以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る球通路構造を備えた弾球遊技機の代表例として、ガラス扉を閉止した状態およびガラス扉を開放した状態のパチンコ機PMの正面図を図1および図2に示すとともに、パチンコ機PMの背面図を図3に示しており、先ず、これらの図面を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、ガラス扉5が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤20がガラス扉5を通して視認されるようになっている。
遊技盤20は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルータ加工した化粧板21を基板とし、この化粧板21の前面に外レール22a及び内レール22bが円弧状に固設されて遊技球が転動可能な略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞装置23,24,25、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置27、左右のサイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域PAの下端部にアウト口28が形成されている。化粧板21の裏面側には中央部に図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置56が取り付けられ、その周囲には各入賞具に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、およびアウト口28を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらをまとめて「遊技済み球」と称する)を、化粧板21の背面に沿って裏セット盤40の遊技済み球排出通路に導く球寄せカバー29が取り付けされている。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられるとともに、この遊技補助盤9の前方に上球皿6が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤9の前面を覆う閉止状態に保持される。上球皿6の下側には、下球皿7が前方に突出して取り付けられその右側に遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。前枠2の裏面下部の遊技補助盤9には、発射ハンドル8の操作量(回動操作量)に応じた打ち出し強度で遊技球を遊技領域PAへ打ち出し可能に構成された遊技球発射装置30が取り付けられている。この遊技球発射装置30の近傍に位置して、上球皿6に滞留する遊技球を1球ずつ遊技球発射装置30へ誘導する球送り装置37と、この球送り装置37と対向する板状のレールベース38と、このレールベース38に保持されて斜めに延び、遊技発射装置30のハンマーに叩打された遊技球をガイドして外レール22aに向けて発射させる発射レール39とが設けられている。
一方、前枠2の後面側には、図3に示すように、裏セット盤40が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には遊技盤20の裏面を覆う閉止状態に保持されている。裏セット盤40は、中央部に遊技盤20の図柄表示制御装置56を受容する窓口41aを有して外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの方形枠状に形成された基枠体41をベースとして構成される。裏セット盤40の裏面側には、基枠体41の左上部に取り付けられ遊技球を貯留する球貯留タンク42、球貯留タンク42の下方に位置して設けられ遊技球の払い出しを行う球払出装置44、球貯留タンク42と球払出装置44との間を結んで設けられ球貯留タンク42に貯留された遊技球を整列させて球払出装置44へ導く案内通路43、球払出装置44の下方に設けられて球払出装置44から払い出された遊技球を上下の球皿6,7へ導く球払出通路45等が設けられている。
また、裏セット盤40の裏面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置51や、遊技球の払い出し作動を制御する球払出制御装置52、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御装置53、各制御装置や電子部品に電力を供給する電源ユニット54、遊技施設側と信号や電力の入出力を行うターミナル基板55、図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置56、遊技球発射装置30の作動を制御する発射装置制御基板57等の各種制御装置や制御基板、電子部品などが取り付けられ、これらが図示しないコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球が各入賞装置に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をもう少し詳しく説明する。遊技盤20に設けられる入賞装置には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞装置を用いるものであってもよいが、例えば図1及び図2に例示した遊技盤20では、一般入賞装置23、始動入賞装置24、大入賞装置25の3種類の入賞装置を設けた例を示している。
一般入賞装置23は、遊技球が落入可能な入賞口23aを有する固定入賞具であり、この一般入賞装置23の後部には入賞口23aに落入したセーフ球を化粧板21の裏面側へ導くセーフ球通路が設けられている。入賞口23aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器23sを通過することによって入賞が検出されるようになっている。入賞球検出器23sは、遊技球の通過を検出可能な通過型センサである限り特に限定されず、例えば、磁気センサや光センサ、近接スイッチ等の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい(以下に示す入賞球検出器24s,25s,25tにおいても同様とする)。
始動入賞装置24は、いわゆる電動チューリップ型の可動入賞具であり、左右のチューリップ羽根を開閉させて入賞口24aを拡大・縮小変化させることができる。始動入賞装置24の後部には入賞口24aに落入したセーフ球を化粧板21の裏面側へ導くセーフ球通路が設けられている。入賞口24aに落入したセーフ球はセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器24sを通過することによって入賞が検出されるようになっている。
大入賞装置25は、いわゆるアタッカー型の可動入賞装置であり、横長方形状の大入賞口25aを覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口25aが開放される。大入賞口25aの内部には左右2つの領域開口が設けられており、大入賞装置25の後部には上記二つの領域開口に繋がって化粧板21を貫通する二つのセーフ球通路が設けられている。大入賞口25aに落入したセーフ球はいずれかの領域開口からセーフ球通路を通って化粧板21の裏面側に排出され、該裏面側に領域開口に対応して設けられた入賞球検出器25s,25tを通過することによって入賞が検出されるようになっている。なお、入賞球検出器23s,24s,25s,25tにより検出された遊技球は、球寄せカバー29、遊技済み球排出通路を流下して遊技島の回収装置に排出される。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、ガラス扉5および上球皿6がともに閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。操作ハンドル8が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球がこの上球皿6の背面に装着された球送り装置37によって1球ずつ発射レール39の下端部に送り出され、遊技球発射装置30のハンマーによって1球ずつ遊技盤20の遊技領域PAに打ち出され、遊技球が遊技領域PAを転がり落ちることにより、以降パチンコゲームが展開される。
ここで、ここで、図4に主制御装置51および球払出制御装置52の制御形態を主として示すブロック図を示している。この図4に示すように、入賞球検出器23s,24s,25s,25tの検出信号は主制御装置51に出力されており、主制御装置51は入力された検出信号に基づいてパチンコ機PMの作動を統括的に制御する。例えば、遊技領域PAを転がり落ちる遊技球が一般入賞装置23に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出器23sを通過する際に入賞が検出され、その検出信号が主制御装置51に入力される。主制御装置51は、この検出信号から、遊技球が入賞装置に落入したこと、および入賞した入賞装置が一般入賞装置23であることを検知し、球払出制御装置52に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置44を作動させ、一般入賞装置23に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6に払い出させる。
また、始動入賞装置24に遊技球が落入して入賞球検出器24sから検出信号が出力されると、主制御装置51はこの検出信号から、遊技球が落入したこと、および入賞した入賞装置が始動入賞装置24であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、主制御装置51内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、図柄表示制御装置56に抽選結果を出力して図柄表示装置27に表示させる図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばランプ・音声制御装置63を介してサイドランプの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また、主制御装置51は、球払出制御装置52に対して入賞条件に応じた球払出指令コマンドを出力して球払出装置44を作動させ、始動入賞装置24に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を上球皿6に払い出させる。
主制御装置51による抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、図柄表示装置27には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。特別遊技においては、大入賞装置25の作動により大入賞口25aが開放される。そして、例えば、大入賞口25aが約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞装置25に入賞した後、大入賞口25aが一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。大入賞装置25に遊技球が落入する度に、予め設定された所定個数の遊技球が賞球として球払出装置44より払い出される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにおいて、正常な遊技では原則として遊技球1球につき1回のみ入賞球検出器への通過が検出されるものであるが、近年においては、入賞装置に落入した1個の遊技球を不正な操作によって入賞球検出器の導入口に連続して通過させて、多数の賞球を払い出させる不正入賞行為(ゴト行為)が頻発している。
この代表的な手口を概要説明すると、まず、所定長さを有する釣糸等の糸状体の一端側を遊技球に固着させ、この糸状体の他端側を不正行為者自身が掌で掴み、このような細工を施した遊技球(以下において「糸付球」と称する)を上球皿6に貯留された他の遊技球の間に忍ばせて、他の遊技球とともに上球皿6から1球ずつ順番に遊技球発射装置30へ供給させて遊技球発射装置30により発射レール39から外・内レール22を通して遊技領域PA内へ送り込む。糸付球が遊技領域PAまで達すると、ガラス扉5の外側から強力な磁石を用いてこの遊技球を入賞装置(1回の賞球数が最も多い一般入賞装置23が狙われ易い傾向にある)まで誘導して当該入賞装置の入賞口へ落入させる。遊技球が入賞口からセーフ球通路に導かれて入賞球検出器の導入口を通過すると、主制御装置51により遊技球の入賞が検出されて球払出装置44により入賞条件に応じた個数の賞球が上球皿6へ払い出されることになる。不正行為者は、このように賞球が払い出されたことをもって、糸付球がターゲットである入賞球検出器へ到達したことを認識し、自身の掌に掴んでいる糸状体の他端側を手前に引っ張ったり奥側へ送り込んだりする操作をして、糸付球を入賞球検出器の導入口に何度も繰り返し通過させることで、遊技球の連続入賞を不正に検出させて多数の賞球を獲得している。これが、最近になって頻発している糸付球を用いた不正入賞行為の全貌である。
そこで、このような不正入賞行為を防止すべく、入賞装置の入賞口と入賞球検出器の導入口との間を繋ぐセーフ球通路(入賞球通路)に本実施形態に係る球通路構造が設けられている。それでは、図5〜図6を追加参照して、本発明を適用した球通路構造の第1の実施形態について以下に説明する。なお、球通路構造は、どのような形態の入賞装置のセーフ球通路に適用しても構わないが、以下においては一般入賞装置23のセーフ球通路に適用した場合を代表的に例示して説明する。ここで、図5は球通路構造を適用したセーフ球案内路を示す模式図、図6は切断機構を示す模式図である。
セーフ球通路60は、一般入賞装置23の入賞口23aに落入した遊技球を化粧板21の裏面側に誘導して排出するセーフ球誘導路(例えば、図8に示すセーフ球誘導路90を参照)と、このセーフ球誘導路(90)から排出された遊技球を入賞球検出器21sの導入口21dへ案内するセーフ球案内路80とから構成されており、遊技盤20の裏面側でセーフ球誘導路(90)とセーフ球案内路80とが連絡されている。本実施形態では、セーフ球案内路80を形成する球樋70に球通路構造が構成されている。
球樋70は、化粧板21の裏面側に着脱自在に取り付けられるようになっており、化粧板21への取り付けベースとなる仕切壁71と、この仕切壁71を挟んで前後方向に立設された左右の通路壁72L,72Rとを備えて構成され、セーフ球誘導路(90)の排出口の直下に位置する球入口73と入賞球検出器23sの導入口23dの直上に位置する球出口74との間を繋ぐようにしてこれら仕切壁71及び左右の通路壁72L,72Rに囲まれてセーフ球案内路80が化粧板21の裏面に沿って形成されている。
セーフ球案内路80は、上流側から下流側へ向かって順に、球入口73から左下方向に延びる第1通路部81と、第1通路部81の下流端から屈曲して右下方向に延びる第2通路部82と、第2通路部82から屈曲して左下方向に延びる第3通路部83と、第3通路部83から屈曲して右下方向の球出口74まで延びる第4通路部84とを有して構成され、これら第1〜第4通路部81〜84は球入口73と球出口74とを結ぶ上下方向に延びる中心軸線Xに対してジグザグ状に交互に逆向きに傾斜して設けられている。
セーフ球案内路80における各通路部間(第1通路部81と第2通路部82との間、第2通路部82と第3通路部83との間、第3通路部83と第4通路部84との間)の略く字型の屈曲部には、通路内部に向けて凸状に突出する内側角部81k,82k,83kがそれぞれ形成されており、内側角部81k,83kは共に右側の通路壁72Rに形成されて中心軸線Xに対して左側に偏倚し、内側角部82kは左側の通路壁72Lに形成されて中心軸線Xに対して右側に偏倚している。すなわち、全体としてジグザグ状に屈曲した形態をなすセーフ球案内路80において、上記複数の内側角部81k,82k,83kが中心軸線X方向に千鳥状に交互に偏倚して設けられている。この内側角部81k,82k,83kには、切断部材86及び捩じりバネ87からなる切断機構85が設けられている。
捩じりバネ87は、図6に示すように、バネ線材を円筒状に巻回されてなり、その両端の脚部が軸廻りに相反する方向に変位されて荷重を受けるようになっている。この捩じりバネ87は、その巻回された部分に揺動軸88を挿入させた状態で、一方の脚部が内側角部81kに係止され、他方の脚部が切断部材86に係止されており、これら両脚部がほぼ自由状態(両脚部のなす角度が90°の自由状態)で保持されている。
切断部材86は、釣糸等の糸状体と接触したときに当該糸状体を切断可能な尖鋭な刃状の先端部86aを有しており、その基端部が内側角部81kに設けられた揺動軸88に枢結され、上記刃状の先端部86aが揺動軸88(枢結部)を中心として上下に揺動自在に構成されている。この切断部材86は、捩じりバネ87が自由状態のとき、通路内方へ張り出した姿勢(図6において切断部材86を実線で示す位置であり、この位置を以下において「切断位置」と称する)で保持される。一方、遊技球(図6に示す遊技球Bを参照)が通路部81,82間の屈曲部を通過する際には、切断部材86が遊技球の球圧(遊技球に接触したときに受ける球圧)によって捩じりバネ87の付勢力に抗して下方に揺動し、遊技球の通過を許容する位置(図6において切断部材86を破線で示す位置であり、この位置を以下において「格納位置」と称する)に変位し、遊技球と離間したときに捩じりバネ87の復元力によって再び切断位置に戻るようになっている。このように切断部材86は、切断位置と格納位置との間を揺動変位するようになっている。なお、図6では内側角部81kに取り付けられた切断機構85のみを示しているが、他の内側角部82k,83kに取り付けられた切断機構85,85についても同様の構成であり、その説明を省略する。
以上のように構成されるセーフ球案内路80は、一般入賞装置23の入賞口23aからセーフ球誘導路を経て遊技盤20の裏面側に誘導された遊技球を転動流下させて入賞球検出器23sの導入口23dに案内する働きをする。遊技中、遊技球が一般入賞装置23の入賞口23aに落入してセーフ球通路60(セーフ球案内路80)を通って転動流下し、入賞球検出器23sの導入口23dを通過すると、この遊技球の通過に基づいて入賞が検出され、入賞球検出器23sを通過した遊技球は、球寄せカバー29、遊技済み球排出通路を流下して、最終的には遊技島の回収装置に排出される。
ここで、前述のように不正行為者によって糸付球(糸状体付きの遊技球)が一般入賞装置23の入賞口23sに落入され、この糸付球がセーフ球案内路80を通過する際の球通路構造の作動について図7を追加参照して説明する。ここで、図7はセーフ球案内路80において糸付球BIが入賞球検出器23sへ到達した状態を示す模式図である。
セーフ球案内路80に入球した糸付球は、先ず、球入口73から第1通路部81に沿って左下方に転動して、第1通路部81と第2通路部82との間の内側角部81kで切断部材86に当接する。糸付球BIの球圧によって切断部材86は捩じりバネ87の付勢力に抗して揺動軸88を中心として円弧を描くように下方の格納位置へ揺動変位して、糸付球BIの第2通路部82への移動を許容する。このとき、切断部材86は第2通路部82の右側の通路壁72Rに沿うように変位するため、遊技球自体の通過を妨害することがない。この糸付球BIが第2通路部82へ進入して切断部材86から離間すると、切断部材86が捩じりバネ87の復元力によって上方に揺動して切断位置に復帰する。
続いて、糸付球BIは第2通路部82に沿って右下方に転動して、第2通路部82と第3通路部83との間の内側角部82kに当接する。糸付球BIの球圧によって切断部材86は捩じりバネ87の付勢力に抗して下方の格納位置へ揺動変位して、糸付球BIの第3通路部83への移動を許容する。この糸付球BIが第3通路部83へ進入して切断部材86から離間すると、切断部材86が捩じりバネ87の復元力によって上方に揺動して切断位置に復帰する。
さらに、糸付球BIは第3通路部83に沿って左下方に転動して、第3通路部83と第4通路部84との間の内側角部83kに当接する。糸付球BIの球圧によって切断部材86は捩じりバネ87の付勢力に抗して下方の格納位置へ揺動変位して、糸付球BIの第3通路部83への移動を許容する。この糸付球BIが第4通路部84へ進入して切断部材86から離間すると、切断部材86が捩じりバネ87の復元力(付勢力)によって上方に揺動して切断位置に復帰する。第4通路部84に入った糸付球BIは球出口74から下方に排出され、この球出口74の直下に位置する入賞球検出器23sの導入口23dを通過する。入賞球検出器23sによって糸付球BIの通過が検出されると、この検出信号が主制御装置51に入力され、主制御装置51によって遊技球(糸付球)の入賞が検知されて球払出装置44から入賞条件に応じた個数の賞球が上球皿6に払い出される。
前述した不正入賞行為においては、このように糸付球BIが入賞球検出器23sの導入口23dの近傍に位置する状態で、糸付球BIから不正行為者の手元まで延びる糸状体Iを引張ったり送り込んだりすることで、糸付球BIを上下に往復移動させて入賞球検出器23sの導入口23dに繰り返し通過させることが行われるのであるが、糸付球BIを上流側に引き上げるために糸状体Iが引張られたときに、糸状体Iには張力が付与されて通路内で鉛直方向に(中心軸線X方向に沿って)延びようとするため、セーフ球案内路80の中心軸線Xに対して左右交互に偏倚された内側角部81k〜83k(切断部材86)に糸状体が接触(圧接)することになる。こうして糸状体Iが引張られることにより、切断部材86の刃状の先端部86aに糸状体Iが喰い込んで切断され、糸付球BIから糸状体Iを分断させることができる。このように糸付球BIから糸状体Iを分断できれば、糸付球BIに対する不正な操作が不能になり不正入賞行為を防止することが可能になる。
以上のように構成される第1の実施形態に係る球通路構造では、糸付球BIをセーフ球案内路80に通過させた状態で糸状体Iが上流側に引張られたとき、これにより張力が発生した糸状体Iが内側角部81k〜83kの切断部材86に接触して切断されるため、糸付球BIから糸状体Iを分断して不正な操作を抑止することができる。従って、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して入賞球検出器に連続的な入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止して損害の発生を未然に防止することが可能になる。
また、糸付球BIが入賞球検出器23に至るまでもなくセーフ球案内路80を通過する際に、糸付球BIが切断部材86に接触することもあり、重力の作用を受けて流下する糸付球BIによって糸状体Iに張力が発生している場合には、この糸状体Iと切断部材86との圧接によって糸状体Iを切断し、糸付球BIがセーフ球案内路80を通過しているときに糸付球BIから糸状体Iを分断することも可能である。
また、切断部材86が揺動軸88を中心として各通路部81〜84に沿って遊技球の通過を許容する格納位置と該通路部の内方へ張り出して糸状体Iに接触可能な切断位置との間で揺動変位可能に構成されていることで、セーフ球案内路80での遊技球の通過を妨害せずに糸状体Iのみを切断することができる。さらに、切断部材86の揺動軸88廻りの揺動変位に伴って糸状体Iを切断部材86に引掛けることもでき、セーフ球案内路80での糸付球BIの転動流下を阻止して、糸付球BIが入賞球検出器23sへ到達するのを防止することもできる。
さらに、セーフ球案内路80が、球入口73及び球出口74を結ぶ中心軸線Xに対してジグザグ状に交互に逆向きに傾斜した複数の通路部81〜84を有し、該通路部間の屈曲部の内側角部81k〜83kが、中心軸線X方向に千鳥状に交互に偏倚して設ける構成とすることで、糸付球BIがセーフ球案内路80を通過した状態で上流側に引張られたときに、糸状体Iが内側角部81k〜83kに配設された切断部材86に確実に接触するため、糸付球BIから糸状体Iをより確実に分断することが可能である。
次に、本発明を適用した球通路構造の第2の実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。なお、前述の第1の実施形態における構成部品と同じ構成部品又は同じ機能の構成部品については同一の番号を付してその説明を省略し、ここでは第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第2の実施形態では、一般入賞装置23の入賞口23aと遊技盤20裏面側のセーフ球案内路(例えば、図7におけるセーフ球案内路80を参照)とを繋ぐセーフ球誘導路に球通路構造を適用した場合を例示するが、既述したように、他の入賞装置のセーフ球誘導路に適用してもよい。ここで、図8は球通路構造を適用させたセーフ球誘導路を示す側断面図、図9は糸付球がセーフ球誘導路を通過する状態を示す模式図、図10は糸付球がセーフ球誘導路を通過して入賞球検出器まで達した状態を示す模式図である。
一般入賞装置23は、化粧板21(遊技盤20)に穿設された取付開口21aに嵌入された入賞口形成部材123を有して構成されており、前後に対向配置された通路壁123a,123bに囲まれて入賞口23aに落入した遊技球を遊技盤20の裏面側へ導くセーフ球誘導路90が形成されている。ここでは、入賞口形成部材123が特許請求の範囲に規定する球樋に該当する。
セーフ球誘導路90は、上流側から下流側へ向けて順に、入賞口23aから鉛直下方に延びる導入通路部91と、導入通路部91の下流端から略垂直に屈曲して後方に若干傾斜して延びる中間通路部92と、中間通路部92の下流端から略垂直に屈曲して鉛直下方に延びる排出通路部93とを有して構成され、全体として略クランク状に屈曲した通路となっている。
セーフ球誘導路90における各通路部間(導入通路部91と中間通路部92との間、中間通路部92と排出通路部93との間)の略L字型の屈曲部には、通路内方に向けて凸状に突出する内側角部91k,92kがそれぞれ形成されている。この内側角部91k,92kには、この角部自体に微細な凹凸を付けてヤスリ状の表面として形成した研磨部94が備えられている。
このように構成されるセーフ球誘導路90に糸付球BIを通過させる場合、略クランク状に形成されるセーフ球誘導路90では、図9に示すように、糸付球BIから後方に延びる糸状体Iが後側の通路壁123bの内側角部91kに接触するため、糸付球BIの通過に伴って糸状体Iが内側角部91kの研磨部94に擦れながら(摺接しながら)糸付球BIと共に下流側へ移動しようとするため、このときの糸状体Iと研磨部94との間の摩擦によって糸状体Iを切断することができる。一方、この段階(糸付球BIがセーフ球誘導路90を通過する段階)で糸状体Iを切断できずに糸付球BIが入賞球検出器23sへ至ったときでも、糸付球BIを入賞球検出器23sの導入口23dに繰り返し通過させるために、不正行為者によって糸状体Iが引張られると、図10に示すように、糸状体Iに張力が発生して前後の内側角部91k,92kに接触し、これらの研磨部94に擦れながら(摺接しながら)糸付球BIと共に移動しようとするため、このときの糸状体Iと研磨部94との間の摩擦によって糸状体Iを切断することが可能である。
以上のように構成される第2の実施形態に係る球通路構造では、糸付球BIをセーフ球誘導路90に通過させた状態で糸状体Iが上流側に引張られたときに、これにより張力が発生した糸状体Iが内側角部91k,92kの研磨部94に接触して切断されるため、糸付球BIから糸状体Iを分断して不正な操作を抑止することができる。従って、糸状体の付いた遊技球を不正に操作して入賞球検出器に連続的な入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止して損害の発生を未然に防止することが可能になる。また、内側角部91k,92kに備える切断手段をヤスリ状の研磨部94とすることで、カッター刃などの刃具を用いた場合に比して、安全性を確保しつつ糸状体Iを的確に切断することが可能である。
特に、既述した不正入賞行為において、遊技球に取り付けられる糸状体としては釣糸が用いられているとの被害報告が大多数であり、この釣糸として好適に用いられているヨリ糸(複数本の糸をヨリ合わせた糸)には擦れに弱いという性質があるため、糸状体が接触する内側角部に研磨部を備える構成とすることで、実情にマッチングした不正対策を実現することができる。なお、研磨部として、低コスト・軽量化等の観点から紙ヤスリ等の研磨具や、耐久性・耐摩耗性の観点から布ヤスリ、金属ヤスリ、砥石等の研磨具を内側角部に備えてもよく、このような構成においても同等の効果が得られる。
さらに、本発明に係る球通路構造を入賞装置(上述の実施形態では一般入賞装置23のセーフ球誘導路90)に適用させたときには、研磨部94が経年摩耗等によって切断機能の低下をきたしたとしても、入賞装置が遊技盤20に対して着脱可能なユニット化されていれば、この入賞装置のみの交換もしくは補修で足りるため、メンテナンス性の向上とともにコストの削減を図ることが可能である。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態において、本発明に係る球通路構造を入賞装置の入賞口と入賞球検出器の導入口との間を繋ぐセーフ球通路(セーフ球案内路及びセーフ球誘導路)に適用した構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、遊技球の通過路となる球通路であればパチンコ機PMの如何なる箇所にでも適用することが可能である。
さらに、上述の実施形態では、本発明に係る球通路構造を一般入賞装置のセーフ球通路(セーフ球案内路及びセーフ球誘導路)に適用した構成を例示して説明したが、先にも述べたように、例えば、始動入賞装置や大入賞装置、普通電動役物、特別入賞装置(Vゾーン)などの他の入賞装置のセーフ球通路に適用しても同様の効果が得られる。
また、上述の実施形態では、セーフ球案内路として第1〜第4通路部からなり3か所の内側角部を有する構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、複数の通路部からなり少なくとも1か所の内側角部を有するものであれば、球通路構造を適用することが可能である。さらに、内側角部は、鋭角、鈍角、円弧状であってもよい。
なお、以上説明した実施形態では、本発明の適用対象となる弾球遊技機の一例として、パチンコ機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、アレンジボール、雀球遊技機などについても同様に適用し、同様の効果を得ることができるものである。