まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下の説明において、パチンコ遊技機1を正面から見た場合の上下左右方向を基準として説明する。本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
パチンコ遊技機1は、図1、図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿とも言う)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。この上皿3の下方には、後述する操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、その上方位置には、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン516が設けられている。プッシュボタン516は、プッシュボタン516は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン516の設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン516に対してなされた遊技者の操作行為を検知するボタンスイッチ516a(図3を参照)が設けられていればよい。
ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ120によって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ13b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第2入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13bの検出結果及び第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口14に極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13は演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13との間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13の周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13の周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13に導きづらくして、第2始動入賞口14の入賞率の方を第1始動入賞口13の入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13への入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口14への入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部(図1参照)と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部(図1参照)とが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口14に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23(例えば、近接スイッチ)及び第3入賞確認スイッチ23a(例えば、フォトセンサ)で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13や第2始動入賞口14といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30によって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14や大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
第1始動入賞口13内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13内で、第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ13aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ13bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ13aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ13bで検出される。
また、第2始動入賞口14内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口14内で、第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ14aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口14内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ14aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ14bで検出される。
また、大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
また、第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13b、第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23として近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ13b、第2入賞確認スイッチ14b、第3入賞確認スイッチ23aとしてフォトセンサを用いている。
また、第1始動口スイッチ13aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ13aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ13bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、カウントスイッチ23による検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23aの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ13b、第2入賞確認スイッチ14b、第3入賞確認スイッチ23aは、異常入賞の判定のみに用いられる。
このように、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23は近接スイッチを用いて構成し、第1〜第3入賞確認スイッチ13b,14b,23aはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13b、第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23と、第1〜3入賞確認スイッチ13b,14b,23aとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23としてフォトセンサを用い、第1〜3入賞確認スイッチ13b,14b,23aとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23の検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜3入賞確認スイッチ13b,14b,23aの検出結果は、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口の異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23または第1〜3入賞確認スイッチ13b,14b,23aとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15a、カウントスイッチ23は、異常入賞の判定に用いられる第1〜3入賞確認スイッチ13b,14b,23aよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
そして遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ13a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ13b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ13aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ13bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13への異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口14への異常入賞が発生したと判定する。また、カウントスイッチ23(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23a(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、カウントスイッチ23にて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23aにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、5以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、大入賞口への異常入賞が発生したと判定する。
このように、第1始動口スイッチ13aと第1入賞確認スイッチ13b、第2始動口スイッチ14aと第2入賞確認スイッチ14b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13、第2始動入賞口14、大入賞口への入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ156はこの差球数が所定の閾値を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
遊技領域7には、遊技状態に応じて発光する複数の装飾LED25aを有する装飾部材25L,25Rが設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を回収するアウト口26がある。
遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、回転体用LED等の各種LEDが内蔵される天ランプモジュール530と、左枠LED28b(図3参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(図3参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら回転体用LED、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、天ランプモジュール530の近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。なお、賞球LED51および球切れLED52は、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータ120によって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当りA」または「通常大当りC」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。なお、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変大当りB」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速2ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「2」)となる。
このような第2大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、大入賞口の開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、本実施例のように、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものではなく、同一のラウンド数であって、大入賞口の開放期間が非常に短い(例えば0.1秒間)としたものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで大入賞口を開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
また、非確変大当りである「通常大当りC」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このように非確変大当りである「通常大当りC」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当りA」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変大当りB」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
こうした「確変大当りA」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変大当りB」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。なお、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、確変大当りB(第2大当り状態)と同様に特別可変入賞球装置20において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば特別可変入賞球装置20を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では2回)}に達するまで繰り返し実行される。なお、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、特別可変入賞球装置20を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口14を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口14に遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口14は、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
また、この実施例では、通常状態において「確変大当りB」の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態;高確低ベース状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態)へ移行する。
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば100回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータ120が搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70および球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース180に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板910やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板910には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース40Aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れ検出スイッチ167が設けられている。球切れ検出スイッチ167が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ156(遊技制御手段に相当)が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路53が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路53が内蔵されている。乱数回路53は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路53は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路53は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路53は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路53は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路53が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路53が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路53が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aへの始動入賞が生じたときに乱数回路53から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ120)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路52が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータ120にも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第1入賞確認スイッチ13b、第2始動口スイッチ14a、第2入賞確認スイッチ14b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30からの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板160を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータ120で構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU121およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ120を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU121は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU121は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU121は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU121は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU121から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段である演出制御用CPU121が、遊技盤6に設けられているステージLED(図示略)の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、左枠LED28b、右枠LED28c並びに天ランプモジュール530内の各LEDの表示制御を行う。
遊技盤6側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された盤側IC基板としての装飾基板98、ステージ装飾基板99が設けられている。盤側IC基板98,99は、中継基板88を介して演出制御基板80と接続される。また、前面枠101側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された各枠側IC基板としての天ランプモジュール基板542、左前板天基板473b、右前板天基板473c、操作台基板508、枠ボタン基板509が設けられている。これら各枠側IC基板542、473b、473c、508、509は、中継基板88,89を介して演出制御基板80と接続される。
操作台基板508には、操作レバー600に設けられ、該操作レバー600の前後左右方向の傾倒操作を検出するレバースイッチ510a〜510d、操作杆に設けられたトリガの操作を検出するトリガースイッチ512a、タッチセンサ513から出力される信号を検出し、信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC(図示略)と、該センサ監視ICによる検知信号が入力されるパラレル−シリアル変換IC(図示略)が搭載されており、操作レバー600の操作を演出制御用マイクロコンピュータ120(演出制御用CPU121)が検知できるようになっている。
同様に、枠ボタン基板509には、プッシュボタン516の操作を検出するボタンスイッチ516aからの出力信号をラッチし、シリアルデータ方式として中継基板89を介して演出制御用マイクロコンピュータ120(演出制御用CPU121)に出力するパラレル−シリアル変換ICが実装されており、これらプッシュボタン516の操作を演出制御用マイクロコンピュータ120(演出制御用CPU121)が検知できるようになっている。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、下扉枠103の構成について、図4〜図7にもとづいて説明する。図4は、下扉枠を示す斜視図である。図5は、下扉枠の構成を示す分解斜視図である。図6は、下扉枠の本体ユニットを示す斜視図である。図7は、本体ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4及び図5に示すように、下扉枠103は、横長長方形状に形成された板状の本体ユニット1000と、該本体ユニット1000の前面に複数のネジ(図示略)により取り付けられる上皿ユニット1001a及び下皿ユニット1001bと、下皿ユニット1001bに組み付けられる操作レバーユニット600aと、から構成される。上皿本体1002は、前面枠101の前面下部における打球操作ハンドル5の周囲を除く領域を開閉可能な板材にて構成され、左側上下に設けられたヒンジ板金上668及びヒンジ板金下670により前面枠101に対して回動自在に取り付けられる。
図6及び図7に示すように、本体ユニット1000は、合成樹脂材により横長長方形状に形成された板状の上皿本体1002からなり、その背面には、上皿本体板金セット上1040が複数のネジ1040aにより取り付けられている。
上皿本体1002の背面右側上部には、横長長方形状の払出口1004が形成されており、該払出口1004の背面側には、前板シュート1005と、該前板シュート1005の下面側に配置される前板シュート板金下1006及び前板シュート1005の上面側に配置される前板シュート板金上1007がネジ1005aにより取り付けられている。
前板シュート1005は、前面に払出口1004とほぼ同形の前開口(図示略)が形成されるとともに、背面に開口が形成され前面側に向けて拡径する漏斗状の筒体にて構成されている。開口は、下扉枠103を閉塞したときに前面枠101に形成される払出連絡口(図示略)の前面側に対向して配置され、払出連絡口を介して払出通路(図示略)に連通する。
払出口1004の下部には、前面枠101に設けられる球ストッパーのストッパーリンク(図示略)を下扉枠103の閉塞時に押し下げるストッパー押下部1035が突設されているとともに、その下方中央側には、図示しない操作部材を下扉枠103の閉塞時に押し込む操作片1045が突設されている。また、操作片1045の右側には返却口1010が形成されている。返却口1010の右側には、操作台基板508がネジにより取り付けられている。
操作台基板508の右側には、上皿3の球抜き通路の背面を構成する球抜き通路カバー1008がネジ1008aにより取り付けられている。また、その右側には、棒状の金属材からなる上皿ロックリンク1018が、上下方向の中央位置に配置される前後方向を向く上皿ロック軸ピン1019を中心として回転可能に枢支されている。上皿ロックリンク1018の上下端部背面には、連係ピン1018a,1018bが突設されている。
上皿本体1002の背面下部には、左右方向を向く金属製の上皿ロック下セット1025がネジ1025aにより取り付けられている。上皿ロック下セット1025は、上皿本体1002の背面に固設されるベース板金1023と、該ベース板金1023の前面に左右方向に移動可能にガイドされたスライド板金1024と、から構成されている。
スライド板金1024は、下扉枠103を閉塞したときに前面枠101に設けられた係止穴(図示略)に係止される左向きフック形状の係止片1024a,1024bが背面側に向けて左右側にそれぞれ突設されているとともに、右側端部には、上皿ロックリンク1018の連係ピン1018bに係合される連係穴が形成されている。そしてベース板金1023に対してコイルバネ1026により常時左側、つまり係止方向に付勢されている。
上皿本体1002の背面右側上部には、係止片1044a,1044bを有する上皿ロック上セット1043が、該係止片1044a,1044bを背面側に突出させた状態で取り付けられている。上皿ロック上セット1043は、上皿ロック下セット1025と同様に、上皿本体1002の背面に固定されるベース板金と該ベース板金に対してスライド自在なスライド板金とから構成されるため、ここでの詳細な図示は省略する。
尚、係止片1044a,1044bは、右向き、つまり係止片1024a,1024bとは逆向きフック形状に形成されているとともに、スライド板金は、ベース板金に対してコイルバネ1043aにより常時右側に向けて付勢されている。そしてスライド板金の左端部には、上皿ロックリンク1018の上部の連係ピン1018aが係合されているとともに、右端部には、スライド板金をコイルバネの付勢力に抗して左側に移動操作するための操作片1045が、上皿本体1002の上部近傍に配置されるように設けられている。
下扉枠103により前面枠101の前面が閉塞されると、上側の係止片1044a,1044b及び下側の係止片1024a,1024bは前面枠101に形成された係止穴(図示略)に係止される。下扉枠103を開放するには、まずガラス扉枠102を開放する。これにより操作片1045が露呈して操作可能となる。そして、操作片1045を左側にスライドさせると、上皿本体板金セット上1040のスライド板金がコイルバネの付勢力に抗して左側に移動されるとともに、この移動により上皿ロックリンク1018が背面視時計回りに回転することで、上皿ロックリンク1018を介して上皿ロック下セット1025のスライド板金1024が連動してコイルバネの付勢力に抗して右側に移動する。
これにより、上側の係止片1044a,1044b及び下側の係止片1024a,1024bと前面枠101に形成された係止穴(図示略)との係止状態が解除されるため、下扉枠103が開放可能となる。
上皿本体1002の右側背面には、後述する取付部270(図11参照)が形成されている。取付部270には、上皿本体1002の前面側の上皿3に待機している遊技球を、上皿本体1002の背面側に配置される前面枠101の打球モータセット706に誘導するための発射球誘導孔1031が形成され、該発射球誘導孔1031の背面には、上皿3に待機している遊技球を打球モータセット706に1球ずつ供給するための整流器200が、取付部270に対し着脱可能に取り付けられている。
上皿本体1002の背面には、上皿本体1002の左右側端部付近まで延びる板状の上皿本体板金セット上1040がネジ1040aにより取り付けられ、取付部270を除く領域の背面側が覆われるようになっている。上皿本体板金セット上1040の左側には、前板シュート1005に対応する開口1041が形成されているとともに、ストッパー押下部1035に対応する位置には該ストッパー押下部1035を露呈するための開口1042aが形成され、操作片1045に対応する位置には該操作片1045を露呈するための開口1042bが形成されている。また、返却口1010に対応する箇所には返却連絡口1036が形成され、操作台基板508に対応する箇所には、基板用開口1032が形成されている。
上皿本体板金セット上1040の背面左右方向略中央位置には、ファール球を返却通路(図示略)に誘導するためのファール球受け1055がネジ1055aに取り付けられているとともに、ファール球受け1055の右側には、合成樹脂材からなる左右方向に延びる上皿板金カバー1058がネジ1058aにより取り付けられており、下方の整流器200や打球モータセット706への遊技球やゴミ等の落下が防止されている。また、基板用開口1032の背面には、操作台基板カバー1060がネジ1060aにより取り付けられ、操作台基板508の背面が被覆されている。
図6に示すように、上皿本体1002の前面における発射球誘導孔1031の下方位置には、球抜き通路1075が下方に向けて延出されており、上皿3から球抜きされた遊技球が余剰球受皿4へ導かれるようになっている。
また、上皿本体1002の前面上部には、後述する待機球誘導通路1122の上面側を開閉可能とする開閉カバー1039のカバー設置部1038が凹設されているとともに、カバー設置部1038には、開閉カバー1039を回動案内する円弧状の案内溝1037が形成されている。
また、上皿本体1002の前面には、金属板からなる前板金1015が取り付けられている。前板金1015における上皿本体1002に形成された各開口に対応する箇所には各開口が形成されている。特に、発射球誘導孔1031に対応する箇所には、該発射球誘導孔1031よりも大きな開口1016が形成されており、該開口1016の左側縁には、第2切断部260が形成されている。尚、第2切断部260及び発射球誘導孔1031については後述することとする。
次に、整流器200の構成について、図8〜図35に基づいて説明する。図8は、(a)〜(c)は整流器を示す斜視図である。図9は、(a)は可動供給部が待機位置にあるとき、(b)は球送出位置にあるときを示す縦断面図である。図10は、(a)は図9(a)のA−A断面図、(b)はB−B断面図である。図11は、整流器の取付状態を示す斜視図である。図12は、整流器を軸支する際の状態を示す断面図である。図13は、整流器が取付部に取り付けられた状態を示す背面図である。図14は、(a)は遊技球の発射装置への誘導通路を示す概略正面図、(b)は概略平面図である。図15は、可動供給部が待機位置にあるときを示す断面図である。図16は、可動供給部が待機位置と球送出位置との中間にあるときを示す断面図である。図17は、可動供給部が球送出位置にあるときを示す断面図である。図18は、遊技球を送出する際の作用を説明するための概略図である。
図8〜図10に示すように、整流器200は、合成樹脂材により略直方体形状に形成された本体部201と、本体部201に対し前後方向を向く軸を中心として揺動可能に設けられた揺動部材202と、から構成されている。
本体部201には、上皿3の遊技球を発射装置としての打球モータセット706に誘導する誘導通路の一部を形成する球通路部203aと、該球通路部203aの下方に配設され揺動部材202が収容される収容部203bと、から構成される凹部203が、前方に開口するように形成されている。尚、収容部203bは下方も開口されている。
球通路部203aの左側前面には、上皿3からの遊技球が供給される流入部204が形成されているとともに、球通路部203aの右側背面には、遊技球の流出口205が形成されている。つまり遊技球は、球通路部203aの前面左側の流入部204から流入し、背面右側の流出口205から流出するようになっている(図14(b)参照)。
球通路部203aの左側には、左側から右側に向けて下方に傾斜する待機通路面206が形成されている。待機通路面206の後部左側には、流入部204から流入した遊技球の誘導方向を右側に方向変換(曲げて)して流下させる傾斜誘導面210が形成されており、該傾斜誘導面210により第2曲部231(図10(a)参照)が形成されている。
球通路部203aの右側には、左側から右側に向けて下方に傾斜する第1流出通路面207aと、該第1流出通路面207aの流出口205側に所定の隙間を隔てて配置され、前側から後側に向けて下方に傾斜して形成される第2流出通路面207bと、が形成されており、揺動部材202により右側に送り出された遊技球の誘導方向を後側に方向変換(曲げて)流出口205に誘導する傾斜誘導面226が形成されており、該傾斜誘導面210により第1曲部230(図10(a)参照)が形成されている。尚、第1流出通路面207aは第2流出通路面207bよりも高い位置に形成され、第1流出通路面207aと第2流出通路面207bとの間に段部が形成されている。
また、第1流出通路面207aの左側端部からは、右側から左側に向けて下方にやや傾斜する流下規制壁面208が、下方に向けて延設されている。また、流下規制壁面208の下端と待機通路面206とは、これらの間に遊技球の直径よりも短寸の隙間Sが形成されるように離間されており、揺動部材202が待機位置にあるときにこの隙間Sに揺動部材202の球送出面202aが臨むようになっている。
また、流下規制壁面208及び第1流出通路面207aは、待機通路面206よりも上方位置に配設されているとともに、流下規制壁面208は、待機通路面206の下流側に遊技球の流下方向に対し略直交するように立設されており、待機通路面206を流下してきた遊技球に当接して流下を規制可能とされている(図15参照)。つまり、球通路部203aの略中央位置には段部があるため、後述するように待機通路面206に待機している遊技球は、球送出面202aにより押し上げられないと流出通路面207a,207bに流下しない。
また、球通路部203aの左側背面には、待機通路面206に沿って開口部209が形成されており、球通路部203aに堆積する塵やゴミ等が背面側に自然に流出するようにするとともに、球通路部203aにて球詰まりが生じた場合に外部から針金等を差し込んで球詰まりを解除できるようになっている。
本体部201の右短辺部(右側面)には、上下位置に支持板211c,211cが突設されており、これら支持板211c,211cそれぞれの先端には、上下方向を向く回動軸211a,211bが下向きに垂下されている。これら上下一対の支持板211c,211c及び回動軸211a,211bは、取付部に対する支持手段を構成している。
本体部201の左短辺部(左側面)上部には、突出部212が突出されているとともに、突出部212の前面側には、先端部が半球面状に形成された円柱状の嵌合部213が突設されている。また、本体部201の左短辺部(左側面)下部には、先端に外向きの係止爪214が形成された弾性係止片214aが、背壁から前方に向けて延設されている。そしてこれら嵌合部213,係止爪214は、本体部201を取付部270に取り付けるための取付手段を構成している。また、本体部201の右側上部には段部215が形成されている。
本体部201の背面には、第1切断部250が形成された帯板状の板金241が取り付けられている。尚、この板金241及び第1切断部250については後述することとする。
揺動部材202は、中央背面側に上方に開口する切欠凹部224が形成されて上向き略U字形に構成されるとともに、その前面側が肉薄の板材にて覆われている。切欠凹部224は、流下規制壁面208を収容可能な大きさに形成されている。また、本体部201に前後方向に向けて支持される揺動軸220が挿通される軸孔221が右端部に形成されるとともに、下部にウエイト222を収容可能なウエイト収容穴223が形成されている。
左側端部には、平坦状に形成された球送出面202aが前後幅方向にわたり形成されている。尚、球送出面202aは、隙間Sよりも小さく形成されており、待機位置に位置したときに隙間Sに臨むことで、待機通路面206の一部を構成するようになっている。
また、切欠凹部224における球送出面202aの反対側には、球送出面202aにより送り出された遊技球を第1流出通路面207aにて一時的に保持して流下を規制する前後方向を向く板状の突出部202bが、球送出面202aよりも上方に突出して形成されている。
このように構成された揺動部材202は、軸孔221に挿通された前後方向を向く揺動軸220を中心として本体部201に対し揺動可能に支持される。詳しくは、球送出面202aが隙間Sに臨んで待機通路面206の一部を構成する待機位置(非供給状態、図9(a)参照)と、球送出面202aの下端が流下規制壁面208の上端より上方に位置して遊技球を押し上げて第1流出通路面207a上に流出するとともに、突出部202bが第1流出通路面207aの前面側から該第1流出通路面207aよりも上方位置に突出して、第1流出通路面207a上に流出した遊技球の流下を一時的に規制した後に背面側に方向変換して送り出す球送出位置(供給状態、図9(b)参照)と、の間で往復揺動可能に設けられている。
また、揺動部材202は、ウエイト222により正面視反時計周りに付勢されているが、待機位置において、揺動軸220からウエイト222と反対側(右側)に延びる回転規制部202eが、本体部201の第2流出通路面207bの下面に当接することで、球送出面202aが左側から右側に向けて下方に傾斜する姿勢で維持されるように回転規制している。
また、揺動部材202は、待機位置に維持された状態で、ウエイト222が設けられる下部が本体部201の下面から下方に膨出し、下面に形成される受動部202cが下方に向けて露呈するようになっている。
図11〜図13に示すように、このように構成された整流器200は、上皿本体1002の背面に設けられた取付部270に取り付け、取り外し(以下、着脱という)可能に装着される。
取付部270は、上皿本体1002の背面に背面視下向きコ字形に形成された枠板271により、左右側面及び上面が囲まれた横長長方形状に形成されている。取付部270の右側には、回動軸211a,211bを嵌合可能な上面が開口する軸受穴272a,272bが上下に形成されている。
上方の軸受穴272aの左側には、左側から右側に向けて後方に傾斜する誘導傾斜面273が、流出口205に対応する位置に突設されており、この誘導傾斜面273により第1流出通路面207aに送り出された遊技球の流下方向が後向きに方向変換されるようになっている。
また、上方の軸受穴272aの左側上方位置には、前後方向を向く縦向きの逸脱規制リブ274が形成されており、本体部201が取付部270に取り付けられた状態において、支持板211cの上方に位置して軸受穴272aからの回動軸211aの逸脱を規制する。
取付部270の右側には、発射球誘導孔1031が形成されているとともに、その右側下方位置には、係止爪214が係脱される被係止凹部275が右側面に開放するように形成された被係止部材275aが後向きに突設されている。さらにその右側には、後方に開口する嵌合穴276が形成された筒状のボス276aが突設されており、嵌合穴276には嵌合部213が嵌合されるようになっている。
次に、整流器200の取付部270への取り付け方法を、図11〜図13に基づいて説明する。
整流器200を取付部270に取り付ける場合、図11に示すように、回動軸211a,211bを上皿本体1002の背面に対向させるとともに、該上皿本体1002の背面に対し本体部201を略直交する前後方向を向く姿勢とした状態で、回動軸211a,211bを軸受穴272a,272bに上方から差し込む。
ここで、図12に示すように、回動軸211a,211bを軸受穴272a,272bの直上に配置したときに(図中1点鎖線参照)、本体部201の上面は枠板271よりも上方に位置するが、本体部201の右側上部に形成された段部215により、枠板271との干渉が回避されるようになっている。
そしてそのまま本体部201を下降させて回動軸211a,211bを軸受穴272a,272bに嵌合させると、本体部201の上面201aは枠板271の下面271aよりも下方に位置することになる。つまり、本体部201は、回動軸211a,211b及び軸受穴272a,272bからなる支持手段により上皿本体1002に支持された状態で、前後方向を向く着脱位置(図11参照)と、左右方向を向く取付位置(図13参照)との間で、上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として回動可能になる。
そして、本体部201を着脱位置から取付位置まで回転すると、嵌合部213が嵌合穴276に嵌合することで、取付部270に対する本体部201の取付位置が決定されるとともに、係止爪214が被係止凹部275に係止され、着脱位置方向への回転が規制されることで、本体部201は取付部270に取り付けられる(図13参照)。
取付状態において、本体部201の右側で回動軸211a,211bが軸受穴272a,272bに嵌合されるとともに、本体部201の左側で、嵌合部213が嵌合穴276に嵌合し、かつ、係止爪214が被係止凹部275に係止されることで、前後左右、つまり水平方向の移動が規制される。
また、上方の支持板211cの上面に、逸脱規制リブ274の下面が近接または当接するため、回動軸211a,211bの軸受穴272a,272bからの逸脱、つまり上方向への移動が規制される。尚、逸脱規制リブ274の右側面が段部215に近接するようにすれば、本体部201の左方向への移動が確実に規制される。
また、本体部201の上面201aは、枠板271の下面271aに近接もしくは当接することで、本体部201の取付部270に対する上方向への移動が規制され、これによりガタツキの発生を極力防止できるようになっている。
尚、本実施例では、本体部201の左側で、上方の支持板211cの上面に逸脱規制リブ274の下面が近接または当接するとともに、本体部201の右側で、嵌合部213が嵌合穴276に嵌合されることで、本体部201の取付部270に対する上方向への移動が規制されるが、本体部201の長辺部である上面201aが、長手方向にわたり枠板271の下面271aに近接もしくは当接することで、本体部201の撓みや変形に伴うガタツキを効果的に抑制することができる。
次に、上皿3の遊技球が発射装置としての打球モータセット706に設けられる発射通路720に供給されるまでの誘導通路構造について、図14を用いて説明する。
図14に示すように、上面が開口する上皿3に投入または払い出された遊技球は、上皿本体1002の前面に沿って延設される待機球誘導通路1122を1列に整列された状態で流下した後、発射球誘導孔1031の前面側に形成される第3曲部232において誘導傾斜面1123により後側に向けて方向変換され、該発射球誘導孔1031を通過して上皿本体1002の背面側に誘導され、流入部204を介して整流器200の球通路部203aに流入する。
後向きに流入した遊技球は、第2曲部231にて傾斜誘導面210により右向きに方向変換された後、待機通路面206上を流下し、球送出面202a上に乗り移ったときに流下規制壁面208により流下が規制されて待機することになる。
そして、後述するように揺動部材202が待機位置から球送出位置まで揺動することにより第1流出通路面207aに揚送され、該第1流出通路面207aから落下して第2流出通路面207bに乗り移り、第1曲部230にて傾斜誘導面226により後向きに方向変換された後、第2流出通路面207bを流下して流出口205から流出する。
流出口205から流出した遊技球は、発射通路720上に落下し、流出口205よりも右側にある発射位置Hに向けて流下する。そして、発射位置Hにて位置決め部材721に当接し、打球ハンマ722により打ち出される発射位置Hにセットされる。
このように本実施例では、待機球誘導通路1122、球通路部203aの待機通路面206及び第1流出通路面207a,第2流出通路面207bは、上皿3から発射装置としての打球モータセット706に遊技球を誘導する誘導通路を構成している。また、これら誘導通路のうち、待機球誘導通路1122及び待機通路面206は、可動供給部としての揺動部材202から発射装置と反対側に形成され、発射装置に誘導する遊技球が待機する待機誘導通路を構成し、第2流出通路面207bは、揺動部材202から発射装置側に形成され、発射装置に供給される遊技球が流下する供給誘導通路を構成する。
次に、整流器200による遊技球の供給動作と発射装置の発射動作との関係について、図15〜図18に基づいて説明する。
図15に示すように、下扉枠103の背面に設けられた取付部270に整流器200を取り付けた状態で、下扉枠103が前面枠101の前面下部を閉鎖する閉鎖位置に位置すると、整流器200は、前面枠101側に配設された打球モータセット706の直上に配置される。
打球モータセット706は、図示しない駆動モータにより打球ハンマ722を前後方向を向く発射軸(図示略)を中心として左右方向に揺動させる発射動作を行うとともに、この発射動作に連動して、前後方向を向く回動軸723aを中心に回動部材723を所定範囲内で往復回動させる。回動部材723は、外周所定箇所に突設された前後方向を向く動力伝達軸724が、駆動初期位置となる下降位置(図15参照)と上昇位置(図16参照)との間で往復する範囲内で回動するようになっている。
回動部材723の上方には、所定長さを有する動力伝達アーム726が、右端部に設けられた前後方向を向く揺動軸725を中心として揺動可能に軸支されている。動力伝達アーム726は、水平位置(図15参照)と傾斜位置(図16参照)との間で往復揺動可能に設けられており、左側の先端部には、左右方向の中央部が上方に突出する湾曲面からなる動力伝達部727が形成されている。
動力伝達部727は、直上に整流器200が配置されたときに、揺動部材202の下部に設けられる受動部202cに接触して、発射動作に連動する回動部材723の動力を揺動部材202に伝達するようになっている。
図15に示すように、例えば、発射位置Hに遊技球P1が1球セットされている(あるいはセットされていない)状態、つまり、遊技者が打球操作ハンドル5を操作していない発射動作待機状態では、揺動部材202は待機位置に位置していることで、球送出面202a上にある遊技球P2は流下規制壁面208に当接して流下が規制されているので、後続球P3は待機通路面206上に待機している。また、動力伝達アーム726は水平位置、動力伝達軸724は下降位置に位置している。
この状態で遊技者が打球操作ハンドル5を操作すると、図16に示すように、その回転操作量に応じて打球ハンマ722が発射位置Hから離れる方向に回動されるとともに、回動部材723が回転して動力伝達軸724が下降位置から上昇位置に向けて回転する。これにより動力伝達軸724が動力伝達アーム726の先端側下面に接触して押し上げることで、動力伝達アーム726が水平位置から傾斜位置に向けて押し上げられる。そしてこの動力伝達アーム726の動力伝達部727が受動部202cに接触して、揺動部材202を待機位置から球送出位置に向けて押し上げる。
この揺動部材202の揺動により、球送出面202a上に待機していた1球の遊技球P2のみが上方に押し上げられ、第1流出通路面207a上に送り出される。そして、第1流出通路面207a上に乗り上げたと同時に、第1流出通路面207a上に突出してきた突出部202bに当接し、流下が一時的に規制される。
一方、このように球送出面202aにより遊技球が押し上げられると、揺動部材202の左側面202dが上昇してきて後続球P3の流下を規制するため、その位置で待機させられる。つまり、これにより1球の遊技球P2のみが後続球P3から切り離されて第1流出通路面207a上に送り出される。
そして、図17に示すように打球ハンマ722が発射位置Hに向けて強く押戻されて発射位置Hにセットされていた遊技球P1が打ち出されるとほぼ同時に、回動部材723が逆回転し、これに伴い動力伝達アーム726が水平位置に向けて戻ることにより、揺動部材202はウエイト222の荷重により待機位置に向けて戻ろうとする。
この下降動作に応じて突出部202bが下降することで、第1流出通路面207a上にて一時的に流下規制されていた遊技球P2が第1流出通路面207a上を転動流下し、第2流出通路面207b、第3流出通路面207cを介して流下して流出口205から流出し、発射通路720上に落下される。このとき、先の遊技球P1は既に打ち出されているので、新たに1球の遊技球P2が発射位置Hに供給される。また、揺動部材202が待機位置に戻ることで、左側面202dにより流下規制されていた後続球P3が球送出面202a上にセットされる。
そして、遊技者が打球操作ハンドル5の操作を続けることで、上記した発射動作及び該発射動作に連動する球送出(球供給)動作が繰り返され、遊技球が1球ずつ発射位置Hに供給されて打ち出されることになる。
図18(a)に示すように、揺動部材202が待機位置にある状態では、球送出面202a上の遊技球P2及び待機通路面206上の後続球P3は、遊技球の移動方向、つまり、左側から右側に向けて下方に傾斜する方向に待機しているため、流下規制壁面208に対しこれら遊技球P2,P3の球圧が図中小矢印方向にかかっている。ここで、揺動部材202が待機位置から球送出位置に向けて揺動を開始すると、遊技球P2には球送出面202aにより上方を向く押し上げ力(図中太矢印)が作用する(図18(a)参照)。
揺動部材202の揺動に応じて遊技球P2が上昇していくと、遊技球P2と後続球P3との接点が漸次上方に向けて移動していくことで、後続球P3の球圧が図中点線小矢印方向から実線小矢印に変位していく(図18(b)参照)。つまり、後続球P3の球圧は、遊技球P2の送り出し方向(右方向)と同方向にかかることで、送り出し方向と異なる方向(例えば、送り出し方向に対して左右側等)に向けて球圧がかかる場合に比べて、遊技球P2を送り出し方向に押しながら安定した状態で上昇させることができる。
そして、揺動部材202が球送出位置に到達する直前で後続球P3が上昇してきた左側面202dに接触して流下規制されることで、後続球P3が遊技球P2から切り離されるため、遊技球P2は、後続球P3の球圧がかからない状態で球送出面202aから第1流出通路面207aに乗り移る。
このように後続球P3の球圧がかからない状態で球送出面202aから第1流出通路面207aに送り出されるようにすることで、遊技球P2を後続球P3の球圧の影響を受けない状態で送出できるので、1球ずつ安定して送り出すことが可能となるばかりか、第1流出通路面207aに乗り移った直後に、突出部202bにより小さな力で一時的に流下を規制することができる。また、突出部202bによる一時的な流下規制をすることで、乗り移りの際に生じる球のあばれ等を抑制でき、その後、突出部202bによる流下規制を解除して第1流出通路面207a上を転動流下することになるため、遊技球を常時安定した状態で送り出すことが可能となる。
このように整流器200は、待機している遊技球P2を揺動部材202の球送出面202aにより1球ずつ後続球P3から切り離し、上方の第1流出通路面207aまで押し上げて乗り移らせて一時的に流下規制した後、該流下規制を解除して第2流出通路面207b、第3流出通路面207c上を自然流下させることにより流出口205から流出させるものである。
よって、取付部270に対し本体部201にガタツキなどが生じると、安定性が低下するなどの何らかの影響によって、遊技球を発射位置Hへ安定して送り出す(供給)ことができなくなる可能性がある。
また、揺動部材202は、打球モータセット706の動力伝達アーム726の動力伝達部727から受動部202cを介して揺動力が付与されることで、本体部201に対して上下動する。しかも、1球の遊技球を送り出すのに上下一往復するとともに、打球モータセット706は、1分間に約100球程度の遊技球を打ち出し可能であるため、揺動部材202は遊技中に絶え間なく上下動を続けることになる。
しかし本実施例では、本体部201が取付部270に取り付けられたときに、図13に示すように、本体部201の左側で、上方の支持板211cの上面に逸脱規制リブ274の下面が近接または当接するとともに、本体部201の右側で、嵌合部213が嵌合穴276に嵌合され、本体部201の長辺部である上面201aが、長手方向にわたり枠板271の下面271aに近接もしくは当接することで、本体部201の取付部270に対する上方向への移動が規制されるため、動力伝達アーム726により揺動部材202に対し上向きの動力が付与されることで、本体部201が取付部270に対し上方に移動するなどガタツキが生じることが防止される。
また、本実施例では、動力伝達アーム726の揺動軸725及び揺動部材202の揺動軸220双方が同一方向(前後方向)に向けて設けられていることで、受動部202cと動力伝達部727とはほぼ同一方向に相対移動して摺接するため、揺動軸725と揺動軸220とが交差するように設けられている場合に比べて接触部の磨耗が低減されるため、耐摩耗性が向上する。
次に、糸付き球による不正行為の一例を以下に説明する。
従来、例えば釣り糸等の透明なナイロン糸の一端を遊技球や透明な合成樹脂球等に接着し、該糸付き球を打球発射装置により遊技領域7に打ち出し、手元の糸を送り出したり引き戻したり操作することにより糸付き球を繰り返し入賞させたり、打ち出した糸付き球を遊技球の流下方向に影響を与えうる箇所(例えばワープ入口や風車等)にかけておく(所謂球かけ)ことで、始動入賞口等に遊技球が誘導されやすくするといった不正行為が行われることがあった。
ここで、糸付き球を用いた不正行為の一例を簡単に説明する。例えば、図25及び図26に示すように、糸Tの一端が接着材等により接着された糸付き球BPを、例えば上皿3に投入し、待機球誘導通路1122から球通路部203aを流下させて打球発射装置としての打球モータセット706に送り出すとともに、その糸Tの他端は送り出さずに手前に残したまま打球モータセット706にて打ち出すと、糸付き球BPは発射通路720から連絡部410を通過して遊技領域7内に出射される。この糸付き球BPの移動に追従して糸Tが引き出されていく。
ここで、例えば、入賞口29cに糸付き球BPを繰り返し入賞させることにより賞球を不正に得ようとする場合、遊技領域7の左領域を狙って遊技球が打ち出される。遊技領域7の左側上部位置に設けられた連絡部410から右斜め上向きに出射された糸付き球BPは、次第に下方に方向転換していく。
そして、遊技領域7の左領域を流下した糸付き球Pが入賞口29c内に進入し、該入賞口29c内に設けられた入賞口スイッチ30により検出されたら、手元にある糸Tの繰り出しをやめて糸付き球BPの流下を規制した後、糸Tを引き戻して糸付き球BPを逆流させ、入賞口スイッチ30の上流側まで引き出す。ここで、一般的に入賞口スイッチ30は入賞口内の入賞通路に設けられているため、入賞口29c内から糸付き球BPを引き上げなくても、入賞口スイッチ30の上流側まで逆流させるだけでよい。
このように、再度糸Tを繰り出して入賞口スイッチ30に検出させた後、また引き戻すといった一連の操作を繰り返すことで、糸付き球BPを何回も入賞口スイッチ30に検出させて、不正に多くの賞球を得ることができる。
また、特に図示はしないが、例えばステージ枠のワープ入口や障害釘の間に糸付き球Pを引っ掛けて(詰まらせる)、遊技球が所定の入賞口等に誘導されやすいようにする不正行為(所謂球かけ)を行う場合は、上記と同様に糸付き球BPを打ち出して遊技領域7内の所定箇所で糸Tの繰り出しを止めてその場に糸付き球BPを滞留させればよい。
ここで、このような糸付き球BPによる不正行為を防止するために、誘導通路に設けられた第1切断部250及び第2切断部260の構成について、図19〜図26に基づいて説明する。図19は、(a)は整流器と金属板、(b)は金属板を示す斜視図、(c)は流出口を示す拡大背面図である。図20は、図9のC−C断面図である。図21は、(a)は下扉枠の要部を示す斜視図、(b)は発射球誘導孔を示す正面図である。図22は、図21(b)のD−D断面図である。図23は、下扉枠における誘導通路の構造を示す横断面図である。図24は、糸の挿入状態を示す概略図である。図25は、遊技領域内における糸付き球を示す図である。図26は、糸付き球の糸の状況を示す概略図である。
図19及び図20に示すように、本体部201の背面及び上面には、帯状の板金241が取り付けられる凹溝242が、流出口205の左側に形成されている。凹溝242の背面下部には係止孔243が形成されているとともに、背面上部には係止部244が突設されている。
本体部201の背面における流出口205の周囲には、枠状壁245が背面側に向けて突設されているとともに、枠状壁245の左辺には、前後方向に貫通する切欠部246が左側の凹溝242にかけて略水平に形成されている。
板金241は、背板241a、上板241b、前板241cにより逆フック状に形成され、背板241a下端には係止片247が下向きに突設され、上部には係止孔248が形成されている。よって、係止片247を係止孔243に上方から差し込み、前板241cを前壁に係止することで、係止孔248が係止部244に係止されることで、本体部201に取り付けられる。
背板241aにおける切欠部246に対応する箇所には、第1切断部250が形成されている。第1切断部250は、背板241aの右辺所定箇所を略三角形状に切り欠くことにより正面視略「く」の字形に形成される第1傾斜辺251a及び第2傾斜辺251bからなる切断刃部251と、第1傾斜辺251aと第2傾斜辺251bとの間から流出口205から遠ざかる方向に切り込まれる切込溝252と、から横向き略Y字形に構成される。
このように構成される第1切断部250は、図19(c)に示すように、切断刃部251及び切込溝252を切欠部246に臨ませるように、かつ、枠状壁245の外周縁よりも外側に配置される。よって、切断刃部251が流出口205から枠状壁245の板厚分だけ退避した位置に配設されるため、流出口205から流出する遊技球が接触することはない。
また、切断刃部251が流出口205から枠状壁245の板厚分だけ退避した位置に配置されることで、第1傾斜辺251aの上側及び第2傾斜辺251b下側、つまり、切断刃部251の長手方向の両端位置に水平な逸脱規制面246a,246bが形成されることで、後述する糸Tが、第1傾斜辺251aの上側または第2傾斜辺251b下側からはずれてしまうことが防止されている。
また、図20に示すように、第1切断部250は、第1流出通路面207a上を右側に向けて流下する遊技球の誘導方向を、第2流出通路面207b上を背面側に向けて左側に曲げる第1曲部230における内側、つまり、誘導通路における曲げ側(左側)に設けられる。
図21及び図22に示すように、上皿本体1002における発射球誘導孔1031は、上皿本体1002を前後方向に貫通する縦断面略正方形状の貫通孔(図21(b)における斜線領域)とされており、その前下部には、球抜通路を構成するための凹部1030が形成されているとともに、その右側には球抜きレバー(図示略)を収容する収容孔1029が形成されている。また、発射球誘導孔1031の左辺上部には、切欠凹部1028が左側に向けて略水平に形成されている。
上皿本体1002の前面に取り付けられる前板金1015には、発射球誘導孔1031、凹部1030、収容孔1029を開放可能な大きさの開口1016が形成されており、該開口1016の左側縁には、第2切断部260が形成されている。
第2切断部260は、前板金1015における開口1016の左辺所定箇所を略三角形状に切り欠くことにより正面視略「く」の字形に形成される第1傾斜辺261a及び第2傾斜辺261bからなる切断刃部261と、第1傾斜辺261aと第2傾斜辺261bとの間から通路から遠ざかる方向に切り込まれる切込溝262と、から横向き略Y字形に構成される。
このように構成される第2切断部260は、図21(b)に示すように、切断刃部261及び切込溝262を切欠凹部1028に臨ませるように、かつ、発射球誘導孔1031の周縁よりも僅かに外側に配置される。よって、切断刃部261が発射球誘導孔1031から僅かに退避した位置に配設されるため、発射球誘導孔1031を通過する遊技球が接触することはない。
また、切断刃部261が発射球誘導孔1031から僅かに退避した位置に配置されることで、第1傾斜辺261aの上側及び第2傾斜辺261b下側、つまり、切断刃部261の長手方向の両端位置に水平な逸脱規制面266a,266bが形成されることで、後述する糸Tが、第1傾斜辺261aの上側または第2傾斜辺261b下側からはずれてしまうことが防止されている。
また、図22に示すように、第2切断部260は、待機球誘導通路1122上を右側に向けて流下する遊技球の誘導方向を、発射球誘導孔1031上を背面側に向けて左側に曲げる第3曲部232における内側、つまり、誘導通路における曲げ側(左側)に設けられる。
尚、各切断部250,260の切込溝252,262の幅は、目立ちにくい細い糸等が使用されると考えれば、例えば0.5〜1mm程度とすることが好ましいが、特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、前板金1015の開口1016左辺における第2切断部260の下方位置には、左側に向けて切込溝263が形成されている。尚、切込溝263の背面側は壁部が当接されていることで、ここでは糸Tを切断する機能は有しないが、切断刃部261が撓みやすくなることで、糸Tが送り出されたり引張られるときに糸Tに追従して動くため、糸Tが切断されやすくなる。
尚、本実施例では、切込溝263の背面側は壁部が当接されているため、切断機能を有していないが、切込溝263の背面側にある壁部を除去し、切込溝263の縁辺を切断刃部として形成し、一の発射球誘導孔1031に複数の切断部(例えば、第2切断部260と切込溝263)を設けてもよい。
図23及び図24に示すように、上皿3の遊技球を打球モータセット706に誘導する誘導通路は、上皿3から右側に向けて下方に傾斜する待機球誘導通路1122と、第3曲部232と第2曲部231とを連通する発射球誘導孔1031と、第2曲部231から左側の第1曲部230に向けて下方に傾斜する待機通路面206、第1流出通路面207a及び第1曲部230から流出口205に向けて下方に傾斜する第2流出通路面207bからなる球通路部203aと、から主に構成される。
すなわち、上皿3の遊技球を左側に2回曲げて蛇行させるようにして発射通路720の発射位置Hに誘導する。また、例えば図4に示すように、上記誘導通路は、上皿ユニット1001a及び上皿本体1002により覆われて遊技者側から視認することが困難な場所に配設されるため、上皿3から待機球誘導通路1122を介して第3曲部232付近まで流下した遊技球は、上皿3から手指を挿入しても取り出すことが極めて困難となるように構成されている。言い換えると、打球モータセット706に誘導する遊技球は上皿3からしか投入することは出来ない。
また、整流器200により打球モータセット706に供給される遊技球は、本体部201の背面に形成された流出口205から流出され、発射通路720上に落下する。発射通路720は、待機球誘導通路1122及び球通路部203aと略平行(左右方向)に配設されている。つまり、流出口205に誘導する第2流出通路面207bに対し略直交するように配設されている。よって、流出口205から排出された遊技球は、一度は発射位置Hである右側に向けて誘導されるが、打球ハンマ722により打ち出されることにより、第2流出通路面207bの左側に向けて打ち出されることになる。
ここで、前述した不正行為に用いる糸付き球BPを例えば上皿3に投入した場合、糸付き球BPは、待機球誘導通路1122から球通路部203aを流下し、揺動部材202により打球モータセット706に送り出されるが、その糸Tの他端は、上皿3から引き出されたまま不正者(図示略)が手に持つなどして上皿3に残されているため、糸Tは、糸付き球BPの流下経路、つまり、誘導通路に沿って残される(図23(a)参照)。
そして、打球モータセット706にて糸付き球BPが打ち出されると、糸付き球BPは発射通路720から連絡部410を通過して遊技領域7内に出射される(図25,図26参照)。この糸付き球BPの移動に追従して糸Tが引き出されていく。
そして、不正入賞を繰り返す場合、遊技領域7の左領域を流下した糸付き球Pが入賞口29c内に進入し、該入賞口29c内に設けられた入賞口スイッチ30により検出されたら、手元にある糸Tの繰り出しをやめて糸付き球BPの流下を規制した後、糸Tを引き戻して糸付き球BPを逆流させ、入賞口スイッチ30の上流側まで引き出す。
ここで、図26に示すように、糸付き球BPの流下を規制したり、上方に引き戻そうとする場合、上皿3から待機球誘導通路1122、球通路部203a、発射通路720を挿通して遊技領域7まで引き出されている糸Tは、糸付き球BPの自重により、一端に球BPが設けられ他端が不正者に保持されていることで、所定の張力が生じることになる。
このように所定の張力が生じた場合、図23(b)、図24に示すように、糸Tは、第3曲部232にて第2切断部260側に押し付けられて約20度ほど屈曲されるとともに、第1曲部230にて第1切断部250側に押し付けられて約160度ほど屈曲(折返し)される。
すなわち、第1曲部230は、左側に向けて流下する遊技球の誘導方向を背面側に向けて約90度屈曲させる曲部であるが、最終的には、流出口205から流出した後に遊技領域7に向けて打ち出されることで、発射通路720を含めると、第1曲部230は、約180度折返される折返し部であるとも言える。
よって、糸Tは、第1切断部250の切断刃部251及び第2切断部260の切断刃部261に強く押し付けられたり、押し付けられた状態で切断刃部251,261の長手方向、つまり、上下にスライドしたり糸Tが引張られたり送り出されることで誘導通路方向に移動するなどすること等により、切断されるまたは擦り切れやすくなる。
また、糸Tが切込溝252,262内に入り込んだ場合、糸Tが擦り切れて切断されやすくなるばかりか、切断されないにしても、切込溝252,262の幅よりも糸Tが太い場合などにおいては、切込溝252,262に食い込んで摩擦により移動できなくなるので、糸Tを送り出したり引き出したりすることが困難となる。
また、特に図24に示すように、第1切断部250と第2切断部260とが誘導通路の異なる位置に、左右方向だけでなく上下方向にも異なる位置に設けられることで、この高低差により、糸Tが長手方向だけでなく上下方向にも張力がかかるため、例えば切込溝252,262に入り込んだ糸Tは、各溝の上下の刃部に押し付けられるようになるため、糸Tが切断または移動規制されやすくなる。
また、本実施例では、誘導通路における第1曲部230の内側の角部に第1切断部250が設けられるとともに、第3曲部232の内側の角部に第2切断部260が設けられていたが、例えば、第1切断部250と第2切断部260とに架け渡された糸T(図23(b)参照)に対し、第2曲部231の内側の角壁部に設けた第3切断部(図示略)が当接するようにしてもよい。このようにすることで、糸Tが切断部に当接して切断または移動が規制される箇所が増えるため、糸Tが切断または移動規制されやすくなる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、不正行為として、一端が遊技球に取り付けられた糸付き球BPの他端を保持したまま該糸付き球BPを誘導通路により打球モータセット706に誘導し、該打球モータセット706により打ち出して遊技領域7内に不正に進入させた場合、誘導通路から発射装置を経由して遊技領域まで引き出された糸Tは、遊技領域7内の遊技球の自重により該遊技領域7側に引っ張られたり、糸Tの引き戻しを行ったりする場合に張力が生じる。この張力により糸Tは第1曲部230、第3曲部232において内側の第1切断部250,第2切断部260に押し付けられ切断または移動が規制されやすくなり、該糸Tを介して遊技球を引き戻すことが困難となるので、糸付き球BPによる不正行為を防止できる。
また、本実施例では、誘導通路における曲部としての第1〜3曲部230〜232は、遊技球の誘導方向を約90度屈曲させる屈曲部であったが、屈曲角度は90度に限定されるものではなく、120度等他の角度であってもよい。また、本発明はこのように屈曲する曲部に限定されるものではなく、平面視略湾曲状に曲げる湾曲部(カーブ状の曲部)等を含む。
また、本実施例では、線状の異物の一例として糸Tが適用されていたが、ピアノ線、紐等を含み、線状のものであれば素材は限定されるものではない。
また、本実施例では、例えば第1始動入賞口13の第1始動入賞通路内には第1始動口スイッチ13a及び第1入賞確認スイッチ13bが設けられ、第2始動入賞口14の第2始動入賞通路内には第2始動口スイッチ14a及び第2入賞確認スイッチ14bが設けられており、第1始動口スイッチ13a及び第1入賞確認スイッチ13bの検出結果や、第2始動口スイッチ14a及び第2入賞確認スイッチ14bの検出結果に基づいて、それぞれの始動入賞通路内における異常入賞の発生の有無が判定されるようになっていたが、例えば、各入賞通路内にそれぞれ設けられた複数のスイッチを通過するように糸付き球BPを動かされてしまうと入賞異常と判定しないため、このような複数の検出スイッチによる検出だけでは糸付き球BPによる不正行為を防止できないが、上記のような第1切断部250や第2切断部260を設けることで、始動入賞通路等に対する糸付き球BPによる不正行為の実行を阻止することが可能となる。
また、第1切断部250,第2切断部260は、遊技球の誘導方向に対して交差する上下方向に延設された切断刃部251,261にて構成され、該切断刃部251,261の長手方向の上下端には、該切断刃部251,261の長手方向の両端からの糸Tの逸脱を規制する逸脱規制面246a,246b,266a,266bが設けられていることで、切断刃部251,261に架け渡された糸Tが該切断刃部251,261の長手方向の両端からはずれてしまうことを防止できる。
また、第1切断部250,第2切断部260は、切断刃部251,261と、該切断刃の長手方向の所定箇所から該切断刃部251,261に対し交差する左右方向に切り込み形成された切込溝252,262と、から構成されることで、糸Tが切断刃部251,261で切断または移動規制されなくても、切込溝252,262に入り込むことで糸Tが切断または移動規制されるため、糸Tを切断または移動規制しやすくなる。
また、本実施例では、切断刃部251,261と切込溝252,262とからなる切断部250,260が適用されていたが、切断部の形状等は上記以外であってもよく、種々に変更可能である。例えば、切断刃部251,261は、第1傾斜辺251a、261a及び第2傾斜辺251b、261bにより正面視略「く」の字形に形成されていたが、直線状に形成されていてもよい。また、本実施例では、切断刃部251,261と切込溝252,262とにより第1切断部250,第2切断部260が構成されていたが、切断刃部251,261のみで構成されていてもよい。さらに、切込溝252,262の縁辺を切断刃部として形成してもよい。
また、逸脱規制面246a,246b,266a,266bは、本体部201に形成されていたが、板金241等に直接形成してもよい。
また、誘導通路は、打球モータセット706の発射動作に連動して上下方向に向けて付与される揺動力によって、誘導通路の遊技球を球送出位置と待機位置とに切替る揺動部材202を備え、揺動部材202から発射装置側に形成される供給誘導通路(待機球誘導通路1122、発射球誘導孔1031、待機通路面206)及び揺動部材202から発射装置と反対側に形成される待機誘導通路(第1流出通路面207a、第2流出通路面207b)を含み、供給誘導通路には第1切断部250が、待機誘導通路には第2切断部260が設けられていることで、糸Tを切断または移動規制しやすくなる。また、供給誘導通路では、発射装置により遊技球が発射される勢いで糸Tが第1切断部250により切断または移動規制されやすくなるばかりか、待機誘導通路では、遊技球が待機していることで、発射装置側の供給誘導通路に比べて糸Tのあばれが少なく、これにより糸Tが確実に第2切断部260に押し当てられて切断または移動規制されやすくなるため、遊技球の移動態様が異なる箇所それぞれにおいて糸Tを切断または移動規制できる。
また、本実施例では、上皿3に投入された遊技球を打球モータセット706へ誘導する誘導通路の2箇所に第1,2切断部250,260が設けられていたが、1箇所でもよいし、3箇所以上に設けてもよい。さらに本実施例では、第1,2切断部250,260は、上皿ユニット1001aにより覆われて遊技者が手指で触れることができない箇所に設けられているため安全であるとともに、視認不可な位置に設けられているため、不正者が第1,2切断部250,260の位置を確認することはできないため、第1,2切断部250,260を避けるように糸Tを操ったりすることを阻止できる。
また、特に本実施例では、第1切断部250は、揺動部材202により左側に送り出された遊技球が第1曲部230により方向変換された後、打球モータセット706により打ち出されて発射通路720を右側に移動することにより、ほぼ180度折返される折返し部に設けられていることで、糸Tが切断されやすくなる。
また、発射装置としての打球モータセット706の発射動作に連動する動力伝達アーム726により付与される上向きの揺動力により、可動供給部としての球送出面202aが待機位置から球送出位置まで移動する、つまり揺動部材202の姿勢が非供給態様から供給態様に切替ることで、待機通路の一部を構成する球送出面202aの遊技球P2が発射通路720の発射位置Hに供給される。また、本体部201は取付部270に対し着脱可能に取り付けられていることで、本体部201の球通路部203aを清掃するといったメンテナンス作業や、磨耗部品の交換作業等を取付部270から取り外して簡単に行うことができるばかりか、本体部201は取付部270に取り付けられたときに規制部としての逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aにより上方向への移動が規制されることで、発射動作に連動して付与される上向きの動力により揺動部材202が揺動する際における本体部201のガタツキが抑制されるため、本体部201の球送出面202aにある待機球を発射位置Hへ安定して供給することができる。
また、本体部201は直方体に形成され、規制部としての枠板271の下面271aは、本体部201が取付部270に取り付けられたときに該本体部201の所定の当接面である本体部201の上面201aのほぼ全面に近接する規制面としての下面271aにて構成されていることで、本体部201を面当接により規制できるので、安定性が向上する。また、枠板271の下面271aは本体部201の長辺部である上面201aに沿って当接可能に延設されているため、本体部201を左右方向の広範囲にわたり規制できるので、安定性が向上する。
また、本体部201は立体状に形成され、取付部270に設けられる軸受穴272a,272b及び本体部201に設けられる回動軸211a,211bからなり、本体部201の左側辺を中心として取付部270に取り付けられる取付位置(図13参照)と着脱位置(図11参照)との間で回動可能に支持する支持手段と、取付位置において本体部201の右側辺を取付部270の被係止凹部275に係止する係止爪214からなる取付手段と、を備えることで、回動軸211a,211bを軸受穴272a,272bに嵌合するだけで取付部270に対する本体部201の取付位置を容易に決定できるとともに、取付部270に対し本体部201が水平回動可能に支持された状態で、取付手段による取り付け、取り外し作業を行うことができるので、作業性が向上する。
また、回動軸211a,211b及び軸受穴272a,272bは、これらの回動軸心が揺動部材202に対し動力伝達アーム726が揺動力を付与する上方向を向くように設けられ、本体部201の上方への移動を規制する逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aは、本体部201が着脱位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を可能とし、本体部201が取付位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を規制することで、本体部201の上方向への移動と軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの逸脱方向への移動とを1つの規制部にて規制できるので、部品点数を低減できるばかりか、着脱位置にて軸受部に対して回動軸211a,211bを簡単に挿入及び逸脱できる。
また、取付部270は、本体部201が取り付けられたときに該本体部201の上方向とは異なる方向(左右方向)への移動を規制する逸脱規制リブ274が設けられていることで、上方向以外の移動も規制されるので、本体部201のガタツキをより一層抑制できる。
尚、本実施例では、本体部201に回動軸211a,211b、取付部270に軸受穴272a,272bが設けられていたが、本体部201に軸受穴272a,272b、取付部270に回動軸211a,211bを設けてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようになっていたが、左右方向を向く回動軸を中心として縦回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようにしてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持した状態で取り付けできるようになっていたが、取付部270に対する取付方法は任意である。
また、打球モータセット706は、揺動力を揺動部材202の球送出面202aに伝達すための動力伝達アーム726の動力伝達部727を有し、整流器200は、本体部201が取付部270に取り付けられたときに動力伝達部727に接触し、該動力伝達部727から揺動力を受ける受動部202cを有し、動力伝達部727と受動部202cとは、同方向(前後方向)を向く揺動軸725と揺動軸220を中心として揺動可能に設けられていることで、動力伝達部727と受動部202cとが同方向に相対移動することになるので、摺接による摩擦抵抗を極力小さくして磨耗を抑制することができる。
尚、本実施例では、揺動軸725と揺動軸220とが前後方向に向けて配設されていたが、双方が左右方向に向けて配設されていてもよい。また、揺動軸725と揺動軸220とが互いに交差する方向に設けてもよく、このような場合でも動力を揺動部材202に伝達することができる。
また、本実施例では、揺動部材202に可動供給部としての球送出面202aと受動部202cとが設けられていたが、動力伝達アーム726の動力伝達部727からの動力を受ける受動部202cと球送出面202aとがそれぞれ別個の部材に設けられていてもよい。すなわち、例えば、動力伝達部727からの動力を、受動部202cが設けられた受動部材(図示略)を介して間接的に揺動部材202に伝達されるようにしてもよい。
また、本実施例の整流器200では、本体部201に対し可動自在に設けられた揺動部材202は、打球モータセット706の発射動作に連動して動力伝達アーム726により上方向に向けて付与される動力によって、待機している遊技球を発射位置Hに送出する球送出位置と待機位置とに切替るようになっていたが、打球モータセット706の発射動作に連動して下方向、左方向、右方向、前方向のいずれかに向けて付与される動力によって往復揺動するものであってもよい。
すなわち、打球モータセット706の発射動作に連動して下方向に動力が付与される場合、取付部270に対する本体部201の下方向への移動を規制し、左方向、右方向、前方向、後方向に動力が付与される場合は、取付部270に対して本体部201を、少なくとも動力が付与される方向(左方向、右方向、前方向、後方向)へ移動規制すればよい。
また、揺動部材202のように上方向に動力が付与されるものにおいて、待機位置に復帰する際の下方向への移動に伴う本体部201の下方向への移動を規制してもよく、このようにすることで、本体部201のガタツキをより抑制することができる。
また、本実施例の整流器200は、発射動作に連動して上方向に動力が付与されることにより、揺動部材202が待機位置から球送出位置まで上方向に揺動することで遊技球が1球ずつ送り出される構造が採用されていたが、球送出面202aが待機位置から球送出位置まで左右または前後方向に移動することで遊技球が1球ずつ送り出されるようにしてもよい。
さらに、球送出面202aは前後方向を向く揺動軸220を中心として往復揺動可能に設けられていたが、上下方向、左右方向、前後方向に直線的に往復動可能に設けられていてもよい。また、動力伝達アーム726に替えて、直線往復動可能な動力伝達部材にて動力が付与されてもよい。
また、図27及び図28に示すように、切断部や移動規制部を戻り球防止装置500に設けてもよい。
図27及び図28に示すよう、戻り球防止装置500は、遊技領域7の外周に設けられる外レール401の内側に立設されて発射通路720を形成する内レール402の端部に取り付け可能に形成された取付支持部501と、取付支持部501に前後方向を向く軸部材503を中心として回動可能に設けられる開閉板502と、から主に構成される。
取付支持部501には、内レール402の端部を差込可能な一対の差込部504が前後側に形成されているとともに、内レール402の端部に形成された係止孔506に係脱可能な弾性係止爪505が形成されており、内レール402の端部における前後側縁を差込部504に差し込んで弾性係止爪505が係止孔506に係止されることで、内レール402からの逸脱が規制されて該内レール402に取り付けられる。
開閉板502は、所定の板厚(例えば、約1mm等)を有する横長の金属板からなり、所定箇所を折曲げ加工することにより形成されており、前後方向を向く軸部材503を中心として取付支持部501に揺動可能に設けられている。
開閉板502の一端側にはバランスウェイト507が設けられ、他端側の先端部は、先端縁における前後幅方向の2箇所から回動中心側に向けて形成された左右方向を向く切込溝により、中央片521及び該中央片521の前後側の前片522a及び後片522bに分割されている。前片522a及び後片522bは、中央片521に対して先端部に向けて漸次下側に傾斜する傾斜片とされている。
中央片521の先端縁は、前後方向の中央位置からそれぞれ前側及び後側に向けて回動中心側に傾斜する湾曲状に形成されている。前片522aの先端縁は、前後方向の中央位置からそれぞれ前側及び後側に向けて回動中心側に傾斜する湾曲状に形成されている。
よって開閉板502の先端部における切込溝に対応する箇所には、右向き略V字形の溝部が形成されている。これにより、切込溝の開放端側の間口が前後幅方向に広がるため、これら縁部により後述する糸が誘導されやすくなる。一方、中央片521の前縁辺と前片522aの後縁辺及び中央片521の後縁辺と後片522bの前縁辺は、先端部に向けて互いに上下に離れる方向に傾斜しているため、これら隣り合う一対の縁辺により、正面視において右向き略V字形の切込溝が形成されている。つまり、切込溝の開放端側の間口が上下幅方向に広がるため、これら縁辺により糸Tが誘導されやすくなる。
図28に示すように、このように構成された戻り球防止装置500は、軸部材503の軸心が盤面盤面に対し略直交するように設けられる。すなわち、開閉板502は、遊技盤面に対し起立され、かつ、遊技球の移動方向に沿って延びるように設けられる。
詳しくは、開閉板502により連絡部410を閉止する閉止位置と連絡部410を開放する開放位置と、の間で回動可能に設けられている。また、開閉板502は、バランスウェイト507の自重により閉止位置に起立姿勢で保持されることで連絡部410が閉止状態となるとともに、遊技球が衝突することによりバランスウェイト507の自重に抗して開閉板502が押し倒され下方位置に傾倒姿勢となることで連絡部410が開放状態となる。また、遊技球により開閉板502が開放位置に傾倒した場合、パチンコ球が通過した後に、バランスウェイト507の自重により回動して閉止位置に復帰するようになっている。
このような開閉板502の先端部に、切断部及び移動規制部としての切込溝が形成されていることにより、不正行為として、一端が遊技球に取り付けられた糸Tの他端を保持したまま該糸付き球BPを発射装置により打ち出し、発射通路720から連絡部410を介して遊技領域7内に不正に進入させた場合でも、遊技球の自重により糸Tに張力が生じるばかりか、糸Tの引き戻しを繰り返すことにより糸Tが切込溝により切断または移動規制されやすくなるので、糸付き球BPによる不正行為を未然に防ぐことが可能となる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、貸し出された貸出球や払い出された賞球が遊技者により指触可能に構成されたパチンコ遊技機1とされていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用されたパチンコ球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。