JP5629885B2 - 単相/三相直接変換装置及びその制御方法 - Google Patents

単相/三相直接変換装置及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、単相/三相直接変換装置及びこれを制御する方法に関する。
交流/交流変換を行うインバータの代表的な主回路構成として、間接形交流電力変換回路が一般に用いられている。間接形交流電力変換回路では、整流回路、平滑回路によって商用交流を一旦直流に変換し、更に電圧形変換器によって交流出力を得る。
他方、交流電圧から直接に交流出力を得る方式としては、マトリックスコンバータを代表とする直接形交流電力変換装置が知られている。直接形交流電力変換装置では、商用周波数による電圧脈動を平滑する大型のコンデンサ、リアクトルが不要である。このことから、直接形交流電力変換装置は小型化が期待され、次世代の電力変換器として近年注目されつつある。
マトリックスコンバータによる単相/三相変換を行う技術については、従来では単相/三相の間接変換方式が用いられていた、交流電気車への適用が検討されている(例えば、後掲の非特許文献1)。また、家電のように電力容量が小さく、かつ単相の電気機器への適用については、ダイオード整流器を基本とする回路方式が提案されている(例えば、後掲の非特許文献2)。
例えば、非特許文献2で示された単相/三相直接変換装置では、単相ダイオード整流器とインバータとを繋ぐ2本の直流電源線(直流リンク)にスナバ回路が設けられている。このスナバ回路は互いに直列接続されたダイオード及びコンデンサと、ダイオードと並列接続されたスイッチ素子とを有している。ダイオードはそのアノードを直流リンクの高電位側に、そのカソードを低電位側に向けて配置される。そして当該スイッチ素子とインバータとを制御することにより、単相ダイオード整流器による直流リンクの電力脈動を解消する技術が示されている。ここで採用されるコンデンサは小容量で足りるとされている。
特許第4049189号公報
山下陽太 他、「単相/三相マトリックスコンバータの鉄道車両への適用の検討」、平成20年電気学会産業応用部門大会、1-22 大沼喜也、伊東淳一、「新しい単相三相電力変換器によるコンデンサ容量の低減法とその基礎検証」、電気学会半導体電力変換研資,SPC-08-162(2008) 大沼喜也、伊東淳一、「アクティブバッファ付き単相−三相電力変換器における空間ベクトル変調の適用」、平成21年電気学会産業応用部門大会、1-42
しかし、単相/三相直接変換装置では、電源電圧の周波数の2倍で脈動する入力電力に基づいて一定電力を三相負荷へ供給する。よって、平均的な直流電圧に対して、インバータが平均的に出力する電圧の割合(通常「電圧利用率」と称される)は0.5程度となっていた。例えば非特許文献2で示された単相/三相直接変換装置では、電圧利用率はスナバーコンデンサの両端電圧に依存し、これが電源電圧の波高値の2倍であっても電圧利用率は0.4程度であり、無限大とした場合においても0.5を超えることはない。
電圧利用率が低いということは、負荷へと出力する電圧に対するインバータに入力される電圧の比を高くする必要があることとなる。これはインバータに採用されるスイッチ素子に要求される定格電圧が大きくなることを意味する。他方、電圧利用率が低いということは、インバータに入力される電圧に対する負荷に出力される電圧の比が小さいことになり、負荷に所定の電力を供給しようとするならば、大きな電流を流す必要があることになる。これはインバータに採用されるスイッチ素子に要求される定格電流が大きくなることを意味する。
よって電圧利用率が低い場合、インバータに採用されるスイッチ素子には、電圧定格及び/又は電流定格のいずれも大きいことが要求され、ひいてはスイッチ素子の大型化を招来する。
そこで本発明は、単相/三相直接変換装置の電圧利用率を改善し、以てスイッチ素子に要求される電圧定格、及び/又は電流定格を低減することを目的とする。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置は、第1電源線(LH)と;前記第1電源線よりも低い電位が印加される第2電源線(LL)と;ダイオード整流器(3)と;前記第1電源線及び前記第2電源線の間に設けられた充放電回路(4)と;前記第1電源線及び前記第2電源線の間の電圧たる整流電圧(Vdc)が入力され、電圧ベクトルに基づいて動作して三相交流電流(Iu,Iv,Iw)を出力するインバータ(5)とを備える。
前記ダイオード整流器(3)は、単相交流電源(1,2)が接続される入力側と;前記第1電源線及び前記第2電源線が接続される出力側とを有する。そして単相全波整流を行う。
前記充放電回路はコンデンサ(C4)を含む。そして、前記第1電源線及び前記第2電源線との間で電力を授受するバッファ回路(4a)と;前記整流電圧を昇圧して前記コンデンサを充電する昇圧回路(4b)とを有する。
前記バッファ回路は、前記コンデンサに対して、前記第1電源線側で前記第1電源線と前記第2電源線の間で直列に接続された第1スイッチ(SC,D42)を更に含む。
前記昇圧回路は、カソードと、前記スイッチと前記コンデンサとの間に接続されたアノードとを備えるダイオード(D40)と;前記第1電源線と前記カソードとの間に接続されたリアクトル(L4)と;前記第2電源線と前記カソードとの間に接続された第2スイッチ(Sl,D41)とを含む。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法は、この発明にかかる単相/三相直接変換装置を制御する方法である。そしてその第1の態様は、前記単相交流電源(1,2)が出力する交流波形を当該交流波形の位相角(ωt)の正弦値として把握したときの当該位相角(ωt)の二倍の値(2ωt)に対する余弦値(cos(2ωt))が正となる第1期間(T1)においては、前記バッファ回路(4a)から前記第1電源線及び前記第2電源線へと電力を授与する。前記余弦値が負となる第2期間(T2)においては前記バッファ回路(4a)へと前記第1電源線及び前記第2電源線から電力を受納する。前記単相交流電源から入力される瞬時電力の直流分(Vm・Im/2)の前記余弦値倍の瞬時電力たる瞬時授受電力(Pbuf)で、前記受納及び前記授与が行われる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第2の態様は、その第1の態様であって、前記第1期間(T1)において、前記第1スイッチ(SC,D42)が導通して前記コンデンサ(C4)が放電するデューティである放電デューティ(dc)は、前記瞬時授受電力(Pbuf=Vm・Im・cos(2ωt)/2)を前記コンデンサの両端電圧(vc)と前記インバータ(5)へ入力する第1入力電流(Idc)との積で除した値に設定される。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第3の態様は、その第2の態様であって、前記第1期間(T1)において、前記第2スイッチ(Sl,D41)は非導通にされ、前記インバータ(5)に零相電流が流れるデューティである零デューティ(dz)は、前記放電デューティ(dc)と整流デューティ(drec)との和を1から引いた値に設定される。前記整流デューティは、前記ダイオード整流器(3)に入力する第2入力電流(Im・sin(ωt))の絶対値を前記第1入力電流で除した値に設定される。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第4の態様は、その第1の態様であって、前記第2期間(T2)において、前記第1スイッチ(SC,D42)は非導通にされ、前記インバータ(5)に零相電流が流れるデューティである零デューティ(dz)は、1から所定値を引いた値に設定され、前記所定値は、前記インバータ(5)へ入力する第1入力電流(Idc)の2倍の値(2・Idc)と前記ダイオード整流器(3)に入力する第2入力電流の前記第2入力電流(Im・sin(ωt))の絶対値との積で、前記第2入力電流の最大値(Im)の平方(Im・Im)を除した値(Im/(2・Idc|sin(ωt)|)に設定される。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第5の態様は、その第4の態様であって、前記第2期間(T2)において、前記リアクトル(L4)に流れるリアクトル電流(il)の目標値(il*)は、その平均値(ila)が前記第2入力電流の絶対値(Im|sin(ωt)|)から、前記所定値と前記第1入力電流との積(Im/(2・|sin(ωt)|)を引いた値を採る。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第6の態様は、その第4乃至第5の態様のいずれかであって、前記第2期間(T2)において、前記第2スイッチ(Sl,D41)は、前記リアクトル(L4)に流れる電流が不連続となるよう導通する。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第7の態様は、その第5の態様であって、前記第2スイッチ(Sl,D41)が導通するデューティ(dl)は、第1値(2・Lm・(vc−Vin)・ila)を第2値(Vin・vc・ts)で除した値の平方根に設定される。前記第1値は第3値(vc−Vin)と前記リアクトル(L4)のインダクタンス(Lm)と前記リアクトル電流(il)の目標値(il*)の平均値(ila)との積の2倍に設定される。前記第2値は、前記ダイオード整流器(3)に入力する入力電圧(Vin=Vm・sin(ωt))と、前記コンデンサの両端電圧(vc)と、前記第2スイッチのスイッチング周期(ts)との積に設定される。前記第3値は、前記入力電圧を前記両端電圧から引いた値である。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第8の態様は、その第7の態様であって、前記第2スイッチ(Sl,D41)は複数回オン/オフを繰り返す。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第9の態様は、その第8の態様であって、前記インバータ(5)の運転開始に先立って、前記コンデンサ(C4)は予め前記昇圧回路(4b)によって、前記単相交流電源から入力される電圧の最大値(Vm)よりも高い初期充電値(vc0)に充電される。前記初期充電値に対する前記両端電圧(vc)の偏差に基づく補正量(Δil)を用いて、前記リアクトル電流の目標値(il*)が補正される。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置によれば、バッファ回路が第1電源線及び第2電源線との間で電力を授受することにより、電力脈動を軽減できる。
しかもバッファ回路のコンデンサには、昇圧回路が整流電圧を昇圧して充電するので、バッファ回路が第1電源線及び第2電源線から電力を受納する期間において、ダイオード整流器の導通期間を拡げることができる。これにより電圧利用率が改善され、以て素子に要求される定格電圧及び定格電流を小さくすることができる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第1の態様によれば、前記単相交流電源から入力される電力脈動を相殺できる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第2の態様によれば、電力脈動を相殺するためのコンデンサの放電が行われる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第3の態様によれば、充放電回路とインバータとダイオード整流器はいずれも第1電源線と第2電源線との間で相互に並列に接続されているので、放電デューティと、零デューティと、ダイオード整流器に電流が流れるデューティの和は1となる関係を有している。よって放電デューティと零デューティとをこのように設定することで、ダイオード整流器に電流が流れるデューティを整流デューティに設定することができ、以て第1期間における第2入力電流が正弦波状となる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第4の態様によれば、出力電力の脈動を相殺するための零電圧ベクトルの期間を設定することができる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第5の態様によれば、第2期間における第2入力電流が正弦波状となる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第6の態様によれば、ダイオード整流器の転流は、いわゆる零電流スイッチングとなり、ダイオード整流器における損失が低減する。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第7の態様によれば、昇圧回路が不連続モードで動作し、第2スイッチ及びダイオードで発生するスイッチング損失が低減される。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第8の態様によれば、リアクトルのインダクタンスが小さくても、リアクトル電流の波高値を小さくしつつ、その平均値を維持することができる。
この発明にかかる単相/三相直接変換装置の制御方法の第9の態様によれば、コンデンサの両端電圧の変動に基づいてデューティが補正される。
この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置の構成を例示する回路図である。 図1に示された単相/三相直接変換回路の等価回路を示す回路図である。 電圧ベクトルを示す図である。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置の授与期間における動作を説明するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置の受納期間における動作を説明するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置のデューティを例示するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置における平均電圧を例示するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置のデューティを例示するグラフである。 リアクトルに流れる電流の波形を示す概念図である。 制御部の構成を例示するブロック図である。 非特許文献2で紹介された単相/三相直接変換装置の構成を例示する回路図である。 図11に示された単相/三相直接変換回路の等価回路を示す回路図である。 図11に示された単相/三相直接変換回路のデューティを例示するグラフである。 図11に示された単相/三相直接変換装置の諸量を例示するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置の諸量を例示するグラフである。 この実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置の受納期間における動作を説明するグラフである。 リアクトルに流れる電流についての変形にかかる動作を説明するグラフである。 デューティを生成する構成を例示するブロック図である。
A.単相/三相直接変換装置の構成:
図1に示すように、単相/三相直接変換装置は、ダイオード整流器3と、充放電回路4と、インバータ5とを備えている。
ダイオード整流器3は例えばフィルタ2を介して単相交流電源1と接続されている。フィルタ2はリアクトルL2とコンデンサC2とを備えている。リアクトルL2は単相交流電源1の2つの出力端のうちの一つとダイオード整流器3との間に設けられている。コンデンサC2は単相交流電源1の2つの出力端の間に設けられている。フィルタ2は電流の高周波成分を除去する。フィルタ2は省略しても良い。簡単のため、以下ではフィルタ2の機能を無視して説明する。
ダイオード整流器3はダイオードD31〜D34を備えている。ダイオードD31〜D34はブリッジ回路を構成し、単相交流電源1から入力される単相交流電圧Vinを単相全波整流して整流電圧Vdcに変換し、これを直流電源線LH,LLの間に出力する。直流電源線LHには直流電源線LLよりも高い電位が印加される。ダイオード整流器3には単相交流電源1から電流Iinが流れ込む。
充放電回路4はバッファ回路4a及び昇圧回路4bを有する。バッファ回路4aはコンデンサC4を含み、直流電源線LH,LLとの間で電力を授受する。昇圧回路4bは整流電圧Vdcを昇圧してコンデンサC4を充電する。
バッファ回路4aはダイオードD42と逆並列接続されたトランジスタ(ここでは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:以下「IGBT」と略記)Scを更に含んでいる。トランジスタScはコンデンサC4に対して直流電源線LH側で、直流電源線LH,LLの間で直列に接続されている。ここで逆並列接続とは、順方向が相互に逆となって並列に接続されていることを指す。具体的にはトランジスタScの順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへと向かう方向であり、ダイオードD42の順方向は直流電源線LHから直流電源線LLへと向かう方向である。トランジスタScとダイオードD42とはまとめて一つのスイッチ素子(第1スイッチ)として把握することができる。
昇圧回路4bは、ダイオードD40と、リアクトルL4と、トランジスタ(ここではIGBT)Slとを含んでいる。ダイオードD40は、カソードと、アノードとを備え、当該アノードは第1スイッチとコンデンサC4との間に接続される。かかる構成はいわゆる昇圧チョッパとして知られている。
リアクトルL4は直流電源線LHとカソードとの間に接続される。トランジスタSlは直流電源線LLとカソードとの間に接続される。トランジスタSlにはダイオードD41が逆並列接続されており、両者をまとめて一つのスイッチ素子(第2スイッチ)として把握することができる。
コンデンサC4は、昇圧回路4bにより充電され、整流電圧Vdcよりも高い両端電圧vcが発生する。具体的には直流電源線LHから第2スイッチを経由して直流電源線LLへと電流を流すことによってリアクトルL4にエネルギーを蓄積し、その後に第2スイッチをオフすることによって当該エネルギーがダイオードD40を経由してコンデンサC4に蓄積される。
両端電圧vcは整流電圧Vdcより高いので、基本的にはダイオードD42には電流が流れない。従って第1スイッチの導通/非導通は専らトランジスタScのそれに依存する。よって、以下、トランジスタScのみならず、これとダイオードD42とをまとめた第1スイッチについて、スイッチScと称することがある。
また、直流電源線LHの方が直流電源線LLよりも電位が高いので、基本的にはダイオードD41には電流が流れない。従って第2スイッチの導通/非導通は専らトランジスタSlのそれに依存する。よって、以下、トランジスタSlのみならず、これとダイオードD41とをまとめた第2スイッチについて、スイッチSlと称することがある。
インバータ5は直流電源線LH,LLの間の直流電圧を交流電圧に変換して出力端Pu,Pv,Pwに出力する。インバータ5は6つのスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnを含む。スイッチング素子Sup,Svp,Swpはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LHとの間に接続され、スイッチング素子Sun,Svn,Swnはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LLとの間に接続される。インバータ5はいわゆる電圧形インバータを構成し、6つのダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnを含む。
ダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnはいずれもそのカソードを直流電源線LH側に、そのアノードを直流電源線LL側に向けて配置される。ダイオードDupは、出力端Puと直流電源線LHとの間で、スイッチング素子Supと並列に接続される。同様にして、ダイオードDvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnは、それぞれスイッチング素子Svp,Swp,Sun,Svn,Swnと並列に接続される。
例えばスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,SwnにはIGBTが採用される。
誘導性負荷6は例えば回転機であり、誘導性負荷であることを示す等価回路で図示されている。具体的には、リアクトルLuと抵抗Ruとが相互に直列され、この直列体の一端が出力端Puに接続される。リアクトルLv,Lwと抵抗Ru,Rwについても同様である。またこれらの直列体の他端同士が相互に接続される。
B.単相/三相直接変換装置の制御方法:
(b-1)電力脈動低減の基本的な考え方:
図1で示された単相/三相直接変換装置においては、ダイオード整流器3が全波整流を行う。よってインバータ5及び誘導性負荷6で消費される電力が一定である場合には(例えば誘導性負荷6が対称三相負荷である場合:これは多くの誘導性負荷に当てはまる)、直流電源線LH,LLに供給される電力は、充放電回路4を無視すれば、単相交流電圧の周波数の2倍の周波数を有して脈動してしまう。そこで充放電回路4によって当該脈動を軽減する。具体的にはバッファ回路4aが直流電源線LH,LLとの間で電力を授受することによって電力脈動を軽減する。
ダイオード整流器3に入力する瞬時電圧Pinは、入力力率を1として、次式で表される。但し、単相交流電圧Vinの振幅Vm及び電源角速度ω、入力電流Iinの振幅Im、時刻tを導入した。電源角速度ωと時間tとの積ωtは単相交流電圧Vinの位相角を表すことになる。また、交流波形は、当該交流波形の位相角ωtの正弦値として把握した。
Figure 0005629885
式(1)の右辺第2式の第2項が電力脈動を示す。かかる電力脈動を打ち消すためにはバッファ回路4aが第2項目と同じ値であって極性の異なる瞬時電力Pbufを直流電源線LH,LLとの間で授受すればよい。かかる瞬時電力Pbufは次式で表される。
Figure 0005629885
つまり、瞬時電力Pbufは、単相交流電源1から(あるいは更にフィルタ2を経由して:以下同様)入力される瞬時電力の直流分(Vm・Im/2)と、位相角ωtの二倍の値(2ωt)に対する余弦値cos(2ωt)との積で表されることになる。
式(2)から、バッファ回路4aが授受する瞬時電力(以下「瞬時授受電力」)Pbufは正負の値を採り得ることがわかる。瞬時授受電力Pbufは具体的には、単相交流電圧の位相角ωtが0以上π/4以下、3π/4以上5π/4以下又は7π/4以上2π以下である期間(以下「授与期間」と称す)に正の値を採り、これ以外の期間(以下「受納期間」)ときに負の値を採る。つまりバッファ回路4aは、授与期間において瞬時授受電力Pbufの絶対値を直流電源線LH,LLに授与し、受納期間において瞬時授受電力Pbufの絶対値を直流電源線LH,LLから受納する。これにより電力脈動が相殺される。
単相交流電圧VinはVm・sin(ωt)で表されることから、上記範囲を換言して、単相交流電圧の絶対値がその振幅Vmの1/√2倍の値よりも低いときには充放電回路4は正の電力を出力し、振幅Vmの1/√2倍の値よりも高いときには負の電力を出力する、とも把握できる。
以下、授与期間及び受納期間における具体的動作について説明するが、これに先立ってまず、検討に必要な定式化を行う。
非特許文献2では、図1に示された回路から昇圧回路4bが除かれた構成が示されている。具体的には図11に示された回路及びその等価回路である図12が紹介されている。そして図12に示された等価回路では、ダイオード整流器3から直流電源線LH,LLに電流irecが流れることが、スイッチSrecの導通として等価的に表されている。同様に、コンデンサC4から直流電源線LH,LLに放電電流icが流れることが、トランジスタSc(実際にはダイオードD42を経由する電流も含む)の導通として等価的に表されている。また、インバータ5が零電圧ベクトルに基づいて動作する期間において流れる零相電流izについても、スイッチSzの導通として等価的に表されている。なお零電圧ベクトルを含む電圧ベクトルについては後に詳述する。
このようにして得られた等価回路においては、スイッチSrec,Sc,Szが導通するそれぞれのデューティdrec,dl,dz、インバータ5に入力される電流Idcを導入して、次式が成立することが、非特許文献2で示されている。
Figure 0005629885
電流の連続性から各電流irec,ic,izの和が電流Idcと等しいので、次式が成立する。
Figure 0005629885
よってデューティdrec,dc,dzは、各電流irec,ic,izに対する電流Idcの電流分配率と見ることができる。またデューティdrecはダイオード整流器3に電流が流れるデューティであるので、これ以降では整流デューティdrecと称することがある。またデューティdcは、コンデンサC4が放電するデューティであるので、これ以降では放電デューティdcと称することがある。またデューティdzは零相電流izが流れるデューティであるので、これ以降では零デューティdzと称することがある。
さて、図1に示された回路は、図11に示された回路に対して昇圧回路4bが追加された構成を採っているので、その等価回路(図2参照)も、図12に示された等価回路に対して、スイッチSl、リアクトルL4、ダイオードD40が追加された構成を採ることになる。
そして、電流irecはインバータ5のみならず昇圧回路4bにも流れるので、リアクトルL4を流れる電流ilにも依存する。つまりスイッチSlが導通するデューティdlを導入すると、図2で示された等価回路については、式(3)に対して電流ilの項が追加されて次式が成立する。
Figure 0005629885
但し、図2の等価回路においても、昇圧回路4bによって充電されたコンデンサC4の両端電圧vcは、整流電圧Vdc(=|Vin|)よりも高いので、スイッチScが導通して放電電流icが流れているときには電流irec,izは流れない。同様にして零相電流izが流れているときには直流電源線LH,LLのいずれか一方が誘導性負荷6から絶縁状態にあるので、電流irec,icは流れない。よってこの実施の形態においても式(4)は維持される。
(b-2)授与期間における動作:
授与期間においては、スイッチScを動作させて放電電流icを流すことにより、直流電源線LH,LLへとバッファ回路4aから瞬時授受電力Pbufを授与する。よってスイッチSlは導通させず、デューティdlを零とする。
ここでダイオード整流器3から直流電源線LH,LLに流れる電流irecを正弦波状にするためには、電流irecが次式を満たせばよい。ここで右辺は単相交流電源1からダイオード整流器3に流れ込む電流Iinの絶対値に相当する。
Figure 0005629885
式(5)においてdl=0とし、更に式(6)により、整流デューティdrecは次式で表される。
Figure 0005629885
換言すれば、整流デューティdrecは、ダイオード整流器3に入力する電流Iin(=Im・sin(ωt))の絶対値を、インバータ5に入力する電流Idcで除した値に設定される。
更に、電力脈動を低減するためには、コンデンサC4の両端電圧vcと放電電流icとの積が瞬時授受電力Pbufに等しければよい。よって式(2),(5)から放電デューティdcは下記のように求まる。
Figure 0005629885
換言すれば、放電デューティdcは、瞬時授受電力Pbuf(=Vm・Im・cos(2ωt)/2)をコンデンサC4の両端電圧vcとインバータ5へ入力する電流Idcとの積で除した値に設定される。これにより、電力脈動を相殺するためのコンデンサC4の放電が行われる。
なお、実際にはスイッチSrecは設けられず、等価回路において現れているに過ぎない。そしてその導通/非導通は、スイッチSc及びインバータ5の動作に従属して決定される。このような動作については後にインバータ5の動作と共に説明される。
(b-3)受納期間における動作:
受納期間においては、バッファ回路4aは直流電源線LH,LLへと電力を授与しないので、スイッチScは導通させずに、放電デューティdcを零とする。他方、昇圧回路4bによってコンデンサC4にエネルギーを蓄積させるべく、デューティdlは正となる。よって式(5)から次式が導かれる。
Figure 0005629885
式(9)の第1項はダイオード整流器3からインバータ5へと供給される電力に対応する電流を示す。よってこの第1項を電流irec1として表すと、電流irec1と単相交流電圧Vinを全波整流した値|Vin|との積が、式(1)で表される瞬時電力Pinの直流分(Vm・Im/2)に等しくすることが望まれる。瞬時授受電力Pbufの授受によって、ダイオード整流器3よりも後段で消費される電力を瞬時電力Pinの直流分という一定値にできるからである。よって下式が導かれる。
Figure 0005629885
単相交流電圧VinはVm・sin(ωt)で表されることから、式(10)から下式が得られる。
Figure 0005629885
上述の通り、式(9)の第1項を電流irec1として表したのであるから、整流デューティdrecは下式のように設定される。
Figure 0005629885
放電デューティdcは零であるので、式(4)により、零デューティdzは1から整流デューティdrecを引いた値となる。そして整流デューティdrecは、換言すれば、インバータ5へ入力する電流Idcの2倍の値2・Idcとダイオード整流器3に入力する電流Iin(=Im・sin(ωt))の絶対値との積2・Idc|Im・sin(ωt)|で、電流Iinの最大値Imの2乗Im・Imを除した値Im/(2・Idc|sin(ωt)|)であるといえる。
このように零デューティdzを設定することにより、出力電力の脈動を相殺するための零電圧ベクトルの期間を設定することができる。
次に、デューティdlについて説明する。ダイオードD40と第2スイッチ(S1,D41)の転流動作が、リアクトル電流ilが流れているときに生じると、第2スイッチのスイッチング損失とダイオードD40のリカバリー損失が大きくなって望ましくない。よってここでは昇圧回路4bにおいて電流ilは不連続となるようにデューティdlを決定する。
授与期間と同様に、ダイオード整流器3から直流電源線LH,LLに流れる電流irecを正弦波状にするためには、電流irecが式(6)を満足しなければならない。他方、式(9)の第2項dl・ilは、スイッチング一周期当たりにリアクトルL4に流れる電流の平均値ilaとして把握される。よって平均値ilaは式(6),(9)から次式で設定される。
Figure 0005629885
換言すれば、平均値ilaは、ダイオード整流器3に入力する電流Iinの絶対値Im|sin(ωt)|から、整流デューティdrecとインバータ5に入力する電流Idcとの積Im/(2・|sin(ωt)|)を引いた値に設定される。かかる設定により、受納期間においてダイオード整流器3に入力する電流Iinが正弦波状となる。
他方、平均値ilaはデューティdlを考慮して以下のようにしても求められる。この際、スイッチSlがオフしているときにも、リアクトルL4にはコンデンサC4に向けて電流ilが流れることに留意する。
図9に電流ilの波形の概念図を示す。スイッチSlのスイッチング周期をTとし、その導通期間をΔT1としている。スイッチSlがオフした後に、リアクトルL4に電流ilが流れる期間をΔT2としている。上述のように電流ilは不連続であるので、期間ΔT1,ΔT2の和は周期Tよりも小さい。ここでは簡単のため、電流ilの波形を三角波として近似して取り扱う。電流ilは零乃至ピーク値Ipの間の値を採る。
スイッチング周期の始期を基準(零)とする時刻tと期間ΔT1、ΔT2との関係から次式が成立する。なお、コンデンサC4の両端電圧vcは昇圧回路4bによって既に電圧Vinの振幅Vmよりも高く充電されている。また充電経路のインダクタンスを値Lmとして表した。実際には充電経路のインダクタンスはリアクトルL4のインダクタンスが主となるので、値LmはリアクトルL4のインダクタンスと見ることができる。
Figure 0005629885
Figure 0005629885
Figure 0005629885
期間ΔT1はスイッチング周期Tとデューティdlとの積で表されるので、式(14),(15)に対してt=ΔT1を代入することで、ピーク値Ipは次式で表される。
Figure 0005629885
そして、式(15)に対してt=ΔT2を代入し、式(17)から次式が得られる。
Figure 0005629885
ここで式(19)で表される値Qを採用すると、平均値ilaは式(20)で計算される。
Figure 0005629885
Figure 0005629885
よって式(17)(20)から平均値ilaは下式で計算される。
Figure 0005629885
式(21)を変形してデューティdlは下式で計算される。より具体的には下式において式(13)を代入することでデューティdlは決定される。
Figure 0005629885
換言すれば、デューティdlは、第1値(2・Lm・(vc−Vin)・ila)を第2値(Vin・vc・ts)で除した値の平方根に設定される。ここで第1値は第3値(vc−Vin)とリアクトルL4のインダクタンスLmとリアクトルL4に流れる電流ilの平均値ilaとの積の2倍に設定される。ここで第2値は、ダイオード整流器3に入力する電圧Vin(=Vm・sin(ωt))と、コンデンサC4の両端電圧vcと、スイッチSlのスイッチング周期Tとの積に設定される。また第3値は、入力電圧Vinを両端電圧vcから引いた値である。
以上のようにして、昇圧回路4bを不連続モードで動作させ、図9に示すように第2スイッチ(S1,D41)の初期電流を零とし、ダイオードD40の終期電流を零とするように制御する。
(b-4)インバータ動作の制御:
図1に示す単相/三相直接変換装置に、スイッチSrec,Szが実際に設けられているわけではない。図2に示す等価回路上のスイッチSrec,SzはスイッチSc及びインバータ5のスイッチングによって等価的に制御される。スイッチSrec,Szを等価的に制御する方法を説明するために、まずインバータの一般的な制御について説明する。
U相に対応する一対のスイッチング素子Sup,Sun、V相に対応する一対のスイッチング素子Svp,Svn及びW相に対応する一対のスイッチング素子Swp,Swnはそれぞれ相互に排他的に制御される。よって、各スイッチング素子のスイッチ状態に応じて、インバータ5全体としては次の8つのスイッチングパターンが存在する。ここで上側スイッチング素子が導通し、下側スイッチング素子が非導通であるスイッチ状態を「1」で表現し、上側スイッチング素子が非導通であって下側スイッチング素子が導通するスイッチ状態を「0」で表現する。各相についてのスイッチ状態をU相、V相、W相の順で並べると、スイッチングパターンとしては、(0,0,0)(0,0,1)(0,1,0)(0,1,1)(1,0,0)(1,0,1)(1,1,0)(1,1,1)の8つのパターンが存在する。
インバータ5において上述の各スイッチングパターンが実現されることにより、当該スイッチングパターンに応じて出力端Pu,Pv,Pwからそれぞれ電流Iu,Iv,Iwが出力される。
図3には上記のスイッチングパターンに対応した電圧ベクトルV0〜V7が示されている。電圧ベクトルを示す符号「Vx」の「x」は、スイッチ状態を示す上記3つの数字を3桁の二進数として捉え、当該二進数を10進数に変換した数字を採用している。例えばスイッチングパターン(1,0,0)は電圧ベクトルV4として表される。
各電圧ベクトルV1〜V6はこれらの始点を中心点に一致させそれらの終点を放射状に外側に向けて配置される。各電圧ベクトルV1〜V6の終点同士を結ぶと正六角形を構成する。電圧ベクトルV0,V7では出力端Pu,Pv,Pwが短絡されるので、電圧ベクトルV0,V7は大きさを有さない。よって電圧ベクトルV0,V7は中心点に配置される。かかる電圧ベクトルV0,V7を零電圧ベクトルと称している。
なお、各電圧ベクトルV1〜V6のうちの隣り合う2つと、各電圧ベクトルV0,V7とにより構成される正三角形の領域をそれぞれS1〜S6と呼ぶ。
インバータ5では上記スイッチングパターンが選択的に採用されて動作する。インバータ5を電圧ベクトルを用いて制御する場合、電圧ベクトルの指令値V*は、電圧ベクトルV0〜V7で合成できる。これらの電圧ベクトルが採用される期間を調整することにより、指令値V*はその位置する領域S1〜S6のそれぞれにおいて任意に設定できる。但し、一つの電圧ベクトルが連続して採用される期間は、単相交流電圧の周期に対して十分に短い期間で設定される。
図4のタイミングチャートは、単相/三相直接変換装置の授与期間における動作を例示している。ここでは簡単のため、キャリヤCとして周期tsを有する三角波であって、最小値0、最大値1をとり、増加時の傾斜と減少時の傾斜とは絶対値が等しいとする。授与期間においては上述の通り、デューティdlは零であり、整流デューティdrec、放電dcはそれぞれ式(7),(8)で設定される。
キャリヤCが整流デューティdrec以上の値を採るときにスイッチSrecが導通すると設定すれば、スイッチSrecは整流デューティdrecで導通することになる(期間trec=drec・tsにおいて導通)。また式(4)が成立するので、キャリヤCがデューティの和(drec+dz)以上の値を採るときにスイッチScが導通すると設定すれば、スイッチScは放電デューティdcで導通することになる(期間tc=dc・tsで導通)。そしてキャリヤCが整流デューティdrec以上であって和(drec+dz)以下の値を採るときに、スイッチSzが導通することになる。なお、(一周期tsにおいて二回出現する期間tz/2=dz・ts/2において導通:キャリヤC増加時の傾斜と減少時の傾斜とは絶対値が等しいので期間tzが二等分されている)。このようにデューティdrec,dzに基づいた指令値をキャリヤCと比較することにより、キャリヤCの一周期tsにおいてスイッチSrec,Sc,Szをそれぞれ導通させる期間trec,tc,tzが設定される。このようなキャリヤ比較の結果、スイッチScが導通するタイミングが決定される。
スイッチSrecを期間trecで導通することと等価な動作をダイオード整流器3に、スイッチSzを期間tzで導通することと等価な動作をインバータ5に、それぞれ行わせるため、インバータ5は下記のような制御を受ける。なお図4においては、それぞれスイッチング素子Sup,Svp,Swpと排他的に制御されるスイッチング素子Sun,Svn,Swnの導通/非導通については図示を省略している。
ここでは簡単のため、インバータ5が有する各スイッチング素子の導通期間も、スイッチSrec,Sc,Szの導通期間trec,tc,tzを導くために用いたキャリヤと同じキャリヤCを用いて求める場合について説明する。
図4では、インバータ5において、電圧ベクトルの指令値V*を電圧ベクトルV0,V,V4,V6を用いて合成する場合が例示されている。かかる合成は例えば電圧ベクトルの指令値V*が領域S1にある場合に採用される。なお、簡単のために零電圧ベクトルV7は採用されない場合について説明するものの、零電圧ベクトルV7を採用してもよい。
さて、一般的に、インバータ5の動作を制御する際には出力端Pu,Pv,Pwにおける出力電圧の指令値として、相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が採用される。図4に示された場合では、電圧ベクトルV0,V1,V3,V4,V6を用いた三相変調が例示されているので、0<Vu*<Vv*<Vw*=1の関係にある。
そしてインバータ5が零電圧ベクトルを採用して動作するときにダイオード整流器3に転流させるべく、キャリヤCが整流デューティdrecの値を採るときを境として、キャリヤCが比較されるべき指令値を変更する。具体的には、キャリヤCがdrec・(1−Vu*)以下のときにスイッチング素子Supを導通させ、キャリヤCがdrec・(1−Vv*)以下のときにスイッチング素子Svpを導通させ、キャリヤCがdrec・(1−Vw*)以下のときにスイッチング素子Swpを導通させる。
このような導通パターンは期間trecにおいて、従来の三角波と相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*との比較に相当する。キャリヤCのうち、値0〜drecを採る三角波の部分をVu*、Vv*、Vw*で内分するからである。但し、図4の例ではVw*=1であるので、drec・(1−Vw*)=0となり、スイッチング素子Swpは期間trecにおいては導通していない。以上の動作により、期間trecにおいては例えば電圧ベクトルV0,V4,V6,V4,V0がこの順で採用される。
また、キャリヤCがdrec+dz+dc・Vu*以上のときにスイッチング素子Supを導通させ、キャリヤCがdrec+dz+dc・Vv*以上のときにスイッチング素子Svpを導通させ、キャリヤCがdrec+dz+dc・Vw*以上のときにスイッチング素子Swpを導通させる。
このような導通パターンは期間tcにおいて、従来の三角波と相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*との比較に相当する。キャリヤCのうち、値drec+dz〜1(=drec+dz+dc)を採る三角波の部分をVu*、Vv*、Vw*で内分するからである。但し、図4の例ではVw*=1であるので、drec+dz+dc・Vw*=0となり、スイッチング素子Swpは期間tcにおいては導通していない。以上の動作により、期間tcにおいても期間trecと同様に、電圧ベクトルV0,V4,V6,V4,V0がこの順で出力される。
期間trec,tcにおける各スイッチング素子の制御により、期間trec,tcで挟まれた期間tz/2においては、スイッチSup,Svp,Swpが非導通となる。これにより、期間tz/2においては、零電圧ベクトルとして電圧ベクトルV0が出力される。
図5のタイミングチャートは、単相/三相直接変換装置の受納期間における動作を例示している。受納期間においても授与期間と同じキャリヤCが採用される。また整流デューティdrec、放電デューティdcはそれぞれ式(12),(22)で設定される(但し式(22)で採用される平均値ilaについては式(13)を用いる)。
授与期間と同様に、キャリヤCが整流デューティdrec以上の値を採るときにスイッチSrecが導通すると設定する。しかし受納期間においては上述の通り、放電デューティdcは零であり、式(4)からdrec+dz=1となる。よって授与期間とは異なり、スイッチSrec,Szは排他的に導通/非導通することになる。
他方、キャリヤCがデューティdl以下の値を採るときにスイッチSlが導通すると設定すれば、スイッチSlはデューティdlで導通することになる。ここでスイッチSlの動作周期はキャリヤCの周期tsと見ることができるので、スイッチングデューティdlは式(21),(22)においてT=tsを採用して求めることができる。つまりスイッチSlが導通する期間tlはデューティdlと周期tsとの積で求められる。これは図9の期間ΔT1に相当する。
このようにデューティdrec,dlに基づいた指令値をキャリヤCと比較することにより、キャリヤCの一周期tsにおいてスイッチSrec,Sl,Szをそれぞれ導通させる期間trec,tl,tzが設定される。このようなキャリヤ比較の結果、まずスイッチSlが導通するタイミングが決定される。
なお、ここではスイッチSlがキャリヤCに同期して、期間trecにスイッチングする場合を例示しているが、期間tzまたは期間tz,trecの双方でスイッチングしても良く、また、キャリヤC以外のキャリヤに基づいてスイッチングしても良い。
受納期間においてもインバータ5の動作は期間trecにおいて指令値drec・(1−Vu*),drec・(1−Vv*),drec・(1−Vw*)とキャリヤCの値との比較により、スイッチング素子Sup,Svp,Swpの動作が決定され、電圧ベクトルV0,V4,V6,V4,V0がこの順で採用される。
他方、dc=0であるので、指令値drec+dz+dc・Vu*,drec+dz+dc・Vv*,drec+dz+dc・Vw*はいずれも1となり、期間tzにおいてはインバータ5は零電圧ベクトルv0に基づいた動作をすることになる。また上述のように期間tlは期間trec内に収まっている。よってダイオード整流器3が転流するタイミングでは電流ilも流れず、当該転流はいわゆる零電流スイッチングとなって、ダイオード整流器3の転流時の損失が低減される。
(b-5)電圧利用率の検討:
この実施の形態に即して言えば、電圧利用率とは入力電圧Vinの最大値(即ち振幅Vm)に対する整流電圧Vdcの比Vdc/Vmとなる。式(4)(5)から整流デューティdrecは最大値として1を取り得ることが分かる。そして式(7)(12)から位相角ωtがπ/4(=45度)を採るとき、つまり受納期間と授与期間の境界にあるとき整流デューティdrecが最大値を採ることが分かる。よってIm/Idcの最大値は式(7),(12)から値√2を採ることが分かる。
このときにインバータ5に入力する電力は、整流電圧Vdcの最大値Vdcmとインバータに入力する電流Idcとの積Idc・Vdcmであって一定値を採る。電力脈動は瞬時授受電力Pbufによって相殺されるので、単相交流電源1から入力される瞬時電力の直流分(Vm・Im/2)が積Idc・Vdcmと等しくなる。よって最大値Vdcmの振幅Vmに対する比、換言すれば電圧利用率の最大値は次式で示される。
Figure 0005629885
この値1/√2(約0.707)は、従来の電圧利用率の最大値1/2(=0.5)と比べて大きく改善していることがわかる。
図6のグラフはかかるデューティdrec,dc,dzの一例を示しており、電圧利用率が最大値を採るようにIm/Idc=√2となる場合を示している。記号T1,T2はそれぞれ授与期間及び受納期間を示している。授与期間T1においてはデューティdrec,dcはそれぞれ式(7)(8)から、下式で表される。但し、図6では簡単のため、コンデンサC4の両端電圧vcを一定値として扱った。
Figure 0005629885
比較のため、図11、図12に示された、非特許文献2にかかる単相/三相直接変換装置(及びその等価回路)におけるデューティdrec,dc,dzの一例を図13に示す。図13のグラフと比較して、図7のグラフでは、整流デューティdrecが大きくできることがわかる。これはダイオード整流器3の導通期間が拡げられたことを示す。これはコンデンサC4の充電が、非特許文献2にかかる単相/三相直接変換装置(以下「従来装置」とも称す)では回生電流によっても行われるのに対し、本実施の形態にかかる単相/三相直接変換装置(以下「実施形態装置」とも称す)では両端電圧vcが整流電圧Vdcよりも高くなるために基本的には昇圧回路4bによってのみ行われたことによる。そしてダイオード整流器3の導通期間が拡げられたことで電圧利用率が改善された。
図7のグラフは電圧利用率が最大値√2を採るときに、スイッチSrec,Scの導通によって直流電源線LH,LL間に生じる電圧の平均値(平均電圧)Vrec,Vccを示すグラフである。ここで平均値は、キャリヤCに対する平均値を採っている。
授与期間T1において平均電圧Vrecは整流デューティdrecと、ダイオード整流器3に入力する電圧Vm・sin(ωt)との積で表され、平均電圧Vccは放電デューティdcと、コンデンサC4の両端電圧vcとの積で表される。よって下式が成立する。
Figure 0005629885
但し、図7のグラフでは、平均電圧を振幅Vmで正規化した値を示している。
受納期間T2ではdc=0であるのでVcc=0である。他方、電圧利用率が最大値を採るようにIm/Idc=√2とすると、整流デューティdrecは式(12)から下式で表される。
Figure 0005629885
よって単相交流電圧Vm・sin(ωt)に、式(26)で示される整流デューティdrecを乗じることにより、受納期間においても平均電圧の和(Vrec+Vcc)は振幅Vmの√2倍に維持される。
図8のグラフはデューティdrec,dc,dlの一例を示している。ただしここでは、コンデンサC4の両端電圧vcを一定値とせず、変動する場合について例示している。このようなコンデンサC4の両端電圧vcの変動を抑制する方法については後述する。
(b-6)スイッチ信号の生成:
上記の様な充放電回路4及びインバータ5の動作、具体的にはスイッチSl,Sc、スイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnの導通/非道通の制御は、図1の制御部10で生成されるスイッチ信号SSl,SSc,SSup,SSvp,SSwp,SSun,SSvn,SSwnによってそれぞれ制御される。以下、これらのスイッチ信号の生成について一例を説明する。
図1において、速度検出部9は電流Iu,Iv,Iwから誘導性負荷6の動作を検出する。ここでは誘導性負荷6として回転機を想定しており、速度検出部9は回転機の回転角速度ωmを検出する。かかる角速度の検出方法については周知であるのでここでは省略する。
制御部10には上記の回転角速度ωmと、その指令値ωm*とが入力される。また図示しない公知技術によって単相交流電源1から振幅Vm,Im及び角速度ωが、制御部10に了知される。また両端電圧vcの指令値vc*及び電流Idcの指令値Idc*が、それぞれ制御部10に与えられる。
図10は、制御部10の構成を例示する。制御部10は電流分配率生成部11と、加算器13と、キャリヤ生成部23と、出力電圧指令値生成部31と、補正部32,33と、比較器12,14,34,35と、論理和/論理積部36とを備えている。
電流分配率生成部11には、振幅Vm,Im、電源角速度ω、指令値vc*,Idc*が入力される。
電流分配率生成部11は例えば式(4),(7),(8),(12),(13),(22)に基づいてデューティ(電流分配率)drec,dc,dz,dlを生成する。但し式(4)から放電デューティdcはデューティdrec,dzから計算できるので、電流分配率生成部11は放電デューティdcを生成しなくてもよい。このとき、各式において両端電圧vcとして指令値vc*が、電流Idcとして指令値Idc*が、それぞれ採用される。なお、電圧利用率を最大にする場合には、(b-5)における説明に基づき、指令値Idc*はIm/√2に設定される。
加算器13はデューティdrec,dzの和を求める。これにより図4で示された指令値(drec+dz)が得られる。比較器12は指令値(drec+dz)とキャリヤ生成部23からのキャリヤCとを比較し、キャリヤCが当該指令値以上の値を採る期間tcで活性化するスイッチ信号SScをスイッチScへと与える。これにより、期間tcにおいてスイッチScが導通する。
比較器14は指令値たるデューティdlとキャリヤCとを比較し、キャリヤCが当該指令値以上の値を採る期間tlで活性化するスイッチ信号SSlをスイッチScへと与える。これにより、期間tlにおいてスイッチSlが導通する。
出力電圧指令値生成部31には、回転角速度ωm及びその指令値ωm*が入力される。出力電圧指令値生成部31は回転角速度ωm及びその指令値ωm*から相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を算出し、これを補正部32,33に出力する。
補正部32は相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の各々と放電デューティdcとの乗算を行い、その積の各々にデューティdrec,dzを加算した値を比較器34へと出力する。上述のように放電デューティdcはデューティdrec,dzから計算できるので、電流分配率生成部11から補正部32へは放電デューティdcを与えなくてもよい。
補正部33は相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を1から減じた上で、それぞれ整流デューティdrecを乗じた値を比較器35へと出力する。
比較器34,35は、それぞれ入力された値とキャリヤCとの比較結果を論理和/論理積部36に出力する。比較器34は入力された値がキャリヤC以下となる期間で活性化した信号を出力する。比較器35は入力された値がキャリヤC以上となる期間で活性化した信号を出力する。
論理和/論理積部36は比較結果を適宜に論理和演算及び論理積演算して図4、図5で示されたようにスイッチング素子Sup,Svp,Swpを導通させるべく、スイッチ信号SuSp,SSvp,SSwp,SSun,SSvn,SSwnを出力する。例えばスイッチ信号SSupについて言えば、比較器34はキャリヤCが値drec+dz+dc・Vu*以上のときに活性化する信号を、比較器35はキャリヤCが値drec・(1−Vu*)以下のときに活性化する信号を、それぞれ出力する。これら二つの信号の論理和を算出することで得られる。スイッチング素子Sunのスイッチング信号SSunはこれら二つの信号のそれぞれの論理反転同士の論理積を算出することで得られる。
図14及び図15はいずれも整流電圧Vdc(瞬時値で示す)、出力電流Iu,Iv,Iw、線間電圧の瞬時値Vuvh及びその平均値Vuvのシミュレーション結果を示すグラフである。ここで、線間電圧Vuvhは出力端Pu,Pv間の電圧である。単相交流電圧Vinの振幅をVm=√2×200Vとし、単相交流電圧の周波数50Hz、キャリヤCの周波数10kHzとし、4kWの電力が供給される場合を示した。
図14は従来装置についてのグラフであり、図15は実施形態装置についてのグラフである。上述のように、従来装置において取り得る電圧利用率の最大値は1/2であり、実施形態装置において取り得る電圧利用率の最大値は1/√2であるので、図14、図15において、それぞれ電圧利用率の最大値を1/2,1/√2に設定している。
図14のグラフと比較して、図15のグラフでは整流電圧Vdc及び出力電流Iu,Iv,Iwを小さく押さえつつ、線間電圧の平均値Vuvが大きくなっている。具体的には、従来装置と比較して実施形態装置では、出力電流Iu,Iv,Iwが半分になり、線間電圧の平均値Vuvは2倍となっている。よって両者が負荷に供給する電力は同じである。
しかしながら、整流電圧Vdcの瞬時値は、従来装置において600Vであるのに対して、実施形態装置においては400Vであって大きく低減している。また線間電圧の瞬時値Vuvhも小さくなっている。線間電圧の平均値Vuvは、従来装置よりも実施形態装置の方が大きいが、そのピークは単相交流電圧Vinの実効値程度(即ち約200V)程度である。よってインバータ5に採用されるスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnの電圧定格は、バッファ回路4aを備えながらも、従来装置において要求されるような高い仕様は、実施形態装置においては要求されない。
また、出力電流Iu,Iv,Iwが小さいので、スイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnの電流定格も、従来装置において要求されるような高い仕様は、実施形態装置においては要求されない。
(b-7)電流ilについての変形例:
実施形態装置では、図9に示されるように、リアクトルL4に流れる電流ilは不連続に設定される。よって平均電流ilaに対してピーク値Ipが大きくなりやすい。かかるピーク値Ipに対してもインダクタンスが飽和しないようにするには、リアクトルL4を大型にしなければならない。
リアクトルL4を大型化しなくてもそのインダクタンスが飽和しないようにするには、リアクトルL4のインダクタンス値を低下させることが考えられる。但しこの場合、期間tlをそのまま維持するとピーク値Ipが増大してしまう。そこで、期間tlを分割して設ける。具体的には、受納期間T2のうちの期間trec(これは、受納期間T2においては期間tcが存在しないので、零相電流が流れる期間tzではない期間と把握できる)において、スイッチSlが複数回オン/オフを繰り返す。図16は図15に対応し、電流ilを追加して示すグラフである。図17は図16と同様、スイッチSrec,Sz,Slのオン/オフ及び電流ilを示すグラフであるが、周期tsにおいて期間tlを分割した場合を示している。具体的には図17に示された例では、スイッチSlの導通期間を、図16の当該期間tlを二等分して設けている。
よってリアクトルL4のインダクタンスを半分にしても、ピーク値Ipは図16に示された場合と同じ値に維持され、かつ平均値も同じ値となる。このような導通期間の二等分を実現するには、例えばキャリヤCが二つの指令値dl1,dl2の間の値をとるときに信号SSlを活性化させればよい。なお、ここではスイッチSlがキャリヤCに同期して、期間trecに複数回スイッチングする場合を例示しているが、期間tzまたは期間tz,trecの双方で複数回スイッチングしても良く、また、キャリヤC以外のキャリヤに基づいて複数回スイッチングしても良い。
(b-8)両端電圧vcについての変形例:
誘導性負荷6の力率が低い場合、直流電源線LH,LLへと電流が回生され易い(例えば特許文献1を参照)。ダイオードD42を介して回生電流がコンデンサC4を充電する。この場合の両端電圧vcは非特許文献2を参照して、次式で表される。但し、インバータ5の運転開始に先立って、コンデンサC4は予め昇圧回路4bによって、単相交流電圧の最大値、すなわちその振幅Vmよりも高い初期充電値vc0に充電されているものとした。なお、電力Pin1は式(1)で示された瞬時電力Pinの直流分Vm・Im/2に等しい。
Figure 0005629885
そこで、このように誘導性負荷6の力率が低い場合には両端電圧vcが初期充電値vc0から偏倚することに鑑みて、コンデンサC4への充電電流を修正する。具体的にはリアクトルL4に流れる電流ilがスイッチSlに流れるデューティdlを、両端電圧vcの初期充電値vc0に対する偏差に基づいて制御する。
図18はデューティdlを生成する構成を例示するブロック図であり、図18で示される構成要素は制御部10において設けられる。
電流指令生成部112では、式(13)に基づいて平均値ilaが計算される。但しこの平均値ilaは、後述するように上記偏差に基づいて修正されるため、平均値ilaの目標値il*である。換言すれば、両端電圧vcの偏倚を考慮していなかった式(13)の平均値ilaは、その目標値il*であったことになる。式(13)に基づく計算の必要のため、電流生成部112には振幅Im及び電源角速度ωが入力される。
加減算器(あるいは比較器)111は両端電圧vcの初期充電値vc0に対する偏差を求め、これを電圧制御器113に入力する。電圧制御器113は補正値Δilを生成する。電圧制御器113には通常、PI(比例・積分演算)制御が採用されるが、式(27)の交流成分に対して感度を低めるため、比例ゲインは小さく設定することが望ましい。
加算器115では目標値il*に補正値Δilを加算し、この和がデューティ生成部114に与えられる。デューティ生成部114は当該和を式(22)の平均値ilaとして用いることにより、デューティdlを生成する。
このようにして、両端電圧vcの変動分を考慮してデューティdlを補正することができる。
3 ダイオード整流器
4 充放電回路
4a バッファ回路
4b 昇圧回路
5 インバータ
C4 コンデンサ
dc,dl,dz,drec デューティ
D41〜D47 ダイオード
il リアクトル電流
L4 リアクトル
LH,LL 直流電源線
Pbuf 瞬時授受電力
Sc,Sl トランジスタ(スイッチ)
Vm,Im 振幅
T1 授与期間
T2 受納期間

Claims (10)

  1. 第1電源線(LH)と;
    前記第1電源線よりも低い電位が印加される第2電源線(LL)と;
    ダイオード整流器(3)と;
    前記第1電源線及び前記第2電源線の間に設けられた充放電回路(4)と;
    前記第1電源線及び前記第2電源線の間の電圧たる整流電圧(Vdc)が入力され、電圧ベクトルに基づいて動作して三相交流電流(Iu,Iv,Iw)を出力するインバータ(5)と
    を備え、
    前記ダイオード整流器(3)は、
    単相交流電源(1,2)が接続される入力側と;
    前記第1電源線及び前記第2電源線が接続される出力側と
    を有して単相全波整流を行い、
    前記充放電回路は
    コンデンサ(C4)を含み、前記第1電源線及び前記第2電源線との間で電力を授受するバッファ回路(4a)と;
    前記整流電圧を昇圧して前記コンデンサを充電する昇圧回路(4b)と
    を有し、
    前記バッファ回路は、
    前記コンデンサに対して、前記第1電源線側で前記第1電源線と前記第2電源線の間で直列に接続された第1スイッチ(SC,D42)
    を更に含み、
    前記昇圧回路は、
    カソードと、前記第1スイッチと前記コンデンサとの間に接続されたアノードとを備えるダイオード(D40)と;
    前記第1電源線と前記カソードとの間に接続されたリアクトル(L4)と;
    前記第2電源線と前記カソードとの間に接続された第2スイッチ(Sl,D41)と
    を含む、単相/三相直接変換装置。
  2. 請求項1記載の単相/三相直接変換装置を制御する方法であって、
    前記単相交流電源(1,2)が出力する交流波形を当該交流波形の位相角(ωt)の正弦値として把握したときの当該位相角(ωt)の二倍の値(2ωt)に対する余弦値(cos(2ωt))が正となる第1期間(T1)においては、前記バッファ回路(4a)から前記第1電源線及び前記第2電源線へと電力を授与し、
    前記余弦値が負となる第2期間(T2)においては前記バッファ回路(4a)へと前記第1電源線及び前記第2電源線から電力を受納し、
    前記単相交流電源から入力される瞬時電力の直流分(Vm・Im/2)の前記余弦値倍の瞬時電力たる瞬時授受電力(Pbuf)で、前記受納及び前記授与が行われる、単相/三相直接変換装置の制御方法。
  3. 前記第1期間(T1)において、前記第1スイッチ(SC,D42)が導通して前記コンデンサ(C4)が放電するデューティである放電デューティ(dc)は、前記瞬時授受電力(Pbuf=Vm・Im・cos(2ωt)/2)を前記コンデンサの両端電圧(vc)と前記インバータ(5)へ入力する第1入力電流(Idc)との積で除した値に設定される、請求項2記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  4. 前記第1期間(T1)において前記第2スイッチ(Sl,D41)は非導通にされ、
    前記インバータ(5)に零相電流が流れるデューティである零デューティ(dz)は、前記放電デューティ(dc)と整流デューティ(drec)との和を1から引いた値に設定され、
    前記整流デューティは、前記ダイオード整流器(3)に入力する第2入力電流(Im・sin(ωt))の絶対値を前記第1入力電流で除した値に設定される、請求項3記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  5. 前記第2期間(T2)において、前記第1スイッチ(SC,D42)は非導通にされ、
    前記インバータ(5)に零相電流が流れるデューティである零デューティ(dz)は、1から所定値を引いた値に設定され、
    前記所定値は、前記インバータ(5)へ入力する第1入力電流(Idc)の2倍の値(2・Idc)と前記ダイオード整流器(3)に入力する第2入力電流(Im・sin(ωt))の絶対値との積で、前記第2入力電流の最大値(Im)の平方(Im・Im)を除した値(Im/(2・Idc|sin(ωt)|)に設定される、請求項2記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  6. 前記第2期間(T2)において、前記リアクトル(L4)に流れるリアクトル電流(il)の目標値(il*)は、その平均値(ila)が前記第2入力電流の絶対値(Im|sin(ωt)|)から、前記所定値と前記第1入力電流との積(Im/(2・|sin(ωt)|)を引いた値を採る、請求項5記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  7. 前記第2期間(T2)において、前記第2スイッチ(Sl,D41)は、前記リアクトル(L4)に流れる電流が不連続となるよう導通する、請求項5又は請求項6記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  8. 前記第2スイッチ(Sl,D41)が導通するデューティ(dl)は、第1値(2・Lm・(vc−Vin)・ila)を第2値(Vin・vc・ts)で除した値の平方根に設定され、
    前記第1値は第3値(vc−Vin)と前記リアクトル(L4)のインダクタンス(Lm)と前記リアクトル電流(il)の目標値(il*)の平均値(ila)との積の2倍に設定され、
    前記第2値は、前記ダイオード整流器(3)に入力する入力電圧(Vin=Vm・sin(ωt))と、前記コンデンサの両端電圧(vc)と、前記第2スイッチのスイッチング周期(ts)との積に設定され、
    前記第3値は、前記入力電圧を前記両端電圧から引いた値である、請求項6記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  9. 前記第2スイッチ(Sl,D41)は複数回オン/オフを繰り返す、請求項8記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
  10. 前記インバータ(5)の運転開始に先立って、前記コンデンサ(C4)は予め前記昇圧回路(4b)によって、前記単相交流電源から入力される電圧の最大値(Vm)よりも高い初期充電値(vc0)に充電され、
    前記初期充電値に対する前記両端電圧(vc)の偏差に基づく補正量(Δil)を用いて、前記リアクトル電流の目標値(il*)が補正される、請求項8記載の単相/三相直接変換装置の制御方法。
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