JP6400333B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえばパチンコ機等といった遊技機に関するものである。
従来、遊技機の一例であるパチンコ機では、釣り糸やピアノ線等の糸状部材を付着させた遊技球を遊技領域内へ打ち込み、遊技領域内で遊技球を操って意図的に球詰まり生じさせたり、チューリップ式電動役物等へ不正に入賞させるという不正行為が問題となっている。そこで、そのような不正行為を防止すべく、たとえば特許文献1に記載されているように、供給皿内の遊技球を発射装置へ送るための整流路に、遊技球に付着された糸状部材を切断するための糸切り部材を設けるといった構成が考案されている。
特開2012−34853号公報
近年、2個の遊技球を糸状部材で繋いだ不正行為が問題となっている。この不正行為は、まず一方の遊技球を発射装置へ送り込み、遊技領域へ届かない弱い力で発射させて貯留皿等へ返却させる。次に返却された遊技球に付着されている糸状部材をたぐり、他方の遊技球を発射装置へ送り込む。最後に、他方の遊技球を遊技領域内へ打ち込み、遊技領域内で球詰まりを発生させるといった手順で行われる。そして、そのような不正行為が行われるにあたり、従来の箇所に糸切り部材を設けていたのでは、一方の遊技球を遊技領域へ届かない弱い力で発射させた際に糸状部材が切断されにくいという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、遊技球同士を糸状部材で繋ぐ上記不正行為についても防止することができる遊技機を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、遊技機本体を支持する機枠の前面側に、前扉が開閉可能に備えられており、前記前扉の前面側に、払出手段により払い出された遊技球を貯留する供給機構が設けられている一方、前記前扉の後面側に、遊技球を発射するための発射手段が設けられており、さらに、前記供給機構から前記発射手段にわたり、前記供給機構が貯留する遊技球を前記発射手段へ送るための整流路が設けられた遊技機であって、前記前扉に、前記前扉の前面側から後面側へ遊技球を送るための貫通孔を設ける一方、前記整流路として、前記前扉の前面側で前記貫通孔に連通し、前記貫通孔へ向かい左右何れか一方側へ遊技球を流下させる第1流路部と、前記前扉の後面側で前記貫通孔に連通し、前記貫通孔を介して流入した遊技球を後方へ流下させる第2流路部と、前記第2流路部の下流端に連通し、前記第1流路部における遊技球の流下方向の逆側へ遊技球を流下させる第3流路部とを設けるとともに、前記第2流路部における前記第1流路部及び前記第3流路部が延びる側の側面に、当該側面の上流端から下流側へ延びるスリットを開設し、前記スリットの外側と、前記第3流路部の下流端に形成され、遊技球を前記発射手段へ送り出すための送出口の近傍で、且つ、前記発射手段に送り込まれた遊技球の発射方向で下流側となる位置とに、前記遊技球に糸状部材が付着されていると、当該遊技球が前記発射手段から発射された際に、前記糸状部材と自身との摩擦により前記糸状部材を切断する糸切り手段を夫々設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記送出口の近傍に設けられた前記糸切り手段が強磁性体からなるとともに、前記送出口よりも上方に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、第2流路部における第1流路部及び第3流路部が延びる側の側面に、当該側面の上流端から下流側へ延びるスリットを開設し、そのスリットの外側と、第3流路部の下流端に形成され、遊技球を発射手段へ送り出すための送出口の近傍で、且つ、発射手段に送り込まれた遊技球の発射方向で下流側となる位置との2箇所に糸切り手段を設けているため、糸切り手段を1つしか設けていないものと比較して遊技球に付着された糸状部材を確実に切断することができる。
また、特に送出口の近傍に糸切り手段を設けているため、遊技球を遊技領域へ届かない弱い力で発射させた場合であっても、糸状部材を切断することができる。したがって、遊技球同士を糸状部材で繋いで行う不正行為についても効果的に防止することができる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、送出口の近傍に設けられた糸切り手段が、強磁性体からなるため、磁石球を用いるような不正行為についても、発射手段へ送り込まれようとする磁石球を、糸切り手段に吸着させることができ、確実に防止することができる。加えて、送出口の上方に糸切り手段を設けているため、磁石球を、上方へ浮き上がらせた状態で吸着させることができる。したがって、磁石球に対して整流路の上流側から遊技球の圧がかかりにくく、たとえ整流路に遊技球が流し込まれたとしても、磁石球を吸着状態で保持することができ、磁石球を用いた不正行為を一層確実に防止することができる。
パチンコ機を前面側から示した説明図である。 遊技盤を前面側から示した説明図である。 パチンコ機を後面側から示した説明図である。 前扉を後面側から示した説明図である。 図4中のA−A線断面を示した説明図である。 整流路内を流れる遊技球を示した説明図である。 支持体を示した説明図であり、(a)は上側から、(b)は前側から、(c)は右側から夫々示している。 支持体の前側からの斜視説明図である。 図7中のB−B線断面を示した説明図である。 図7中のC−C線断面を示した説明図である。 図7中のD−D線断面を示した説明図である。 図7中のE−E線断面を示した説明図である。 第1糸切り部材を示した説明図である。 発射装置が取り外されたフレーム部材の下辺部を後面側から示した説明図である。 第2糸切り部材を示した説明図である。 発射装置及び第2糸切り部材が取り外されたフレーム部材の下辺部を後面側から示した説明図である。 図14中のF−F線断面を示した説明図である。 第2糸切り部材により磁石球による不正行為が阻止される様子を示した説明図である。
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。また、図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。さらに、図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられている。さらに、演出用表示部6を囲むように電動役物70等を備えたセンター部材26が遊技盤2に設置されており、該センター部材26の下方には、遊技球が入賞可能な始動入賞口19が設けられている。また、センター部材26の左方には、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、左打ち用スペースSLを流下する遊技球に限り、始動入賞口19へ入賞し得るようになっている。
一方、センター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。また、該右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20と、動作可能な舌片(図示せず)を備えた始動入賞役物17とが設けられている。該始動入賞役物17は、舌片の作動に伴い、内蔵された入賞口(図示せず)への遊技球の入賞を可能とする開状態と、入賞口への遊技球の入賞を不可能とする閉状態との何れか一方の状態へ変化するようになっている。さらに、右打ち用スペースSRの下部(センター部材26の下方で、始動入賞口19の右側となる位置)には、開閉可能な扉部材を有する2つの大入賞アタッカー18a、18bが設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることにより、ゲート部材20を通過させたり、開状態にある始動入賞役物17へ入賞させたり、さらには開成した大入賞アタッカー18a、18bへ効率良く入賞させることができる。なお、センター部材26の左右を問わず、遊技領域16の略全面には多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、特別図柄を表示するための7セグメント表示器からなる特別図柄表示部(図示せず)が設けられている。
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10(図4に示す)へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部及び下部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の上部や左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させて始動入賞口19への遊技球の入賞を狙う。そして、遊技球の入賞検知に起因して実行される所謂大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7、7」と確定表示させる)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、大入賞アタッカー18a、18bの扉部材を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は、右打ち用スペースSRを流下させる「右打ち」を行い、断続的に開成する大入賞アタッカー18a、18bへの遊技球の入賞を狙う。
また、大当たり状態終了後、特別図柄表示部での図柄の確定表示回数が所定回数に達するまで、始動入賞役物17が頻繁に開状態となる所謂時短状態が生起する。そこで、遊技者は、当該時短状態が終了するまで「右打ち」を継続して、ゲート部材20への遊技球の通過、及び始動入賞役物17への遊技球の入賞を狙う。そして、図柄の確定表示回数が所定回数に達して時短状態が終了すると、「右打ち」を止めて左打ち用スペースSLを流下させる上記遊技へと戻る。
(不正行為防止機構についての説明)
ここで、本発明の要部となる不正行為防止機構について、図4〜図18にもとづき詳細に説明する。
図4は、前扉4を後面側から示した説明図である。図5は、図4中のA−A線断面を示した説明図である。図6は、整流路内を流れる遊技球を示した説明図である。図7は、支持体41を示した説明図であり、(a)は上側から、(b)は前側から、(c)は右側から夫々示している。図8は、支持体41の前側からの斜視説明図である。図9は、図7中のB−B線断面を示した説明図である。図10は、図7中のC−C線断面を示した説明図である。図11は、図7中のD−D線断面を示した説明図である。図12は、図7中のE−E線断面を示した説明図である。図13は、第1糸切り部材43を示した説明図である。図14は、発射装置10が取り外されたフレーム部材31の下辺部を後面側から示した説明図である。図15は、第2糸切り部材51を示した説明図である。図16は、発射装置10及び第2糸切り部材51が取り外されたフレーム部材31の下辺部を後面側から示した説明図である。図17は、図14中のF−F線断面を示した説明図である。図18は、第2糸切り部材51により磁石球Pによる不正行為が阻止される様子を示した説明図である。
前扉4は、略四角形枠状に一体成形された合成樹脂製のフレーム部材31を有しており、当該フレーム部材31の下辺部の前面側には、供給皿7を有する供給皿ユニット32、スピーカ14を有するスピーカユニット33、33、及び押しボタン25を有するボタンユニット34等が設置されている。また、フレーム部材31の下辺部の後面側には、発射装置10等が設置されている。そして、供給皿ユニット32から発射装置10にかけて、供給皿7内の遊技球を発射装置10へ供給するための整流路が形成されている。
整流路は、フレーム部材31の前面側を右側へ向かって下降傾斜する第1流路36と、フレーム部材31の後面側を左側へ向かって下降傾斜する第3流路38と、第1流路36の下流端と第3流路38の上流端とを連通させる第2流路37とを備えてなる。第1流路36は、供給皿7から右側へ延びる流路であって、供給皿ユニット32の一部として設けられている。そして、供給皿ユニット32をフレーム部材31の前面側の所定位置に設置することにより、第1流路36は、フレーム部材31の下辺部の前面に沿って延設されることになる。また、フレーム部材31における第1流路36の右端(下流端)の右側に隣接する位置には、遊技球をフレーム部材31の前面側から後面側へと送るための四角孔状の貫通孔39が開設されている。さらに、第1流路36の右端には、流路変更部材40が取り付けられている。該流路変更部材40は、第1流路36や第3流路の素材となる第1の合成樹脂(たとえば、ABS樹脂)よりも強度の高い第2の合成樹脂(たとえば、POM)により形成されてなるものであって、上面視扇状の流路を有しており、第1流路36と貫通孔39とを連通させ、遊技球の流下方向を右方向から後方向へ変更するようになっている。
一方、フレーム部材31の後面側には、貫通孔39から後方へ延びる第2流路37が設けられている。第2流路37は、前後方向へ延びる略四角筒状の糸切り流路部42と、その後端において遊技球の流下方向を後方向から左方向へ変更する流路変更部とを有している。また、糸切り流路部42の下流端から発射装置10にかけて、全体としては左側へ延びる第3流路38が設けられている。そして、糸切り流路部42の左側に第1糸切り部材43が取り付けられており、該第1糸切り部材43と糸切り流路部42の左壁とにより、第1の不正行為防止機構が構成されている。なお、41は、フレーム部材31の後面に設置可能な支持体であり、該支持体41をフレーム部材31の後面側の所定位置に設置することにより、糸切り流路部42は、貫通孔39から後方へ延びるように設けられることになる。また、支持体41には、第1糸切り部材43を保持するための保持部44等も設けられている。
第1の不正行為防止機構に関し、まず糸切り流路部42の左壁から説明すると、左壁は、その前端面が貫通孔39内に露出するように設けられている。そして、該左壁に、糸状部材を引き込むためのスリット45が設けられている。スリット45は、左壁を上壁46と下壁47とに分断するように、左壁の前端から後端にかけて(第2流路37の上流端から下流側へ)一連に延設されている。また、スリット45の上下幅(すなわち、上壁46の下縁と下壁47の上縁との距離)は、左壁の前端箇所において最も広くなっているとともに、後側へ向かうにつれ、主に下壁47の上縁が上側へ延びて上壁46の下縁に近接する態様で徐々に狭くなっている。さらに、下壁47は、鉛直方向から左側へ傾斜する傾斜壁としており、下壁47の流路内側の面を、上方へ向かうにつれて整流路外側へ傾斜する傾斜面としている。なお、上壁46は、略鉛直方向へ延びる垂直壁としており、上壁46の下縁と下壁47の上縁とは鉛直方向で略対向するようになっている。
次に第1糸切り部材43について説明すると、第1糸切り部材43は、金属製の薄板部材を略L字状に折り曲げて前面及び上面としたものであり、第1糸切り部材43の上面には、上面と略平行に右側へ突出する第1舌片48と、第1舌片48の後部を第1舌片48から切り離して下方へ折り曲げる格好で形成された第2舌片49とが設けられている。そして、当該第1糸切り部材43は、第1舌片48の先端が上壁46の下縁に、第2舌片49の先端が、スリット45の上下幅が最も狭くなる位置における下壁49の上縁に夫々当接するような姿勢で、糸切り流路部42の左側(スリット45の整流路外側)に取り付けられている。
上記第1の不正行為防止機構は、主に糸状部材を付着させた遊技球を遊技領域16へ打ち込み、遊技領域16内で操って始動入賞口19等の各種入賞口へ不正に入賞させたり、球詰まりを発生させたりするといった不正行為の防止に有効に作用する。
そこで、この第1の不正行為防止機構の作用について説明すると、供給皿7内の遊技球は、第1流路36を右側へ流下し、第2流路37で流下方向をかえて後側へ流下した後、その下流端で流下方向を左側へ変更し、第3流路38を左側へ流下して発射装置10へ至る。そして、当然ながら糸状部材を付着させた不正な遊技球も当然同様の経路をたどる。したがって、不正な遊技球が発射装置10へ至るにあたり、第1流路36〜第3流路38にわたり延びる糸状部材は、左側へ引っ張られることになる。そのため、第1流路36から第2流路37にかけて折れ曲がる糸状部材は、糸切り流路部42の左壁の前端側からスリット45を介して整流路外へ引き出され、その一部が糸切り部材43の第1舌片48と第2舌片49との交差部に接触する。そして、この状態において発射装置10が作動し不正な遊技球が遊技領域16へ向けて発射されると、糸状部材は、第1舌片48と第2舌片49との交差部との摩擦により、当該接触した箇所で切断される。
一方、第3流路38は、フレーム部材31の後面側に組み付けられるケース体50の内部等に設けられており、ケース体50の後面で第3流路38の下流端にあたる位置には、整流路内を流下してきた遊技球を、ケース体50の後方に設置される発射装置10へ送り出すための送出口52が設けられている。そして、ケース体50の後面で送出口52の上方となる位置に、第2糸切り部材51が取り付けられており、該第2糸切り部材51による第2の不正行為防止機構が形成されている。
第2糸切り部材51は、薄い鉄板からなる本体53と、本体53の一部を後方へ切り起こしてなる舌片54とを有する。そして、本体53と舌片54との交差部が、四角形状に開設された送出口52の左上隅部(送出口52の近傍、且つ、上方で、更に発射装置10に送り込まれた遊技球の発射方向で下流側となる位置)に位置するような姿勢で、第2糸切り部材51はケース体50にネジ止めされている。なお、55は、ケース体50の後面に設けられたネジ止め部56へ第2糸切り部材51をネジ止めするためのネジ孔である。
上記第2の不正行為防止機構は、主に2個の遊技球を糸状部材で繋いで行われる上述の不正行為の防止に有効に作用する。また、そのような不正行為においては、一方の遊技球を、磁石を遊技球の如く削って作成した磁石球とし、最初に他方の遊技球を遊技領域16へ到達しない弱い力で発射して供給皿7や貯留皿8へ返却させた後、糸状部材をたぐって磁石球を発射装置10にセットし、磁石球を遊技領域16へ打ち込み、より確実に球詰まりを発生させるといった手法がとられることが多い。そして、第2の不正行為防止機構は、特に磁石球を用いた不正行為に有効に作用する。
そこで、第2の不正行為防止機構の作用について説明すると、遊技球を返却させるべく弱い力で遊技球を発射させた際、第1糸切り部材43の取付位置では、発射装置10との距離が離れているため、糸状部材に切断し得るほどの強い負荷がかからないことがある。しかしながら、第2糸切り部材51は、発射装置10との距離が近い送出口52の近傍に取り付けられている。したがって、弱い力で遊技球が発射されたとしても、糸状部材が本体53と舌片54との交差部に入り込みさえすれば、本体53と舌片54との交差部との摩擦により糸状部材は切断される。
また、糸状部材が本体53と舌片54との交差部に入り込まなかった等により、糸状部材が切断されなかったとしても、糸状部材をたぐって磁石球Pを発射装置10へ送り込む際、送出口52から送出された磁石球Pが、図18に示す如く鉄製の第2糸切り部材51に吸着してしまう。したがって、磁石球Pの発射装置10への送り込みを阻止することができ、糸状部材を切断はできないものの、結果として磁石球Pと遊技球とを糸状部材で繋いで行う不正行為を防止することができる。
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、フレーム部材31の前面側では右側へ、フレーム部材31の後面側では左側へ夫々遊技球を送る整流路において、貫通孔39を介してフレーム部材31の前面側から後面側へ遊技球を送る第2流路37の左壁に、第2流路37の上流端から下流側へ延びるスリット45を開設するとともに、第2流路37の左側に、スリット45から整流路外へ引き出された糸状部材と接触して糸状部材を切断するための第1糸切り部材43を取り付けている。したがって、糸状部材が付着された遊技球を遊技領域16内へ打ち込む際、糸状部材と第1糸切り部材43とを確実に干渉させることができ、糸状部材を確実に切断することができる。
また、スリット45の上下幅を、左壁の前端箇所において最も広くするとともに、後側へ向かうにつれ徐々に狭くなるようにしている。したがって、糸状部材がより確実にスリット45内へ入り込むようになっているとともに、スリット45内へ入り込んだ糸状部材をより確実に第1糸切り部材43に干渉させることができる。
さらに、スリット45の下方に位置する下壁47の流路内側の面を、上方へ向かうにつれて整流路外側へ傾斜する傾斜面としているため、糸状部材を一層スムーズにスリット45側へ導くことができ、ひいては一層確実に切断することができる。
一方、整流路の下流端に設けられた送出口52の近傍で、且つ、発射装置10に送り込まれた遊技球の発射方向で下流側となる位置に、鉄製の第2糸切り部材51を取り付けているため、糸状部材が付着された遊技球が弱い力で発射されたとしても、第2糸切り部材51と糸状部材とが干渉すれば、糸状部材を切断することができる。したがって、2個の遊技球を糸状部材で繋いで行われる不正行為についても防止することができる。
また、磁石球Pを用いるような不正行為についても、発射装置10へ送り込まれようとする磁石球Pを、第2糸切り部材51に吸着させることができ、確実に防止することができる。特に、送出口52の上方に第2糸切り部材51を取り付けたことで、磁石球Pは、上方へ浮き上がった状態で第2糸切り部材51に吸着することになる。そのため、磁石球Pに対して整流路の上流側から遊技球の圧がかかりにくい。したがって、整流路に遊技球が流し込まれたとしても、磁石球Pを吸着状態で保持することができ、磁石球Pを用いた不正行為を一層確実に防止することができる。
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、整流路や不正行為防止機構に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
たとえば、供給皿から発射装置までの遊技球の流下態様(つまり、整流路の配設態様)をどのようにするかについては適宜変更可能であり、フレーム機構の前面側で左側へ下降傾斜するような整流路を設けてもよいし、フレーム機構の前面側において左右方向で下降傾斜させる整流路を設けるにあたり、上面視で前後に傾くような整流路としたり、上面視で前後に湾曲するような整流路としても何ら問題はない。
また、第1の糸切り手段を整流路のどちら側に設けるかについても、整流路の形態に応じて適宜変更可能であるし、スリットの上流端から下流側への長さをどの程度とするかや、スリット上下幅等についても言うまでもなく変更設計可能である。さらに、スリット等を設けず、第1糸切り手段を第2流路部の側面に直接取り付けるといった構成を採用してもよい。
さらにまた、上記実施形態では、流路変更部材を第1流路に対して着脱自在としているが、第1流路と一体的な流路変更部を設けるといった構成を採用することも可能である。
またさらに、上記実施形態では、前扉のフレーム機構を、略四角形枠状に一体成形された合成樹脂製のフレーム部材としているが、複数の部材を組み付けたり、一部金属製の部材を組み付けたりしてフレーム機構を構成することは当然可能である。
また、第2の糸切り手段の素材や形状、取付位置等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能(たとえば、舌片の位置の違いやその位置の違いに伴う取付位置及び姿勢の違い等)である。つまり、強磁性体ではなく他の素材(たとえば合成樹脂)からなる糸切り手段を第2の糸切り手段として採用してもよいし、送出口よりも上方でない位置に第2の糸切り手段を設けてもよい。
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、前扉、払出手段、供給機構、発射手段、整流路、第1流路部〜第3流路部、糸切り手段等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
1・・パチンコ機(遊技機)、4・・前扉、7・・供給皿(供給機構)、10・・発射装置(発射手段)、31・・フレーム部材(フレーム機構)、36・・第1流路(第1流路部)、37・・第2流路(第2流路部)、38・・第3流路(第3流路部)、39・・貫通孔、40・・流路変更部材(第1流路部)、41・・支持体、42・・糸切り流路部(第2流路部)、43・・第1糸切り部材(第1の糸切り手段)、45・・スリット、46・・上壁、47・・下壁、48・・第1舌片、49・・第2舌片、50・・ケース体、51・・第2糸切り部材(第2の糸切り手段)、52・・送出口、53・・本体、54・・舌片。

Claims (2)

  1. 遊技機本体を支持する機枠の前面側に、前扉が開閉可能に備えられており、
    前記前扉の前面側に、払出手段により払い出された遊技球を貯留する供給機構が設けられている一方、前記前扉の後面側に、遊技球を発射するための発射手段が設けられており、さらに、前記供給機構から前記発射手段にわたり、前記供給機構が貯留する遊技球を前記発射手段へ送るための整流路が設けられた遊技機であって、
    前記前扉に、前記前扉の前面側から後面側へ遊技球を送るための貫通孔を設ける一方、
    前記整流路として、前記前扉の前面側で前記貫通孔に連通し、前記貫通孔へ向かい左右何れか一方側へ遊技球を流下させる第1流路部と、前記前扉の後面側で前記貫通孔に連通し、前記貫通孔を介して流入した遊技球を後方へ流下させる第2流路部と、前記第2流路部の下流端に連通し、前記第1流路部における遊技球の流下方向の逆側へ遊技球を流下させる第3流路部とを設けるとともに、前記第2流路部における前記第1流路部及び前記第3流路部が延びる側の側面に、当該側面の上流端から下流側へ延びるスリットを開設し、
    前記スリットの外側と、前記第3流路部の下流端に形成され、遊技球を前記発射手段へ送り出すための送出口の近傍で、且つ、前記発射手段に送り込まれた遊技球の発射方向で下流側となる位置とに、前記遊技球に糸状部材が付着されていると、当該遊技球が前記発射手段から発射された際に、前記糸状部材と自身との摩擦により前記糸状部材を切断する糸切り手段を夫々設けたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記送出口の近傍に設けられた前記糸切り手段が強磁性体からなるとともに、前記送出口よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
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