JP5645521B2 - 共重合体ラテックス組成物 - Google Patents
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(2)(1)に記載の共重合体ラテックス組成物を含有する紙塗工用組成物。
共重合体ラテックスの原料の1つである(a)共役ジエン系単量体は、共重合体に柔軟性を与え、ピック強度、衝撃吸収性を与えるために必須の成分である。該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、25〜60質量%、好ましくは27〜53質量%、最も好ましくは29〜48質量%の割合で用いられる。この単量体の使用量を上記範囲に設定することにより、共重合体に適度の柔軟性と弾性を付与してピック強度を向上させ、さらには耐湿潤ベタツキ性を向上させることができる。使用される共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
また、原料の1つである(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え、ピック強度、湿潤ピック強度を高めるための必須成分であり、該共重合体を構成する全単量体を100質量%とした場合、全単量体に対し0.5〜7質量%、好ましくは1〜6質量%、さらに好ましくは2〜5質量%の割合で用いられる。この単量体の使用量を上記範囲に設定することにより、共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性を良好(べたつかない)に保つことが可能になり、且つこの共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物の再分散性を良好にすることが可能となる。
また、他の原料として(c)上記単量体と共重合可能な他の単量体を含む。この共重合可能な他の単量体を適宜選択することにより、共重合体ラテックス及びその組成物にさまざまな特性を付与できる。共重合可能な他の単量体の好ましい例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、などのアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記各種単量体の中でも、得られる共重合体ラテックスのピック強度及び乳化重合における重合安定性の観点から、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
本実施形態における共重合体ラテックス組成物は、ラテックス固形分に対し、アルキルベンゼン類を1〜100ppm含有することを特徴とする。アルキルベンゼン類としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、1−メチルエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの、アルキル基置換ベンゼンが挙げられる。これらのアルキルベンゼン類の中から、1種、または2種以上含有することが好ましい。アルキルベンゼン類のうち、好ましいものはトルエン、キシレン、エチルベンゼンである。
本実施形態の共重合体ラテックスは、上記の単量体の混合物を乳化重合法により重合することで得られる。乳化重合法は水及び界面活性剤の存在下、ラジカル発生能を有する開始剤を、熱または還元剤の作用によってラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものである。
重合開始剤としては、ペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等の有機系開始剤、過酸化水素等を併用して使用することが可能である。また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を用いることもできる。
共重合体ラテックスを製造する場合、ラジカル重合において通常用いられる公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好ましい例としては、核置換α−メチルスチレンの二量体のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の添加方法にも特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
使用する界面活性剤についても特に制限はなく、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。使用される界面活性剤の量は、単量体100質量部当たり、0.3〜2.0質量部であることが好ましい。
共重合体ラテックスを製造する場合の重合温度は、通常40〜100℃の範囲で行うことが一般的であるが、生産効率と、得られる共重合体ラテックス及びその組成物のピック強度、湿潤ピック強度等の品質の観点からは、重合開始時から単量体混合物の添加終了時までの期間においては、55〜85℃の範囲が好ましく、より好ましくは60〜80℃の範囲である。また全単量体を重合系内に添加終了した後で、且つ単量体混合物の重合転化率が60%を越えた後には、各単量体の重合転化率を引き上げるために、重合温度を上げる方法(いわゆるクッキング工程)を設けることも可能であり、この工程の重合温度は80〜100℃の範囲にあることが好ましい。
共重合体ラテックスを製造する場合の重合固形分濃度は、生産効率と、乳化重合時の粒子径制御の観点から、35〜60質量%とするのが好ましく、さらに好ましくは40〜52質量%である。ここにいう固形分濃度とは、乾燥により得られた固形分質量の、元の共重合体ラテックス質量に対する割合を言う。
共重合体ラテックスの製造法は、従来商業的に用いられている乳化重合法の装置を使用して行われるものであり、一段重合法、または、少なくとも二段の重合工程を含む多段重合法を挙げることができるが、特に制限されるものでなく、いずれの方法を用いても良いが、特に、多段重合法が好ましい。これにより、特にピック強度、湿潤ピック強度、耐湿潤ベタツキ性、再分散性に対する効果がより大きくなる。多段重合法とは、例えば特開2002−226524号公報に開示されている如く、組成の異なる複数の単量体混合物を準備し、重合反応の進行に伴って系内に添加する単量体混合物の組成を、重合反応の途中で変化させる重合法である。
上記のような多段重合法を行う場合、各重合段における単量体混合物の組成が重要である。重合反応における時系列的な観点で整理した場合、最初の工程を第一重合段、これに続く工程を第二重合段、(さらにこれに続く第三重合段以降が存在しても良い)と定義した場合に、各重合段における単量体混合物から得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)については、より後段の重合段ほど高いTgの得られる単量体混合物の組成にすることが望ましい。各重合段で得られる共重合体ラテックスのガラス転移温度は、主に(a)共役ジエン系単量体の配合比率による影響が大きい。即ち、より後段の重合段ほど、共役ジエン系単量体の配合比率を下げ、Tgを高めることが好ましい。
共重合体ラテックスを製造するにあたって乳化重合の系内に単量体混合物を添加する好ましい手段に関しては、上記で説明した方法以外には特に制約はない。単量体混合物の一部を一括して予め乳化重合系内に仕込み重合した後、残りの単量体混合物を連続的もしくは間欠的に仕込む方法、あるいは単量体混合物を各重合段の最初から連続的または間欠的に仕込む方法を採りうるものであり、これらの重合方法を組み合わせて重合してよい。
共重合体ラテックスの製造に際しては、粒子径の調整のため公知のシード重合法を用いることも可能であり、シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法を適宜選択して用いることができる。
共重合体ラテックスの粒子径は50〜150nmであることが好ましい。より好ましくは60〜110nmである。この範囲の粒子径に設定することにより、ラテックスの粘度を好適な範囲に調整することが可能であり、作業性を低下せしめない。さらには、ピック強度・湿潤ピック強度の低下や塗料粘度上昇発生を抑制させることができる。
共重合体ラテックスについては、トルエン不溶分が70〜98質量%にあることが好ましく、さらに好ましくは80〜97質量%、最も好ましくは85〜94質量%の範囲にあることである。この範囲にトルエン不溶分を調整することによって、共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性と塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度及び印刷光沢を同時に向上させることができる。
共重合体ラテックスには、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
共重合体ラテックス組成物の、最終製品としての固形分濃度についても特に制限はなく、通常固形分濃度は30〜60質量%の範囲に希釈もしくは濃縮して調製される。
共重合体ラテックス組成物には、その効果を損ねない限り、必要に応じて各種添加剤を添加すること、あるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、印刷適性剤、滑剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、有機顔料などを混合して用いることもできる。
次に、前述の共重合体ラテックス組成物を紙塗工用塗料のバインダーとして用いることにより紙塗工用組成物が得られる。これは、通常行われている実施態様で製造することができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともに適切な共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液(紙塗工用組成物)とする態様である。
また紙塗工用組成物を構成するバインダーについては、共重合体ラテックス組成物と併用して、澱粉類を用いることが望ましい。この場合には、紙塗工用組成物の熱安定性に関して特に顕著な改良効果を発現する。澱粉類の好ましい例としては、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酵素分解型酸化澱粉等を挙げることができる。
顔料と共重合体ラテックス組成物との使用割合は、組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、顔料100質量部に対して共重合体ラテックス組成物3〜30質量部を用いることが好ましい。そして、この紙塗工用組成物は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができるが、より印刷光沢の高い塗工紙を得るためにはブレードコーターを用いることが好ましい。塗工形態も原紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであり、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル塗工に供することもできる。この場合、本実施形態の共重合ラテックス組成物はその下塗り用顔料組成物、及び上塗り用顔料組成物のいずれにも用いることができる。
さらに、本実施形態の共重合体ラテックス組成物は、紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、その他接着剤、各種塗料にも用いることができる。
[各物性の評価方法]
動的光散乱法により、光散乱光度計(シーエヌウッド社製、モデル6000)を用いて、初期角度45度−測定角度135度で測定した。
2倍に希釈したラテックスを130℃で30分間乾燥しラテックスフィルムを得る。このラテックスフィルムを0.5gとり秤量する。これをトルエン30mlと混合して3時間浸透したのち、目開き32μmの金属網にてろ過した場合の残留物の乾燥質量を秤量する。もとのラテックスフィルム質量に対する残留物の乾燥質量の割合をトルエン不溶分(質量%)とする。
共重合体ラテックス組成物を、No.12のワイヤーバーでポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布して130℃で30秒乾燥した。このフィルムを30℃の水中に5秒間浸漬させた後、黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度60℃、線圧19600N/mのスーパーカレンダーを通過させた後、黒ラシャ紙を剥離する。この黒ラシャ紙繊維のラテックスフィルムのベタツキによる転移状態を目視評価した。評価は10点評価法で行い、転移の少ないものほど高得点とした。
天然ゴム製のシート上にワイヤーバーを用いて紙塗工用組成物を塗布し、100℃で20秒間乾燥させた。この際、乾燥後の塗工量が25g/m2になる様に塗工条件を調整した。次いでこの塗工されたシートの一定面積を切り出し、アダムス湿時摩耗試験機(熊谷理機株式会社製)を用いて、水への紙塗工用組成物の再分散の度合いを試験した。水は全て蒸留水を使用し、量は10ml、温度は30℃に統一した。また試験機に掛ける加重は1N、試験機の回転数は175rpm、試験時間は30分に統一した。試験終了後の水の濁度を目視にて観察した。評価は10点法とし、濁度の高いものほど再分散性は優れ、高得点とした。
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク(T&K TOKA社製、商品名SDスーパーデラックス50紅B、タック18)0.4ccを1回刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
RI印刷試験機(明製作所製)を用いてスリーブロールで塗工紙表面に給水し、その直後に印刷インク(T&KTOKA社製SDスーパーデラックス50紅B;タック15)0.4cc1回刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(大日本インク社製、商品名:ジオスGスミ)0.6ccを25cm×21cmの印刷面積で1回刷りを実施した。23℃、湿度50%で、24時間放置後、印刷光沢値を光沢計を用い、60°で測定した。数値の高いもの程、優れた印刷光沢を有する。
RI印刷試験機(明製作所製)を用い、水を付着させたロールから塗工紙表面に薄く水を転写し、その直後に印刷インク(東洋インキ製造社製ハイエコー藍M)0.4cc1回刷りし、塗工紙へのインクの転移量を観察した。評価は10点評価法とし、インクの転移量の多いものほど高得点とした。
共重合体ラテックス、または共重合体ラテックス組成物10gをイソオクタン20g、メタノール5g中に混ぜ、60分しんとう後、上澄み液をとり、ガスクロマトグラフィー(島津GC14A、ガラスカラム)で測定し、共重合体ラテックス固形分当たりのアルキルベンゼン類含有量(ppm)を測定した。
(共重合体ラテックスAの製造)
攪はん機と内部温度調整用の温水ジャケット、及び各種原材料の定量添加設備を備えた、量産用の耐圧反応器に、重合初期の原料として水110質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部、α―メチルスチレンダイマー0.4質量部、およびシードラテックスとして平均粒子径20nmのポリスチレンラテックス0.5質量部を含む重合初期原料を一括して仕込み、65℃にて充分に攪拌した。次いで、第一重合段用として調製しておいたスチレン21質量部、ブタジエン25質量部、メタクリル酸メチル2質量部、アクリロニトリル8質量部、ヒドロキシエチルアクリレート0.8質量部、アクリル酸0.8質量部、t−ドデシルメルカプタン0.03質量部、α―メチルスチレンダイマー0.8質量部から成る単量体及び連鎖移動剤混合物の内、14質量%をこの耐圧反応容器内に一括して仕込み、攪拌混合後、濃度30質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液0.6質量部(固形分換算)を耐圧容器内に5分間かけて添加し、重合反応を開始させた。
共重合体ラテックスAの固形分に対し、エチルベンゼンを、3ppm、30ppm、60ppm、150ppm添加して、共重合体ラテックス組成物を作製した。これらの共重合ラテックス、共重合ラテックス組成物に対する、ラテックス各物性の評価結果を表1に記載した。なお、塗工紙の作製は以下の様に実施した。
共重合体ラテックス組成物、および以下の構成材料を使用し、均一に混合して紙塗工用組成物を調製した。なお、以下の配合(質量部)は、水を除いて、全て固形分に換算した値である。
微粒カオリンリンクレー 20質量部
エンジニアードカオリンクレー 15質量部
粗粒カオリンクレー 35質量部
重質炭酸カルシウム 30質量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.1質量部
水酸化ナトリウム 0.2質量部
リン酸エステル化澱粉 3質量部
共重合体ラテックスA 10質量部
水(塗工液の全固形分濃度が66質量%となるように添加)
(共重合体ラテックスB、共重合体ラテックス組成物の製造)
製造例1に記載の耐圧反応に、イオン交換水70質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4質量部、イタコン酸3質量部、シードラテックスとして平均粒径20nmのポリスチレンラテックス0.5質量部を入れ、内温を75℃とした。次いで、第1段目として、スチレン43質量部、ブタジエン34質量部、メチルメタクリレート4質量部、アクリロニトリル8質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン(t−DDM)0.6重量部およびα−メチルスチレンダイマー(α−MSD)2重量部を混合した単量体組成物を5.5時間かけて一定の流速で添加し、同時に水20重量部、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部からなる開始剤系水溶液を7時間かけて一定の流速で添加した。第1段目の単量体組成物の添加終了後、スチレン3重量部、アクリロニトリル4重量部を混合した単量体組成物を1時間かけて一定の流速で添加した。単量体混合物および開始剤系水溶液の全ての添加終了後、95℃に昇温し、その温度を30分保った後冷却した。全単量体の重合添加率は99%であった。共重合体ラテックス中に残留するアルキルベンゼン類をガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチルベンゼンが確認され、その含有量は、ラテックス固形分に対し、280ppmであった。
ラテックスBの固形分に対し、キシレン含有量が20、および200ppmとなる様に、キシレンを添加して共重合体ラテックス組成物を作製した。
実施例1〜3および比較例1〜2と同様に、共重合体ラテックスB、エチルベンゼンを含有する共重合体ラテックス組成物、キシレンを添加して調整した共重合ラテックス組成物の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。実施例4〜6は、耐湿潤ベタツキ性、再分散性、ピック強度、湿潤ピック強度、印刷光沢、湿し水存在下の着肉性が優れていた。
Claims (2)
- (a)共役ジエン系単量体25〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、および(c)その他共重合可能な単量体33〜74.5質量%(但し(a)、(b)、(c)の合計量は100質量%)から成る単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックスと、ラテックス固形分に対し1ppm〜100ppmのアルキルベンゼン類からなる紙塗工用共重合体ラテックス組成物。
- 請求項1記載の共重合体ラテックス組成物を含有する紙塗工用組成物。
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