まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠(図示略)と、外枠(図示略)の左側辺に開閉可能に取り付けられた遊技枠(図示略)と、該遊技枠の左側辺上部に開閉可能に取り付けられたガラス扉枠102と、遊技枠の左側辺下部に開閉可能に取り付けられた下扉枠103と、から主に構成されている。
下扉枠103の上部前面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下方位置には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
また、ガラス扉枠102の背面側には、遊技盤6が遊技枠101に対して着脱可能に取り付けられている。遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された所定板厚を有するベニヤ板からなり、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9や演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)が一体的に組み付けられている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(飾り図柄)を変動表示する複数の変動表示部を含む演出表示装置(演出図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
また、遊技盤6における演出表示装置9の前面9cに対応する開口周囲には、遊技球が転動可能なステージが設けられた環状のステージ飾り枠11が設けられている。遊技盤6は、前面9cに対し所定の隙間を隔てて前方に配設されており、遊技盤6と前面9cとの間における前面9cの周縁には演出ユニット(図示略)が設けられ、遊技状態や演出の実行に応じて可動するようになっている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(演出図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
遊技領域7における演出表示装置9の中央下方位置には、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを有し、遊技領域7を流下する遊技球を第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとの何れかに向けて振り分けるための振分装置300が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、遊技盤6の背面に設けられた第1始動口スイッチ14aによって検出される。同様に、第2始動入賞口13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、遊技盤6の背面に設けられた第2始動口スイッチ14bによって検出される。これら第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bは、所定の大きさとされた流入口を有することによって常に一定の開放状態に保たれている。
また、第2始動入賞口13bの右側には、可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって後述する突出状態(第1状態)となることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が突出状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が退避状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が退避状態(第2状態)になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
可変入賞球装置15が突出状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、振分装置300の周辺で釘を密に配置したり、振分装置300の周辺での釘配列を、遊技球を振分装置300の流入口330に導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aよりも高くするようにしてもよい。
以下、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示領域には、保留記憶表示部9aが設けられている。保留記憶表示部9aでは、変動表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、変動表示の保留(変動表示の権利)は、遊技領域7内に設けられた第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bに遊技球が進入(始動入賞)したことに基づき、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示を実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームを開始するための開始条件は成立していないときに発生する。
一例として、保留記憶表示部9aには、始動入賞の発生に基づき先に始動条件が成立した可変表示ゲームから順に左から右へと、表示色が変更される複数の表示部位が設けられている。そして、第1始動入賞口13aに遊技球が進入したことに基づき第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームの始動条件(第1始動条件)が成立したときには、通常非表示(透過色)となっている表示部位のうちの1つ(例えば非表示となっている表示部位のうち左端の表示部位)を第1表示態様(例えば、青色(図1では白色))に変化させ、第2始動入賞口13bに遊技球が進入したことに基づき第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立したときには、通常非表示(透過色)となっている表示部位のうちの1つ(例えば非表示となっている表示部位のうち左端の表示部位)を第1表示態様とは異なる第2表示態様(例えば、赤色(図1では黒色))に変化させる。尚、保留記憶表示部9aでは、特図保留記憶数を示す数字を表示することなどにより、特図保留記憶数を遊技者等が認識できるようにしてもよい。保留記憶表示部9aとともに、あるいは保留記憶表示部9aに代えて、特図保留記憶数を表示する表示器を設けるようにしてもよい。例えば、特図保留表示器は、第1始動入賞口13aに進入した有効始動入賞球数としての第1保留記憶数と、第2始動入賞口13bに進入した有効始動入賞球数としての第2保留記憶数と、の合計値である合計保留記憶数を特定可能に表示する。特図保留表示器は、例えば合計保留記憶数における上限値(例えば「8」)に対応した個数(例えば8個)のLEDを含んで構成されている。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ出退動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aに対してのみ出退動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよいし、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても出退動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の右側方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
遊技領域7の下部には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a,30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ14bで検出された場合は、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の遊技盤面6aを落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて変動表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の変動表示において、変動表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に変動表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における後述する可動板400(誘導部材)の出退制御を行う出退制御時間(突出制御時間)を通常状態のときよりも長くする制御、その出退回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。尚、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも突出状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
パチンコ遊技機1の背面には、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(図2参照)。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、第3始動口スイッチ14c、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドに基づいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU120から入力されたデータに基づいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
尚、本実施例では、特別図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用CPU120に通知するために、変動を開始するときに例えば1つの変動パターン指定コマンドを送信しているが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用CPU120に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、CPU56は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用CPU120は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。
尚、CPU56の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用CPU120の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信するようにしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
次に、図3〜図11に基づいて、振分装置300の詳細な構造に関して説明する。図3は、振分装置を示す斜視図である。図4は、振分装置を示す六面図である。図5は、振分装置の構成を示す分解斜視図である。図6は、図4のA−A断面図である。図7は、図4のB−B断面図である。図8は、(A)は図7のC−C断面図、(B)は突出状態を示す断面図である。図9は、(A)は遊技球が第1始動入賞口側に誘導されるときの流下態様の一例を示す図、(B)は(A)のD−D断面図である。図10は、(A)は遊技球が第2始動入賞口に誘導されるときの流下態様の一例を示す図、(B)は(A)のE−E断面図である。図11は、(A)は遊技球が第2始動入賞口に誘導されるときの流下態様の一例を示す図、(B)は(A)のF−F断面図、(C)は(A)のG−G断面図である。尚、以下の説明においては、振分装置300について、パチンコ遊技機1を正面から見た場合を基準として、上下、左右、前後方向を示すものとする。
図3〜図6に示すように、振分装置300は、遊技領域7におけるステージ飾り枠11の下方位置に、遊技盤6の前面である遊技盤面6aにネジN1(図5参照)により取り付けられる板状のベース部材301と、該ベース部材301の前面側に対向して配設されネジN2(図5参照)によりベース部材301に取り付けられるカバー部材302と、ベース部材301に対し回動可能に取り付けられる振分部材304と、から主に構成されるとともに、ベース部材301の右側には、可変入賞球装置15が一体的に配設されている。
ベース部材301を遊技盤面6aに取り付けた状態において、該ベース部材301の前面及びカバー部材302が遊技盤面6aの前面とガラス扉枠102の透視窓102a(図7参照)に形成される遊技領域7に配置され、該遊技領域7を流下する遊技球が、カバー部材302の上部に形成される流入口330から流入可能となる。
振分装置300におけるカバー部材302の左側面下部位置には、遊技球が流出可能な流出口332Lが形成され、右側面下部位置には、遊技球が流出可能な流出口332Rが形成されているとともに、下面中央位置には、遊技球が流出可能な下流出口333が形成されている。また、ベース部材301の背面側には、遊技球が流出可能な裏流出口334L,334Rが下面左右側に形成されている。また、背面上部には、ソレノイド16及び後述するリンク機構402が配設されている。
ベース部材301は、合成樹脂材により形成され、前面における中央上部位置には正面視略鍵穴状の凹部310が形成されており、この凹部310内には振分部材304の後部及びカバー部材302の一部が収容されるようになっている。凹部310の背面板310aには軸受部311が形成されているとともに、背面板310aの背面における軸受部311の直上位置には、筒状のボス(図示略)が突設されており、ボス内には永久磁石314が収容されている。
ベース部材301の前面における凹部310の下方左側には、遊技球が通過可能な大きさを有する第1始動入賞口13aが形成されているとともに、凹部310の下方右側には、遊技球が通過可能な大きさを有する第2始動入賞口13bが形成されている。
また、ベース部材301の前面における第2始動入賞口13bに右側には、スリット状の長孔401が形成されており、該長孔401内には、ソレノイド16によって駆動する可動板400が挿入されている。長孔401は、第2始動入賞口13bの右上角部近傍位置から右側に向けて上方に傾斜するように形成されている。
図7及び図8に示すように、可変入賞球装置15は、遊技領域7を流下する遊技球を流入口330に流入させることなく第2始動入賞口13bに向けて誘導する可動板400と、該可動板400を、突出状態(第1状態)において遊技盤面6aから遊技領域7側に突出する突出位置(図7中1点鎖線位置、図8(B)で示す位置)と、退避状態(第2状態)において該遊技領域7から遊技盤6側に退避する退避位置(図7中実線位置、図8(A)で示す位置)と、の間で前後方向にスライド移動させる駆動手段としてのソレノイド16及びリンク機構402と、を有している。
具体的に説明すると、ソレノイド16は、ベース部材301の背面上部に、プランジャ16aを右側に突出可能に固設されている。プランジャ16aには付勢バネ16bが環装されていることで、ソレノイド16が非励磁状態(オフ状態)であるときには付勢バネ16bの付勢力によりプランジャ16aが本体に対し突出され、ソレノイド16が励磁状態(オン状態)であるときには付勢バネ16bの付勢力に抗してプランジャ16aが本体内に退避するようになっている。
プランジャ16aの先端には、前後方向を向く連結長孔411が下面に形成された連結部材410が取り付けられている。リンク機構402は、ベース部材301の背面側所定箇所に設けられた上下方向を向く回動軸412を中心として水平回動自在に設けられたリンク部材413を有する。リンク部材413は、前後方向を向く短寸の第1アーム413aと左右方向を向く長寸の第2アーム413bとにより平面視略L字形に構成され、第1アーム413aと第2アーム413bとの連接部に設けられた回動軸412に回動可能に軸支されている。第1アーム413aの先端には連結軸414が上方に向けて突設され、連結長孔411内に挿入されている。また、第2アーム413bの先端には連結長孔415が長手方向に向けて形成されている。
可動板400は、平面視略横長長方形状をなす所定厚みを有する合成樹脂板にて構成され、後辺からは連結アーム416が背面側に向けて延設されている。連結アーム416の後端には上方に突出する連結軸417が突設され、連結長孔415内に挿入されている。これにより、ソレノイド16のプランジャ16aと可動板400とが、リンク機構402を介して連結されている。
具体的には、図8(A)に示すように、ソレノイド16が非励磁状態(オフ状態)になると、付勢バネ16bの付勢力によりプランジャ16aが本体に対し突出されることで、回動軸412を中心としてリンク部材413が平面視反時計回りに回動し、これにより連結アーム416を介して可動板400が後側に移動して退避位置に位置する。退避位置において可動板400は前辺が長孔401の開口よりも後側に位置するように収容される。また、図8(B)に示すように、ソレノイド16が励磁状態(オン状態)になると、付勢バネ16bの付勢力に抗してプランジャ16aが本体内に退避することで、回動軸412を中心としてリンク部材413が平面視時計回りに回動し、これにより連結アーム416を介して可動板400が前側に移動して突出位置に位置する。
このように可動板400は、ソレノイド16及びリンク機構402によって退避位置と突出位置との間で前後方向に往復移動可能とされており、突出位置において、遊技盤面6aに対し略直交するように突出し、上方から落下してきた遊技球を受けることができる。また、可動板400は、右側に向けて上方に傾斜する傾斜姿勢を保持したまま前後方向に移動するため、突出位置において、遊技領域7における長孔401の上方から流下してきた遊技球、つまり、流入口330内に流入することなく側壁321Rの右側を流下してきた遊技球を、右側から左側に向けて誘導する。可動板400にて右側から左側に向けて流下された遊技球は、流出口332Rに誘導される。
図5及び図6に示すように、カバー部材302は、正面視略円形状に形成される透視板320と、透視板320の背面左右上部に突設される左右の側壁321L,321Rと、これら左右の側壁321L,321Rの中間であり振分部材304の下方位置に突設される分岐壁322と、分岐壁322の左右下方位置に突設される底壁323L,323Rと、を有している。
これら側壁321L,321R、分岐壁322、底壁323L,323Rの前後幅は遊技球の直径よりも若干大寸に形成され、透視板320とベース部材301の前面との間に遊技球が流下(通過)可能な隙間が形成されるようになっているとともに、これら側壁321L,321R、分岐壁322、底壁323L,323R及び透視板320は透光性を有する合成樹脂材にて形成され、ベース部材301との間を流下する遊技球を前側(遊技者側)から透視可能に形成されている。
側壁321L,321Rの上端辺間は遊技球が通過可能な隙間を隔てて配置されており、透視板320、ベース部材301、側壁321L,321Rの上端辺により平面視四角形状の流入口330が形成される。また、側壁321L,321Rの内面である通路壁面321aは、正面視略ハの字形に形成される。
分岐壁322は、流入口330の直下に配置され、上面は、左右方向の中央位置から左右側にかけて下方に傾斜する傾斜面340L,340Rが形成されている。傾斜面340L,340Rは、前部が流入口330から流入した遊技球を左右に振り分ける誘導面として機能するとともに、後部が後述する振分部材304の回動範囲を規制する回動規制部としても機能する。
底壁323L,323Rは、第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bの開口下辺及び左右側辺に沿うように上向き略コ字形に配置され、底壁323L,323Rの外側壁323aと左右の側壁321L,321Rの下端との間及び底壁323L,323Rの内側壁323bと分岐壁322の左右端部との間に、それぞれ遊技球の直径よりもやや大寸の隙間が形成されている。また、底壁323L,323Rの内側壁323b間にも遊技球の直径よりもやや大寸の隙間が形成されている。
このように、第1始動入賞口13aと側壁321Lとの間の隙間により流出口332Lが形成され、第2始動入賞口13bと側壁321Rとの間の隙間により流出口332Rが形成される。また、底壁323L,323Rの間に形成される隙間により下流出口333が形成される。尚、底壁323Lの内側壁323bと分岐壁322の左端部との間の隙間により、下流出口333に連通する連通口335Aが形成され、底壁323Rの内側壁323bと分岐壁322の右端部との間の隙間により、下流出口333に連通する連通口335Bが形成される。
底壁323L,323Rの上面には、上方から流下してきた遊技球を背面側にあるベース部材301に形成された第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bに向けて案内する左右一対の案内レール336がそれぞれ立設されている。案内レール336は、互いに遊技球の直径よりも短寸の隙間を隔てて左右に並設された板状部材からなり、透視板320の背面に対して直交する方向に向けて延設されている。案内レール336の上端が遊技球を転動案内する案内部とされており、その前部には、背面側に向けて下方に傾斜するように上下方向に向けて斜め前下側に湾曲するアール状案内部336a(図9(B)、図10(B)参照)が形成されている。また、左右一対の案内レール336の上端面は、互いに他方側の案内レール336に向けて下方に傾斜する傾斜面とされており、遊技球の周面に2点で接して転動案内する。
振分部材304は、正面視略半円形状をなす回動板部370と、遊技球を受ける球受部371と、から構成されている。回動板部370及び球受部371には回動軸372が挿通される挿通孔373が前後方向に向けて形成されている。回動軸372は、挿通孔373に挿通されたときに前後端部が外部に突出され、前端は透視板320の背面に形成された軸受部376に軸支され、後端はベース部材301の軸受部311に軸支される。これにより振分部材304は、ベース部材301とカバー部材302とに前後端が軸支された前後方向を向く回動軸372を中心に回動可能に設けられている。
球受部371は、回動軸372から上方に延びる球受片371aと、回動軸372の下部位置から左右方向に延びる球受片371b,371cと、から正面視略逆T字形をなすように左右対称に形成されており、球受片371a,371bの間と球受片371a,371cの間とにそれぞれ遊技球を受ける球受部が形成されている。また、球受片371bは傾斜面340Lに、球受片371cは傾斜面340Rに当接可能とされている。すなわち、球受部371は、球受片371cが傾斜面340Rに当接して球受片371aが右側に傾き、球受片371aと球受片371bとが正面視略V字形に配置される第1態様(図10(A)参照)と、球受片371bが傾斜面340Lに当接して球受片371aが左側に傾き、球受片371aと球受片371cとが正面視略V字形に配置される第2態様(図9(A)参照)と、の間で往復回動可能に設けられている。
また、図5に示すように、回動板部370の背面上部における球受片371aに対応する位置には筒状のボス374が突設されており、ボス374内には永久磁石375が収容されている。詳しくは、ボス374は、回動軸372を中心に回動板部370が回動されたときに、永久磁石375がベース部材301側の永久磁石314に対応する位置を通過可能な位置に形成されている。そして、これら永久磁石375,314は、互いにS極とS極またはN極とN極とが向き合うように配置されている。これにより、永久磁石375,314に作用する反発力により、振分部材304が第1態様または第2態様のいずれかに維持され、第1態様と第2態様との中間態様(図6に示す態様)に維持されないようになっている。
詳しくは、振分部材304は、球受片371aの背面側における回動軸372から離れた位置に永久磁石375が収容されていることで、球受片371aが左右いずれかに傾くと、永久磁石375の自重により第1態様または第2態様のいずれかに維持される。また、球受片371aは、第1態様において遊技球の自重により該遊技球を左側の球受片371bに誘導可能に傾倒され、第2態様において遊技球の自重により該遊技球を右側の球受片371cに誘導可能に傾倒される(図9及び図10参照)。
そして、振分部材304は、例えば、第1態様から第2態様または第2態様から第1態様に変化(回動)したときに球受片371b,371cが傾斜面340L,340Rと当接して回動が規制されたときに生じる衝撃による反動や、パチンコ遊技機1に生じる振動などの要因で中間態様(図6に示す態様)に戻された場合でも、永久磁石375,314による反発力で振分部材304が左右いずれかに回動させられて球受片371aが傾倒するため、中間態様のまま維持されることで流入口330から流入した遊技球が第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rいずれにも流下されずに球詰まりが生じることが防止される。
また、球受片371aと球受片371b、球受片371aと球受片371cとの間に形成される凹状の球受部は遊技球を1球ずつ受け入れて左右に振り分けるため、後続球を含め2球以上の遊技球を一緒に後述する第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに誘導することはない。つまり、第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに連続して遊技球を誘導することはない。
尚、図9(A)中2点鎖線で示す第1態様において、球受片371aの先端は流入口330の右辺の直下に配置されるとともに、球受片371aの先端と右側の側壁321Rの通路壁面321aとの間は遊技球の直径よりも小寸となっていることで、流入口330から流入した遊技球は球受片371aの先端と右側の側壁321Rの通路壁面321aとの間を通過することなく、左側の球受片371b側に誘導される。また、図10(A)中2点鎖線で示す第2態様において、球受片371aの先端は流入口330の左辺の直下に配置されるとともに、球受片371aの先端と左側の側壁321Lの通路壁面321aとの間は遊技球の直径よりも小寸となっていることで、流入口330から流入した遊技球は球受片371aの先端と左側の側壁321Lの通路壁面321aとの間を通過することなく、右側の球受片371c側に誘導される。
よって、図9(A)に示すように、第1態様において遊技球が流入すると、球受片371aにより左側の球受片371bに向けて誘導される。そして、球受片371bに遊技球が到達すると、球受片371bが遊技球の自重により下方に押されて振分部材304が正面視反時計回りに回転する。このとき、永久磁石314,375の反発力よりも遊技球が球受片371bを押圧する力の方が大きいことで、永久磁石375は永久磁石314との間に作用する反発力を抗して通過され、これにより第1態様から第2態様に切り替わる。
また、図10(A)に示すように、第2態様において遊技球が流入すると、球受片371aにより右側の球受片371cに向けて誘導される。そして、球受片371cに遊技球が到達すると、球受片371cが遊技球の自重により下方に押されて振分部材304が正面視時計回りに回転する。このとき、永久磁石314,375の反発力よりも遊技球が球受片371cを押圧する力の方が大きいことで、永久磁石375は永久磁石314との間に作用する反発力を抗して通過され、これにより第2態様から第1態様に切り替わる。
図9(B)に示すように、第1始動入賞口13aに誘導された遊技球は、該第1始動入賞口13aを通過してベース部材301の背面側に誘導された後に下方に誘導され、第1始動口スイッチ14aにより検出された後に裏流出口334Lから流出される。また、図10(B)に示すように、第2始動入賞口13bに誘導された遊技球は、該第2始動入賞口13bを通過してベース部材301の背面側に誘導された後に下方に誘導され、第2始動口スイッチ14bにより検出された後に裏流出口334Rから流出される。
このように構成された振分装置300は、ベース部材301を遊技盤面6aに取り付けた状態において、該ベース部材301の前面により取り付けられたカバー部材302が遊技盤面6aの前面側に形成される遊技領域7に配置され、該遊技領域7を流下する遊技球が振分装置300の上部に形成され上向きに開口する流入口330から流入可能となる。そして、図8に示すように、流入口330から振分装置300の内部に流入した遊技球は、振分部材304により、第1始動入賞口13aに誘導する第1誘導経路331Lまたは第2始動入賞口13bに誘導する第2誘導経路331Rのいずれかに振り分けられるようになっている。
すなわち、遊技球の誘導経路は、流入口330から下方に向けて形成され、振分部材304において左右の第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rに分岐されることで、正面視略逆Y字形に形成されている(図6中矢印参照)。このように、第1誘導経路331Lは流入口330から流入した遊技球を第1始動入賞口13aに誘導する経路であり、第2誘導経路331Rは流入口330から流入した遊技球を第2始動入賞口13bに誘導する経路であって、それぞれベース部材301、カバー部材302、左右の側壁321L,321R、底壁323L,323Rにより囲まれており、例えば、図6において、分岐部に設けられた振分部材304の左右側から下方の第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bまでそれぞれ延設され、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bの前方位置において背面側に屈曲されている(図9(B)参照)。
尚、第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rは、流出口332L,332Rや連通口335A,335B以外の領域が全て壁面により囲まれた筒状の経路に限定されるものでなく、遊技球を誘導可能に形成されていれば壁面により囲まれた筒状の経路でなくてもよい。
次に、振分装置300における遊技球の流下態様の一例を、図9及び図10に基づいて説明する。
まず、遊技球が第1誘導経路331Lに誘導されるときの流下態様について、図9に基づいて説明すると、振分部材304が第1態様にあるときに流入口330から遊技球が流入し、振分部材304に到達すると、球受片371aにより左側の球受片371bに向けて誘導される。そして、球受片371bに遊技球が到達すると、球受片371bが遊技球の自重により下方に押されて振分部材304が正面視反時計回りに回転する。このとき、永久磁石314,375の反発力よりも遊技球が球受片371bを押圧する力の方が大きいことで、永久磁石375は永久磁石314との間に作用する反発力に抗して通過され、これにより振分部材304は第1態様から第2態様に切り替わる。
振分部材304により第1誘導経路331Lに振り分けられて(誘導されて)下方に流下する遊技球は、案内レール336に到達したところで、アール状案内部336aにより転動案内されることにより、流下しながら背面側に向けてスムーズに方向変更される。そして、案内レール336上を転動したまま第1始動入賞口13aを通過して遊技盤6の背面側に誘導された後、第1始動口スイッチ14aにより検出される。このように、第1誘導経路331Lに振り分けられた遊技球は、下方に流下した後、アール状案内部336aにおいて背面側に向けて約90度方向変換され、ベース部材301に形成された第1始動入賞口13aに誘導される。
ここで、第1誘導経路331Lにおける方向変更部を構成するアール状案内部336aの左右側面には、流出口332L及び連通口335Aが形成されているため、第1誘導経路331Lに振り分けられて下方に流下してきた遊技球は、案内レール336に到達してアール状案内部336aにより背面側に向けて方向変更される際に、案内レール336の左右方向の中央位置に対して遊技球の中心が左右いずれかにずれている場合に、流出口332Lまたは連通口335Aから第1誘導経路331Lの外部に流出することがある(図9(A)中点線矢印参照)。尚、連通口335Aから流出した遊技球は、下流出口333から落下する。このように、第1誘導経路331Lに振り分けられた遊技球は、必ず第1始動入賞口13aに誘導されるわけではなく、遊技球の流下態様によっては、流出口332Lまたは連通口335Aから下流出口333を介して外部に流出することがある。
つまり、流出口332Lや下流出口333に連通する連通口335Aは、下方に向けて流下してきた遊技球の流下方向を、第1始動入賞口13aが形成されている背面側に向けて方向変換するアール状案内部336aの近傍位置に形成されているため、例えば、上記したように、下方に流下しているときや、案内レール336,336上に落下したときの衝撃などにより、遊技球の中心位置が方向変換の際に左右一対の案内レール336,336の中心位置に対して左右側にずれた場合に、流出口332Lや下流出口333に連通する連通口335Aから外部に流出しやすくなる。
次に、遊技球が第2誘導経路331Rに誘導されるときの流下態様について、図10に基づいて説明すると、振分部材304が第2態様にあるときに流入口330から遊技球が流入し、振分部材304に到達すると、球受片371aにより右側の球受片371cに向けて誘導される。そして、球受片371cに遊技球が到達すると、球受片371cが遊技球の自重により下方に押されて振分部材304が正面視時計回りに回転する。このとき、永久磁石314,375の反発力よりも遊技球が球受片371cを押圧する力の方が大きいことで、永久磁石375は永久磁石314との間に作用する反発力に抗して通過され、これにより振分部材304は第2態様から第1態様に切り替わる。
振分部材304により第2誘導経路331Rに振り分けられて(誘導されて)下方に流下する遊技球は、案内レール336に到達したところで、アール状案内部336aにより転動案内されることにより、流下しながら背面側に向けてスムーズに方向変更される。そして、案内レール336上を転動したまま第2始動入賞口13bを通過して遊技盤6の背面側に誘導された後、第2始動口スイッチ14bにより検出される。このように、第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球は、下方に流下した後、アール状案内部336aにおいて背面側に向けて約90度方向変換され、ベース部材301に形成された第2始動入賞口13bに誘導される。
ここで、第2誘導経路331Rにおける方向変更部を構成するアール状案内部336aの左右側面には、流出口332R及び連通口335Bが形成されているため、第2誘導経路331Rに振り分けられて下方に流下してきた遊技球は、案内レール336に到達してアール状案内部336aにより背面側に向けて方向変更される際に、案内レール336の左右方向の中央位置に対して遊技球の中心が左右いずれかにずれている場合に、流出口332Rまたは連通口335Bから第2誘導経路331Rの外部に流出することがある(図10(A)中点線矢印参照)。尚、連通口335Bから流出した遊技球は、下流出口333から落下する。このように、第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球は、必ず第2始動入賞口13bに誘導されるわけではなく、遊技球の流下態様によっては、流出口332Rまたは連通口335Bから下流出口333を介して外部に流出することがある。
つまり、流出口332Rや下流出口333に連通する連通口335Bは、下方に向けて流下してきた遊技球の流下方向を、第2始動入賞口13bが形成されている背面側に向けて方向変換するアール状案内部336aの近傍位置に形成されているため、例えば、上記したように、下方に流下しているときや、案内レール336,336上に落下したときの衝撃などにより、遊技球の中心位置が方向変換の際に左右一対の案内レール336,336の中心位置に対して左右側にずれた場合に、流出口332Rや下流出口333に連通する連通口335Bから外部に流出しやすくなる。
このように振分装置300は、遊技領域7を流下する遊技球が流入口330に流入し、該流入口330から流入した遊技球が振分部材304により第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに誘導されたときに、必ず第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに導かれるわけでなく、流下方向が方向変更部にて変更される際に流出口332L,332Rや下流出口333に連通する連通口335A,335Bから流出することもあるので、遊技の興趣が向上する。つまり、第1誘導経路331Lは、流入口330から流入した遊技球が第1始動入賞口13aを通過しやすい流路であり、第2誘導経路331Rは、流入口330から流入した遊技球が第2始動入賞口13bを通過しやすい流路である。
また、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bは、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの背面側にある遊技盤面6a側であるベース部材301に形成されている。つまり、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの流下方向に対し直交する方向に開放して形成されていることで、例えば、遊技領域7における左右の流出口332L,332Rや下流出口333の下方位置に、遊技球が入賞可能な上向きに開口する入賞口を形成しなくて済む。よって、振分装置300(カバー部材302)の上下幅寸法を極力短くできるため、例えば、演出表示装置9を大型化することに伴ってステージ飾り枠11の下部を下方に広げることによりステージ飾り枠11の下方に広がる遊技領域7の上下幅が狭くなることがあっても、振分装置300を配設することができるので、遊技領域7の設計自由度が向上する。
尚、本実施例では、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを遊技盤面6a側であるベース部材301に形成し、前方に開口する領域としていたが、例えば、左右外側の流出口332L,332Rを第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bとし、左右内側の連通口335A,335Bを流出口としてもよいし、左右内側の連通口335A,335Bを第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bとし、左右外側の流出口332L,332Rを流出口としてもよい。これらの場合、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rは、振り分けられた遊技球を左右側の第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bに誘導するための方向変更部を有していればよく、流出口332L,332Rや下流出口333の下方位置に入賞口を形成しなくて済むため、上記と同様の作用・効果を奏する。尚、これらのように流出口を左右外側の流出口332L,332Rまたは左右内側の連通口335A,335Bとする場合、方向変更部よりもやや上方位置に設けることが好ましい。
次に、遊技球が可変入賞球装置15の可動板400により第2始動入賞口13bに誘導されるときの流下態様について、図11に基づいて説明する。
可動板400は、普通図柄の変動表示(普図ゲームで)の変動表示結果が「普図当り」となったことに基づいて退避位置から突出位置までスライド移動し、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)し易くして第2始動条件が成立する可能性を高めるようになっている。詳しくは、図11に示すように、可動板400は第2誘導経路331Rにおける流出口332Rの右側方位置に配設され、振分装置300の右側を流下してきた遊技球を自然傾斜により流出口332Rに向けて誘導し、該流出口332Rから第2誘導経路331Rの途中に合流させて第2始動入賞口13bに誘導する。すなわち、可動板400は、遊技領域7を流下する遊技球のうち流入口330に流入することなく流下してきた遊技球を第2始動入賞口13bに誘導する誘導部材であり、流入口330から第2誘導経路331Rを流下してきた遊技球を誘導するものではない。
詳しくは、可動板400の上面は平坦状に形成され、遊技球を自然流下により誘導する誘導面400aを構成しており、第2始動入賞口13bの右上角部近傍位置から右側に向けて上方に傾斜するように、かつ、遊技盤面6aに対し直交するように配設されており、可動板400の傾斜下位部である左端部が、流出口332Rの下辺、つまり、底壁323Rの外側壁323aの上端よりも若干上方位置に近接するように配設されている。具体的には、誘導面400aに沿う仮想線Xが底壁323Rの外側壁323aの上端よりも上方に位置し、かつ、第2誘導経路331Rの流出口332Rにおける遊技球の流下方向に対し交差するように配設されているため、誘導面400aにより誘導された遊技球は、外側壁323aの上端を通過して第2始動入賞口13bに誘導される。
一方、反対側の内側壁323bは、上端が仮想線Xよりも上方に位置するので、外側壁323aの上端を越えた遊技球が該外側壁323aに当接されやすくなる。これにより、外側壁323aの上端を越えた遊技球が勢い余って内側壁323bを飛び越えて連通口335Bから外部に流出してしまうことが抑止されるので、遊技球が第2始動入賞口13bに誘導されやすくなる。すなわち、内側壁323bにおける仮想線Xよりも上方の部分は、誘導面400aにて誘導された遊技球に当接して連通口335Bから外部に流出することを規制する規制部323cを構成している。
尚、本実施例では、内側壁323bと外側壁323aとが同高さに形成され、内側壁323bの上部が規制部323cとして機能するようになっていたが、内側壁323bの上端を外側壁323aの上端よりも上方に延設して規制部を構成してもよいし、内側壁323bとは別個に、例えば、ベース部材301の前面における連通口335Bに対応する位置に、該連通口335Bからの遊技球の流出を規制する規制部を突設してもよい。
また、図12(A)に示すように、可動板400の誘導面400aにおける長手幅寸法(遊技球の誘導長さ)L1は、流出口332Rの上下幅寸法L2の約2倍とされている(L1>L2)。本実施例では、流出口332Rの上下幅寸法L2、つまり、流出部である流出口332Rにおける遊技球の流下長さL2は遊技球の直径よりも若干長寸であり、長手幅寸法L1は遊技球の直径の約2倍以上とされているため、流出口332Rから離れた位置を流下する遊技球を流出口332Rに誘導することができる。このように、流入口330から流入して第2誘導経路331Rを流下する遊技球に加えて、可動板400にて誘導された遊技球を第2始動入賞口13bに誘導可能となるので、可動板400が突出位置にあるときは、退避位置にあるときに比べて第2始動入賞口13bに遊技球が入賞(通過)する頻度が高くなる。
図12(B)には、可動板400と遊技球の誘導長さが同じ可動板1400を、従来例で示したように下端を中心として回動可能に設けた場合(従来方式)の一例が示されている。この可動板1400は、可動板400と同様に傾斜して配置されて遊技球を流出口332Rに誘導する開放位置と、流出口332Rの開口を閉鎖するように略垂直に起立して遊技球の流出口332Rへの流入を不可能とする閉鎖位置と、の間で前後方向を向く回動軸1401を中心として揺動可能に設けられている。
このように可動板1400を回動可能に設ける場合、開放位置において遊技領域7に配置される点は可動板400と同様であるが、閉鎖位置においても遊技領域7に配置される点が、退避位置において遊技領域7から遊技盤6側に退避される可動板400とは異なる。そしてこの場合、可動板1400は閉鎖位置において起立姿勢となるため、該閉鎖位置において流出口332Rの上下幅寸法L2を確保するには、第2始動入賞口13bを下方にずらして配設する必要がある。
よって、図12(A)に示すように可動板400を設ける場合、流入口330から第2始動入賞口13bの下端までの上下幅寸法L10は、図12(B)に示すように可動板1400を設ける場合の上下幅寸法L11よりも短寸で済む(L10<L11)。つまり、遊技球の誘導長さが同じ可動板の場合、図12(A)に示すように遊技領域7に対し出退可能に設ければ、図12(B)のように回動可能に設けるよりも上下幅寸法を短寸化できるため、遊技球の誘導長さを確保しつつ、振分装置300の上方に配設される演出表示装置9の大型化が制限されるなど、遊技領域7の設計上の自由度が低下してしまうことを防止することができる。
また、図12(B)に示すように、可動板1400が回動可能に設けられる場合、開放位置から閉鎖位置に回動するときに可動板1400上にある遊技球は第2始動入賞口13bに誘導される可能性があるので、第2始動入賞口13bへの過剰な入賞(所謂オーバー入賞)が発生しやすくなるが、図12(A)に示すように、可動板400が遊技領域7に対し出退可能に設けられる場合、可動板400が退避位置に退避するときに可動板400上にある遊技球はそのまま落下して第2始動入賞口13bに誘導されにくい。よって、第2始動入賞口13bへの過剰な入賞(所謂オーバー入賞)の発生を防止することができるため、第2始動入賞口13bへの入賞率が設計段階にて設定した入賞率からかけ離れてしまうことが防止できる。
図11(B)(C)に示すように、可動板400は、その左側の一部が、前側の透視板320の右側の一部と前後に重なるように配設されており、突出位置において、可動板400の前辺左側が透視板320の背面右側に近接する(可動板400の前辺左側と透視板320の背面との間の隙間が遊技球の直径以下となる)。よって、退避位置から突出位置まで移動する際に、可動板400の前辺左側と透視板320の背面との間に挟まれて球詰まりが発生する虞がある。そこで、本実施例では、透視板320の周端面に、外方に向けて前側に傾斜する傾斜面320aが形成されていることで、可動板400の前辺左側と透視板320の背面との間に遊技球が挟まりにくくなるようにしている。
図8を用いて具体的に説明すると、図8(A)に示すように、可動板400が退避位置から突出位置まで移動する際において該可動板400の前辺左側と透視板320の背面右端部との間に遊技球が存在する場合、可動板400の前辺により遊技球が前側に押されたときに、該可動板400の移動方向に対し傾斜する傾斜面320aにより遊技球が右前上側に逃げやすくなるため、可動板400と透視板320との間に遊技球が挟まれにくくなる。
尚、本実施例では、透視板320の周端面に傾斜面320aが形成されていたが、例えば、透視板320の背面における可動板400との対向位置に、挟まれた遊技球を上方または下方に逃すための誘導傾斜面が形成されていてもよい。
また、本実施例では、図11に示すように、可動板400は、第2誘導経路331Rにおける第2始動入賞口13bの上流側に設けられた流出口332Rに遊技球を誘導し、該流出口332Rを介して第2誘導経路331Rに合流させることで第2始動入賞口13bに誘導するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2誘導経路331Rに合流させることなく、直接第2始動入賞口13bに誘導するようにしてもよい。
また、本実施例では、可動板400は、第2誘導経路331Rにおける第2始動入賞口13bの右側面に設けられた流出口332Rの側方位置に、該流出口332Rに向けて遊技球を誘導可能に配設されていることで、可変入賞球装置15が一体に設けられた振分装置300の上下幅寸法を極力短寸化することができる。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
主基板31では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ156が起動し、CPU56によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU56は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM55がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU56へ送出され、CPU56は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU56は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図13のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図13に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU56は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、入力ドライバ回路58を介してゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(ステップS12)。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する(ステップS13)。
情報出力処理に続いて、主基板31の側で用いられる乱数値MR1〜MR4といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(ステップS14)。この後、CPU56は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、RAM55における遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置20における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される(ステップS16)。CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU56は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板31から演出制御基板80などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(ステップS17)。一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部(図示略)に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/Oポート部57に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板80に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
図14は、特別図柄プロセス処理として、図13に示すステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU56は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。該始動入賞判定処理を実行した後、CPU56は、RAM55における遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S120の処理のいずれかを選択して実行する。
ステップS101の始動入賞判定処理では、図15に示すように、CPU56は、まず、第1始動入賞口13aに対応して設けられた第1始動口スイッチ14aからの検出信号に基づき、第1始動口スイッチ14aがオンであるか否かを判定する(ステップS201)。このとき、第1始動口スイッチ14aがオンであれば(ステップS201;Yes)、第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第1特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば上限記憶数としての「4」)となっているか否かを判定する(ステップS202)。CPU56は、例えば遊技制御カウンタ設定部(図示略)に設けられた第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第1特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS202;No)、例えば遊技制御バッファ設定部(図示略)に設けられた始動口バッファの格納値を、「1」に設定する(ステップS203)。
ステップS201にて第1始動口スイッチ14aがオフであるときや(ステップS201;No)、ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値に達しているときには(ステップS202;Yes)、第2始動入賞口13bに対応して設けられた第2始動口スイッチ14bからの検出信号に基づき、第2始動口スイッチ14bがオンであるか否かを判定する(ステップS204)。このとき、第2始動口スイッチ14bがオンであれば(ステップS204;Yes)、第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第2特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば上限記憶数としての「4」)となっているか否かを判定する(ステップS205)。CPU56は、例えばRAM55における遊技制御カウンタ設定部(図示略)に設けられた第2保留記憶数カウンタの格納値である第2保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第2特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS205にて第2特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS205;No)、例えば遊技制御バッファ設定部(図示略)に設けられた始動口バッファの格納値を、「2」に設定する(ステップS206)。
ステップS203、S206の処理のいずれかを実行した後には、始動口バッファの格納値である始動口バッファ値に応じた特図保留記憶数を1加算するように更新する(ステップS207)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには第1保留記憶数カウント値を1加算する一方で、始動口バッファ値が「2」であるときには第2保留記憶数カウント値を1加算する。こうして、第1保留記憶数カウント値は、第1始動入賞口13aを遊技球が通過(進入)して第1特図を用いた特図ゲームに対応した第1始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。また、第2保留記憶数カウント値は、第2始動入賞口13bを遊技球が通過(進入)して第2特図を用いた特図ゲームに対応した第2始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。このときには、合計保留記憶数も1加算するように更新する(ステップS208)。例えば、遊技制御カウンタ設定部(図示略)に設けられた合計保留記憶数カウンタの格納値である合計保留記憶数カウント値を、1加算するように更新すればよい。
ステップS208の処理を実行した後に、CPU56は、乱数回路60や遊技制御カウンタ設定部(図示略)のランダムカウンタによって更新されている数値データのうちから、特図表示結果判定用の乱数値MR1や大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データを抽出する(ステップS209)。こうして抽出した各乱数値を示す数値データは、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭に、保留情報としてセットされることで記憶される(ステップS210)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには、第1特図保留記憶部に乱数値MR1〜MR3を示す数値データが格納される一方、始動口バッファ値が「2」であるときには、第2特図保留記憶部に乱数値MR1〜MR3を示す数値データが格納される。
特図表示結果判定用の乱数値MR1や大当り種別判定用の乱数値MR2を示す数値データは、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否か、さらには変動表示結果を「大当り」とする場合の大当り種別を判定するために用いられる。変動パターン判定用の乱数値MR3は、特別図柄や演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンを判定するために用いられる。CPU56は、ステップS209の処理を実行することにより、特別図柄や演出図柄の変動表示結果や変動表示時間を含む変動表示態様の判定に用いられる乱数値のうち全部を示す数値データを抽出する。
ステップS210の処理に続いて、始動口バッファ値に応じた始動口入賞指定コマンドの送信設定が行われる(ステップS211)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときにはROM54における第1始動口入賞指定コマンドテーブルの記憶アドレスを送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタにより指定されたバッファ領域に格納することなどにより、演出制御基板80に対して第1始動口入賞指定コマンドを送信するための設定を行う。これに対して、始動口バッファ値が「2」であるときにはROM54における第2始動口入賞指定コマンドテーブルの記憶アドレスを送信コマンドバッファのバッファ領域に格納することなどにより、演出制御基板80に対して第2始動口入賞指定コマンドを送信するための設定を行う。こうして設定された始動口入賞指定コマンドは、例えば特別図柄プロセス処理が終了した後、図13に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板31から演出制御基板80に対して伝送される。
ステップS211の処理に続いて、例えばROM54における保留記憶数通知コマンドテーブルの記憶アドレスを送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納することなどにより、演出制御基板80に対して保留記憶数通知コマンドを送信するための設定を行う(ステップS212)。こうして設定された保留記憶数通知コマンドは、例えば特別図柄プロセス処理が終了した後、図13に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板31から演出制御基板80に対して伝送される。
次いで、遊技状態が時短状態であることを示す時短フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS213A)、時短フラグがセットされていない、つまり、時短状態ではないと判定した場合(ステップS213;Yes)は、時短終了時カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS213B)。この時短終了時カウンタは、時短の終了が判定されたときにおいて第2保留記憶の上限数である4がセットされるカウンタであって、1の変動表示毎に1つずつ減算更新されるようになっており、該時短終了時カウンタの値が「0」でない場合とは、時短終了後における4回の範囲内の変動表示であることを示すことになる。
時短フラグがセットされていなく、かつ、時短終了時カウンタの値が「0」である場合、つまり、時短状態でも、時短終了後における4回の範囲内の変動表示でもなく、時短状態中において連続して記憶される第2保留記憶が全て消化されている状態であって、保留記憶として第1保留記憶と第2保留記憶とが必ず交互に記憶されている状態である場合には、特図保留記憶部において記憶されている保留データが、種別が「第1」である第1保留記憶と種別が「第2」である第2保留記憶とが交互に記憶されているか否か、つまり、新たに記憶された保留データが振分装置300の異常等により、直前の第1保留記憶と同じ種別の保留記憶が記憶されていないかを判定する保留記憶交互記憶判定を実施する(ステップS214)。
そして、第1保留記憶と第2保留記憶とが交互に記憶されていない交互記憶異常である場合には、ステップS215でYesと判定されてステップS216に進み、始動入賞異常指定コマンドを送信するための設定を行った後、ステップS217に進む一方、交互記憶異常である場合には、ステップS215でNoと判定されてステップS216を経由することなくステップS217に進む。
このようにして設定された始動入賞異常指定コマンドは、図13に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されることにより、主基板31から演出制御基板80に対して伝送され、該始動入賞異常指定コマンドを受信したことに応じて演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータにおける演出制御用CPU120が、例えば、演出表示装置9の画面隅部に、図16に示すように、例えば、「始動口異常入賞エラー発生!!」等の反転表示により強調された文字によるメッセージを表示することにより、交互記憶異常が発生したことが報知される。
尚、本実施例では、交互記憶異常であると判定した場合には、該交互記憶異常が発生したことを、外部の管理装置である、例えばホールコンピュータ等に、図13に示すステップS13の情報出力処理において出力するようにしても良い。
また、ステップS213Aにおいて時短フラグがセットされている場合や、ステップS213Bにおいて時短終了時カウンタの値が「0」でない場合、つまり、時短終了後における4回の範囲内の変動表示である場合には、上記したステップS214〜S216の判定や処理を実施することなく、ステップS217に進む。
すなわち、時短制御が実行されることにより第2始動入賞口13bに連続して遊技球が入賞しうる時短状態中や、時短状態中において連続して記憶される第2保留記憶が全て消化されていない可能性がある、時短終了後における4回の範囲内の変動表示である場合には、保留記憶交互記憶判定を実施しないことで、時短状態中にて連続して記憶された第2保留記憶が残存することにより、誤った保留記憶交互記憶判定が実施されてしまうことを防止できる。
ステップS213でNoの場合、ステップS215でNoの場合、ステップS216の処理を実行した後には、始動口バッファ値が「1」であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、始動口バッファ値が「1」であれば(ステップS217でY)始動口バッファをクリアして、その格納値を「0」に初期化してから(ステップS218)、ステップS204の処理に進む。これに対して、始動口バッファ値が「2」であるときには(ステップS217でN)、始動口バッファをクリアして、その格納値を「0」に初期化してから(ステップS219)、始動入賞判定処理を終了する。これにより、第1始動口スイッチ14aと第2始動口スイッチ14bの双方が同時に有効な遊技球の始動入賞を検出した場合でも、確実に双方の有効な始動入賞の検出に基づく処理を完了できる。
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示結果に対応して、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄やハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。変動パターン設定処理が実行されて特別図柄の変動表示が開始されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
ステップS110の特別図柄通常処理やステップS111の変動パターン設定処理により、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄や特別図柄および演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、特別図柄通常処理や変動パターン設定処理は、特図表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を用いて、特別図柄や演出図柄の変動表示態様を決定する処理を含んでいる。
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。例えば、ステップS112の特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部(図示略)に設けられた特図変動タイマにおける格納値である特図変動タイマ値を1減算あるいは1加算して、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームであるか、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームであるかにかかわらず、共通のタイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。このように、ステップS112の特別図柄変動処理は、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動や、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動を、共通の処理ルーチンによって制御する処理となっていればよい。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器8aや第2特別図柄表示器8bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば大当り種別が「非確変大当り」、「確変大当り」のいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別に関係なく、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29.5秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を、「非確変大当り」または「確変大当り」である場合には、「15回」に設定することにより、通常開放大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
ステップS115の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間やカウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド21に対するソレノイド駆動信号の供給を停止させる処理などを実行した後、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
ステップS116の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、大入賞口を開放状態とするラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達したか否かを判定する処理や、大入賞口開放回数最大値に達した場合に大当り終了指定コマンドを送信するための設定を行う処理などが含まれている。そして、ラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達していないときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される一方、大入賞口開放回数最大値に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
ステップS117の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、演出表示装置9やスピーカ27、各種LEDなどといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して確変制御や時短制御を開始するための各種の設定(確変フラグや時短フラグのセット)を行う処理などが含まれている。こうした設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
尚、大当り終了処理においては、遊技制御バッファ設定部(図示略)に記憶されている大当り種別バッファ値を読み出して、大当り種別が「非確変大当り」、「確変大当り」のいずれであったかを特定する。そして、特定した大当り種別が「非確変大当り」ではないと判定された場合には、確変制御を開始するための設定(確変フラグのセット)を行う。
また、特定した大当り種別が「非確変大当り」である場合には、時短制御を開始するための設定(時短フラグのセットと時短制御中に実行可能な特図ゲームの上限値に対応して予め定められたカウント初期値(本実施例では「100」)を時短回数カウンタにセット)を行う。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技領域7を流下する遊技球が流入可能な流入口330と、該流入口330から流入した遊技球が通過可能な所定領域としての第2始動入賞口13bと、流入口330から流入した遊技球を、第2始動入賞口13bを通過し易い流路を含む複数の流路である第1誘導経路331L、第2誘導経路331Rのうちいずれかに所定の順序(例えば、交互)で振り分ける振分部材304と、遊技領域7を流下する遊技球が第2始動入賞口13bを通過し易い第1状態である突出状態と該突出状態よりも通過し難い第2状態である退避状態とに変化可能な可動手段を備え、該可動手段は、遊技領域7を流下する遊技球を流入口330に流入させることなく第2始動入賞口13bに向けて誘導する誘導部材としての可動板400と、可動板400を突出状態において遊技領域7に突出させ、退避状態において該遊技領域7から退避させる駆動手段としてのソレノイド16及びリンク機構402と、を有することで、可動板400を配設することにより遊技領域7の設計の自由度が低下することを防止できる。また、可動板400により遊技球を流入口330に流入させなくても第2始動入賞口13bに誘導することができるばかりか、遊技球を第2始動入賞口13bに誘導しない退避状態において可動板400が遊技領域7から退避することで邪魔になることがない。
また、第2誘導経路331Rには、遊技球が流出可能な流出部としての流出口332Rが設けられ、可動板400は、突出状態において流出口332Rに向けて遊技球を誘導するように、流出口332Rから右方に向けて上側に傾斜するように設けられ、可動板400による遊技球の誘導距離、つまり、誘導面400aにおける長手幅寸法L1は、流出口332Rにおける遊技球の流下距離である該流出口332Rの上下幅寸法L2よりも長いことで、可動板400により遊技球を誘導し易くなる。
また、可動板400は、突出状態において流出口332Rに向けて遊技球を該流出口332Rにおける遊技球の流下方向に対し交差する方向に誘導するように、誘導面400aに沿う仮想線Xが第2誘導経路331Rの流出口332Rにおける遊技球の流下方向に対し交差するように配設されており、可動板400により誘導された遊技球が第2誘導経路331Rを通り過ぎることを規制する規制部323cを備えることで、可動板400により誘導された遊技球が第2誘導経路331Rを通り過ぎることを防止することができる。
また、突出状態において突出した可動板400の前辺に近接する位置に装飾部材としての透視板320が設けられ、透視板320における可動板400に対応する位置には、該可動板400の突出方向に対し傾斜する傾斜面320aが形成されていることで、突出した可動板400の突出側端部と透視板320との間に遊技球が挟まれても傾斜面320aにより遊技球が逃げやすくなるため、球詰りが発生することを防止できる。
また、CPU56は、ステップS214,215において保留記憶交互入賞異常が発生したか否かを判定するとともに、高頻度状態としての時短状態に制御されていないとき、つまり、ステップS213において時短終了時カウンタが0であると判定したときにのみ、ステップS214,215において保留記憶交互入賞異常が発生したか否かを判定することで、振分部材304による遊技球の振り分け異常を判定することができるので、該振り分け異常により遊技を正常に行うことができなくなることを防止できる。
尚、本実施例では、図15に示すように、特図保留記憶部において記憶されている保留データが、第1保留記憶と第2保留記憶とが交互に記憶されているか否かを判定することにより、振分装置300による振り分け異常等が発生したか否かを判定するようになっていたが、本発明は保留記憶の記憶順に基づいて異常を判定するものに限定されるものではなく、例えば、図17に示す変形例としての始動入賞判定処理のように、始動入賞順序などに基づいて異常を判定するようにしてもよい。
以下、変形例としての始動入賞判定処理について、図17に基づいて説明する。尚、図15に示す始動入賞判定処理と同様の処理内容に関しては説明を省略する。また、変形例としての始動入賞判定処理においては、ステップS213〜216の処理は実行しない。
図17に示すように、ステップS201において第1始動口スイッチ14aがオンであれば(ステップS201;Yes)、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数を示す第1入賞回数カウンタの値を1加算するとともに(ステップS201A)、第2始動口スイッチ14bにて検出された遊技球数を示す第2入賞回数カウンタの値をクリアする(ステップS201B)。
またステップS204において第2始動口スイッチ14bがオンであれば(ステップS201;Yes)、時短状態であることを示す時短フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS204A)、時短フラグがセットされていなければ、つまり、時短状態でなければ(ステップS204A;No)、普図プロセスフラグの値が、可動板400が突出状態とされる作動処理中を示す値であるか否かを判定する(ステップS204B)。そして、可動板400が突出状態でなければ(ステップS204B:No)、第2入賞カウンタの値を1加算する(ステップS204D)。また、時短状態である場合(ステップS204A;Yes)または可動板400が突出状態である場合(ステップS204B;Yes)は、第2入賞カウンタの値をクリアする(ステップS204C)。そして、ステップS204CまたはステップS204Dの処理を行った後は、第1入賞回数カウンタの値を1加算し(ステップS204E)、ステップS205に進む。
このように、本変形例では、第1始動口スイッチ14aにて遊技球が検出されたときには、第1入賞回数カウンタの値を1加算するとともに第2入賞回数カウンタの値をクリアする。一方、第2始動口スイッチ14bにて遊技球が検出されたときにおいて、時短状態であるときまたは可動板400が突出状態であるときは、交互振り分けの対象とならない状態であるとして、第2入賞回数カウンタの値及び第1入賞回数カウンタの値をクリアし、時短状態でないときまたは可動板400が退避状態であるときは、交互振り分けの対象となる状態であるとして、第2入賞回数カウンタの値を1加算し、第1入賞回数カウンタの値をクリアする。
そして、CPU56は、遊技制御用タイマ割込処理における例えばステップS17の処理の後に、第1入賞回数カウンタの値と第2入賞回数カウンタの値との差が所定数(例えば、4以上)となったか否かを判定し、所定数以上になったと判定した場合、交互入賞に異常が生じたと判定し、始動入賞異常指定コマンドを送信するための設定を行うようになっている。つまり、本変形例の場合、遊技状態が時短状態であるときまたは可動板400が突出状態であるときは、第2始動口スイッチ14bにて遊技球が検出されても、第2入賞回数カウンタの値が増加することはないので、第2始動口スイッチ14bにて遊技球が連続して検出されることがある時短状態であるときや可動板400が突出状態であるときを除いて、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bにて遊技球が連続して入賞する振り分け異常が発生した否かを判定することができる。
また、本実施例では、振分部材304によって流入口330から流入した遊技球を、第1始動入賞口13aに誘導する第1誘導経路331L及び第2始動入賞口13bに誘導する第2誘導経路331Rのいずれかに振り分け可能に構成されていたが、3以上の複数の領域(入賞口など)及びこれら領域それぞれに遊技球を誘導する複数の誘導経路を設け、これら複数の誘導経路のいずれかに誘導可能に構成されていてもよい。
また、本実施例では、遊技球が通過可能な第1領域及び第2領域の一例として、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを記載したが、これら始動入賞口以外の入賞口(例えば、大入賞口や一般入賞口など)やゲート等を適用してもよい。
また、本実施例では、遊技球を振り分けるための振分装置300が遊技領域7に設けられている。振分装置300は、流入口330から遊技球が流入したことに基づいて、振分部材304は第1態様と第2態様とに所定の順序に従って切り替わる(本実施例では、遊技球の重量及び落下の運動エネルギーによって交互に切り替わる)。また、第1始動入賞口13aは、第1誘導経路331Lに振り分けられた遊技球が通過しやすい態様で設けられているとともに、第2始動入賞口13bは、第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球が通過しやすい態様で設けられている。そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、第1始動口スイッチ14aおよび第2始動口スイッチ14bによって遊技球が検出された順序が所定の順序と異なる場合(例えば、一方の始動口スイッチで連続して遊技球が検出された場合)に異常(本例では、入賞順異常)と判定するようにすることで、振分装置300の異常判定を行うことができるので、振分装置300の異常により遊技を正常に行えなくなることを防止することができる。
また、変形例で説明したように、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのうちのいずれか一方に遊技球が連続して4以上入賞したときに入賞順異常と判定するように構成することが考えられるが、そのように構成しただけでは、例えば、第2始動入賞口13bに遊技球を3つ入賞させた後に第1始動入賞口13aに遊技球を1つ入賞させる作業を繰り返すような不正行為が可能となってしまう。そこで、例えば、始動入賞が10個発生するごとに、その10個の始動入賞のうちの第1始動入賞口13aへの始動入賞の数と第2始動入賞口13bへの入賞の数とを判定するようにし、一方の始動入賞口への入賞が所定割合(例えば、70%)以上偏っている場合に入賞順異常と判定するようにしてもよい。具体的には、10個の始動入賞が発生したときに、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのうちいずれか一方に7個以上入賞していれば、入賞順異常と判定するようにしてもよい。
また、振分部材304により振分けられたものの、流出口332L,332Rや下流出口333から流出して、第1始動口スイッチ14aや第2始動口スイッチ14bにより検出されないことがあり、このような場合、通常状態でも、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bが2球連続して遊技球を検出することは考えられるが、4以上連続して遊技球を検出する、つまり、4以上連続して流出する確率は極めて低いので、変形例では、遊技球が連続して4以上検出されたときに異常と判定するようにしている。
また、上記のような一方の始動入賞口への入賞割合の偏りを検出して入賞順異常と判定する判定方法は、一方の始動入賞口に所定数(本例では4)以上の連続入賞を検出したことに基づいて入賞順異常と判定する処理に代えて実行するようにしてもよいし、一方の始動入賞口への入賞割合の偏りを検出して入賞順異常と判定する処理と、一方の始動入賞口に所定数以上の連続入賞を検出して入賞順異常と判定する処理とを両方あわせて実行するように構成してもよい。
また、振分部材304は、第1態様と第2態様とに略交互に切り替わるように構成され、また、第2始動入賞口13bを遊技球が通過した場合に、第1始動入賞口13aを遊技球が通過した場合と比較して有利な遊技状態(例えば、ラウンド数が多い15R確変大当りなど)に制御される割合が高い場合、第1始動入賞口13aを遊技球が通過することなく、第2始動入賞口13bを遊技球が連続して通過(本例では、第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞)したことに基づいて異常と判定することで、有利な方の第2始動入賞口13bに故意に遊技球を通過させる不正行為が行われることを防止することができる。
例えば、第2始動入賞口13bへの入賞が有利に構成された遊技機では、第2始動入賞口13bに連続して遊技球を入賞させるような不正行為が行われる虞があるが、第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞したことに基づいて入賞順異常と判定して入賞順異常報知を行うようにすれば、そのような不正行為が行われることを防止することができる。
また、前記実施例では、振分装置300の振分部材304が第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとに交互に入賞可能に遊技球を振り分けるようになっているが、例えば、振分部材304が左右いずれかに張り付いてしまうなど振分装置300に何らかの故障が発生した場合には、第1始動入賞口13aに遊技球が連続して入賞したり第2始動入賞口13bに遊技球が連続して入賞したりする状態が発生する可能性がある。特に第2始動入賞口13bに遊技球が連続して入賞する状態となってしまった場合には有利な状態が必要以上に継続するのであるから、遊技店にとって必要以上に不利益な状態が生じてしまう虞がある。そこで、変形例に示すように、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞したことに基づいて入賞順異常と判定して入賞順異常報知を行うので、振分装置300の故障を早期に発見できるとともに、遊技店にとって必要以上に不利益な事態が生じることを防止することができる。
また、この実施例では、振分装置300の状態が交互に切り替わる場合を示したが、所定の順序に従って切り替わるものであればよく必ずしも交互に切り替わるものでなくてもよい。例えば、第1始動入賞口13a→第1始動入賞口13a→第2始動入賞口13b→第1始動入賞口13a→第1始動入賞口13a→第2始動入賞口13b・・・のサイクルで順に切り替わるものでもよく、振分装置300は何らかの決められた順序に従って切り替わるものであればよい。このような場合であっても、決められた順序に従った始動入賞を検出できなかった場合には入賞順異常が発生したと判定して入賞順異常報知を実行するようにすればよい。また、このような場合であっても、決められた順序に従った始動入賞を検出できなかった場合に直ちに入賞順異常と判定するのではなく、決められた順序に従った始動入賞を所定回数の始動入賞にわたって連続して検出できなかったことを条件に入賞順異常と判定して入賞順異常報知を実行するようにしてもよい(すなわち、入賞順異常となるまでに多少のマージンをもたせてもよい)。
また、本実施例では、振分装置300の振分部材304は、モータやソレノイド等の駆動源によらず、遊技球の自重により左右に揺動することで遊技球を第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとに交互に入賞可能に振り分ける構造であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、モータやソレノイド等の駆動源により振分部材を所定の駆動パターンにて駆動させることにより遊技球を所定の順序で第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとに振り分けるものであってもよい。この場合、例えば、遊技球を第1割合で第1始動入賞口13aに誘導し、第2割合で第2始動入賞口13bに誘導させるパターンにて振分部材を駆動させることで、遊技球が所定の順序で第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとに振り分けられるようにしてもよい。
尚、このような振分部材において入賞異常判定を行う場合、前述したように、始動入賞が10回発生するごとに、その10個の始動入賞のうちの第1始動入賞口13aへの始動入賞の数と第2始動入賞口13bへの入賞の数とを判定するようにし、一方の始動入賞口への入賞が所定割合(例えば、70%)以上偏っている場合に入賞順異常と判定するようにすればよい。
また、1段階の処理で入賞順異常の判定および入賞順異常報知を行う場合を示したが、複数段階の処理で行うように構成してもよい。例えば、1段階目の処理として第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのいずれか一方に4個連続して入賞したことに基づいて、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御コマンドとして、遊技球の入賞順異常を検出したことを示す入賞順異常報知指定コマンドを演出制御用CPU120に送信し、演出制御用CPU120は、入賞順異常報知指定コマンドを受信したことに基づいて、入賞順異常報知としてランプ・LEDの点灯制御を行い、2段階目の処理として同じ始動入賞口にさらに入賞が連続し8個連続して入賞したことに基づいてランプ・LEDの点灯制御と異常報知音の出力制御とを行い、3段階目の処理として同じ始動入賞口にさらに入賞が連続し16個連続して入賞したことに基づいてランプ・LEDの点灯制御と異常報知音の出力制御とに加えて賞球払出を停止するようにしてもよい。
また、賞順異常報知指定コマンドを受信したことに基づいて、遊技場のホールコンピュータ等(図示略)に入賞順異常信号を出力するようにしてもよい。このように、第2始動入賞口13bや第1始動入賞口13aにおいて入賞順異常が発生した場合、入賞順異常が発生したことを報知するようにすることで、上記のような不正行為が行われたことを遊技場の店員等が早期に発見して対処することが可能となる。
また、このような入賞順異常が発生したときに、入賞順異常報知を行うだけでなく、遊技の進行を不能化、例えば、打球操作ハンドル5の操作による遊技球の発射ができなくなるようにしたり、始動入賞に基づく変動表示が開始されないようにしてもよい。
尚、本実施例では、大当り種別として、大当り遊技終了後に確変状態に制御される確変大当り以外に、高ベース状態(時短状態)のみに制御される通常大当りが設けられていたが、大当り遊技が終了した後に必ず確変状態(高確率状態)に制御され、大当り遊技終了後に所定回数(本例では、100回)の変動表示を終了したことに基づいて、確変状態(高確率状態)を終了する遊技機に、上記入賞順異常の検出および報知を実行する構成を適用してもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
前記実施例では、誘導部材として、前後方向にスライド移動可能に設けられた可動板400を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、突出状態において遊技盤6から遊技領域7側に突出させ、退避状態において該遊技領域7から遊技盤6側に退避されるようになっていれば、その駆動態様は上記スライド移動に限定されるものではなく、例えば、図18に示す可動板1400のように、遊技盤面6aに沿う左右方向を向く回動軸1401を中心として、遊技盤面6aに対し直交する突出位置(図18中実線位置)と遊技盤面6aに沿う退避位置(図18中1点鎖線位置)との間で回動可能に設けられていてもよい。
また、図18に示すように、可動板1400を突出位置と退避位置との間で回動可能に設けた場合、退避位置に退避する際に該可動板1400上にある遊技球が遊技盤6との間に挟まれてしまう可能性があるため、図18に示すように遊技盤6に貫通孔26aを形成し、該貫通孔26aをアウト口として遊技球が遊技盤6の背面側に誘導されるようにしてもよい。また、アウト口でなく、一般入賞口等の入賞口としてもよい。
さらに、図19に示す、側面視略逆L字形をなす可動板2400のように、遊技盤面6aに沿う左右方向を向く回動軸2401を中心として、遊技盤面6aに対し直交する突出位置(図19中実線位置)と遊技盤面6aよりも背面側に退避する退避位置(図19中1点鎖線位置)との間で回動可能に設けられていてもよい。
尚、図19に示すように、可動板2400が遊技領域7に対し出退可能に設けられる場合、可動板2400が退避位置に退避するときに該可動板2400上にある遊技球はそのまま落下して第2始動入賞口13bに誘導されにくい。よって、第2始動入賞口13bへの過剰な入賞(所謂オーバー入賞)の発生を防止することができるため、第2始動入賞口13bへの入賞率が設計段階にて設定した入賞率からかけ離れてしまうことが防止できる。
また、前記実施例では、振分装置300と可変入賞球装置15とが、ベース部材301に一体的に設けられユニット化されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、振分装置300と可変入賞球装置15とは別体で設けられていてもよい。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。