪族カーボネートは、リサイクルのために回収し、再循環させて上記式(a)で示される反応に再び用いることが化合物の有効利用という観点から好ましい。
すなわち、例えば第1の反応器で、主に上記式(a)、(a’)で表されるエステル交換反応を行った後、第1の反応器から抜き出されるアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートを含む反応液を、そのまま、あるいは出発物質や反応物質を除去した後に、第2の反応器に供給して、主に上記式(b)で表される不均化反応を行って、有用なジアリールカーボネートを製造し、その際に副生するジアルキルカーボネートを、蒸留によってガス状で蒸留塔の上部から抜き出して、必要であれば精製した後に、上記式(a)の出発物質として再利用する工程を付加することが好ましい。
工程(2)で得られるジアリールカーボネートは、下記式(12)で表される化合物であること好ましい。
工程(3)は、前記工程(2)で得られた反応生成物を蒸留することにより、ジアリールカーボネートを含む低沸点成分と、反応触媒を含む高沸点成分とに分離する工程である。
該ジアリールカーボネートより高沸点の成分の含有量は、後述の(式(1)の化合物の定量分析)に記載の方法により求めることができる。
上記式(1)に示す化合物が、原料と酸化性物質との反応によって生成する場合について説明する。
前記式(1)に示す化合物が、金属含有触媒組成物の存在下、フリース転移反応により副生する場合について説明する。
工程(4)は、前記工程(3)で分離された高沸点成分を、前記工程(1)および/または前記工程(2)にリサイクルする工程である。
本実施の形態に係るジアリールカーボネートの製造方法において、副生する上記式(1)で表される化合物は、反応触媒に含まれる金属成分と安定な錯体を形成してしまう場合がある。そして、上記式(1)で表される化合物の定量分析を不正確にし、その結果、上記式(1)で表される化合物と金属原子とのモル比(式(1)で表される化合物/金属原子)正確に求められないという問題を生じる。
本実施の形態のジアリールカーボネートの製造方法は、上述の(i)〜(iii)に示す化合物の定量工程後、前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ前記(iv)〜(vi)の条件を満たすよう制御する工程をさらに含むことが好ましい。
当該(iv)〜(vi)の条件を満たすよう制御する工程としては、上述したとおり、例えば、金属含有触媒組成物濃度、反応温度および滞留時間を制御する工程等が挙げられ、特に式(1)で表される化合物が芳香族ジヒドロキシ化合物である場合、空気中から原料中へ酸素が混入することを防止する工程等が挙げられる。
本実施の形態に用いる反応触媒は、金属含有触媒組成物である。該金属含有触媒組成物は、反応液中に溶解するか、あるいは液状で存在する金属含有触媒組成物であることが好ましく、少なくとも1つの金属−酸素−炭素の結合を有する金属含有触媒組成物であることが好ましい。
本実施の形態に用いる金属含有触媒組成物は、金属部分が周期律表第4族、第5族、第8族、第13族または第14族の金属であることが好ましく、Ti,V,Zr,Fe,AlおよびSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましい。これらは触媒活性が高く、実用上の観点から好適である。
本実施の形態に用いる金属含有触媒組成物は下記式(D1),(D2),(D3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つ含まれることが好ましい。
上記式(D1)〜(D3)中のアルコキシ基およびアリールオキシ基は後述のチタン含有触媒組成物のアルコキシ基およびアリールオキシ基と同じである。
鉄含有触媒組成物の具体例としては、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリプロポキシ鉄(各異性体)、トリブトキシ鉄(各異性体)、トリフェノキシ鉄が挙げられる。
アルミニウム含有触媒組成物の具体例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム(各異性体)、トリブトキシアルミニウム(各異性体)、トリフェノキシアルミニウムが挙げられる。
上述した金属含有触媒は、二種類以上の金属を含有するものも適用できる。
チタン含有触媒組成物は、少なくとも1つのR−O−Ti結合(Rは、1〜20の範囲で炭素原子を含む有機基を表す。)を有する有機オキシチタン組成物であることが好ましい。当該チタン含有触媒組成物は、反応液中に溶解するか、あるいは液状で存在することが好ましい。当該チタン含有触媒組成物は、後述するアルキルオキシチタン組成物および/またはアリールオキシチタン組成物が好ましい。さらに本実施の形態に用いるチタン含有触媒組成物は、ジアリールカーボネートとアリールオキシチタン組成物とから形成されるチタン含有組成物であることがより好ましい。上述したように前記工程(1)および/または前記工程(2)は、通常、反応触媒の存在下で行われる。
(チタン含有触媒組成物)
チタン含有触媒組成物は、通常、工程(1)のエステル交換反応および工程(2)のエステル交換反応または不均化反応を促進する。本実施の形態に用いるチタン含有触媒組成物は、少なくとも1つのR−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物であることが好ましい。
R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物は、4価のTi原子で構成される有機オキシチタンであって、当該Ti原子が、R−O−基(Rは有機基を表す)で置換されてなる有機オキシチタンである。
なお、ここで、「R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物」とは、「R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン」が1種のみならず、複数種混合している場合もあることを意味する。これは、構造を厳密に特定することが困難であることに起因する。
また、有機オキシチタン組成物は、単量体であってもよく、多量体(有機ポリチタノキサン)であってもよい。
R基は、IUPAC(The International Union of Pure and Applied Chemistry)で定められた Nomenclature(IUPAC Nomenclature of Organic Chemistry)記載の有機基である。
R基は、前記有機ポリチタノキサン中に複数個含まれるが、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
分岐鎖状、環状構造を形成した構造については、例えば下記式(1c),(2c)に示すものが考えられる。
“有機”とは、該書に開示されている命名法の対象とされる化合物群一般を指す。
該対象(“有機”)は、1993年に出された勧告に記載された対象であっても構わない(上記した日本国で刊行された書籍が入手困難である場合、Recommendations 1979及びRecommendations 1993を参考にしても構わない)。
本明細書においては、“有機”及び/又は“有機基”及び/又は“置換基”等、また本実施形態で使用する化合物を以下に説明するが、特に説明のない場合、それらは金属原子及び/または半金属を含まない原子で構成される。
さらに好ましくは、H(水素原子)、C(炭素原子)、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)から選ばれる原子から構成される“有機化合物”“有機基”“置換基”を、本実施形態では使用する。
当該勧告には、脂肪族化合物を“Acyclic or cyclic,saturated or unsaturated carbon compounds,excluding aromatic compounds”と定義している。
本明細書でしばしば用いる脂肪族基とは、前記脂肪族化合物からなる基である。
基とは、例えば、RHという脂肪族化合物から水素原子を除いたR部分を1価の脂肪族基と定義される。
また、脂肪族、脂肪族基は、飽和及び不飽和、鎖状及び環状のいずれも含有し、上記H(水素原子);C(炭素原子);N(窒素原子);O(酸素原子);S(硫黄原子);Si(ケイ素原子);Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)及びI(ヨウ素原子)から選ばれるハロゲン原子、から選ばれる原子で構成される“有機化合物”“有機基”“置換基”を指す。
また、アラルキル基等の芳香族基が脂肪族基に結合している場合は、そのように“芳香族基で置換された脂肪族基”又は“芳香族基が結合した脂肪族基からなる基”としばしば表記する。
これは、本実施形態における反応性に基づくもので、アラルキル基のような基の反応に関する性質は、芳香族性ではなく脂肪族の反応性に極めて類似しているからである。
また、アラルキル基、アルキル基等を包含した非芳香族反応性基を、しばしば“芳香族置換されてよい脂肪族基”“芳香族置換された脂肪族基”“芳香族基が結合した脂肪族基”等と表記する。
また、本明細書中に、原子の数、置換基の数、個数をしばしば記載するが、それらは全て、ゼロ又は正の整数(しばしばゼロを正の整数としている場合もある。)を表している。ただし、組成比式を表す場合は正の数を使用する。
これは、無機化合物や有機無機ハイブリッド化合物の標記にしばしば使用される標記である。
また、上記特定の非金属原子(炭素、酸素)との共有結合とは、例えば、下記式(1d)〜(4d)で表される基と上記した基が共有結合で結合している状態を言う。
前記R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物の流動性等を考慮すれば、好ましくは1〜10の範囲で炭素原子を含む基である。より好ましくは1〜7の範囲で炭素原子を含む基である。
このようなR基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、フェニルメチル基、クレジル基(各異性体)、フェニルエチル基、フルフリル基、ピラジル基等が挙げられる。
本実施形態においてチタン含有触媒組成物として用いるR−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物の一例として、アルキルオキシチタン組成物が挙げられる。中でも、アルコキシ基を有するポリチタノキサン組成物が好ましい。
アルキルオキシチタンは、上記R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物を構成する有機オキシチタンのうち、R基がアルキル基であって、R−O−Ti結合を形成する−O−が、アルキル基に結合した酸素である有機オキシチタンを表す。
従って、アルキルオキシチタン組成物は、上述したR−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物のうち、Rがアルキル基に限定したのみであり、一部のR基の例示(Rがアルキル基でない例示)を除くのみである。
このようなR基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)が挙げられる。好ましいR基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)である。
本実施形態においてチタン含有触媒組成物として用いるR−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物の一例として、シクロアルキルオキシチタン組成物が挙げられる。中でも、シクロアルコキシ基を有するポリチタノキサン組成物が好ましい。
シクロアルキルオキシチタンは、上記R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物を構成する有機オキシチタンのうち、R基がシクロアルキル基であって、R−O−Ti結合を形成する−O−が、シクロアルキル基に結合した酸素である有機オキシチタンを表す。
従って、シクロアルキルオキシチタン組成物は、上述したR−O−Ti結合を有する有機オキシチタンのうち、Rがシクロアルキル基に限定したのみであり、一部のR基の例示(Rがシクロアルキル基でない例示)を除くのみである。
このようなR基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基が挙げられる。好ましいR基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
本実施形態においてチタン含有触媒組成物として用いるアリールオキシチタン組成物は、上記R−O−Ti結合を有する有機オキシチタン組成物のうち、R基が芳香族環を有する基であって、R−O−Ti結合を形成する−O−が、芳香族環を有する基に結合した酸素である有機オキシチタン組成物を表す。中でも、アリールオキシ基を有するポリチタノキサン組成物であることが好ましい。
ポリチタノキサンの構造は、前記R−O−Ti結合を有するポリチタノキサンで説明したように、上記式(1b)〜(4b)の組み合わせ(アリールオキシ基を有するポリチタノキサンでは、上記式(1b)〜(4b)のR基がAr基である)、すなわち下記式(1f)〜(4f)によって多岐にわたり、構造を特定することは現在の分析方法では困難であり、各種構造の混合物であると推定される。
本明細書では、環AをしばしばAr基と表記する。
また、上記の特定の非金属原子(炭素、酸素)との共有結合とは、例えば下記式(1d)〜(4d)で表される基と上記した基が共有結合で結合している状態である。
さらに好ましくは、6又は7個の整数個の炭素原子で構成される基である。
このようなAr基の例としては、フェニル基、クレジル基(各異性体)、キシリル基(各異性体)、ナフチル基等が挙げられる。
好ましいAr基の例としては、フェニル基、クレジル基(各異性体)である。
なお、ポリチタノキサン組成物は、多量化度(分子中のTi原子の個数)の異なる少なくとも1種のポリチタノキサンを含む。
上記「モル比率」とは、ポリチタノキサン組成物中のポリチタノキサンの合計モル数に対する個々の多量化度のポリチタノキサンのモル数である。
上記「モル平均多量化度」とは、個々の多量化度のポリチタノキサンのモル比率とその多量化度との積を求め、全ての多量化度についての積算値を表す。すなわち、1個のポリチタノキサン分子にTi原子が何個含まれているかの平均値を表す。
zは、Ar−O−Ti結合を有するポリチタノキサン組成物中に含有される多量化度の異なるAr−O−Ti結合を有するポリチタノキサンの種類数を表し、1以上の整数を表す。
pwは、該組成物に含有されるAr−O−Ti結合を有するポリチタノキサン分子構造wに含有されるTi原子の個数を表す正の自然数である。
mwは、前記分子構造wの該組成物に対するモル分率であり、下記数式(2)を満たす。
モル分率の合計は1である(左辺)。
従って上記したモル平均多量化度が1.1以上12以下の範囲が好ましく、より好ましくは2以上8以下の範囲である。
本実施の形態に用いるチタン含有触媒組成物は、たとえば、以下の方法で製造することができる。まず前述したアルキルオキシチタン組成物と後述の芳香族モノヒドロキシ化合物とを反応させアリールオキシチタン組成物を得る。この際、アルキルオキシ基に相当するROHが生成するため、該ROHと芳香族モノヒドロキシ化合物の沸点を比較して、使用するアルキルオキシチタン組成物と芳香族モノヒドロキシ化合物とを選択する。
使用する芳香族モノヒドロキシ化合物について説明する。
芳香族モノヒドロキシ化合物は、下記式(1h)で表される芳香族モノヒドロキシ化合物である。
また、上記の特定の非金属原子(炭素、酸素)との共有結合とは、例えば下記式(1d)〜(4d)で表される基と上記した基とが共有結合で結合している状態である。
好ましいAr基の例としては、フェニル基、クレジル基(各異性体)であり、さらに好ましくは、6又は7個の整数個の炭素原子で構成される基である。
この場合、好ましいR基は、炭素数が少ない基であることが除去しやすいので好ましい。
好ましい炭素数としては1〜6の整数個からなるR基であり、より好ましくは、R−O−基を有する有機オキシチタンの流動性を考慮すれば、炭素数3〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは、プロピル基(各異性体)ブチル基(各異性体)ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)である。
最も好ましいR基、Ar基の組み合わせとしては、R基が、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基から選ばれるR基であって、Ar基がフェニル基の場合である。
芳香族モノヒドロキシ化合物の使用量は、アルキルオキシチタン組成物に含有されるアルコキシ基の合計モル数に対して1から50モル等量とすることが好ましく、より好ましくは5〜30モル等量であり、反応器の大きさ等で決定してよい。
芳香族モノヒドロキシ化合物に多価ヒドロキシ化合物類(例えばカテコール、トリヒドロキシフェノール、サリチル酸等)が多量に含まれると、これら多価ヒドロキシ化合物類がアルキルオキシチタンと反応し、目的とするアリールオキシチタンの生成量が低下する。そのため、これら多価ヒドロキシ化合物類の含有量は、チタン原子に対するモル比として、0.01以下であることが好ましく、より好ましくは0.001以下である。
まず、上記の方法で得られたアリールオキシチタン組成物または前述したアリールオキシチタン組成物にジアリールカーボネートを仕込み、該反応器中の混合物を加熱する。当該加熱温度は、100〜300℃であることが好ましく、120〜270℃であることがより好ましく、150〜250℃であることがさらに好ましい。また、当該加熱時間は、0.1〜500hrであることが好ましく、0.2〜300hrであることがより好ましく、0.5〜200hrであることがさらに好ましい。
本実施の形態に用いる組成物Aは、上述したジアリールカーボネート、アリールオキシチタン組成物ならびに後述の式(X)および/または式(Y)で表される化合物を含む組成物である。
本実施の形態に用いる組成物Aは、下記式(X)および/または下記式(Y)で表される化合物を含有している。
本実施の形態におけるジアリールカーボネートの製造方法を実施する反応装置については特に制限されるものではなく、たとえば、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、およびこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方式の反応装置が用いられる。
従って、蒸留塔のホールドアップ液量は、蒸留条件や蒸留塔の種類によっても変わりうるが、多段蒸留塔の空塔容積に対するホールドアップ液量の容積比で表現すると、0.005〜0.75であることが好ましい。
すなわち、上述した反応式(a)で代表して表されるエステル交換反応の実施の際には、ジアルキルカーボネートおよび芳香族モノヒドロキシ化合物および触媒をそれぞれ混合後または別々の箇所から多段蒸留塔にフィードし、生成物であるアルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートを液状で連続的に該蒸留塔底部から抜き出し、副生するアルコール等の低沸点成分を蒸留によってガス状で蒸留塔の上部から連続的に抜き出すことが好ましい。
また、上記式(b)で代表的に表される不均化反応実施の際には、アルキルアリールカーボネートおよび触媒を多段蒸留塔にフィードし、生成物であるジアリールカーボネートを液状で連続的に該蒸留塔底部から抜き出し、副生するジアルキルカーボネート等の低沸点成分を蒸留によってガス状で該蒸留塔の上部から連続的に抜き出すことが好ましい。
試料溶液を採取し、王水による前処理を行い、その後、下記装置によりICP分析を実施し、金属含有触媒組成物中の金属濃度を求めた。
〔サリチル酸エステル以外の上記(i)〜(iii)および式(Y)に示す化合物の分析方法〕
〔1〕分析用サンプルの作製
試料溶液を1g計り取り、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル(20g/1L)溶液5mLを加えて溶解させ、その後、プロピルスルホン酸フィルターを用いてろ過し、ろ液を分析用サンプルとした。
分析装置:島津製作所製高速液体クロマトグラフィーLC10−ATシステム
カラム:ODS−3V(GL Science Inertsil)
カラムオーブン:25℃
溶離液:アセトニトリル/水
溶離液グラジエント:アセトニトリル15%v/v(11min)→20%(31min)→100%(20min)
流速:1mL/min
注入量:10μL
検出部:UV(254nm)
〔3〕定量分析方法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析用サンプルの定量分析を実施し、サリチル酸エステル以外の上記(i)〜(iii)および式(Y)に示す化合物を定量した。
〔1〕分析サンプル溶液の作製
試料溶液を0.06g計り取り、フェニルメチルエーテルを約1.4g加えた。さらに、内部標準としてトルエンまたはジフェニルエーテル約0.04g、チタン含有組成物処理剤としてカテコール約0.05gを加えて、よく混合した。その後、該混合物を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ろ液をガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とした。
分析装置:島津製作所製GC−2010システム
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(5min保持)→200℃(昇温速度10℃/min;200℃で5min保持)→300℃(15min保持)
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
〔3〕定量分析法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施し、式(X)で表される化合物またはサリチル酸エステルを定量した。
〔1〕分析サンプル溶液の作成
試料溶液を0.15g計り取り、脱水アセトンを約2g加えた。さらに、内部標準としてトルエンまたはジフェニルエーテル約0.04gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とした。
分析装置:島津製作所製GC−2010システム
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(5min保持)→200℃(昇温速度10℃/min;200℃で5min保持)→300℃(5min保持)
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
〔3〕定量分析法
上記分析条件で、各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施し、式(1)で表される化合物以外の成分ならびに式(X)および式(Y)で表される化合物以外の成分を定量した。
平均多量化度は、上記チタン含有組成物中の金属濃度の分析方法と同様にして、ICP分析によりチタン含有化合物のチタン濃度を定量し、さらにアルコキシ基(例えば、ブトキシ)をガスクロマトグラフィー法で定量分析して求めた。
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
図1に、実施例1で用いた製造装置の概略構成図を示す。
(1)スタートアップ操作
蒸留塔110は、段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部およびMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段構成の蒸留塔とした。
抜き出しライン11から抜き出すチタン含有高沸点成分の割合を、約11g/Hr(チタン原子濃度が約1質量%)とし、供給ライン12から供給する反応触媒の割合を、約2.3g/Hr(チタン原子濃度が約5質量%)となるように調整し、供給ライン1からの反応触媒の供給を停止した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約8質量%含まれていた。
ビス(3−メチルブチル)カーボネートの代わりに、下表2に示す種類のジアルキルカーボネートを用いたこと以外は実施例1と同様にスタートアップ操作をおこないジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。制御操作については各々のジアルキルカーボネートの種類に応じて流量および圧力の制御を行った。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例2〜6の順に、約7質量%、約10質量%、約8質量%、約9質量%、約8質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析した結果を表1に示す。いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)の条件を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
図2に、実施例7で用いた製造装置の概略構成図を示す。
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
段数50のシーブトレイを充填した内径150mm長さ12mの連続多段構成の蒸留塔110において、50段目のシーブトレイに、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約41kg/Hrで連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約41kg/Hrで連続的に供給した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約15質量%含まれていた。
(アルコキシ基を有するポリチタノキサン組成物(以下、しばしば「ポリチタノキサンアルコキシド」と記す)の製造)
冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)20kgを投入し、次いでn−ブタノール8kgを投入し、内部液温を0℃になるよう調整した。
別の冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、水濃度を2質量%とした含水n−ブタノールを0℃となるよう調整した。
ラインを通じ、前記含水n−ブタノールを前記反応器へ攪拌下で添加した。
添加時間は1時間とし、添加した水の量は、0.5モル等量(反応器内のTi原子モル数に対して)とした。
得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。
留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。
表2に示すとおり、添加する水分量を変更し、その他の条件は上記〔製造例1〕と同様としてポリチタノキサンアルコキシドの製造を実施した。水の添加が終了した後、製造例1と同様に得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、表2に示すような平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いたこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表3に示す。
(1)スタートアップ操作
スタートアップ操作までは実施例1と同様にした。
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約12g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整した。同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やしていき、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
(1)スタートアップ操作
スタートアップ操作までは実施例1と同様にした。
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸成分の割合を約8g/Hr(チタン原子の濃度が約1.5質量%)、供給ライン12から供給される反応触媒の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やし、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
(1)スタートアップ操作
原料であるビス(3−メチルブチル)カーボネートおよびフェノールとして、それぞれ圧縮空気の雰囲気下に保存したもの(溶存酸素濃度は、順に約60ppm、約80ppmであった)を用いた以外は実施例1と同様にしてスタートアップ操作まで行った。
抜き出しライン11から抜き出されるチタン含有高沸点成分の割合を約12g/Hr(チタン原子の濃度が約1質量%)、供給ライン12から供給されるチタンテトラフェノキシド含有フェノール液の割合を約2.4g/Hr(チタン原子の濃度が約5質量%)になるように調整した。同時に回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やしていき、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
上記調製したチタン含有組成物を組成物Aとすることなくそのままジアリールカーボネートの反応触媒として用い、蒸留塔130における高沸点成分を95質量%抜出ライン11から回収し、供給ライン13から反応触媒を供給することを以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表4に示す。いずれについても反応触媒を数時間(3〜5Hr)供給したところ、供給ライン13が閉塞し、運転不可能となった。
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から230℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから200Hrに変更したこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表5に示す。ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が8〜30時間程度であった。
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例1〜4から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン含有組成物を調整した。得られたチタン含有組成物のチタン含有率を5質量%から約0.6質量%になるようにジフェニルカーボネートを加えた。
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から250℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから300Hrに変更したこと以外は実施例7と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表6に示す。ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が9〜20時間程度であった。蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、比較例14〜18の順に、約72質量%、約70質量%、約71質量%、約72質量%、約74質量%含まれていた。
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
図2に、実施例13で用いた製造装置の概略構成図を示す。
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、組成物Aを調製した。
段数50のシーブトレイを充填した内径150mm長さ12mの連続多段構成の蒸留塔110において、50段目のシーブトレイに、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約41kg/Hrで連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約41kg/Hrで連続的に供給した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約11質量%含まれていた。
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)を用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)を、約0.5から約1.1に変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約12質量%含まれていた。
チタン含有組成物の調製において、下表7のとおり製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルとサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比((サリチル酸フェニル+サリチル酸フェニルカーボネート)/チタン原子)を下表7のとおり変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表7に示す。当該結果から、実施例15〜30で調製した組成物Aを供給する際に、蒸留塔の閉塞が起こらず150〜200時間の連続運転が可能であり、ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を安定的に製造することができることがわかった。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表8に示す。
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積60Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で7kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを14kg仕込んだ。
次いで該チタン含有組成物を200℃に加熱し、約120Hr保持することにより組成物Aを得た。該組成物Aを一部サンプリングし分析したところ、ジフェニルカーボネートより沸点の高いサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートが検出された。該サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)は2.3であった。ここで生成した組成物Aを、次のジアリールカーボネートの製造の反応触媒として用いた。
図1に、実施例31で用いた製造装置の概略構成図を示す。
蒸留塔110は、段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部およびMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段構成の蒸留塔とした。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約62質量%含まれていた。
ビス(3−メチルブチル)カーボネートの代わりに、下表9に示す種類のジアルキルカーボネートを用い、組成物Aの調製において、組成物A中のサリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計とチタン原子とのモル比(サリチル酸フェニルおよびサリチル酸フェニルカーボネートの合計/チタン原子)を下表9のとおり変更したこと以外は実施例31と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。また、各移送ラインにおける流量や蒸留塔内の圧力はジアルキルカーボネートの種類に応じて調整した。結果を表9に示す。当該結果から、実施例31〜35のいずれにおいても、閉塞が起こらず長時間の安定的な連続運転が可能であった。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表10に示す。
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用いた以外は、実施例13と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
上記調製したチタン含有組成物を、組成物Aとすることなくそのままジアリールカーボネートの反応触媒として用いた以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表11および12に示す。いずれについてもチタン含有組成物を数時間(3〜6Hr)供給したところ、供給ライン13が閉塞し、運転不可能となった。
(反応触媒の調製)
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、製造例1〜4から得られた平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドを用いた以外は、実施例13と同様にしてチタン含有組成物を調整した。
組成物Aを調製する際の加熱条件を200℃から230℃に変更し、加熱保持時間を72Hrから200Hrに変更したこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。結果を表13および14に示す。組成物Aを供給する際に閉塞の問題は起こらなかったが、ジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)の生産量が不安定のため連続運転が8〜30時間程度であった。
(チタン含有組成物の調製)
攪拌機、ヒーターおよび蒸留塔を具備した容積1800Lのバッチ型反応器に、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)を窒素雰囲気下で200kg仕込み、次いで予め蒸留精製したフェノールを485kg仕込んだ。
図2に、実施例36で用いた製造装置の概略構成図を示す。
蒸留塔130において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
段数80のシーブトレイを充填した内径5m長さ33mの連続多段構成の蒸留塔110において、ジメチルカーボネート約30質量%およびフェノール約70質量%よりなる混合液(a)を、予熱器113を経て供給ライン1から約57トン/Hrで蒸留塔110上部に連続的に供給した。一方で蒸留塔110の下部に、ジメチルカーボネート約70質量%およびフェノール約30質量%よりなる混合液(b)を、供給ライン1’から約57トン/Hrで連続的に供給した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約40質量%含まれていた。
(チタン含有組成物の調製)
実施例7と同じ方法でチタン含有組成物の調製をおこなった。
(ジアリールカーボネートの製造装置)
図3に、実施例37で用いた製造装置の概略構成図を示す。
蒸留塔330において、以下のとおりジフェニルカーボネートより高沸点生成物を生成させ、反応触媒を調製した。
攪拌装置を備えた槽型反応器210(容積300L)に、ジメチルカーボネート約50質量%およびフェノール約50質量%よりなる混合液を、予熱器211を経て供給ライン1から約80kg/Hrで連続的に供給した。
また、蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は約35質量%含まれていた。
(ポリチタノキサンアルコキシドの製造)
冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)340kgを投入し、次いでn−ブタノール150kgを投入し、内部液温を0℃になるよう調整した。
別の冷却コイル、加熱ジャケット、蒸留塔を具備した攪拌機付き反応器に、水濃度を3質量%とした含水n−ブタノールを0℃となるよう調整した。
ラインを通じ、前記含水n−ブタノールを前記反応器へ攪拌下で添加した。
添加時間は1.5時間とし、添加した水の量は、0.5モル等量(反応器内のTi原子モル数に対して)とした。
反応液を微量水分測定装置で経時的に分析し、添加した水が加水分解反応で消費され、分析値が一定となったことを確認した。
得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。
留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。
反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、平均多量化度2のポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
表15に示すとおり、添加する水分量を変更し、その他の条件は上記〔製造例1〕と同様としてポリチタノキサンアルコキシドの製造を実施した。水の添加が終了した後、製造例5と同様に得られた反応液を攪拌下加熱し、150℃となってから蒸留塔を用いてn−ブタノールを留去した。留去液の組成をガスクロマトグラフィーで分析し、留去量が殆ど無くなったことを確認し、蒸留を終了した。反応器内に残留した無色透明液を分析し、Ti含有量及びアルコキシ基含有量を測定したところ、表15に示すような平均多量化度の異なるポリチタノキサンブトキシドが得られていたことが分かった。
チタン含有組成物の調製において、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)に代えて、テトラブトキシチタン(デュポン社製、Tyzor TnBT)および製造例5〜8から得られたポリチタノキサンアルコキシドを用いたこと以外は実施例36と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例38〜42の順に、約41質量%、約45質量%、約39質量%、約50質量%、約45質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表16に示す。
実施例13と同じ方法でチタン含有組成物の調製をおこなった。その後、組成物Aとせずに、該チタン含有組成物にサリチル酸フェニル(Aldrich社製)を添加し、混合物を約170℃に加熱し均一な液にした。該サリチル酸フェニルのチタン原子のモル数に対する比率が下表17に示すように調整した。
製造例9〜11から得られたチタン含有組成物を用いたこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例43〜45の順に、約14質量%、約10質量%、約23質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表18に示す。
製造例12〜14から得られたチタン含有組成物を用いたこと以外は実施例13と同様にしてジフェニルカーボネート(ジアリールカーボネート)を製造した。
チタン含有組成物を供給する際には閉塞の問題は起こらなかったが、ジフェニルカーボネートの生産量が不安定で連続運転は8〜12時間程度であった。また製造例14から得られたチタン含有組成物を用いた比較例29についてはジフェニルカーボネートがほとんど生成しなかった。結果を下表19に示す。
テトラブトキシチタン(DuPont社製、製品名:Tyzor TnBT)、ポリチタノキサンブトキシド(DuPont社製、製品名:Tyzor BTP)、製造例1〜4から得られたポリチタノキサンブトキシドをチタン含有触媒組成物として、ジアリールカーボネートの反応触媒に用いた。実施例1と同様にスタートアップ操作をおこない、ジアリールカーボネートの製造を行った。
蒸留塔130における蒸留分離において、塔底から取り出された高沸点成分中に該ジフェニルカーボネートより高沸点の成分は、実施例46〜51の順に、約5質量%、約6質量%、約5質量%、約7質量%、約6質量%、約6質量%含まれていた。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析した結果を下表20に示す。いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)の条件を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。
前記実施例1において説明した図1に示すジアリールカーボネートの製造装置を用いて以下のとおりジアリールカーボネートを製造した。
段数25のシーブトレイを充填した内径150mm長さ4.8mの濃縮部及びMelapak CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した内径150mm長さ2.3mの回収部を具備する連続多段蒸留塔110において、25段目のシーブトレイから、ビス(3−メチルブチル)カーボネート、フェノール、及びモノオクチルスズフェノキシドオキシド(モノオクチルスズオキシドヒドロキシド(北興化学工業社製)とフェノールとの反応から合成したもの)からなる混合液(混合液中のビス(3−メチルブチル)カーボネートのフェノールに対する重量比が約1.08、原子としてのスズが全液量の約1500ppmとなるように調整した。)を、予熱器113を経て供給ライン1から約1800g/Hrで連続的に供給し、エステル交換反応を行った。
反応及び蒸留に必要な熱量に関しては、外部ヒーターを設けたり、塔下部液をリボイラー111を経て循環させて供給したりするようにした。これにより、多段蒸留塔の塔底の温度が約230℃であり、塔頂圧力が約140kPaになるように制御した。
反応液は、連続多段蒸留塔110の塔底から移送ライン2を経て、約1650g/Hrで連続的に抜き出した。
上記のようにして移送ライン2から抜き出した反応液を、連続多段蒸留塔120に供給した。
また、蒸留塔120の塔頂から、フェノール及びビス(3−メチルブチル)カーボネートを含む低沸点成分をコンデンサー122、移送ライン5及び供給ライン1を経て蒸留塔110に循環させた。
蒸留塔130は、Melapak CYを充填した内径150mm長さ4mからなる蒸留塔であり、リボイラー131とコンデンサー132とを備えている。
塔頂からジフェニルカーボネートを含有する低沸点成分を取り出し、コンデンサー132及び移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給した。
一方、触媒を含む高沸成分を移送ライン6と供給ライン1とを経て、蒸留塔110に循環させた。
前記蒸留塔130から移送ライン7を経て蒸留精製塔140に供給されたジフェニルカーボネートを含有する反応液は、蒸留精製塔140で精製される。これにより塔底よりも上に位置するが蒸留塔下部に位置している回収ライン9から約99質量%のジフェニルカーボネートを得た。
抜き出しライン11から抜き出されるスズ含有高沸物を、約2.3g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)とし、供給ライン12から供給されるオクチルスズオキシドフェノキシド含有フェノール液を、約2.3g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、供給ライン1からのオクチルスズオキシドフェノキシドの供給を停止させた。
上述した連続運転を約12hr行ったところ、定常状態となった。
また、抜き出しライン11から得た高沸点成分を分析したところ、サリチル酸フェニルとサリチル酸(3−メチルブチル)エステルとの合計モル数の、スズ原子のモル数に対する比率は約0.4であった。
その後、抜き出しライン11から抜き出されるスズ含有高沸物が、約1.8g/Hr(スズ原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給されるオクチルスズオキシドフェノキシド含有フェノール液が約1.8g/Hr(スズ原子の濃度が約5wt%)になるように調整し、同様に約100Hr連続運転を行った。
金属含有触媒として、実施例53〜55においてそれぞれ、順に、トリエトキシ鉄(Strem Chemicals社製)、トリブトキシアルミニウム(和光純薬社製)、トリプロポキシジルコニウム(Strem Chemicals社製)を用いた以外は、実施例52と同様な方法でジアリールカーボネートの製造を行った。
また、抜き出しライン11から得たチタン含有高沸点成分を分析したところ、いずれの実施例においても上記(iv)〜(vi)を満たしており、安定的にジアリールカーボネートを製造することができた。結果を表21に示す。
図1に示す製造装置を用いてジアリールカーボネートを製造した。
金属含有触媒として、比較例30〜33においてそれぞれ、モノオクチルスズフェノキシドオキシド、トリエトキシ鉄(Strem Chemicals社製)、トリブトキシアルミニウム(和光純薬社製)、トリプロポキシジルコニウム(Strem Chemicals社製)を用い、制御操作を以下のとおりとした以外は、実施例52と同様な方法でジアリールカーボネートの製造を行った。
実施例52と同様のスタートアップ操作を行い、抜き出しライン11から抜き出される金属含有高沸物を約2.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)、供給ライン12から供給される金属含有触媒組成物を約2.4g/Hr(金属原子の濃度が約5質量%)になるように調整し、同時に、回収ライン9から回収されるジフェニルカーボネートが約1000g/Hrになるように各蒸留塔に循環させる液量を徐々に増やし、連続運転を約12hr行ったところ、定常状態になった。
約100Hrの連続運転を行ったところ、定常状態においては、回収ライン9から回収されたジフェニルカーボネートは約150g/Hrであった。
3,9 回収ライン
2,4,5,6,7,8,10 移送ライン
11 抜き出しライン
110,120,130,310,320,330 蒸留塔
140,340 蒸留精製塔
111,121,131,141,331,341 リボイラー
112,122,132,142,312,322,332,342 コンデンサー
113,114,211 予熱器
210,220 槽型反応器
Claims (22)
- 金属含有触媒組成物を反応触媒として用いるジアリールカーボネートの製造方法であって、
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とをエステル交換反応させることにより、アルキルアリールカーボネートを得るとともに、副生するアルコール類を反応系外に取り出す工程(1)と、
該工程(1)で得られたアルキルアリールカーボネートをエステル交換反応または不均化反応させることにより、ジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る工程(2)と、
該工程(2)で得られた反応生成物を蒸留することにより、ジアリールカーボネートを含む低沸点成分と、反応触媒を含む高沸点成分とに分離する工程(3)と、
該工程(3)で分離された高沸点成分を、前記工程(1)および/または前記工程(2)にリサイクルする工程(4)とを含み、
前記工程(3)で分離された高沸点成分中に該ジアリールカーボネートより高沸点の成分が70質量%以下含まれており、
前記工程(3)で分離された高沸点成分が下記式(1)で表される化合物を含み、
該ジアリールカーボネートの製造方法を定常状態で100時間以上継続したとき、前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる下記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ下記(iv)〜(vi)の条件を満たすことを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法;
(i)下記式(1)において、Xが下記式(2)または下記式(3)であり、Yが下記式(3)である化合物、
(ii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが下記式(3)である化合物、および/または下記式(1)において、Xが下記式(3)であり、Yが水素である化合物、
(iii)下記式(1)において、Xがヒドロキシ基であり、Yが水素である化合物、
(iv)「上記(i)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜20であること、
(v)「上記(ii)の化合物群の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜4であること、
(vi)「上記(iii)の化合物のモル数/金属原子のモル数」が2未満であること。
- 前記金属含有触媒組成物が、チタン含有触媒組成物であることを特徴とする請求項1に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記チタン含有触媒組成物が、ジアリールカーボネートおよびアリールオキシチタン組成物から形成されるチタン含有組成物であって、該チタン含有組成物100質量%に対して、前記アリールオキシチタン組成物を構成するチタンの含有率が0.1〜20質量%であることを特徴とする請求項2に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記アリールオキシチタン組成物を構成するチタンが4価であることを特徴とする請求項3に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記アリールオキシチタン組成物が、チタン原子1個に対して、アリールオキシ基を1以上4以下の整数個有していることを特徴とする請求項3または4に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(1)および/または前記工程(2)において反応溶媒を用い、
前記金属含有触媒組成物が、前記反応溶媒に可溶であること、または前記反応溶媒と均一相となることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 前記式(1)で表される化合物が、下記式(4)〜下記式(8)で表される化合物群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分において、「前記式(1)で表される化合物の合計モル数/金属原子のモル数」が0.005〜10であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(1)および/または前記工程(2)が、ジアリールカーボネート、アリールオキシチタン組成物ならびに下記式(X)および/または下記式(Y)で表される化合物を含む組成物Aの存在下で行われ、
前記組成物Aにおける、下記式(X)および下記式(Y)で表される化合物の合計モル数とチタン原子のモル数の比率(下記式(X)および下記式(Y)で表される化合物の合計/チタン原子)が0.005〜4であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分を採取して、
前記採取した高沸点成分に、金属原子と配位結合する単座配位子または多座配位子を、高沸点成分中のチタン原子に対して1当量以上添加して分析用サンプルを調製し、
該分析用サンプルを分析することにより、前記高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分を採取して、
前記採取した高沸点成分に、水、多価ヒドロキシ化合物、窒素含有ヘテロ環系化合物、硫黄含有ヘテロ環系化合物、フッ素置換アルコール、フッ素置換有機酸類からなる群より選択される少なくとも1種の添加物を、高沸点成分中の金属原子に対して1当量以上添加して分析用サンプルを調製し、
該分析用サンプルを、ガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーで分析することにより、前記高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 請求項10または11に記載の前記(i)〜(iii)に示す化合物の定量工程後、
前記工程(4)でリサイクルする際の高沸点成分に含まれる前記(i)〜(iii)に示す化合物が、それぞれ前記(iv)〜(vi)の条件を満たすよう制御する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10または11に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 前記工程(1)で用いるジアルキルカーボネートが下記式(9)で表される化合物であり、
前記工程(1)で用いる芳香族モノヒドロキシ化合物が下記式(10)で表される化合物であり、
前記工程(1)で得られるアルキルアリールカーボネートが下記式(11)で表される化合物であり、
前記工程(2)で得られるジアリールカーボネートが下記式(12)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(1)および/または前記工程(2)において、前記組成物Aを供給することにより、ジアリールカーボネートの製造を開始することを特徴とする請求項9に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(1)および前記工程(2)の反応が、
攪拌槽、多段攪拌槽、充填塔、蒸留塔、多段蒸留塔、連続多段蒸留塔、内部に支持体を備えた反応器および強制循環反応器からなる群より選択される少なくとも1種を具備する反応装置を用いて行われることを特徴とする請求項1〜14いずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 工程(1)においてジアルキルカーボネートおよび芳香族モノヒドロキシ化合物を連続的に前記反応装置に供給し、
工程(2)において得られた反応生成物を連続的に前記反応装置から取り出すことを特徴とする請求項15に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 前記工程(1)または前記工程(2)における金属含有触媒組成物中の金属原子の含有率が0.0001〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記式(9)におけるR4が炭素数1〜8の脂肪族アルキル基であることを特徴とする請求項13に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(1)および前記工程(2)において、反応温度が150〜300℃であり、反応時間が0.05〜50hrであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記工程(3)における蒸留を蒸留塔により行い、
該蒸留塔の塔底温度が150〜300℃であり、
該蒸留塔の塔底における滞留時間が0.02〜100hrであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。 - 前記アリールオキシチタン組成物がフェノキシチタニウムであることを特徴とする請求項3または4に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
- 前記ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
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