以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る球通路構造を備えた弾球遊技機の代表例として、ガラス扉を閉止した状態およびガラス扉を開放した状態のパチンコ機PMの正面図を図1および図2に示すとともに、パチンコ機PMの背面図を図3に示しており、先ず、これらの図面を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、ガラス扉5が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤20がガラス扉5を通して視認されるようになっている。
遊技盤20は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルータ加工した化粧板21を基板とし、この化粧板21の前面に外レール22a及び内レール22bが円弧状に固設されて遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞装置23,24,25、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置27、左右のサイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域PAの下端部にアウト口28が形成されている。化粧板21の裏面側には中央部に図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置56が取り付けられ、その周囲には各入賞具に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、およびアウト口28を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらをまとめて「遊技済み球」と称する)を、化粧板21の背面に沿って裏セット盤40の遊技済み球排出通路に導く球寄せカバー29が取り付けされている。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられるとともに、この遊技補助盤9の前方に上球皿6が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤9の前面を覆う閉止状態に保持される。上球皿6の下側には、下球皿7が前方に突出して取り付けられその右側に遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
前枠2の裏面下部の遊技補助盤9には、発射ハンドル8の操作量(回動操作量)に応じた打ち出し強度で遊技球を遊技領域PAへ打ち出し可能に構成された遊技球発射装置30が取り付けられている。この遊技球発射装置30の近傍に位置して上球皿6に取り付けられている球送り装置37と、この球送り装置37と対向する板状のレールベース38と、このレールベース38に保持されて斜めに延び、遊技発射装置30のハンマーに叩打された遊技球をガイドして外レール22aに向けて発射させる発射レール39とが設けられている。発射レール39は、前枠2の下部スペース(後述する当て板6tの裏面側のスペース)にパチンコ機PMの正面から見て右下方から左上方に向かって延びるように設けられており、その延長線上には外レール22aが配置されている。
ここで、図4に球送り装置37の部分断面図を示す。球送り装置37は、上球皿6に設けられた球貯留部6c(図6を参照)内から後述の球供給路61(図6を参照)を移動してきた遊技球Bを遊技球発射装置30における所定の打球位置(発射レール39の下端部)へ誘導する球送り経路37aを有しており、球送り経路37aの下流部には発射レール39の下端部が位置している。球送り経路37a中には、揺動ピン37dにより図4の紙面面内まわり揺動自在に支持された球送り弁37cが介挿されており、不図示のソレノイドの作動によって球送り弁37cが揺動すると、この球送り弁37cにより堰き止められていた球送り経路37a内の遊技球(図4中に示す遊技球B′を参照)は球送り弁37cの下流側、すなわち遊技球発射装置30における所定の打球位置に供給され、遊技球発射装置30のハンマーによって叩打されて発射レール39等を通って遊技領域PAに打ち出される。
一方、前枠2の後面側には、図3に示すように、裏セット盤40が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には遊技盤20の裏面を覆う閉止状態に保持されている。裏セット盤40は、中央部に遊技盤20の図柄表示制御装置56を受容する窓口41aを有して外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの方形枠状に形成された基枠体41をベースとして構成される。裏セット盤40の裏面側には、基枠体41の左上部に取り付けられ遊技球を貯留する球貯留タンク42、球貯留タンク42の下方に位置して設けられ遊技球の払い出しを行う球払出装置44、球貯留タンク42と球払出装置44との間を結んで設けられ球貯留タンク42に貯留された遊技球を整列させて球払出装置44へ導く案内通路43、球払出装置44の下方に設けられて球払出装置44から払い出された遊技球を上下の球皿6,7へ導く球払出通路45等が設けられている。
また、裏セット盤40の裏面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置51や、遊技球の払い出し作動を制御する球払出制御装置52、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御装置53、各制御装置や電子部品に電力を供給する電源ユニット54、遊技施設側と信号や電力の入出力を行うターミナル基板55、図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置56、遊技球発射装置30の作動を制御する発射装置制御基板57等の各種制御装置や制御基板、電子部品などが取り付けられ、これらが図示しないコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球が各入賞装置に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をもう少し詳しく説明する。遊技盤20に設けられる入賞装置には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞装置を用いるものであってもよいが、例えば図1及び図2に例示した遊技盤20では、一般入賞装置23、始動入賞装置24、大入賞装置25の3種類の入賞装置を設けた例を示している。
一般入賞装置23は、遊技球が落入可能な入賞口23aを有する固定入賞具であり、この一般入賞装置23の後部には入賞口23aに落入したセーフ球を化粧板21の裏面側へ導くセーフ球通路が設けられている。入賞口23aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器23sを通過することによって入賞が検出されるようになっている。入賞球検出器23sは、遊技球の通過を検出可能な通過型センサである限り特に限定されず、例えば、磁気センサや光センサ、近接スイッチ等の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい(以下に示す入賞球検出器24s,25s,25tにおいても同様とする)。
始動入賞装置24は、いわゆる電動チューリップ型の可動入賞具であり、左右のチューリップ羽根を開閉させて入賞口24aを拡大・縮小変化させることができる。始動入賞装置24の後部には入賞口24aに落入したセーフ球を化粧板21の裏面側へ導くセーフ球通路が設けられている。入賞口24aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器24sを通過することによって入賞が検出されるようになっている。
大入賞装置25は、いわゆるアタッカー型の可動入賞装置であり、横長方形状の大入賞口25aを覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口25aが開放される。大入賞口25aの内部には左右2つの領域開口が設けられており、大入賞装置25の後部には上記二つの領域開口に繋がって化粧板21を貫通する二つのセーフ球通路が設けられている。大入賞口25aに落入したセーフ球はいずれかの領域開口からセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に領域開口に対応して設けられた入賞球検出器25s,25tを通過することによって入賞が検出されるようになっている。なお、入賞球検出器23s,24s,25s,25tにより検出された遊技球は、球寄せカバー29、遊技済み球排出通路を流下して遊技島の回収装置に排出される。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、ガラス扉5および上球皿6がともに閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。操作ハンドル8が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球がこの上球皿6の背面に装着された球送り装置37によって1球ずつ発射レール39の下端部に送り出され、遊技球発射装置30のハンマーによって1球ずつ遊技盤20の遊技領域PAに打ち出され、遊技球が遊技領域PAを転がり落ちることにより、以降パチンコゲームが展開される。
ここで、ここで、図5に主制御装置51および球払出制御装置52の制御形態を主として示すブロック図を示している。この図5に示すように、入賞球検出器23s,24s,25s,25tの検出信号は主制御装置51に出力されており、主制御装置51は入力された検出信号に基づいてパチンコ機PMの作動を統括的に制御する。例えば、遊技領域PAを転がり落ちる遊技球が一般入賞装置23に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出器23sを通過する際に入賞が検出され、その検出信号が主制御装置51に入力される。主制御装置51は、この検出信号から、遊技球が入賞装置に落入したこと、および入賞した入賞装置が一般入賞装置23であることを検知し、球払出制御装置52に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置44を作動させ、一般入賞装置23に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6に払い出させる。
また、始動入賞装置24に遊技球が落入して入賞球検出器24sから検出信号が出力されると、主制御装置51はこの検出信号から、遊技球が落入したこと、および入賞した入賞装置が始動入賞装置24であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、主制御装置51内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、図柄表示制御装置56に抽選結果を出力して図柄表示装置27に表示させる図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばランプ・音声制御装置63を介してサイドランプの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また、主制御装置51は、球払出制御装置52に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置44を作動させ、始動入賞装置24に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6に払い出させる。
主制御装置51による抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、図柄表示装置27には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。特別遊技においては、大入賞装置25の作動により大入賞口25aが開放される。そして、例えば、大入賞口25aが約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞装置25に入賞した後、大入賞口25aが一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。大入賞装置25に遊技球が落入する度に、予め設定された所定個数の遊技球が賞球として球払出装置44より払い出される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにおいて、正常な遊技では原則として遊技球1球につき1回のみ入賞球検出器への通過が検出されるものであるが、近年においては、入賞装置に落入した1個の遊技球を不正な操作によって入賞球検出器の導入口に連続して通過させて、多数の賞球を払い出させる不正入賞行為(ゴト行為)が頻発している。
この代表的な手口を概要説明すると、まず、所定長さを有する釣糸等の糸状体の一端側を遊技球に固着させ、この糸状体の他端側を不正行為者自身が掌で掴み、このような細工を施した遊技球(以下において「糸付球」と称する)を上球皿6に貯留された他の遊技球の間に忍ばせて、他の遊技球とともに上球皿6から1球ずつ順番に遊技球発射装置30へ供給させて遊技球発射装置30により発射レール39から外・内レール22を通して遊技領域PA内へ送り込む。糸付球が遊技領域PAまで達すると、ガラス扉5の外側から強力な磁石を用いてこの遊技球を入賞装置(1回の賞球数が最も多い一般入賞装置23が狙われ易い傾向にある)まで誘導して当該入賞装置の入賞口へ落入させる。遊技球が入賞口からセーフ球通路に導かれて入賞球検出器の導入口を通過すると、主制御装置51により遊技球の入賞が検出されて球払出装置44により入賞条件に応じた個数の賞球が上球皿6へ払い出されることになる。不正行為者は、このように賞球が払い出されたことをもって、糸付球がターゲットである入賞球検出器へ到達したことを認識し、自身の掌に掴んでいる糸状体の他端側を手前に引っ張ったり奥側へ送り込んだりする操作をして、糸付球を入賞球検出器の導入口に何度も繰り返し通過させることで、遊技球の連続入賞を不正に検出させて多数の賞球を獲得している。これが、最近になって頻発している糸付球を用いた不正入賞行為の全貌である。
そこで、このような不正入賞行為を防止すべく、上球皿6において球貯留部6cと遊技球発射装置30との間を繋ぐ球供給路(球通路)61に本実施形態に係る球通路構造が設けられている。それでは、図6〜図8を追加参照して、本発明を適用した球通路構造の第1の実施形態について以下に説明する。ここで、図6は上球皿6を示す平面図、図7は上球皿6を示す背面図、図8は球供給路61の球通路構造を模式的に示す図である。
図6に示すように、上球皿6は、ガラス扉5の下方において前枠2に対して開閉自在な横長の板部材からなる当て板6tと、この当て板6tに取り付けられた外装体6aと、この外装体6aの内側に取り付けられた皿体6bとを主体に構成されている。皿体6bの正面左上方部には遊技球Bを貯留する球貯留部6cが設けられるとともに、この球貯留部6cからは遊技球発射装置30側に全体として斜めに(パチンコ機PMの正面から見て左上から右下方向に)延びるように球樋60が設けられている。
球樋60は、図7及び図8に示すように、球貯留部6cの底面の一部をなして遊技球発射装置30側に向かって下り傾斜となって延びる案内傾斜面62と、案内傾斜面62に対向して設けられる天面63と、遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて案内傾斜面62と天面63との両端を繋いで前後平行に立設された側壁面64とを備え、これら四つの面に囲まれて遊技球を上流側から下流側へ通過させるための球供給路61が形成されている。
案内傾斜面62は、上流側から下流側に向かって順に、第1傾斜面62a、第2傾斜面62b、及び第3傾斜面62cが二つの段差部62d,62eを介して連続的に繋がって形成されており、各々の傾斜面62a,62b,62cが下流側(図7及び図8における左方)に向かって下り傾斜になるとともに、これらを繋ぐ段差部62d,62eによって遊技球を遊技球発射装置30側(左方)へより円滑に案内する。ここで、球供給路61のうち、第1傾斜面62a、第2傾斜面62b、及び第3傾斜面62cによって底面側を区画する球通路部分を、それぞれ第1供給路61a、第2供給路61b、及び第3供給路61cと称して説明する。
天面63は、全体として案内傾斜面62と略平行になるように傾斜しており、案内傾斜面62の第2の段差部62eの上方に位置して鉛直下方に突出する垂下壁63aが一体に形成されている。また、球貯留部6cとの境の部分には球ならし庇6fが形成されている。
このような球供給路61には、第1供給路61aから第2供給路61bへの遊技球の通過を許容する第1可動扉65と、第2供給路61bから第3供給路61cへの遊技球の通過を許容する第2可動扉67とが設けられている。
第1可動扉65は、第1供給路61aの下流側の開口よりも幾分大きな平板状に形成されており、天面63に設けられた上側軸部69aを中心として上下に揺動自在に枢結されている。この第1可動扉65の先端縁部65aは尖鋭な刃状に形成されている。また、第1可動扉65は、捩じりバネ66によって第1の段差部62d側に常時付勢されている。
捩じりバネ66は、バネ線材を円筒状に巻回されてなり、その両端の脚部が軸廻りに相反する方向に変位されて荷重を受けるようになっている。この捩じりバネ66は、その巻回された部分に上側軸部69aを挿入させた状態で、一方の脚部が天面63に係止され、他方の脚部が可動扉65に係止されており、これら両脚部が近接する方向に変位した状態(両脚部のなす角度が90°の状態)で保持されている。そのため、この捩じりバネ66に生じる付勢力(捻りトルク)を利用して、第1可動扉65が第1の段差部62dに当接し第1供給路61aの下流側開口を閉止するようになっている。一方、遊技球が第1供給路61aを通過する際は、この第1傾斜面62aを転動する遊技球の球圧によって可動扉65が上方に揺動して第1供給路61aの開口を開放し、遊技球の第2供給路61bへの通過が許容される。
第2可動扉67は、第2供給路61bの下流側の開口(第2傾斜面62b、垂下壁63a及び側壁面64により区画される開口)よりも幾分大きな平板状に形成されており、第3傾斜面62cに設けられた下側軸部69bを中心として上下に揺動自在に枢結されている。この第2可動扉67の先端縁部67aは尖鋭な刃状に形成されている。また、第2可動扉67は捩じりバネ68によって垂下壁63a側に常時付勢されている。
捩じりバネ68は、捩じりバネ66とほぼ同じ形態のバネであり、その巻回された部分に下側軸部69bを挿入させた状態で、一方の脚部が案内傾斜面62に係止され、他方の脚部が第2可動扉67に係止されており、この捩じりバネ66に生じる付勢力(捻りトルク)を利用し、可動扉67が垂下壁63aに当接して第2供給路61bの下流側開口を閉止するようになっている。一方、遊技球が第2供給路61bを通過する際は、この第2傾斜面62bを転動する遊技球の球圧によって第2可動扉67が下方に揺動して第2供給路61bの開口を開放し、遊技球の第3供給路61cへの通過が許容される。
以上のように構成される上球皿6の球供給路61は、球貯留部6c内の遊技球を転動流下させて遊技球発射装置30に遊技球を供給する働きをする。遊技中、球貯留部6c内に滞留する遊技球はこの球供給路61を通って下方に移動し、皿体6bに形成されたエンド部6kに当たってパチンコ機PMの奥側(当て板6t側)に落下し、球流路37bから球送り経路37aを通って、遊技球発射装置30の上記所定の打球位置へ到達する。
ここで、前述のように不正行為者によって糸付球(糸状体付きの遊技球)が上球皿6の球貯留部6cに混入され、この糸付球が球供給路61を通過する際の球通路構造の作動について図9を追加参照して説明する。なお、図9は球供給路61内での糸付球BIの動きを説明するための図であって、(A)は糸付球BIが第1供給路61aにある場合、(B)は糸付球BIが第2供給路61bのある場合、(C)は糸付球BIが第3供給路61cにある場合を示している。
先ず、図9(A)に示すように、球供給路61に入球した糸付球BIは第1傾斜面62aを転動して第1可動扉65に当接する。糸付球BIの球圧によって第1可動扉65は捩じりバネ66の付勢力に抗して上方に揺動し、第1供給路61aの下流側の開口を開放して糸付球BIの第2供給路61bへの移動を許容する。この糸付球BIが第2供給路61bへ進入して第1可動扉65から離間すると、第1可動扉65が捩じりバネ66の復元力(付勢力)によって下方に揺動して第1の段差部62dと当接し、再び第1供給路61aの下流側の開口を閉止する。これにより、図9(B)に示すように、糸付球BIから後方に延びる糸状体Iが第1可動扉65に引掛けられて、第1可動扉65と第1の段差部62dとの当接面に糸状体Iが挟み込まれた状態となる。このように第1可動扉65と段差部62dとの間に糸状体Iを挟み込ませることにより、糸状体Iに張力が発生したときに、糸状体Iが第1可動扉65の先端縁部65aに喰い込み易くなる。
続いて、第2供給路61bに入った糸付球BIが第2傾斜面62bを転動して第2可動扉67に当接すると、この糸付球BIの球圧によって、今度は第2可動扉67が捩じりバネ68の付勢力に抗して下方に揺動し、第2供給路61bの下流側の開口を開放して糸付球BIの第3供給路61cへの移動を許容する。糸付球BIが第3供給路61cへ進入して第2可動扉67から離間すると、第2可動扉67が捩じりバネ68の復元力(付勢力)によって上方に揺動して垂下壁63aと当接し、再び第2供給路61cの下流側の開口を閉止する。このとき、糸付球BIの糸状体Iが第2可動扉67の上方への揺動によって引掛けられて(持ち上げられて)第2可動扉67と垂下壁63aとの当接面に挟み込まれた状態となる。このように、糸付球BIから後方に延びる糸状体Iを各可動扉65,67に引掛けた状態にすることで、糸付球BIに対する自由な操作を規制することができる。
このように糸付球BIの糸状体Iが可動扉65,67に引掛かるたびに、糸付球BIの移動が一時的に規制されるが、この球通路61を流下してきた後続の遊技球Bが可動扉65,67を開放する際に、可動扉65,67から糸状体Iが解放されてその間だけ糸付球BIの移動が許容される。このようにして糸付球BIが、図9(C)に示すように、さらに第3供給路61cを転動流下していくと、球流路37bや球送り経路37a等を経て遊技球発射装置30の上記所定の打球位置(発射レール39の下端部)に到達する。
発射レール39上に供給された糸付球BIは、遊技球発射装置30のハンマーによって叩打され、発射レール39から外レール22aを通って遊技領域PA内に送り込まれる。こうして糸付球BIは遊技領域PA内に送り込まれるが、通常の遊技では、遊技球発射装置30は遊技者が操作した発射ハンドル8の操作量(回動操作量)に応じた打ち出し強度で遊技球を遊技領域PA内に打ち出すので、遊技者は遊技盤20内のどの位置に打つかの狙いをつけて打球することができる。一方で、遊技球発射装置30により糸付球BIを打ち出すときには、この糸付球BIの糸状体Iは2つの可動扉65,67に引掛かった状態となっているため、糸付球BIの発射弾道(飛翔ルート)をコントロールすることが出来なくなり、糸付球BIを遊技盤20の所望の位置まで到達させることが困難となる。また、糸付球BIを発射することで可動扉65,67に引掛かった状態の糸状体Iに過大な張力が付与されるため、糸状体Iが各可動扉65,67の刃状の先端縁部65a,67aに接触して糸状体Iを切断することも可能である。特に、上下互い違いの位置に可動扉65,67の先端縁部65a,67aを配し、大きな張力が付与されたときに糸状体Iが可動扉65,67の先端縁部65a,67a(張力方向と交差する方向)に喰い込み易くなるため、このように糸状体Iと先端縁部65a,67aとが圧接することにより、糸状体Iをより確実に切断することが可能になる。
なお、図7に示すように、球供給路61の下方には、球供給路61の下流側に位置して球抜き孔6hが設けられるとともに、この球抜き孔6hを上端部として、パチンコ機PMの正面から右上方から左下方にかけて(図7では左上方から右下方にかけて)斜めに延びた位置には、球排出路6gが設けられている。この球排出路6gの下端部は遊技盤20の最下部に設けられた球排出口36(図2を参照)に開口しており、球排出路6g内を転動移動してきた遊技球は球排出口36から当て板6tに設けられた球抜き穴6uを経て下球皿7に至る。また、球排出路6gと球供給路61との間の境界部、すなわち上記球抜き孔6hには球抜きシャッター71が設けられている。この球抜きシャッター71は皿体6bに左右方向に延びて形成されたシャッター移動溝6i内を移動自在に設けられており、図示しないスプリングにより遊技中は上記球抜き孔9hを閉じる(すなわち球供給路61と球排出路6gとの連通を遮断する)場所に位置している。ここで、球抜きシャッター71が球抜き孔6hを閉じている状態では。球供給路61を通ってきた遊技球は球抜きシャッター71上を転がって球送り経路37a内に入るが、球抜きシャッター71に連動された球抜きレバー72(図6を参照)が遊技者によって操作された場合には、球抜きシャッター71は球抜き孔6hを開放する(すなわち、球供給路61と球排出路6gとが連通される)ので、遊技球は球抜きシャッター71上に乗ることなく球抜き孔6hから下方に落下し、球排出路6g内を転がって下球皿7へ排出されるようになっている。
以上のように構成される第1の実施形態に係る球通路構造では、糸付球BIが球供給路61に入球したときに、可動扉65,67の揺動変位によって遊技球自体の通過は許容されるもののこれに繋がる糸状体Iは可動扉65,67に引掛かるように構成されるため、可動扉65,67に引掛かった状態では糸付球BIを自由に操作するのが困難であり、これにより糸付球BIを入賞球検出器23へ到達させるのを抑止することができる。従って、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して入賞球検出器に連続的な入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止して損害の発生を未然に防止することが可能になる。
また、遊技球が球供給路61を通過するときに遊技球との接触によって受ける球圧によって可動扉65,67を開放して遊技球の通過を許容し、遊技球と離間したときには捩じりバネ66,68の付勢力によって可動扉65,67を閉じて糸状体Iを当該可動扉65,67の先端縁部65a,67aに引掛けるように構成することで、球通路構造を簡便な構成により実現することができる。
また、本実施形態では、球皿6の球貯留部6cと遊技球発射装置30との間を繋ぐ球供給路61に球通路構造を適用しており、糸付球BIの糸状体Iを可動扉65,67に引掛けることで、遊技球発射装置30により糸付球BIを発射したときの発射弾道をコントロール不能にして、糸付球BIをターゲットである入賞球検出器まで到達できなくすることを可能にしている。さらに、糸付球BIが発射されたとき、可動扉65,67に引掛かった状態の糸状体Iには大きな張力が生じて切れ易くなるため、糸付球BIから糸状体Iを分断して、糸付球BIの不正な操作を完全に不能にすることが可能である。
また、可動扉65,67の先端縁部65a,67aを尖鋭な刃状に形成しているため、糸付球BIが遊技球発射装置30によって発射されて糸状体Iに張力が発生して可動扉65,67の先端縁部65a,67aと接触したときに、この刃状の先端縁部65a,67aによって糸状体Iを簡単に切断して、糸付球BIから糸状体Iを確実に分断することができる。
また、捩じりバネ66,68の付勢力によって可動扉65,67が閉じた状態で、その先端縁部65aと段差部62d(又は先端縁部67aと垂下壁63a)との当接面に糸状体Iを挟み込んだ状態とすることにより、可動扉65,67の先端に糸状体Iをより強固に引掛けておくことができるとともに、糸付球BIの発射などによって糸状体Iに張力が生じたときに可動扉65,67の先端縁部65a,67aに糸状体Iをより強固に喰い込ませることができる。そのため、糸付球BIの不正な操作がより規制されるとともに、糸状体Iをより切断され易い状態にすることができる。
さらに、可動扉65,67の先端縁部65a,67aを尖鋭な刃状に形成する代わりに、可動扉65,67の先端部65a,67aに紙ヤスリ等の研磨部を備えて構成してもよい。このような構成によれば、糸付球BIの糸状体Iが可動扉65,67に引掛かり、可動扉65及び段差部62dの当接面と、可動扉67及び垂下壁63aの当接面とに挟まれた状態となったときに、遊技球発射装置30によって糸付球BIが打ち出されると、この糸状体Iが可動扉65,67の先端部(研磨部)に擦れながら(摺接しながら)遊技球発射装置30側へ引き込まれる方向に移動しようとするため、糸状体Iと研磨部(可動扉65,67の先端部)との間の摩擦によって糸状体Iを簡単に切断することが可能である。特に、既述の不正入賞行為において遊技球に取り付ける糸状体Iとしては釣糸が用いられているとの被害報告が大多数であり、この釣糸として好適に用いられるヨリ糸(複数本の糸をヨリ合わせた糸)には擦れに弱いという性質があるため、可動扉65,67の先端部に紙ヤスリ等の研磨具を設ける構成とすることで、実情にマッチングした不正対策を実現することができる。研磨具としては、低コスト・軽量化等のために紙ヤスリが好適に用いられるが、耐久性・耐摩耗性等の観点から布ヤスリ、金属ヤスリ、砥石等であってもよく、また可動扉65,67の先端部自体に微細な凹凸を形成しヤスリ状の表面として適用しても同様の効果が得られる。
次に、本発明を適用した球通路構造の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。なお、前述の第1の実施形態における構成部品と同じ構成部品又は同じ機能を有する構成部品については同一の番号を付してその説明を省略し、ここでは第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図10に示すように、上球皿6の球樋160は、上流側球樋170及び下流側球樋180から構成されており、球貯留部6cから遊技球発射装置30側に向かって全体として下り傾斜に(パチンコ機PMの正面から見て左上から右下方向に)延びるように設けられている。
上流側球樋170は、球貯留部6cの底面に繋がって遊技球発射装置30側に向かって下り傾斜となって延びる案内傾斜面172と、遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて案内傾斜面172を挟み込むように平行に立設された一対の側壁面174とを備えており、案内傾斜面172及び一対の側壁面174に囲まれて上流側供給路171が形成されている。
下流側球樋180は、案内傾斜面172の延長面内に位置して遊技球発射装置30側に向かって下り傾斜となって延びる案内傾斜面182と、遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて案内傾斜面182を挟み込むように平行に立設された一対の側壁面184とを備えており、案内傾斜面182及び一対の側壁面184に囲まれて下流側供給路181が形成されている。ここで、上流側供給路171と下流側供給路181によって球供給路(球通路)161が構成されている。
上流側供給路171と下流側供給路181との間は、遊技球の球径よりも小さな間隙169(これら供給路171,181間を遊技球が飛び越えられる程度の間隙)を開けて分断されている。この上流側供給路171と下流側供給路181との間隙169内には、駆動モータ190によって回動される回転体191が設けられている。
駆動モータ190は、ネジ締結等によって外装体9a(図10では不図示)内に固設されており、正逆両方向の回転駆動をすることができるように構成されている。この駆動モータ190としては例えばステッピングモータが適用可能であり、主制御装置51から出力される駆動制御信号によって駆動制御される。
回転体191は、その回動軸192が駆動モータ190の出力軸190aに嵌挿固定されて連結されており、駆動モータ190が回転駆動することによって一体となって同方向へ回動する。回転体191は、周方向の均等位置四か所に、回動軸191から半径方向へ放射状となるように延びる細長い針状の引掛部193が設けられている。遊技球の通過方向はこの回転体191の回動面内に対して略直交しており、互いに隣り合う引掛部193の間を通って遊技球が通過可能になっている。なお、引掛部163が上流側供給路171の開口を横切るように移動するときでも、遊技球との干渉を極力避けるために引掛部163は細長い針状に形成されており、仮に接触が起きたとしても一瞬の間だけ堰き止められるだけであるため、遊技球の通過が阻害されることはない。
このように構成される球供給路161に糸付球BIを通過させる場合、糸付球BIが間隙169を飛び越えて上流側供給路171から下流側供給路181へ乗り移るときに、この糸付球BIが回転体161の回動面内(引掛部163の回動エリア)を横切るように通過するため、糸付球BIから後方に延びる糸状体Iは上流側供給路171と下流側供給路181との間隙169を横断するように架け渡される。これにより、回転体161の引掛部163が糸状体Iを引掛けて回動軸192廻りに糸状体Iを巻き取りながら回動するため、この状態からでは糸付球BIを操作することが不能になる。
以上のように構成される第2の実施形態に係る球通路構造では、球供給路161において糸付球BIが上流側供給路171と下流側供給路181との間隙169を飛び越えて通過したときに、糸付球BIから後方に延びる糸状体Iが間隙169を横断するように架け渡され、この間隙169内を回動する回転体161に引掛って巻き取られることで、糸付球BIを自由に操作することが出来なくなるため、これにより糸付球BIを入賞球検出器23へ到達させるのを抑止することができる。従って、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して入賞球検出器に連続的な入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止して損害の発生を未然に防止することが可能になる。
なお、引掛部193の側面縁部を尖鋭な刃状に形成して、回転体191の回動に伴って引掛部193が糸状体Iに接触したときに糸状体Iを切断するように構成してもよい。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態において、本発明に係る球通路構造を球皿6の球貯留部6cと遊技球発射装置30とを繋ぐ球供給路31に適用した構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、遊技球の通過路となる球通路であればパチンコ機PMの如何なる箇所にでも適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、上下の球皿を有したパチンコ機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、上下の球皿が一体になっている形態のパチンコ機についても適用可能である。
なお、以上説明した実施形態では、本発明の適用対象となる弾球遊技機の一例として、パチンコ機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、アレンジボール、雀球遊技機などについても同様に適用し、同様の効果を得ることができるものである。