JP6433807B2 - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートをエステル交換反応により連続的に製造する方法に関し、特にその運転開始に関するものである。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを反応させてジアリールカーボネートを製造することはよく知られている。
例えば、特許文献1には、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒が存在する連続多段蒸留塔T0内に連続的に供給してジアルキルカーボネートを得、次に、ジアルキルカーボネートとフェノールとを均一系触媒が存在する第1連続多段蒸留塔内に連続的に供給してアルキルフェニルカーボネート類を含む第1塔高沸点反応混合物を得、次に、第1塔高沸点反応混合物を触媒が存在する第2連続多段蒸留塔内に連続的に供給してジフェニルカーボネート類を含む第2塔高沸点反応混合物を得、次に、第2塔高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bに連続的に導入して高純度ジフェニルカーボネートを連続的に取得する方法が開示されている。
このようなジアリールカーボネートの製造方法においては、プラント完工後の最初の運転で定常運転状態に至るまでの初期運転の場合及び定期修理などで一旦停止したプラントを再稼働して定常運転状態に至るまでの再稼働運転の場合、短時間で円滑に定常運転に移行することは困難であることが知られている。
しかしながら、特許文献1には、運転開始から定常状態へ移行する過程については全く開示がない。
また、ジアリールカーボネート製造の連続運転を開始するため、系内に触媒を供給すると、系内の一部に高濃度の触媒が長時間滞留する可能性があり、過剰な触媒による副反応で、ジアリールカーボネートの品質(純度)が低下するという問題もある。
国際公開WO2007/72705号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、運転開始時に短時間で円滑に定常的な連続運転に到達することができる高純度ジアリールカーボネートの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、ジアリールカーボネートの製造工程において、反応開始に先立ち、第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔の間で循環運転を行い、この循環運転を開始した後に生成反応系への触媒の供給を開始することによって上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを原料にして、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、
(1)少なくとも前記原料を第1連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給して、アルコール及びアルキルアリールカーボネートが生成するように反応させて、アルコールを含む第1連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物及びアルキルアリールカーボネートを含む第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を連続的に得る工程及び、
(2)少なくとも前記第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を、第2連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給して、ジアルキルカーボネート及びジアリールカーボネートが生成するように反応させて、ジアルキルカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物及びジアリールカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を連続的に得る工程を含む方法であり、
該方法が、前記連続工程(1)及び連続工程(2)の開始に先立ち、さらに、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物との混合物、又は、ジアルキルカーボネート、芳香族モノヒドロキシ化合物及び芳香族カーボネート類の混合物であるジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、少なくとも前記第1連続多段反応蒸留塔と前記第2連続多段反応蒸留塔の間で循環させるA循環工程を含み、
前記第1連続多段反応蒸留塔及び/又は前記第2連続多段反応蒸留塔への触媒の供給が、前記A循環工程の開始後であって、前記第1連続多段反応蒸留塔及び前記第2連続多段反応蒸留塔の少なくとも一方の塔底部に、前記ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が到達した後以降に行われる、
ジアリールカーボネートの製造方法。
[2]ジアルキルカーボネートがジメチルカーボネート、
芳香族モノヒドロキシ化合物がフェノール、
アルコールがメタノール、
アルキルアリールカーボネートがメチルフェニルカーボネート、
ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートである、[1]に記載の方法。
本発明によれば、運転開始から定常状態へ移行する過程で発生する、第2連続多段反応蒸留塔の運転の乱れ、高沸点物質分離塔Aの塔底部液量が低下して運転の継続が困難になるなどの問題を解決でき、短時間で円滑にジアリールカーボネートの定常的な連続運転に移行できるので、高純度のジアリールカーボネートを効率よく製造する方法を提供できる。
本実施形態の初期運転概略図(B循環運転、C循環運転、A循環運転) 本実施形態の再稼働概略図(D循環運転、C循環運転、A循環運転)
以下に、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、具体的に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨の範囲内で適宜変更して実施できる。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを原料にして、ジアリールカーボネートを主生成物とする芳香族カーボネート類を連続的に製造する定常状態の方法の具体例としては、以下のような形態があげられる。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを反応させてアルキルアリールカーボネート含む第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物とアルキルアルコールを含む第1連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物を生成する塔(第1連続多段反応蒸留塔)、第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物中のアルキルアリールカーボネートを不均化反応させてジアリールカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物とジアルキルカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物を生成する塔(第2連続多段反応蒸留塔)、副生するアルキルアルコールを分離する塔(ジアルキルカーボネート精製塔1)、ジアリールカーボネートよりも高い沸点の成分及び触媒を分離する塔(高沸点物質分離塔A)、及びジアリールカーボネートを精製する塔(ジアリールカーボネート精製塔B)を組み合わせることで、以下のような手順でジアリールカーボネートを連続的に製造することができる。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを第1連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給し、触媒の存在下、第1連続多段反応蒸留塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するアルコール類を含む第1連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部よりガス状で連続的に抜き出し、生成するアルキルアリールカーボネートを含む第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔底部より液状で連続的に抜き出す(連続工程(1))。
次に、抜き出した第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を第2連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給し、第2連続多段反応蒸留塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物を第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部よりガス状で連続的に抜出して第1連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給し、生成するジアリールカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を第2連続多段反応蒸留塔の塔底部より液状で連続的に抜き出すことによって、ジアリールカーボネートを連続的に製造する(連続工程(2))。
次に、ジアリールカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔Aに連続的に供給し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分と触媒を含む塔底成分に連続的に蒸留分離する。
次に、高沸点物質分離塔Aの塔頂成分を、サイドカット抜き出し口を有するジアリールカーボネート精製塔Bに連続的に供給し、塔頂成分、サイドカット成分、塔底成分の3つの成分に連続的に蒸留分離することによって、サイドカット成分としてジアリールカーボネートを取得する。
これらの蒸留塔の例は、例えば、第1連続多段反応蒸留塔は国際公開WO2006/1257号公報、第2連続多段反応蒸留塔は国際公開WO2006/6566号広報、ジアルキルカーボネート精製塔1は国際公開WO2006/33288号公報、高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bは国際公開WO2006/22294号公報に開示されており、これらの方法を適宜、用いることができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、上記設備を使用した本実施形態について、より詳しくは、前述の定常運転に入る前(初期運転及び運転再開時)の工程についてより詳細に説明する。
図1は、本実施形態における初期運転開始時の手順を説明するためのもので、芳香族モノヒドロキシ化合物の循環運転(以下、B循環運転という)、ジアルキルカーボネートの循環運転(以下、C循環運転という)、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物との混合物、又は、ジアルキルカーボネート、芳香族モノヒドロキシ化合物及び芳香族カーボネート類の混合物(以下、「ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物」という)の循環運転(以下、A循環運転という)の概要を示す。
図2は、本実施形態における再稼働時の運転手順の一例を説明するためのもので、初期運転開始時のB循環運転の替わりに、アルキルアリールカーボネートの循環運転(以下、D循環運転という)を行う場合の概要を示す。
また、本実施形態において、機器とは、反応器、反応蒸留塔、蒸留塔、薄膜蒸発器、凝縮器、凝縮液ドラム、リボイラ、ポンプ、及びこれらを接続する配管などの総称である。なお、凝縮器、各種タンク、予熱器、リボイラ、ポンプなどは図1、図2から省略する。
また、本実施形態において、単位の末尾に「G」が付されている圧力(例えば「MPaG」など」はゲージ圧力を意味し、Torr及び単位の末尾に「a」が付されている圧力(例えば「Paa」など。)及び何も付されていない圧力(例えば「kPa」など。)は、絶対圧力を示す。
[初期運転時の反応開始手順の概略]
初期運転時の例を、図1を用いて説明する。
本実施形態においては、初期運転時は、第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔を用いて連続的にジアリールカーボネートを製造する工程を開始するのに先立ち、以下に詳述するA循環運転を行う。さらに、本実施形態においては、各塔(例えば、高沸点物質分離塔Aなど)の全還流運転を行った後、B循環運転、C循環運転、A循環運転を順番に行っていくことが好ましい。
そして、本実施形態においては、A循環運転を開始してジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔の少なくとも一方の塔底部に到達した後に、反応系への触媒の供給を開始してジアリールカーボネートの生成反応を開始する。
なお、本実施形態においては、塔単独の運転であって、塔底部から塔頂部に炊き上げた蒸気を凝縮させ、この凝縮液を塔頂部又は塔底部又は塔の中段等に全量戻して、系外へ蒸気を抜き出さない運転を「全還流運転」という。
[初期運転時の反応開始手順]
[全還流運転]
ジアリールカーボネート製造の連続運転を開始する前に各塔の全還流運転を行うことが好ましい。全還流運転を行う場合、どの塔から実施するかは特に制限はない。以下に一例を示す。
高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bに芳香族モノヒドロキシ化合物を供給して、塔単独の全還流運転を行う。高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部圧力は、好ましくは200〜400Torr(26600〜33250Paa)である。高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔底部温度は、好ましくは140〜170℃である。
次に、第2連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物を供給して、全還流運転を行う。第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部圧力は、好ましくは200〜400Torr(26600〜33250Paa)である。第2連続多段反応蒸留塔の塔底部温度は、好ましくは140〜170℃である。
次に、ジアルキルカーボネート精製塔1に、ジアルキルカーボネート又はジアルキルカーボネートと少量のアルキルアルコールを供給して、全還流運転を行う。ジアルキルカーボネート精製塔1の塔頂圧力は、好ましくは0.3〜1.5MPaG、さらに好ましくは、0.6〜1.1MPaGである。ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底温度は、好ましくは160〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃である。
次に、第1連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネートを供給して、全還流運転を行う。第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部圧力は、好ましくは0.1〜1MPaG、さらに好ましくは0.3〜0.7MPaGである。第1連続多段反応蒸留塔の塔底温度は、好ましくは150〜235℃、さらに好ましくは160〜232℃である。
また、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔B、第1連続多段反応蒸留塔、第2連続多段反応蒸留塔、及び、ジアルキルカーボネート精製塔1、並びに、これらの他に芳香族ポリカーボネートを製造する重合工程からリサイクルされる芳香族モノヒドロキシ化合物を、精製して再利用するための精製塔などの塔がある場合はこれらの精製塔は、A循環運転開始後から反応を開始するまでの間に全還流運転を継続して行うことが好ましい。
[B循環運転]
各塔の全還流運転が終了したら、図1の太破線に該当する第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bの間で芳香族モノヒドロキシ化合物を循環させるB循環運転を開始する。
本実施形態におけるB循環運転は、第2連続多段反応蒸留塔に芳香族モノヒドロキシ化合物が供給されてから、A循環運転が開始されるまでの間の循環運転である。B循環運転終了後、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔BはB循環運転中と同様の条件で適宜運転が継続され、A循環運転、定常運転へと移行していく。
B循環運転では、最初に、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部に、芳香族モノヒドロキシ化合物タンクから芳香族モノヒドロキシ化合物を供給する。
次に、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出し、高沸点物質分離塔Aへ供給する。
次に、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、高沸点物質分離塔Aの塔頂部から抜き出して、ジアリールカーボネート精製塔Bへ供給する。
次に、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部から抜き出して、芳香族モノヒドロキシ化合物タンクへ戻す。
次に、芳香族モノヒドロキシ化合物タンクから、再び第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へ、芳香族モノヒドロキシ化合物を供給する。
この運転によって、芳香族モノヒドロキシ化合物は、芳香族モノヒドロキシ化合物タンク、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bを循環する。
B循環運転中の第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂圧力は、好ましくは200〜400Torr(26600〜33250Paa)、さらに好ましくは150〜300Torr(19950〜39900Paa)である。第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔底温度は、好ましくは150〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃である。
系を安定化させ、かつ効率的な運転を行うという観点から、Bの循環運転を0.1〜6時間行ってから次のC循環運転を開始することが好ましく、0.25〜3時間がさらに好ましい。
[C循環運転]
B循環運転の開始に続き、図1の実線に該当するジアルキルカーボネート精製塔1と第1連続多段反応蒸留塔の間でジアルキルカーボネートを循環させるC循環運転を開始する。本実施形態におけるC循環運転は、第1連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネートが供給されてから、A循環運転が開始されるまでの間の循環運転である。C循環運転の開始は、B循環運転の開始後、A循環運転の開始前であれば特に制限はないが、B循環運転が安定してから行うことが好ましい。C循環運転終了後、ジアルキルカーボネート精製塔1と第1連続多段反応蒸留塔はC循環運転中と同様の条件で運転が継続され、A循環運転、定常運転へと移行していく。
C循環運転では、最初に、全還流運転中のジアルキルカーボネート精製塔1の塔底部からジアルキルカーボネートを抜き出し、第1連続多段反応蒸留塔の中段から塔底部の間へ供給する。
次に、供給されたジアルキルカーボネートを、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して、ジアルキルカーボネート精製塔1の塔中段より下部へ供給する。
再び、ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底部からジアルキルカーボネートを抜き出し、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部(中段から塔底部の間)へ供給する。
この運転によって、ジアルキルカーボネートは、ジアルキルカーボネート精製塔1と第1連続多段反応蒸留塔を循環する。
C循環運転中のジアルキルカーボネート精製塔1の塔頂部圧力は、好ましくは0.3〜1.5MPaG、さらに好ましくは0.6〜1.1MPaGである。ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底温度は、好ましくは160〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃である。
C循環運転中の第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部圧力は、好ましくは0.1〜1MPaG、さらに好ましくは0.3〜0.7MPaGである。第1連続多段反応蒸留塔の塔底温度は、好ましくは150〜235℃、さらに好ましくは160〜232℃である。
系を安定化させ、かつ効率的な運転を行うという観点から、C循環運転を0.5〜15時間行ってから次のA循環運転を開始することが好ましく、1〜8時間がさらに好ましい。
ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底部の液面レベルは、ジアルキルカーボネートタンク(図示せず)からジアルキルカーボネートを供給して調整する。
なお、C循環運転開始前後の、第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部圧力は、全還流運転と同じ圧力に保つことが好ましい。
[A循環運転]
A循環運転は、図1の太実線に該当する第1連続多段反応蒸留塔と第2連続多段反応蒸留塔との間での循環運転である。本実施形態におけるA循環運転は、第1連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が供給されてから、触媒の第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔への供給が開始されジアリールカーボネートの生成反応が開始して定常運転に至るまでの間の循環運転である。A循環運転は、定常運転(すなわち、連続工程(1)及び(2))の開始に先立ち行われるが、B循環運転やC循環運転も行う場合には、C循環運転が安定した後に開始することが好ましい。
なお、本実施形態における「循環運転が安定」とは、液面、流量、温度、圧力などが目標値付近で一定になったときを意味する。また、本実施形態における「定常運転」とは、触媒の第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔への供給が開始されてジアリールカーボネートの生成反応が進行し、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部温度が170〜190℃に上昇して、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部への芳香族モノヒドロキシ化合物の供給を停止した後、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔中間部からサイドカット成分として抜き出されるジアリールカーボネートが所定の濃度に到達した後以降に開始される連続工程(1)及び連続工程(2)を含む運転である。
本実施形態では、A循環運転では、最初に、ジアルキルカーボネート20〜40質量%、芳香族モノヒドロキシ化合物60〜80質量%の混合物となるように、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物をそれぞれのタンク(図示せず)からジアルキルカーボネートと芳香族ヒドキシ化合物の混合物タンク(図示せず)に供給して混合した後、該混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ供給する。この際、塔頂部の温度より好ましくは1〜15℃、さらに好ましくは3〜10℃低い温度まで予熱器(図示せず)で混合物を加熱してから第1連続多段反応蒸留塔へ供給することが好ましい。予熱器の熱源としては、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から出る蒸気の熱量及び/又はスチームを用いることが好ましい。
次に、供給されたジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出し、第2連続多段反応蒸留塔の、例えば、塔中間部又は充填物を充填した上部充填部とチムニートレイとの間へ供給する。
次に、供給されたジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して、凝縮器(図示せず)で凝縮して液状にする。
次に、液状になったジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ戻す。
この運転によって、ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物は、第1連続多段反応蒸留塔と第2連続多段反応蒸留塔とを循環する。
A循環運転中の第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部圧力は、好ましくは0.1〜1MPaG、さらに好ましくは0.3〜0.7MPaGである。第1連続多段反応蒸留塔の塔底温度は、好ましくは150〜235℃、さらに好ましくは160〜232℃である。
A循環運転中の第2連続多段反応蒸留塔の塔頂圧力は、好ましくは200〜400Torr(26600〜33250Paa)、さらに好ましくは150〜300Torr(19950〜39900Paa)である。第2連続多段反応蒸留塔の塔底温度は、好ましくは150〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃である。
系を安定化させ、かつ効率的な運転を行うという観点から、A循環運転を1〜18時間行ってから触媒を第1連続多段反応蒸留塔、又は第1連続多段反応蒸留塔と第2連続多段反応蒸留塔へ供給することが好ましく、A循環運転を2〜8時間行ってから触媒を第1連続多段反応蒸留塔、又は第1連続多段反応蒸留塔と第2連続多段反応蒸留塔へ供給することがさらに好ましい。
第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部からのジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物の蒸気を凝縮するための凝縮器には、室温の冷却水を通水することが好ましい。さらに凝縮器ドラムのベントガス中のジアルキルカーボネート等を凝縮するための凝縮器には、0〜10℃の冷凍水を通水することが好ましい。
また、凝縮器と第1連続多段反応蒸留塔との間にジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物の混合物のタンクを設けてもよい。ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物の混合物タンク内の組成や液面を一定に保つために、芳香族モノヒドロキシ化合物又はジアルキルカーボネートを混合物タンクへ供給することも好ましい。
さらに、第1連続多段反応蒸留塔と第2連続多段反応蒸留塔との間に、ジアルキルカーボネートの沸点以上アルキルアリールカーボネートの沸点以下の沸点を持つ低沸点物質を分離する低沸点物質分離塔(図示せず)に繋がる配管を設けて、ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を循環させてもよい。
A循環運転を開始すると第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出されるジアルキルカーボネートは、芳香族モノヒドロキシ化合物とジアルキルカーボネートの混合物となる。
[触媒供給、反応開始]
B循環運転を開始したら、触媒を、触媒調合槽(図示せず)又は触媒貯槽(図示せず)から高沸点物質分離塔Aの塔底部に供給することができる。B循環運転開始後、第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔へ触媒を供給する前であれば、触媒を高沸点物質分離塔Aの塔底部に供給するタイミングに制限はない。なお、触媒は、触媒単独で供給してもよいし、触媒以外の他の成分との混合物の形態で供給してもよく、例えば、触媒含有混合物の形態で供給してもよい。ここで、本実施形態においては、均一系触媒混合物を組成に関係なく総称して触媒含有混合物という。
次いで、A循環運転が始まって、ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔の少なくとも一方の塔底部に到達した後に、高沸点物質分離塔Aの塔底部に供給した触媒を、高沸点物質分離塔Aの塔底部から、定量ポンプ、キャンドポンプ、又はボリュートポンプなどを使用して、生成反応系、すなわち第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔、へ供給することにより、ジアリールカーボネートの生成反応が開始して、定常運転(連続工程(1)及び(2))に移行するとA循環運転は終了する。なお、第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔への触媒の供給は、ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔の両方の塔底部に到達した後に行うことが好ましく、A循環運転が安定してから行うことがより好ましい。
また、触媒の供給は、ポンプの吐出配管に設けられたコリオリ式流量計などで触媒の供給量を測定しながら行うことが好ましい。さらに、定量ポンプではストロークと回転数、キャンドポンプなどでは流量調節弁の弁開度で流量を調整して、触媒の供給量を制御することが好ましい。
第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔に触媒が供給されて生成反応が開始してから第2連続多段反応蒸留塔の塔底部温度が170〜190℃、好ましくは175〜190℃に上昇するまでの間、ジアリールカーボネート精製塔Bのサイドカット部から抜き出された芳香族モノヒドロキシ化合物を、凝縮器で凝縮してから、高沸点物質分離塔Aからジアリールカーボネート精製塔Bへ繋がっている供給配管へ供給して、ジアリールカーボネート精製塔Bへ戻すという循環運転を行うことが好ましい。この操作を行うことにより、サイドカットの凝縮器などに存在する芳香族モノヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートに置換することができる。
[再稼働時の反応開始手順の概略]
定期修理終了後などの再稼働時の反応開始手順の一例を、図2を用いて説明する。
再稼働は、次に示すD循環運転を実施後、前記C循環運転、前記A循環運転を順番に行って、その後に触媒の生成反応系への供給を開始して反応を再開することが好ましい。
D循環運転の前に、初期運転と同様に各塔の全還流運転を行うことが好ましい。全還流運転をどの塔から実施するかは特に制限はない。再稼働時の場合は、初期運転時の全還流運転とは異なり、ジアリールカーボネート精製塔B及び/又は高沸点物質分離塔Aの全還流運転を、少量の芳香族モノヒドロキシ化合物、低沸点化合物(例えば、アニソール)、中沸点化合物(例えば、ジアリールカーボネートとアルキルアリールカーボネートの間の沸点を持つサリチル酸メチルエーテル、サリチル酸メチルなど)、ジアルキルカーボネートなどを含む主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物、又はアルキルアリールカーボネートを用いて行うことが好ましい。
[D循環運転]
D循環運転は、D−1循環運転とD−2循環運転の2段階で進められる。
[D−1循環運転]
図2の細い点線で示した第一段階のD−1循環運転では、主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、アルキルアリールカーボネートタンク、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔B、アルキルアリールカーボネートタンクの順に循環させる。本実施形態におけるD−1循環運転は、高沸点物質分離塔Aに主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物が供給されてから、D−2循環運転が開始されるまでの間の循環運転である。
D−1循環運転中のジアリールカーボネート精製塔Bと高沸点物質分離塔Aの塔頂部圧力は、好ましくは10〜100Torr(1330〜13300Paa)であることが好ましい。ジアリールカーボネート精製塔Bと高沸点物質分離塔Aの塔底部温度は150〜220℃であることが好ましい。
系を安定化させ、かつ効率的な運転を行うという観点から、D−1循環運転を0.5〜24時間行ってから、次のD−2循環運転を開始することが好ましく、1〜12時間がさらに好ましい。
さらに、濃縮した触媒含有混合物を高沸点物質分離塔Aの塔底部から、第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔へ供給できるという観点から、D−1循環運転を開始した後に、触媒含有混合物のタンク(図示せず)から触媒含有混合物を高沸点物質分離塔Aの塔底部に供給して、D−1循環運転と並行して高沸点物質分離塔Aの塔底部で触媒含有混合物を濃縮することが好ましい。触媒含有混合物を濃縮して反応に再利用するときは、高沸点物質分離塔Aの塔頂部の凝縮器ドラムに主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を供給して、凝縮液と共にジアリールカーボネート精製塔Bに供給し、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部からアルキルアリールカーボネートを含有する混合物を抜き出して、アルキルアリールカーボネートタンクへ戻す運転を行う。
[D−2循環運転]
第二段階のD−2循環運転では、少量の芳香族モノヒドロキシ化合物、低沸点化合物(例えば、アニソール)、中沸点化合物(例えば、ジアリールカーボネートとアルキルアリールカーボネートの間の沸点を持つメチルサリチレートメチルエーテル、サリチル酸メチルなど)、ジアルキルカーボネートなどを含む主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、アルキルアリールカーボネートタンク、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔B、アルキルアリールカーボネートタンクの順に循環させる。本実施形態におけるD−2循環運転は、主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物が第2連続多段反応蒸留塔に供給されてから、A循環運転が開始されるまでの間の循環運転である。D−2循環運転終了後、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔BはD−2循環運転中と同様の条件で運転が継続され、A循環運転、定常運転へと移行していく。
D−2循環運転では、最初に、主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物が、アルキルアリールカーボネートタンクから第2連続多段反応蒸留塔の塔底部に供給される。
次に、供給された主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出して、高沸点物質分離塔Aへ供給する。
次に、供給された主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、高沸点物質分離塔Aの塔頂部から抜き出して、ジアリールカーボネート精製塔Bに供給する。
次に、供給された主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部から抜き出して、アルキルアリールカーボネートタンクへ戻す。
再び、主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物を、アルキルアリールカーボネートタンクから第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へ供給する。
この運転によって、主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物は、アルキルアリールカーボネートタンク、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bを循環する。
D−2循環運転の後、初期運転開始時と同様の手順でC循環運転、A循環運転を行ってから反応を再開することが好ましい。
D−2循環運転中のジアリールカーボネート精製塔Bと高沸点物質分離塔Aの塔頂部圧力は、好ましくは10〜100Torr(1330〜13300Paa)である。ジアリールカーボネート精製塔Bと高沸点物質分離塔Aの塔底部温度は150〜220℃であることが好ましい。
系を安定化させ、かつ効率的な運転を行うという観点から、0.5〜12時間のD−2循環運転を行ってから次のC循環運転を開始することが好ましく、1〜6時間がさらに好ましい。
本実施形態においては、D循環運転を実施後、C循環運転、A循環運転を順次行い、その後、触媒添加を再開して生成反応を再開し定常運転に移行するが、D−2循環運転終了のときと同様に、第2連続多段反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔B及びアルキルアリールカーボネートタンクは、D−2循環運転中と同様の条件で運転が適宜継続され、定常運転に移行する。
第2連続多段反応蒸留塔の塔底部の温度が185〜210℃に達したら、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部への主成分がアルキルアリールカーボネートの混合物の供給を停止し、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部から主成分がアルキルアリールカーボネートの混合液を抜き出してアルキルアリールカーボネートタンクへ戻す操作を継続する。主成分がアルキルアリールカーボネートの混合液をジアリールカーボネート精製塔Bからアルキルアリールカーボネートタンクへ戻す操作は、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部でサンプリングしたガス状の塔頂成分が室温で液状になるまで継続する。
また、濃縮した触媒含有混合物を高沸点物質分離塔Aの塔底部から、第1連続多段反応蒸留塔及び/又は第2連続多段反応蒸留塔へ供給できるという観点から、D−2循環運転を開始した後に、触媒含有混合物を高沸点物質分離塔Aの塔底部に供給して、D−2循環運転と並行して高沸点物質分離塔Aの塔底部で触媒含有混合物を濃縮することもできる。
なお、触媒含有混合物の濃縮は、短時間で効率よく所望の触媒濃度にすることができるという観点からは、D−2循環運転よりもD−1循環運転で行うことがより好ましい。
本実施形態において、第1連続多段反応蒸留塔及び第2連続多段反応蒸留塔としては、蒸留の段数が2段以上(実段または理論段)で連続蒸留が可能な蒸留塔ならばどのようなものでもよい。反応は塔内の液相部で主に起こる。このような蒸留塔としては、各種トレイを使用した棚段塔、各種充填物を充填した充填塔、又は、棚段部分及び充填部分を併せ持つ蒸留塔のいずれであってもよい。
また、本実施形態においては、必要に応じて芳香族モノヒドロキシ化合物などを精製する精製塔を用いてもよい。
また、ジアルキルカーボネート精製塔1、ジアリールカーボネート精製塔B、高沸点物質分離塔Aなどの蒸留塔の塔頂部又はサイドカット部から出た蒸気の熱をこれらの精製塔の供給液の予熱に利用してもよい。
本実施形態において、原料であるジアルキルカーボネートは公知のものであり、例えば、(R1O)CO(OR2)(式中、R1及びR2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基を示し、R1とR2はそれぞれ同じでも、異なっていてもよい。)で表されるものが挙げられ、国際公開WO2006/1257号公報に記載のものなどが用いられる。
具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジベンジルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどが挙げられる。これらの中で特に好ましく用いられるものは、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートである。
本実施形態において、原料である芳香族モノヒドロキシ化合物は公知のものであり、例えば、ArOH(式中、Arは炭素数1〜20の芳香族基を示す。)で表されるものが挙げられ、国際公開WO2006/1257号公報に記載のものなどが用いられる。
具体的にはフェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、o−,m−,またはp−エチルフェノール、o−,m−,またはp−プロピルフェノール、o−,m−,またはp−メトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、o−,m−,またはp−クロロフェノール、1−ナフトール、2−ナフトールなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいのはフェノールである。
本実施形態において、アルキルアリールカーボネートとは公知のものであり、例えば、(R3O)CO(OAr)(式中、Arは式(5)と同じものを表す。またR3は式(3)におけるR1またはR2と同じものを表す。)で表されるものが挙げられ、国際公開WO2006/6566号公報に記載のものなどが用いられる。
具体的にはメチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、及びヘキシルフェニルカーボネートのようなアルキルフェニルカーボネートがあり、さらにメチルまたはエチルトリルカーボネート、メチルまたはエチルキシリルカーボネート、メチルまたはエチルクロロフェノールなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、メチルフェニルカーボネート及びエチルフェニルカーボネートである。
さらに本実施形態において、ジアリールカーボネートは公知のものであり、例えば、(ArO)2CO(式中、Arは式(3)と同じものを示す。)で表されるものが挙げられる。
具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジクロロフェニルカーボネートなどが挙げられる。この中で特に好ましいのはジフェニルカーボネートである。
本実施形態において用いられる触媒は、ジアルキルカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物のエステル交換反応及びアルキルアリールカーボネートの不均化反応を促進するものであるならば、公知のいかなるものでも使用することができ、国際公開WO2006/1257号公報に記載のものなどが用いられる。例えば、Bu2SnO,Ph2SnO,(C8172SnO,Bu2Sn(OPh)2,Bu2Sn(OCH32,Bu2Sn(OEt)2,Bu2Sn(OPh)O(OPh)SnBu2などのスズ化合物;PbO,Pb(OPh)2,Pb(OCOCH32などの鉛化合物;AlX3,TiX3,TiX4,ZnX2,FeX3,SnX4,VX5等(ここでXはハロゲン、アセトキシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基を示す。)が挙げられる。具体例として、AlCl3,Al(OPh)3,TiCl4,Ti(OPh)4,Ti(OEt)4,Ti(OPr)4,Ti(OBu)4等のルイス酸化合物;Zr(acac)4,ZrO2等のジルコニウム化合物;CuCl,CuCl2,CuBr,CuBr2,CuI,CuI2,Cu(OAc)2などの銅化合物(ここでacacはアセチアセトン錯体リガンド、Acはアセチル基を示す)などが挙げられる。特に好ましいのはスズ化合物、チタン化合物である。
本実施形態によると、運転開始(又は再開)時からすぐに各塔に流れる液の流量が定常状態に近い範囲になるので、流量を自動制御して、液の塔内での滞留時間を一定にでき、安定運転のための複雑な操作を簡略化できるので、短時間で円滑に定常的な連続運転に到達できるため高純度のジアリールカーボネートを効率よく製造することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
全還流運転、B循環運転、C循環運転、A循環運転を行って連続運転可能な状態になったら、触媒含有混合物を第1連続多段反応蒸留塔へ供給して反応を開始して、ジフェニルカーボネートを連続的に製造した。
[ジメチルカーボネート精製塔1]
長さ17m、内径1.8mで、内部に16段のインターナルを有する回収部と、長さ25m、内径1mで、内部に55段のインターナルを有する濃縮部からなる連続多段反応蒸留塔を用いた。インターナルは、回収部、濃縮部ともに、孔1個あたりの断面積約1.3cm2、孔数約550個/m2の多孔板トレイを用いた。
[第1連続多段反応蒸留塔]
長さ33m、内径5m、で、内部に80段のインターナルを有する連続多段反応蒸留塔を用いた。インターナルは、孔1個あたりの断面積約1.5cm2、孔数約250個/m2の多孔板トレイを用いた。
[第2連続多段反応蒸留塔]
長さ31m、内径5mで、内部に30段のインターナルを有する連続多段反応蒸留塔を用いた。インターナルとして、上部に規則性充填物であるメラパック2基(合計理論段数11段)を設置し、下部に孔1個あたりの断面積約1.3cm2、孔数約250個/m2の多孔板トレイを設置した。
[高沸点物質分離塔A]
長さ17m、内径3.4mで、インターナルとして、合計理論段数30段のメラパックを設置した、充填塔方式の蒸留塔を用いた。
[ジフェニルカーボネート精製塔B]
長さ22m、内径2.8mであって、塔の中間部に導入口、導入口と塔底との間にサイドカット抜き出し口を有し、導入口から上部のインターナルの理論段数が12段、導入口とサイドカット抜き出し口との間のインターナルの理論段数が18段、サイドカット抜き出し口から下部のインターナルの理論段数が5である3基のメラパックを設置した充填塔方式の蒸留塔を用いた。
[全還流運転]
塔頂部圧力が310Torr(41230Paa)の高沸点物質分離塔A及びジフェニルカーボネート精製塔Bに、純度が99.6%のフェノールを供給し、全還流運転を行った。
次に、塔頂部圧力250Torr(33250Paa)の第2連続多段反応蒸留塔に、ジメチルカーボネートが33質量%とフェノールが67質量%の混合物を供給し、全還流運転を行った。
次に、ジメチルカーボネート精製塔1の塔頂部の凝縮器内の凝縮液中のメチルアルコールの濃度が約93質量%となるように、塔頂部圧力1.0MPaGのジメチルカーボネート精製塔1の塔底部へ少量のメチルアルコールと純度99.9質量%のジメチルカーボネートを供給し、全還流運転を行った。
次に、塔頂圧力0.6MPaGの第1連続多段反応蒸留塔に、純度99.9質量%のジメチルカーボネートを供給し、全還流運転を行った。
なお、ジメチルカーボネート精製塔1、第1連続多段反応蒸留塔、第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部の凝縮器には、3℃と25℃の冷却水を流し、高沸点物質分離塔Aの塔頂部の凝縮器には82℃の温水、ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部の凝縮器には50℃の温水を流した。
真空ポンプの封液ドラムに使用する液は、ジメチルカーボネートとフェノールの混合物及び主成分がフェノールの混合物を用いた。真空ポンプは、液封ポンプの上に垂直方向にブースターポンプを設け、液だまりの発生を防ぐため、サクション配管は1/100以上の下向きの傾斜配管にした。
[B循環運転]
次に、塔頂部圧力250Torr(33250Paa)の第2連続多段反応蒸留塔の塔底部にフェノールタンクからフェノールを5トン/hrで供給した。
次に、供給されたフェノールを、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出し、塔頂部圧力が310Torr(41230Paa)の高沸点物質分離塔Aへ供給した。
次に、供給されたフェノールを、高沸点物質分離塔Aの塔頂部から抜き出して、塔頂部圧力が310Torr(41230Paa)のジフェニルカーボネート精製塔Bへ供給した。
次に、供給されたフェノールを、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部から抜き出して、フェノールタンクへ戻した。
次に、フェノールタンクから、再び第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へフェノールを供給した。
[C循環運転]
B循環運転を1時間行ってB循環運転が安定したら、C循環運転を開始した。
ジメチルカーボネート精製塔1の塔底部から、徐々に供給量を増やしながら最終的に80.8トン/hrで、ジメチルカーボネートを塔頂部圧力が1.0MPaGの第1連続多段反応蒸留塔へ供給した。なお、ジメチルカーボネート精製塔1の塔底部の液面レベルが一定になるように、ジメチルカーボネートタンクからジメチルカーボネートを供給して調整した。
次に、供給されたジメチルカーボネートを、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して、熱回収冷却器、供給ポンプ、熱回収予熱器を経由して、ジメチルカーボネート精製塔1へ戻した。
[A循環運転]
C循環運転を3時間行ってC循環運転が安定したら、A循環運転を開始した。
ジメチルカーボネートとフェノールの混合物タンクから、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部の温度より6℃低い温度まで熱回収予熱器で加熱したジメチルカーボネート33質量%とフェノール67質量%の混合物を、徐々に供給量を増やしながら、最終的に80.8トン/hrで塔頂部圧力0.6MPaGの第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ供給した。
供給された混合物は、第1連続多段反応蒸留塔内のトレイなどを経由して第1連続多段反応蒸留塔の塔底部へと落下した。第1連続多段反応蒸留塔の塔底部の液面が上昇してきたら、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から混合液を抜き出して、塔頂部圧力が250Torr(33250Paa)のメラパックと多孔板トレイの間に設置されている第2連続多段反応蒸留塔の導入口から第2連続多段反応蒸留塔へ供給した。供給された混合物の一部は、第2連続多段反応蒸留塔内のトレイなどを経由して第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へと落下した。
次に、第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出した混合物を、熱回収冷却器、凝縮器、供給ポンプ、ジメチルカーボネートとフェノールの混合物タンク、供給ポンプの順に経由して、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ戻した。
第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部からの抜出量を、還流量を調整して80.8トン/hにした。フェノールをジメチルカーボネートとフェノールの混合物タンクへ供給することによって、ジメチルカーボネートとフェノールの混合物タンク内のフェノールとジメチルカーボネートのモル比を約1.9に調整した。
[触媒の供給開始]
A循環運転を6時間行ってA循環運転が安定したら、高沸点物質分離塔Aの塔底部に、触媒貯槽から触媒含有混合物をPb換算で9000質量ppmになるように供給した。
次に、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部における反応液の触媒濃度がPb換算で100質量ppmになるように、高沸点物質分離塔Aの塔底部の触媒含有混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ供給して、アルキルアリールカーボネートとジフェニルカーボネートの生成反応を開始した。
反応が進行し、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部温度が178℃に上昇したとき、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へのフェノールの供給を停止した。
第2連続多段反応蒸留塔の塔頂圧力を250Torr(33250Paa)、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部の温度を190〜215℃に維持して運転を続け、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部の液面レベルを一定に保つために、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から高沸点物質分離塔Aへ供給する塔底液の量を徐々に増やした。
第2連続多段反応蒸留塔の塔底部の温度は、反応の進行による塔内成分の組成変化によって徐々に上昇した。また、塔内成分の組成変化に対応して、塔底部からの抜出量を調整した。安定運転時、ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底部温度は212℃、塔底部からの抜出量は86トン/hrであった。第1連続多段反応蒸留塔の塔底部温度は233℃、塔頂部からの抜出量は85.2トン/hr、塔底部からの抜出量は82.3トン/hrであった。第2連続多段反応蒸留塔の塔底部温度は210℃であった。
反応の進行にともない、第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から高沸点物質分離塔Aへ供給する塔底液の組成が変化するため、高沸点物質分離塔Aの塔頂圧力を310Torr(41230Paa)から28.5Torr(3800Paa)まで徐々に下げて、塔底部の温度を210℃以下に維持した。また、ジフェニルカーボネート精製塔Bへの供給量を調整して、高沸点物質分離塔Aの塔頂部の凝縮器のドラムの液面レベルを一定に保った。
ジフェニルカーボネート精製塔Bは、塔頂部の圧力を310Torr(41230Paa)から約38Torr(5000Paa)に徐々に下げて、塔底部の温度を213℃以下に維持した。
反応の進行にともない、ジフェニルカーボネート精製塔B内の主成分がメチルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートの混合物になり、反応開始から12時間後にジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部から抜き出された塔頂成分が、メチルフェニルカーボネートを90質量%含む混合物へと変わった。
ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部の出口温度が158℃になったとき、ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部の凝縮器からサンプリングして、サンプリングされた塔頂成分が室温で液状であることを確認した後、ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂液の供給先を、フェノールタンクからメチルフェニルカーボネートタンク及び第2連続多段反応蒸留塔へ切り替えた。同時に、ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部の凝縮器の冷却水を50℃の温水から25℃の冷却水に切り替えた。
[定常運転]
触媒の生成反応系への供給開始の後、定常運転に移行した。定常運転は以下のように行った。
フェノール/ジメチルカーボネート=約1.9(モル比)からなる混合物を、第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から液状で、80.8トン/hrの流量で連続的に供給した。
一方、ジアルキルカーボネートの精製塔1の塔底部から抜き出したジメチルカーボネートとフェノールからなる混合物を、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から液状で86トン/hrの流量で連続的に供給した。
触媒含有混合物を、反応液中にPb換算で100質量ppmとなるように第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から供給した。
第1連続多段反応蒸留塔では、塔底部の温度が230℃、塔頂部の圧力が0.6MPaG、還流比が0の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。メチルアルコール、ジメチルカーボネート、フェノール等を含む第1連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部からガス状で連続的に抜き出し、熱交換器を経て、抜出し口から85.2トン/hrの流量で抜出した(連続工程(1))。
一方、メチルフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、フェノール、ジフェニルカーボネート、触媒等を含む第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を、第1連続多段反応蒸留塔の塔底部を経て、第2連続多段反応蒸留塔のメラパックと多孔板トレイとの間に設置されている導入口から、82.3トン/hrの流量で連続的に供給した。第2連続多段反応蒸留塔に供給された液には、メチルフェニルカーボネートが18.2質量%、ジフェニルカーボネートが0.8質量%含まれていた。第2連続多段反応蒸留塔では、塔底部の温度が210℃、塔頂部の圧力が250Torr(33250Paa)、還流比が0.3の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。
触媒含有混合物の第1連続多段反応蒸留塔への供給を開始して6時間後には安定的な定常運転が達成できた。第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部から、ジメチルカーボネート35質量%、フェノール56質量%を含む第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物が連続的に抜き出され、抜出し口での流量は69.2トン/hrであった。
第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から、メチルフェニルカーボネート38.4質量%、ジフェニルカーボネート55.6質量%を含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物が連続的に抜出された(連続工程(2))。
第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物は、第1連続多段反応蒸留塔に連続的に供給された。
第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出された第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を、高沸点物質分離塔Aに13.1トン/hrで連続的に供給した。高沸点物質分離塔Aでは、塔底部の温度を206℃、塔頂部の圧力を3800Pa、還流比0.6で連続的に蒸留を行い、塔頂部から塔頂成分を12.5トン/hrで連続的に抜き出し、塔底部から塔底成分を0.6トン/hrで連続的に抜き出した。
高沸点物質分離塔Aの塔頂成分を、ジフェニルカーボネート精製塔Bに連続的に導入した。ジフェニルカーボネート精製塔Bでは、塔底部の温度を213℃、塔頂部の圧力を5000Pa、還流比1.5で連続的に蒸留を行った。
触媒含有混合物の第1連続多段反応蒸留塔へ供給の開始から24時間後には、ジフェニルカーボネート精製塔Bの塔頂部からメチルフェニルカーボネートを主成分とする塔頂成分を5.3トン/hrで連続的に抜き出し、塔底部からジフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートより沸点が高い化合物からなる塔底成分を0.03トン/hrで連続的に抜き出し、塔中間部からサイドカット成分としてジフェニルカーボネートを7.17トン/hrで連続的に抜き出すことができた。得られたジフェニルカーボネートの純度は99.9質量%、また、得られたジフェニルカーボネートをアセトン7ml中に1g溶解して厚さ10mm、長さ50mm、容量5mlの石英セルを使用し測定したUVの400nmの吸光度は0.0005であった。
この条件で5000時間の連続運転を安定に行うことができた。
<比較例1>
C循環運転開始と同時に、高沸点物質分離塔Aの塔底部に触媒含有混合物を供給し、A循環運転の開始と同時に高沸点物質分離塔Aの塔底部の触媒含有混合物を第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部へ供給した以外は、実施例1と同様の運転を行った。
第1連続多段反応蒸留塔において、第1連続多段反応蒸留塔内に設けられたトレイ上にジメチルカーボネートとフェノールの混合物が溜まっていなかったため、トレイ上でのジメチルカーボネートとフェノールの反応がスムーズに行えなかった。そのため、触媒含有混合物供給開始後、ジフェニルカーボネートの生産量が7.17トン/hrになるまでに72時間かかった。
さらに、72時間後に得られたジフェニルカーボネートの純度は99.1質量%、吸光度は0.0007であった。

Claims (9)

  1. ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とを原料にして、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、
    (1)少なくとも前記原料を第1連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給して、アルコール及びアルキルアリールカーボネートが生成するように反応させて、アルコールを含む第1連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物及びアルキルアリールカーボネートを含む第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を連続的に得る工程及び、
    (2)少なくとも前記第1連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を、第2連続多段反応蒸留塔内に連続的に供給して、ジアルキルカーボネート及びジアリールカーボネートが生成するように反応させて、ジアルキルカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔低沸点反応混合物及びジアリールカーボネートを含む第2連続多段反応蒸留塔高沸点反応混合物を連続的に得る工程を含む方法であり、
    該方法が、前記連続工程(1)及び連続工程(2)の開始に先立ち、さらに、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物との混合物、又は、ジアルキルカーボネート、芳香族モノヒドロキシ化合物及び芳香族カーボネート類の混合物であるジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、少なくとも前記第1連続多段反応蒸留塔と前記第2連続多段反応蒸留塔の間で循環させるA循環工程を含み、
    前記A循環工程が、前記第1連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が供給されてから、前記第1連続多段反応蒸留塔への触媒の供給、又は、前記第1連続多段反応蒸留塔及び前記第2連続多段反応蒸留塔への触媒の供給が開始され、ジアリールカーボネートの生成反応が開始して定常運転に至るまでの間の循環運転であり、
    前記A循環工程において、前記ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、前記第1連続多段反応蒸留塔へ供給し、前記第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出して前記第2連続多段反応蒸留塔へと供給することで循環を行い、
    前記第1連続多段反応蒸留塔への触媒の供給、又は、前記第1連続多段反応蒸留塔及び前記第2連続多段反応蒸留塔への触媒の供給が、前記A循環工程の開始後であって、前記第1連続多段反応蒸留塔及び前記第2連続多段反応蒸留塔の少なくとも一方の塔底部に、前記ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物が到達した後以降に行われる、
    ジアリールカーボネートの製造方法。
  2. 前記A循環工程において、前記ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、前記第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出して前記第2連続多段反応蒸留塔へ供給し、前記第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して前記第1連続多段反応蒸留塔へ供給することで循環を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記A循環工程において、前記ジアルキルカーボネート/芳香族モノヒドロキシ化合物混合物を、前記第1連続多段反応蒸留塔の塔底部より上へ供給し、前記第1連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出して前記第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部より下へと供給し、前記第2連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して前記第1連続多段反応蒸留塔へ供給することで循環を行う、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ジアルキルカーボネート精製塔1を含み、
    前記A循環工程の開始前に、少なくとも前記ジアルキルカーボネート精製塔1と前記第1連続多段反応蒸留塔の間でジアルキルカーボネートを循環させるC循環運転を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記第1連続多段反応蒸留塔の前にジアルキルカーボネート精製塔1が設置され、
    前記C循環運転において、前記ジアルキルカーボネート精製塔1の塔底部からジアルキルカーボネートを抜き出し、前記第1連続多段反応蒸留塔の中段から塔底部の間へ供給し、供給されたジアルキルカーボネートを、前記第1連続多段反応蒸留塔の塔頂部から抜き出して、前記ジアルキルカーボネート精製塔1の塔中段より下部へ供給することで循環を行う、請求項4に記載の方法。
  6. 高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bを含み、
    前記A循環工程の開始前に、少なくとも前記第2連続多段反応蒸留塔、前記高沸点物質分離塔A及び前記ジアリールカーボネート精製塔Bの間で芳香族モノヒドロキシ化合物を循環させるB循環運転を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記第2連続多段反応蒸留塔の後に、高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bがこの順で設置され、
    B循環運転において、前記第2連続多段反応蒸留塔の塔底部に、芳香族モノヒドロキシ化合物を供給し、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、前記第2連続多段反応蒸留塔の塔底部から抜き出し、前記高沸点物質分離塔Aへ供給し、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、前記高沸点物質分離塔Aの塔頂部から抜き出して、ジアリールカーボネート精製塔Bへ供給し、供給された芳香族モノヒドロキシ化合物を、ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂部から抜き出して、再び第2連続多段反応蒸留塔の塔底部へ、芳香族モノヒドロキシ化合物を供給することで循環を行う、請求項6に記載の方法。
  8. 第1連続多段反応蒸留塔、第2連続多段反応蒸留塔、ジアルキルカーボネート精製塔1、高沸点物質分離塔A及びジアリールカーボネート精製塔Bを含む設備を組み合わせて行う製造方法であって、
    ジアリールカーボネート製造の連続運転を開始する前に、前記高沸点物質分離塔A及び前記ジアリールカーボネート精製塔Bに芳香族モノヒドロキシ化合物を供給して、塔単独の全還流運転を行い、前記第2連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物を供給して、全還流運転を行い、前記ジアルキルカーボネート精製塔1に、ジアルキルカーボネート又はジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを供給して、全還流運転を行い、前記第1連続多段反応蒸留塔にジアルキルカーボネートを供給して、全還流運転を行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. ジアルキルカーボネートがジメチルカーボネート、
    芳香族モノヒドロキシ化合物がフェノール、
    アルコールがメタノール、
    アルキルアリールカーボネートがメチルフェニルカーボネート、
    ジアリールカーボネートがジフェニルカーボネートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
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