以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図3を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。また、外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されるとともに遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21(図1及び2を参照)と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図1に示すように、本体枠3と、前面枠4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図7を参照)と、裏機構盤102(図28を参照)等を主要部としている。また、本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着され、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させることで遊技盤10が本体枠3により保持されている。
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図28参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。なお、遊技球を上皿部材5に払い出すための遊技球払出装置109が、裏機構盤102に配設されている(図28を参照)。なお、本体枠3の前面部左端側には、遊技球を後述する上皿部材5の方向(前方)に向かって排出するための排出口35が設けられている(図4を参照)。
前面枠4は、図1に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の遊技盤面(遊技盤10の前面部)に形成された遊技領域11(図7参照)の外周形状に対応して略円周状に開設され、前面枠4を閉じたときにその背後に配置される遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)とを備える。また、前面枠4の上端部側の左右には、各々スピーカSP1、SP2が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。
図1及び図2に示すように、遊技機本体Hの前面部のうちで前面枠4の下方の部位には、上皿部材5と下皿部材6とが設けられている。すなわち、上皿部材5は前面枠4の下方に配置され、その略容器形状とされる内部に遊技機1の裏側から排出される遊技球を受け入れて貯留するためのものである。なお、本実施例と異なり、上皿部材5及び下皿部材6を単一の皿部材で構成することもできる。
上皿部材5は、図4〜図6を用いて示されるように、略矩形の板形状に構成される背板部5Aと、背板部5Aの前面部から前方に突出する状態に配置される上皿本体5Bと、を備えている。また、この背板部5Aの左端部が、ヒンジ5hを用いて本体枠3に支持されている。更に、図4及び図5に示すように、背板部5Aの左端寄りであって、「本体枠3の排出口35」と前後に位置合わせ可能な位置(上皿部材5の閉鎖時に位置合わせ可能な位置)からは球受入部5dが突出している。この球受入部5dは、略筒形状とされると共に、その軸心を後方に向かって上がり傾斜状としている。
図4及び図5に示すように、背板部5Aの左端部寄りには、上皿導入口5bが前後に貫通する状態に設けられている。また、図1に示すように、上皿本体5Bは基体部51Bと、基体部51Bから立ち上げられた略円弧状の前壁51Cと、を備え、基体部51Bと、前壁51Cと、背板部5Aとが協働して、上方に開口する貯留部51Gを構成する。そして、上皿導入口5bの前端部は、貯留部51Gの左端側において開放されるとともに、上皿部材5が本体枠3に対して閉鎖された状態となると、上皿導入口5bの後端部が球受入部5dに接続されるため、遊技球払出装置109(後述する。)から払い出される遊技球は、排出口35、球受入部5dを、この順に通過して貯留部51G内に導入される。
図4に示すように、貯留部51Gの底部からは、略円弧状(曲率中心を右斜め後方に配した略円弧状)の仕切壁51Dが立ち上げられている。この仕切壁51Dは、貯留部51Gの左右方向略中央部における後端から、貯留部51Gの右端側における前後方向中間部に向かって設けられている。そして、貯留部51Gの底部は、仕切壁51Dの左側と、仕切壁51Dの正面前方において、右方向に緩やかに下る下り傾斜を備え、その他の部位においては、左方向に緩やかに下る下り傾斜を備えている。このため、上皿導入口5bを通じて、貯留部51Gに導入される遊技球は、図4の矢印に示すように、仕切壁51Dの左側の部位を右方向に転動し、仕切壁51Dの前方を更に右方向に転動した後、仕切壁51Dの右端部を反時計回り(上方から見て、反時計回り)に半回転(反転)した後、仕切壁51Dの後方を左方向に転動しようとする挙動を示すことになる。
図4に示すように、貯留部51Gの底部であって、仕切壁51Dの右端部の後方に位置する部位には、球抜口51aが設けられている。この球抜口51aは、背板部5Aの背面の球抜き通路51b(図6を参照)に連通可能とされているが、通常、球抜口51aと球抜き通路51bは弁体51c(後述する)によって遮断されている。また、貯留部51Gの底部のうち、仕切壁51Dの後方であって、しかも、球抜口51aの左側に位置する部位には、遊技球整列部51dが設けられている。つまり、遊技球整列部51dは、1球の遊技球のみが進入して転動可能な前後幅を備える凹部によって構成され、その底部は、左方向に向かう下り傾斜を有している。また、遊技球整列部51dは、貯留部51Gの後端側において、仕切壁51Dの左端部に向かって形成され、その左端部において、背板部5Aの背面の球送り通路51e(図6を参照)に連絡されている。
次に、背板部5Aの背面側の構造について図6を用いて説明する。なお、図6における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。図6に示すように、背板部5Aの左端側の背面(背面視で右端側)には、球送り装置80が装着されている。また、背板部5Aの背面には、遊技球整列部51dから背板部5Aの後方に送り出される遊技球を、球送り装置80に到達させるための球送り通路51eが設けられている。この球送り通路51eは、背板部5Aの背面部に設けられる溝部を用いて構成され、背板部5Aの略中央から左端側(背面視で右端側)に向かう下り傾斜を有している。そして、球送り通路51eの下端部は、球送り装置80の取入口81a(後述する。)に連通されている。なお、球送り装置80の詳細については後述する。また、前述の球抜き通路51bや、後述する第2球抜き通路51fも、背板部5Aの背面部に設けられる溝部を用いて構成されている。
背板部5Aの背面であって、球送り通路51eの下端部側(取入口81aとの連通部分よりも上流側)には、背板部5Aの略中央に向かって下り傾斜となる第2球抜き通路51fが設けられている。この第2球抜き通路51fと球送り通路51eとの連通及び遮断は、弁体51gを操作することで選択される。そして、弁体51gが、第2球抜き通路51fと球送り通路51eを遮断すると、球送り通路51e内の遊技球は、球送り装置80に送り出され、第2球抜き通路51fと球送り通路51eを連通させると、球送り通路51e内の遊技球は、第2球抜き通路51fに進入する。但し、通常時において、第2球抜き通路51fと球送り通路51eは、弁体51gによって遮断された状態とされる。
背板部5Aの背面であって、球送り通路51eの上流側には、前述の球抜き通路51bが設けられている。そして、前述のように、通常、球抜口51aが弁体51cによって遮断されているため、貯留部51G内において、仕切壁51Dの右端部を反時計回りに半回転した遊技球は、球送り通路51eに進入するが、弁体51cを操作し、球抜口51aと球抜き通路51bを連通させると、この半回転した遊技球は、球抜き通路51bに流入することになる。
図1及び図4等に示すように、上皿本体5Bの前面部には、この弁体51cを操作するための球抜きボタン5Nが配置されている。そして、遊技者が、この球抜きボタン5Nを操作すると(例えば、押圧すると)、球抜口51aと球抜き通路51bが連通することになる。また、この上皿部材5の外郭部分は、レンズ状のプラスチックを主体され、上皿部材5の内部にも、LED基板4iが内蔵されている(図2を参照)。また、上皿部材5の裏側(背板部5Aの後面部)には、球貸表示基板410(図29参照)及び演出ボタン基板228(図29参照)が設けられている。
図2に示すように、下皿部材6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。また、図5に示すように、下皿部材6の底面には球抜き孔6dが設けられている。この球抜き孔6dは、通常時には、閉鎖されているが、下皿部材6に貯留された遊技球を遊技機1から排出する際に開放状態とされる。なお、図6に示すように、球抜き通路51bと、第2球抜き通路51fは、下皿部材6の背面の連絡通路61e、61fと連通するとともに、これらの連絡通路61e、61fの端末部は、排出口6aに連通している。このため、球抜き通路51bに流入した遊技球と、第2球抜き通路51fに流入した遊技球は、各々、下皿部材6に向かって排出される。
なお、上皿部材5の貯留部51Gに貯留される遊技球が、その上限量に到達した場合、その上限量を超える遊技球は、遊技機1の裏側において、誘導樋(遊技球払出装置109から払い出される遊技球を上皿部材5等に向かって誘導する誘導樋)から、下皿部材用球通路部材(図示を省略)に移行した後、本体枠3前面側の通路ボックス3B(図4を参照)を通過して、下皿部材6に到達する。また、上皿部材5が開放状態とされ、上皿導入口5bと球受入部5dとの接続が解除された状態で排出口35から排出される遊技球も、通路ボックス3B(図4を参照)に回収され、下皿部材6に到達する。
図1に示すように、下皿部材6の右端には、後述する発射装置91を操作するため発射ハンドル9が設けられている。この発射ハンドル9は、その回転量を調整することで、発射装置91が遊技球に加える打撃力が調整される。また、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
図7及び図8に示すように、本体枠3の前面部下方側(本体枠3の内部)であって、遊技盤10よりも下方の左端側に位置する部位には、発射装置ユニット90が配設されている。この発射装置ユニット90は、球送り装置80から送り出される遊技球を略鉛直上方に発射して、遊技領域11に到達させるためのものである。そして、図9及び図10に示すように、上皿部材5の背面部に装着される球送り装置80と、本体枠3の前面部に装着される発射装置ユニット90は、上皿部材5を本体枠3に対して閉鎖したときに、前後に略重ね合わされた状態(互いに対向した状態)となるように配置される。次に、球送り装置80及び発射装置ユニット90について詳細に説明する。
球送り装置80は、図9〜図11に示されるように、ハウジング81と、ハウジング81の内部に揺動可能な状態に支持された整流カム82と、ハウジング81の内部に配置された電磁コイル85と、を備えている。また、ハウジング81は、略容器形状に構成されるベース体81aと、ベース体81の開口部に装着される蓋体81bとを備える。また、本実施例では、ベース体81aの開口部を前方に向け、蓋体81bでハウジング81の前面部を構成する状態で用いている。
図14に示すように、蓋体81bには、「球送り通路51eの端末部(左端部)から遊技球を1球ずつ受け入れるための受入口81c」が設けられている。また、ベース体81aの奥壁部には、遊技球を1球ずつ送り出すための送り出し口81vが設けられている。更に、図11に示すように、ベース体81aの内部であって、受入口81cの後方に位置する部位には、受入口81cから受け入れた遊技球を受け取って保持するための保持壁81eが設けられており、その保持壁81eの上方には調整壁81fが設けられている。
図11に示すように、整流カム82は、略L字状に構成される本体部82aと、本体部82aの底部から垂下する保持部82bと、を備えている。また、本体部82aにおいて、上下方向に配置される部分(以下、「第1の部分82c」という。)と、水平方向に配置される部分(以下、「第2の部分82d」という。)の境界位置においては、前後(肉厚方向)に縦断する状態の支持軸82vを備える。そして、図14に示すように、この支持軸82vにおいて、整流カム82の前面側に突出する端部が、蓋体81bに設けられた軸受部81mによって回転可能に支持されている。また、支持軸82vにおいて、整流カム82の後面側に突出する端部が、ベース体81aに設けられた軸受部81hによって回転可能に支持されている。このため、整流カム82は、ハウジング81内において、支持軸82vを基準に揺動可能とされている。
図11に示すように、第1の部分82cの上端面(以下、「受け取り面」という。)82eは、保持壁81eの方向に(図中の右方向)向かう下り傾斜を有しており、「第1の部分82cにおいて第2の部分82d側に位置する側面(図中の左側面)」と、「第2の部分82dの上面」とが、その境界部分で連続しつつ略円弧状に凹む凹面(以下、「受け渡し面」という。)82gを構成している。そして、受け渡し面82gの下端側は、後方(図10において奥方向、図12において手前方向)に向かう下り傾斜を有している。なお、図11における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
図11に示すように、保持部82bは永久磁石82xを保持するとともに、電磁コイル85は、その一端面(磁着面)を保持部82bに対向させた状態で配置されている。そして、電磁コイル85への通電を行うと、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に反発力(斥力)を生ずる構成とされている。
この球送り装置80において、電磁コイル85への通電を行わない場合、第1の部分82cを上下に向けるとともに第2の部分82dを略水平に向け、保持部82bを垂下させる状態(以下、「初期状態」という。)となるように、整流カム82の重量バランス(重心位置)が設定されている。このように、整流カム82が初期状態にあると、保持部82bと電磁コイル85の一端面(磁着面)とは僅かな隙間を挟んで対向した状態となるとともに、受け取り面82eと保持壁81eの上面部とが、左右に位置合わせされる。
このとき、図11に示すように、保持壁81eの上面部が左方向(受け取り面82eの方向)に下り傾斜を有するとともに、受け取り面82eが右方向(保持壁81eの方向)に下り傾斜を構成しつつ、保持壁81eの上面部よりも僅かに下方に位置する。このため、受入口81cから受け入れた遊技球は、保持壁81eを左方向に転動した後、受け取り面82eに移行する。但し、受け取り面82の左端側においては、調整壁81fの下面との間に遊技球の直径よりも小さな隙間が存在するのみであるため、受け取り面82e上の遊技球は、その左側部を調整壁81fに当接させた状態で、受け取り面82eに停留する。そして、受け取り面82eでは、1球の遊技球のみを保持可能であるため、受け取り面82eに停留する遊技球に後続する遊技球は、保持壁81eの上面部で停留する。
一方、電磁コイル85への通電を行うと、図13に示すように、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に生ずる反発力(斥力)によって、整流カム82が、保持部82b(永久磁石82x)を電磁コイル85の一端面(磁着面)から遠ざけるように回動する。これにより、第1の部分82cが右方向に傾動し、第2の部分82dが左上がり傾斜となる。これにより、受け取り面82の左端側において、調整壁81fの下面との隙間が、遊技球の直径以上に拡大されるため、受け取り面82eで保持されていた遊技球は、受け渡し面82gの中心方向に転動する。
そして、この遊技球は受け渡し面82gの後方向かう下り傾斜を用いて後方(図13において奥方向)に転動し、送り出し口81vを通じて球送り装置80外へと排出され、発射装置ユニット90へ供給される。但し、電磁コイル85への通電は、受け取り面82eで保持されていた遊技球が、受け渡し面82gに移行する毎に(移行すると略同時に)停止されるため、当該移行した遊技球に後続する遊技球(保持壁81e上で待機していた遊技球)は受け取り面82eで停留する。そして、本実施例の球送り装置80では、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを遊技球の発射に連動して繰り返すことで、発射装置ユニット90に対して遊技球を間欠的に1球ずつ供給することとなる。なお、図13における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
次に、発射装置ユニット90について説明する。この発射装置ユニット90は、図15に示すように、本体枠3の前面側に配置されるもので、発射装置91と、遊技球を発射待機位置に保持するために発射装置91に装着された保持部材93と、ガイド部材94と、球通路部材96とを備える。なお、保持部材93は保持手段の具体例を構成し、発射装置91は発射手段の具体例を構成する。
発射装置91は、図16に示すように、取付基板91aと、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bと、ハンマー91cと、ストッパー92a、92bとを備える。また、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bは、固定子92fと、可動子92gとを備えるとともに、ハンマー91cは可動子92gに一体化されている。
固定子92fは、筒状のコイル92eの筒内に配置される内鉄心92hと、この内鉄心92hの基端に連接される外鉄心92jとを備え、内鉄心92hの先端部には、開口磁極面を構成する凹部92kが設けられている。なお、内鉄心92h及び外鉄心92jは、軟質磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備える。また、固定子92fは、取付基板91aの前面部にピン、ネジ等を用いて固定されている、
可動子92gも、珪素鋼板等の磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備え、一端部がピン92mを用いて回転可能な状態に支持されている。また、可動子92gの中間部には、突出部92nが設けられている。この突出部92nは、凹部92kよりも一回り小さな相似形状に構成され、コイル92eへの通電がなされると、凹部92kに吸引され、凹部92kに進入する。このとき、凹部92kの内壁面と、突出部92nとの間には隙間(クリアランス)が設けられる。
ハンマー91cは、可動子92gにおいて突出部92nの形成部位よりも先端側に一体化されている。また、可動子92gには、その自重によって、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用する。このため、コイル92eへの通電を行わない場合には、可動子92gは、この回転力によって、図中矢印B方向に回転する。そして、可動子92gにおいて、ハンマー91cの形成位置の裏側(対向外面側)に位置する部位921gが、取付基板91aに装着されたストッパー92aに当接して、下方から支持された状態とされる。
なお、以下の説明において、「ストッパー92aで支持された状態にあるときの可動子92gの姿勢」を「後退姿勢」と称する。また、可動子92gの動作の円滑化を図るために、付勢手段(圧縮コイルスプリング等)を用いて可動子92gを付勢してもよい。例えば、付勢手段の付勢力を可動子92gに負荷し、「突出部92nが凹部92kから離れるように回転させる回転力」を可動子92gに負荷してもよい。また、本実施例と異なり、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用しない状態で、可動子92gを配置する場合(例えば、上方に配置されるピン92mによって、可動子92gが吊り下げられた状態で配置される場合)には、この付勢手段が必要となる。
保持部材93は、図17に示すように、取付基板91aの前面部に装着されることで、取付基板91aの前面部に「遊技球の発射待機位置」を形成するとともに、ガイド部材94と協働して、遊技球の発射方向を規制する部材である。この保持部材93は、右上がり傾斜状に配置される受け部93aと、受け部93aの左端部から左上がり傾斜状に延設される左側板部93bと、受け部93aの右端部から左上がり傾斜状に延設される右側板部93cとを備えている。また、受け部93aは遊技球の直径よりも大きな幅を有するとともに、その肉厚方向を貫通する貫通孔93dを備える。
球送り装置80から送られる遊技球は、保持部材93上部の開口(左側板部93bの上端部と、右側板部93cの上端部との間に設けられる開口)から、保持部材93内に落下した後、貫通孔93dに嵌り込む。つまり、貫通孔93dの直径は、遊技球の直径よりも小さくされているため、保持部材93内に落下して、受け部93aに到達した遊技球は、その下方側の「約1/3」の部分を受け部93aの下方に突出させた状態で、受け部93aに保持される。そして、このときの遊技球の位置が発射待機位置である。
ガイド部材94は、取付基板91aの前面部に装着され、保持部材93と球通路部材96との間に遊技球の通路を構成する部材である(図15参照)。つまり、左側板部93bの斜め上方に配置される左レール部94bと、右側板部93cの斜め上方に配置される右レール部94cとを備えている。
発射装置ユニット90においては、コイル92eに通電を行わないと、可動子92gは後退姿勢となり、ハンマー91cは受け部93aの下方に位置する状態となる(図16を参照)。そして、コイル92eに通電を行うと、突出部92n(磁性体で構成)が凹部92kに吸引されるため、「突出部92nを凹部92kに近接させる方向に回転するための回転力」が可動子92gに負荷される(図15を参照)。そして、ハンマー91cが、受け部93aの下方に突出する遊技球の下端側を打撃し、この遊技球を発射した後、可動子92gの先端部922gが、「取付基板91aの前面部に装着されたストッパー92b」に、その下方から当接する。このとき、突出部92nと凹部92kとの間には微少隙間が維持された状態となる。なお、先端部922gがストッパー92bに当接したときの可動子92gの姿勢を、前進姿勢という。
本遊技機では、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、図14に示すように、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
球通路部材96は、略樋形状を備え、図8及び図19に示すように、本体枠3の前面部における左下方側に装着されている。そして、発射装置ユニット90と、「遊技盤10の前面(盤面左端側)の発射路Z(図7を参照)」との間を連絡する通路を形成する。この球通路部材96は、図18に示すように、前壁部96aと、前壁部96aの周縁部から後方(球通路部材96の背面側)に突出する周壁部96bと、前壁部96aの裏面略中央から後方(球通路部材96の背面側)に突出する仕切壁部96cとを備える。なお、図18における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。そして、この球通路部材96は、図19に示すように、周壁部96b及び仕切壁部96cの突端面を、本体枠3の前面部に当接させ、前壁部96aと本体枠3の前面部との間に、遊技球が通過可能な空間(樋)を設けた状態で、本体枠3の前面部に装着されている。
前壁部96aは、図18に示すように、略台形状に構成され、上縁部を略水平方向に沿った略直線形状とし、左側縁部(背面視で右端部側)を上下方向に沿った略直線形状とし、右側縁部(背面視で左端部側)を左上がり傾斜上の略直線形状とするとともに、下縁部を左右方向中間部で屈曲する屈曲形状としている。また、周壁部96bは、前壁部96aの左側縁部から後方に突出する第1周壁部96dと、右側縁部から後方に突出する第2周壁部96eと、下縁部の左端側から後方に突出する第3周壁部96fとを備える。
第3周壁部96fは、その左端部を第1周壁部96dの下端部と一体としつつ、下縁部の屈曲部96gまで到達している。つまり、球通路部材96においては、前壁部96aの下端縁のうちで屈曲部96gよりも右側の部位(以下、「下部開放部位96W」という。)には周壁部96bが存在せず、下方に向かって開放されている。そして、この下方に向かって開放されている部位によって、球通路部材96に入球が進入するための入口部96hを構成する。また、球通路部材96においては、前壁部96aの上縁部にも、周壁部が存在せず、上方に向かって開放されている。そして、この上方に向かって開放されている部位によって、球通路部材96から遊技球を排出するための出口部96jを構成する。
図18に示すように、仕切壁部96cは、上下方向中間部に屈曲部96kを設けつつ、上下に設けられ、「球通路部材96が本体枠3の前面部に装着されて構成する空間部」を左右に区画する。また、仕切壁部96cにおいて、屈曲部96kよりも上方側の部位は第2周壁部96eと略平行とされ、屈曲部96kよりも下方側の部位は第1周壁部96dと略平行とされている。
図15及び図19に示すように、球通路部材96が、本体枠3の前面部に装着されると、この前面部における左下方側に、発射用連絡通路96Aと、回収用連絡通路96Bとが形成される。つまり、第2周壁部96eと仕切壁部96cとの間の空間によって、経路が左斜め上方に向かって上がり傾斜となる発射用連絡通路96Aが形成され、仕切壁部96cと第1周壁部96dとの間の空間によって、経路が略鉛直方向を向いた回収用連絡通路96Bが形成される。また、発射用連絡通路96Aと回収用連絡通路96Bとは球通路部材96の上端で合流し、出口部96jによって上方に開放されている。また、発射用連絡通路96Aの下端部は入口部96hに向かって開放されている。
図8に示すように、発射装置ユニット90から発射される遊技球は、入口部96hに進入した後、発射用連絡通路96Aを通過して出口部96jから排出されて、発射路Z(図7及び図8を参照)を上昇した後、案内路Yに進入する。更に、案内路Yを上昇し、球戻り防止部材15(後述する)を押圧して案内路Yの上端部を開放し、この「案内路Yの上端部」から遊技領域11に進入する。但し、発射装置ユニット90から発射される遊技球の中には、案内路Yの上端部に到達しなかったり、球戻り防止部材15を十分に押圧できず、遊技領域11に進入できない遊技球(つまり、ファール球)も存在する。このファール球は、案内路Yを下降し、更に、発射路Zを下降した後、出口部96jから球通路部材96に進入する。
ここで、発射路Zの下端部側(始点側)は開放しており、その鉛直下方に回収用連絡通路96Bが存在し、その右側に位置する発射用連絡通路96Aは、発射路Zの下端部側との間に遊技球1個分以上の間隔をあけた位置から、斜め右下り傾斜状に配置されている。このため、案内路Y及び発射路Zを逆進(落下)するファール球は、発射路Zの下端部(始点部)の直下に位置する回収用連絡通路96Bに進入するようになっており、回収用連絡通路96Bに進入したファール球(遊技球)は、図示しない通路を通過して下皿部材6に誘導される。
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図7及び図8等を用いて説明する。この遊技盤10は、図7に示すように、正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外レール12、内レール13、メイン役物装置20等)が装着されている。尚、この遊技盤本体10Aの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bと、領域形成部10Bの周囲に位置する領域外部10Cとを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外レール12と、内レール13とが略円弧状に配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部(遊技盤面)は、この外レール12及び内レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。
図7に示すように、内レール13は、略C字形状(中心角が270度を超える略円弧状)とされつつ、開口(略C字形状の開口)13cを上方に配置した状態で、遊技盤本体10Aの前面部に配設されている。つまり、内レール13は、曲率中心を遊技盤本体10Aの前面部の中央寄りに配置し、一端部(左端部)13aを遊技盤本体10Aの前面部の左上部寄りに配置し、他端部(右端部)13bを遊技盤本体10Aの前面部の右上部寄りに配置している。
外レール12は、図7に示すように、中心角が90度未満の略円弧形状を構成しつつ、その曲率中心を遊技盤本体10Aの左斜め下方に配置した状態で、遊技盤本体10Aの前面部に配設されている。つまり、外レール12は、一端部(左端部)12aを遊技盤本体10Aの前面部の左下部に配置し、他端部(右端部)12bを遊技盤本体10Aの前面部の右上部寄りに配置している。また、外レール12は、遊技球の直径(11mm)以上の間隔を設けつつ、内レール13の外側(遊技盤本体10Aの外縁部により近接する側)に装着されている。
図7に示すように、外レール12において、内レール13の一端部(左端部)13a及び他端部(右端部)13bよりも上方に位置する部位が、内レール13の開口13cの上方に配置されることで、略円形の遊技領域11が形成されている。また、図8に示すように、(i)内レール13のうち、一端部(左端部)13aから「遊技領域11の外縁部の左端部13v(外縁部の上下方向中間部であって左側に位置する部分)」を構成する箇所に至る部分(「以下、「内側案内形成部」という。)13eと、(ii)外レール12のうち、内側案内形成部13eの左側に平行に配置される部分(以下、「外側案内形成部」という。)12eとの間に、案内路Yが設けられている。
また、図8に示すように、内側案内形成部13eの外周部の下端部には、補助レール13Bの上端部が一体化されている。そして、外レール12において外側案内形成部12eよりも下方に位置する部位(以下、「発射レール部」という。)12fと、補助レール13Bとが略平行とされつつ、発射レール部12f及び補助レール13Bの間に発射路Zを設けている。この発射路Zは、下端部から左上がり傾斜状に上昇して、その上端部を案内路Yの下端部に連通させている。また、発射路Zの下端部は、「球通路部材96の出口部96j」と連通している。
図8に示すように、案内路Yの終端部(上端部)は、右斜め上方に向かって開放され、遊技領域11の左上部と連通する球進入口を構成している。案内路Yの終端部に位置する内レール13の一端部(左端部)13aには球戻り防止部材15が装着されており、球進入口の開口幅は遊技球の直径よりも小さくなっている。そして、案内路Yの終端部(上端部)に到達した遊技球が球戻り防止部材15を押圧すると、その押圧力によって球戻り防止部材15が押し開かれる。これにより、球進入口の開口幅は、遊技球が通過可能な大きさ(遊技球の直径と略同一の大きさ)に拡大し、遊技球は遊技領域に進入可能となる。
球戻り防止部材15は、図20に示すように、略帯状の可動片15Aで構成されている。この可動片15Aは、金属製の板バネ(金属片)を用いて構成され、長手方向に沿った中間部に屈曲部15aを備える。また、この可動片15Aにおいては、表裏一方の面(以下、便宜上「表面部」という。)15bが遊技領域11の外側に向けられ、表裏他方の面(以下、便宜上「裏面部」という。)15cが遊技領域11の内側に向けられ、屈曲部15aを屈曲中心として、表面部15bの側に「略くの字状」に屈曲している。
図21(a)に示すように、可動片15Aの両側縁において、基端部15e寄りに位置する部位には、略矩形状の延設部15f、15gが設けられている。これらの延設部15f、15gは、可動片15Aを、内レール13の一端部(左端部)13aに装着するために使用される。つまり、図21(b)に示すように、内レール13の一端部(左端部)13aの両側縁には、延設部15f、15gを挿入可能な切り欠き部13f、13gが設けられている。また、内レール13において、切り欠き部13f、13gが設けられた部位の短手幅は、可動片15Aにおいて、延設部15f、15gが設けられていない部位の短手幅と略等しくされている。
そして、図20に示すように、内レール13の一端部(左端部)13aの内周面に可動片15Aの表面部15bを当接させ、延設部15f、15gを一端部(左端部)13aの外周面側に折り返すことで、可動片15Aは、内レール13の一端部(左端部)13aに一体化されている。つまり、延設部15f、15gを切り欠き部13f、13gに進入させつつ、延設部15f、15gと基端部15eにより内レール13の一端部(左端部)13aを挟持することで、内レール13に装着されている。
この可動片15Aは、図20(b)に示すように、内レール13の一端部(左端部)13aによって略片持ち梁状に支持されている。また、この可動片15Aは、屈曲部15aよりも基端部15e側を内レール13に沿わせ、先端部15Jを外レール12の内周面に近接させている。そして、この「可動片15Aの姿勢(図20(b)に示す姿勢)」が「球戻り防止姿勢」となり、「第1姿勢」の具体例を構成する。
図22(a)に示すように、発射装置ユニット90から発射された遊技球B1(破線で示す遊技球B1を参照)は、発射路Z(図8参照)を経て案内路Yの上方に向かって進行し、案内路Yの終端部(球進入口)に到達して可動片15Aの先端部15J側を押圧する。この押圧によって、可動片15Aはその屈曲を小さくするように変形する。これにより、可動片15Aは、その先端部15Jを外レール12の内周面から離間させ、「可動片15Aを押圧した遊技球B1」の遊技領域11への進入が許容される。なお、このときの可動片15Aの姿勢(図22(a)に示す姿勢)が「遊技領域進入姿勢」となり、「第2姿勢」の具体例を構成する。
遊技球B1の可動片15Aに対する押圧が解除されると、図22(b)に示すように、可動片15Aの姿勢は、その弾性(復元力)によって「球戻り防止姿勢」に戻される。また、一旦、遊技領域11に進入した遊技球B2が可動片15Aに当接した場合、図23に示すように、可動片15Aは、その屈曲を大きくするように変形し、先端部15Jが外レール12の内周面に当接する。これにより、案内路Yの終端部(球進入口)が封止(閉鎖)された状態となるため、遊技球B2が案内路Yに向かって逆流することが防止される。
可動片15Aは、図24に示すように、鉄板にプレス加工(板金加工)を施したものであり、先端部15J側に切断部15h(刃先部15m、15n)が設けられている。つまり、先端部15Jには、複数(4個)の切り欠き部15xが略V字状に設けられ、これらの切り欠き部15xを中心に刃先部15m、15nが設けられている。なお、切り欠き部15xが「ガイド溝」を構成し、刃先部15m、15nが切断部15hを構成する。
ここで、図24及び図25に示すように、可動片15Aの先端部15J側は、切り欠き部15xを挟んで、プレスが施されていない平坦部15pと、プレスが施された窪み部15qとを、交互に並べた構成とされている。また、平坦部15pにおける窪み部15q側の角部15rには斜面状の面取り(カット)が施されるとともに、この角部15r(隣り合う窪み部15q側に傾斜する端面、つまり、角面を構成する角部15r)には刃先部15mが形成されている。
更に、窪み部15qにおける平坦部15r側の角部15sは、当該平坦部15p側から当該窪み部15q側に傾斜しつつ「円弧状の面取り」が施されるとともに、この傾斜面状の角部15s(丸面を構成する角部15s)にも、刃先部15nが形成されている。このため、可動片15Aの先端部15J側は、略V字の切り欠き部15xを挟んで、2つの刃先部15m、15nを配置した構成を備える。
次に、図7等を用いて、遊技盤10のその他の構成を説明する。領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、メイン役物装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、始動入賞装置17と、下部装置30と、左下表示装置50と、右下表示装置60と、4個の一般入賞装置40、41、43、44と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
メイン役物装置20は、取付部材(化粧板)21と、演出表示装置27とを備えている。このうち、取付部材21は、領域形成部10Bの前面部に装着される板状体によって構成され、遊技領域11の上半部のうちで、左端側を除く部位を構成している。この取付部材(化粧板)21には窓部形成孔21dが設けられ、この窓部形成孔21dによって正面視で略矩形状の表示窓21eを構成している。
取付部材21の頂部から右側縁部の下端に至る部位は、外側レール12に近接し、頂部から左側縁部の上端に至る部位には、上部装飾部材21nが前方に突出する状態に装着されている。また、取付部材21の左側縁部には、左側装飾部材21qが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の下縁部には、ステージ部材21pが前方に突出する状態に装着されている。更に、左側装飾部材21qは、内部に遊技球通路(図示を省略)が形成された造形物21rを備えている。この遊技球通路の進入口は左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、メイン役物装置20の内部に進入させる。
ステージ部材21pは、その上面部によって遊技球の転動面を構成するが、この転動面は左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面とされている。但し、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。また、ステージ部材21pには、転動面上の遊技球をメイン役物装置20の外部に排出するための排出通路が設けられている。尚、排出通路の入口部21uは、転動面の中央部の背後において、この中央部と連続する位置で開口し、排出通路の出口部21vは、この中央部よりも下方の位置で開口している。
本実施例では、遊技領域11を流下し、メイン役物装置20の内部に進入した遊技球は転動面の左端部に到達し、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球は排出通路を通過してメイン役物装置20外に排出されるか、或いは、転動面の前縁部から、メイン役物装置20外に排出される。尚、出口部21vの直下に、後述する始動入賞装置17が位置している。
演出表示装置27は、液晶表示装置によって構成されるものであり、後述する右下表示装置60と同様に、特別図柄の変動表示及び停止表示を行う。但し、この演出表示装置27においては、右下表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(図柄変動表示)を実行する。尚、本実施例では、右下表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体例を示す。)を表示するための表示装置を構成し、演出表示装置27が疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を表示する。
演出表示装置27の表示画面27aは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。この表示画面27aには、図26(b)に示すように、3つの疑似図柄表示部27b〜27dと、その他の部分で構成される背景画面表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b〜27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b〜27dでは、「疑似図柄」を用いた演出表示(変動表示)と、停止表示等がなされる。また、表示画面27aに疑似図柄表示部27b〜27dが表示されるときには、この表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景を示す図柄(以下、背景図柄という。)を表示したり、この背景図柄と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という。)を表示することができる。これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される「演出図柄」の一具体例を示すものであり、これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」により「図柄変動演出表示」が実現される。
普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16は、遊技領域11において、メイン役物装置20の左側方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート16内には普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s(図7参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sにより遊技球が検出されることを前提に「普通図柄の変動開始条件(普通図柄の抽選実行条件)」が成立すると、左下表示装置50(後述する。)において、普通図柄の変動表示(具体的は、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動開始後、所定の変動時間を経過すると、普通図柄の確定表示(点灯、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示)がなされると、普通電動役物17d(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
始動入賞装置17は、ステージ部21dの排出路の直下に位置する部位に配設されている。そして、第1の始動入賞部17aと、第2の始動入賞部17bとを上下に配設した構成を備える。このうち、第1の始動入賞部17aは、上方に開口部、つまり、第1の始動口を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1の始動口を通じて、始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。
第2の始動入賞部17bは、第1の始動入賞部17aの略直下に位置すると共に、入口側部分に普通電動役物17dを備えている。この普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、第2の始動入賞部17bは、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図29参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
始動入賞装置17の内部には、第1の始動入賞部17a、若しくは、第2の始動入賞部17bを遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17s(図29参照)が配設されている。つまり、第1の始動入賞部17aに入賞した遊技球と、第2の始動入賞部17bに入賞した遊技球は、始動入賞装置17内の同一の通路(図示を省略)を通過し、この通路の経路途中に配設された始動口入賞検出スイッチ17sによって検出される。
大入賞装置31は、大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図29参照)と、大入賞口31aへの遊技球の入賞を検出するための大入賞口入賞検出スイッチ31s(図7参照)と、を備える。また、開閉板31bは、その下端部が軸支されることで、傾動可能とされている。そして、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、大入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となり、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aが開放される。
左下表示装置50は、大入賞装置31の左側方に配置されている。この左下表示装置50は、図27(a)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板51を備えている。そして、この取付板51には、普通図柄保留表示部52と、特別図柄保留表示部53と、遊技状態表示部55と、普通図柄表示部56とが設けられている。
普通図柄保留表示部52は、2個のLEDを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート16を通過したが、後述する普通図柄表示部56において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
特別図柄保留表示部53も、2個のLEDを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「始動入賞装置17に入賞したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17に入賞したが、後述する特別図柄表示部82において、当該通過に伴う当否抽選(当否判定)の結果の表示と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
普通図柄保留表示部52及び特別図柄保留表示部53においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、(a)2個のLEDを消灯させて「保留数」が「ゼロ」であることを、(b)1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させて「保留数」が「1」であることを、(c)2個のLEDを点灯させて「保留数」が「2」であることを、(d)1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させて「保留数」が「3」であることを、(e)2個のLEDを点滅させて「保留数」が「4」であることを各々示す。
遊技状態表示部55は、1個のLEDにより構成され、遊技機1の電源投入時(遊技機1の起動時)の遊技状態(遊技モード)を表示するために用いられる。具体的には、LEDを消灯させることで「遊技状態が通常遊技状態(通常モード)である」旨が表示され、LEDを点灯させることで「遊技状態が確変遊技状態(高確率モード)である」旨が表示される。つまり、遊技状態表示部55のLEDは、電源投入時(起動時)に遊技モードが高確率モードとなっている場合に限り、点灯するものである。この場合、特別図柄の当否判定の結果として「大当り」が得られると、以後、遊技状態表示部55のLEDは消灯する。
そして、遊技機1の電源を切るまでの間(遊技機1が稼働している間)に遊技状態が確変モードになったとしても、遊技状態表示部55のLEDが点灯することはない。ここで、本実施例では、遊技機1の遊技モード(遊技状態)が「通常モード」から「高確率モード」になると、確変手段(当否抽選判定で大当り判定がなされる確率を通常に比べ高い確率に設定する手段)と、変動時間短縮手段(特別図柄や普通図柄の変動時間を通常(変動時間短縮手段の非作動時)に比べ短い時間に設定される可能性を高くする手段)と、開放延長手段(普通電動役物17dの開放時間を通常に比べ長い時間に設定したり、開放回数を通常に比べ多い回数に設定する手段)とが作動する。そして、遊技機1の遊技モードが「高確率モード」から「時短モード」になると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を継続し、確変手段のみが作動を停止する。更に、遊技機1の遊技モードが「時短モード」から「通常モード」に戻されると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を停止する。
次に、右下表示装置60は、前述のように、特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63とを備える。このうち、特別図柄表示部62は、図27(b)に示すように、7個のLED62a〜62gを用いて構成され、「始動入賞装置17への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という。)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、図26(a)に示すように、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、「7個のLED62a〜62g」を順次、点灯させる。そして、この変動表示(以下、「LED62b〜62gを用いた循環表示」という。)を実行し、「特別図柄の当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部62において、特別図柄の停止表示(確定表示)が実行される。
大当り態様表示部63は、2個のLED63a、63bを用いて構成され、主に、「特別図柄の当否判定の結果が当選(大当り)である場合、それに基づいて発生する大当りの種類」を表示するために用いられる。つまり、特別図柄表示部62において大当り表示がなされていない場合には、2個のLED63a、63bは消灯状態とされる。そして、特別図柄表示部62において大当り表示がなされる場合、何れかのLED63a、63bを点灯させて、当該大当りの種類が表示される。
図27(a)に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、左下表示装置50を構成する取付板51に一体化されている。そして、各一般入賞装置40、41の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチ40s、41s(図29参照)が配設されている。
図7に戻り、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図28を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
裏パック102には、遊技球が蓄えられる遊技球タンク105と、賞球または貸球としての遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、遊技球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。また、遊技球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、遊技球タンク105と遊技球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図28において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
(2)制御回路の構成
次に、図29及び図30を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを備えている。
副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(260A)とが存在する。
これらの制御部(200A、220A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図29及び図30中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図29においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM、ROMなどについては図示を省略している。
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s、大入賞口入賞検出スイッチ31s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部200A(サブ制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
また、主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、左下表示装置50、右下表示装置60に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。つまり、主制御部200A(主制御基板200)は、「始動入賞に起因して大当りか否かを当否判定する当否判定手段」と、「大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段」として機能することになる。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、図29に示すように、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続されている。サブ制御基板220は、CPUと、ROMと、RAMとを備えている。
サブ制御基板220のCPUは、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROMには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPUは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROMに記憶されたプログラムに従って解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPUは、このCPUにより決定された所定の表示制御コマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
アンプ基板224には、所定の効果音を出力するスピーカSP1〜SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板226には、前面枠4や遊技盤10等に設けられる装飾用の各種LED(ランプ)を搭載した各種LED基板が接続されている。また、装飾駆動基板226は、サブ制御基板220Aからの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。
払出制御部240Aには、図30に示すように、発射制御部260A及び主制御部200Aが双方向通信可能な状態に接続されている。この払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出スイッチ5cや返却スイッチ5qを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板410から中継端子板を介して払出制御基板240に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ109mを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置(払出装置)109(払出モータ109m)に伝達される。
また、主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。
図30に示すように、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240には、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260が接続され、発射制御基板260には、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)と、タッチスイッチ9aと、発射停止スイッチ9b等が接続されている。そして、タッチスイッチ9aは、遊技者が発射ハンドル9に接触している場合に接触検知信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が発射ハンドル9に接触していない場合に接触非検知信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。また、発射停止スイッチ8bは、遊技者が操作していない(押していない)場合に発射非停止信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が操作している(押している)場合に発射停止信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。
発射制御部260Aは、タッチスイッチ9aが接触検知信号(オン信号)を出力するとともに発射停止スイッチ9bが発射非停止信号(オン信号)を出力している状態で、発射ハンドル9が回転操作されると、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)を構成するコイル92eへの通電を行う。このとき、遊技者が発射ハンドル9に加えた回転量に応じた電圧でコイル92eが通電されるため(発射ハンドル9の回転量に応じて凹部92kに生ずる吸引力が制御されるため)、ハンドル9に加えた回転量に応じた打撃力がハンマー91cから「発射待機位置の遊技球」に加えられる。
そして、この打撃力が十分である場合、ハンマー91cで打撃された遊技球は遊技領域11に到達する。また、ハンマー91cからの打撃力が十分でなく、遊技領域11に到達できなかった遊技球は、ファール球として回収される。一方、発射ハンドル9が回転操作された状態であっても、遊技者が発射停止スイッチ9bを操作すると(発射停止スイッチ9bが発射停止信号(オフ信号)を出力すると)、発射制御部260Aは発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)の駆動を停止させる。
また、図28に示すように、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260には、球送り装置80(電磁コイル85)が接続されている。そして、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを繰り返すことで、球送り装置80から発射待機位置に対して、遊技球が間欠的に1球ずつ送り出される。つまり、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
(3)切断部の作用
次に、図31及び図32を用いて、切断部15h(刃先部15m、15n)の作用について説明する。仮に、不正行為者が、糸状部材(釣り糸等)98Bを巻き付けた(装着した)遊技球(以下、「不正球」と称する。)98Aを上皿部材5の貯留部51Gに投入したとする。この不正球98Aは、やがて、遊技球整列部51d、球送り通路51eの順に通過し、取入口81aから球送り装置80に進入する(図4、図6参照)。そして、図31に示すように、不正球98Aは糸状部材98Bを保持した状態で遊技領域11に打ち出されることになる。
これにより、糸状部材98Bは、案内路Yの上端部を通過して遊技領域11内に垂れ下がる状態となるが、本遊技機1では、可動片15Aの先端部15J側に、上述の切断部15hが設けられている。このため、不正球98Aが遊技領域11内に到達したところで、糸状部材98Bのうちで、案内路Yの上端部の近傍に位置する部位(先端部15Jに対向する位置に存在する部位)が、切断部15h(刃先部15m、15n)に接触して分断される可能性を生ずる。この場合、不正球98Aの発射時の勢い(発射強度)や不正球98Aの自重によって糸状部材98Bに加わるテンションの大きさ(糸状部材98Bの引っ張り具合)に応じて、切断部15hによって糸状部材98Bが分断(切断)される可能性に変化(高低)が生ずる。
また、図32に示すように、不正球98Aが自重によって遊技領域11を流下し始めることによって、糸状部材98Bが遊技領域11内に垂れ下がった状態となる。この状態で、不正行為者が、糸状部材98Bを操ろうとして引っ張った際には、糸状部材98Bが、刃先部15m、15nに接触して分断される可能性が高くなる。特に、本実施例では、図25に示すように、略V字状の切り欠き部15xを挟む両側に刃先部15m、15nが配設され、可動片15Aの先端部15Jに対向する位置(先端部15Jに接触する位置も含む)の糸状部材98Bを、刃先部15m、15nに向かって誘導し易くなっている。しかも、切り欠き部15xを挟んで対向する刃先部15m、15nの間隔が、切り欠き部15xの奥側に向かって徐々に減少するため、「不正行為者が糸状部材98Bに加えるテンション」を用いて、糸状部材98Bを切断することが、より容易である。従って、本遊技機1によると、糸状部材(釣り糸等)98B付きの遊技球(不正球98A)を用いた不正行為の遂行を防ぐことができる。
なお、糸状部材98Bが切り欠き部15xに挟み込まれた状態(食い込んだ状態)で、糸状部材98Bを案内路Y側に引っ張ると、可動片15Aの先端部15J側が糸状部材98Bに引っ張られ、可動片15Aの先端部15Jが外レール12の内周面に当接する(図23に示す状態)。この場合、可動片15Aが固定とされることになり、不正行為者にとっては、糸状部材98Bを引っ張り難くなる。よって、不正行為者は、糸状部材98Bを更に強い力で引っ張ろうとするため、糸状部材98Bが切断部15hによって分断される可能性が更に一層、高くなる。
(4)実施例の効果
本遊技機1によると、糸状部材98Bを巻き付けた遊技球(不正球)98Aが遊技領域11に向かって発射されたとしても、糸状部材98Bが可動片15Aに設けられた切断部15hに接触して切断されれば、不正行為を失敗に終わらせることができる。よって、この種の不正行為を企てる不正行為者にとっては、不正行為の成功確率が低くなる。従って、本遊技機1によると、不正行為者に「不正球を用いた不正行為の実行」を躊躇させたり、「不正球を用いた不正行為」を失敗に終わらせることができるため、この種の不正行為の発生を抑制することができる。
また、本遊技機1では、略V字状の切り欠き部15xを挟む両側に刃先部15m、15nが配設されるとともに、切り欠き部15xを挟み対向する刃先部15m、15nの間隔が、切り欠き部15xの奥側に向かって徐々に減少する。このため、「不正行為者が糸状部材98Bに加えるテンション」を用いて、糸状部材98Bを切断することが、より容易である。
実施例2の遊技機1では、球戻り防止部材15Bの構成が、実施例1の遊技機1と異なっている。以下、実施例1との相違点を中心に説明する。
実施例2の球戻り防止部材15Bは、図33及び図34に示すように、ベース部材115と、可動片116と、取付ピン117と、金属片116bと、錘部材116vとを備える。このうち、ベース部材115は、樹脂を用いて作成された一体成形品であり、遊技盤11の前面部において、内レール13の一端部(左端部)13aの近傍(右隣)に装着されている。
ベース部材115は、図34に示すように、略板状に構成される基体部115aと、基体部115aの前面部から略円筒状に突出する支持部115fと、基体部115aの前面部から各々突出する第1当接部115b及び第2当接部115cと、を備える。そして、ベース部材115は、基体部115aの裏面部を遊技盤11の前面部に当接させた状態で、遊技盤11の前面部にビス115dを用いて固定されている(図33を参照)。
図34に示すように、可動片116には、金属片116bと、錘部材116vが装着されている。また、可動片116は、樹脂を用いて作成した一体成形品であり、略柱形状に構成される下方部116cと、下方部116cの上面部から斜めに突出する上方部116dとを備える。
下方部116cの上端側には、取付孔116eが前後に貫通する状態に設けられ、下方部116cの下端側には、保持孔116fが前後に貫通する状態に設けられている。そして、可動片116は、取付ピン117を用いて支持部115fに支持され、回動可能とされている。
つまり、取付ピン117は、その先端の雄ねじ部117dを支持部115fの内壁の雌ネジ部(図示を省略)に螺合して、ベース部材115に対して固定されている。また、取付ピン117の軸心方向中間部に位置する軸部117eが、取付孔116eにクリアランスを維持した状態で挿通されているため、可動片116は、取付ピン117の軸心回りに回動可能とされている。なお、取付ピン117後端の頭部117fを、下方部116cの前面部側に配置するとともに、頭部117fの外径を、取付孔116eの内径よりも大きくすることで、可動片116の取付ピン117からの抜け止めが図られている。なお、頭部117fと、下方部116cの前面部との間には、ワッシャー117gが介在される。
下方部116cの保持孔116fには、錘部材116vが嵌合されている。尚、図34においては、図示の便宜上、錘部材116vを、ハッチングを用いて表示する。
図33に示すように、上方部116dは、略矩形の板形状を備えるとともに、幅方向(短手方向)が、取付ピン117の軸心方向に向けられている。このため、可動片116が取付ピン117の軸心回りに回動すると、上方部116dの表裏面(表面部116gと裏面部116h)が、取付ピン117の軸心回りに回動する。なお、本実施例では、上方部116dの表裏面のうち、案内路Yの終端部側に向けられる面を表面部116gと称し、その反対側の面を裏面部116hと称することとする。
図35に示すように、上方部116dの表面部116gであって、しかも、上方部116dの先端部116J側に位置する部位は、裏面部116h方向に凹む凹部116mとされている。この凹部116mには、略板状に構成される金属片116bが固定(接着、ビス止め等の手法で固定)されている。そして、金属片116bの表面部116nと、上方部116dの表面部116gのうちで凹部116mよりも下方の部位とは略面一となっている。なお、上方部116dの先端部116Jは、可動片116の先端部116Jを構成する。
図35(a)及び(b)に示すように、上方部116dの先端部116J側に位置する部位には、複数(本実施例では、2個)の案内溝116pが設けられている。これらの案内溝116pは、上方部116dの先端部116Jと、表裏面(表面部116gと裏面部116h)で開口するとともに、上方部116dの先端部116J(つまり、案内溝116pの入口)に向かってテーパ状に拡大させている。このため、上方部116dにおいて、案内溝116pを形作る面(案内溝116pを挟み対向する面であって、以下、「案内面」という。)116qは、案内溝116pの奥側(下方)に向かって相互の間隔を狭くするように傾斜している。
金属片116bの先端部116s側は「切断部」を構成する部分であり、図35に示すように、複数(本実施例では、2個)の溝部116wを備える略波形に構成されるとともに、全域が刃先部116tとされている。つまり、図36に示すように、金属片116bの先端面116uに傾斜を設け、金属片116bの先端部116s側を「ブレード状」とすることで(先端部116sにおける表面部116n側の角を尖らせることで)、先端部116sに刃先部116tを形成している。
図35に示すように、略波形に構成される刃先部116tは、上方部116dの先端部116Jと、案内溝116pの溝底部116xとの間に配置されている。また、溝部116wを構成する部位の刃先部116tが、上方部116dの肉厚方向に沿って、案内溝116pの内側と位置合わせされる部位に配置されている。つまり、上方部116dの表面部116gを正面に据えて目視した場合に、案内溝116pの内側に、刃先部116tがはみ出す状態で配置されている。このため、糸状部材98Bは案内溝116pに進入すると、刃先部116tに当接することになる。また、溝部116wを挟む両側の刃先部116tが略V字状に配置されるとともに、両側の刃先部116tの間隔が、溝部116wの奥側(下方)に向かって徐々に減少する。このため、溝部116w間(刃先部116t)に進入した糸状部材98Bを切断することが容易である。
可動片116は、取付ピン117を用いてベース部材115に支持されて、普段は図37(a)に示す「球戻り防止姿勢」とされている。つまり、可動片116の重心Gの位置を、取付ピン117の軸心よりも下方であって、この軸心よりも若干、左側にずれた位置(つまり、左斜め下方)に配置しつつ、第1当接部115bに対して下方部116cの右側面を当接させた状態とされる。すなわち、可動片116は、「正面視で反時計回り方向」に回転して、重心Gの位置を軸心の鉛直下方に戻すように付勢された状態とされているが、下方部116cの右側面に第1当接部115bが当接するため、可動片116は、重心Gの位置を取付ピン117の軸心の左斜め下方に配置した姿勢、つまり、「球戻り防止姿勢」を維持することになる。
可動片116が、この「球戻り防止姿勢」とされると、上方部116dの先端部116J(つまり、可動片116の先端部116J)を外レール12の内周面に近接させ、金属片116bの表面部116nを案内路Yの上端部の方向に向けた状態とする。このとき、上方部116dの先端部116J(可動片116の先端部116J)と、外レール12の内周面との間には、遊技球の直径よりも小さな隙間(遊技球が通過できないサイズの隙間)が設けられる。
そして、前述の発射装置ユニット90から発射された遊技球(打ち上げられた遊技球)B1が案内路Yを通過して可動片116に衝突すると、その衝突により可動片116が遊技領域11側に押圧される。すると、可動片116は図37(b)に示すように「正面視で時計回り方向」に回転して、上方部116dの先端部116J(可動片116の先端部116J)が、外レールの内周面から離間する。これにより、可動片116を押圧した遊技球B1が、遊技領域11に進入することが許容される。このときの可動片116の姿勢が「遊技領域進入姿勢」の具体例を構成する。なお、可動片116の「時計回り方向(正面視)」への回転量が必要以上に多くならないようにするために、第2当接部115cがストッパーとして機能する。つまり、可動片116の「時計回り方向(正面視)」への回転は、上方部116dの裏面部116hが第2当接部115cに当接するまでの範囲に規制される。
遊技球B1の可動片116に対する押圧が解除されると、可動片116は重力(錘部材116vの重さ)を用いて「反時計回り方向(正面視)」に回転して「球戻り防止姿勢」に戻される。これにより、一旦、遊技領域11に進入した遊技球B2が可動片116(裏面部116h)に当接しても、可動片116の姿勢を「遊技領域進入姿勢」に変更することができないため、遊技球B2が案内路Yに向かって逆流することが防止される。つまり、図38(a)に示すように、一旦、遊技領域11に進入した遊技球B2が可動片116(裏面部116h)に当接すると、可動片116を「反時計回りの方向(正面視)に回転させようとする外力」が可動片116に加わるが、第1当接部115bが下方部116cの右側面に当接するため、可動片116は前述の「球戻り防止姿勢」を維持することになる。
実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることをできる。つまり、不正行為者が「糸状部材98Bを巻き付けた不正球98A」を遊技領域11内に発射しても、糸状部材98Bのうちで、案内路Yの上端部の近傍に位置する部位が、刃先部116tに接触して分断される可能性を生ずる(前述の図31を参照)。また、糸状部材98Bが遊技領域11内に垂れ下がった状態で、不正行為者が糸状部材98Bを操ろうとして引っ張った際には、糸状部材98Bが刃先部116tに接触して分断される可能性が高くなる(前述の図32を参照)。
従って、本遊技機1によると、糸状部材98Bが可動片116に設けられた刃先部116t(つまり、切断部)に接触して切断されれば、不正球98Aを用いた不正行為を失敗に終わらせることができる。よって、この種の不正行為を企てる不正行為者にとっては、不正行為の成功確率が低くなる。従って、この遊技機1によっても、不正行為者に「不正球を用いた不正行為の実行」を躊躇させたり、「不正球を用いた不正行為」を失敗に終わらせることができるため、この種の不正行為の発生を抑制することができる。
特に、実施例2では、案内溝116pが入口側で幅を大きくし、入口側に傾斜状の案内面116qを形成したテーパ状に構成され、「可動片116の先端部116J」に対向する位置の糸状部材98Bを案内溝116pに受け入れ易くなっている。しかも、溝部116wを挟み対向する刃先部116tが、案内溝116pの奥側(下方)に向かって相互の間隔を狭くするように配置され(略V字状に配置され)、「不正行為者が糸状部材98Bに加えるテンション」を用いて、糸状部材98Bを切断することが、より容易である。
加えて、実施例2では、刃先部116t(切断部材)が、可動片116の先端部116Jよりも後退する位置(可動片116の回転軸心の方向に後退する位置)に配置されるため、可動片116の周囲のメンテナンスを頻繁に行ったり、手探りで行っても、作業者の手が刃先部116t(切断部材)に触れる可能性が低くなるため、メンテナンスを効率的に行うことができる。
なお、実施例2では、上方部116dの表面部116g(案内路Yの終端部側を向けられる面)に、金属片116bを装着する態様を例示したが、図38(b)に示す変形例1のように、上方部116dの裏面部116hに金属片116bを装着することもできる。この変形例1では、金属片116bを「遊技球の衝突頻度が低い裏面部116h」に装着するため、金属片116b、ひいては、刃先部116t(切断部材)の耐久性を高めることができ、「メンテナンスを施す間隔」を長くすることができる。
また、実施例2の金属片116bに対しても、「実施例1の可動片15Aに設けた刃先部15m、15n(切断部)」と同様な刃先部(切断部)を設けてもよい。例えば、図39に示す変形例2のように、可動片116において、その先端部116J側に位置する部位に、複数(例えば、4個)のガイド溝M1〜M4を設ける。これらのガイド溝M1〜M4は、可動片116の先端部116Jと、可動片116の表裏面で開口するとともに、その溝幅を入口部の側(先端部116Jの側)でテーパ状に拡大している。つまり、可動片116において、ガイド溝M1〜M4の入口部側を形作る部位(入口部側の内壁を構成する部位)に面取りが施され、ガイド溝M1〜M4の奥側(下方)に向かって傾斜する案内面mとされている。この案内面mは、個々のガイド溝M1〜M4を挟んで対向する状態に設けられ、互いの間隔をガイド溝M1〜M4の奥側(下方)に向かって徐々に減少させている。
金属片116bの先端部116s側に、プレス加工(板金加工)を施して、刃先部D1、D2が設けられている。つまり、金属片116bの先端部116s側には、複数(例えば、4個)の切り欠き部Eが略V字状に設けられ、これらの切り欠き部Eを中心に刃先部D1、D2が設けられている。つまり、金属片116bの先端部116s側は、切り欠き部Eを挟んで、プレスが施されていない平坦部F1と、プレスが施された窪み部F2とを交互に並べた構成を備える。また、平坦部F1における窪み部F2側の角部には斜面状の面取り(カット)が施されるとともに、この角部(隣り合う窪み部F2に傾斜する端面、つまり、角面を構成する角部)には刃先部D1が形成されている。
更に、窪み部F2における平坦部F1側の角部は、「当該平坦部F1側から当該窪み部F2側に傾斜しつつ円弧状となる面取り」が施されるとともに、この傾斜面状の角部(丸面を構成する角部)にも、刃先部D2が形成されている。このため、金属片116bの先端部116s側は、略V字の切り欠き部Eを挟んで、2つの刃先部D1、D2を配置した構成を備える。
この変形例2では、窪み部F2の先端が可動片116の前面部に当接し、平坦部F1と可動片116の前面部との間に隙間を設けた状態とするとともに、各切り欠き部Eと、各ガイド溝M1〜M4とが、可動片116の肉厚方向に位置合わせされる。しかも、金属片116bの先端部116sが、可動片116の先端部116Jから後退する位置(可動片116の回転軸心の方向に後退する位置)に配置される。このため、実施例2と同様に、メンテナンス等を行う作業者の手等が、刃先部D1、D2に誤って接触する可能性を低くし、装置としての安全性を高めている。そして、この変形例2によっても、実施例2と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
各実施例では、ハンマー91cをクラッパー型ソレノイドで駆動する態様を例示したが、直動型電磁ソレノイドを用いて駆動したり、モータを用いて駆動してもよい。
また、各実施例では、本体枠3の前面部のうちの左下方部に発射装置ユニット90を配置する遊技機1を例示したが、図40の変形例3のように、本体枠3の前面部のうちの右下方部に発射装置ユニット90を配置した遊技機に対しても、各請求項の発明を適用できる。なお、図示を省略するが、変形例3においては、球送り装置80が上皿部材5の右端側背面に配置される。
変形例3の遊技機1では、補助レール13B(図7参照)を用いずに発射路Zを構成している。つまり、本体枠3の前面部に、緩やかな左上がり傾斜を備える発射レール55を配設し、この発射レール55の上面部を用いて発射路Zを構成する。また、外レール12において、内レール13の外側(左側)に配置される部分の略全体が、内レール13と略平行な円弧状の経路を描くようにする。これにより、遊技盤本体10Aの前面(盤面)左端側において左右に並ぶ外レール12及び内レール13の間に、「曲率中心を遊技領域11の中心側に配設し、下端部を発射レール55の延長線上で開口させた案内路Y」が形成されている。なお、案内路Yの下端部(始点部)と、発射レール55の上端部との間には、遊技球の直径を超えるサイズの隙間Y2が設けられている。
そして、発射装置ユニット90から発射された遊技球は、通常、その勢いで、発射レール55の上端部(左端部)から案内路Yに移行するが、遊技球の勢いが不十分であれば、隙間Y2から落下してファール球として処理される。また、案内路Yに移行したが、案内路Yの上端部に到達しなかったり、球戻り防止部材15(後述する)を十分に押圧できず、遊技領域11に進入できない遊技球も、案内路Yを下降し、隙間Y2から落下してファール球として処理される。これらのファール球は、本体枠3に設けられた通路(図示を省略)を通過して、下皿部材6に到達する。
変形例3の遊技機においても、各実施例の遊技機と同様に、糸状部材(釣り糸等)98B付きの遊技球(不正球98A)を用いた不正行為の遂行を防ぐことができる。なお、各実施例では、本体枠3の前面部左下方から遊技球を発射する態様を例示し、変形例3では、本体枠3の前面部右下方から遊技球を発射する態様を例示したが、本体枠3の前面部略中央の下方から遊技球を発射する態様に対しても、各請求項の発明を適用できる。
各実施例のように、一対の切断部(刃先部)が溝(切り欠き部)を挟んで対向する状態とされるとともに、対向する切断部(刃先部)の間隔を、溝(切り欠き部)側に向かって徐々に狭くする構成を採用する場合、一対の切断部(刃先部)の間隔を以下のように定めると、不正行為を更に確実に防止できる。
つまり、不正行為者は、糸状部材98Bとして、「ナイロン製の釣り糸」、「ポリエチレン製の釣り糸(ポリエチレンの繊維を寄り合わせた釣り糸)」若しくは、「フロロカーボン製の釣り糸(ポリフッ化ビニリデンを用いた釣り糸)」等を用いることが予測されるが、いずれも適度な弾性(伸びやすい)と、適度な耐摩擦強度を備えている。また、釣り糸としては、「0.6号(直径;0.128mm)」、「0.8号(直径;0.148mm)」、「1号(直径;0.165mm)」、「1.5号(直径;0.203mm)」、「2号(直径;0.234mm)」、「3号(直径;0.285mm)」、「4号(直径;0.331mm)」、「5号(直径;0.370mm)」、「6号(直径;0.405mm)」、「7号(直径;0.435mm)」、「8号(直径;0.470mm)」及び「10号(直径;0.520mm)」の太さのもの等が多く流通している。
不正行為者は、かかる状況の下、糸状部材として、「目立ち難い太さであって、しかも、十分な引っ張り強度を備える釣り糸」を選択するものと予測される(例えば、1号〜5号までの間の釣り糸)。例えば、不正行為者が、直径Dmm(Dは正数)の釣り糸を選択する可能性が高いと想定される場合、当該直径Dmmの釣り糸を基準として、溝の入口側における一対の切断部(刃先部)の間隔を直径Dmmよりも大きくする(例えば、1.05Dmm〜1.35Dmmのうちの何れかの幅)とともに、溝の中間部若しくは奥側における一対の切断部(刃先部)の間隔を直径Dmmよりも小さく(例えば、0.55Dmm〜0.95Dmmのうちの何れかの幅)」する。
この場合、溝に進入した糸状部材を、一対の切断部(刃先部)で切断できない場合においても(例えば、切断部の切れ味が悪くなった場合)、糸状部材を一対の切断部(刃先部)で挟み込むことができる可能性を生ずる。そして、糸状部材を挟み込むことができれば、不正行為を失敗に終わらせることができる。蓋し、糸状部材が挟み込まれれば、不正行為者が糸状部材を操ることは、不可能若しくは困難となる。また、一対の切断部(刃先部)に挟み込まれた糸状部材が、以後、遊技球を正常に発射することの障害となるため、「不正行為者が不正な賞球払い出し(遊技領域に停留する不正球を利用した賞球払い出し)を受けること」が不可能若しくは困難となるからである。