本発明に係る遊技機の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本明細書では、本発明に係る遊技機の例としてパチンコ遊技機(以下、単に遊技機と言う。)を用いて説明するが、本発明はパチンコ遊技機以外の遊技機にも使用することができる。また、本明細書においては、遊技機及び遊技機を構成する各部材の「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」は、遊技機を正面から見た場合における表面側(前面側)、背面側(後面側)、「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」を示すものとする。また、本明細書においては、遊技球が各種入賞口に流入することを「入賞」と言い、遊技球が入賞することによって遊技者に払い出される遊技球のことを「賞球」と言う。
遊技機の外観構成について説明する。図1に示すように、遊技機1は、機体の外郭を構成する縦長方形の外枠2を備えている。この外枠2の開口前面側には、縦長方形の中枠3が着脱自材に組み付けられている。中枠3は、全体的に合成樹脂材料を用いて構成されており、内部に遊技盤等を取付固定することができるように構成されている。前枠4は、中枠3の前面側に、該前枠4の左側に設けられたヒンジを中心に中枠3に対して横開きをすることができるように開閉自在に組み付けられている。前枠4は、ガラス板5を備えており、遊技者が遊技盤11を視認することができ、かつ遊技盤11を保護することができるように構成されている。また、前枠4は、遊技に使用する遊技球を一時的に貯留する上受け皿6と、上受け皿6から溢れ出て流下した遊技球を貯留する下受け皿7とをガラス板5の下方に備えている。
遊技機1は、遊技盤11に向けて遊技機1を弾発するための発射装置を内部に備えており、この発射装置の弾発強さを操作ハンドル8の回動量によって調節することができるように構成されている。また、上受け皿6には、遊技球を貯留する貯留スペースの前側に、遊技者が遊技中に押圧操作する各種ボタン9a,9b,9cが配置されている。また、遊技機1の上部には、音声を出力するためのスピーカ10が設けられている。
遊技盤11は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材料で略正方形に形成された平板状の部材である。この遊技盤11の背面側には、裏ユニット(図示せず)がビス等によって取付固定されている。遊技盤11には、センター役物としての演出装置12の装飾枠13を取り付けるための開口部が略中央部に開口形成されている。また、遊技盤11の表面には、発射装置で弾発された遊技球を遊技盤11の上部へ案内する案内レール15が設けられている。また、遊技盤11には、案内レール15により遊技盤11の上部に案内された遊技球が遊技盤11の下部に向けて流下する遊技領域16が形成されている。
遊技領域16には、演出装置12を視認可能にするとともに装飾枠13を取り付けるための開口部が略中央部に開口形成されている。また、遊技領域16には、第1始動入賞装置ユニット21、大入賞装置22、通過ゲート23、第2始動入賞装置ユニット24等の各種入賞装置ユニット等が設けられている。また、遊技領域16には、多数の誘導釘25が打たれている。遊技領域16を流下する遊技球は、誘導釘25に当たって流下方向を変化させながら、遊技領域16の上部から下部に向かって流下する。遊技領域16を流下する遊技球の一部は、各種入賞装置に設けられている各種入賞口(図示せず)に入賞する。また、遊技領域16を流下する遊技球のうち、各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、遊技領域16の最下部に設けられた第1アウト口26又は第1始動入賞装置ユニット21に形成されている後述する第2アウト口34に流入する。
第1始動入賞装置ユニット21は、遊技盤11において演出装置12の下方であって該遊技盤11の左右方向中央よりも左側の案内レール15寄りにネジ止め等の方法で取付固定されている。
図2に示すように、第1始動入賞装置ユニット21は、第1始動入賞装置用ベース部材31、第1普通入賞装置32、第1始動入賞装置33及び第2アウト口34を有しており、これら第1普通入賞装置32、第1始動入賞装置33及び第2アウト口34が第1始動入賞装置用ベース部材31に設けられて構成されている。また、第1始動入賞装置33は、遊技領域16において、後述する第1入球口70に入球しなかった遊技球が第2アウト口34の設けられている一方側又は第2アウト口34の設けられていない他方側のいずれかに誘導され、この他方側に誘導された遊技球が第1アウト口26に向けて流下するように設けられている。
第1始動入賞装置用ベース部材31は、第1始動入賞装置ユニット21を遊技盤11にネジ止め等によって取付固定するためのもので、所定の形状を有する板状の部材である。この第1始動入賞装置用ベース部材31には、遊技盤11に取り付ける際に使用するネジ止め孔37が貫通形成されている。また、第1始動入賞装置用ベース部材31には、第1普通入賞装置32を構成する第1普通入賞口(図示せず)に遊技球を案内する第1普通入賞案内部38と、後述する始動入賞装置本体62の振分部91が導入される振分部導入孔39と、始動入賞装置本体62の後述する入賞部92が導入される入賞部導入孔40と、第2アウト口34と、第2アウト口34へ遊技球を案内する第2アウト口案内部41とが形成されている。
第1普通入賞案内部38は、第1始動入賞装置用ベース部材31の左上部において、該第1始動入賞装置用ベース部材31の表面から前側に形成されている。この第1普通入賞案内部38は、上部が開口するU字形に形成されており、該第1普通入賞案内部38の内部において遊技球が流入可能な幅を有するように形成されている。また、この第1普通入賞案内部38は、流入した遊技球を第1普通入賞口に向けて転動させることができるように形成されている。
振分部導入孔39及び入賞部導入孔40は、第1始動入賞装置用ベース部材31の左右方向略中央部に形成されている。これら振分部導入孔39及び入賞部導入孔40は、振分部導入孔39が入賞部導入孔40の上方に位置し、入賞部導入孔40が振分部導入孔39の下方に位置するように形成されている。振分部導入孔39は、後述する始動入賞装置本体62の振分部91が導入可能な大きさに開口形成されており、入賞部導入孔40は、始動入賞装置本体62の入賞部92が導入可能な大きさに開口形成されている。
第2アウト口34は、第1始動入賞装置用ベース部材31の左右方向の中央部よりも右寄りに形成されている。本実施の形態では、第2アウト口34は、第1始動入賞装置用ベース部材31の左右方向右寄りに形成されているが、これ以外の場所に形成されていてもよい。第2アウト口34は、遊技領域16を流下してきた遊技球が流入可能な大きさに形成されている。また、図5に示すように、第2アウト口34には、底部42が形成されている。この底部42は、第1の面43と第2の面44とを備えている。第2の面44は、第1の面43よりも高さ方向の位置が低い位置に形成されている。これら第1の面43と第2の面44との間には、所定高さを有する段差部45が形成されている。この第2アウト口34は、少なくとも、遊技球2個分の幅W1(図5参照)を有するように形成されている。第2アウト口34がW1の幅を有することで、第2アウト口34に対して遊技球をスムーズに流入させることができ、第2アウト口34の周辺における遊技球の球詰まり等を防止することができる。また、第2アウト口34の奥側には排出口46が形成されている(図5参照)。排出口46は、第2アウト口34に流入した遊技球を遊技盤11の後ろ側に形成された排出経路(図示せず)に向けて排出するためのものである。この排出口46は、少なくともW2の幅(図5参照)、即ち遊技球1個分の幅寸法を有している。また、排出口46は、該排出口46の底面が第2の面44と同じ位置に位置するように形成されている。
第2アウト口案内部41は、第2アウト口34の前側に位置し、第1始動入賞装置用ベース部材31の表面から前側に向けて、遊技球が転動できる前後方向の幅を有するように形成されている。この第2アウト口案内部41は、第2アウト口34の周囲の一部を囲むように形成されている。即ち、第2アウト口案内部41は、第2アウト口34の側方に位置するように形成された側壁部47と、第2アウト口34の下側に位置するように形成された底壁部48とが形成されている。側壁部47は、本実施の形態では第2アウト口34の右側方に位置するように形成されており、遊技領域16を流下する遊技球のうち、第1始動入賞口121に入賞せずに第2アウト口34の設けられている一方側に向けて流下する遊技球を第2アウト口34へ向けて案内するためのものである。底壁部48は、側壁部47の下部から左右方向に向けて連続的に形成されている。この底壁部48は、第2アウト口34の底部42と同じ形状になるように形成されている。即ち、この底壁部48は、遊技球が転動する転動面49が第1の面50と第2の面51とを有し、これら第1の面50と第2の面51との間には段差部52を有するように形成されている。また、第1の面50は、第2の面51に向けて下り傾斜するように形成されている。
第1普通入賞装置32は、遊技球が入賞可能な大きさに形成された第1普通入賞口を有している。遊技球が第1普通入賞口に入賞すると、所定個数(例えば15個)の賞球が払い出される。第1始動入賞装置33は、遊技球が入賞可能な大きさに形成された第1始動入賞口121及び第2始動入賞口123を有している。遊技球が第1始動入賞口121又は第2始動入賞口123のいずれかに入賞すると、遊技機1において遊技者に有利な特別遊技状態に移行するか否かを抽選する大当り抽選を行うように構成されている。
遊技機1では、第1普通入賞口に遊技球が入賞すると所定個数(例えば15個)の賞球が払い出され、第1始動入賞口121又は第2始動入賞口123のいずれかに遊技球が入賞すると遊技機1において遊技者に有利な特別遊技状態に移行するか否かを抽選する大当り抽選を行う。また、第2アウト口34には、第1始動入賞装置ユニット21に向けて流下してきて、第1普通入賞口及び第1始動入賞口121のいずれにも入賞しなかった遊技球が流入する。大当り抽選の結果は、普通図柄表示装置35とともに遊技盤11の下部に設けられている特別図柄表示装置36で表示する。
図3、図4及び図5に示すように、第1始動入賞装置33は、前カバー部材61、第1始動入賞装置本体(以下、「始動入賞装置本体62」と言う。)、発光基板63及び裏カバー部材64を備えており、これらが第1始動入賞装置用ベース部材31に取付固定されている。
前カバー部材61は、第1始動入賞装置用ベース部材31の表面側にネジ止め等によって取付固定されている。前カバー部材61には、表面側には所定の装飾を施す装飾面65が形成されている。また、図4に示すように、前カバー部材61の裏面には、第1上壁部66、第2上壁部67、第1下壁部68、第2下壁部69、第1入球口70、第2入球口71、第3入球口72、入球空間73が形成されている。また、前カバー部材61の裏面には、第1軸受部74、規制部材支持部75、第1始動入賞案内部76、第2始動入賞案内部77及び送出口78が形成されている。
第1上壁部66は、前カバー部材61の左上側に該前カバー部材61の裏面から後側に向けて突き出るように形成されている。この第1上壁部66の上面は、遊技球を案内する第1案内面79となっている。第2上壁部67は、前カバー部材61の右上側に該前カバー部材61の裏面から後側に向けて突き出るように形成されている。この第2上壁部67の上面は、遊技球を案内する第2案内面80となっている。第1下壁部68は、前カバー部材61の左下側に該前カバー部材61の裏面から後側に向けて突き出るように形成されている。この第1下壁部68には、前カバー部材61の縁部から該前カバー部材61の内側に向けて遊技球が流入する際に、該遊技球を案内する第1転動面81が形成されている。また、第2下壁部69は、前カバー部材61の右下側に該前カバー部材61の裏面から後側に向けて突き出るように形成されている。この第2下壁部69には、前カバー部材61の縁部から該前カバー部材61の内側に向けて遊技球が流入する際に、該遊技球を案内する第2転動面82が形成されている。
第1入球口70は、前カバー部材61の上側に形成されており、上方から流下する遊技球が流入することが可能な幅で上方が開口するように形成されている。本実施の形態では、第1上壁部66と第2上壁部67との間に所定の幅を有する空間が形成されており、この空間が第1入球口70となっている。第2入球口71は、前カバー部材61の左側に形成されており、遊技球が流入可能な幅で左側が開口するように形成されている。本実施の形態では、第1上壁部66と第1下壁部68との間に所定の空間が形成されており、この空間が第2入球口71となっている。この第2入球口71は、後述する振分部材101よりも下流側に設けられている。
第3入球口72は、前カバー部材61の右側に形成されており、遊技球が流入可能な幅で右側が開口するように形成されている。本実施の形態では、第2上壁部67と第2下壁部69との間に所定の空間を形成しており、この空間が第3入球口72となっている。送出口78は、前カバー部材61の下側に形成されており、入球空間73内を流下する遊技球が第1始動入賞装置33の外部へ送出することが可能な幅の開口を有するように形成されている。本実施の形態では、第1下壁部68と第2下壁部69との間に所定の幅を有する空間が形成されており、この空間が送出口78となっている。
これら第1入球口70、第2入球口71、第3入球口72及び送出口78は遊技球が入球可能又は送出可能な大きさに形成されている。なお、本実施の形態では、上記した構成で第1入球口70、第2入球口71、第3入球口72及び送出口78を形成しているが、これ以外の構成で第1入球口70、第2入球口71、第3入球口72及び送出口78を形成してもよい。
入球空間73は、第1上壁部66、第2上壁部67、第1下壁部68及び第2下壁部69によって囲まれた空間である。この入球空間73は、第1入球口70、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球した遊技球が第1始動入賞案内部76、第2始動入賞案内部77又は送出口78のいずれかに向けて流下等するための空間である。上記した第1軸受部74、規制部材支持部75、第1始動入賞案内部76、第2始動入賞案内部77は、この入球空間73内に形成されている。また、入球空間73には、第1入球口70から入球した遊技球が第1始動入賞口121に向けて流下する第1流下経路R1(図5参照)と、第1入球口70から入球した遊技球が第2始動入賞口123に向けて流下する第2流下経路R2(図5参照)と、第1入球口70から入球した遊技球が送出口78に向けて流下する第3流下経路R3(図5参照)が形成されている。なお、後述するが、第1入球口70から入球した遊技球が第1流下経路R1を経て第1始動入賞口121に入賞するか、第2流下経路R2を経て第2始動入賞口123に入賞するか、又は流下経路R3を経て送出口78から送出されるかは、後述する振分部材101によって決定される。
第1軸受部74は、後述する回動軸90の一端部を支持するためのものであり、この回動軸90の一端部が挿入支持できる大きさに開口形成されている。本実施の形態では、第1軸受部74は、前カバー部材61の裏面から後側に向けて突出させることで形成しているが、これに限定されるものではない。
規制部材支持部75は、後述する規制部材102を支持するためのものである。本実施の形態では、規制部材支持部75は、第1軸受部74の下方において、前カバー部材61の裏面から後側に向けて突出させて形成しているが、規制部材102を支持することができれば、この形状に限定されるものではない。
第1始動入賞案内部76は、第1入球口70、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球した遊技球を第1始動入賞口121に向けて案内するためのものである。この第1始動入賞案内部76は、前カバー部材61の裏面から後側に向けて形成されている。また、第1始動入賞案内部76は、第1下壁部68と連続的に形成されている。なお、本実施の形態では、第1始動入賞案内部76は、第1下壁部68と連続的に形成されているが、これらは別体として形成されていてもよい。
第2始動入賞案内部77は、第1入球口70、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球した遊技球を第2始動入賞口123に向けて案内するためのものである。この第2始動入賞案内部77は、前カバー部材61の裏面から後側に向けて形成されている。また、第2始動入賞案内部77は、第2下壁部69と連続的に形成されている。なお、本実施の形態では、第2始動入賞案内部77は、第2下壁部69と連続的に形成されているが、これらは別体として形成されていてもよい。
送出口78は、第1入球口70、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球した遊技球を入球空間73から再度遊技領域16へ送出するためのものである。この送出口78は、上記した第1入球口70、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球した遊技球を第1始動入賞装置33の外部である遊技領域16内に送出させることが可能な幅寸法を有する大きさに形成されている。送出口78は、第1始動入賞案内部76と第2始動入賞案内部77との間に形成されている。即ち、第1始動入賞口121及び第2始動入賞口123が所定間隔をあけて隣接するように形成されており、送出口78は、これら第1始動入賞口121及び第2始動入賞口123の間に形成されている。なお、本実施の形態では、送出口78は、第1始動入賞案内部76と第2始動入賞案内部77との間に形成されているが、入球空間73内の遊技球を第1始動入賞装置33の外部へ送出することができれば、この位置に限定されるものではない。
始動入賞装置本体62は、第1始動入賞装置用ベース部材31の裏側から該第1始動入賞装置用ベース部材31に取付固定されるように形成されている。図3及び図4に示すように、始動入賞装置本体62は、前側に振分部91及び入賞部92が形成されている。また、始動入賞装置本体62は、後側に発光基板63及び裏カバー部材64を取付固定することができるように構成されている。振分部91は、始動入賞装置本体62の前側において、該始動入賞装置本体62の上部に位置するように形成されている。振分部91には、左右方向の略中央部に凹部93が形成されており、この凹部93に後述する振分体94が設置される。凹部93は、後述する振分体94を構成する振分部材101が回動可能で、かつ振分体94を構成する規制部材102が取付可能な大きさに形成されている。また、この凹部93の略中央には、第2軸受部95及び規制部材取付部96が形成されている。第2軸受部95は、回動軸90の他端部を支持するためのものであり、この回動軸90の他端部が挿入支持できる大きさに開口形成されている。規制部材取付部96は、後述する規制部材102を取付固定するためのものである。本実施の形態では、規制部材取付部96は、規制部材102に形成された固定ピン111が嵌合可能な孔として形成されているが、これに限定されるものではない。また、振分部91には、裏側に維持部材としての磁石98を配置するための維持部材設置部97が形成されている。通常は、この維持部材設置部97に維持部材を構成する磁石98が配置されている。
入賞部92は、始動入賞装置本体62において、振分部91の下方に位置するように配置されている。この入賞部92には、裏カバー部材64を構成する後述する第1始動入賞口形成部119との干渉を防止する第1干渉防止孔99と、第2始動入賞口形成部120との干渉を防止する第2干渉防止孔100とが開口形成されている。
回動軸90は、後述する振分部材101を回動自在に支持するためのものである。この回動軸90は、本実施の形態では金属製の軸部材を用いているが、振分部材101を回動可能に支持することができれば、金属以外のものを用いて形成してもよい。
振分体94は、振分部材101及び規制部材102を備えている。振分部材101は、回動軸90を軸中心として所定角度だけ回動することができるように始動入賞装置本体62に配置されている。この振分部材101は、第1入球口70から入球した遊技球を第1始動入賞案内部76、第2始動入賞案内部77又は送出口78のいずれかに振り分けるためのものである。この振分部材101は、第1球受け片103、第2球受け片104及びこれら第1球受け片103及び第2球受け片104の間に形成された中間球受け片105を有している。また、振分部材101には、第1球受け片103と中間球受け片105との間に第1受入部106が形成され、第2球受け片104と中間球受け片105との間に第2受入部107が形成されている。第1受入部106及び第2受入部107は、第1入球口70から入球した遊技球を受け入れることができるように形成されている。また、振分部材101には、回動軸90が挿通可能に形成された回動軸孔108が貫通形成されている。
振分部材101は、回動軸孔108に挿通された回動軸90を中心として、第1姿勢と第2姿勢との間で回動しつつ変位することができるように構成されている。ここで、第1姿勢は、第1受入部106に受け入れた遊技球を第1始動入賞口121側、即ち第1始動入賞案内部76に向けて案内する姿勢であり、第2姿勢は、第2受入部107に受け入れた遊技球を第2始動入賞口123側、即ち第2始動入賞案内部77に向けて案内する姿勢である。また、振分部材101には、裏面側から表面側に向けて維持部材としての磁石109を配置することが可能な大きさに形成された維持部材導入孔110が形成されている。この磁石は、始動入賞装置本体62に設けられた磁石と反発し合うように設けられており、振分部材101が少なくとも第1姿勢又は第2姿勢となっている時に、この第1姿勢又は第2姿勢のいずれかの状態を維持することができるように構成されている。
規制部材102は、振分部材101が第1姿勢を超える位置又は第2姿勢を超える位置への回動を規制するためのものである。この規制部材102は、始動入賞装置本体62の振分部91において、振分部材101の下方に位置するように設けられている。この規制部材102には、始動入賞装置本体62の前面と対向する対向面側の端部に、始動入賞装置本体62に形成されている規制部材取付部96と嵌合可能な固定ピン111が形成されており、この固定ピン111を規制部材取付部96に嵌めることで、凹部93内における規制部材102の位置決めを行うことができるように構成されている。なお、規制部材102は、上記した固定ピン111と規制部材取付部96によって位置決めが行われ、固定ピン111が形成されていない他端部を前カバー部材61の裏面側に形成された規制部材支持部75で支持することにより固定される。
規制部材102は、第1球受け片103と当接する第1当接面113及び第2球受け片104と当接する第2当接面114を有している。また、規制部材102には、第1当接面113及び第2当接面114の間に、これら第1当接面113及び第2当接面114の高さ位置よりも上部に盛り上がるように形成された隆起部115が形成されている。
発光基板63は、所定個数のLED等のような発光部材が基板に設けられたもので、遊技機1における遊技の状態に応じて発光するように構成されている。この発光基板63は、始動入賞装置本体62の後側に取付固定されている。また、発光基板63には、裏カバー部材64を構成する後述する第1始動入賞口形成部119との干渉を防止するための第1逃げ孔116と、第2始動入賞口形成部120との干渉を防止するための第2逃げ孔117とが開口形成されている。なお、本実施の形態では、発光基板63として、LED等を基板に設けたものを使用しているが、これに限定されるものではない。
裏カバー部材64は、裏カバー基板118、第1始動入賞口形成部119及び第2始動入賞口形成部120を備えている。裏カバー基板118は、裏カバー部材64のベースとなる部材であり、始動入賞装置本体62の裏側において、発光基板63を間に挟むようにして該始動入賞装置本体62にネジ止め等によって取付固定されるように形成されている。第1始動入賞口形成部119は、裏カバー基板118の表面から前側に向けて形成されている。この第1始動入賞口形成部119は、表面側に第1始動入賞口121が開口形成しており、この第1始動入賞口121から後側に向けて、遊技球が転動可能に形成された第1転動部122が内部に形成されている。第2始動入賞口形成部120は、裏カバー基板118の表面から前側に向けて形成されている。この第2始動入賞口形成部120は、表面側に第2始動入賞口123が開口形成しており、この第2始動入賞口123から後側に向けて、遊技球が転動可能に形成された第2転動部124が内部に形成されている。
図1に示すように、大入賞装置22は、遊技盤11において演出装置12の下方であって遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。大入賞装置22は、大入賞装置用ベース部材に大入賞口(図示せず)が開口形成されると共に、この大入賞口を開閉する扉部材132が大入賞装置用ベース部材に開閉自在に取り付けられている。遊技機1では、上記した大当り抽選に当選して特別遊技状態に移行した場合に、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するか、又は所定時間(例えば30秒)が経過するまでの間、扉部材132が開いて大入賞口に遊技球が入賞し、その入賞した遊技球の数に対応した数の賞球を払い出す。
通過ゲート23は、遊技盤11の上下方向の略中央であって該遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。通過ゲート23は、遊技球が通過可能な大きさに形成された通過入賞口(図示せず)を有している。遊技球が通過入賞口を通過すると、予め定められた確率の下で抽選を行う。抽選の結果は、遊技盤11の下部に設けられている普通図柄表示装置35に表示される。
第2始動入賞装置ユニット24は、遊技盤11において通過ゲート23と大入賞装置22との間の高さ位置であって、遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。第2始動入賞装置ユニット24は、第3始動入賞口138が形成されるとともに該第3始動入賞口138を開閉するための開閉扉133が設けられた第2始動入賞装置134、第2普通入賞口(図示せず)を有する第2普通入賞装置135、第3普通入賞口(図示せず)を有する第3普通入賞装置136が第2始動入賞装置用ベース部材137に設けられて構成されている。これら第3始動入賞口138、第2普通入賞口及び第3普通入賞口は、いずれも遊技球が入賞可能な大きさに開口形成されている。遊技機1では、第2始動入賞口123に遊技球が入賞すると、特別遊技状態に移行するか否かを抽選する大当り抽選を行う。大当り抽選の結果は、普通図柄表示装置35とともに遊技盤11の下部に設けられている特別図柄表示装置36で表示する。
次に、本実施の形態に係る遊技機の第1始動入賞装置の作用を図5〜図7に基づいて説明する。まず、本実施の形態に係る遊技機に関して、第1始動入賞口121に遊技球が入賞した場合と、第2始動入賞口123又は第3始動入賞口138に遊技球が入賞した場合との相違について説明する。本実施の形態に係る遊技機では、第1始動入賞口121に遊技球が入賞した場合も、第2始動入賞口123又は第3始動入賞口138に遊技球が入賞した場合も、遊技者に有利な特別遊技状態へ移行するか否かを抽選する大当り抽選が行われ、その時の大当り抽選において特別遊技状態へ移行する確率、確率変動の確率は同じに設定されている。しかし、第1始動入賞口121に遊技球が入賞した場合と第2始動入賞口123又は第3始動入賞口138に遊技球が入賞した場合とでは、特別遊技状態におけるラウンド数を抽選する確率が異なるように設定されている。即ち、遊技機1では、第1始動入賞口121に遊技球が入賞した場合には、特別遊技状態において15ラウンドの遊技が行われる確率は例えば10%と設定され、2ラウンドの遊技が行われる確率は例えば90%と設定されている。これに対し、遊技機1では、第2始動入賞口123又は第3始動入賞口138に遊技球が入賞した場合には、特別遊技状態において15ラウンドの遊技が行われる確率は例えば100%と設定され、2ラウンドの遊技が行われる確率は例えば0%と設定されている。
本実施の形態に係る遊技機の第1始動入賞装置33では、第1入球口70に遊技球が入球する時は、振分部91が図6に示す第1姿勢又は図7に示す第2姿勢となっている。ここでは、第1始動入賞装置33が図6に示す第1姿勢になっている例を挙げて説明する。図6に示すように、第1始動入賞装置33が第1姿勢になっている場合には、第1球受け片103と中間球受け片105との間に形成された第1受入部106が第1入球口70の下方に位置している。また、第2球受け片104は、該第2球受け片104の下面が規制部材102の第2当接面114に当接している。そのため、振分部材101が第1姿勢を越えた位置まで回動することなく、該第1姿勢を維持している。この時、振分部材101の維持部材導入孔110には磁石109が導入されており、また始動入賞装置本体62の維持部材設置部97には磁石98が設けられている。これら磁石98と磁石109とは、互いに反発し合うように設けられている。そのため、振分部材101が第1姿勢又は第2姿勢のいずれかの姿勢にあるときは、これら磁石98と磁石109との反発力によって、その姿勢を維持している。
遊技者が遊技を開始すると、遊技領域16内を遊技球が流下する。流下する遊技球の一部は、第1始動入賞装置33に入賞する。図6に示すように、遊技球Sが第1始動入賞装置33に入賞する時は、遊技領域16内を流下した後に第1入球口70に入球する。そして、第1入球口70に入球した遊技球は、該第1入球口70と対向するように配置されている第1受入部106に受け入れられる。
第1受入部106に受け入れられた遊技球Sは、第1受入部106内にて第1球受け片103と当接する。そして、遊技球Sが第1球受け片103と当接すると、遊技球Sに作用する力の一部が第1球受け片103に作用する。この時、遊技球Sによって第1球受け片103に作用する力の大きさは磁石98と磁石109とにより作用する反発力の大きさよりも大きい。そのため、振分部材101の第1受入部106によって遊技球Sが受け入れられると、振分部材101は、回動軸90を中心に図6中のA方向に回動する。
振分部材101は、第1受け片103の下面が規制部材102の第1当接面113に当接するまで回動する。本実施の形態によれば、このように第1始動入賞装置本体62に規制部材102が設けられており、規制部材102に第1当接面113及び第2当接面114が形成されているので、振分部材101が回動を行う時に、振分部材101の下面と第1当接面113とが当接することで、第1姿勢を越える位置まで回動することを確実に防止することができ、第1姿勢を確実に維持することができる。同様に、振分部材101が回動を行う時に、振分部材の下面と第2当接面114とが当接することで、第2姿勢を越える位置まで回動することを確実に防止することができ、第2姿勢を確実に維持することができる。
振分部材101が図6に示す第1姿勢から図7に示す第2姿勢になるまで回動すると、第1受入部106において受け入れられた遊技球Sは、第1球受け片103の上面を転動して振分部材101の更に下方へ流下する。この時、遊技球は、第1流下経路を経て第1始動入賞口121に入賞するか、又は第3流下経路を経て送出口78から第1始動入賞装置33の外部へ送出されて、遊技領域16内を再度流下する。第1受入部106から流下した遊技球Sが第1始動入賞口121へ入賞するか、又は送出口78から送出されるかは、遊技球の流下の仕方による。したがって、第1入球口70に遊技球Sが入球した場合であっても、遊技球Sが第1始動入賞口121に入賞するとは限らず、送出口78に送出される場合もある。そのため、遊技球Sが第1入球口70に入球した後の遊技者の興趣を低下させず、より興趣を向上させることが可能になる。
振分部材101は、遊技球Sが第1流下経路R1又は第3流下経路R3を経て流下した後は、図7に示すように第2姿勢となり、上記した磁石98と磁石109との反発力によって、第2姿勢が維持される。この時、第1入球口70の下方には、第2受入部107が位置している。この状態となっている時に遊技球Sが第1入球口70から入球すると、その入球した遊技球は第2受入部107に受け入れられる。第2受入部107に受け入れられた遊技球Sは、第2受入部107内において第2球受け片104と当接する。そして、遊技球Sが第2球受け片104と当接すると、遊技球Sに作用する力の一部が第2球受け片104に作用する。この時、遊技球Sによって第2球受け片104に作用する力の大きさは磁石98と磁石109とにより作用する反発力の大きさよりも大きい。そのため、振分部材101の第2受入部107に遊技球Sが受け入れられると、振分部材101は、回動軸90を中心に図7中のB方向に回動する。
振分部材101が図7に示す第2姿勢から図6に示す第1姿勢になるまで回動すると、第2受入部107に受け入れられた遊技球Sは、第2球受け片104の上面を転動して振分部材101の更に下方へ流下する。この時、遊技球Sは、第2流下経路R2を経て第2始動入賞口123に入賞するか、又は第3流下経路R3を経て送出口78から第1始動入賞装置33の外部へ送出されて、遊技領域16内を再度流下する。第2受入部107から流下した遊技球Sが第2始動入賞口123に入賞するか、又は送出口78から送出されるかは、遊技球Sの流下の仕方による。したがって、第1入球口70に遊技球Sが入球した場合であっても、遊技球Sが第2始動入賞口123に入賞するとは限らず、送出口78に送出される場合もある。そのため、遊技球Sが第1入球口70に入球した後の遊技者の興趣を低下させることなく、更により興趣を向上させることが可能になる。
また、本実施の形態に係る遊技機1における第1始動入賞装置33は、振分部材101が第1姿勢と第2姿勢との間で回動するので、遊技球Sが第3流下経路R3を経て送出口78から送出されない場合には、第1入球口70から入球した遊技球Sは、第1流下経路R1を経て第1始動入賞口121に入賞するものと、第2流下経路R2を経て第2始動入賞口123に入賞するものとが交互に振り分けられる。したがって、本実施の形態に係る遊技機1における第1始動入賞装置33によれば、第1始動入賞口121に入賞することにより行われる大当り抽選と、第2始動入賞口123に入賞することにより行われる大当り抽選とが交互に行われることになる。上記した通り、第1始動入賞口121に入賞することにより行われる大当り抽選と、第2始動入賞口123に入賞することにより行われる大当り抽選とでは、特別遊技状態に移行した後のラウンド数の当選確率が異なるように設定されているため、ただ単に第1始動入賞口121に遊技球を入賞させて特別遊技状態における遊技を行い、その後第2始動入賞口123に遊技球を入賞させるといった遊技を行う場合に比べて、遊技者の興趣をより効果的に増加させることが可能になる。
また、図6及び図7に示すように、本実施の形態に係る遊技機1の第1始動入賞口33は、第1入球口70よりも下流側の位置に第2入球口71及び第3入球口72が形成されている。したがって、遊技領域16を流下する遊技球が第1入球口70に入球しなかった場合であっても、第2入球口71又は第3入球口72のいずれかから入球する可能性もある。特に、第2入球口71は第1始動入賞口121と隣接するように設けられ、第3入球口72は第2始動入賞口123と隣接するように設けられているため、第2入球口71から入球した遊技球Sは第1始動入賞口121に入賞するかもしれないという期待感、第3入球口72から入球した遊技球Sは第2始動入賞口123に入賞するかもしれないという期待感を遊技者に抱かせることができ、遊技の興趣をさらにより向上させることが可能になる。
特に、第3入球口72から遊技球Sが入球する場合には、その流下する遊技球Sは第2アウト口34に流入する可能性も有しているため、遊技者にとっては、第2アウト口34に流入する遊技球Sが第3入球口72に入球することも想定することができる。そのため、第2アウト口34の近傍に遊技球Sが流下した場合であっても、遊技者に対して、まだ入賞の可能性があることを視認させることができ、これによって遊技の興趣をさらに大幅に増加させることが可能になる。
以上、本発明に係る遊技機の実施の形態について詳細に説明したが、本明細書に記載した遊技機の構成及び作用効果は、本発明に係る遊技機に関する一つの例を示したに過ぎず、これに限定させるものではない。また、本発明に係る遊技機においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜その構成を変更してもよい。