以下、本発明の一実施例に係る遊技機であるぱちんこ遊技機について説明する。本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
<ぱちんこ遊技機の正面構成及びゲーム性の概要>
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技媒体である遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、同じく皿ユニット200に設けられ、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。下球皿16の下方に位置する下部前板18には複数のスピーカ19が設けられており、遊技状態や演出パターンなどに応じたBGMや各種効果音などが出力される。
遊技盤50は、扉14の陰に隠れた外レールと内レールにより区画された遊技領域52上に、アウト口58、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
また、遊技領域52の外における正面から見て左下の部位には、特別図柄等表示装置53が設置されており、この特別図柄等表示装置53には、図7(a)に示すように、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71が設けられている。なお、本実施例においては、第1特別図柄表示装置70及び第2特別図柄表示装置71を総称して特別図柄表示装置と称する場合もある。
図1及び図3に示すように、第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成(出力)する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物(所謂「電動チューリップ」。図示略。)と、普通電動役物を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成(出力)する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物が拡開されると、所謂電チューサポートがされている状態となり、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。
なお、第2始動入賞口63は第1始動入賞口62の下、すなわち第1始動入賞口62によって遊技球の入球が阻害される位置に設けられる。そのため、普通電動役物が拡開しない間は、第2始動入賞口63への入球は第1始動入賞口62により阻害されることとなり、第2始動入賞口63は入球困難な状態が維持される。したがって、遊技において第2始動入賞口63への入球を狙うためには、普通電動役物を拡開させる必要がある。なお、本実施例では、普通電動役物が拡開された結果、第2始動入賞口63への入球容易性は、第1始動入賞口62への入球容易性よりも高くなっているが、第1遊技と第2遊技の結果得られる利益等に応じて適宜設定すればよく、普通電動役物が拡開していない場合には一切入球しない構造、或いは第1始動入賞口62と同程度の開口巾を有するようにしても良い。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73(図3のブロック図を参照)を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成(出力)する。なお、一般入賞検出装置73は、一般入賞口に対して個々に有しても良いし、複数の一般入賞口72に入球した遊技球を一括して集合、検出しても良く、或いは各一般入賞口の配置位置(上下・左右)や設定される賞球個数(5個賞球と10個賞球)に応じて適宜グループ化して集合、検出しても良い。
図1に示すように、第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78(図3のブロック図を参照)と、第1大入賞口91を開閉させるための第1の開閉扉(図示略)、及び第1の開閉扉を駆動する大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための第2の開閉扉、及び第2の開閉扉を駆動する大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成(出力)する。
第1大入賞口91は、第1特別図柄192(図7(a)を参照)が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となるものであり、第1大入賞口91及び第2始動入賞口63の右側に設けられる。なお、本実施例では、第2大入賞口92として、後述する大入賞口装置600が用いられており、この大入賞口装置600には、前述の入賞検出装置79として2つの入賞センサ(図14(a)の符号79a、79b参照)が用いられているが、第2大入賞口92(大入賞口装置600)の詳細な構成や機能等については後述する。
なお、本実施例においては、第1大入賞口91、第2大入賞口92の前方に装飾板91b,92bが各々設けられており、各装飾板には、遊技領域52を装飾するための文字や図形などが描かれている。この装飾板91b,92bには、第1の開閉扉、第2の開閉扉、第1大入賞口91、及び第2大入賞口92を遊技者が視認できるように透明な材質が採用されているが、装飾板91b,92bを不透明としてもよい。また、第1大入賞口91と第2大入賞口92は1の大入賞口(たとえば第1大入賞口91)のみを配置して共通的に利用しても良い。
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に離れて第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接する形で設けられている(図7(a)を参照)。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに大当りが発生し特別遊技(後述する)が実行される。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに大当りが発生し特別遊技(後述する)が実行される。
第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば右下隅にドットが付加された7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「8」の10種類の数字と記号αおよび記号βで表される。
なお、記号αと記号βは、7セグメントLEDのセグメント組み合わせで表示できる点灯パターンであって、そのパターン自体が文字等の意味をもつ配置とはなっていないものを示す。そのようなパターンを本明細書では便宜上「記号」と称し、その種類を区別するために「記号α」「記号β」として表記する。ちなみに、図7(a)における第2特別図柄の右側には、特別遊技における単位遊技の回数を示すラウンド数表示装置(図番省略)が2桁の7セグメントLEDとして設けられており、後述する第1又は第2特別遊技の発生に応じて両特別遊技のラウンド数を共用的に表示するようになっている。
図7(b1),(b2)に示すように、演出図柄表示装置60の表示領域194には、第1特別図柄192や第2特別図柄193に係る演出に用いられる左の装飾図柄190a、中の装飾図柄190b、右の装飾図柄190cの変動や停止の様子が表示される。さらに、演出図柄表示装置60の表示領域194には、第1特別図柄192や第2特別図柄193に関係する各種の予告表示、演出のための各種のカットイン表示、及び、各種の背景表示なども行われる。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190a〜190cは、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190a〜190cとして、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。
演出図柄表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。また、本実施例では、装飾図柄190a〜190cを、演出図柄表示装置60において、第1特別図柄192と第2特別図柄193とで共通で採用したものを例示しているが、個別に表示したり、装置自体を別個に設けてもよく、本実施例のように共用する場合にはいずれの特別図柄に対応した表示であるかを示す表示を演出図柄表示装置60の隅部に表示しても良い。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置で、且つ、第2大入賞口92の右上方の位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69(図3を参照)を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成(出力)する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レールと外レールに案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」、「入球」、「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される(図7(b1)を参照)。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190a〜190cの変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される(図7(b2)を参照)。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190a〜190cは、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が最大回数である16回(16R(ラウンド))繰り返される特別遊技と、単位遊技が最少回数である4回(4R(ラウンド))だけ繰り返される特別遊技などがある。また、大当りの種類に応じて、16回の単位遊技を行う特別遊技、及び、4回の単位遊技を行う特別遊技の何れにも複数の態様が設定されているが、具体的な大当りの種類や特別遊技の態様については後述する。また、各ラウンドにおいては、第1大入賞口91または第2大入賞口92において、所定数(例えば9個)の遊技球が検出された場合、又は、開放して所定時間(例えば約30秒)が経過した場合に、終了条件が成立して第1大入賞口91または第2大入賞口92が閉鎖される。
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが所定の小当り態様であった場合、小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。本実施例に係るぱちんこ遊技機10の小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を4回繰り返すので、外観上は一部の4R大当りと同様の動作態様となる。なお、小当り遊技についても前述した特別遊技のように複数の小当り種類を設け、開放する大入賞口や1単位遊技内の開放回数、開放パターンにバリエーションを持たせても良く、この種類の決定も特別遊技の種類を決定した際の手法と同様、小当りとなった特別図柄に基づき、或いは個別の抽選により行うことができる。また、種類として複数の態様のうち、小当りであることが外観上判別しやすい開放パターンを一部に設けて遊技性を広げることもできる。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮遊技(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例においては、確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。また、16R大当りの場合、及び、4R大当りの場合の何れにおいても、その特別遊技の終了後に確変が開始される場合とされない場合がある。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。
第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cの時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。この時短中の入球容易状態は、普通図柄(後述する)の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物の開放延長が実施されることにより第2始動入賞口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物の開放延長は、普通電動役物の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動入賞口63への入球容易性も増すため、第2始動入賞口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cの時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動入賞口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
なお、本実施例における時短中の入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物の開放延長という3つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動入賞口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
また、本実施例においては、第1特別図柄192について小当りが発生した場合は、その小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として限定頻度パターンテーブル(図示略)が参照される。このとき、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかに応じて異なる態様で第1特別図柄192の限定頻度パターンテーブルが参照され、変動パターンが選択される。例えば第2特別図柄193がはずれ図柄αで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として10回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。また、第2特別図柄193がはずれ図柄βで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として20回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。これにより、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかによって異なる態様で特別な演出を実行することができるので、演出の設計の幅を広げることができる。なお、以下では状況に応じて、限定頻度パターンテーブルを用いて行われる演出を限定頻度パターン演出と称する。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、前述の普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は特別図柄等表示装置53に設けられており、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物が所定時間拡開する。なお、本実施における「ランプ」の用語はLED等も含む意味を有している。
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。多数の遊技効果ランプ(LED等、図示しない)がセンター飾り64の内部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。また、センター飾り64には、可動演出部材93,94が設けられており、これらが演出用のギミックを構成している。さらに、センター飾り64の、正面から見て右側の部位には遊技球通路部65が形成されている。そして、遊技球を遊技領域52の右側に向けて発射する所謂右打ちが行われると、センター飾り64の上方を通った遊技球が、この遊技球通路部65を流下して、作動口68や第2大入賞口92が配置された領域へ向かうことが可能となっている。
また、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59に隣接して設けられる。
第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193いずれかの変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
すなわち、先に行われている図柄変動が終了していない場合には変動開始条件が成立せず、新たな図柄変動は開始されないが、当該図柄変動が終了すると変動開始条件が成立し、新たな図柄変動が開始されることとなる。この際、保留記憶されていた乱数値を用いた抽選が実行され、大当りの有無や図柄の変動パターンなどが決定される。なお、本実施例の場合は、前述のように第2の遊技が優先的に実行されるので、第1特別図柄192については、第2特別図柄193の保留抽選値に対応する図柄変動が全て終わって、保留抽選値が全て消化されたことも変動開始条件となる。
普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。この操作ボタン82は、上球皿15の上部の外壁面に設けられており、上球皿15の左右方向の中央近傍に位置している。
操作ボタン82は、ボタン演出が実行された場合に遊技者によって操作され、遊技者に対し、自分が遊技の演出や当否抽選に参加しているような感覚を与える機能を発揮するものである。ボタン演出としては、例えば装飾図柄の変動表示過程で行われるリーチ演出中に、演出図柄表示装置60の表示領域194に操作ボタン82の図柄とともに、「Push」、「連打せよ」、「長押しせよ」等といった文字や、或いは残り時間を示すインジケータの動画などが表示され、遊技者がこれに従って操作ボタン82を操作すると、登場人物がコメントを発するような演出や、味方キャラクタが敵キャラクタに対する攻撃を行うような演出が挙げられる。また、本実施例においては、操作ボタン82の操作に応答して可動演出部材93,94が所定の動作を行った場合には、その時のリーチ演出に係る大当りの信頼度が高く、操作ボタン82を操作しても可動演出部材93,94が所定の動作を行わない場合には、その時のリーチ演出に係る大当りの信頼度が低い、といった態様で演出が実行されることもある。
通常時は操作ボタン82の操作が無効となっているが、ボタン演出中は操作ボタン82の操作が有効となるボタン操作有効期間となっている。ボタン操作有効期間は、予め設定された一定時間となっている。なお、操作ボタン82に振動モータ(図示略)を組み合わせて、操作ボタン82を振動させる振動演出や、操作ボタン82の動作範囲を拡大して操作ボタン82を突没させるといった演出態様や、操作ボタン82を比較的大きく突出させるといった演出態様を実行することも可能である。
演出図柄表示装置60の表示領域194の下部には、図7(b1),(b2)中に示すように、第1の遊技における当否抽選値の保留数を示す第1保留数表示部196と、第2の遊技における当否抽選値の保留数を示す第2保留数表示部197とが表示される。ちなみに、保留表示については第1の遊技、第2の遊技の保留数が増加すると、夫々の遊技者からみて左側(図7(a)でも左側)を基準として順次表示が変化するようになっており、通常遊技時に多く入賞する第1始動入賞口62側(第1の遊技)の保留表示を基準側(左側)に、通常時にほとんど入賞しない第2始動入賞口63側(第2の遊技)の保留表示を右側に表示している。これは通常時の保留状態を遊技者が直感的に把握しやすくなることが期待できるためである。なお、普通図柄表示装置59の表示内容に対応した普通装飾図柄を、普通図柄表示装置59とは別途設けてもよく、この場合は、例えば演出図柄表示装置60を利用することが可能である。
<<本実施例における主要な演出内容の概要>>
本実施例においては、多数の演出パターンが備えられ、遊技の状況に応じて選択された演出パターンに応じて、演出図柄表示装置60に動画が表示される。各状況における演出パターンは、選択された演出パターンに更に、所定のキャラクタやアイテムの動画などを組合わせることで構成される場合もある。さらに、ぱちんこ遊技機10においては、用意された演出パターンの中には、所謂バトル演出が含まれている。このバトル演出は、例えば演出上の複数の登場人物が、主人公側とその敵役側とに分けられ、主人公側の登場人物と敵役側の登場人物とが格闘や戦闘をする様子の動画を表示するものである。
さらに、バトル演出には、主人公側の登場人物が闘いの結果勝利する内容の「バトル成功演出」や、主人公側の登場人物が敗北する内容の「バトル失敗演出」が含まれている。また、多くの種類の演出パターンの中には、「潜伏演出」も設けられている。この「潜伏演出」は、当否抽選が高確率で行われる確変中であっても、演出図柄表示装置60等を用いた演出上は確変中であることを報知せず、高確率中であるのか通常確率中であるのかの区別を遊技者に知覚されないよう表現した内容のものである。この「潜伏演出」については、代表的には、特別遊技が終了した後の遊技において、例えば数十回の第1特別図柄192(及び装飾図柄190a〜190c)の変動表示に亘って実行される、といった使い方がされる。
<<大当りに伴う遊技の概要>>
第1の遊技において大当り(第1特図当り)が発生した場合、第1大入賞口91を用いた特別遊技が実行される。そして、第1の抽選に係る大当りの種類に応じたパターンで第1大入賞口91が開放動作し、出球の有無や出球の量についての結果が得られる。また、発生した大当りの種類に応じて、特別遊技の終了後の確変や時短の有無が決まる。
第1の遊技における大当りが確変を伴うものでなかった場合、本実施例では時短が付与されず、遊技者は、第1始動入賞口62を狙い続ける通常の発射手法である所謂左打ちを継続する。
一方、第1の遊技における大当りが確変を伴うもの(確変大当り)であった場合には、一部の大当りを除いて、特別遊技の後に右打ちを伴う遊技が行われる。すなわち、第1の遊技における特別遊技の終了後、演出図柄表示装置60の画像や音声などによって右打ちを促す演出が実行される。そして、遊技者が、発射ハンドル17の回動量を時計回りに増やして発射力を強め、遊技球を遊技領域52の右側の領域に向けて発射すると、センター飾り64の上方を通った遊技球が、センター飾り64の遊技球通路部65に進入し、センター飾り64を流下する。さらに、センター飾り64から放出された遊技球は、複数の遊技釘や他の構造物に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。
センター飾り64から放出された多数の遊技球のうちの一部は、作動口68(図1参照)を通過して通過検出装置69(図3を参照)により検出される。そして、前述のように、作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、前述の普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59(図3、図7(a)参照)に変動表示され、普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物が所定時間拡開する。
本実施例においては、遊技領域52の右側に達した遊技球を、釘等によって、第2始動入賞口63や第2大入賞口92の周辺に導くことが可能となっており、第2始動入賞口63の普通電動役物が1回拡開した際に、多くの場合は1個、状況によっては数個程度の遊技球が、第2始動入賞口63に入球し得るようになっている。さらに、本実施例では、一部を除いた確変大当りには時短が付加されるようになっており、時短中は普通電動役物の開放延長が行われる。ここで、時短中でない場合に普通電動役物の開放を行ってもよく、この場合の開放パターンも、比較的短時間(例えば0.5秒程度)のものや比較的長時間のもの(例えば2〜3秒程度)、或いはこれらの組合せによるものなど、種々の開放パターンを採用できる。
第2始動入賞口63への入球に基づき、第2の遊技の大当り(第2特図当り)が発生した場合、第2大入賞口92を用いた特別遊技が実行される。そして、前述した第2の抽選に係る大当りの種類に応じたパターンで第2大入賞口92が開放動作し、出球の有無や出球の量についての結果が得られる。また、前述のように、発生した大当りの種類に応じて、特別遊技の終了後の確変や時短の有無が決まる。
なお、大当り、特別遊技、右打ち、時短、電チューサポート等の関係については、上述のものに限らず、例えば、第1の遊技又は第2の遊技に係る特別遊技中に右打ちを行うもの、確変を伴わない通常大当りに係る特別遊技後について時短を付与するもの、一部の確変大当りについては特別遊技後に時短を付与しないものなど、種々の関係を採用することが可能である。
<ぱちんこ遊技機の背面構成及び電気的構成の概要>
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。図2に示すように前枠12の背面には、遊技球を誘導又は回収するための機構を備えたセット基盤39が取着されており、このセット基盤39の下方に、遊技機全体に電源を供給するための電源ユニット48、遊技機枠側の制御を行う払出制御基板45が取り付けられている。また、遊技盤背面には、遊技全体を統括制御するメイン基板(主制御基板)102、メイン基板102から受信される情報や独自に入力される情報に基づいて液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)等の各種演出装置の動作を制御するサブ基板104がセット基盤39の開口に対応するような位置に取り付けられている。
セット基盤39には、その上部に賞球を貯留する賞球タンク44、賞球タンク44に貯留された遊技球を整流案内する賞球通路、賞球通路と連絡し賞球タンク44内に貯留された球を1球単位で下方に流下排出可能な払出ユニット43、払出ユニット43から流下された遊技球を賞球として球皿(上球皿15又は下球皿16)に案内する賞球排出通路が図2のように遊技盤の上方から背面視右側部に亘って逆L字状に形成・配置されるとともに、遊技盤の背面中央に対応する位置に適宜広さの開口部が設けられている。
電源ユニット48は図2のように遊技機の背面視左下に設けられており、遊技機外部から供給される交流電源を遊技機全体(メイン基板102、サブ基板104を含む制御装置や液晶ユニット42等の演出装置など)で使用する各種の電圧に変換・生成して供給するものである。電源ユニット48の右側には、電源ユニット48から遊技機各部へ供給する電源を遮断するために傾倒スイッチで構成される電源スイッチ40が、遊技球が直撃落下してもオフにならないように、下側に傾倒したとき(スイッチの中央より下を押したとき)にオンとなるように設けられている。
払出制御基板45は、図2のように遊技機の背面視右下に設けられており、主に、メイン基板102からの払出に係る指令や外部からの貸出要求に応じて払出ユニット43を制御する払出制御機能と、発射ハンドル17の操作量に応じた強度で遊技球を遊技領域に発射するように発射装置を制御する発射制御機能とを備えたものであり、CPU・ROM・RWM(リードライトメモリ、以下略。)を中心に適宜入出力回路等を備えている。
メイン基板102は、図2のように遊技盤50の背面視中央下部に設けられており、主に、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したことに基づく抽選処理等、遊技機の出球に関する処理や、サブ基板(演出制御基板)104、払出制御基板45等に対する制御指令(制御コマンド)、遊技状態情報等を出力する処理など、遊技機全体の中心的な制御機能を備えたものであり、前述の払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。
サブ基板104は、図2のように遊技盤の背面視中央上部に、液晶ユニット42と一体的に設けられており、主に、液晶ユニット42(演出図柄表示装置60)における表示内容を制御する機能を備えたものであり、先のメイン基板102、払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。なお、サブ基板104は画像を制御する機能を有する関係上、サブ基板用の主CPUに加え、画像用のVDP、VDPを制御する画像制御専用のCPUも搭載している。
そして、これらのメイン基板102、払出制御基板45、およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。なお、メイン基板102、払出制御基板45、およびサブ基板104の詳細については後述する。また、サブ基板104については、演出制御の主体的な機能を担う主サブ基板(本実施例ではサブメイン基板301)と、画像作成などの特定の演出機能に特化した副サブ基板(本実施例ではサブサブ基板302)とに分かれているが、「サブ基板」の用語はこれらを総称したものである。そして、サブメイン基板301とサブサブ基板302の詳細については後述する。また、セット基盤39の図2中における右上部には、メイン基板102や払出制御基板45等からの信号をぱちんこ遊技機10の外部の機器へ中継する外部中継端子基板49が設けられている。
<ぱちんこ遊技機の主要な機能ブロック及び機能の概要>
図3は、本実施例のぱちんこ遊技機10における遊技制御装置100と、遊技制御装置100に対する入出力機器とを機能ブロックにより示している。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ19、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。なお、実際には遊技制御装置100の機能の一部として存在する払出制御基板45及び、この払出制御基板45により制御される部分の機能については一般的なものを採用可能であるため、図3での記載及び説明は割愛し、必要な部分については、適宜説明する。
また、本実施例においてブロック図中のブロックとして説明されている構成(特に各種の機能的手段や機能的部分)については、CPUやROM、RWMによって実現されている機能に該当するものが含まれている。
<ぱちんこ遊技機の電気的構成の詳細>
次に、前述の各電気的構成(図2,図3参照)のうち主要なものについて説明する。先ず、図4に示すように、ぱちんこ遊技機10には、電源基板251、払出制御基板45、メイン基板102、及びサブ基板104が備えられている。電源基板251には、上記払出制御基板45等が接続されている。払出制御基板45には、上記メイン基板102、遊技球等貸出装置接続端子板252、及びハンドル接続基板253等が接続されており、メイン基板102には、遊技盤接続基板254や、演出インターフェースA基板(図示略)等が接続されている。そして、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256が接続されている。
ここで、電源基板251は、前述の電源ユニット48に備えられている。また、払出制御基板45には、図示を省略するが、エラーの種別の表示などに用いられる状態表示部や、球貸しに係る金銭処理や球貸処理を実行するカードユニットなども接続されている。さらに、遊技球等貸出装置接続端子板は、球貨操作に用いられる球貨操作基板(図示略)等が接続される。ハンドル接続基板253には、発射装置のタッチスイッチ(図示略)や発射停止スイッチ(図示略)等が接続される。また、遊技盤接続基板254には、図柄表示基板256のほか、前述の通過検出装置69、普通電動役物ソレノイド76、第1大入賞口91の入賞検出装置78や大入賞口ソレノイド80、第2大入賞口92の入賞検出装置79や大入賞口ソレノイド81、一般入賞検出装置73,磁気センサや電波センサ(図示略)等が接続されている。さらに、図柄表示基板256は、前述の特別図柄等表示装置53に備えられているものであり、図柄表示基板256には、第1特別図柄表示装置70や第2特別図柄表示装置71が設けられている。
前述の演出インターフェースA基板は、メイン基板102と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースA基板には、サブ基板104や、演出インターフェースB基板(図示略)が接続されている。また、サブ基板104には、前述の液晶ユニット42が接続されている。
演出インターフェースB基板は、演出インターフェースA基板やサブ基板104と他の機器とを中継するものであり、この演出インターフェースB基板には、図示を省略するが、プラ枠接続基板、各種の枠電飾基板、各種の枠モータ、センター飾り64の各種電飾基板、可動演出部材93,94の各種の可動体モータ等が接続されている。ここで、枠モータは、遊技機枠に備えられた可動演出部材(図示略)の駆動に用いられるものである。
プラ枠接続基板には、上球皿15や下球皿16に設けられた皿電飾接続基板259、各種スピーカ19に接続される各種スピーカ接続基板のうちの下スピーカ接続基板260が接続されており、皿電飾接続基板259には、演出ボタン基板261が接続されている。演出ボタン基板261は、操作ボタン82が備えられたボタン装置に設けられているもので、操作ボタンが押圧操作されたことを検出するスイッチ(図示略)や、操作ボタン用発光体82a(図示略)等を搭載している。
次に、電源基板251やメイン基板102等の構成について説明する。図4に示すように、メイン基板102には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRWM503と、CPU501の外部に所定のデータの出力を行うデータ出力部516と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路(図示略)が内蔵されている。なお、ROM502としては、内蔵されたものと外付けされたものを併用してもよい。
RWM503は、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RWM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリア(図示略)の他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電(瞬間的な電圧降下による停電を含む)などの発生により電源が遮断された場合(電断が生じた場合)において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてぱちんこ遊技機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(電源断処理)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時の制御開始処理において実行される。バックアップエリア503aとしては、CPU501に対して外付けされバックアップ電源の接続された外部RWMを利用することが可能である。
メイン基板102には、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路部506が設けられている。この停電監視回路部506は、停電等の発生による電源遮断時に、メイン基板102のCPU501のNMI端子504、及び払出制御基板45のNMI端子514へ停電信号を出力するための回路である。停電監視回路部506は、電源基板251の電源部541から出力される最大電圧である直流安定(例えば30ボルト)の電圧を監視し、この電圧が所定電圧未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、電断信号をメイン基板102におけるCPU501のNMI端子504や他の基板へ出力する。電断信号の入力によって、メイン基板102におけるCPU501、払出制御基板45におけるCPU511は、即座にNMI割込処理を実行する。
なお、電源基板251の電源部541は、直流安定電圧が所定電圧未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、メイン基板102及び払出制御基板45は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
また、本実施例においては、サブメイン基板301にも、停電監視回路部506から電断信号に基づき、メイン基板102から、電断信号となり電源電圧の低下の有無を示す値(0又は1)が入力されている。サブメイン基板301のバックアップ機能については後述する。
なお、停電監視回路部506は、メイン基板102以外の部位に配置することも可能である。例えば、電源基板251上に停電監視回路部506を形成して、電源基板251上において停電監視回路部506から各基板へ電断信号を入力してもよい。また、メイン基板102から払出制御基板45への電断信号の入力を省略することも可能である。
払出制御基板45において、演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRWM513とを備えている。
払出制御基板45のRWM513は、メイン基板102のRWM503と同様に、ぱちんこ遊技機10の電源の遮断後においても電源基板251からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RWM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてぱちんこ遊技機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。
サブ基板104は、サブメイン基板301と、サブサブ基板302とにより構成されている。このうちサブメイン基板301は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRWM523と、入力ポート527と、出力ポート528、バスライン(図示略)などを備えている。そして、入力ポート527の入力側にはメイン基板102の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、CPU521、ROM522、ワークRWM523、及び出力ポート528などが接続されている。また、サブメイン基板301には、音出力制御に用いられる音制御回路820が備えられている。
サブサブ基板302は、ビデオRWM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート530と、出力ポート529と、バスライン(図示略)などを備えている。そして、入力ポート527の入力側にはサブメイン基板301の出力側が接続され、入力ポート530の出力側には、ビデオRWM524、キャラクタROM525と、画像コントローラ526、及び出力ポート529が接続されている。
サブメイン基板301のCPU521は、メイン基板102から送信される図柄表示用の演出制御コマンド(指令)に基づいて演出図柄表示装置60の表示を制御する。ROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRWM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
サブサブ基板302のビデオRWM524は、演出図柄表示装置60に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRWM524の内容を書き替えることにより、演出図柄表示装置60の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、演出図柄表示装置60に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRWM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRWM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出し、更に予め優先順位を定めたレイヤの順に図柄を重ねて演出図柄表示装置60に表示させるものである。
電源基板251は、ぱちんこ遊技機10の各部に電源を供給するための電源部541と、初期化スイッチ544を有する初期化スイッチ回路部543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、メイン基板102や払出制御基板45等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される所定の電圧を取り込み、各種スイッチ、モータ、ロジック回路等を駆動するための所定量の電圧をメイン基板102や払出制御基板45等に対して供給する。
初期化スイッチ回路部543は、電源投入時に例えば遊技場店員等によって初期化スイッチ544が押下された場合に、メイン基板102及び払出制御基板45へ、バックアップデータをクリアするためのRWM消去信号を出力する回路を備えている。メイン基板102及び払出制御基板45は、ぱちんこ遊技機10の電源投入時に、RWM消去信号を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
<メイン基板及びサブ基板の機能的構成>
次に、メイン基板102及びサブ基板104について機能的な側面から説明する。本実施例におけるメイン基板102は、図5に示すように、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、条件保持手段176、特別遊技制御手段120、特定遊技制御手段122、開閉制御手段124、小当り遊技制御手段330、事前情報通知手段157、コマンド送信手段332を備える。
一方、本実施例におけるサブ基板104は、前述のようにサブメイン基板301とサブサブ基板302とにより構成されており、このうちサブメイン基板301は、図6中に示すように、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。また、サブメイン基板301は、コマンド受信手段304、演出態様送信手段305を備える。さらに、サブ基板104には、スピーカ出力等の制御を行う音制御手段312と、遊技効果ランプ出力等の制御を行う光制御手段313とが備えられている。
なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブメイン基板301に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブメイン基板301に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブメイン基板301ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブメイン基板301の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブメイン基板301への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブメイン基板301に配置される。このようにメイン基板102からサブメイン基板301へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブメイン基板301に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブメイン基板301へ一方的に送信しない限りサブメイン基板301から参照することはできない。
また、サブサブ基板302は、サブメイン基板301と同じく図6中に示すように、演出態様受信手段308、演出実行手段309などを備えている。
<<メイン基板の主要な機能>>
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cの変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。本実施例では、第1当否抽選値及び第2当否抽選値として取得する乱数は、ハードウエアで構成された1の生成装置を共用したハードウエア乱数(CPU501の内部で生成される内蔵乱数)とソフトウエアの乱数生成プログラム(割込毎に更新するカウンタ等)により抽出したソフトウエア乱数(ソフト乱数)とを演算(加算)した2段構成の乱数発生手段により生成されている。ちなみに、取得タイミングが全く同一であれば第1始動入賞口の入球に基づくハードウエア乱数の値と第2始動入賞口の入球に基づくハードウエア乱数の値とは同一の値が取得されるため一方の乱数取得系のみが故障して想定外の遊技確率とならないように設計されている。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
<<当否抽選に係る置数>>
図8は、第1当否抽選値、或いは第2当否抽選値となる乱数値である特別図柄当り乱数(以下では「当否乱数」と称する)と抽選結果との対応を示している。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、及び、はずれの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117(図5参照)は、本判定としての当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が「63239〜63402」の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が「63239〜63402」の範囲に該当する場合だけでなく、「63403〜64878」の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。
また、本実施例においては、当否抽選値が「0〜63238」、及び「65535」となった場合、大当り範囲及び小当り範囲に該当しない真正のはずれとなる。すなわち、当否乱数値範囲の下限値である「0」から「63238」までの範囲と、上限値である「65535」に対応する抽選結果がはずれである。
さらに、当否抽選値が「64879〜65429」の場合には、第1の抽選においてのみ抽選結果が小当りとなり、第2の抽選おいては、抽選結果がはずれとなる。さらに、当否抽選値が「65430〜65534」の場合には、第1の抽選及び第2の抽選の何れにおいても、抽選結果は小当りとなる。つまり、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。本実施例においては、大当りに該当しなかった場合を広義にはずれと定めているが、広義のはずれの一部に小当りの抽選結果を割当てるゲーム性を採用していることから、説明を簡潔にするため、ここでは真正のはずれのみを狭義に「はずれ」と称する。
このように、当否乱数の数値範囲に対して、抽選結果毎に連続する数値からなるグループが形成されている。そして、例えば第1の抽選においては、図8中に示すように、数値範囲「0〜63238」が第1のはずれグループ、「63239〜63402」が第1の大当りグループ、「63403〜64878」が第2の大当りグループ、「64879〜65534」が小当りグループ、「65535」が第2のはずれグループとなっている。
そして、第1のはずれに対応する乱数個数は63239個である。さらに、大当り1に対応する乱数個数は164個であり、大当り2に対応する乱数個数は1476個である。そして、第1の遊技における通常確率時の大当り確率は164/65536であり、高確率時の大当り確率は1640(=1476+164)/65536である。さらに、小当りに対応する乱数個数は656個であり、小当り確率は656/65536である。
また、上述のように、当否乱数は「0〜65535」の範囲の値をとり得るものであり、本実施例では、当否乱数は「0〜65535」の数値範囲の内蔵乱数(ハードウエア乱数)と、「0〜65520」の数値範囲の特別図柄当りソフト乱数(ソフトウエア乱数)との合算により得られている。内蔵乱数は、内蔵乱数テーブルから抽出された値である。内蔵乱数テーブルにおいては、所定範囲の数値(例えば「0〜65535」)が任意の順序で配列されており、CPU501に入力されるクロックを用いハードウエア(カウンタ回路)によりカウント値が1ずつ加算される毎に、内蔵乱数テーブル中に任意に配列された数値が、数値の大小関係と直接には関係なく、配列された順序に従って取得対象となる。そして、取得された内蔵乱数テーブル中の数値が、抽出されてソフト乱数との演算に用いられる。このような内蔵乱数は、ハードウエア的な構成を含む乱数生成装置による乱数であるともいえる。
一方、ソフトウエア乱数は、プログラミングされたカウンタにより割込み毎にカウント値を1ずつ加算して、昇順或いは降順に配列された数値を取得対象とするソフトウエア的な構成の乱数生成装置による乱数であるといえる。そして、本実施例では、特別図柄当りソフト乱数の乱数個数は、素数である「65521」となっており、加算元である内蔵乱数に対して加算されるソフトウエア乱数のほうが、内蔵乱数よりも、乱数値範囲(乱数の大きさ)が小さく設定されている。なお、当否乱数の生成にあたっては、内蔵乱数とソフトウエア乱数とを単純に合算することに限らず、例えば積算する、或いは、所定数の加減乗除のうちの何れかをしたうえで互いに合算する等、他の演算により行ってもよい。
<<図柄抽選に係る置数>>
図5に示す第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する前述の図柄抽選値(特別図柄当り図柄乱数。以下では「図柄乱数」ともいう。)と、上述の当否判定の結果とに基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
図9は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図9(a)は第1の抽選に係る当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図9(b)は第2の抽選に係る当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図9(c)は当否判定結果がはずれであった場合に参照するテーブルであり、図9(d)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「8」の数字および文字以外の記号α、記号βで表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、はずれの当否判定結果と対応付けられており、所定の奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号α、記号βがはずれに対応する。
図9(a)に示すように、第1の抽選においては、特別図柄「0」〜「8」のうち所定の奇数の数字である特別図柄「7」,「5」,「3」,「1」、及び、偶数の数字である「0」,「2」が、各々図柄抽選値「0〜124」,「125〜499」,「500〜714」,「715〜734」,「735〜799」,「800〜999」に対応付けられている。さらに、特別図柄「7」,「5」,「3」,「1」,「0」,「2」には、後述する16R確変、16R確変(実4R)、4R確変(バトル成功)、4R確変(バトル失敗/潜伏)、4R確変(出球無/潜伏)、及び、4R通常(バトル失敗/時短無)の各種大当りが各々対応付けられている。ここで、第1の抽選に係る特別図柄について、前述の第1特別図柄のほか、第1特図、特図1、特別図柄1、図柄1などと称することがある。
また、図9(b)に示すように、第2の抽選においては、特別図柄「7」,「3」,「0」、「2」が、各々図柄抽選値「0〜499」,「500〜669」,「670〜799」,「800〜999」に対応付けられている。さらに、特別図柄「7」,「3」,「0」、「2」には、後述する16R確変、4R確変、4R確変(出球無)、及び、4R通常(出球無/時短制限)の各種大当りが各々対応付けられている。ここで、第2の抽選に係る特別図柄について、前述の第2特別図柄のほか、第2特図、特図2、特別図柄2、図柄2などと称することがある。
以下に、上述の第1の抽選及び第2の抽選における大当りの種類について説明する。先ず、本実施例では、単位遊技を16回繰り返す大当り(以下、適宜「16R大当り」とも称する)や、単位遊技を4回繰り返す大当り(以下、適宜「4R大当り」とも称する)などがある。このうち、16R大当りについては、特別遊技において、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または第1大入賞口91または第2大入賞口92に9球以上の遊技球が落入したときに大入賞口を一旦閉鎖して1回の単位遊技を終了させるものがある。このような特別遊技は、遊技者に遊技球を獲得させることを目的とする所謂出球あり当りであるとともに、遊技者により多くの遊技球を獲得させようとするものである。
また、16R大当りには、特別遊技中に遊技者が、単位遊技が4回のみ繰り返される特別遊技と同程度の出球しか得られないようにしたものがある。このような16R大当りは、遊技者に対し多くの出球の獲得を可能とする通常の16R大当りよりも少ない量(例えば数分の一程度)の出球の獲得を可能とするものであり、出球の面からは実質的に4R大当りと変わらないものといえる。このような16R大当りを、「実4R」の記載を付加して、「16R(実4R)大当り」と称している。この16R(実4R)大当りにおける特別遊技として、16回の大入賞口の開放のうち、4回を16R大当りと同様なパターンで実行し、残りを極短時間(例えば0.2秒程度)の開放とするものなどが挙げられる。
なお、16R(実4R)大当りにおける大入賞口の開放パターンとして、相対的に長時間の4回の開放を特別遊技の開始当初に連続して実行し、短時間の開放をその後に連続して行うものや、短時間の開放を特別遊技の開始当初に連続して実行し、長時間の開放をその後に連続して行うものなどを採用することが可能である。また、長時間の各開放の前後や間に1回又は複数回の短時間の開放を介在させる開放パターンや、或いは、これらの開放パターンをラウンド毎に切換えて実行する特別遊技制御態様なども採用が可能である。
さらに、4R大当りについては、全ての単位遊技において、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約30秒間開放されたとき、または第1大入賞口91または第2大入賞口92に9球以上の遊技球が落入したときに大入賞口を一旦閉鎖して1回の単位遊技を終了させるものがある。このような4R大当りにおける特別遊技は、遊技者に遊技球を獲得させることを目的とする所謂出球あり当りであるとともに、遊技者に通常の16R大当りよりも少ない量(例えば数分の一程度)の出球の獲得を可能とするものである。
また、4R大当りには、特別遊技中に遊技者が出球を獲得できないようにした所謂出球なし当りがある。本実施例では、このように出球のない大当りについては、「出球無」の記載を付加して表している。そして、出球のない4R大当りは、「4R(出球無)大当り」や、「4R(出球無)」とも称する。この4R(出球無)大当りにおける特別遊技として、4回の大入賞口の開放を、何れも極短時間(例えば0.2秒程度)の開放とするものを挙げることができる。なお、前述のように、小当りに当せんした場合の小当り遊技における第1大入賞口91(又は第2大入賞口92)の1回の開放時間は約0.2秒であり、第1大入賞口91(又は第2大入賞口92)の開放態様は遊技球の入球をさせないようにするものであるから、小当りもここでいう出球なし当りに含まれると考えることができる。
また、本実施例では、前述の確変や時短等といった特定遊技状態は各種大当りに伴って発生するが、この特定遊技状態との組み合わせによっても大当りの種類は区別される。本実施例においては、大当りと特定遊技状態とは、第1始動入賞口62に係る第1の抽選、及び、第2始動入賞口63に係る第2の抽選毎に、以下のように組み合わされている。
先ず、第1の抽選においては、16R大当り及び4R大当りの何れについても、大当りに伴う特別遊技の終了後に確変状態となる大当りが設けられている。このような大当りを、「16R確変」、「4R確変」と称している。また、本実施例では、第1の抽選については、前述の16R(実4R)が設けられており、この16R(実4R)にも確変が組み合わされている。そして、確変が組み合わされた16R(実4R)を、「16R確変(実4R)」と称する。さらに、本実施例では、第1の抽選に設けられた16R大当りは、図9(a)中に図柄「7」や図柄「5」に対応した大当りとして示すように、16R確変と16R確変(実4R)の2種類のみとなっている。
また、第1の抽選については、前述の4R(出球無)大当りに確変が組み合わされており、この確変が組み合わされた4R(出球無)を、「4R確変(出球無)」と称する。また、第1の抽選については、大当りに伴う特別遊技の終了後に確変状態とならない大当りが設けられており、以下では、この確変とならない4R大当りを「4R通常」と称する。
さらに、大当りの種類は、リーチ中に実行される演出(リーチ演出)の内容との関係によっても分かれており、本実施例においては、第1の抽選について前述のように、「バトル成功演出」、「バトル失敗演出」、「潜伏演出」との組み合わせによる大当りが設けられている。
具体的には、先ず、図9(a)中に図柄「3」に対応した大当りとして示すように、4R確変に「バトル成功演出」を組合わせた、4R確変(バトル成功)の大当りが設けられている。そして、この4R確変(バトル成功)に当せんした場合には、リーチ時のバトル成功演出の後に4R確変が発生する。また、図9(a)中に図柄「1」に対応した大当りとして示すように、4R確変に「バトル失敗演出」及び「潜伏演出」を組合わせた4R確変(バトル失敗/潜伏)の大当りが設けられている。そして、この4R確変(バトル失敗/潜伏)に当せんした場合には、リーチ時のバトル失敗演出の後に4Rの特別遊技が実行され、その後の確変状態での遊技が「潜伏演出」を実行しながら行われる。なお、「バトル失敗演出」と「潜伏演出」のように複数の特性を備えた大当りについては、「/」(スラッシュ)の記号を介在させて、「4R確変(バトル失敗/潜伏)」のように表している。
さらに、本実施例においては、4R確変(出球無)に「潜伏演出」を組合わせた4R確変(出球無/潜伏)の大当りが設けられており、この4R確変(出球無/潜伏)に当せんした場合には、第1大入賞口91を出球がない開放パターンで動作させる4Rの特別遊技が実行され、その後の確変状態での遊技が「潜伏演出」を実行しながら行われる。さらに、4R通常(時短無)に「バトル失敗演出」を組合わせた4R通常(バトル失敗/時短無)の大当りが設けられており、この4R通常(バトル失敗/時短無)に当せんした場合には、リーチ時のバトル失敗演出の後に4Rの特別遊技が実行され、その後の通常確率状態での遊技が、時短を伴わずに行われる。
上述のように大当りの種類は、特定遊技の一つである時短の有無や内容によっても分かれており、本実施例では、第1の抽選における16R確変、16R確変(実4R)、4R確変(バトル成功)、及び、第2の抽選における16R確変、4R確変、4R確変(出球無)については、期間を次回の大当りまでとした時短が組み合わされている。そして、第1の遊技に係る4R確変(バトル失敗/潜伏)、4R確変(出球無/潜伏)、及び、上述の4R通常(バトル失敗/時短無)については、時短は付与されていない。
また、本実施例においては、第2の遊技の大当りに関し、図9(b)中に示すように、4R通常(出球無)にも時短が組み合わされたものがある。この4R通常(出球無)は、図柄「2」の当否結果に割り振られており、時短期間は、第1特別図柄192の変動回数及び第2特別図柄193の変動回数の合計を以って100回に満たない数に制限されている。ここでは、制限された時短回数を合計で20回としている。このように時短回数が制限された大当りについて、「時短制限」の記載を付加し、「4R通常(時短制限)」のように表す。なお、制限された時短回数を、例えば80回、60回、或いは40回などとしてもよく、これらのうちの少なくとも2種類の回数を、異なる種類の大当りに割り振ってもよい。
以上説明したように本実施例では、第1の抽選については、16R確変、16R確変(実4R)、4R確変(バトル成功)、4R確変(バトル失敗/潜伏)、4R確変(出球無/潜伏)、及び、4R通常(バトル失敗/時短無)の6種類の大当りが設けられており、第2の抽選については、16R確変、4R確変、4R確変(出球無)、及び、4R通常(出球無/時短制限)の4種類の大当りが設けられている。
続いて、図9(c)に示す通り、記号αは図柄抽選値の範囲「0〜479」に対応付けられ、記号βは図柄抽選値の範囲「480〜999」に対応付けられる。
図9(d)に示す通り、特別図柄「0」〜「8」のうち偶数の数字である特別図柄「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「0〜332」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「333〜665」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「666〜999」に対応付けられる。
ここで、記号α,βに対応する図柄は、以下のような演出制御に用いられるものである。すなわち、第1特別図柄192について小当りが発生した場合、その小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として限定頻度パターンテーブルが参照される。このとき、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかに応じて異なる態様で第1特別図柄192の限定頻度パターンテーブルが参照され、変動パターンが選択される。例えば第2特別図柄193がはずれ図柄αで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として10回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。また、第2特別図柄193がはずれ図柄βで停止表示されているときは小当り遊技終了後の第1特別図柄192の図柄変動として20回分だけ限定頻度テーブルにしたがって変動パターンが選択される。これにより、第2特別図柄193がいずれの図柄で停止しているかによって異なる態様で特別な演出を実行することができるので、演出の設計の幅を広げることができる。なお、以下では状況に応じて、限定頻度パターンテーブルを用いて行われる演出を限定頻度パターン演出と称する。
また、本実施例では記号α、記号βは何れも限定頻度パターン演出に対応付けられているが、はずれに限定頻度パターン演出に対応づけられていない記号(例えば、「−」(ハイフン)など)を付加してもよい。このようにすることにより、はずれの場合における限定頻度パターン演出の発生確率を更に細やかに設定できるようになる。例えば、記号「−」の図柄抽選値の割合を、記号α及び記号βの割合よりも十分に大きく設定することにより、はずれの殆どの場合は限定頻度パターン演出が実行されないという遊技制御を実現できる。
また、本実施例では当否抽選の結果が大当りである場合、前述の図柄乱数の数値範囲における上限値である「999」には、確変を伴わず非確変となる特別図柄(非確変図柄)が割当てられている。また、これに限らず、下限値である「0」に非確変図柄の抽選結果を割当ててもよく、更に上限値及び下限値の双方に非確変図柄の抽選結果を割当ててもよい。
上述した図柄抽選は、ソフトウエア乱数により行われており、ソフトウエア乱数とハードウエア乱数の双方を用いる当否抽選に比べて、乱数の生成過程が簡略化されている。これは、当否抽選が不正行為の対象となり易いのに対し、図柄抽選は、当否抽選に比べれば不正行為の対象となり難いため、図柄抽選については、ハードウエア乱数を生成するのに必要な水晶発振器等の部品を用いずに済む構成としたためである。
また、前述のように、図柄乱数の数値範囲に対して、抽選結果毎に連続する数値からなるグループが形成されている。そして、例えば、第1の抽選において、大当りの場合は、図9(a)中に示すように、数値範囲「0〜124」、「125〜499」、「500〜714」、「715〜734」、「735〜799」、及び、「800〜999」が、それぞれ特別図柄「7」、「5」、「3」、「1」、「0」、及び、「2」に対応付けられた各グループとなっている。さらに、第2の抽選において、大当りの場合は、図9(b)中に示すように、数値範囲「0〜499」、「500〜669」、「670〜799」、及び、「800〜999」が、それぞれ特別図柄「7」、「3」、「0」、及び、「2」に対応付けられた各グループとなっている。また、限定変動パターン演出に関しては、例えば、図9(c)中に示すように、数値範囲「0〜479」が記号αに対応付けられたグループとなっており、「480〜999」が記号βに対応付けられたグループとなっている。さらに、小当りの場合には、数値範囲「0〜332」、「333〜665」、「666〜999」が、それぞれ特別図柄「4」、「6」、及び、「8」に対応付けられた各グループとなっている。
<<変動パターン抽選に係る置数>>
図5に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。
変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向(選択される変動パターンの変動表示時間の長短に係る傾向)が異なるように定められている。
複数の変動パターンテーブルには、他の変動パターンテーブルとは演出内容の傾向が異なる選択基準である限定頻度パターンテーブルが含まれる。限定頻度パターンテーブルは、第1図柄決定手段320により決定された第1特別図柄192が小当りに該当した場合に、その小当り遊技終了後の限定的な期間において参照される。
図10は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果がはずれのときは図10(a)に示されるはずれ用の変動パターンを参照する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が16R大当りのときは図10(b)に示される16R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が4R大当りまたは小当りのときは図10(c)に示される4R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図10(a)においては、パターン抽選値「0〜2599」には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値「2600〜4999」には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値「5000〜49999」には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果がはずれの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、はずれ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、はずれ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図11において説明する。
図10(b)においては、パターン抽選値「0〜23519」には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値「23520〜47039」には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値「47040〜48999」には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値「49000〜49999」には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が16R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図10(c)においては、パターン抽選値「0〜23999」には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値「24000〜49999」には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が4R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
上述したパターン抽選は、図柄抽選と同様に、ソフトウエア乱数により行われており、ソフトウエア乱数とハードウエア乱数の双方を用いる当否抽選に比べて、乱数の生成過程が簡略化されている。これは、図柄抽選と同様に、当否抽選が不正行為の対象となり易いのに対し、パターン抽選は、当否抽選に比べれば不正行為の対象となり難いため、パターン抽選については、ハードウエア乱数を生成するのに必要な水晶発振器等の部品を用いずに済む構成としたためである。
また、前述のように、変動パターン抽選値(以下、「変動パターン乱数」ともいう)の数値範囲に対して、抽選結果毎に連続する数値からなるグループが形成されている。そして、はずれの場合には、図10(a)中に示すように、パターン抽選値「0〜2599」、「2600〜4999」、「5000〜49999」は、それぞれ「スーパー1」のグループ、「スーパー2」のグループ、「ノーマル1」、「ノーマル2」、「リーチなし」が対応付けられたグループとなっている。また、16R大当りの場合には、図10(b)に示すように、パターン抽選値「0〜23519」、「23520〜47039」、「47040〜48999」、及び、「49000〜49999」は、それぞれ「スーパー1」、「スーパー2」、「ノーマル1」、「ノーマル2」の各リーチが対応付けられたグループとなっている。さらに、4R大当りまたは小当りの場合は、図10(c)に示すように、パターン抽選値「0〜23999」、「24000〜49999」は、それぞれ「スーパー3」、「ノーマル3」の各リーチが対応付けられたグループとなっている。なお、上述の「スーパー1」、「スーパー2」、「ノーマル1」、「ノーマル2」、及び、「リーチなし」の他の変動パターンを追加してもよく、更にこれらの各変動パターンを、例えば異なる変動時間の変動パターンに細分化してもよい。
図11は、はずれ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210aにおいては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
<<メイン基板におけるその他の主要な機能>>
図5に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選に係る特図抽選値をその抽選値に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選に係る特図抽選値として4個を上限として乱数値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選に係る特図抽選値をその抽選値に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選に係る特図抽選値として4個を上限として乱数値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選に係る特図取得値が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選に係る特図取得値が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを前述の演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、当否判定結果、停止図柄、変動パターン等を識別可能な値や、第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始時のコマンドとしてサブメイン基板301へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信するようにしてもよい。これらの変動開始コマンドや変動停止コマンドの送信により、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。
さらに、小当り遊技制御手段330には、小当り連続回数をサブメイン基板301へ通知する機能を備えており、小当り遊技が、間にはずれや大当りを挟まずに連続して発生した回数を計数して出力する。なお、サブメイン基板301に対して小当り連続回数を通知することに限らず、小当り連続回数が所定回数に達したか否か、或いは、所定の期間内に小当り連続回数が所定回数に達したか否か、といった事項を判定し、小当り連続回数が所定回数に達した場合には、その旨をサブメイン基板301に通知するようにしてもよい。
特定遊技制御手段122は、確変および時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技制御手段122は、大当りの種類に応じて、その特別遊技の終了後に時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、たとえば100回に達するまで継続される。第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。一方、確変状態は、大当りの種類に応じて、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
事前情報通知手段157は、第1始動入賞口62に入球があった際、その入球に対応する図柄変動表示が開始されるか否かにかかわらず、その入球に対する第1抽選手段126による抽選値を示す情報をサブメイン基板301へ送信する。また、第2始動入賞口63に入球があった際、その入球に対応する図柄変動表示が開始されるか否かにかかわらず、その入球に対する第2抽選手段128による抽選値を示す情報をサブメイン基板301へ送信する。これらの抽選値を示す情報を以下では「保留抽選値」とも呼ぶこととする。保留抽選値には、第1始動入賞口62と第2始動入賞口63のいずれへの入球かを示す情報と、事前判定結果としての当否範囲・図柄範囲・パターン範囲とが含まれる。
開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。また、開閉制御手段124は、通常特別遊技後の確変状態および時短状態においては第2始動入賞口63の拡開機構を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。
<<サブメイン基板の主要な機能>>
サブメイン基板301においては、メイン基板102からの各種コマンドをコマンド受信手段304が受信し、後述のように、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134などにより決定及び制御された演出態様に係る演出態様情報が、演出態様送信手段305を介して、サブサブ基板302へ送信される。
サブメイン基板301に備えられたパターン記憶手段130は、装飾図柄190a〜190cの変動において演出図柄表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190a〜190cの変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
装飾図柄190a〜190cの停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が16R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「555」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190a〜190cとして揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字に係る装飾図柄を選択することが可能である。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190a〜190cが「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。
当否判定結果が4R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せが選択されるが、例えば「333」のような所謂ぞろ目の組合せが表示される場合や、「757」のようなリーチはずれの表示が行われる場合や、「357」のような全て異なる図柄の組合せが表示される場合もある。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、リーチはずれの組合せや、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが表示される。なお、大当りでも小当りでもない場合には、4R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せを選択するようにしてもよい。そして、演出決定手段132は、装飾図柄190a〜190cの停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様またははずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずにはずれ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、前述のように、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
サブメイン基板301における上述のノーマルリーチ、スーパーリーチは、前述のメイン基板102における「ノーマル1」、「ノーマル2」、「スーパー1」、「スーパー2」といった変動パターンに対応したものである。また、サブメイン基板301における上述のリーチなしパターンは、同じくメイン基板102における「リーチなし」の変動パターンに対応したものである。そして、本実施例のぱちんこ遊技機10においては、メイン基板102の各変動パターンに対応して、サブメイン基板301の変動パターンが多数設けられており、メイン基板102で選択された変動パターンがサブメイン基板301にコマンドとして通知されると、サブメイン基板301では、指定された変動パターンに対して選択可能な複数の変動パターンのうちから、何れかの変動パターンが選択される。なお、メイン基板102における変動パターンが更に細分化されている場合には、サブメイン基板301における変動パターンも、メイン基板102における細分化に対応してより多数設けられる。また、サブメイン基板301における各種変動パターンは、前述の各種の予告演出パターンとの組合せで用いられることもある。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ19からの音声出力などの音出力(サウンド)に係る演出処理を行う。
第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190a〜190cとして演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選に係る情報が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選に係る情報が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190a〜190cの変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。
演出決定手段132は、事前情報通知手段157により通知された保留抽選値を所定のバッファ領域に格納する。さらに、演出決定手段132は、メイン基板102の第1抽選手段126および第2抽選手段128から通知された本判定結果としての当該変動(その時に実行されている変動表示)に関する抽選値と、事前情報通知手段157により予め通知されてバッファ領域に格納した保留抽選値とにしたがって予告演出を表示させる。具体的には、将来時点において図柄変動が行われる保留抽選値における大当りの発生有無を示唆するための前兆となる予告演出を表示させる。なお、演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するための所定の予告抽選を実行し、(例えば予め定められた確率にて)その予告抽選に当選したことを条件として、予告演出を表示させる。このように保留抽選値中の事前判定結果に応じて設定される予告演出は「先読み演出」と呼ばれる。
また、演出決定手段132は、入賞情報に設定された第1保留手段144における保留数(以下、「第1の保留数」とも呼ぶ。)と第2保留手段146における保留数(以下、「第2の保留数」とも呼ぶ。)、および、図柄変動の実行状況(すなわち保留の消化状況)に応じて、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を特定する。演出表示制御手段134は、演出決定手段132において特定された第1の保留数および第2の保留数を、演出図柄表示装置60の第1保留数表示部196および第2保留数表示部197に表示させる。また、演出決定手段132において保留数が新たに特定されると、第1保留数表示部196および第2保留数表示部197の表示を逐次更新する。
<大入賞口装置の構成及び機能>
次に、本実施例のぱちんこ遊技機10において、前述の第2大入賞口92(図1,図3参照)として用いられている大入賞口装置600について説明する。図12〜図15は、大入賞口装置600の具体的な構成を示すものである。この大入賞口装置600は、図12(a)に示すように、前面部601と、この前面部601の背後に設けられた背面部602とを備えており、遊技盤50に、前面部601が遊技領域52中の所定位置に配置されるように固定される。そして、前面部601は、遊技領域52におけるゲージ構成や意匠の一部を担うものであり、背面部602は、図示は省略するが、遊技盤50に形成された部品用開口(図示略)に挿通されて遊技盤50の背面に一部を突出させものである。
大入賞口装置600の前面部601には、基板部603、遮蔽カバー部材604(カバー部材)、球通路形成部605、水平シャッタ部材606、及び、倒伏扉部材607などが備えられている。基板部603の前面には遮蔽カバー部材604が装着されており、基板部603の前面の大部分は、遮蔽カバー部材604により覆われている。
基板部603は、遊技盤50の表面にビス止めされる平板状の部材であり、ぱちんこ遊技機10の正面から見て、外周縁部の右上隅部、左下隅部、左中断部といった所定部位に、遊技盤50への装着用のビス穴603a〜603cを有している。そして、基板部603は、遊技領域52の右下隅の部位に配置されて固定されている。
遮蔽カバー部材604は、平板状の本体部604aを有しており、この本体部604a下縁部及び左右の側部には、図16中に示すように、連続してコ字状に形成された隔壁部604bが突設されている。さらに、遮蔽カバー部材604は、基板部603の中央部に組み合わされて固定されており、基板部603のとの間に、上向きに帯状に開口し、遊技球を受け入れて流下させることが可能な流下空間を形成している。また、遮蔽カバー部材604は、光透過性のある透明プラスチック製であり、外側(表側)から内側の流下空間を視認できるようになっている。
前述の球通路形成部605は、図13(a)や図14(a),(b)に示すように、所定形状の複数のリブの組合せにより構成されており、基板部603の背後から前方に向かって突出している。球通路形成部605の、基板部603からの突出量は、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ程度)大きく、且つ、全体に亘り同程度となるように設定されている。ここで、図13(a),(b)及び図14(a),(b)は、遮蔽カバー部材604を取り外した状態を示している。
図14(a),(b)に示すように、球通路形成部605は、流入球案内部608、第1入賞案内部609、及び、第2入賞案内部610を形成しており、流入球案内部608に進入した遊技球を、前述の水平シャッタ部材606の状態に応じて、異なる経路に案内するようになっている。つまり、流入球案内部608は、上方から流下してきた遊技球の流下方向を変化させて、ぱちんこ遊技機10の正面から見て右側から左側に案内する遊技球通路を構成している。また、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、流入球案内部608を流下する遊技球が進入した場合に、この進入した遊技球を、下方に案内する遊技球通路を構成している。
これらのうち流入球案内部608は、受容部608a、接続部608b、及び、排出部608cを横一列に備えており、右端に位置する受容部608aと中間に位置する接続部608bとの間、及び、接続部608bと左端に位置する排出部608cとの間に、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ程度)大きく、第1入球口609a及び第2入球口610aを構成する間隙を介在させている。さらに、受容部608aは、右から左へ低く所定角度で傾斜するとともに、右端部を右斜め上方に向け湾曲させている。接続部608bは、受容部608aの左端部よりも幾分(数ミリ)低い位置に形成されており、直線状に右から左へ低く傾斜している。また、排出部608cは、接続部608bに間隙を介して連続するよう形成されており、直線状に右から左へ低く傾斜している。
受容部608aと接続部608bの間の第1入球口609a、及び、接続部608bと排出部608cの間の第2入球口610aは、水平シャッタ部材606に設けられた第1シャッタ部606a、及び、第2シャッタ部606bにより、通常時(大入賞口装置600の非作動時)は、図14(a)中に示すように閉鎖されている。つまり、水平シャッタ部材606は、図15中及び図16中に示すように、矩形板状に成型された本体部606cと、本体部606cの前縁において左右に離間した板状の第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bとを有している。第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bの大きさは、縦横寸法が遊技球よりも幾分(数ミリ程度)大きくなるように設定されている。さらに、第1シャッタ部606aと第2シャッタ部606bは、受容部608a、接続部608b、及び、排出部608cが有する傾きと同程度の傾きで右から左へ低く傾斜している。
また、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bは、前述の第1入球口609a及び第2入球口610aと、それぞれ対応する位置関係にある。そして、通常時は、水平シャッタ部材606が、前進位置で停止しており、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bが、図14(a)中に示すように基板部603の前方に突出して、第1入球口609a及び第2入球口610aを共に塞いでいる。この状態においては、大入賞口装置600の受容部608aに流入した遊技球は、第1シャッタ部606a、接続部608b、及び、第2シャッタ部606bを伝って排出部608cに到達し、更に排出部608cから前述の第2始動入賞口63の側に向けて放出される。ここで、水平シャッタ部材606の駆動機構については後述する。
また、流入球案内部608の途中の部位には、流入球案内部608を流下する遊技球の速度を低下させるための減速部611が設けられている。この減速部611は、基板部603及び遮蔽カバー部材604に一体に設けられたリブ状の突起611a,611bにより構成されている。基板部603の突起611a、及び、遮蔽カバー部材604の突起611bの突起はそれぞれ2個ずつであり、これらの突起611a,611bの形状は、尖端を流入球案内部608の幅方向(ぱちんこ遊技機10の前後方向)の中央に向けた三角柱状である。さらに、各突起611a,611bの上端は、前方にいくほど低い傾斜面となっている。
基板部603の2個の突起611aは、接続部608bの直上の部位において、遊技球の直径よりも幾分(数ミリ)大きい程度の所定距離をもって左右に離間している。このような2つの突起の位置関係は、遮蔽カバー部材604の2個の突起611bについても同様である。また、基板部603の突起611aと、遮蔽カバー部材604の突起611bとの位置関係については、双方の突起611a,611bが、接続部608bの上部空間を挟み、且つ、遊技球の流下方向(ぱちんこ遊技機のほぼ左右方向)に所定量(遊技球の半径分程度)ずれた状態に設定されている。そして、図12(b)中に示すように、基板部603の2つの突起611aのうち上流側のものが、遮蔽カバー部材604の2つの突起611bのうちの上流側のものよりも、第1入球口609aに近い側に位置している。
このような減速部611を設けることにより、流入球案内部608を流下する遊技球は、4つのうちの少なくとも何れか1つ以上の突起611a,611bに干渉することで減速される。そして、遊技球は、流入球案内部608への流入時や減速部611への到達時よりも速度を落とした状態で、接続部608bの下流側に向かう。
前述の第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、大入賞口装置600が作動する非通常時(大入賞口装置600の作動時)には、第1入球口609a及び第2入球口610aの開放に伴い、遊技球が進入可能な状態となる。つまり、非通常時には、水平シャッタ部材606が後退位置に下がり、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを、基板部603の後方へ向けて退避させる。そして、図14(b)中に示すように、第1入球口609a及び第2入球口610aが露出し、流入球案内部608と、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610とが連通する。
ここで、本実施例においては、大入賞口装置600が作動するのは、前述のように第2の遊技において大入賞口装置600を作動させるための抽選に当せんし、この当せんに係る特別遊技や小当り遊技が実行される場合である。また、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bによる第1入球口609a及び第2入球口610aの開放は、特別遊技等のラウンド中に行われ、複数ラウンドが繰返される場合におけるラウンド間(ラウンドインターバル)には、第1入球口609a及び第2入球口610aは、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bにより閉塞されている。
第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610は、第1検出球案内部609b、第1排出球案内部609c、及び、第2検出球案内部610b、第2排出球案内部610cをそれぞれ有している。また、第1検出球案内部609bと第1排出球案内部609cとの間の部位、及び、第2検出球案内部610bと第2排出球案内部610cとの間の部位には、前述の第1入賞センサ79a及び第2入賞センサ79bがそれぞれ配置されている。これらの入賞センサ79a,79bは、近接センサであり、この近接センサとしては、各種のマイクロスイッチなどを利用できる。さらに、マイクロスイッチとしては、接触式、非接触式、機械式、光学式、電磁誘導式など、種々のものを採用することが可能である。
各入賞センサ97a,97bは、遊技球の直径よりも小さい厚みを有する矩形状のケーシング612a,612bと、厚み方向に遊技球を通過させる検出穴613a,613bと有している。さらに、各入賞センサ97a,97bは、検出穴613a,613bを介して、第1検出球案内部609bと第1排出球案内部609c、及び、第2検出球案内部610bと第2排出球案内部610cを、遊技球が流下可能なように連通させている。また、各入賞センサ97a,97bは、互いに長手方向の向きをほぼ90°異ならせて、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610に装着されている。そして、本実施例では図13(a)等に示すように、第1入賞センサ97aは長手方向を、基板部603の前面側において左右方向に向けており、第1入賞センサ97bは長手方向を、基板部603を通過する前後方向に向けている。
また、本実施例においては、第1検出球案内部609bは、途中の部位で、正面から見て右側から左側へ屈曲しており、第1検出球案内部609bに落下した遊技球は、第1検出球案内部609bの内壁に一旦干渉し、減速されてから第1入賞センサ97bを通過するようになっている。また、本実施では、第1検出球案内部609bの背後側の内壁中央に、所定の突出量(例えば1ミリ以下)のリブ609dが、第1検出球案内部609bの形状に沿うように設けられている。そして、このリブ609dにより、第1検出球案内部609b内での球噛み等の防止が図られている。なお、第1検出球案内部609bのみでなく、第2検出球案内部610bについても、屈曲形状としたり、内壁にリブを突設してもよい。
また、水平シャッタ部材606が後退し、第1入球口609a及び第2入球口610aが開放された状況においては、流入球案内部608を流下する遊技球は、上流側にある第1入球口609aに進入し、第1入賞センサ79aにより検出されて、第1入賞案内部609から排出される。しかし、一部の遊技球が第1入球口609aを飛び越え、接続部608bから、下流側にある第2入球口610aに達する場合も考えられる。このような場合に第2入球口610aに達した遊技球は、第2入賞案内部610に進入し、第2入賞センサ79bにより検出されて、第2入賞案内部610から排出される。前述のように、第1入球口609aと第2入球口610aのとの間には、減速部611が設けられているので、仮に第1入球口609aに進入しなかった遊技球があっても、この遊技球の勢いは、第2入球口610aの手前で、減速部611により十分に弱められる。
さらに、本実施例では、前述のように遮蔽カバー部材604が透明であるため、上述のように流入球案内部608、第1入賞案内部609、及び、第2入賞案内部610を流下する遊技球の様子は、遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認可能である。
続いて、前述の倒伏扉部材607は、図14(a),(b)及び図15等に示すように、平板状の扉部607aを有しており、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610の下方に配置されている。この倒伏扉部材607は、図14(b)、図15及び図16中に示すように、基板部603に矩形に開口した遊技球回収口614と対応する位置関係にある。そして、倒伏扉部材607は、下縁部を中心として前後方向に回動可能に軸支されており、通常時は、図13(a),(b)及び図14(a)に示すように、遊技球回収口614を閉塞している。遊技球回収口614の左右方向の長さ(開口寸法)は、図13(a)に示すように、流入球案内部608における受容部608aの右端(上流端)よりも内側の部位から、排出部608cの右端(上流端)に至る程度の長さとなっている。そして、倒伏扉部材607の左右方向の長さも、遊技球回収口614の開口寸法と同程度になっている。
大入賞口装置600が作動すると、倒伏扉部材607は、図14(b)に示すように、下縁部を基端とし、上縁部へいくほど基板部603の前方に突出するように傾倒する。そして、倒伏扉部材607は、上方の第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610を向いて開口し、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から排出された遊技球を受け入れて、基板部603の後方の回収通路616aへ案内する。そして、回収通路616aに進入した遊技球は、右から左へ低くなる傾斜面を伝って、左端部に開口した回収穴616bに導かれ、回収穴616bから遊技盤50の背面側へ向けて案内される。
本実施例では、回収穴616bの内部には遊技球を検出するセンサ類は設けられておらず、遊技球回収口614に進入した遊技球に対して、少なくとも遊技盤50の近辺におけるカウントは行われないようになっている。したがって、倒伏扉部材607により開閉される遊技球回収口614は、開放した際には、第1入賞案内部609又は第2入賞案内部610で検出された遊技球に対して、前述のアウト口58と同様な球排出の機能を果たす。また、倒伏扉部材607の動作する様子や、開状態となった遊技球回収口614の様子は、透明な遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認できるようになっている。さらに、倒伏扉部材607と球通路形成部605との間は、カバー部材としての遮蔽カバー部材604により覆われており、遊技球回収口614へは、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球のみが入球できるようになっている。
また、倒伏扉部材607は、水平シャッタ部材606とは異なり、大入賞口装置600の作動中は、継続的に開放状態となっている。そして、複数のラウンドが繰返される場合でも、最初のラウンドの開始時から最後のラウンドの終了時まで、倒伏扉部材607は開放状態を継続することが可能である。さらに、本実施例では、水平シャッタ部材606が開放状態となるタイミングよりも所定時間(例えば1秒)前のタイミングで、倒伏扉部材607が開放状態となり、水平シャッタ部材606が閉塞状態となるタイミングよりも所定時間(例えば1秒)後のタイミングで、倒伏扉部材607が閉塞状態となる、といった動作制御も採用されている。
さらに、本実施例では、倒伏扉部材607は、大当りの種類に応じて異なる態様で動作する場合がある。例えば、前述の16R確変の大当りが発生した場合には、倒伏扉部材607は、上述のように、最初のラウンドの開始時から最後のラウンドの終了時まで開放状態を継続する場合や、最初のラウンドの開始時から最後のラウンドの終了時までの途中で一旦閉鎖する場合がある。また、他の16R確変(実4R)等の大当りの場合には、途中で閉鎖し、そのまま閉鎖状態を維持する場合がある。これらの倒伏扉部材607の具体的な動作制御態様については、後述する。
なお、本実施例では、図13(a),(b)及び図14(a),(b)に示すように、基板部603の右上部に遊技球通過口615が形成されている。この遊技球通過口615は、受容部608aの下方に位置しており、流入球案内部608からは、球通路形成部605によって隔離されている。さらに、遮蔽カバー部材604の右側部から、前述の流下空間への遊技球の進入が可能となっており、流入球案内部608の下方において大入賞口装置600に流入した遊技球は、図15及び図16等に示すように、遮蔽カバー部材604に形成された遮蔽カバー側案内樋604c、及び、基板部603に形成された基板側案内樋603dを伝って後方に案内される。
次に、前述の背面部602について説明する。この背面部602は、図15及び図16等に示すように、シャッタ駆動ユニット621、通路構成ユニット622、及び、倒伏扉部材駆動ユニット623により構成されている。シャッタ駆動ユニット621は、前述の水平シャッタ部材606を前進及び後退させるものであり、上方を開放し前後左右を囲った支持枠部621aに、ソレノイド部624(図16参照)や、リンクアーム部材625などを収容している。
ソレノイド部624には、リンクアーム部材625が、ラック・ピニオン機構(図示略)を介して連結されており、リンクアーム部材625には、スライド穴625aを介して、前述の水平シャッタ部材606が緩やかに連結されている。ソレノイド部624は、大入賞口装置600が動作していない通常時にはオフされており、図12(b)中に実線で示すようにリンクアーム部材625を前方に回動させた状態として、水平シャッタ部材606を前進させている。また、大入賞口装置600が作動している非通常時には、ソレノイド部624はオンされ、図12(b)中に2点鎖線で示すようにリンクアーム部材625を後方に回動させた状態として、水平シャッタ部材606を後退させる。つまり、ソレノイド部624のオン・オフに伴い、リンクアーム部材625が前後に揺動し、水平シャッタ部材606が直線的に前進又は後退する。そして、水平シャッタ部材606の進退は、基板部603、支持枠部621a、及び、後述する通路構成ユニット622によりガイドされるようになっている。
通路構成ユニット622においては、上方を開放し前後左右を囲った支持枠部622aの前面に、前述の球通路形成部605が形成されている。さらに、通路構成ユニット622にはシャッタ駆動ユニット621が載置され、通路構成ユニット622がシャッタ駆動ユニット621を下方から支持している。
倒伏扉部材駆動ユニット623は、矩形箱状の筐体部623aの前面に、前述の遊技球回収口614を開口するとともに、左右側部の前方の部位に、倒伏扉部材607の左右下端部が回動可能に連結される扉支持部626を有している。さらに、倒伏扉部材駆動ユニット623は、図示は省略するが、筐体部623a内に、倒伏扉部材607を開閉させるためのソレノイドや、倒伏扉部材607の閉塞時に付勢するばね等を有している。また、倒伏扉部材駆動ユニット623には、通路構成ユニット622が載置され、倒伏扉部材駆動ユニット623が通路構成ユニット622を下方から支持している。
ここで、図15中に符号627で示すのは、各種の中継基板を介してメイン基板102との電気的接続を行う第1コネクタであり、符号628で示すのは、倒伏扉部材駆動ユニット623と通路構成ユニット622との電気的接続を行うための第2コネクタである。そして、各種電気機器への給電、各入賞センサ79a,79bの信号の出力、各種ソレノイドへの制御信号の供給などは、これらの第1コネクタ627や第2コネクタ628を利用して行われている。
<倒伏扉部材の動作制御>
次に、上述の大入賞口装置600に備えられた倒伏扉部材607の動作制御について、より具体的に説明する。前述のように、倒伏扉部材607の動作する様子は、透明な遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認できるようになっている。また、倒伏扉部材607の動作制御を行う主体は、前述の水平シャッタ部材606(第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606b)の動作制御を行う主体と異なっている。すなわち、本実施例では、水平シャッタ部材606の動作制御は、メイン基板102により行われるが、倒伏扉部材607の動作制御は、演出の一要素として、サブメイン基板301により行われる。
さらに、本実施例においては、前述のように、倒伏扉部材607が開放状態となるタイミングは、水平シャッタ部材606が開放状態となるタイミングよりも早くなっている。また、倒伏扉部材607の動作制御態様に関して、前述のような大当りの種類の相違によって、他の動作制御態様が実行される場合がある。さらに、倒伏扉部材607と水平シャッタ部材606の動作タイミングや、動作態様の相違は、メイン基板102からサブメイン基板へ送信されるコマンドに基づき確保されるようになっている。
<<倒伏扉部材の動作制御に利用可能な各種コマンド>>
メイン基板102からサブメイン基板301へのコマンド送信は、ぱちんこ遊技機10の状況や、遊技の状況に応じ、その時々のタイミングに応じたものが選択されて行われる。そして、コマンドの送信タイミングとしては、初期画面表示中、客待ちデモ(待機デモ)中、始動入賞時、特別図柄の図柄変動開始時、特別図柄の図柄確定時、特別図柄の図柄確定中、大当り開始デモ時、大当り中大入賞口開放時、大当り中大入賞口閉鎖時、当り終了デモ時、大当り終了デモ終了時などを挙げることができる。
このうち、始動入賞時のコマンドとしては、当り予告演出コマンド、当り図柄予告演出コマンド、パターン予告演出コマンドがある。これらのコマンドは、前述の第1始動入賞口62や第2始動入賞口63に入賞した場合に、メイン基板102からサブメイン基板301に出力されるコマンドである。そして、本実施例では、当り予告演出コマンドとして5種類のコマンドが設けられており、当り図柄予告演出コマンドとして12種類のコマンドが設けられている。さらに、パターン予告演出コマンドとしては、43種類のコマンドが設けられている。また、本実施例では、第2始動入賞口63への入賞時に係る当り予告演出コマンド、当り図柄予告演出コマンド、パターン予告演出コマンドは、前述の普通電動役物の作動開始から、作動終了後の所定期間(ここでは作動終了から1秒程度)の間に入賞が検出された場合に、送信されるものとなっている。
特別図柄の図柄変動開始時のコマンドとしては、図柄1記憶数、図柄2記憶数、通信検査1、通信検査2、演出回数A〜Z、演出選択状態0〜2、変動付加情報、図柄1演出パターン、図柄2演出パターン、図柄1キャラクタ演出、図柄2キャラクタ演出のコマンドなどがある。これらのうち、図柄1記憶数コマンドは、第1特別図柄192の保留記憶数を示すものであり、図柄2記憶数コマンドは、第2特別図柄193の保留記憶数を示すものである。通信検査1コマンド及び通信検査2コマンドは、正常な通信がなされているか否かの確認のためのものである。演出回数A〜Zの各種コマンドは、前述の限定頻度テーブルにしたがった演出に係る回数を示すものであり、演出選択状態0〜2の各種コマンドは、限定頻度テーブルにしたがった演出の種類を示すものである。変動付加情報コマンドは、変動時間を加減するための情報を示すものである。
図柄1演出パターンコマンドは、第1特別図柄192の変動パターンに対応したコマンドを送信するためのものであり、図柄2演出パターンコマンドは、第2特別図柄193の変動パターンに対応したコマンドを送信するためのものである。図柄1キャラクタ演出コマンドは、第1特別図柄192の図柄に対応したコマンドを送信するためのものであり、図柄2キャラクタ演出コマンドは、第2特別図柄193の図柄に対応したコマンドを送信するためのものである。本実施例では、図柄1演出パターンコマンドとして、各種合計で163種類のコマンドが設けられており、図柄2演出パターンコマンドとして、各種合計で145種類のコマンドが設けられている。さらに、図柄1キャラクタ演出コマンドとして57種類のコマンドが設けられており、図柄2キャラクタ演出コマンドとして37種類のコマンドが設けられている。
また、図柄1キャラクタ演出コマンド、及び、図柄2キャラクタ演出コマンドにおいては、殆どの種類のコマンドが、大当りの種類を示す情報を有するものとなっている。また、大当りの種類を示す情報は、ラウンド数と付与される時短数とを組み合わせた情報となっている。そして、大当りが発生する場合には、これらの大当りの種類を示す情報を有する図柄1キャラクタ演出コマンド、又は、図柄2キャラクタ演出コマンドが、大当りの種類に応じて使用される。なお、以下では、図柄1キャラクタ演出コマンド、及び、図柄2キャラクタ演出コマンドを、「キャラクタ演出コマンド」と総称する場合がある。
続いて、特別図柄の図柄確定時のコマンドとしては、図柄1演出パターン停止、図柄2演出パターン停止のコマンドがある。図柄1演出パターン停止コマンド、及び、図柄2演出パターン停止コマンドは、それぞれ、第1特別図柄192や第2特別図柄193に基づく装飾図柄190a〜190cを停止させるためのものである。本実施例では、図柄1演出パターン停止、及び、図柄2演出パターン停止のコマンドは、各々1種類ずつ設けられている。
特別図柄の図柄確定中のコマンドとしては、変動時間短縮回数0(低確率時)、変動時間短縮回数A〜Z(低確率時)、変動時間短縮回数0(高確率時)、確率変動中(所定変動回数まで)のコマンドがある。これらは、その時の遊技状態に関するコマンドを送信するためのものであり、演出モード表示や時短回数表示などに使用される。
大当り開始デモ時のコマンドとしては、図柄1大当り開始デモ、図柄2大当り開始デモ、発射位置指定2のコマンドがある。図柄1大当り開始デモコマンド、及び、図柄2大当り開始デモコマンドは、第1特別図柄192や第2特別図柄193の大当り図柄に基づいた開始デモを表示させるためのものである。以下では、図柄1大当り開始デモコマンド、及び、図柄2大当り開始デモコマンドを総称して「大当り開始デモコマンド」と称する場合がある。
サブメイン基板301の側において、大当り開始デモは、大当りが発生し、その後に特別遊技が開始されることを示す内容の演出として実行される。そして、この大当り開始デモが実行される場合には、事前に、装飾図柄190a〜190b(図7(b1),(b2)参照)が、変動表示の最終段階において、例えば仮停止等を終えて大当りの組合せで確定停止表示され、更に表示固定時間が経過した後に、大当り開始デモへの移行が行われる。
前述の発射位置指定2コマンドは、所謂左打ちや右打ちにより、遊技者に、第1大入賞口91及び第2大入賞口92の間で遊技球の打ち分けを行わせる場合に発射位置を報知するためのものである。より具体的には、発射位置指定2コマンドは、特別遊技の開始前に右打ち用の演出を可能とするものである。そして、発射位置指定2コマンドは、上述の表示固定時間が経過したタイミング(特別図柄の停止図柄表示時間終了のタイミング)で、メイン基板102からサブメイン基板301へ送信される。
なお、発射位置指定2コマンドは、特別図柄の停止図柄表示時間終了のタイミング以外のタイミングでも送信が可能なものである。特別図柄の停止図柄表示時間終了のタイミング以外のタイミングとしては、遊技中の場合であれば、条件装置の作動開始のタイミング、小当り開始のタイミング、役物連続作動装置の作動中、かつ、特別電動役物の作動開始のタイミング、条件装置作動終了のタイミング、小当り終了時などを例示できる。
上述の「条件装置」、「特別電動役物」、「役物連続作動装置」、は何れもぱちんこ遊技機10の制御処理における概念上の機器を表しており、これらのうち「特別電動役物」は、第1大入賞口91、第2大入賞口92を作動させることとなるものである。また、「役物連続作動装置」は、特別電動役物を連続して複数回作動させることができるものであり、「条件装置」は、その作動が役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の図柄の組合せが表示され、又は遊技球(役物連続作動装置が作動している時にその入口が開き、又は拡大した大入賞口に入賞したものを除く。)が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものである。
さらに、本実施例では、発射位置指定2コマンドが送信されるような右打ちを行うべき遊技状況となった場合には、前述の特別図柄等表示装置53(図7(a)参照)において、右打ちランプ(右打ち表示灯)55が、所定の態様で駆動制御される。本実施例では、この右打ちランプ55として1つのLEDが用いられており、右打ちランプ55の動作パターンは、左打ちすべき遊技状況である左打ち時には消灯し、右打ちすべき遊技状況である右打ち時には点灯するよう設定されている。なお、左打ちすべき場合には、メイン基板102からサブメイン基板301へ、発射位置指定2コマンドとは別の、発射位置指定1コマンドが送信されるが、この発射位置指定1コマンドについては後述する。
続いて、前述の大当り中大入賞口開放時のコマンドとしては、図柄1大当り中デモコマンド、及び、図柄2大当り中デモコマンドがある。これらの図柄1大当り中デモコマンド、及び、図柄2大当り中デモコマンドは、大当り中のラウンド数毎に異なる情報を有するものであり、大入賞口が開放状態となる毎に、サブメイン基板301に送信されるようになっている。本実施例では、図柄1大当り中デモコマンド、及び、図柄2大当り中デモコマンドとして、サブメイン基板301側で、最大数である16ラウンドの区別ができるよう、各々16種類ずつのコマンドが設けられている。サブメイン基板301の側では、この図柄1大当り中デモコマンド、又は、図柄2大当り中デモコマンドに基づき、何ラウンド目が開始されるのかを認識可能である。そして、サブメイン基板301側では、これらのコマンドに基づき、各ラウンド毎に、大入賞口装置600が開放状態となる場合の大入賞口開放演出が実行される。なお、以下では、図柄1大当り中デモコマンド、及び、図柄2大当り中デモコマンドを「大当り中デモコマンド」と総称する場合がある。
また、前述の大当り中大入賞口閉鎖時のコマンドとしては、大入賞口閉鎖演出コマンドがある。この大入賞口閉鎖演出コマンドは、大当り中のラウンド数毎に異なる情報を有するものであり、大入賞口が閉鎖状態となる毎に、サブメイン基板301に送信されるようになっている。本実施例では、大当り中大入賞口閉鎖時のコマンドとして、サブメイン基板301側で、最大数である16ラウンドの区別ができるよう、16種類のコマンドが設けられている。サブメイン基板301の側では、この大入賞口閉鎖演出コマンドに基づき、何ラウンド目の開放が終わったかを認識可能である。
さらに、前述の当り終了デモ時のコマンドとしては、図柄1当り終了デモ、図柄2当り終了デモのコマンドがある。これらは、第1特別図柄192や第2特別図柄193の当り図柄に基づいた当り終了デモ演出を表示させるためのものである。なお、以下では、図柄1当り終了デモコマンド、及び、図柄2当り終了デモコマンドを総称しては「当り終了デモコマンド」と称する場合がある。
また、前述の大当り終了デモ終了時のコマンドとしては、発射位置指定1コマンドがある。この発射位置指定1コマンドは、前述のように、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、及び、第2大入賞口92の位置関係などの理由によって、発射位置の打ち分けが必要な場合に、発射位置を報知するためのものである。本実施例では、発射位置指定1コマンドは、例えば、前述の時短等の特定遊技が終了する際に、メイン基板102からサブメイン基板301へ送信される。なお、この発射位置指定1コマンドの送信タイミングとしては、遊技中の場合であれば、特別図柄の停止図柄表示時間終了のタイミング、条件装置作動終了のタイミング、小当り終了のタイミングなどを例示できる。
<<第1動作制御態様(大入賞口開放時の動作制御態様)>>
次に、上述の各種コマンドを利用した倒伏扉部材607の動作制御態様を、特別遊技の時期ごとに分けて説明する。ここでは先ず、第1動作制御態様として、大入賞口開放の際の制御態様について説明する。この第1制御態様においては、倒伏扉部材607の動作制御に、前述の大当り開始デモコマンドが利用される。
大当り開始デモコマンドは、水平シャッタ部材606が開放されるよりも前のタイミングで、サブメイン基板301に送信される。そして、サブメイン基板301では、大当り開始デモコマンドを受信すると、所定のタイマを用いて、倒伏扉部材607の開放までの待機時間を計測する。さらに、タイマ値が所定値に達して待機時間が経過すると、サブメイン基板301のCPU521が、ソレノイドドライバ(図示略)に駆動信号を出力する。そして、倒伏扉部材607を動作させるソレノイドが駆動され、倒伏扉部材607が開放を開始する。
図17(a)は、水平シャッタ部材606(ここでは「本アタッカ」と称する)と、倒伏扉部材607(ここでは「演出アタッカ」と称する)の動作タイミングを示している。図中の上段に示すように、本アタッカが閉止状態にあるうちに、サブメイン基板301の側で前述の大当り開始デモコマンドを受信する。そして、サブメイン基板301の側では、タイマを用いた計時により、予め定められた待機時間T1が経過すると、図中の下段に示すように、演出アタッカを開放状態とする。その後、遅延時間T2(例えば数秒程度)を経て、メイン基板102が本アタッカを駆動し、図中に示すように本アタッカである水平シャッタ部材606を開放状態とする。ここで、図17(a)中においては、大当り開始デモコマンド受信後の待機時間T1は、図外(左側)の大当り開始デモコマンド受信から継続している時間であるため、片側(右側)のみに矢じりを有する右向矢印を用いて示している。
メイン基板102が、大当り開始デモコマンドを送信してから、本アタッカを開放させるまでの時間は、概ね「T1+T2」により表すことができる。そして、待機時間T1は、メイン基板102が、大当り開始デモコマンドを送信してから、最初の大当り中大入賞口開放時のコマンドを送信するまでの時間(T1+T2と同等)よりも短くなる。
このような演出アタッカ(倒伏扉部材607)の第1動作制御態様によれば、本アタッカ(水平シャッタ部材606)の動作開始前に、演出アタッカの動作により、本アタッカの動作開始予告がされる。そして、遊技者に対し、演出アタッカによって、遊技球の打ち出しタイミングの告知を行うことが可能となる。さらに、演出アタッカの動作のための専用のコマンドを設けることなく、演出アタッカの動作タイミングを決定するための情報が、メイン基板102からサブメイン基板301に通知されることとなる。また、本アタッカが開放するまでの時間の決定にあたっては、遊技球の発射から遊技球が大入賞口装置600に到達するまでの時間を考慮して行うことが可能である。
なお、本実施例では、大当り開始デモコマンドは1種類のみ設けられており、大当り開始デモコマンドと、待機時間T1との関係は1態様のみとなっている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、大当り開始デモコマンドと、待機時間T1との関係に関し、2態様以上の制御態様を設けてもよい。この場合、例えば、第1大当り開始デモコマンドの受信に基づき選択された演出が当り開始デモAである場合には、当り開始デモAの開始から、待機時間T1としてXa秒後に演出アタッカ(倒伏扉部材607)を開放させる。一方、選択された演出が当り開始デモBである場合には、当り開始デモBの開始から、待機時間T1として、Xaと異なるYa秒後に演出アタッカを開放させる、といった制御を行うことが可能である。また、待機時間T1が異なる2種類以上の大当り開始デモコマンドを設けて、演出アタッカの開放タイミングを異ならせるようにしてもよい。
<<第2動作制御態様(ラウンド中の動作制御態様)>>
次に、演出アタッカ(倒伏扉部材607)に係る第2動作制御態様として、ラウンド中における制御態様について説明する。このラウンド中に係る第2制御態様は、上述の第1動作制御態様の後の動作制御を行うものであり、第2制御態様としては、以下の第2−1動作制御態様(図18(a)参照)、第2−2動作制御態様(図18(b)参照)、第2−3動作制御態様(図18(c)参照)の3つの動作制御態様を挙げることができる。
これらのうち、第2−1動作制御態様、及び、第2−2動作制御態様は、大当りの種類が、前述の16R確変のように、実質的に16R分の出球を期待できるものである場合に実行されるようになっている。そして、第2−1動作制御態様は、例えば演出図柄表示装置60で行われる表示演出の内容が、遊技者にとって、特別遊技の開始当初から16R分の出球を期待できるものである場合に組み合わされる。これに対して、第2−2動作制御態様は、例えば表示演出の内容が、遊技者にとって、特別遊技の開始当初は未だ16R分の出球を期待できるのか否か不明なものである場合に組み合わされる。また、第2−1動作制御態様は、ラウンド中から最終ラウンドの終了までの動作を規定する制御態様であり、第2−2動作制御態様は、途中のラウンドでの動作を規定する制御態様であるともいえる。
<<<第2−1動作制御態様>>>
第2−1動作制御態様が組み合される表示演出は、上述のように、特別遊技の開始当初から16R分の出球を期待できる内容のものであるが、このような表示演出パターンは、装飾図柄190a〜190cの表示において、例えば、「7」の装飾図柄の組合せを確定表示し、その後の大当りに係る演出表示として実行することが可能である。そして、このような種類の装飾図柄が紐付された特別図柄で大当りに当せんした場合には、本アタッカが、図18(a)の上段に示すように16R分の開放と閉鎖を繰り返す間に、サブメイン基板301は、演出アタッカの開放状態を、図中の下段に示すように、特別遊技の終盤まで維持し続ける。そして、演出アタッカを開放状態としたまま16R目を迎え、本アタッカの16R目の動作が終了して閉じた後に、演出アタッカが閉鎖状態となる。
ここで、図18(a)参照は、第2−1動作制御態様を示すものであり、図18(a)中にT3で示すのは、本アタッカに係る15Rと16Rの間(ラウンドインターバル)の時間であり、この第2−1動作制御態様においては、1Rと2Rとの間のラウンドインターバルから、15Rと16Rとの間のラウンドインターバルまで、すべて同じ時間(T3)に設定されている。このラウンドインターバルT3としては、例えば2秒程度を例示できる。また、図中にT4で示すのは、本アタッカの16Rが終了してから、演出アタッカが閉鎖するまでの遅延時間である。
このような第2−1動作制御態様によれば、ラウンドインターバルを跨いで、演出アタッカが開放を継続するため、ラウンドインターバルのないアタッカ動作を演出として遊技者に提示することができる。そして、演出アタッカ(倒伏扉部材607)は、前述のように、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から排出された遊技球を受け入れて、基板部603の後方の回収通路616aへ案内するものであるから、一般的な倒伏式のアタッカとの類似性が高い。したがって、これらの相乗効果により、ラウンドインターバルのないアタッカ動作を、より現実味を帯びた演出として実行することが可能である。
サブメイン基板301が、このような第2−1動作制御態様を実行するか否かの判断は、前述のようにメイン基板102から各タイミングで送信されるコマンドを参照して行うことができる。すなわち、メイン基板102の側では、図柄変動開始時には、前述のキャラクタ演出コマンドなどをサブメイン基板301へ送信する。また、大当りの場合には、大当り中大入賞口開放時に、前述の大当り中デモコマンドが送信され、大当り中大入賞口閉鎖時には、前述の大入賞口閉鎖演出コマンドが送信される。
これらのうち、図柄変動開始時のキャラクタ演出コマンドは、前述のように大当りの種類を示す情報を有しているものであるから、サブメイン基板301の側においては、このキャラクタ演出コマンドに基づき、16R確変の大当りであるか否か、及び、前述のラウンド選択煽り動作を伴う大当りであるか、といった判別を行うことができる。そして、大当りの種類が、ラウンド選択煽り動作を伴わない16R確変であることが判定された場合には、前述の第2−1動作制御態様が実行され(図18(a)参照)、ラウンド選択煽り動作を伴う16R確変であることが判定された場合には、後述する第2−2動作制御態様が実行される(図18(b)参照)。
<<<第2−2動作制御態様>>>
次に、第2−2動作制御態様について、図18(b)に基づき説明する。第2−2動作制御態様が組み合わされる16R確変用の演出パターンは、例えば、4R目までの表示演出を見ても、大当りの種類が16R確変であるのか、その他の16R確変(実4R)などの大当りであるのかを区別できるような内容が示されないものである。このような表示演出パターンが実行される場合、メイン基板102の側では、図18(b)の上段に示すように、本アタッカに係る4Rと5Rの間のラウンドインターバルT5を、それ以前のラウンドインターバル(ここでは第2−1動作制御態様と同じT3)よりも長く(例えば10数秒程度)に設定している。
そして、このT5に係る表示演出として、例えばバトル演出が実行され、この演出と本アタッカの動作態様とにより、バトルに勝利(バトル成功)して5R以降が実行されるのか、バトルに敗北(バトル失敗)して特別遊技が4Rで終わってしまうのか、遊技者にとって不明な状況が作り出される。このような演出は、それ以降も特別遊技が継続することを期待者に期待させるための煽り演出であり、そのような意味において、この煽り演出を「ラウンド選択煽り演出」と称することができる。また、このラウンド選択煽り演出と組み合わされる、ラウンドインターバルT5の実行動作を、「ラウンド選択煽り動作」と称することができる。
本実施例においては、このようなラウンド選択煽り演出と併せて、図18(b)中に示すように、本アタッカが4R目を終えて閉鎖した後、演出アタッカが、所定期間T6(例えば数秒程度)遅れて閉鎖し、所定期間T7(例えば10秒程度)に亘り閉鎖状態を維持する。そして、演出アタッカは、本アタッカの4Rと5RのラウンドインターバルT5が終了して本アタッカが開放するよりも、所定期間T8(例えば数秒程度)早く先行して開放し、その後は、前述の第2−1動作制御態様と同様に(図18(a)の下段参照)、特別遊技の終了後まで開放状態を維持する。本アタッカも、前述の第2−1動作制御態様と同様に(図18(a)の上段参照)、通常のラウンドインターバルT3を挟んで、最終ラウンドである16Rまで開閉を繰り返す。
このような第2−2動作制御態様によれば、上述の第2−1動作制御態様と同様の作用効果を奏するほか、演出アタッカが、5R目以降へ進めるのか否か不明な状況の創生を補助することになる。したがって、演出アタッカの一層の活用が可能となる。
なお、第2−2動作制御態様については、本実施例では、ラウンド選択煽り演出中に、演出アタッカが本アタッカに先行して開放するが、演出アタッカの開放タイミングは、4R目の終了時における前述の大入賞口閉鎖演出コマンドを利用して決定することができる。すなわち、サブメイン基板301が、本アタッカの4R目の終了の際に、大入賞口閉鎖演出コマンドを受信したことを契機にタイマによる計時を行い、所定の待機時間T9が経過すると、演出アタッカを開放状態とする、といった制御態様の採用が可能である。
また、大入賞口閉鎖演出コマンドと、待機時間T9との関係に関し、2態様以上の制御態様を設けてもよい。この場合、例えば、大入賞口閉鎖演出コマンドの受信に基づき演出パターンAが実行され、この演出パターンAにおいて、待機時間T9としてXb秒後に演出アタッカを開放させる。一方、選択された演出が演出パターンBである場合には、待機時間T9として、Xbと異なるYb秒後に演出アタッカを開放させる、といった制御を行うことが可能である。また、待機時間T9が異なる2種類以上の大入賞口閉鎖演出コマンドを設けて、演出アタッカの開放タイミングを異ならせるようにしてもよい。
<<<第2−3動作制御態様>>>
次に、第2−3動作制御態様について、図18(c)に基づき説明する。この第2−3動作制御態様が組み合わされる大当りの種類としては、16R確変でありながら実質的に4R分の出球しか期待できない前述の16R確変(実4R)を例示できる。大当りの種類が、この16R確変(実4R)であった場合には、図18(c)の上段に示すように、本アタッカは、4R目の開放の後、第2−2動作制御態様と同様にラウンド選択煽り動作を行う。
つまり、本アタッカは、4R目の開放の後、ラウンドインターバルT5(例えば10数秒程度)の閉鎖状態となる。このラウンドインターバルT5の間は、第2−2動作制御態様と同様にラウンド選択煽り演出が実行されるが、ラウンド選択煽り演出の内容については、第2−2動作制御態様とは異なるものであってもよい。そして、ラウンドインターバルT5が終了すると、本アタッカは、残りの5R目から16R目として、極短時間T10(例えば0.2秒程度)ずつ12回の開放を行う。この場合、5Rと6Rの間以降のラウンドインターバルT11については、開放時間T10と同じ0.2秒程度とすることが可能である。
これに対し、演出アタッカは、図18(c)の下段に示すように、本アタッカが4R目を終えて閉鎖した後、所定期間T6(例えば数秒程度)遅れて閉鎖する。この点までは、前述の第2−2動作制御態様と同様である。この後、演出アタッカは、開放されず、閉鎖状態を維持し、その間に特別遊技が終了する。
このような第2−3動作制御態様によれば、上述の第2−1動作制御態様と同様の作用効果を奏するほか、演出アタッカが、遊技者が5R目以降への過度な期待を抱くことを防止し得るものとなる。そして、このことによって演出アタッカの一層の活用が可能となる。
<<第3動作制御態様(閉止時の動作制御態様)>>
次に、演出アタッカ(倒伏扉部材607)に係る第3動作制御態様として、閉止時における制御態様について説明する。この閉止時に係る第3制御態様は、上述の第2動作制御態様の後の動作制御を行うものであり、第3制御態様としては、以下の第3−1動作制御態様(図17(b1)参照)、及び、第3−2動作制御態様(図17(b2)参照)の2つの動作制御態様を例示することができる。
<<<第3−1動作制御態様>>>
これらのうち、第3−1動作制御態様においては、例えば、特別遊技中の最終ラウンド(例えば16R確変の16R目)が終了する際、その時に保留されている情報中に大当りの情報が含まれていれば、演出アタッカが、保留内連チャンが発生することを遊技者に伝え得るような動作(連チャン予告動作)を行う。この連チャン予告動作としては、先の特別遊技の終了に伴い、演出アタッカを閉じた後、次の特別遊技が開始されるまでの間の所定のタイミングで、演出アタッカに、短時間(例えば0.2秒毎)の開放を、複数回行わせるものを例示できる。このような演出アタッカの動作は、「繰り返し開放動作」と称することができる。
図17(b1)は、上述の第3−1動作制御態様の一例を示している。また、図17(b1)中において、上段の本アタッカに係るチャートは、ラウンドインターバルの記載を省略し、特別遊技の期間をチャートの立ち上がり状態(ハイ(High)状態)で示している。本アタッカは、最終ラウンドを終えると、図中に示すように、開放状態から閉鎖状態へ移行し、この際、表示演出等としては、特別遊技の終了を示す大当り終了デモが実行される。演出アタッカは、本アタッカの閉鎖から所定時間(ここでは図18(a)の第2−1動作制御態様と同じT4とする)遅れて閉鎖状態となり、閉鎖維持時間T12の後に、短開放時間T13(ここでは0.2秒程度)の開放を、短閉鎖時間T14(ここでは0.2秒程度)を挟んで所定回数行う。図17(b1)の例では、連チャン予告動作としての演出アタッカの短閉鎖の回数は、2回となっている。
このような演出アタッカの繰り返し開放動作は、例えば、前述の当り終了デモ時における当り終了デモコマンドに基づいて行うことが可能である。そして、サブメイン基板301の側では、当り終了デモコマンドの受信に基づき、タイマを用いた計時により、予め定められた待機時間(概ねT4+T12と同等)が経過すると、繰り返し開放動作の最初の開放を開始する、といった制御態様を例示できる。なお、演出アタッカの繰り返し開放動作を、前述の大入賞口閉鎖演出コマンドに基づいて行うことも可能である。
また、上述の演出アタッカが繰り返し開放動作を開始するまでの待機時間に関し、2態様以上の制御態様を設けてもよい。この場合、例えば、当り終了デモコマンドの受信に基づき終了デモ演出として演出パターンCが実行され、この演出パターンCにおいて、待機時間であるXc秒後に演出アタッカを開放させる。一方、選択された演出が演出パターンDである場合には、Xcと異なる待機時間であるYc秒後に演出アタッカを開放させる、といった制御を行うことが可能である。また、待機時間が異なる2種類以上の当り終了デモコマンド(或いは大入賞口閉鎖演出コマンド)を設けて、演出アタッカの閉鎖維持時間T12を異ならせるようにしてもよい。
さらに、演出アタッカによる連チャン予告動作のため、サブメイン基板301が、保留内に大当り情報が含まれていることを認識するにあたり、前述の始動入賞時のコマンドを利用することが可能である。始動入賞時のコマンドとしては、前述のように、当り予告演出コマンド、当り図柄予告演出コマンド、パターン予告演出コマンドがあるが、これらのうち、例えば、当り予告演出コマンドに、保留内大当りの有無を表す情報を持たせることで、保留情報に基づく演出アタッカの動作制御を行うことが可能である。さらに、サブメイン基板301の側では、上述の当り予告演出コマンドに基づき、次の1回目の特別図柄の変動で大当りが発生するのか、2回目以降の何回目の変動で大当りが発生するのかを区別して把握することが可能である。
なお、保留内大当りの有無を表す情報を持たせるコマンドとしては、当り予告演出コマンドに限らず、当り図柄予告演出コマンド、或いは、パターン予告演出コマンドの何れかであってもよい。また、これらの3つのコマンド(当り予告演出コマンド、当り図柄予告演出コマンド、パターン予告演出コマンド)の全てが、保留内大当りの有無に係る情報を持つ場合があるようにしてもよい。さらに、これらの3つのコマンド以外のコマンドを設け、そのコマンドに、保留内大当りの有無に係る情報を持たせるようにしてもよい。さらに、特別図柄の変動開始時の演出パターンコマンド、キャラクタ演出コマンドなどが、保留内大当りに係る情報を有するようにしてもよく、また、演出中に送信されるコマンドに、保留内大当りに係る情報を持たせるようにしてもよい。演出中に送信されるコマンドとしては、演出の切り替わり(節目)に送信されるコマンドなどを例示できる。
このような第3−1動作制御態様によれば、前述の第2−1動作制御態様と同様の作用効果を奏するほか、先の特別遊技の終了後の段階において、演出アタッカにより、保留内連チャンを示唆することができ、このことによって演出アタッカの一層の活用が可能となる。
<<<第3−2動作制御態様>>>
次に、第3−2動作制御態様について、図17(b2)に基づき説明する。第3−2動作制御態様においては、例えば、図中の上段に示すように、本アタッカが、先の特別遊技(1回目の大当りとする)が終了して閉鎖する。そして、保留内大当りにより、1回目(又は2回目〜4回目の何れか)の特別図柄の変動表示の後に保留内連チャン(2回目大当り)が発生し、次の特別遊技(保留内連チャン)の開始に伴い、本アタッカが、図中にチャートの立ち上がりで示すように、変動表示や各種デモ表示の時間を含む変動期間T15を経て開放する。
これに対して、演出アタッカは、図中の下段に示すように、1回目の大当りから保留内連チャンが発生するまでの間の期間(T15)も閉鎖せず、複数回の大当りを跨るよう開放状態を継続する。この第3−2動作制御態様においても、前述の第3−1動作制御態様と同様に、始動入賞時のコマンドを利用することが可能である。
このような第3−2動作制御態様によれば、1回目の大当りの終了時に、演出アタッカを開放させ続けることにより、保留内連チャンを示唆することができる。また、2回目の大当りに移行する際にも、演出アタッカの、遊技球を受容し得る状態を継続することができる。そして、これらのことによって、演出アタッカの一層の活用が可能となる。
<<第4動作制御態様(演出の公正性を担保するための制御態様1)>>
次に、演出アタッカ(倒伏扉部材607)に係る第4動作制御態様について説明する。この第4動作制御態様は、前述の右打ちランプと演出アタッカとの関係において、演出アタッカにより、確実に右打ちすべきことを報知できるようにしたものである。この第4動作制御態様には、前述の16R確変や、16R確変(実4R)等のように、出球を期待できる場合に実行される第4−1動作制御態様(図19(a)参照)と、4R確変(出球無/潜伏)等のように、出球を期待できない場合に実行される第4−2動作制御態様(図19(a)参照)とがある。
<<<第4−1動作制御態様>>>
先ず、図19(a)に示す第4−1動作制御態様においては、図中の最下段に示すように右打ちランプ(55)が点灯した後に、図中の中段に示すように、演出アタッカが、演出アタッカ遅延時間T16を介して開放する。さらに、その後に、図中最上段に示すように本アタッカ遅延時間T17を介して、本アタッカが開放する。この第4−1動作制御態様は、前述の16R確変や16R確変(実4R)などのように、出球を期待できる特別遊技の開始時に適用される。
この第4−1動作制御態様の実行には、大当り開始デモ時の大当り開始デモコマンド、発射位置指定2コマンド、及び、大当り中大入賞口開放時の大当り中デモコマンドを利用することが可能である。例えば、メイン基板102の側で、大当り開始デモコマンドと発射位置指定2コマンドの送信が行われ、右打ちランプ55が点灯駆動される。サブメイン基板301の側では、大当り開始デモコマンドの受信後、所定時間が経過した場合に演出アタッカを開放する。ここで、サブメイン基板301の側で、発射位置指定2コマンドの受信に基づき、演出アタッカを開放させるまでのタイマ計時を開始してもよい。そして、この後に、メイン基板102が、サブメイン基板301へ向けた大当り中デモコマンドの送信と、本アタッカの開放とを行う。また、大当りの種類の判別には、特別図柄の図柄変動開始時の、キャラクタ演出コマンドを利用することが可能である。
本実施例では、図19(a)中に示すように、右打ちランプ(55)が点灯してから、所定時間(演出アタッカ遅延時間)T16の経過後に演出アタッカが開放し、その後の所定時間(本アタッカ遅延時間)T17の経過後に本アタッカが開放する。また、図中にT18で示す時間は、右打ちランプ(55)が点灯してから、本アタッカが開放するまでの時間である。そして、上述のように、右打ちランプ(55)の点灯後、本アタッカが開放する前に、演出アタッカが開放する。
このような第4−1動作制御態様によれば、右打ちランプ(55)だけでなく、演出アタッカによっても、本アタッカが開放することを報知でき、右打ちすべき状況であることを、演出アタッカを利用して、一層明確に報知できる。そして、演出アタッカを用いた演出を、より公正な遊技に叶ったものとすることができる。
<<<第4−2動作制御態様>>>
これに対して、出球が期待できない種類の大当りに当せんした場合には、図19(b)に示す第4−2動作制御態様のように、右打ちランプ(55)が点灯しても、演出アタッカは開放せず、閉鎖状態を維持する。そして、右打ちランプ(55)の点灯から所定時間T19の経過後に、本アタッカが、図中の上段に示すように、短時間T20(例えば0.2秒程度)の開放と、所定時間T21(例えば1秒程度)の閉鎖を繰り返す。
このような第4−2動作制御態様によれば、右打ちランプ(55)が点灯しても、演出アタッカにより、右打ちすべきでない状況であることを明確に報知することができる。そして、遊技者が、右打ちしても出球を獲得できない状況であるのにも関わらず右打ちしてしまうといった、所謂誤発射を防止することが可能となる。そして、演出アタッカを用いた演出を、より公正な遊技に叶ったものとすることができる。
<<<第5動作制御態様(演出の公正性を担保するための制御態様2)>>>
次に、第5動作制御態様について説明する。この第5動作制御態様は、前述の条件装置又は右打ちランプ55が作動していることを条件に、演出アタッカを開放させる制御態様である。
つまり、大当りとなる場合には、特別図柄等表示装置53(図7(a)参照)に、第1特別図柄192又は第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止表示され、本実施例においては、このことにより条件装置が作動開始することとなる。サブメイン基板301においては、この条件装置が作動したことは、大当り開始デモコマンドを受信したことにより認識できるようになっている。また、条件装置は、大当りの終了により作動終了することとなるが、本実施例においては、当り終了デモコマンドの送信から所定時間(例えば数秒程度)経過後に、条件装置が作動終了するようになっている。このため、サブメイン基板301においては、当り終了デモコマンドの受信により、その後に条件装置が作動終了することを認識できるようになっている。ここで、当り終了デモコマンドの送信とほぼ同時に条件装置が作動終了するようにしてもよい。
また、右打ちランプ55の点灯については、サブメイン基板301の側では、前述のように、発射位置指定2コマンドを受信することにより認識することができる。そして、サブメイン基板301においては、大当り開始デモコマンド、及び、発射位置指定2コマンドのうち、少なくともいずれか一方を受信した場合に限り、演出アタッカを開放動作させる。
このような第5動作制御態様によれば、大当りが発生した場合に限り演出アタッカを開放動作させることができる。そして、演出アタッカを用いた演出を、より公正な遊技に叶ったものとすることができる。
<本実施例に係る発明の作用効果>
以上説明したような大入賞口装置600を備えたぱちんこ遊技機10によれば、水平シャッタ部材606を用いたシャッタ式の機構により、上向きの大入賞口となる第1入球口609a(上流口)及び第2入球口610a(下流口)の開閉が同時に行われている。したがって、倒伏扉式の機構により正面向きの大入賞口を開閉するタイプのものに比べて、高さ方向の寸法についての小型化が容易となる。そして、小型化により空いたスペースを利用して、大入賞口装置600の形状や機構設計の自由度を高めることができ、更に大入賞口装置600の周囲における他の部品や遊技釘の配置等に関しても、設計の自由度を高めることができる。
また、流入球案内部608において、第1入球口609aが第2入球口610aの上流に位置しており、流入球案内部608に流入した遊技球は、第1入球口609aを必ず通るようになっている。したがって、第1入球口609aのみでも、ぱちんこ遊技機10の大入賞口として用いることが可能である。また、第1入球口609aの縦横の開口寸法は、遊技球の直径よりも幾分大きい程度となっており、大入賞口を横長の帯状に大きく確保した従来のタイプに比べて、大入賞口が縮小化されている。したがって、大入賞口装置600の最小限の機能である、開放に伴い進入した遊技球を検出するといった機能を確保するうえでは、左右方向についても小型化が可能であり、このことによっても大入賞口装置600の設計の自由度を高めることができる。
また、本実施例では、第1入球口609aの下流に第2入球口610aが設けられているため、仮に第1入球口609aを飛び越えた遊技球が発生しても、第2入球口610aを予備的な大入賞口として利用できる。そして、大入賞口装置600の作動時に、大入賞口装置600から零れる遊技球の発生を防止でき、所定数(ここでは9個)の遊技球の計数を迅速に終えることができる。さらに、流入球案内部608に、第1入球口609aと第2入球口610aとを併せて大入賞口が形成されているので、大入賞口の開口幅の確保が容易であり、効率よく遊技球を流下させ、排出することができる。
さらに、第1入球口609aと第2入球口610aとの間に減速部611が設けられており、流入球案内部608を流下する遊技球が、減速部611において突起611a,611bに干渉するようになっている。したがって、この減速部611により、第2入球口610aへ向かう遊技球の勢いを弱めることができる。そして、第1入球口609aに入球せずに通り過ぎた遊技球を、より確実に、第2入球口610aに入球させることができる。
特に、遊技領域52の右側の部位においては、センター飾り64によりスペースが占有されて釘等の配置が困難であり、釘等を十分に配設した部位(例えば遊技領域の左側の部位など)に比べて、流下する遊技球の速度が速くなりがちである。そして、大入賞口装置600に進入した遊技球の挙動も安定しづらく、このことは、入賞センサ79a,79bでのチャタリングの発生や、入賞センサ79a,79bの破損などの原因になり得る。しかし、本実施例のように、流入球案内部608の受容部608aを湾曲させて遊技球の流下方向を上下方向から左右方向に変化させたり、流入球案内部608に減速部611を設けたりすることにより、第1入球口609aや第2入球口610aに向かう遊技球の勢いを十分に低下させることができる。なお、第1入球口609aの手前に減速部611を設けて、第1入球口609aに向かう遊技球の減速を行ってもよい。
また、減速部611により遊技球の減速を行うことは、遊技球が流入球案内部608上に存在する時間を長くすることに繋がる。したがって、大入賞口装置600で1ラウンドの規定数(ここでは9個)よりも多くの入賞を発生させる可能性が高まり、このような観点からは、所謂オーバー入賞や超過入賞などが発生し易くなることが考えられる。
さらに、本実施例においては、水平シャッタ部材606を用いているとともに、大入賞口である第1入球口609a及び第2入球口610aは、前述のように従来に比べ縮小化されたものである。したがって、水平シャッタ部材606や、水平シャッタ部材606の案内部(図示略)について、姿勢の維持や摩擦などといった設計条件を緩和することが可能となり、水平シャッタ部材606の円滑な動作を容易に確保できるようになる。
すなわち、従来のように扉を起立又は倒伏動作させるタイプの大入賞口装置の場合には、大入賞口が前面を向いて開口するため、大入賞装置の厚み(上下方向の寸法)が大となる。また、板状の扉を、下端縁部を軸として回動動作させるため、駆動源として用いられるソレノイドには、扉を動かすのに十分なモーメントを発生させることが可能な比較的大出力のものが必要となる。さらに、扉を戻すのに用いられるばねの弾性力によっては、遊技球の重みが加わることで扉が閉まらなくなったり、予期せず開いたりすることもあり、ばねの選定にも注意が必要である。
また、シャッタを前後に進退させるタイプの大入賞口の場合には、従来のようにシャッタのスライドにより開閉される開口(大入賞口)が大きいと、摩擦、摩耗、汚れといった種々の要素の影響を受けやすくなり、場合によっては、シャッタが閉まらなくなったりすることも考えられる。さらに、シャッタに均等な力を作用させなければ、シャッタが傾いてしまい、このことによっても、シャッタが円滑に動作しない場合が生じ得る。
しかし、本実施例における大入賞口装置600のように、水平シャッタ部材606を用いるとともに、第1入球口609a(及び第2入球口610a)に全ての遊技球を導くことにより、大入賞口の縮小化、及び、大入賞口を塞ぐシャッタ(ここでは第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606b)の小型化が可能となる。そして、水平シャッタ部材606の全体的な形状や大きさを、大入賞口の形状や大きさに合わせて決めなければならないといった制約がなくなり、水平シャッタ部材606の軽量化や、本体部606cの形状の自由化が可能となる。そして、水平シャッタ部材606の本体部606cの形状や大きさの自由化により、摩擦、摩耗、汚れといった種々の要素の影響を抑制するような設計を行い得るようになる。また、本体部606cに作用させる力の均等化や、傾きに対しても設計上の要求を緩和できるようになり、シャッタ機構に係る設計が容易になる。そして、結果として、大入賞口の開閉に係るトラブルの発生を防止できるようになる。
また、本実施例によれば、第2入球口610aが設けられているので、大入賞口装置600の作動時において、流入球案内部608に流入した遊技球を、ラウンドを跨いで入賞させることが可能となる。つまり、或るラウンドの終了間際に流入球案内部608に流入した遊技球が、第1入球口609aが閉鎖して、第1入球口609aへの入球を果たせなかった場合であっても、ラウンド間の所定期間(ラウンドインターバル)を経て次のラウンドが開始され、水平シャッタ部材606が後退した際に、当該遊技球が、第1入球口609aと第2入球口610aとの間の部位に残っていれば、第2入球口610aを介して、当該遊技球を第2入賞案内部610に導き、入賞を発生させることが可能である。さらに、本実施例では、第2入球口610aの上流側に減速部611が設けられているので、この減速部611により、このようなラウンドを跨いだ第2入球口610aへの入球の可能性を高めることができる。ここで、ラウンドインターバルは、例えば1秒未満の期間とすることが考えられる。
また、本実施例によれば、水平シャッタ部材606に加えて、倒伏扉部材607が設けられており、この倒伏扉部材607の動作は、遮蔽カバー部材604を介して遊技者が視認可能となっている。このため、大入賞口装置600が作動開始したことや、作動中であることを、倒伏扉部材607の様子を介して遊技者に知覚させることが可能である。
つまり、第1入球口609a及び第2入球口610aを閉塞する第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bは、遊技者に対して厚み部分のみを向けており、更にこれらの厚さ寸法を除いた縦横寸法は、遊技球の直径程度に縮小化されている。このため、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bが動作しても、遊技者が、これらが動作したことに気付かないことも考えられる。
しかし、本実施例のように、倒伏扉部材607を付設し、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bの動作タイミングに合わせて、倒伏扉部材607を動作させることにより、大入賞口の開閉に倒伏扉部材607を用いた場合と同様の知覚効果を奏することが可能となる。そして、遊技者が、大入賞口装置600の作動開始に合わせて遊技球を打ち出す際の、打ち出し開始のタイミングを図り易くなる。また、倒伏扉部材607の動作により、当り(特に大当り)の発生をアピールでき、遊技者の当りに対する満足度を高めることが可能になる。
ここで、小当りの発生時には倒伏扉部材607を作動させず、水平シャッタ部材606のみを作動させ、大当りの発生の際には倒伏扉部材607と水平シャッタ部材606の双方を作動させるといった動作態様を採用することも可能である。また、出球の期待が持てる前述の16R確変のような大当りが発生した場合にのみ倒伏扉部材607を作動させ、他の大当りの場合には水平シャッタ部材606のみを作動させる、といった動作態様も採用が可能である。さらに、16R確変のような大当りであっても、所定の場合の大当りのみ倒伏扉部材607を開放する、といった動作態様も考えられる。
さらに、本実施例によれば、遮蔽カバー部材604が備えられており、倒伏扉部材607と球通路形成部605との間は、遮蔽カバー部材604により覆われている。このため、遊技球回収口614へ入球する遊技球を、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球のみとすることができる。そして、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bと、倒伏扉部材607とに対し、取扱う遊技球の共通化により、取扱う遊技球に関する機能的な一体感を与えることが可能である。
また、本実施例における前述の第1動作制御態様(図17(a)参照)と第2−1動作制御態様(図18(a)参照)とを組み合わせた動作制御態様や、第1動作制御態様と第2−3動作制御態様(図17(c)参照)とを組み合わせた動作制御態様によれば、倒伏扉部材607の開放期間は、出球を期待できる最初のラウンドの開始から最後のラウンドの終了までの期間を跨いでおり、水平シャッタ部材606が、出球を期待できるラウンド数に応じて進退動作を行う間、倒伏扉部材607は開放を継続している。つまり、倒伏扉部材607は、大入賞口装置600の作動時には、ラウンドを跨いで開き続けることが可能である。さらに、倒伏扉部材607は、水平シャッタ部材606よりも先に開放し、水平シャッタ部材606よりも後に閉塞する。したがって、このような動作制御態様によれば、第1入賞案内部609及び第2入賞案内部610から放出された遊技球を、取り溢すことなく遊技球回収口614内に案内することができる。また、倒伏扉部材607の開放動作により、大入賞口装置600が作動したことを迅速に報知できる。
なお、大入賞口装置600が作動開始する際の演出の設計にあたり、例えば開発段階において、遊技球の発射から遊技球が大入賞口装置600に到達するまでの時間を所定回数計測して平均値を算出し、算出結果に基づいて倒伏扉部材607や水平シャッタ部材606の動作タイミングを決定することが考えられる。そして、倒伏扉部材607や水平シャッタ部材606の動作タイミングを踏まえた演出内容とすることにより、遊技者に対し右打ち時に、大入賞口に入球しない遊技球の発生を抑制するとともに、特別遊技などの消化を早めさせることが可能となる。
さらに、本実施例によれば、流入球案内部608に減速部611が設けられているので、第1入球口609aから第2入球口610aへ向かう遊技球の速度を低下させることができる。したがって、第1入球口609aを通り過ぎた遊技球を、より確実に、第2入球口610aに入球させることができる。さらに、前述のラウンド終了の際に、第1入球口609aが閉じて入球できなかった遊技球を、次回の第1入球口609a及び第2入球口610aの開放までのラウンドインターバルを経て、第2入球口610aへ入球させることが可能となる。
また、本実施例によれば、大入賞口装置600から第2始動入賞口63へ向かう遊技球の経路中に減速部611を設けているので、減速部611により、第2始動入賞口63に係る入賞率を調整することが可能である。そして、大入賞口装置600や第2始動入賞口63の周囲の釘等の配置に制約があり、遊技球の流下傾向の調整が困難であったとしても、減速部611により、釘等の配置の制約を補うことが可能になる。
さらに、減速部611の構成を工夫することにより、更に第2始動入賞口63に係る入賞率を調整することが可能である。減速部611の構成の工夫としては、突起611aの配置、大きさ、形状の変更や、減速部611の構造変更などが考えられる。また、減速部611の構造変更としては、例えば、流入球案内部608の接続部608bの表面を上下の起伏を有する波形に成型することなどを例示できる。
なお、本実施例では、第2始動入賞口63の下方に第1大入賞口91を備えた構成が採用されているが、これに限定されず、例えば、第1大入賞口91を省略し、第2大入賞口92である大入賞口装置600や、大入賞口装置600の近傍に開閉羽根部材を追加し、この開閉羽根部材を、第1の遊技に係る第1大入賞口91として用いてもよい。この場合は、遊技球を遊技領域52の右側に向けて発射する所謂右打ちにより、第1大入賞口91への入賞を狙うようにすることが可能である。さらに、第1大入賞口91に、水平シャッタ部材606や倒伏扉部材704を有する構成を採用してもよい。
また、本実施例では、大入賞口装置600の第1入球口609a及び第2入球口610aを、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを一体に備えた水平シャッタ部材606により開閉するようにしているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1シャッタ部606a及び第2シャッタ部606bを別々に駆動し、第1入球口609a及び第2入球口610aを、時間差をもって開閉するようにしてもよい。その場合には、第1入球口609aの開放中、或いは閉鎖後に、第2入球口610aの開放を開始する、といった動作態様を例示できる。
また、本実施例では、図17〜図19に示すように、倒伏扉部材607(演出アタッカ)の動作制御態様が各種設けられている。したがって、倒伏扉部材607の動作態様を多様に設定でき、倒伏扉部材607を有効活用することが可能である。さらに、倒伏扉部材607の動作態様は、サブメイン基板301により制御されており、サブメイン基板301は、水平シャッタ部材606(本アタッカ)を直接制御するメイン基板102からの各種コマンド基づき、倒伏扉部材607を制御している。したがって、倒伏扉部材607に対し、水平シャッタ部材606の制御と関連付けた制御を行うことが可能である。
さらに、倒伏扉部材607の制御するためのコマンドとして、特別遊技における区切りのタイミングで送信されるコマンドが用いられており、倒伏扉部材607の動作タイミングに合わせて、送信タイミングが決められたコマンドは用いられていない。つまり、倒伏扉部材607の動作タイミングに合致するタイミングで送信される専用のコマンドは設けられておらず、水平シャッタ部材606の動作タイミングや、デモ演出等の実行タイミングに合わせたタイミングで送信される各種コマンドに基づいて、倒伏扉部材607が制御されている。したがって、新たに専用のコマンドを追加することなく、倒伏扉部材607を動作させることができる。
なお、倒伏扉部材607の制御に用いられている各種コマンドとしては、第1動作制御態様における大当り開始デモ時の大当り開始デモコマンド、第2動作制御態様における大当り中大入賞口閉鎖時の大入賞口閉鎖演出コマンド、第3−1動作制御態様における当り終了デモコマンド、第3−2動作制御態様における始動入賞時の当り予告演出コマンド、第4動作制御態様における大当り開始デモ時の大当り開始デモコマンド、発射位置指定2コマンド、及び、大当り中大入賞口開放時の大当り中デモコマンドなど、を挙げることができる。
<封入式遊技機への適用>
また、本願発明は、遊技者が獲得した遊技媒体としての遊技球を、前述のように、遊技者に対し直接的に払出して遊技者が賞球に触れることができるようにしているぱちんこ遊技機に限られず、例えば封入循環式のぱちんこ遊技機にも適用が可能である。封入循環式のぱちんこ遊技機としては以下のようなものを例示できる。なお、前述の実施例のぱちんこ遊技機10と同様の部分については同じ符号を付して説明する。
すなわち、封入循環式のぱちんこ遊技機は、内部に遊技媒体としての遊技球を封入しており、遊技者が発射ハンドル17を操作することにより、発射装置の発射モータを駆動させて封入球を1発ずつ遊技盤50前面の遊技領域52に打込んで遊技ができるように構成されている。遊技領域52の構成としては、前述のぱちんこ遊技機10のように遊技球を遊技者に引き渡すタイプのぱちんこ遊技機と同様の構成を採用できる。さらに、遊技球を遊技者に引き渡す必要がないことから、遊技球を一旦溜めるための上球皿15、下球皿16といった構成はなくてもよい。
遊技領域52で入賞した遊技球、及び入賞しなかった遊技球はセット基盤39に形成された球回収樋に案内され、揚送装置(図示略)により揚送される。揚送装置は、揚送モータにより回転する揚送用スクリューが内蔵されており、この揚送用スクリューが回転することによりパチンコ球(遊技球)が揚送される。揚送装置の背部には、揚送途中のパチンコ球と接触することによりそのパチンコ球を研磨する研磨部材が設けられており、パチンコ球は揚送されつつ、その表面が研磨される。
揚送装置の球入口側(下方側)及び球排出口側(上方側)には、遊技球の検出スイッチが設けられており、これら検出スイッチにより、揚送されるパチンコ球が検出される。揚送装置の球排出口の近傍には球発射装置が設けられており、揚送後の(上方側の)検出スイッチで検出された遊技球は、球送り装置により球発射装置に供給される。球送り装置は、遊技者が発射ハンドル17を操作して遊技球を1発打つ毎に次の遊技球を1つ打球発射位置に送り込む機能を有する。さらに、遊技球の循環経路途中に遊技球過不足検出スイッチが設けられ、循環経路内のパチンコ球が所定個数(たとえば50個)になっているか否かを検出する。
ぱちんこ遊技機の所定側の側方位置に該ぱちんこ遊技機に対して遊技用装置の一例のカードユニットが1対1に対応設置されている。この点は、前述のぱちんこ遊技機10と同様である。カードユニットは、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカードや、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付けて、それらカードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持球数、あるいは貯球数等)を用いて対応するぱちんこ遊技機における封入球を弾発発射させて遊技ができるようにするための機能を有する。なお、ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
このぱちんこ遊技機においては、現在の持球数の管理は、カードユニット側においてぱちんこ遊技機側の遊技球数の変動を算出することにより行われている。ぱちんこ遊技機側においても現在の遊技球数の算出・記憶を行なっているが、その遊技球数はぱちんこ遊技機側において遊技球数が0となったときにぱちんこ遊技機自ら打球発射を迅速に停止させる制御を行なうためだけに用いられる副次的なものである。このようにすることにより、ぱちんこ遊技機側における遊技球数に関する主管理機能をカードユニット側に持たせてぱちんこ遊技機側のコストを抑えることにより、封入式遊技機を導入する遊技場のランニングコストを軽減することができる。
ぱちんこ遊技機とCUとが遊技場に設置されて初めて電気的に接続された状態で電源を立上げたときには、ぱちんこ遊技機側の払出制御基板は、メイン基板からメインチップIDを送信してもらい、そのメインチップIDをCU側に送信するとともに、払出制御基板自身が記憶している払出チップIDをカードユニット側へ送信する。カードユニット側では、それら送信されてきたメインチップIDと払出チップIDとを記憶する。次に、接続時刻すなわちカードユニット側とぱちんこ遊技機側とが接続されて通信が開始された時刻のデータがカードユニット側からぱちんこ遊技機側へ送信され、ぱちんこ遊技機側ではその送信されてきた接続時刻を記憶する。
それ以降の電源投入時においては、ぱちんこ遊技機側からカードユニット側へそれら3つの情報、すなわち、メインチップIDと払出チップIDと前回の接続時刻データとが送信される。
カードユニット側では、それら送信されてきたデータと既に記憶しているデータとを照合し、前回と同じぱちんこ遊技機が接続されているか否かを判別する。なお、接続時刻のデータは、電源が立上げられる度にカードユニット側とぱちんこ遊技機側との通信が開始された新たな接続時刻データがカードユニット側からぱちんこ遊技機側へ送信されてその新たな接続時刻データをぱちんこ遊技機側において記憶することとなる。
カードユニットからぱちんこ遊技機に対しては、ぱちんこ遊技機に対してメインチップID等の送信が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対してはメインチップID等が送信される。さらに、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して認証が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対しては、カードユニットからの認証要求の受理の通知が行われる。また、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、リカバリ情報の送信が要求され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、ぱちんこ遊技機で保持しているリカバリ情報が送信される。続いて、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、ぱちんこ遊技機に対して接続状態であることが通知され、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、接続状態であることが通知される。また、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、リカバリ情報のクリア、接続ID(通信開始時刻)のバックアップの要求がされ、ぱちんこ遊技機からカードユニットに対して、リカバリ情報のクリア、接続ID(通信開始時刻)のバックアップの終了が通知される。
さらに、カードユニットからぱちんこ遊技機に対して、各種(遊技動作)が指示され、遊技台情報(加減算データ等)の送信が要求される。カードユニットはこのコマンドを使用して、遊技台の状態を定期的に確認する。ぱちんこ遊技機からカードユニットに対しては、遊技動作指示の実行結果および遊技台情報(加減算データ等)が通知される。カードユニットからぱちんこ遊技機に対しては、通信コネクションの接合を要求するコマンドが送信される。
また、ぱちんこ遊技機で遊技をしている最中に遊技球がなくなったことが検知された場合には、払出制御基板は自動的に打球発射モータの駆動を停止させて球を遊技領域に打込めない遊技禁止状態に制御する。なお、打球発射が停止するのみで、その段階で既に可変表示装置が可変表示中であった場合にはその可変表示を続行する。また発射停止制御を行なった段階で第1始動入賞口62や第2始動入賞口63の保留球数の記憶がある場合には、その記憶に基づいた可変表示装置の可変表示制御が続行される。
遊技球数の主たる管理はカードユニットで行なわれているが、ぱちんこ遊技機において遊技球数が0になったことに伴う遊技禁止制御(発射停止制御)を行なうときにのみ、ぱちんこ遊技機側における遊技球数が0になったことを判定して遊技禁止制御(発射停止制御)を行なう。その後、動作応答として、最終的な球関連情報をカードユニットに送信して最終的な遊技球数「0」をカードユニット側において確定させる。このように制御する理由は、ぱちんこ遊技機側において遊技球数が0になった瞬間に打球発射停止制御を行なう必要があるためである。
たとえば、遊技球数の主たる管理を行なっているカードユニット側において、ぱちんこ遊技機側から送られてくる遊技球数=0になったときの加算球数および減算球数を含む動作応答のレスポンスの受信を待って、カードユニット側において最終的な遊技球数を算出してそれが0となることにより、遊技を禁止させるための禁止要求有の動作指示のコマンドをぱちんこ遊技機側へ送信し、それを受けて初めてぱちんこ遊技機側において打球発射停止制御を行なった場合には、レスポンスおよびコマンドの送受信の間に、パチンコ球が弾発発射されてその間に新たな減算球数が発生する可能性があり、ぱちんこ遊技機側において、遊技球数が既に「0」になっているにも拘らず新たな減算球数が発生して結局遊技球数がマイナスになってしまうという不都合が生じる。このような不都合を防止するため、遊技球数が0になったときの打球発射停止制御のみ、ぱちんこ遊技機側における遊技球数に基づいて制御している。
このように、打球発射停止制御に代表されるような遊技制御は、ぱちんこ遊技機自身が記憶している遊技球数に基づいて行なうために、カードユニットで管理記憶している遊技球数に基づいてこのような遊技制御を行なう場合に比較して、遊技球数の変動に即した遊技制御をリアルタイムで行なうことができる。
なお、ここでは、打球発射停止制御を払出制御基板が行なう例を示しているが、メイン基板が打球発射停止制御を行なうように構成してもよい。この場合、たとえば、払出制御基板は、遊技球数0を判定した段階で遊技球数が0であることを示す信号をメイン基板へ送信する。メイン基板は、この信号を受けて、発射モータの駆動を禁止する。
カードユニットによるこのような遊技禁止の処理は、前枠12や扉14の開放があった時や、各種カードの返却操作が遊技者によって行われたときにも実行される。なお、ぱちんこ遊技機は、禁止拒否の応答が可能となっており、異常等の何らかの事情によりカードユニットの指示に従えず、例えば前枠12や扉14の開放ができないといった状況の場合には、この禁止拒否の応答をカードユニットへ送信する。なお、遊技禁止には、発射モータの駆動の禁止のみでなく、その他の遊技事項、例えば球貸なども含まれている。
また、このような封入循環式のぱちんこ遊技機においては、球貸を所定金額(例えば500円分や1000円分)ごとに行わず、投入金額(例えば10000円)分の球貸を纏めておこなうことも可能である。遊技者への遊技球の引き渡しを必要としないので、このような球貸形態への適応は容易に行うことができる。
なお、本願発明においては、カードユニットを添設した形態のものをも含めてぱちんこ遊技機として包括的に把握することが可能である。