JP2002226524A - 共重合体ラテックス - Google Patents

共重合体ラテックス

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JP2002226524A
JP2002226524A JP2001030556A JP2001030556A JP2002226524A JP 2002226524 A JP2002226524 A JP 2002226524A JP 2001030556 A JP2001030556 A JP 2001030556A JP 2001030556 A JP2001030556 A JP 2001030556A JP 2002226524 A JP2002226524 A JP 2002226524A
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copolymer latex
glass transition
monomer unit
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Kosuke Nagasaki
浩介 長崎
Makoto Nishimoto
信 西本
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライピック強度などの塗工紙の物性に優
れ、かつ塗工紙の製造工程における操業性にも優れた共
重合体ラテックスを提供する。 【解決手段】 特定量の共役ジエン、不飽和カルボン
酸、シアン化ビニルおよび共重合可能な他の単量体より
なる共重合体ラテックスであり、ガラス転移温度及び最
低成膜温度が特定の関係式を満たす事を特徴とする共重
合体ラテックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙塗工における顔
料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着
剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン
系共重合体ラテックスに関する。更に詳しくは、紙塗工
における塗工操業性、及び接着強度、耐水性に特に優れ
た効果を発揮する共重合体ラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】共役ジエン系共重合体ラテックスは、紙
塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング
剤、各種接着剤および粘着剤、繊維結合剤ならびに塗料
など広範な用途に用いられてきた。これらの用途に用い
られる共重合体ラテックスには、基材や配合される顔料
などに対する優れた接着力、耐水性などが要求される。
塗工紙は、抄造された紙の表面の平滑性を高め、光沢や
印刷適性を向上させる目的で、原紙にカオリンクレー、
炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタン
などの無機顔料およびプラスチック顔料などの有機顔料
を塗布したものであり、これらの顔料のバインダーとし
てジエン系共重合体ラテックスが一般的に用いられてい
る。顔料バインダーとして用いられる共重合体ラテック
スの性質は、紙の表面強度はもとより、塗工紙の印刷適
性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0003】近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレ
ット、広告等の需要の増大に伴い、印刷速度の高速化が
進められており、特にインクのタックによる紙の表面の
破壊に対する抵抗性(いわゆるピック強度)や湿し水が
塗布された際のピック強度(湿潤ピック強度)の向上が
以前にも増して要求されるようになった。またこれに伴
ってインクの乾燥条件も厳しくなったため、塗工紙の内
部に残存する水分が蒸発する際の蒸気圧によって塗工紙
の表面にひぶくれを生じさせるいわゆるブリスター発生
に対する抵抗性(耐ブリスター性)に対する要求も厳し
さを増している。ドライピック強度の向上と湿潤ピック
強度および耐ブリスター性の向上は、一般に相反する特
性であり、一方が向上すると他方が低下する関係にある
ため、これらの物性を高度にバランスさせることが求め
られている。
【0004】一方、印刷用紙である塗工紙の生産におい
ても、生産能力および生産性の向上のため、塗工速度の
高速化が進められている。顔料、共重合体ラテックスお
よびスターチ、カゼインなどの水溶性高分子を主成分と
する塗工液においては、塗工の高速化に伴う乾燥能力の
低下に対応するため、高固形分化が求められている。塗
工液の高固形分化による流動性の低下を改良するため、
炭酸カルシウムの配合比率を増加するといった顔料配合
面からの検討や、スターチなどの増粘性の大きい水溶性
バインダーを減らし、共重合体ラテックスを増加する等
のバインダー面からの検討が行われている。しかし炭酸
カルシウムの配合比率を高めると塗工紙の光沢が低下す
るという問題があり、また共重合体ラテックスの配合量
を増加すると、塗工紙表面のベタツキ性が増大し、バッ
キングロールやカレンダーロールの汚れといった操業上
の問題を発生しやすくなる。
【0005】以上のような塗工紙の品質や塗工紙の生産
に関わる問題のため、共重合体ラテックスについても様
々な改良がなされてきた。例えば特定の単量体組成で二
段もしくは多段で重合を行う共重合体ラテックスの改良
が多数提案されている(特公昭62−58371号公
報、特公昭62−31116号公報、特公昭64−27
16号公報、特公昭60−19927号公報、特開平4
−41502号公報、特開平7−18003号公報、特
開平5−272094号公報、特開平7−247327
号公報)。しかしながらこれらの発明では、塗工紙のド
ライピック強度、湿潤ピック強度および耐ブリスター性
や紙塗工における耐ロール汚れ特性の向上手段としてい
ずれも不十分なものであった。
【0006】特開平7−324113には、特定の組成
の単量体を2段階で重合する紙塗工用共重合体ラテック
スの製造方法、および少なくとも2つのガラス転移温度
を有することを特徴とする該製造方法について開示され
ているが、この製造方法で得られる共重合体ラテックス
では、ピック強度の向上も不十分であり、湿潤ピック強
度、耐ブリスター性および耐ベタツキ性とのバランスレ
ベルも低い。また特開平7−324112号公報には、
特定組成の単量体単位からなる、複数のガラス転移点を
有する共重合体ラテックスが開示されているが、該共重
合体ラテックスは耐べたつき性に多少の効果が認められ
るものの、成膜後の水に対する再分散性は不充分であ
り、結果として塗工時のバッキングロール汚れ適性には
効果は不充分である。
【0007】さらに特開2000−351803号公報
には特定組成の単量体について多段重合法を用いて乳化
重合するにあたり、最終段においてアクリロニトリルを
含有する単量体組成物を添加して乳化重合し、最終段と
その前段で添加する単量体組成から得られる共重合体の
溶解性パラメータに特定の関係があるジエン系共重合体
ラテックスについて開示されている。この共重合体ラテ
ックスでは、確かに耐ベタツキ性の向上による耐ロール
汚れ適性の向上や湿潤ピック強度の向上が認められる
が、ドライピック強度や耐ブリスター性の向上が不十分
であり、現在の高水準の要求を満足するものとは言い難
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な状況から、塗工紙のドライピック強度を大幅に向上
し、湿潤ピック強度および耐ブリスター性との高度なバ
ランスを有し、さらに湿潤時の耐べたつき性及び成膜後
の水に対する再分散性に代表される、塗工紙の製造工程
における耐ロール汚れ適性にも優れた性能を有するジエ
ン系共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するため共重合体ラテックスの組成、ガラス転移
温度、成膜温度等に特に着目し鋭意研究を重ね、特定の
組成を有し、且つ複数のガラス転移温度を有し、更に加
えてそれらのガラス転移温度と最低成膜温度が特定の関
係式を満たす共重合体ラテックスが前記課題を解決させ
ることを見出し、本発明に至った。
【0010】即ち本発明は、1.(イ)共役ジエン系単
量体単位20〜80重量%、(ロ)不飽和カルボン酸単
量体単位0.5〜10重量%、(ハ)シアン化ビニル単
量体単位3〜50重量%、および(ニ)その他共重合可
能な単量体単位0〜76.5重量%からなる共重合体ラ
テックスであって、共重合体が少なくとも2点以上のガ
ラス転移温度を有し、かつ最も高いガラス転移温度(T
gH:単位℃)と最も低いガラス転移温度(TgL:単位
℃)、及び最低成膜温度(MFT:単位℃)が以下の関
係式1及び2を満たす事を特徴とする共重合体ラテック
ス。 関係式1: TgH−TgL≧5 関係式2: (TgH−MFT)/(TgH−TgL)≦0.5
【0011】2.下記の少なくとも2種の(共)重合体
部分XおよびYを含有する上記1に記載の共重合体ラテ
ックス。 (共)重合対部分X: (イ−X)共役ジエン系単量体単位25〜100重量% (ロ−X)不飽和カルボン酸単量体単位0〜10重量% (ハ−X)シアン化ビニル単量体単位0〜50重量% (ニ−X)その他共重合可能な単量体単位0〜75重量
% からなり、この部分のガラス転移温度がー100〜0℃
の範囲に存在する(共)重合体
【0012】共重合対部分Y: (イ−Y)共役ジエン系単量体単位10〜60重量% (ロ−Y)不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜30重
量% (ハ−Y)シアン化ビニル単量体単位0〜50重量% (ニ−Y)その他共重合可能な単量体単位0〜89.5
重量% からなり、この部分のガラス転移温度が0〜50℃の範
囲に存在する共重合体 3.上記1または2に記載の共重合体ラテックスを使用
した紙塗工用組成物、に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に具体的に
説明する。本発明において、単量体単位とは単量体がラ
ジカル重合し共重合体を構成する上で、その共重合体中
での構造(単量体に起因する残基)を示す。本発明にお
ける(イ)共役ジエン系単量体は、共重合体に柔軟性を
与え、接着力、衝撃吸収性を与えるために必須の成分で
あり、該共重合体を構成する全単量体単位を100重量
%とした場合、20〜80重量%、好ましくは30〜7
0重量%の割合で用いられる。この単量体単位が20重
量%未満では、共重合体が硬く脆くなって接着力が低下
し、80重量%を超えると共重合体が柔らかくなりす
ぎ、接着力および耐ベタツキ性が低下する。使用される
共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,3−ブ
タジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエ
ンなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み
合わせて用いられる。
【0014】本発明における(ロ)不飽和カルボン酸単
量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与
え、接着力を高めるための必須成分であり、該共重合体
を構成する全単量体単位を100重量%とした場合、全
単量体単位に対し0.5〜10重量%、好ましくは0.
8〜8重量%、更に好ましくは1〜5重量%の割合で用
いられる。この単量体単位が0.5重量%未満では共重
合体ラテックスに必要な分散安定性を与えることが困難
であり、顔料混和時および塗工工程においてさまざまな
問題が発生する。この単量体単位が10重量%を超える
と共重合体の粘度が高くなりすぎ、耐水性も低下する。
不飽和カルボン酸単量体の好ましい例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル
酸などのエチレン系不飽和カルボン酸などがあげられ、
これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられ
る。
【0015】本発明における(ハ)シアン化ビニル単量
体は、耐ベタツキ性および湿潤ピック強度の向上に必須
の成分であり、該共重合体を構成する全単量体単位を1
00重量%とした場合、全単量体単位に対し3〜50重
量%、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは7〜
38重量%の割合で用いられる。この単量体単位が3重
量%未満では、本発明の目的である耐ベタツキ性や湿潤
ピック強度の向上効果が得られず、50重量%を超える
と、共重合体ラテックスの重合安定性が低下する。シア
ン化ビニル単量体の好ましい例としては、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリ
ルなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み
合わせて用いられる。
【0016】本発明においては(ニ)共重合可能な他の
単量体単位を併用して含む事が好ましい。この共重合可
能な他の単量体単位の出発物質となる単量体を適宜選択
することにより、共重合体ラテックスにさまざまな特性
を付与できる。共重合可能な他の単量体の好ましい例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸ア
ルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルなどのヒドロキシアルキルエステル類、アクリ
ル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、
アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキル
エステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン
などのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキ
シメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルな
どのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハ
ロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種または
2種以上が組み合わせて用いられる。
【0017】この(ニ)共重合可能な単量体単位は、該
共重合体を構成する全単量体単位を100重量%とした
場合、全単量体単位に対し0〜76.5重量%、好まし
くは25〜66重量%の割合で用いられる。この単量体
単位が76.5重量%を超えると共重合体が堅くなりす
ぎ、好適な接着強度が発現しない。本発明の共重合体ラ
テックスは、共重合体中に複数のガラス転移温度を有す
る必要がある。これは共重合体中にガラス転移温度の異
なる複数の部分が存在する事を意味し、特に塗工紙用途
において相反する複数の物性バランスを高める効果をも
たらす。例えばガラス転移温度の低い共重合体ラテック
スは高い接着強度を発現するが耐べたつき性が劣り、塗
工操業性は芳しくない。一方逆にガラス転移温度の高い
共重合体ラテックスは耐べたつき性、塗工操業性は良好
であるが、接着強度は不足となる。本発明の共重合体ラ
テックスは複数のガラス転移温度を有する為にこれらの
相反する物性バランスを両者共向上させる効果をもたら
す。
【0018】共重合体中に存在するガラス転移温度の数
は少なくとも2点以上あれば特に制限はないが、塗工紙
用途においてはガラス転移温度の数は2〜3点である事
が好ましい。本発明における共重合体のガラス転移温度
については、最も高いガラス転移温度(TgH:単位
℃)と、最も低いガラス転移温度(TgL:単位℃)に
ついて以下の関係式1を満たす事が必要である。
【0019】関係式1: TgH−TgL≧5 上記TgH−TgLの値が5未満では、本発明の効果で
ある高い接着強度と良好な塗工操業性とのバランスを高
くさせる事ができない。このTgH−TgLの値は、好
ましくは10以上、更に好ましくは15以上である。本
発明における共重合体の最低成膜温度(MFT:単位
℃)については、そのガラス転移温度との間に以下の関
係式2を満たす事が必要である。
【0020】 関係式2: (TgH−MFT)/(TgH−TgL)≦0.5 上記関係式2の左辺が0.5を超える場合、本発明の効
果である高い接着強度と良好な塗工操業性とのバランス
を高める事ができない。関係式2の左辺の値は好ましく
は0.45以下である。本発明においては上記関係式1
及び2を同時に満たす共重合体ラテックスである事が必
須である。本発明の効果が発現する理由は必ずしも定か
ではないが、ガラス転移温度が低く、耐衝撃性に優れる
共重合体部分が、ガラス転移温度が高く耐水性、耐べた
つき性に優れる共重合体部分によって包囲される構造、
好ましくは共重合体ラテックスの粒子断面が同心円状に
近い構造を取る事によって発現するものである事が予想
される。
【0021】本発明の共重合体ラテックスは、更に以下
に示す少なくとも2種の(共)重合体部分XおよびYを
含有する事が好ましい。本発明で定義する(共)重合体
とは、単量体の単独重合体もしくは複数の種類の単量体
の共重合体の少なくともどちらか一方である事を示す。
(共)重合体部分Xは、構成する全単量体単位を100
重量%とした場合、(イ−X)共役ジエン系単量体単位
25〜100重量%、(ロ−X)不飽和カルボン酸単量
体単位0〜10重量%、(ハ−X)シアン化ビニル系単
量体単位0〜50重量%、(ニ−X)その他共重合可能
な単量体単位0〜75重量%からなり、且つガラス転移
温度が−100〜0℃の範囲に存在する事が好ましい。
【0022】上記(イ−X)の共役ジエン系単量体単位
の出発原料として用いられる共役ジエン系単量体の例と
しては、前述の(イ)共役ジエン系単量体で例示した単
量体を用いる事ができ、これらは1種または2種以上が
組み合わせて用いられる。また(共)重合体部分Xを構
成する(イ−X)の共役ジエン系単量体単位の更に好ま
しい量は、(共)重合体部分Xを構成する全単量体単位
を100重量%とした場合に35〜90重量%である。
この単量体単位が25重量%未満では、共重合体が硬く
脆くなって接着力が低下する。
【0023】上記(ロ−X)の不飽和カルボン酸単量体
単位の出発原料として用いられる不飽和カルボン酸単量
体の例としては、前述の(ロ)不飽和カルボン酸単量体
で例示した単量体を用いる事ができ、これらは1種また
は2種以上が組み合わせて用いられる。また(共)重合
体部分Xを構成する(ロ−X)の不飽和カルボン酸単量
体単位の更に好ましい量は、(共)重合体部分Xを構成
する全単量体単位を100重量%とした場合に0〜5重
量%、最も好ましくは0〜3重量%である。この単量体
単位が10重量%を越えると、ラテックスの粘度が大き
く上昇し、作業性に悪影響をもたらす。
【0024】上記(ハ−X)のシアン化ビニル単量体単
位の出発原料として用いられるシアン化ビニル単量体の
例としては、前述の(ハ)シアン化ビニル単量体で例示
した単量体を用いる事ができ、これらは1種または2種
以上が組み合わせて用いられる。また(共)重合体部分
Xを構成する(ハ−X)のシアン化ビニル単量体単位の
更に好ましい量は、(共)重合体部分Xを構成する全単
量体単位を100重量%とした場合に0〜40重量%、
最も好ましくは1〜30重量%である。この単量体単位
が50重量%を越えると、共重合体ラテックスの重合時
の安定性が低下し、実用に供する事が困難になる。
【0025】上記(ニ−X)のその他共重合可能な単量
体単位の出発原料として用いられる共重合可能な単量体
の例としては、前述の(ニ)共重合可能な単量体で例示
した単量体を用いる事ができ、これらは1種または2種
以上が組み合わせて用いられる。また(共)重合体部分
Xを構成する(ニ−X)の共重合可能な単量体単位の更
に好ましい量は、(共)重合体部分Xを構成する全単量
体単位を100重量%とした場合に7〜52重量%であ
る。この単量体単位が75重量%を越えると、共重合体
が硬く成りすぎて接着強度が劣る。
【0026】(共)重合体部分Xは、この部分のガラス
転移温度が−100〜0℃の範囲に存在する事が好まし
く、更に望ましくは−70〜−2℃、最も好ましくは−
50〜−5℃にある。(共)重合体部分Xのガラス転移
温度が0℃を越える場合には接着強度が低下する。加え
て(共)重合体部分Xは分子量が高い事が好ましい。特
にテトラヒドロフラン溶解分のポリスチレン換算重量平
均分子量が10万以上である事が好ましい。この分子量
が低い場合にはラテックスの接着強度が劣る。
【0027】共重合体部分Yは、構成する全単量体単位
を100重量%とした場合、(イ−Y)共役ジエン系単
量体単位10〜60重量%、(ロ−Y)不飽和カルボン
酸単量体単位0.5〜30重量%、(ハ−Y)シアン化
ビニル単量体単位0〜50重量%、(ニ−Y)その他共
重合可能な単量体単位0〜89.5重量%からなり、且
つガラス転移温度が0〜50℃の範囲に存在する事が好
ましい。上記(イ−Y)の共役ジエン系単量体単位の出
発原料として用いられる共役ジエン系単量体の例として
は、前述の(イ)共役ジエン系単量体で例示した単量体
を用いる事ができ、これらは1種または2種以上が組み
合わせて用いられる。また共重合体部分Yを構成する
(イ−Y)の共役ジエン系単量体単位の更に好ましい量
は、共重合体部分Yを構成する全単量体単位を100重
量%とした場合に20〜50重量%である。この単量体
単位が10重量%未満では、共重合体が硬く脆くなって
接着力が低下する。一方、この単量体単位が60重量%
を越える場合には共重合体のべたつき性が著しく悪化
し、塗工操業性に悪影響をもたらす。
【0028】上記(ロ−Y)の不飽和カルボン酸単量体
単位の出発原料として用いられる不飽和カルボン酸単量
体の例としては、前述の(ロ)不飽和カルボン酸単量体
で例示した単量体を用いる事ができ、これらは1種また
は2種以上が組み合わせて用いられる。また共重合体部
分Yを構成する(ロ−Y)の不飽和カルボン酸単量体単
位の更に好ましい量は、共重合体部分Yを構成する全単
量体単位を100重量%とした場合に0.8〜20重量
%、最も好ましくは1〜10重量%である。この単量体
単位が10重量%を越えると、ラテックスの粘度が大き
く上昇し、作業性に悪影響をもたらす。
【0029】上記(ハ−Y)のシアン化ビニル単量体単
位の出発原料として用いられるシアン化ビニル単量体の
例としては、前述の(ハ)シアン化ビニル単量体で例示
した単量体を用いる事ができ、これらは1種または2種
以上が組み合わせて用いられる。また共重合体部分Yを
構成する(ハ−Y)のシアン化ビニル単量体単位の更な
る好ましい量は、共重合体部分Yを構成する全単量体単
位を100重量%とした場合に5〜45重量%、最も好
ましくは10〜40重量%である。この単量体単位が5
0重量%を越えると、共重合体ラテックスの重合時の安
定性が低下し、実用に供する事が困難になる。
【0030】上記(ニ−Y)のその他共重合可能な単量
体単位の出発原料として用いられる共重合可能な単量体
の例としては、前述の(ニ)共重合可能な単量体で例示
した単量体を用いる事ができ、これらは1種または2種
以上が組み合わせて用いられる。また共重合体部分Yを
構成する(ニ−Y)の共重合可能な単量体単位の更なる
好ましい量は、共重合体部分Yを構成する全単量体単位
を100重量%とした場合に5〜74.2重量%であ
る。この単量体単位が89.5重量%を越えると、共重
合体が硬く成りすぎて接着強度が劣る。
【0031】共重合体部分Yは、この部分のガラス転移
温度が0〜50℃の範囲に存在する事が好ましく、更に
望ましくは0〜45℃、最も好ましくは5〜40℃であ
る。共重合体部分Yのガラス転移温度が0℃未満の場合
には共重合体ラテックスの耐べたつき性が劣り、共重合
体部分Yの一方ガラス転移温度50℃を越える場合には
接着強度が低下する。本発明の共重合体ラテックスにお
いては、全共重合体を100重量部とした場合に、
(共)重合体部分Xは10〜80重量部、好ましくは1
5〜75重量部、より好ましくは20〜70重量部の範
囲にある事が良い。(共)重合体部分Xが10重量部未
満である場合には接着強度が不足し、80重量部を越え
る場合には共重合体の耐べたつき性や耐水強度が劣り、
目的とする共重合体ラテックスが得られない。
【0032】本発明の共重合体ラテックスにおいては、
その粒子径は50〜350nm、好ましくは70〜25
0nmにあることが好適である。粒子径が50nm未満
の場合には、ラテックスの粘度が上昇し、作業性が低下
する。一方粒子径が350nmを越える場合には、接着
強度の低下や塗料粘度の上昇が発生し、好ましくない。
本発明に共重合体ラテックスについては、共重合体中の
ゲル分率(トルエン不溶分)が50〜98%に有ること
が好ましく、更に好ましくは60〜95%、最も好まし
くは65〜93%の範囲にあることである。
【0033】本発明の共重合体ラテックスは公知の乳化
重合法で製造されるものであり、その方法については特
に制限はなく、水性媒体中で界面活性剤の存在下、ラジ
カル開始剤により重合を行なうなど公知の方法を用いる
ことができる。使用する乳化剤についても特に制限はな
く、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオ
ン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面
活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケ
ン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン
酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン
アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫
酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、
これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられ
る。
【0034】ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在
下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるも
のであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用
することが可能である。好ましい例としてはペルオキソ
ニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体
的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナ
トリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水
素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイ
ル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロ
パーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2
種以上を組み合わせて用いることができる。また酸性亜
硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビ
ン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤
と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を用
いることもできる。
【0035】本発明の共重合体ラテックスを製造するに
際しては、ラジカル重合において通常用いられる公知の
連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好
ましい例としては、核置換α−メチルスチレンのニ量体
のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチ
ルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチ
ルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメル
カプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、
テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフ
ィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導
体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげら
れ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。連鎖移動剤の添加方法にも特に制限はな
く、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法
が用いられる。
【0036】本発明の共重合体ラテックスを製造するに
際しては、(共)重合体部分Xを任意の重合容器で製造
し、続いて共重合体部分Yを同一の重合容器で製造する
方法、及び(共)重合体部分Xを別の重合容器に移し、
この存在下に共重合体部分Yを製造する方法のいずれも
取りうる事ができる。重合容器に単量体を仕込む方法と
しては、予め単量体の混合物を全量一括で仕込む方法、
単量体混合物の一部を重合した後、残りの単量体混合物
を連続的もしくは間欠的に仕込む方法、あるいは単量体
混合物を重合最初から連続的または間欠的に仕込む方法
を採りうるものであり、これらの重合方法を組み合わせ
て重合してもよい。
【0037】本発明の共重合体ラテックスを製造する際
の重合温度は全単量体に対する重合率が80%に達する
まで重合温度が75℃以下であることが好適である。よ
り好ましくは重合率が90%に達するまで重合温度が7
5℃以下であること、または重合率が80%に達するま
で重合温度が70℃以下であること、さらに好ましくは
重合率が90%に達するまで重合温度が70℃以下であ
ることである。重合率が80%に達するまでに重合温度
を75℃より高くした場合、ドライピック強度またはウ
ェットピック強度が低下することで、本発明の目的を達
成することができない。
【0038】本発明の共重合体ラテックスを製造する際
に、(共)重合体部分Xを重合する場合の重合温度は好
ましくは5〜75℃であり、共重合体部分Yを重合する
場合の重合温度は20〜75℃、好ましくは25〜70
℃である。(共)重合体部分Xを重合する際の重合温度
と比較し、共重合体部分Yを重合する際の重合温度は5
℃以上高い方が好ましい。より好ましくは15℃以上で
ある。5℃より低い場合、高重合率に達するまで非常に
長い時間がかかり、生産性の点で工業的に好ましくな
い。5℃より低い場合でも、重合の後半以降で、多量の
開始剤と還元剤を加え、重合を速く進行させることはで
きるが、分子量が低下し、高いドライピック強度を有す
るラテックスを製造することができない。
【0039】本発明の共重合体ラテックスを製造するに
際しては、共重合体部分Yの製造開始時(第二工程開始
時)における(共)重合体部分Xの重合転化率は50〜
100%、好ましくは60〜100%、最も好ましくは
65〜98%となる事が良い。共重合体部分Yの製造開
始時における(共)重合体部分Xの重合転化率が50%
未満である場合、得られた共重合体ラテックスは接着強
度と耐べたつき性のバランスに優れない。
【0040】本発明の共重合体ラテックスには、必要に
応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。こ
れらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、p
H調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウ
ム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート
剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリ
ウムなどがあげられる。本発明の共重合体ラテックスの
固形分についても特に制限はなく、通常固形分は30〜
60重量%の範囲に調製される。
【0041】本発明の共重合体ラテックスの製造に際し
ては、粒子径の調整のため公知のシード重合法を用いる
ことも可能であり、シードを作製後同一反応系内で共重
合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別
途作製したシードを用いるエクスターナルシード法など
の方法を適宜選択して用いることができる。本発明の共
重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加
すること、あるいは他のラテックスを混合して用いるこ
とが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、
耐水化剤、殺菌剤、印刷適性剤などを添加すること、ア
ルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合
して用いることもできる。
【0042】本発明共重合体ラテックスを紙塗工用塗料
のバインダーとして用いる場合には、通常行われている
実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解
させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸
化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タル
ク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダー
ピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等
の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水
化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤と
ともに共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分
散液とする態様である。顔料と本発明の共重合体ラテッ
クスの使用割合は組成物の使用目的によって適宜決定す
ることが出来るが、好ましくは顔料100重量部に対し
てラテックス3〜30重量部である。そして、この紙塗
工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エア
ーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方
法によって原紙に塗工することができる。塗工形態も原
紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであ
り、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシ
ングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル
塗工に供する事もできる。この場合、本発明の共重合体
ラテックスはその下塗り用顔料組成物、及び上塗り用顔
料組成物のいずれにも用いる事ができる。
【0043】本発明の共重合体ラテックスを使用した紙
塗工用組成物は、オフセット枚葉式印刷用紙、オフセッ
ト輪転式印刷用紙、グラビア式印刷用紙、凸版式印刷用
紙等の各種印刷用紙及び板紙、ダンボール用紙、包装紙
等に好的に用いられる。更に本発明の共重合体ラテック
スは紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、そ
の他接着剤、各種塗料にも用いる事ができる。本発明を
実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例
によって制約を受けるものではない。
【0044】
【実施例1】攪はん装置と温度調節用のジャケットを備
える耐圧反応容器にイオン交換水165重量部、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8重量部、亜硫酸
水素ナトリウム0.3重量部を仕込み内温を45℃に上
昇した。さらにスチレン(St)17重量%、ブタジエ
ン(Bd)68重量%およびアクリロニトリル(AN)
15重量%からなる単量体混合物45重量部と連鎖移動
剤としてt−ドデシルメルカプタン(t−DDM)0.
45重量部を仕込み、さらにペルオキソ二硫酸ナトリウ
ム1重量部をイオン交換水5部に溶解したものを仕込ん
で、内温を45℃に保持したまま7時間反応を継続し
た。その後内温を60℃まで上昇し、重合転化率が72
%である事を確認し(1段目の重合)、更にスチレン4
1重量%、ブタジエン28重量%、メタクリル酸メチル
(MMA)5重量%、アクリロニトリル23重量%、ア
クリル酸(AA)1重量%、イタコン酸(IA)2重量
%からなる単量体55重量部とt−ドデシルメルカプタ
ン0.55重量部、α−メチルスチレンダイマー(α−
MSD)0.275重量部、イオン交換水30重量部を
6時間かけて一定速度で反応容器内に添加した。内温を
65℃に上昇して5時間反応を継続したのち冷却して反
応生成物を採取した。得られた反応性生物から未反応単
量体を除去し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの
1:1混合物でpHを8に調製し、固形分を50重量%
になるまで濃縮した。以上のようにして得られた共重合
体ラテックスを共重合体ラテックスaとする。
【0045】
【実施例2,3,4,5,7,及び8】実施例1と同様
な方法により、表1に示す単量体および連鎖移動剤を用
いて共重合体ラテックスb,c,d,e,g及びhを得
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例6】実施例6においては、(共)重合体部分X
の重合時(1段目の重合時)の温度を60℃に設定し、
その他は実施例1と同様な方法で、表1に示す単量体お
よび連鎖移動剤を用いて共重合体ラテックスfを得た。
【0048】
【比較例1〜3】実施例1と同様な方法により、表1に
示す単量体および連鎖移動剤を用いて共重合体ラテック
スo,p,qを得た。
【0049】
【実施例9〜16】共重合体ラテックスa〜hを用いて
下記の配合で紙塗工用の塗工液を調製した。 (塗工液配合処方) カオリンクレー 70 重量部 重質炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部 水酸化ナトリウム 0.1重量部 リン酸エステル化でんぷん 2.5重量部 共重合体ラテックス 12 重量部 水(塗工液の全固形分が64重量%となるように添加)
【0050】なお、カオリンクレーとしてはウルトラホ
ワイト90(ENGELHARD社製)、炭酸カルシウ
ムとしてはカービタル90(ECC社製)、ポリアクリ
ル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社
製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4
600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。得ら
れた塗工液を坪量75g/m2の上質塗工原紙に塗工量
が片面12g/m2となるように両面ブレード塗工し、
23℃、65%RHの恒温恒湿室にて12時間調湿し
た。これをスーパーカレンダー装置により、ロール温度
50℃、線圧147000N/mの条件で片面2回づつ
通紙し、塗工紙のサンプルを得た。共重合体ラテックス
およびこの塗工紙のサンプルについて下記の方法により
物性を評価した結果を表2に示す。
【0051】(耐湿潤ベタツキ性)マイラーフィルムに
共重合体ラテックスをNo.12のワイヤーバーで塗布
して130℃で30秒乾燥した。このフィルムを30℃
の水中に5秒間浸漬させた後、黒ラシャ紙と重ね合わ
せ、温度60℃、線圧19600N/mのスーパーカレ
ンダーを通過させた後、黒ラシャ紙を剥離する。この黒
ラシャ紙繊維のラテックスフィルムのベタツキによる転
移状態を目視評価した。評価は10点評価法で行ない、
転移の少ないものほど高得点とした。
【0052】(再分散性)マイラーフィルムに共重合体
ラテックスをNo.12のワイヤーバーで塗布して90
℃で30秒乾燥した。このフィルムを30℃の水中に3
0秒間浸漬させた後、フィルムの表面に残存する水分を
一定量に調整し、更にフィルム表面を一定の荷重で摩擦
する。このときのフィルム表面の白濁度合いを目視評価
した。評価は10点評価法で行ない、白濁度合いの大き
いものほど高得点とした。
【0053】(ガラス転移温度)共重合体ラテックス試
料を十分に乾燥し、示差走査熱量計を用いて測定した。 (最低成膜温度)熱勾配試験機を用いて測定し、測定温
度範囲は0〜50℃、熱勾配の大きさは10℃/10c
mで行った。
【0054】(ドライピック強度)RI印刷試験機(明
製作所)を用い、中央部に塗工紙(1.5cm×20c
m)を並べて貼った台紙(30cm×25.5cm)
に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパー
デラックス50紅B(タック18)0.5mlを25c
m×21cmの印刷面積で台紙ごと塗工紙に重ね刷りし
た。ゴムロールに現れたピックの発生状態を別の台紙に
転写して目視評価した。評価は10点法で行ないピック
の発生が少ないものほど高得点とした。
【0055】(湿潤ピック強度)ピック強度と同様な方
法でモルトンロールで水を塗布した塗工紙に1回刷りで
印刷を行ない、ゴムロールに現れたピックの発生状態を
別の台紙に転写して目視評価した。評価は10点法で行
ないピックの発生が少ないものほど高得点とした。 (耐ブリスター性)塗工紙を適当な大きさに裁断し、そ
の試験片を所定の温度に調節したシリコンオイルバスに
浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観察した。オイ
ルバスの温度を変化させながら同様に試験を行ない、各
塗工紙についてブリスターの発生する温度を測定した。
発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0056】
【比較例4〜6】共重合体ラテックスo〜qについても
実施例9〜16と同様な方法により塗工紙のサンプルを
調製し、共重合体ラテックスおよび塗工紙の物性評価を
行なった。その結果を表2に示す。表2から明らかなよ
うに、本発明の共重合体ラテックスa〜hはドライピッ
ク強度に優れ、湿潤ピック強度および耐ブリスター性も
バランス良く優れており、さらに耐湿潤ベタツキ性、再
分散性も極めて良好である。これに比較して比較例に示
した如く、本発明の範囲外にある共重合体ラテックスに
ついては、例えば共重体ラテックスoは、TgHとTgL
との差が小さく、いずれの物性も優れない。共重合体ラ
テックスpについては、(TgH−MFT)/(TgH−
TgL)の値が0.5を超えているために再分散性、ドラ
イ、および湿潤ピック強度、耐ブリスタ性等が優れな
い。
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】本発明の共重合体ラテックスは、塗工紙
のドライピック強度に大幅に優れ、湿潤ピック強度およ
び耐ブリスター性においても非常に高いバランスを有
し、しかも塗工紙の製造工程における耐ロール汚れ適性
にかかわる耐ベタツキ性と再分散性においてもきわめて
優れた性能を有する共重合体ラテックスである効果を有
する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 133/02 C09D 133/02 133/20 133/20 153/00 153/00 D21H 19/58 D21H 19/58 Fターム(参考) 4J026 HA14 HA19 HA33 HB12 HB14 HB19 HB33 HE01 4J038 CA071 CC041 CC051 CD041 CF021 CF081 CG141 CG161 CG171 CQ011 CR071 GA01 GA06 MA10 MA13 NA10 NA11 PC10 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AJ02S AJ08S AJ09S AL03Q AL04Q AL08Q AL09Q AL10Q AM02R AM03R AM15Q AM17Q AM19Q AM21Q AQ12Q AS02P AS03P AS07P BA03Q BA29Q BA31Q BB01R CA05 CA06 DA25 EA07 JA01 JA03 JA11 4L055 AG62 AG70 AG74 AG76 AG89 AH37 BE08 EA20 EA32 FA13 FA15 GA05 GA06 GA19 GA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)共役ジエン系単量体単位20〜8
    0重量%、(ロ)不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜
    10重量%、(ハ)シアン化ビニル単量体単位3〜50
    重量%、および(ニ)その他共重合可能な単量体単位0
    〜76.5重量%からなる共重合体ラテックスであっ
    て、共重合体が少なくとも2点以上のガラス転移温度を
    有し、かつ最も高いガラス転移温度(TgH:単位℃)
    と最も低いガラス転移温度(TgL:単位℃)、及び最
    低成膜温度(MFT:単位℃)が以下の関係式1及び2
    を満たす事を特徴とする共重合体ラテックス。 関係式1: TgH−TgL≧5 関係式2: (TgH−MFT)/(TgH−TgL)≦0.5
  2. 【請求項2】 下記の少なくとも2種の(共)重合体部
    分XおよびYを含有する請求項1に記載の共重合体ラテ
    ックス。 (共)重合対部分X: (イ−X)共役ジエン系単量体単位25〜100重量% (ロ−X)不飽和カルボン酸単量体単位0〜10重量% (ハ−X)シアン化ビニル単量体単位0〜50重量% (ニ−X)その他共重合可能な単量体単位0〜75重量
    % からなり、この部分のガラス転移温度がー100〜0℃
    の範囲に存在する(共)重合体 共重合対部分Y: (イ−Y)共役ジエン系単量体単位10〜60重量% (ロ−Y)不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜30重
    量% (ハ−Y)シアン化ビニル単量体単位0〜50重量% (ニ−Y)その他共重合可能な単量体単位0〜89.5
    重量% からなり、この部分のガラス転移温度が0〜50℃の範
    囲に存在する共重合体
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の共重合体ラテ
    ックスを使用した紙塗工用組成物。
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