まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ遊技機1と略称する)を正面からみた正面図であり、図2はパチンコ機を示す背面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ機の前面(表面)側、奥側を背面(裏面)側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機の前面(表面)とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
図1は、本発明が適用されたパチンコ機及びカードユニットを示す正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた遊技枠としての前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び上皿扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられているとともに、下皿枠104が取り付けられている。また、前面枠101の背面には、後述する遊技盤6が取り付けられるとともに、背面側には変動表示装置9及び機構部品等が取り付けられる機構板105(図2参照)が一側を中心にして開閉可能に取り付けられている。
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた上皿扉枠103の前面には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を貯留可能な打球供給皿(上皿とも言う)3が、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて膨出するように設けてある。打球供給皿3の下方には、打球供給皿3から溢れたパチンコ球を貯留する余剰球受皿4(下皿とも言う)が、パチンコ遊技機1の前方(パチンコ遊技機1の前面方向)に向けて膨出するように設けてあるとともに、その側方には、パチンコ球を発射する操作を行うための打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。
なお、遊技盤6は、それを構成する透明なアクリル樹脂板からなる板状体と、その板状体に出設された釘(図示略)や取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技盤6の前面には、該遊技盤6の下方に設けられた図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球を遊技領域7の上部に案内するための誘導レール42,43が取り付けられている(図5参照)。誘導レール42,43は、細長帯状の金属材(例えばステンレス材)からなり、一側端面を遊技盤6の表面に当接し、両面が遊技盤6の前面に対して略直交するように立設された状態で、図示しない複数のビスにより遊技盤6に固定されている。
誘導レール42,43は、内レール42及び該内レール42よりも外側に配置される外レール43からなり、内レール42は、その上方の略約1/4を除いて略円環状に形成され、外レール43は、内レール42における正面から見て左側部に向かい合うようにして配置されており、これら内レール42と外レール43とが所定間隔をおいて並行する部分(遊技盤6を正面から見て左側の部分)により、パチンコ球を遊技領域7に誘導する遊技球誘導通路としての打球誘導通路45が構成されている。つまり、打球誘導通路45は、遊技盤6の前面と、内レール42及び外レール43とにより前面側が開放する略コ字形の溝状に形成されている。
尚、打球誘導通路45は、正面から見て、内レール42及び外レール43に沿うように上下方向に向けて延設されるとともに、上方に行くに従いやや右側の遊技領域7側に向けて緩やかに湾曲するように形成されている。
遊技盤6を正面から見て左側の内レール42の先端部(上端部)には、打球誘導通路45と誘導レール42とにより囲まれた略円形の遊技領域7(図5中粗網点領域)とを連絡する連絡部46を開閉自在とする開閉部材301を備える球戻り防止装置300が配設されており、この球戻り防止装置300により、打球誘導通路45から遊技領域7内に進入したパチンコ球が再度打球誘導通路45内に逆戻りすることが防止されている。尚、球戻り防止装置300の詳細な構造については後述することとする。
また、外レール43におけるパチンコ球の最大飛翔部分に対応する位置(正面から見て右側上部)には返しゴム47が設けられており、外レール43の内側面に沿って移動してきたパチンコ球は、返しゴム47に衝突してその勢いが減衰されて跳ね返るようになっている。
尚、外レール43の左側下端部は、前面枠101の右側下部に設けられた図示しない打球発射装置から、上方の遊技盤6の左側に向けて傾斜状に延設された打球誘導レール117(図1参照)の上端部に接続されるようになっている。
遊技盤6の背面には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられており、その表示領域は、前面側に配置される透明な遊技盤6を通して該遊技盤6の前方から視認できるようになっている。また、遊技領域7の上部には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行う。変動表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。
特別図柄表示器8は、たとえば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に当りの種類を把握しづらくさせるために、0〜99など、より多種類の数字を変動表示するように構成されていてもよい。また、変動表示装置9は、液晶表示装置よりなる画像表示装置で実現されている。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、飾り図柄の変動表示を行う。
なお、本実施例においては、変動表示装置9は、液晶表示装置を用いた例について説明するが、これに限らず、変動表示装置9は、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス、7セグメントLED等のLED(Light Emitting Diode)、エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管等のその他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。
遊技領域7の中央位置に形成される変動表示領域の下方には、パチンコ球を受け入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13,13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常にパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13,13が設けられているため、可動片13,13が閉状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が不可能な状態となり、可動片13,13が開状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
なお、始動入賞装置15は、可動片13,13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、パチンコ球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであってもよく、可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであってもよい。
始動入賞装置15の可動片13,13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13,13が開状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13,13が閉状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
遊技領域7の上部には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。なお、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしてもよく、4個よりも少ない値にしてもよい。
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球及び他方の領域に入ったパチンコ球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21a(図3参照)も設けられている。
パチンコ球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施の形態では、左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、たとえば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13,13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32へのパチンコ球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29へのパチンコ球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30へのパチンコ球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。第3通常入賞口33へのパチンコ球の入賞は、第3入賞口スイッチ33aによって検出される。第4通常入賞口39へのパチンコ球の入賞は、第4入賞口スイッチ39aによって検出される。なお、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。遊技領域7の下部には、入賞しなかったパチンコ球を回収するアウト口26が形成されている。
遊技領域7の左右側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aが内蔵される装飾発光部25が設けられているとともに、該装飾発光部25の上部には、龍を模した形状をなす演出用可動物24が、ソレノイド24aの駆動により下部を中心として上部側が揺動自在に設けられている。これら装飾発光部25及び演出用可動物24は、後述するように遊技盤6の背面側に設けられており、遊技盤6を通して前方から視認できるようになっている。尚、演出用可動物24は、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出の実行時や、後述するリーチが成立したとき等に所定の可動パターンに基づいて可動するようになっている。
遊技領域7の略中央に形成される可変表示領域の上部には、遊技領域7内に発射された打球を左右側に誘導する下向き円弧状の庇部12が、遊技盤6の表面から前方に向けて突設されているとともに、可変表示領域の下部には、遊技盤6の表面左側に設けられるワープ口11に進入し、ワープ通路11aを介して遊技盤6の背面側に誘導された球が進入するステージ枠22が、遊技盤6の背面から後方に向けて突設されている。ステージ枠22の上面に誘導された球は、該ステージ枠22に対応して設けられた3つの流出口22aを介して遊技領域7の表面側に戻されるようになっており、特に中央の流出口22aから落下した球は、他の流出口22aから落下した場合に比べて、その直下に配置された第1始動口15aに入賞しやすくなっている。
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a(図3参照)が内蔵される天枠発光部28Hと、左枠LED28b(図3参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(図3参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。尚、本実施例では賞球LED51及び球切れLED52を左枠LED28bや右枠LED28cとは個別に設けていたが、左枠LED28bや右枠LED28cの発光態様を異ならせることにより賞球払出中や補給球が切れた旨を報知するようにしてもよい。また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
上皿扉枠103の前面における打球供給皿3の左右側方には、供給皿左右外LED200cにより発光する扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204Rが設けられている。また、打球供給皿3の左右側面には、上皿扉枠103前面における打球供給皿3の左右側方に設けられた供給皿左LED200a,供給皿右LED200bにより発光する供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rが設けられているとともに、打球供給皿3の前面には、打球供給皿3の内部に設けられた供給皿前LED201aにより発光する供給皿前発光部201が設けられている。
余剰球受皿4の周縁上面には、余剰球受皿4の内部に設けられた受皿LED202aにより発光する受皿発光部202が設けられている。また、余剰球受皿4の左右側には、内蔵された受皿左LED203a及び受皿右LED203bにより発光する受皿左発光部203L及び受皿右発光部203Rが設けられている。
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25a、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、供給皿左LED200a、供給皿右LED200b、供給皿左右外LED200c、供給皿前LED201a、受皿LED202a、受皿左LED203a、受皿右LED203b等の各種発光手段は、主基板31から出力される演出制御コマンドに基づき演出制御用マイクロコンピュータ81から出力されるシリアル信号に基づいて点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27からの音発生制御(音制御)は、後述する音声出力基板70によって行なわれる。
カードユニット50には、たとえば、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口、および、カード挿入口の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠が設けられている。
前面枠101の前面における遊技盤6の下方には、前述した打球誘導レール117(図1参照)が設けられる。また、打球誘導レール117の途中には、打球発射装置により打ち出されたものの遊技領域7に到達することなく戻ってきたファール球をファール球口116(図1参照)に誘導して回収するファール球誘導通路118(図1参照)が形成されており、該ファール球は、ファール球口116を介して背面側の余剰球誘導通路(図示略)に流出された後、余剰球受皿4に返却されるようになっている。また、このファール球誘導通路118近傍には、打球供給皿3から球抜き口113aを介して流出された待機球を球抜き連通口106に誘導する球抜き誘導通路(図示略)が形成されており、これらファール球及び待機球はファール球口116及び球抜き連通口106に連通する誘導通路を介して余剰球誘導通路(図示略)に流出される。
そして、遊技者の操作により図示しない打球発射装置(遊技球発射装置)から発射されたパチンコ球は、前述した打球誘導レール117(図1参照)により誘導された後、内レール42と外レール43との間に形成された打球誘導通路45を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。
遊技領域7に進入したパチンコ球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(たとえば10個)のパチンコ球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中にパチンコ球がV入賞領域に入賞しカウントスイッチ23で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、たとえば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。なお、V入賞領域を設けずに、各ラウンドにおいて無条件で継続権が発生するように制御してもよい。
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
また、特別図柄表示器8での変動表示の停止時における特別図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、変動表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(たとえば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および飾り図柄の変動表示が所定回数(100回)行なわれるまでの、いずれか早い方の条件が成立するまで継続される。
また、入賞に応じたパチンコ球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13,13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだパチンコ球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出されるパチンコ球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。たとえば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施の形態の場合では、たとえば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、たとえば1分間等の単位時間におけるパチンコ球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。たとえば、単位時間におけるパチンコ球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口としており、該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
変動表示装置9において変動表示される飾り図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、たとえば、特別図柄の変動表示が開始されたときに飾り図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに飾り図柄の表示結果が導出表示されて飾り図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、変動表示装置9により、左,中,右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および飾り図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
特別図柄表示器8と変動表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
通常遊技状態である通常時において、変動表示装置9にて飾り図柄の可変表示結果が停止表示される有効ラインは、例えば「左」、「中」、「右」の各可変表示部における上段のみ、中段のみ、下段のみからなる水平方向や、「左」の可変表示部における上段と「中」の可変表示部における中段と「右」の可変表示部における下段とからなる斜め方向、あるいは、「左」の可変表示部における下段と「中」の可変表示部における中段と「右」の可変表示部における上段とからなる斜め方向などに定められている。これに対して、確変遊技状態である確変中において、有効ラインは、例えば図1に示すように、「左」、「中」、「右」の各可変表示部に飾り図柄が1つずつ停止表示されることにより、横方向に1本だけ定められている。このときには、「左」、「中」、「右」の各可変表示部における飾り図柄が、通常遊技状態のときに比べて大きく表示されることになる。
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
たとえば、変動表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施の形態の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の変動表示領域のうち左,右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
また、リーチの際に、通常と異なる演出がLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(飾り図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、変動表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
この実施の形態の場合は、大当りとして、通常大当りおよび確変大当りというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
通常大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
次に、パチンコ遊技機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機及びカードユニットを示す背面図である。
図2に示すように、パチンコ遊技機1裏面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80が収納された演出制御基板ボックス80a、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が収納された主基板ボックス31a、音声出力基板70、LEDドライバ基板(図示省略)、および、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。
さらに、パチンコ遊技機1裏面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板91やタッチセンサ基板91Aが設けられている。電源基板91は、一部が払出制御基板37と重なっているが、払出制御基板37に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分には、パチンコ遊技機1における主基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチが設けられている。さらに、露出部分における電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、電気部品制御基板には、電気部品制御用マイクロコンピュータを含む電気部品制御手段が搭載されている。電気部品制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、変動表示装置9、LEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を電気部品制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、電気部品制御基板に搭載される電気部品制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。
パチンコ遊技機1裏面において、上方には、各種情報をパチンコ遊技機1外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板159が設置されている。ターミナル基板159には、少なくとも、球切れ検出スイッチ167の出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球情報(賞球個数信号)を外部出力するための賞球用端子および球貸し情報(球貸し個数信号)を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、遊技制御基板31の近傍には、主基板31からの各種情報をパチンコ遊技機1外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)36が設置されている。
尚、前記球切れ用端子、賞球情報(賞球個数信号)及び球貸し情報(球貸し個数信号)は、主基板31から情報端子基板36を介して外部に出力するようにしてもよい。すなわち、このようにターミナル基板159に設けられた球切れ用端子、賞球用端子、球貸し用端子を情報端子基板36に設けることで、配線や基板の取り付け作業等を容易にすることができる。また、ターミナル基板159及び情報端子基板36それぞれに設けられる各端子を1つの基板にまとめて搭載してもよく、このようにすることで製造コストを削減することができる。
図示しない遊技機設置島から供給される球を貯留可能な球タンク38に貯留されたパチンコ球は、タンクレールを通り、カーブ樋を経てケースカバーで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、通路内に球がない旨を検出する遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ197が設けられている。球切れスイッチ197が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ197はパチンコ球通路内のパチンコ球の有無を検出するスイッチであるが、球タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レールにおける上流部分(球タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167がパチンコ球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対してパチンコ球の補給が行なわれる。
入賞に基づく景品としてのパチンコ球や球貸し要求に基づくパチンコ球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、パチンコ球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらにパチンコ球が払出されると、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19が押圧されて、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。尚、満タンスイッチ19がオンした状態において、球払出装置の動作及び打球発射装置の駆動は必ずしも停止させなくてもよいし、あるいはオンした時点から所定時間経過後に停止させるようにしてもよい。
図3は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、パチンコ遊技機1に搭載されている払出制御基板37、LEDドライバ基板35、音声出力基板70、インタフェース基板66、中継基板77、および、演出制御基板80も示されている。主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ156と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、第4入賞口スイッチ39a、満タンスイッチ19からの信号の他、電源断信号およびクリア信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力ドライバ回路58と、始動入賞装置15の可動片13,13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド21aを遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって各種の情報信号をホール管理コンピュータ等のパチンコ遊技機1の外部に設けられた装置に出力する情報出力回路53とが搭載されている。情報出力回路53から出力された情報信号は、情報端子基板36を介して、パチンコ遊技機1の外部に出力される。
尚、本実施例では満タンスイッチ19の検出信号は払出制御基板37を経由して主基板31に入力されるようになっているが、払出制御基板37を経由することなく入力ドライバ回路58に直接入力されるようにしてもよい。
情報出力回路53から出力される情報信号としては、大当り1情報信号、大当り2情報信号、大当り3情報信号、高確率情報信号、時短情報信号、第1始動情報信号、第2始動情報信号、第1入賞数異常信号、第2入賞数異常信号、第1ベース異常信号、第2ベース異常信号、および、始動口入賞異常信号が含まれる。
大当り1情報信号、大当り2情報信号および大当り3情報信号のそれぞれは、確変大当り、非確変大当り等の大当りの種類を特定した大当りの発生を示す信号である。高確率情報信号は、確率変動が生じたことを示す信号である。時短情報信号は、時短状態が生じたことを示す信号である。第1始動情報信号は、第1始動口15aへの入賞により特別図柄および飾り図柄の変動表示開始に利用されるパチンコ球が検出されたことを示す信号である。第2始動情報信号は、第2始動口15bへの入賞により特別図柄および飾り図柄の変動表示開始に利用されるパチンコ球が検出されたことを示す信号である。
第1入賞数異常信号は、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中での入賞数が第1入賞数異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、入賞数異常状態または第1入賞数異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。第2入賞数異常信号は、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中での入賞数が第1入賞数異常判定値よりも大きい第2入賞数異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、入賞数異常状態または第2入賞数異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。
第1ベース異常信号は、前述の異常監視対象入賞口を対象として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中でのこれら入賞口への入賞数に基づく賞球数の合計値(以下、ベースという)が第1のベース異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、ベース異常状態または第1ベース異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。第2ベース異常信号は、前述の異常監視対象入賞口を対象として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中でのこれら入賞口への入賞数に基づく賞球数の合計値(ベース)が第1のベース異常判定値よりも大きい第2のベース異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、ベース異常状態または第2ベース異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。
始動口入賞異常信号は、第2始動口15bを対象として、可動片13,13が閉状態であるときにパチンコ球が入賞したことに基づく異常状態が生じたときに、そのような異常状態が生じた旨を示す信号である。
なお、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、第4入賞口スイッチ39a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、パチンコ球を検出できる遊技媒体検出手段(この例ではパチンコ球検出手段)であれば、その名称を問わない。入賞検出を行う第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、および、第4入賞口スイッチ39aへのパチンコ球の入賞を検出する入賞検出手段でもある。
なお、ゲート32のような通過ゲートであっても、賞球の払出しが行なわれるものであれば、通過ゲートへパチンコ球が進入することが入賞になり、通過ゲートに設けられているスイッチ(たとえばゲートスイッチ32a)が入賞検出手段になる。また、V入賞領域に入賞したパチンコ球がカウントスイッチ23でも検出される。よって、大入賞口に入賞したパチンコ球数は、カウントスイッチ23による検出数に相当する。また、V入賞領域に入賞したパチンコ球はV入賞スイッチのみで検出されるようにし、大入賞口に入賞したパチンコ球数は、V入賞スイッチによる検出数とカウントスイッチ23による検出数との和になるようにしてもよい。また、V入賞領域を設けず、最終ラウンド以外のラウンドでは、常に継続権が発生するようにしてもよい。また、V入賞領域を設け、1ラウンド目は無条件(V入賞領域への入賞によらず)継続権が発生し、2ラウンド目以降においてV入賞領域への入賞により継続権が発生するようにしてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行うプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、CPU56の他に少なくともRAM55が内蔵されていればよい。また、ROM54およびI/Oポート57は、外付けであっても内蔵されていてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ156においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ156で実現されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
乱数回路は、特別図柄および飾り図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値R1として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。なお、乱数回路が発生させた乱数は、確変とするか否かを決定するための確変判定用乱数や、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用乱数など、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いてもよい。
乱数回路は、ユーザによる数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および、数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能により、乱数回路は、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路が更新する数値データの初期値を設定する機能を有しており、たとえば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路が更新する数値データの初期値として設定する。これにより、乱数回路が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。また、初期値を設定するときに、IDナンバを用いた所定の演算を行うことにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバを見ただけでは乱数の初期値を認識しにくくすることができる。そのため、無線信号を用いた取込み信号をパチンコ遊技機1に対して発生させるなどの行為によって、大当り状態への移行条件を不正に成立させられてしまうことをより確実に防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を2の7乗(=128)分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラは、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ156をシステムリセットする。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、発生可能な乱数の値の範囲が異なる2つの乱数回路を搭載する。第1の乱数回路は、12ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、12ビット乱数回路ともいう)である。12ビット乱数回路は、12ビットで発生できる範囲(すなわち、1から4095までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。また、第2の乱数回路は、16ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、16ビット乱数回路ともいう)である。16ビット乱数回路は、16ビットで発生できる範囲(すなわち、1から65535までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。2つの乱数回路は、予め選択されたどちらか一方の回路が乱数の発生に用いられる。
なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ156が2つの乱数回路を内蔵する場合を説明するが、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1つの乱数回路を内蔵してもよく、3以上の乱数回路を内蔵してもよい。また、この実施の形態では、12ビット乱数回路および16ビット乱数回路を包括的に表現する場合、または、12ビット乱数回路と16ビット乱数回路とのうちいずれかを指す場合に、乱数回路という。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板91において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを、遊技の進行状態を示すデータと定義する。この実施の形態では、RAM55の全部の記憶領域が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板91からのリセット信号が入力される。また、払出制御用マイクロコンピュータのリセット端子にも、電源基板91からのリセット信号が入力される。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータは動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータは動作停止状態になる。したがって、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータの動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータの動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(主基板31を含む)に搭載してもよいし、複数の電気部品制御基板のうち一つまたは複数にリセット回路を搭載し、そこからリセット信号を他の電気部品制御基板に供給するようにしてもよい。
さらに、払出制御基板37を経由して、電源基板91からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力ドライバ回路58に入力される。電源断信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力ドライバ回路58に入力される。クリア信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。
尚、本実施例では、電源断信号は払出制御基板37を経由して主基板31に入力されるようになっているが、払出制御基板37を経由することなく入力ドライバ回路58に直接入力されるようにしてもよい。また、電源基板91からの電源電圧が所定値以下に低下したことを検出する電断検出回路(図示略)を、主基板31に設けてもよいし、主基板31及び払出制御基板37の双方に設けてもよい。あるいは、電源基板91に設け、電源断信号を主基板31及び払出制御基板37の双方に入力されるようにしてもよい。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、払出制御基板37を経由して、満タンスイッチ19からの満タン信号が入力されたときに、前述した受皿LED202aを発光させる旨を示す演出制御コマンドを演出制御基板80に送信する。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、大当り遊技状態以外の状態においてカウントスイッチ23により球が検出されたとき、すなわち、例えば大当り遊技状態以外の状態において特別可変入賞球装置20の開閉板が不正器具等により遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)とされてカウントスイッチ23により球が検出されたとき、または可動片13,13が閉状態にあるときに第2始動口スイッチ14bにより球が検出されたときにおいて可動片13,13が不正器具等により遊技者にとって有利な開状態とされてカウントスイッチ23により球が検出されたとき、エラーが発生したとして、供給皿左LED200a,供給皿右LED200b、供給皿左右外LED200cを発光させる旨を示す演出制御コマンドを演出制御基板80に送信する。
また、クリア信号は、主基板31において分岐され、払出制御基板37にも供給される。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156が入力ポートを介して入力したクリア信号の状態を、出力ポートを介して払出制御基板37に出力してもよい。
また、複数のスイッチのそれぞれは、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、複数のスイッチのそれぞれから各スイッチの入力状態を示す入力検出信号を受ける。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156が搭載するシリアル出力回路78は、シフトレジスタなどによって構成され、CPU56が出力する演出制御コマンドをシリアルデータに変換して、中継基板77を介して演出制御基板80に送信する。また、シリアル出力回路78は、CPU56が出力する制御信号をシリアルデータに変換して、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に出力する。なお、特別図柄表示器8、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10および普通図柄保留記憶表示器41には、シリアルデータをパラレルデータに変換するシリアル−パラレル変換ICがそれぞれ設けられ、中継基板77からの制御信号をパラレルデータに変換して、特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に供給される。
また、本実施例では、CPU56が出力する制御信号をシリアル出力回路78にてシリアルデータに変換して、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に出力するようになっていたが、これら特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41からなる各表示器を主基板31に中継基板等を介すことなく直接接続し、CPU56が出力する制御信号をパラレルデータのまま各表示器8、18、10、41に出力するようにしてもよい。このようにすることで、外部から信号が入ることがないので、正確な表示を行うことができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、LED制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御基板80には、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、変動表示装置9での表示制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ81等の電気部品制御手段が搭載されている。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドをシリアルデータ方式として受信し、飾り図柄を可変表示する変動表示装置9の表示制御を行う。尚、演出制御手段が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドをパラレルデータ方式として受信し、飾り図柄を可変表示する変動表示装置9の表示制御を行うようにしてもよい。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、遊技盤6に設けられている装飾LED25a及びステージLED25bの表示制御及び演出用可動物24を揺動させるソレノイド24aの駆動制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、供給皿左右LED200a,200b、供給皿左右外LED200c,供給皿前LED201a、受皿LED202a、受皿左右LED203a,203b、方向LED510a〜510dの表示制御を行い、スピーカ27からの音出力の制御を行う。
また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81には、演出制御手段が出力する各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b、200c,201a、202a、203a,203b、510a〜510dを表示制御するための制御信号をパラレルデータからシリアルデータに変換するシリアル出力回路253が搭載されている。また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81には、入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して演出制御手段に出力するシリアル入力回路254が搭載されている。したがって、演出制御手段は、シリアル出力回路253を介して制御信号をシリアルデータ方式として出力することによって、各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b、200c,201a、202a、203a,203b、510a〜510dの表示制御を行う。
また、遊技盤側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された盤側IC基板としての装飾基板98、ステージ装飾基板99が設けられている。盤側IC基板98,99は、中継基板88を介して演出制御基板80と接続される。また、前面枠101側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された各枠側IC基板としての中前板天基板473a、左前板天基板473b、右前板天基板473c(図3参照)、上皿左サイド基板310L、上皿右サイド基板310R(図3参照)、上皿前左反射板332L、上皿前右反射板332R(図3参照)、受皿LED基板353、左幕板LED基板340L、右幕板LED基板340R(図3参照)、ジョグ基板508(図3参照)が設けられている。これら各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508は、中継基板88,89を介して演出制御基板80と接続される。
なお、図3に示すように、演出制御基板80、中継基板88および中継基板89は、バス型に1系統の配線ルートで接続される。図4は、中継基板77および演出制御基板80の回路構成例を示すブロック図である。なお、図4に示す例では、演出制御に関して演出制御基板80のみを設ける場合を示すが、LEDドライバ基板および音声出力基板を設けてもよい。この場合、LEDドライバ基板および音声出力基板には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。
演出制御基板80は、演出制御用CPU86、RAM85、シリアル出力回路253、シリアル入力回路254、クロック信号出力部256および入力取込信号出力部257を含む演出制御用マイクロコンピュータ81を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU86は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、シリアル入力回路260および入力ポート261を介して演出制御コマンドを受信する。この場合、シリアル入力回路260は、シリアルデータ方式として受信した演出制御コマンドをパラレルデータに変換し出力する。また、演出制御用CPU86は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に変動表示装置9の表示制御を行わせる。
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ81と共動して変動表示装置9の表示制御を行うVDP262が演出制御基板80に搭載されている。VDP262は、演出制御用マイクロコンピュータ81とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP262は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して変動表示装置9に出力する。
演出制御用CPU86は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP262に出力する。CGROMは、変表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP262は、演出制御用CPU86の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP262は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路74が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。図4には、ダイオードが例示されている。
さらに、演出制御用CPU86は、シリアル出力回路253を介してLED及びソレノイドを駆動する信号を出力する。シリアル出力回路は、入力したLED及びソレノイドを駆動する信号(パラレルデータ)をシリアルデータに変換して中継基板88に出力する。また、演出制御用CPU86は、音声合成用IC173に対して音番号データを出力する。
また、クロック信号出力部256は、クロック信号を中継基板88に出力する。クロック信号出力部256からのクロック信号は、中継基板88,89を介して各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載されたシリアル−パラレル変換ICや入力ICに供給される。また、クロック信号出力部256からのクロック信号は、中継基板88を介して盤側IC基板98,99に搭載されたシリアル−パラレル変換ICや入力ICに供給される。したがって、この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICおよび各入力ICに共通のクロック信号が供給されることになる。
また、入力取込信号出力部257は、演出制御用CPU86の指示に従って、中継基板88,89を介して、枠側IC基板508に入力取込信号(ラッチ信号)を出力する。枠側IC基板508に搭載された入力ICは、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入力取込信号を入力すると、ジョグスイッチ512a〜512dの検出信号をラッチし、シリアルデータ方式として中継基板88,89を介して演出制御用マイクロコンピュータ81に出力する。
また、入力取込信号出力部257は、演出制御用CPU86の指示に従って、中継基板88,89を介して、枠側IC基板508以外の各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340Rに入力取込信号(ラッチ信号)を出力する。各枠側IC基板に搭載された入力ICは、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入力取込信号の入力の基づいて演出制御コマンドをラッチして取り込む。
音声合成用IC173は、音番号データを入力すると、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路175に出力する。増幅回路175は、音声合成用IC173の出力レベルを、ボリューム176で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM174には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81は、制御信号としてのシリアルデータとともに、クロック信号を中継基板88に出力する。また、入力ICに入力信号をラッチさせるための入力取込信号を中継基板88に出力する。尚、これら信号は中継基板88を介して中継基板89に出力される。
中継基板88は、演出制御用マイクロコンピュータ81から入力したシリアルデータおよびクロック信号を、盤側IC基板98,99に搭載された各シリアル−パラレル変換ICに供給する。そして、各シリアル−パラレル変換ICは、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していれば入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して、遊技盤6に設けられた各LED25a、25bに供給する。
また、中継基板89は、バス型に1系統の配線ルートで中継基板88と接続されており、各シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、盤側IC基板にバス形式に接続されている。また、盤側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICにはそれぞれ固有のIDがある。
中継基板89に入力されたシリアルデータおよびクロック信号は、各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載された各シリアル−パラレル変換ICに供給される。そして、各シリアル−パラレル変換ICは、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していれば入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して、前面枠101に設けられた各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b,200c、201a、202a、203a,203b、510a〜510dに供給する。
また、各シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、各枠側IC基板にバス形式に接続されている。また、シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、中継基板89から直接接続される。また、各枠側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICにはそれぞれ固有のIDがある。
また、枠側IC基板508には、前面枠101に設けられたジョグスイッチ512a〜512dの検出信号を入力する入力ICが搭載されている。この実施の形態では、枠側IC基板508に搭載された入力ICと演出制御用マイクロコンピュータ81とは、中継基板88,89を介して入力信号線、クロック信号線および入力取込信号線が接続されており、演出制御用マイクロコンピュータ81は、所定のタイミングで、入力取込信号を中継基板88,89を介して入力ICに出力する。すると、入力ICは、入力取込信号(ラッチ信号)に基づいてジョグスイッチ512a〜512dからの検出信号をラッチし、中継基板88,607を介して演出制御用マイクロコンピュータ81に出力する。この場合、入力ICは、ジョグスイッチ512a〜512dからパラレルに入力した検出信号をシリアルデータに変換して出力する。
盤側IC基板88,89に搭載されたシリアル−パラレル変換ICと各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載されたシリアル−パラレル変換ICとは、1系統の配線を介して接続されている。1系統の配線を介して接続とは、具体的には、各中継基板88,89がバス型に接続されているとともに、各シリアル−パラレル変換ICがバス型またはデイジーチェーン型に接続されていることである。なお、この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICはバス型に接続されている。このように、この実施の形態では、盤側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICと、各枠側IC基板に搭載された各シリアル−パラレルICとが、中継基板88,89を介してコネクタを用いて1系統の配線を介して接続されている。そのため、コネクタの着脱を行うだけで前面枠101と遊技盤6との配線作業を行うことができ、前面枠101と遊技盤6との着脱作業をさらに容易に行えるようにすることができる。
また、この実施の形態によれば、盤側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、枠側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICおよび入力ICに、演出制御用マイクロコンピュータ81から共通のクロック信号を入力する。そのため、シリアル−パラレル変換ICへのクロック信号の配線と入力ICへのクロック信号の配線とを共通化することができ、演出制御手段と盤側IC基板との間の通信、および演出制御手段と枠側IC基板との間の通信を、それぞれ1チャネルを用いて実現することができ、配線数を低減することができる。また、盤側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、枠側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、および入力ICとを容易に同期させることができ、クロック信号用の配線数も低減することができる。
この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICには、あらかじめアドレスが付与されており、演出制御用マイクロコンピュータ81は、シリアルデータに変換した制御信号を出力する際に、シリアルデータにアドレスを付加して出力する。尚、制御信号は、固定長(コマンドのバイト数(例えば2バイトや3バイトのコマンド))のコマンドで構成され、アドレスに対応するビットを異ならせている。各IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICは、シリアルデータを入力すると、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していればパラレルデータに変換して各LEDに供給する(すなわち、出力する)。アドレスが合致していなければ各LEDへの供給は行わない。尚、シリアル−パラレル変換ICに入力されるシリアルデータは、アドレスに対応するビット以外のビットも点灯パターン等に応じて異なっており、これにより各アドレスに対応するLEDが様々な点灯パターンにて発光するようになっている。
つまり、演出制御用マイクロコンピュータ81は、満タンスイッチ19からの満タン信号が入力されたときに遊技制御用マイクロコンピュータ156から出力される受皿LED202aを点滅(発光)させる旨を示す演出制御コマンドを受信したことに基づいて、前面枠101側に設けられた受皿LED202aを制御するための制御信号を出力するときには、枠側シリアル−パラレル変換回路(受皿LED202aに信号を出力する枠側シリアル−パラレル変換回路)を特定可能なアドレス情報を付加した制御信号をシリアル出力回路253からシリアル信号方式で出力する。
また、演出制御用マイクロコンピュータ81は、大当り遊技状態以外の状態においてカウントスイッチ23から球検出信号が入力されたとき、または可動片13,13が閉状態にあるときに第2始動口スイッチ14bにより球が検出されたときに遊技制御用マイクロコンピュータ156から出力される供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cを点滅(発光)させる旨を示す演出制御コマンドを受信したことに基づいて、前面枠101側に設けられた供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cを制御するための制御信号を出力するときには、枠側シリアル−パラレル変換回路(供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cに信号を出力する枠側シリアル−パラレル変換回路)を特定可能なアドレス情報を付加した制御信号をシリアル出力回路253からシリアル信号方式で出力する。
このように、演出制御用マイクロコンピュータ81は、シリアルデータに変換した制御信号を出力する際に、シリアルデータにアドレスを付加して出力し、各IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICは、シリアルデータを入力すると、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していればパラレルデータに変換して各LEDに供給するようになっているため、前面枠101における遊技盤6以外の箇所に設けられた受皿LED202aや供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200c等のLEDによる発光演出が行われる際に、該発光により遊技盤6側に設けられた変動表示装置9等にて行われている演出が遮られることがないので、演出効果の減退を防止できるとともに、パラレルの場合に比べてシリアルの方が配線数が少なくなるので、配線が容易になる。
尚、本実施例の変動表示装置9は、演出制御基板80に直接接続されて演出制御用マイクロコンピュータ81により制御されていたが、演出制御基板80と変動表示装置9とを表示制御基板等にて中継して接続し、該表示制御基板に設けた表示制御手段を介して制御するようにしてもよい。
また、変動表示装置9の表示制御を行う表示制御手段が設けられた表示制御基板を、音やランプの制御を行う音・ランプ制御手段が設けられた音・ランプ制御基板を介して主基板31と接続し、音・ランプ制御手段は、主基板31から送信された演出制御コマンドに基づいて音やランプの制御を行うとともに、該演出制御コマンドの受信に基づいて表示制御コマンドを表示制御基板に送信し、該表示制御コマンドの受信に基づいて表示制御手段が変動表示装置9の表示制御を行うようにしてもよい。
次に、球戻り防止装置の詳細な構造を、図5〜図12に基づいて説明する。図5は、遊技盤を示す正面図である。図6は、(a)及び(b)は遊技盤に取り付けられた球戻り防止装置を示す斜視図である。図7は、球戻り防止装置を示す分解斜視図である。図8は、球戻り防止装置を示す正面図、背面図である。図9は、球戻り防止装置を示す左側面図、右側面図、平面図、底面図である。図10は、(a)は図8のA−A断面図であり、(b)は図9のB−B断面図である。図11は、(a)は球戻り防止装置の開閉動作を示す図であり、(b)は球戻り防止装置の球戻り防止動作を示す図である。図12は、(a)は図11の(b)における部分拡大図であり、(b)は(a)の平面図である。尚、以下の説明において、図8の正面図における上下左右側を球戻り防止装置の上下左右側とし、手前側を前側、奥側を後側として説明する。
球戻り防止装置300は、図5に示すように、打球誘導通路45と、内レール42及び外レール43からなる遊技球誘導レールにより囲まれた略円形の遊技領域7(図5中粗網点領域)とを連絡する連絡部46(図5及び図11中密網点領域)の一側部(本実施例では内側部)に配設される。球戻り防止装置300は、図7に示されるように、連絡部46を開閉する開閉部材301と、遊技盤6の前面に取り付けられる取付支持部302と、取付支持部302に対して開閉部材301を揺動自在に支持するための軸部材303と、から主に構成されている。開閉部材301及び取付支持部302は、炭素繊維が含有された合成樹脂材により導電性部材として形成されているとともに、軸部材303は金属材により同じく導電性部材として形成されている。
図6〜図9に示されるように、開閉部材301は、連絡部46を開閉可能に設けられる開閉部310と、取付支持部302に揺動自在に支持される支持部311と、該支持部311を挟んで開閉部310の反対側に配置され、連絡部46を閉鎖する閉鎖位置に向けて開閉部310を付勢させるためのウエイト部312と、から構成される。
開閉部310は板状に形成されており、その両側面には、打球発射装置(図示略)から発射されたパチンコ球が当接する平坦状の発射球当接面313と、該発射球当接面313の反対側面であって、遊技領域7から打球誘導通路45側に向けて戻るパチンコ球が当接可能な平坦状の戻り球当接面314とが形成されている。
図10(a)に示されるように、開閉部310の板厚は、遊技盤6の前面側から離間するに従い漸次肉厚となるように形成されており、その横断面形状が、略楔形に形成されている。つまり、発射球当接面313と戻り球当接面314とは、互いに反対側を向いて配置されるとともに、遊技盤6の前面6a側に向かうに従い互いに漸次近接するように配置されており、遊技盤6に設けられた状態において、戻り球当接面314が遊技盤6の前面6aに対して直交するとともに、発射球当接面313が遊技盤6の前面6a側に傾斜するように設けられる。
発射球当接面313は、支持部311から上端(先端)に向けて平坦状に形成され、特に図10(a)に示されるように、前側から後側の遊技盤6の前面6aに向かうに従い戻り球当接面314側に傾斜するように、つまり遊技盤6の前面6a側に傾斜して配置されており、打球誘導通路45から遊技領域7に向けて移動する発射球と当接した際に、該発射球を遊技盤6の前面6a側に向けて誘導し、発射球が前面6aから離れて正面側のガラス板102aに接触することが防止されるようになっている。
このようにするのは、図12(b)に示されるように、遊技盤6の前面6aとガラス扉枠102のガラス板102aの内面との離間幅L3は、球詰まり等が発生することがないように、パチンコ球の直径L2よりも大寸としてあることで、打球発射装置より打ち出されたパチンコ球が、打球発射装置による発射状況や遊技盤6の傾き等の要因により、遊技盤6の前面6aとガラス板102a(図12(b)参照)の内面との間で前後に移動し、これによりパチンコ球の飛びにバラつきが生じるからである。
具体的には、発射球当接面313は、図10(a)に示されるように、遊技盤6の前面6aに対して直交する直交面T、つまり戻り球当接面314に対して前後側が所定角度(本実施例では傾斜角度Θ1≒5°)傾斜するように配置されている。
尚、本出願人は、上記直交面Tに対する発射球当接面313の傾斜角度Θ1の適性範囲を調べるために、以下のような試験を実施した。
試験方法としては、本願発明の球戻り防止装置300を実物のパチンコ機1に設け、パチンコ球の発射を1日中継続して行い、これをビデオ撮影し、パチンコ球の飛びのバラつきを目視により確認する方法を採用した。そしてこの試験を、傾斜角度Θ1=0°の場合、傾斜角度Θ1=5°の場合、傾斜角度Θ1=10°の場合、傾斜角度Θ1=15°の場合をそれぞれ実施し、傾斜角度Θ1=0°の場合における球飛び安定性を基準として、傾斜角度Θ1=5°の場合、傾斜角度Θ=10°の場合、傾斜角度Θ=15°の場合の球飛びの安定性を比較したところ、表1に示されるような結果が得られた。
傾斜角度Θ1=0°の場合、前述したように、打球発射装置によるパチンコ球の発射状況やパチンコ機1の設置状況(台の傾き)等の様々な要因により、発射球が遊技盤6の前面6aから離れてガラス扉枠102のガラス板102aに接触するなどして、球飛びにバラつきが生じてしまう。
これに対し、傾斜角度Θ1=5°及び傾斜角度Θ1=10°の場合、上述したように、発射球当接面313との当接により発射球が遊技盤6の前面6a側に誘導されることで前後方向の球のバラつきが抑制されるため、表1に示されるように、傾斜角度Θ1=0°の場合に比較して球飛びのバラつきが上手く抑制されていた。
また、傾斜角度Θ1=15°の場合では、発射球当接面313との当接により発射球の進路が急激に変更されて前面6aにパチンコ球が強く押し付けられ、その反力で大きく跳ね返りガラス板102aに衝突しやすくなるため、傾斜角度Θ1=0°の場合とほぼ同様の球飛びのバラつきが確認された。
この試験結果から判るように、傾斜角度Θ1は、0°よりも大きく10°以下である(0°<Θ1≦10°)ことが好ましく、さらに、5°以上10°以下(5°≦Θ1≦10)であることがより好ましい。このようにすれば、パチンコ球を遊技盤6の表面6aに強く押し付け過ぎることなく、遊技盤6の表面6a側に向けて誘導することができる。
また、本実施例における発射球当接面313は、開閉部材301における開閉部310の板厚(肉厚)を、遊技盤6の前面6a側から離間するに従い漸次肉厚とすることにより、遊技盤6の前面6a側に傾斜するようになっているため、反対側の戻り球当接面314に影響を与えることなく、発射球当接面313を遊技盤6の前面6a側に傾斜して設けることができる。
戻り球当接面314は、その上部に前後方向に延設された屈曲辺314cを境にして上下に区画された第1の当接面314aと第2の当接面314bとから構成されている。第1の当接面314aは、支持部311から上端(先端)に向けて平坦状に形成され、特に図10(a)に示されるように、遊技盤6の前面6aに対して直交するように配置されている。また、第2の当接面314bは、特に図9(b)に示されるように、屈曲辺314c、つまり第1の当接面314aの上端から開閉部310の上端(先端)に向かうに従い発射球当接面313側に傾斜するように、第1の当接面314aよりも先端側に形成される帯状の傾斜面であり、前後方向に向けて平坦状に形成されている。
すなわち、第2の当接面314bは、第1の当接面314aに対して所定角度Θ2(本実施例ではΘ2≒26°)傾斜する傾斜面とされており、後述するように、外レール43と開閉部310の上端との間に進入したパチンコ球を遊技領域7側に向けて誘導する誘導面として機能するようになっている(図11(b)参照)。
また、開閉部310の上端における発射球当接面313と第2の当接面314bとの間には、発射球当接面313及び第1の当接面314aに対して直交するとともに、平面視で遊技盤6の前面6aに向けて漸次先細りとなる略三角形状の上端面315が形成されている。
このように構成された開閉部310の下端には、支持部311及びウエイト部312が連設されている。支持部311は略円柱状に形成されており、その内部には、開閉部材301を取付支持部302に対して揺動自在に軸支する揺動軸317が挿通される貫通孔316が、前後方向に貫通して形成されている。揺動軸317は、段付きピンからなり、先端の小径部を後述する嵌入穴338内に圧入することにより、取付支持部302に取り付けられるようになっている。
連絡部46を閉鎖する閉鎖位置に向けて開閉部310を付勢させるためのウエイト部312は、支持部311を中心として開閉部310の反対側に向けて延設されており、このウエイト部312の内部には、ウエイト部312を構成する合成樹脂材よりも比重が重い金属製のウエイト棒318を嵌入可能な有底の嵌入穴319が形成されており、該嵌入穴319内にウエイト棒318を嵌入することで、ウエイト部312を大型化することなく、開閉部310に対する付勢力を高めることができるようになっている。
このように構成された開閉部材301は、支持部311を中心として、開閉部310とウエイト部312とがそれぞれ反対側に向けて延設されている。また、支持部311の後側、つまり取付支持部302側には、後述するボス部321を収容するための切欠凹部320が形成されている。つまり、開閉部310及びウエイト部312は、支持部311の前後幅よりも長寸に形成されている。
また、開閉部310は、前述したように横断面略楔形をなす板状に形成され、戻り球当接面314aが、揺動軸317の中心軸と前後方向に平行をなすとともに、揺動軸317の中心軸よりも左側(打球誘導通路45側)にずれた位置に配置されるように、支持部311から延設されている。つまり開閉部310は、支持部311に対して屈曲部310aを介して連設されている。
次に、取付支持部302について説明する。取付支持部302は、遊技盤6の前面6aに取り付けられる基部330と、該基部330の前面から前方に突設される壁部331と、から主に構成されている。基部330は、打球誘導通路45に沿うように正面視略円弧状に形成される板状部材からなり、その長手方向の両端部には、取付支持部302を遊技盤6の前面6aに取り付けるための取付ネジ332(図7参照)の取付穴333が形成されているとともに、背面側には、遊技盤6の前面6aに形成された図示しない位置決め穴に嵌合可能な位置決め用凸部334,334(図9参照)が後向きに突設されている。
壁部331は、図8及び図9に示されるように、略縦向きの姿勢をなす開閉部材301における支持部311及びウエイト部312の打球誘導通路45側の側面を開放し、遊技領域7側の側面を被覆可能な正面視略コ字形に形成されており、遊技領域7内に進入したパチンコ球が支持部311やウエイト部312に衝突して開閉部310の開閉に支障をきたすことがないようになっている。
壁部331内には、基部330の前面から前方に向けて突設された円柱状のボス部339が配設されている。ボス部339の前端面には、前述した揺動軸317が嵌入される嵌入穴338が形成されており、該嵌入穴338内に揺動軸317の先端を嵌入(圧入)することで、基部330に対して開閉部材301が揺動自在に枢支されるようになっている。
尚、本実施例では、揺動軸317の先端を嵌入穴338に嵌入(圧入)することで揺動軸317が基部330に取り付けられるようになっているが、揺動軸317の先端にネジ部を形成し、該ネジ部をボス部339の前端面に螺入することで取り付けてもよい。
また、本実施例では、開閉部材301の貫通孔316に挿通した揺動軸317の先端をボス部339の嵌入穴338に嵌入することで、基部330に対して開閉部材301を揺動自在に支持するように構成されていたが、例えばボス部339の前端面に、開閉部材301の側部に設けた被嵌合部に嵌合可能な位置決め用凸部を突設し、該位置決め用凸部を被嵌合部に嵌合して基部330に対する開閉部材301の支持位置を決定した状態で、貫通孔316に揺動軸317挿通してその先端を嵌入穴338に嵌入できるようにしてもよく、このようにすることで、基部330に対する開閉部材301の取り付けが容易になる。
また、壁部331の内面には、内向きに突設される回転規制凸条337が前後方向に延設されており、この回転規制凸条337がウエイト部312の側面に当接することにより、ウエイト部312の回転を規制する。
具体的には、揺動軸317により揺動自在に支持された開閉部材301は、ウエイト部312の自重によりバランスがとれた状態において略縦向き姿勢に保持されることになるが、回転規制凸条337は、ウエイト部312の自重によりバランスがとれたウエイト部312の側面を僅かに押圧した状態で当接するように設けられている。すなわち、ウエイト部312の側面が常時回転規制凸条337に当接した状態で保持されるため、開閉部310が連絡部46を閉鎖する閉鎖位置(図11(a)中実線位置)に常に確実に保持されるようになっている。
尚、壁部331の上端331aは、開閉部310の下部に設けられる屈曲部310aに当接するようになっている。すなわち、開閉部材301は、壁部331の上端331aに屈曲部310aが当接する最大開放位置と、回転規制凸条337がウエイト部312の側面に当接する閉鎖位置と、の間で揺動自在に支持されている。
壁部331の下方側の端部には、内レール42の前側の端部を嵌合可能な嵌合溝335が形成された内レール保持部336が設けられている。嵌合溝335は、打球誘導通路45の延設方向に向けて所定長さに形成されているため、内レール42を嵌合溝335に嵌合することで、内レール42に対する取付支持部302の取付位置を容易に決定することができる。
また、嵌合溝335に嵌合した内レール42の端部は、図11に示されるように、開閉部310の屈曲部310a近傍まで延出され、壁部331の開放部を覆うようになっている。つまり、内レール42の端部近傍の両側面は、一方が打球誘導通路45に対向するとともに、他方がウエイト部312に対向するように配置される。言い換えると、内レール42の端部は、打球誘導通路45と壁部331により囲まれた空間部に収容されるウエイト部312とを仕切るように配設されるため、打球誘導通路45から壁部331により囲まれた空間部内にパチンコ球が進入することが防止される。
このように、取付支持部302には、内レール42の前側の端部、つまり遊技盤6の前面6aと反対側の端部を片側から保持する内レール保持部336が一体的に設けられていることで、内レール336の前側の端部を嵌合溝335に嵌合するだけで、内レール42に対する取付支持部302、ひいては開閉部材301の取付位置を容易に決定することができる。
また、打球誘導通路45を移動するパチンコ球のウエイト部312への接触を、基部330に防止片等を新たに形成することなく、内レール42を利用するだけで簡単に防止することができる。
次に、このように構成された球戻り防止装置300の使用状況を、図11及び図12に基づいて説明する。
球戻り防止装置300は、図11に示されるように、内レール保持部336にて内レール42を保持した状態で、開閉部310により連絡部46が開閉されるように、連絡部36の内側部に配設される。このように取付支持部302が、内レール42の内側に沿って取付ネジ332により遊技盤6の前面6aに取り付けられた状態において、該取付支持部302の下半部が内レール42の内側面42aに対向するようになっている。
取付支持部302に対して揺動軸317を介して揺動自在に支持された開閉部材301は、開閉部310が連絡部46側に突出して該連絡部46を閉鎖する閉鎖位置と、連絡部46から退避して該連絡部46を開放する開放位置と、の間で揺動自在に支持される。そして開閉部310は、図11(a)中実線で示されるように、前述したウエイト部312の自重により常時閉鎖位置に保持されるようになっている。
尚、図12(a)に示されるように、開閉部310は、閉鎖位置におい連絡部46を完全に閉鎖するわけではなく、閉鎖位置に保持された状態において、パチンコ球の進行方向、つまり打球誘導通路45の長手方向に対して約45°傾斜した状態で配置されるとともに、開閉部310の上端と外レール43の内側面との離間幅L1が、少なくともパチンコ球Pの直径L2よりも小寸となる程度(L1<L2)に連絡部46を閉鎖する。つまり、連絡部46を閉鎖するとは、パチンコ球が遊技領域7から打球誘導通路45内に戻ることができない状態とすることであり、開閉部310は閉鎖位置において連絡部46を完全に閉鎖しなくてもよい。
また、開閉部310は、閉鎖位置においてその上端が右側の遊技領域7に向けて僅かに傾く略縦姿勢となるとともに、開放位置(図11(a)中2点鎖線位置参照)において内レール42に沿うように傾倒し、その発射球当接面313が外レール43の内側面に対向するようになる。
打球発射装置により発射されたパチンコ球Pは、打球誘導レール117により打球誘導通路45内に進入した後、打球誘導通路45内における外レール43の内側面に沿って上方の遊技領域7に向けて移動する。そして、連絡部46に到達すると、開閉部310の発射球当接面313に衝突し、開閉部310を押し出して開閉部310を強制的に開放し、そのまま外レール43の内側面に沿って移動して遊技領域7内に進入する。
パチンコ球Pにより強制的に開放位置まで揺動された開閉部310は、パチンコ球Pが通過した後、ウエイト部312の自重により逆方向に揺動し、後続のパチンコ球Pが到達する前に閉鎖位置に復帰する。
そして、図11(b)に示されるように、開閉部310を強制的に開放し、該開閉部310を押し出して遊技領域7内に進入したパチンコ球のうち、勢いがなくなったパチンコ球は自重により略鉛直下方に落下し、下方に位置する打球誘導通路45側に向けて逆戻りするパチンコ球は、閉鎖位置に復帰した開閉部310における遊技領域7側に形成された戻り球当接面314に当接することにより、打球誘導通路45内への逆戻りが阻止される。尚、開閉部310を完全に開放することなく、つまり遊技領域7内に進入することなく逆戻りしたパチンコ球は、そのまま打球誘導通路45内を逆流下して、前述したファール球誘導通路118を介して余剰球通路(図示略)に回収される。
また、遊技領域7内に進入した後、勢いがなく打球誘導通路45側に逆戻りしてきたパチンコ球が、開放位置から閉鎖位置まで復帰揺動する開閉部310の上端と外レール43の内側面との間に進入した場合、図12(a)(b)に示されるように、上端面315に当接することなく、戻り球当接面314のうち上端部側に形成された第2の当接面314bに当接することで(図12(b)中の当接点X参照)、遊技領域7側に向けて誘導されるため、復帰揺動する開閉部310が、その上端面315と外レール43の内側面との間でパチンコ球を噛んでしまうことが防止される。
また、図12(b)に示されるように、パチンコ球Pは発射球当接面313との当接により遊技盤6の前面6a側に誘導されていることで、その戻り球と第2の当接面314bとの前後幅方向の当接点Xは、前後幅方向の中央位置よりも僅かに遊技盤6側寄りになることが多い。そしてこの遊技盤6寄りの位置においては、平面視略三角形状の上端面315の左右幅が前側に比べて幅狭に形成されているため、上端面315上にパチンコ球Pが乗り上がりにくく、かつ、第2の当接面314bにより遊技領域7側に誘導されやすいため、外レール43の内側面との間にパチンコ球Pが挟まれにくくなる。
以上説明したように、本発明の実施例としての球戻り防止装置300にあっては、遊技球発射装置から発射され、打球誘導通路45により遊技領域7に向けて誘導されたパチンコ球Pは、開閉部材301の開閉部310における発射球当接面313に当接することで、該開閉部310を開放して遊技領域7内に進入するとともに、遊技領域7内に進入した後には開閉部310が連絡部46を閉鎖するので、遊技領域7に進入したパチンコ球が打球誘導通路45へ戻ることが防止される。
また、発射球当接面313が遊技盤6の表面6a側に傾斜していることで、パチンコ球が遊技盤6の表面6a側に向けて誘導されるばかりか、戻り球当接面314の先端部に第2の当接面314bが形成されていることにより、開閉部310が閉鎖位置に復帰する際に戻り球が該開閉部310の先端と外レール43の内側面との間に進入してきた場合、戻り球は第2の当接面314bにより遊技領域7側に誘導されることで、開閉部310の先端と外レール43との間に挟まりにくいため、遊技領域7へのパチンコ球の打ち出しが安定する。
また、発射球当接面313は、開閉部310の板厚を、遊技盤6の表面6a側から離間するに従い漸次肉厚とすることにより構成されていることで、反対側の戻り球当接面314に影響を与えることなく、発射球当接面313を遊技盤6の表面6a側に傾斜して設けることができる。
内レール42は、薄板帯状の金属材からなり、球戻り防止装置300の開閉部材301及び取付支持部302は、炭素繊維が含有された合成樹脂材からなり、また、揺動軸317は金属棒からなる、すなわち、球戻り防止装置300導電性部材からなるため、パチンコ球に帯電している電荷が、開閉部310との当接により、開閉部材301から揺動軸317を介して取付支持部302に導電される。よって、開閉部材301に蓄積された電荷を内レール42に逃がすことができるため、開閉部310に接触するパチンコ球に帯電した静電気を、遊技領域7に進入する前に除去することができるため、パチンコ球の遊技領域7内での流下に電荷が悪影響を及ぼすことを防止できる。
尚、本実施例では、開閉部材301及び取付支持部302を炭素繊維が含有された合成樹脂材により構成することで、開閉部材301及び取付支持部302全体に導電性を持たせていたが、例えばパチンコ球と当接しうる発射球当接面313や戻り球当接面314に金属片等の導電性部材が露呈するように埋設し、該導電性部材をアース線等により内レール42に接続するようにしてもよい。