上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例においては、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の内容:
C.遊技球供給ユニット:
C−1.従来の「遊技球供給ユニット」:
C−2.本実施例の「遊技球供給ユニット」:
D.変形例:
A.パチンコ機1の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられており、この前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。また、中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部は、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、前面枠4における窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技球を発射させるための発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが回転することで打球槌(図示省略)が移動し、結果的に、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。尚、発射装置ユニット261は本発明における「発射手段」に相当する。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤20の中央には、図2に示すように、略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については、後述する「B.遊技の内容」欄において説明する。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。尚、図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21において中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(図3参照)が設けられている。
また、遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口された大入賞口28(可変入球口)が設けられている。大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。尚、図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。大入賞口28の内部の通路には大入賞口センサー28s(図3参照)が設けられており、大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能なその他入球口30や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31、多数の障害釘32が設けられている。また、遊技領域21の最下部であって第2始動口25の左下方と右下方には、2つのアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入球口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、第2始動口25、普通図柄作動ゲート27、大入賞口28には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入球口30の何れかに遊技球が入球した場合は、3個の遊技球が遊技者に払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が遊技者に払い出される。
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については、後述する「B.遊技の内容」欄において説明する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲートを通過する遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s、ゲートセンサー27sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10bに対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出して、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261や、発射装置ユニット261に遊技球を供給するための遊技球供給ユニットUが接続されている。ここで、外レール22の下方から発射装置ユニット261にかけては(外レールの下端部から延設させて)、遊技球を発射させるための発射用レール(図示省略)が設けられており、該発射用レールの下端部は遊技球の発射位置となっている。発射制御基板260がタッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、遊技球供給ユニットUによって遊技球が発射位置に供給されると共に、発射モーター262によって打球槌(図示省略)が発射位置側に向けて移動される。これによって、遊技球が発射位置に供給されると共に遊技領域21に向けて発射されることとなる。
B.遊技の内容 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、遊技者は所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。そして、この大当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。そして、この大当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。ここで、第1特図、第2特図について説明する。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ8個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、8個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、8個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、大当り図柄1〜100、外れ図柄101の101種類の図柄を停止表示可能であり、第2特図として、大当り図柄201〜300、外れ図柄301の101種類の図柄を停止表示可能である。また、これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。遊技球が第1始動口24に入球することに基づく大当り判定(以下「第1特図についての大当り判定」ともいう)の結果が大当りである場合は、第1特図が大当り図柄1〜100の何れかで停止表示され、第1特図についての大当り判定の結果が外れである場合は、第1特図が外れ図柄101で停止表示される。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく大当り判定(以下「第2特図についての大当り判定」ともいう)の結果が大当りである場合は、第2特図が大当り図柄201〜300の何れかで停止表示され、第2特図についての大当り判定の結果が外れである場合は第2特図が外れ図柄301で停止表示される。こうして特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから、所定の変動時間の経過により当該変動表示が終了して、特別図柄が大当り図柄または外れ図柄で確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
<大当り遊技>
第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。図2を用いて前述したように、大入賞口28には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。尚、大当り遊技中は、停止表示された大当り図柄の種類に拘わらず一定回数(例えば、16回)のラウンド遊技を行うこととしてもよいし、停止表示された大当り図柄の種類に対応する回数(例えば、4回、10回)のラウンド遊技を行うこととしてもよい。
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24に入球すると、上述したように第1特図についての大当り判定や変動表示が行われるものの、これらの大当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24に入球後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留に基づいて大当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、上述したように第2特図についての大当り判定や変動表示が行われるものの、これらの大当り判定や変動表示も、遊技球が第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留に基づいて大当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、第1特図保留や第2特図保留が記憶されていても、これらの保留に係る大当り判定や変動表示は行わない。また、第1特図保留および第2特図保留のうち第1特図保留のみが記憶されている場合は、最先に記憶された第1特図保留に係る大当り判定および第1特図の変動表示を行うが、第2特図保留が記憶されている場合は第1特図保留が記憶されているか否かに拘わらず、最先に記憶された第2特図保留に係る大当り判定および第2特図の変動表示を行う。すなわち、第2特図を第1特図に優先して変動表示させる(いわゆる第2特図の優先変動機能を有する)。
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、所定の判定乱数(後述する普図当り判定乱数)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技が行われる。
<普通図柄の保留>
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
<遊技状態>
ここで、本実施例のパチンコ機1では、大当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態と、第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態とが適宜設定される。これらのうち大当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態は、「大当り判定において大当りと判定される確率が低い(99.9分の1の確率である)低確率状態」または「大当り判定において大当りと判定される確率が高い(11.9分の1の確率である)高確率状態」に設定される。また、第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態は、「第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い非電サポ状態」または「第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い電サポ状態」に設定される。尚、これらの遊技状態は、大当り遊技終了後に設定され、次に大当り遊技が開始されるまで、あるいは、所定回数の図柄変動遊技が行われるまで継続される。
<演出表示装置41の表示内容>
上述したような遊技の進行は、主に主制御基板200のCPU201によって行われる。本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。
例えば、演出表示装置41では、第1特図または第2特図の変動表示(図柄変動遊技)に合わせた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。すなわち、第1特図表示部51または第2特図表示部52にて特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41においても3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を一斉に開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄を表示可能である。
図5には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄41aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次に、右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52で停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、図5に示す例では、第1特図保留数および第2特図保留数が共に4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致する。
C.遊技球供給ユニット :
本実施例のパチンコ機1は上述のように構成されているが、主に、遊技球を上皿部7から発射位置に供給するための遊技球供給ユニットUに特徴を有する。以下では、このような「遊技球供給ユニットU」について説明するが、その理解を容易にするために、先ずは、従来の「遊技球供給ユニット90」について説明する。
C−1.従来の「遊技球供給ユニット」 :
図6は、従来の「遊技球供給ユニット90」を前方(遊技者側)からみた斜視図であり、なかでも、図6(a)には、球送り部材97が下方に回動した滞留状態である様子が示され、図6(b)には、球送り部材97が上方に回動した受入状態である様子が示されている。図6に示すように、遊技球供給ユニット90前部の上隅部には、上皿部7に繋がる受入口91が設けられている。上皿部7に貯留された遊技球は、この受入口91から遊技球供給ユニット90内に受け入れられる(流入する)。また、遊技球供給ユニット90には、受入口91から斜め下方に伸びる球通路92が設けられている。受入口91から遊技球供給ユニット90に受け入れられた遊技球は、この球通路92に沿って斜め下方に転動する。
球通路92の中途部には、下方に向けて開口された中途開口部93が設けられており、球通路92の下方には、左右方向に摺動可能なスライド部材94が設けられている。そして、中途開口部93は、スライド部材94の位置によって、開放された状態(以下「開放状態」ともいう)と、閉鎖された状態(図6に示す状態、以下「閉鎖状態」ともいう)とに変化可能である。すなわち、中途開口部93は、通常、バネ95に付勢されたスライド部材94によって閉鎖状態となっているところ、遊技者による所定の球抜き操作(例えば、図示しない球抜きレバーの操作など)によってスライド部材94がバネ95の付勢力に抗する方向(図中、右方)に移動させられると、中途開口部93が開放状態となり、球通路92を転動してきた遊技球は、開放状態となった中途開口部93から落下する。この中途開口部93の下方には、下皿部8に繋がる下皿用送出口96が設けられている。従って、開放状態となった中途開口部93から落下した遊技球は、下皿用送出口96から下皿部8へ送り出される(排出される)。
中途開口部93が閉鎖状態となっていれば、球通路92を転動してきた遊技球は、中途開口部93から落下することなく(中途開口部93の上方を通過し)、球通路92の先端部まで到達する。球通路92の先端部に対向する位置には、球送り部材97が設けられている。球送り部材97の球通路92側の部位には、球通路92の先端部の遊技球を受け入れる凹状の受入部97aと、球通路92の先端部の遊技球に当接して該遊技球を滞留させる停止部97bとが設けられている。そして、球送り部材97は、受入部97aおよび停止部97bが球通路92の先端部(の遊技球)に対して上下動できるように、球通路92側と反対側の軸支部97cが軸支されている。すなわち、球送り部材97は、図6(a)に示すように下方に回動して停止部97bが球通路92の先端部の遊技球を滞留させる滞留状態と、図6(b)に示すように上方に回動して受入部97aが球通路92の先端部の遊技球を受け入れる受入状態とに変化可能である。
球送り部材97の上面には鉄板などの板状の磁性体が固定されており、その上方にはソレノイド98が設けられている。従って、ソレノイド98を駆動すると、球送り部材97に固定された磁性体がソレノイド98側に引き寄せられることで、球送り部材97は上方に回動し、受入状態となる(図6(b)参照)。この際、球通路92の先端部に遊技球があれば、該遊技球は球送り部材97の受入部97aに受け入れられる。そして、ソレノイド98の駆動を停止すると、球送り部材97は、自重(および、受入部97aに受け入れた遊技球の重さ)によって下方に回動し、滞留状態となる(図6(a)参照)。この際、球通路92の先端部に遊技球があれば(受入部97aに受け入れた遊技球の次の遊技球があれば)、該遊技球は停止部97bに当接し、球通路92の先端部に滞留された状態となる。また、球送り部材97が滞留状態となった際は、受入部97aにある遊技球は、発射用送出口99から発射位置(発射用レールの下端部)に送り出される(供給される)。こうして発射位置に供給された遊技球は、発射装置ユニット261の打球槌によって遊技領域に向けて打ち出される(発射される)。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、当然ながら、第1始動口24や第2始動口25への遊技球の入球頻度が高いほど、大当り判定の実行頻度が高くなり、ひいては、大当り遊技が実行される可能性が高くなる。このため、近年では、このような入球頻度を高めるべく、糸(釣り糸など)を固定した遊技球(いわゆる「糸付き球」)を遊技領域21に向けて発射する不正(いわゆる「糸付き球ゴト」)が行われることがある。詳しくは、糸付き球ゴトを行う者(いわゆる「ゴト師」)は、糸付き球を遊技領域21向けて発射する。この際、ゴト師が糸を把持したまま糸付き球を発射すれば、糸付き球が遊技領域21に到達しても、糸付き球から伸びる糸はそれまでの遊技球の移動軌跡上に位置することとなり、その先端側はゴト師に把持された状態となる。すなわち、図7に示すように、糸付き球から伸びる糸は、球通路92内を経由して、パチンコ機1外部に露出した状態となる。ゴト師は、このパチンコ機1外部に露出した糸を手で引っ張るなどの操作を行うことによって、多数の遊技球を遊技領域21内に詰まらせて(いわゆる葡萄詰まりを発生させて)、他の遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球し易い状態にする。このような糸付き玉ゴトが行われると、遊技者が過度に有利になってしまい、遊技ホールが多大な損害を被ってしまうという問題があった。
そこで、本実施例の「遊技球供給ユニットU」は上述のような糸付き球ゴトを防止することを目的としている。以下では、本実施例の「遊技球供給ユニットU」について説明する。
C−2.本実施例の「遊技球供給ユニット」 :
図8は、本実施例の「遊技球供給ユニットU」を前方(遊技者側)からみた斜視図であり、なかでも、図8(a)には、球送り部材97が下方に回動した滞留状態である様子が示され、図8(b)には、球送り部材97が上方に回動した受入状態である様子が示されている。図8に示すように、本実施例の遊技球供給ユニットUが有する幾つかの構成は、上述した従来の遊技球供給ユニット90と同一である。以下では、従来の遊技球供給ユニット90と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
図8に示すように、本実施例の遊技球供給ユニットUにおいても、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、上皿部7に繋がる受入口91が設けられており、受入口91から遊技球供給ユニットUに受け入れられた遊技球が転動する球通路60が設けられている。この球通路60の一部の形状は、遊技球供給ユニット90の球通路92と異なっている。すなわち、球通路60の下壁には、一部が切り欠かれて形成された当接部61を備えている。この当接部61の機能については後に説明する。
また、球通路60の中途部には、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、中途開口部93が設けられており、この中途開口部93は、バネ95によって付勢されたスライド部材94の位置によって、「開放状態」と「閉鎖状態」とに変化可能である。中途開口部93は、通常、バネ95に付勢されたスライド部材94によって閉鎖状態となっているところ、遊技者による所定の球抜き操作(例えば、図示しない球抜きレバーの操作など)によってスライド部材94がバネ95の付勢力に抗する方向に移動させられると、中途開口部93が開放状態となる。この場合、球通路60を転動してきた遊技球は、開放状態となった中途開口部93から落下し、下皿用送出口96から下皿部8へ送り出される(排出される)。
これに対して、中途開口部93が閉鎖状態となっていれば、球通路60を転動してきた遊技球は、中途開口部93から落下することなく(中途開口部93の上方を通過し)、球通路60の先端部まで到達する。球通路60の先端部に対向する位置には、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、球送り部材97が設けられており、その上方にはソレノイド98が設けられている。そして、ソレノイド98を駆動すると、球送り部材97は上方に回動して受入状態となり、球通路60の先端部の遊技球が受入部97aに受け入れられる。また、ソレノイド98の駆動を停止すると、球送り部材97は下方に回動して滞留状態となり、球通路92の先端部の遊技球が停止部97bに当接する(球通路60の先端部に滞留された状態となる)。また、この際、受入部97aにある遊技球は、発射用送出口99から発射位置(発射用レールの下端部)に送り出される(供給される)。
さらに、本実施例の遊技球供給ユニットUは、折り曲げられた板状の折曲部材62を有している。折曲部材62は、一端側(基端側)に第1軸支部62aが設けられており、この第1軸支部62aは、球送り部材97の上端部に軸支されている。また、折曲部材62は、中途部に第2軸支部62bが設けられており、この第2軸支部62bは、遊技球供給ユニットU周辺の図示しない側壁に軸支されている。従って、球送り部材97が上方に回動して受入状態となると、折曲部材62の一端側(基端側、第1軸支部62a)が持ち上げられて(上方へ移動して)、中途部(第2軸支部62b)を中心に折曲部材62が回動し、この結果、折曲部材62の他端側(先端側)は押し下げられる(下方へ移動する)。そして、押し下げられた折曲部材62の他端側(先端側)は球通路60内へ進入する。すなわち、球通路60の上壁における折曲部材62の他端側(先端側)に対応する位置には、進入口63が設けられており、押し下げられた折曲部材62の他端側(先端側)は、この進入口63から球通路60内へ進入する。そして、球通路60内に進入した折曲部材62の他端側(先端側)は、最終的には当接部61に当接する。
これに対して、球送り部材97が下方に回動して滞留状態となると、折曲部材62の一端側(基端側、第1軸支部62a)が押し下げられて(下方へ移動して)、中途部(第2軸支部62b)を中心に折曲部材62が回動し、この結果、折曲部材62の他端側(先端側)は持ち上げられる(上方へ移動する)。そして、持ち上げられた折曲部材62の他端側(先端側)は球通路60内から進入口63を介して離脱する。
以上のように、本実施例の遊技球供給ユニットUは、球送り部材97が上方に回動して受入状態となると、球通路60の先端部の遊技球が受入部97aに受け入れられる。またこの際、折曲部材62の先端側が球通路60内へ進入し当接部61に当接する。これに対して、球送り部材97が下方に回動して滞留状態となると、球通路92の先端部の遊技球は停止部97bに当接し(球通路60の先端部に滞留された状態となる)、受入部97aにある遊技球は、発射用送出口99から発射位置(発射用レールの下端部)に送り出される(供給される)。また、この際、折曲部材62の先端側は、球通路60内から進入口63を介して離脱する。
ここで、糸付き球ゴトが行われている場合は、糸付き球から伸びる糸は、それまでの遊技球の移動軌跡上に位置することとなり、ひいては、球通路60内に位置することとなる。このように糸付き球の糸が球通路60内に存在する場合であっても、当然ながら、球送り部材97が上方に回動して受入状態となると、折曲部材62の先端側は球通路60内へ進入し、当接部61まで移動する。この際、糸付き球の糸が存在すると、図9に示すように、折曲部材62と当接部61との間に糸が挟み込まれることとなる。すなわち、糸付き球の糸が無ければ、折曲部材62の先端側は当接部61に当接するところ、糸付き球の糸があるので、折曲部材62は糸の太さ分だけ撓み、この結果、折曲部材62と当接部61との間に糸が挟み込まれることとなる。
このように糸付き球の糸が挟み込まれた(折曲部材62が撓んでいる)状況下では、折曲部材62の先端側がその復元力によって当接部61側(糸側)に押しつけられた状態となる。このため、折曲部材62の先端側が上方に移動し難くなる。すなわち、本来であれば、ソレノイド98の駆動が停止されると、球送り部材97が自重(および、受入部97aに受け入れた遊技球の重さ)によって下方に回動することによって、折曲部材62の先端側が上方に移動するが、糸付き球の糸が挟み込まれた(折曲部材62が撓んでいる)状況下では、ソレノイド98の駆動が停止されても、折曲部材62の先端側が上方に移動し難く、球送り部材97も下方に回動し難い。
そして、折曲部材62の先端側が上方に移動せず、球送り部材97も下方に回動しない場合は、糸付き球の糸が折曲部材62と当接部61との間に挟み込まれた状態となっているので、糸付き球の移動が制限されることとなる。この結果、ゴト師による糸付き球の操作を妨害することができ、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。また、球送り部材97が下方に回動することができないと、発射位置に遊技球が供給されず、新たな遊技球が発射されなくなる。このため、多数の遊技球を遊技領域21内に詰まらせたり、第1始動口24や第2始動口25に遊技球を入球させたりすることができなくなる。従って、このことによっても、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。
また、この場合は、折曲部材62の先端側が球通路60内にある状態(球通路60内に進入した状態)が維持されることとなるので、該折曲部材62の先端側が妨げとなって遊技球が球送り部材97側に移動することができず(遊技球の発射位置側への移動が阻止されて遊技球が発射位置に供給されず)、ひいては、遊技球が発射されなくなる。このことからも、多数の遊技球を遊技領域21内に詰まらせたり、第1始動口24や第2始動口25に遊技球を入球させたりすることができなくなる。この結果、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。
また、糸付き球の糸を挟み込んだ状態を維持できず、折曲部材62の先端側が上方に移動してしまう場合であっても、ゴト師による糸付き球の操作を妨害することができる。すなわち、このような場合は、折曲部材62が上方に回動する毎に、折曲部材62の先端側が糸付き球の糸に接触して(係合して)、折曲部材62の先端側によって糸付き球の糸が押し下げられることとなる。この結果、ゴト師による糸付き球の操作を妨害することができ、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。
また、折曲部材62は球送り部材97に連動して球通路60内へ進入する。このため、折曲部材62を動作させるための特別な駆動源を設ける必要がなく(ソレノイド98を駆動源として球送り部材97および折曲部材62を動作させることができ)、遊技球供給ユニットUの装置構成を小型化することができる。
尚、上皿部7は本発明における「皿部」に相当し、球送り部材97は本発明における「球供給手段」に相当し、球通路60は本発明における「供給用通路」に相当し、折曲部材62は本発明における「係合手段」に相当する。
D.変形例 :
上述した実施例では、糸付き球の糸に係合する構成として折曲部材62を設けることとしたが、変形例では、糸付き球の糸に係合する構成として円盤部材71を設けることとする。
図10は、変形例の「遊技球供給ユニットU1」を前方(遊技者側)からみた斜視図であり、なかでも、図10(a)には、球送り部材97が下方に回動した滞留状態である様子が示され、図10(b)には、球送り部材97が上方に回動した受入状態である様子が示されている。図10に示すように、変形例の遊技球供給ユニットU1が有する幾つかの構成は、上述した従来の遊技球供給ユニット90と同一である。以下では、従来の遊技球供給ユニット90と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
図10に示すように、変形例の遊技球供給ユニットU1においても、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、上皿部7に繋がる受入口91が設けられており、受入口91から遊技球供給ユニットUに受け入れられた遊技球が転動する球通路70が設けられている。この球通路70の一部の形状は、遊技球供給ユニット90の球通路92と異なっている。すなわち、球通路70の下壁には、円盤部材71の回転動作の妨げにならないように対応部分に間隙72が設けられている。この円盤部材71の回転動作については後に説明する。
また、球通路70の中途部には、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、中途開口部93が設けられており、この中途開口部93は、バネ95によって付勢されたスライド部材94の位置によって、「開放状態」と「閉鎖状態」とに変化可能である。中途開口部93は、通常、バネ95に付勢されたスライド部材94によって閉鎖状態となっているところ、遊技者による所定の球抜き操作(例えば、図示しない球抜きレバーの操作など)によってスライド部材94がバネ95の付勢力に抗する方向に移動させられると、中途開口部93が開放状態となる。この場合、球通路92を転動してきた遊技球は、開放状態となった中途開口部93から落下し、下皿用送出口96から下皿部8へ送り出される(排出される)。
これに対して、中途開口部93が閉鎖状態となっていれば、球通路70を転動してきた遊技球は、中途開口部93から落下することなく(中途開口部93の上方を通過し)、球通路70の先端部まで到達する。球通路70の先端部に対向する位置には、従来の遊技球供給ユニット90と同様に、球送り部材97が設けられており、その上方にはソレノイド98が設けられている。そして、ソレノイド98を駆動すると、球送り部材97は上方に回動して受入状態となり(図10(b)参照)、球通路70の先端部の遊技球が受入部97aに受け入れられる。また、ソレノイド98の駆動を停止すると、球送り部材97は下方に回動して滞留状態となり(図10(a)参照)、球通路92の先端部の遊技球が停止部97bに当接する(球通路70の先端部に滞留された状態となる)。また、この際、受入部97aにある遊技球は、発射用送出口99から発射位置(発射用レールの下端部)に送り出される(供給される)。
さらに、変形例の遊技球供給ユニットU1には、に円盤部材71が設けられている。この円盤部材71は、その軸支部71a(図11参照)が球通路70の下方に(その回転軸の向きを球通路70の遊技球が転動する方向と同じ向きにして)軸支されることで、球通路70の遊技球が転動する方向と直交する方向に回転可能であり、その上部側が間隙72を介して球通路70内に入り込んだ位置に設けられている。
図11は、円盤部材71を球送り部材97側からみた説明図である。図11に示すように、円盤部材71は、その円盤形状を円周側から軸支部71a側に向けて切り欠いて形成された第1切欠部71bを3つ有している。また、この3つの第1切欠部71bが形成されることによって、自ずと3つの翼片部71cが形成されている。第1切欠部71bは、第1切欠部71bが最上部に位置するときに(円盤部材71の回転角度が第1の角度範囲にあるときに)、球通路70の遊技球が通過可能(球送り部材97側に移動可能)な形状を有している。すなわち、3つの第1切欠部71bのうち何れかが最上部に位置する場合は、球通路70の遊技球は円盤部材71を通過して球送り部材97側に移動することができる。逆に、3つの翼片部71cのうち何れかが最上部に位置するときは(円盤部材71の回転角度が第1の角度範囲と異なる第2の角度範囲にあるときは)、球通路70の遊技球は該翼片部71cに妨げられて球送り部材97側に移動することができない。
円盤部材71は、球送り部材97の受入部97aに遊技球が受け入れられる頻度と同じ頻度、あるいは、それよりも高い頻度で、遊技球が球送り部材97側に移動できる速度で回転する(何れかの第1切欠部71bが最上部に位置する速度で回転する)。例えば、円盤部材71は、球送り部材97の受入部97aに遊技球が受け入れられる毎に、遊技球を球送り部材97側に移動させる速度(例えば120度回転する速度)で回転する(何れかの第1切欠部71bが最上部に位置する速度で回転する)。こうすると、円盤部材71(遊技球の移動を阻止する翼片部71c)を設けているにも拘わらず、球送り部材97が上下動する毎に遊技球が発射位置に供給されることとなるので、球送り部材97の動作が無駄にならず、遊技球を効率よく発射位置に供給することができる。尚、円盤部材71は、球送り部材97の回動と連動する機構によって回転させられることとしてもよいし、図示しないステッピングモーターなどによって回転させられることとしてもよい。
また、翼片部71cの回転方向前側の縁部には、回転方向に沿って切り欠いて形成された第2切欠部71dが形成されている。第2切欠部71dは、該第2切欠部71dが最上部に位置するときに、球送り部材97側に移動した遊技球の後部に対向する位置に設けられている。
ここで、糸付き球ゴトが行われている場合は、図12に示すように、糸付き球から伸びる糸は、それまでの遊技球の移動軌跡上に位置することとなり、ひいては、球通路70内に位置することとなる。このように糸付き球の糸が球通路70内に存在する場合であっても、当然ながら、円盤部材71は回転するので上方に位置する翼片部71cは球通路70内に進入する。この際、糸付き球の糸が存在すると、該糸に翼片部71cが当接(係合)することとなり、ひいては、該糸に第2切欠部71dの内側が当接(係合)することとなる。そして、円盤部材71の回転する力の大きさと、糸付き球の糸の張力とのバランスに応じて、翼片部71cが該糸に係合したまま円盤部材71が回転して該糸を巻き込んだり、翼片部71c(第2切欠部71dの内側)が該糸に係合した状態で円盤部材71の回転が停止したりする。
そして、円盤部材71が糸付き球の糸を巻き込んだ場合は、ゴト師が糸付き球の糸を操作しても糸付き球を移動させることができなくなり、この結果、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。また、翼片部71c(第2切欠部71dの内側)が糸付き球の糸に係合したまま円盤部材71の回転が停止した場合は、翼片部71c(第2切欠部71dの内側)によって糸付き球の糸が回転方向に引っ張られることとなり、ゴト師による糸付き球の操作を妨害することができる。さらに、この場合は、翼片部71cが球通路70内にある状態(球通路70内に進入した状態)が維持されることとなるので、該翼片部71cが妨げとなって遊技球が球送り部材97側に移動することができず(遊技球の発射位置側への移動が阻止されて遊技球が発射位置に供給されず)、ひいては、遊技球が発射されなくなる。このため、多数の遊技球を遊技領域21内に詰まらせたり、第1始動口24や第2始動口25に遊技球を入球させたりすることができなくなる。これらの結果、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。
ここで、翼片部71cには第2切欠部71dが形成されているので、翼片部71cがより深く球通路70内に進入した状態で円盤部材71の回転は停止することとなる。すなわち、仮に第2切欠部71dが形成されていなければ、翼片部71cの回転方向前側の縁部に糸付き球の糸が当接して、より手前で(翼片部71cが球通路70内により浅く進入した状態で)円盤部材71の回転は停止するところ、第2切欠部71dが形成されているので第2切欠部71dの分だけ翼片部71cが深く球通路70内に進入した状態で円盤部材71の回転が停止することとなる。この結果、遊技球が球送り部材97側に移動する可能性を低くすることができ、上述した効果を高めることが可能となる。
尚、球通路70は本発明における「供給用通路」に相当し、円盤部材71は本発明における「係合手段」に相当する。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した例について説明したが、本発明は、遊技球を遊技領域に向けて発射可能な遊技機であれば適用することができ、例えば、「ハネモノ」や「アレパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用することもできる。
また、上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機として把握することもできる。すなわち、
<把握例1>
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機であって、
遊技球を貯留可能な皿部と、
前記皿部に貯留された遊技球を、供給用通路を経由させて発射位置に供給する球供給手段と、
前記発射位置に供給された遊技球を前記遊技領域に向けて発射する発射手段と、
前記供給用通路内に進入することによって、遊技球に固定された糸に係合可能な係合手段と、
を備える
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、係合手段が供給通路内に進入することによって、遊技球に固定された糸(いわゆる糸付き球の糸)に係合するので、ゴト師による糸付き球の操作を妨害することができる。この結果、いわゆる糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。
<把握例2>
また、こうした遊技機では、
前記係合手段は、遊技球に固定された糸を挟む手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、遊技球に固定された糸(いわゆる糸付き球の糸)が係合手段によって挟まれるので、ゴト師による糸付き球の操作を更に妨害することができる。この結果、いわゆる糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを更に抑制することが可能となる。
<把握例3>
また、こうした遊技機では、
前記球供給手段は、
遊技球を受け入れ可能な受入部が設けられた球送り部材を有しており、
前記球送り動部材を所定の態様で動作させることによって、前記皿部側の遊技球を前記受入部に受け入れると共に、該遊技球を前記受入部から前記発射位置側に放出する手段であり、
前記係合手段は、前記球送り部材の動作に連動して前記供給用通路内に進入する手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、係合手段は球送り部材の動作に連動して供給用通路内に進入する。このため、係合手段を動作させるための特別な駆動源を設ける必要がなく、装置構成を小型化することが可能となる。
<把握例4>
また、こうした遊技機では、
前記係合手段は、前記供給用通路内に進入することによって、遊技球に固定された糸に係合可能であると共に、当該遊技球の後に前記供給用通路内に進入した遊技球が前記発射位置側に移動することを阻止する手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、遊技球が発射位置側に移動することが係合手段によって阻止されるので、遊技球が発射されなくなる。このため、多数の遊技球を遊技領域内に詰まらせることができなくなり、この結果、糸付き球ゴトによって遊技ホールが損害を被ることを抑制することが可能となる。