以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、以下の実施の形態において、「導体」と言うときは、電磁波の伝搬に用いる電磁波周波数帯において導電体であるものを指し、「電磁波伝搬空間」と言うときは、電磁波の伝搬に用いる電磁波周波数帯において誘電体であるものを指す。従って、例えば直流電流に対して導体であるか半導体であるか絶縁体であるか等によって、直接的には何ら制約されるものではない。また、導体と誘電体とは、電磁波との関係においてその特性により定義されるものであって、固定であるか液体であるか気体であるか等の態様または構成材料を制限するものではない。
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図または斜視図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施例1による電磁波伝搬媒体について図1〜図9を用いて説明する。図1は、電磁波伝搬媒体の全体の構成を示す模式図、図2は、電磁波伝搬媒体の端部を拡大して示す断面図、図3〜図5は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図、図6は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す断面図、図7および図8は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図、図9は、通信装置を設置した電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図である。
図1に示すように、電磁波伝搬媒体1は、第1導体層2と第2導体層3とにより平面状の電磁波伝搬空間4の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェース5と、複数の電磁波出力インタフェース6とが第1導体層2に設けられている。また、電磁波伝搬媒体1は、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向;図1に示すx方向)に沿って長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第1方向と直交する第2方向;図1に示すy方向)に沿って短辺を有する帯状である。
また、第1導体層2および第2導体層3は、短辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間4の2つの側面(第1端面)7a,7bおよび長辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間4の2つの側面(第2端面)8,8において短絡または開放されており、第1端面7a,7bおよび第2端面8,8において電磁波は反射することができる。ここで、「短絡(short)」とは、図2(a)に示すように、電磁波伝搬空間4の側面に導体層MLが形成されて第1導体層2と第2導体層3とが繋がっている状態であり、「開放(open)」とは、図2(b)に示すように、電磁波伝搬空間4の側面に導体層MLが形成されず第1導体層2と第1導体層3とが繋がっていない状態である。
また、電磁波伝搬媒体1では、一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が設けられ、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6は設けられていない。これに対して、電磁波入力インタフェース5と、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6が設けられている。
電磁波伝搬媒体1の短辺のサイズは、例えば伝搬する電磁波の波長の1/2とし、電磁波伝搬空間4の厚さは、伝搬する電磁波の波長よりも小さく設定する。例えば2.4GHz帯の周波数を用いた場合、電磁波伝搬空間の比誘電率が1であれば、波長は約12cmであることから、電磁波伝搬媒体1の短辺のサイズを6cm、長辺のサイズを60cmとすることができる。
図3(a)に、実施例1による第1の電磁波伝搬媒体1Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Aは、平板状の第1導体層2Pと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6aは、例えば第1導体層2Pに開けたスロットである。また、電磁波伝搬媒体1Aの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6aは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6aが配置されている。さらに、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面7bは短絡(図2(a))している。電磁波入力インタフェース5から近い位置にある第1端面7a、および2つの第2端面8,8は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波入力インタフェース5から入力された電磁波は、電磁波伝搬空間を伝搬して一方の第1端面7bで反射する。そのため、第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波とで定在波S1が発生する。電磁波が第1端面7bで反射する際、位相が180度回転するため、第1端面7bからλ/4+n・λ/2の距離では第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波との位相が一致し強めあい、第1端面7bからn・λ/2の距離では、第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波との位相が反転し弱めあう。ここで、λは電磁波伝搬空間を伝搬する電磁波の波長、nは自然数である。
例えば2.4GHz帯の周波数を用いると、電磁波伝搬空間の比誘電率が1であれば、電磁波の波長は約12cmであり、電磁波伝搬空間の比誘電率が4であれば、電磁波の波長は約6cmとなる。
この定在波S1を活用し、電磁波出力インタフェース6aの位置を電磁波入力インタフェース5から遠いほど第1端面7bからλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。つまり、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S1の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S1の節に近くなる。例えば電磁波出力インタフェース6aの間隔をλ/2より短く設定する。
図3(b)に、実施例1による第2の電磁波伝搬媒体1Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Bは、メッシュ状の第1導体層2Mと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6bは、例えば第1導体層2Mに付される目印であり、印字または突起などの様々な方法により実現される。また、電磁波伝搬媒体1Bの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6bは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6bが配置されている。さらに、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面7bは短絡(図2(a))している。電磁波入力インタフェース5から近い位置にある第1端面7a、および2つの第2端面8,8は短絡または開放いずれでもよい。第1導体層2Mの導体メッシュの間隔は一定である。
電磁波伝搬媒体1Bは、前述の電磁波伝搬媒体1Aの平板状の第1導体層2Pに代えて、メッシュ状の第1導体層2Mを使用したものである。上面の導体(第1導体層2M)をメッシュ状にすると、どの位置からでも電磁波が出力するため、そのままでは電磁波入力インタフェース5から近い場所で多くの電力が出力されて、遠い場所には電力が届きにくい。そこで、電磁波伝搬媒体1Bには、複数の電磁波出力インタフェース6bを設置しておき、例えば電磁波伝搬媒体1Bに通信装置を設置する場合、通信装置をどこに設置すれば、電磁波入力インタフェース5から遠い場所にも電力を届きやすくできるかが分かるようにしている。
前述の電磁波伝搬媒体1Aと同様に、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S1の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S1の節に近くなる。例えば電磁波出力インタフェース6bの間隔をλ/2より短く設定する。
図4(a)に、実施例1による第3の電磁波伝搬媒体1Cの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Cは、平板状の第1導体層2Pと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6aは、例えば第1導体層2Pに開けたスロットである。また、電磁波伝搬媒体1Cの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6aは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6aが配置されている。さらに、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面7bは開放(図2(b))している。電磁波入力インタフェース5から近い位置にある第1端面7a、および2つの第2端面8,8は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波伝搬媒体1Cでは、第1端面7bで電磁波が反射し、定在波S2が発生する。電磁波が第1端面7bで反射する際、位相は回転しないため、第1端面7bからn・λ/2の距離では第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波との位相が一致し強めあい、第1端面7bからλ/4+n・λ/2の距離では、第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波との位相が反転し弱めあう。
この定在波S2を活用し、電磁波出力インタフェース6aの位置を電磁波入力インタフェース5から遠いほど第1端面7bからn・λ/2の距離に近づけて設置する。つまり、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S2の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S2の節に近くなる。例えば電磁波出力インタフェース6aの間隔をλ/2より短く設定する。
図4(b)に、実施例1による第4の電磁波伝搬媒体1Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Dは、メッシュ状の第1導体層2Mと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6bは、例えば第1導体層2Mに付される目印であり、印字または突起などの様々な方法により実現される。また、電磁波伝搬媒体1Dの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6bは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6bが配置されている。さらに、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面7bは開放(図2(b))している。電磁波入力インタフェース5から近い位置にある第1端面7a、および2つの第2端面8,8は短絡または開放いずれでもよい。第1導体層2Mの導体メッシュの間隔は一定である。
電磁波伝搬媒体1Dは、前述の電磁波伝搬媒体1Cの平板状の第1導体層2Pに代えて、メッシュ状の第1導体層2Mを使用したものである。
前述の電磁波伝搬媒体1Cと同様に、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S2の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S2の節に近くなる。例えば電磁波出力インタフェース6bの間隔をλ/2より短く設定する。
図5(a)に、実施例1による第5の電磁波伝搬媒体1Eの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Eは、平板状の第1導体層2Pと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6aは、例えば第1導体層2Pに開けたスロットである。また、電磁波伝搬媒体1Eの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6aは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6aが配置されている。さらに、長辺が延在する方向に沿った2つの第2端面8,8はそれぞれ短絡(図2(a))している。短辺が延在する方向に沿った2つの第1端面7a,7bは短絡または開放いずれでもよい。
電磁波伝搬媒体1Eは、2つの第2端面8,8により発生する定在波S3を活用する。例えば2つの第2端面8,8がそれぞれ短絡し、2つの第2端面8,8の距離がn・λ/2の電磁波伝搬媒体1Eの構成について説明する。電磁波入力インタフェース5から入力された電磁波は、2つの第2端面8,8の間で共振状態となり、定在波S3が発生する。この定在波S3を活用し、電磁波出力インタフェース6aの位置を電磁波入力インタフェース5から遠いほど一方の第2端面8からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。つまり、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S3の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、定在波S3の節に近くなる。
また、第1端面7bに向かう電磁波と第1端面7bで反射した電磁波とで発生する定在波S1を活用し、第1端面7bが短絡されている場合は、電磁波出力インタフェース6aは第1端面7bからλ/4+n・λ/2の距離に設置する。または、第1端面7bが開放されている場合は、電磁波出力インタフェース6aは第1端面7bからn・λ/2の距離に設置する。
また、電磁波伝搬媒体1Eの構成と、前述の電磁波伝搬媒体1Aまたは電磁波伝搬媒体1Cの構成とを併せて用いてもよい。つまり、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、短絡した第1端面7bおよび短絡した一方の第2端面8からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。または、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6aほど、開放した第1端面7bからn・λ/2の距離に近づけ、かつ短絡した一方の第2端面8からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。
図5(b)に、実施例1による第6の電磁波伝搬媒体1Fの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Fは、メッシュ状の第1導体層2Mと平板状の第2導体層3とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造であり、複数の電磁波出力インタフェース6bは、例えば第1導体層2Mに付される目印であり、印字または突起などの様々な方法により実現される。また、電磁波伝搬媒体1Fの一方の第1端面7aから近い位置に電磁波入力インタフェース5が配置され、電磁波入力インタフェース5と一方の第1端面7aとの間には電磁波出力インタフェース6bは配置されず、電磁波入力インタフェース5と他方の第1端面7bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6bが配置されている。さらに、長辺が延在する方向に沿った2つの第2端面8,8はそれぞれ短絡(図2(a))している。短辺が延在する方向に沿った2つの第1端面7a,7bは短絡または開放いずれでもよい。第1導体層2Mの導体メッシュの間隔は一定である。
電磁波伝搬媒体1Fは、前述の電磁波伝搬媒体1Eの平板状の第1導体層2Pに代えて、メッシュ状の第1導体層2Mを使用したものである。
前述の電磁波伝搬媒体1Eと同様に、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S3の腹に近く、電磁波入力インタフェース5から近い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、定在波S3の節に近くなる。
また、前述の電磁波伝搬媒体1Eと同様に、第1端面7bが短絡されている場合は、電磁波出力インタフェース6bは第1端面7bからλ/4+n・λ/2の距離に設置する。または、第1端面7bが開放されている場合は、電磁波出力インタフェース6bは第1端面7bからn・λ/2の距離に設置する。
また、前述の電磁波伝搬媒体1Eと同様に、電磁波伝搬媒体1Fの構成と、前述の電磁波伝搬媒体1Bまたは電磁波伝搬媒体1Dの構成とを併せて用いてもよい。つまり、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、短絡した第1端面7bおよび短絡した一方の第2端面8からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。または、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6bほど、開放した第1端面7bからn・λ/2の距離に近づけ、かつ短絡した一方の第2端面8からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する。
図6(a)および(b)に、実施例1による電磁波伝搬媒体の長辺が延在する方向に沿った要部を拡大した断面図を示す。図6(a)は、前述の図3(a)のA−A′線に沿った電磁波伝搬媒体1Aに該当する要部断面図を示している。
図6(a)に示すように、電磁波伝搬媒体1Aでは、上面の導体(第1導体層2P)のみに電磁波出力インタフェース6aを設けている。しかし、図6(b)に示すように、上面の導体(第1導体層2P)および下面の導体(第2導体層3)にそれぞれ電磁波出力インタフェース6aを設けてもよい。ここでは、電磁波伝搬媒体1Aについて説明したが、同様に、電磁波伝搬媒体1C,1Eにおいても上面の導体(第1導体層2P)および下面の導体(第2導体層3)にそれぞれ電磁波出力インタフェース6aを設けてもよい。また、電磁波伝搬媒体1B,1D,1Fにおいては、下面の導体(第2導体層3)をメッシュ状とし、上面の導体(第1導体層2M)および下面の導体(第2導体層3)にそれぞれ電磁波出力インタフェース6bを設けてもよい。
図7に、実施例1による第1の電磁波伝搬媒体1Aの変形例である第7の電磁波伝搬媒体1Gの要部を拡大した斜視図、図8に、実施例1による第5の電磁波伝搬媒体1Eの変形例である第8の電磁波伝搬媒体1Hの要部を拡大した斜視図を示す。
例えば前述の電磁伝搬媒体1Aでは、電磁波入力インタフェース5は電磁波伝搬媒体1Aの一方の端部(第1端面7a)付近に設けた。しかし、図7に示すように、電磁波入力インタフェース5は電磁波伝搬媒体1Gの中央付近に設けてもよい。
また、例えば前述の電磁伝搬媒体1Eでは、電磁波入力インタフェース5は一方の端部(第1端面7a)付近に設けた。しかし、図8に示すように、電磁波入力インタフェース5は電磁波伝搬媒体1Hの中央付近に設けてもよい。
電磁波入力インタフェース5から入力された電磁波は複数の方向に伝搬するが、それぞれの伝搬方向に複数の電磁波出力インタフェース6aを設置すればよい。
ここでは、第1の電磁波伝搬媒体1Aおよび第5の電磁波伝搬媒体1Eの変形例について説明したが、他の電磁波伝搬媒体(第2の電磁波伝搬媒体1B、第3の電磁波伝搬媒体1C、第4の電磁波伝搬媒体1D、または第6の電磁波伝搬媒体1F)についても同様である。
図9に、実施例1による通信装置を設置した第1の電磁波伝搬媒体1Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体1Aの電磁波入力インタフェース5および各電磁波出力インタフェース6aにそれぞれ通信装置10が1つずつ対向し、電磁波入力インタフェース5に対向した通信装置10が各電磁波出力インタフェース6aに対向した通信装置10と通信する。このとき、通信装置10の電磁波インタフェース11は、それぞれ対向する電磁波入力インタフェース5および各電磁波出力インタフェース6aに対して、電磁波の入出力に好適な位置に配置される。
また、通信装置10は電磁波出力インタフェース6aの設置間隔とほぼ同じサイズまたは電磁波出力インタフェース6aの設置間隔よりも小さいサイズであることが好ましい。つまり、通信装置10のサイズは、n・λ/2より小さく、好ましくはλ/2より小さいことが望ましい。言い換えれば、通信装置10のサイズに合わせて、電磁波伝搬空間に伝搬させる電磁波の波長を選択してもよい。
このように、本実施例1に係る電磁波伝搬媒体1(1A〜1H)の構成を適用すれば、電磁波出力インタフェース6(6a,6b)の位置を、電磁波入力インタフェース5から遠いほど、電磁波伝搬媒体1(1A〜1H)の第1端面7(7b)での反射波により生じる定在波S1,S2、または第2端面8での反射波により生じる定在波S3の腹の近くに設置することにより、電磁波入力インタフェース5から遠い位置にある電磁波出力インタフェース6(6a,6b)にも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体1(1A〜1H)を実現することができる。
本実施例2による電磁波伝搬媒体について図10および図11を用いて説明する。図10および図11は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図である。
本実施例2による電磁波伝搬媒体は、電磁波出力インタフェースをメッシュ状とし、その導体メッシュの疎密を調整して、電磁波入力インタフェースから遠い場所にも電力が届きやすくしている。
図10(a)に、実施例2による第1の電磁波伝搬媒体21Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体21Aは、メッシュ状の第1導体層22Mと平板状の第2導体層23とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェース25が第1導体層22Mに設けられている。また、一方の第1端面27aから近い位置に電磁波入力インタフェース25が配置され、電磁波入力インタフェース25と一方の第1端面27aとの間には電磁波出力インタフェース26aは配置されていない。さらに、電磁波伝搬媒体21Aは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
また、前述の電磁波伝搬媒体1と同様に、短辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間の2つの側面(第1端面)27a,27bおよび長辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間の2つの側面(第2端面)28,28において短絡または開放されている。
第1導体層22Mはメッシュ状であるが、導体メッシュは電磁波入力インタフェース25から遠ざかるほど疎になる。導体メッシュが粗くなると、導体メッシュを介して電磁波伝搬媒体21Aの内部から外部へ出力される電磁波は大きくなる。導体メッシュは電磁波入力インタフェース25から遠ざかるほど離散的に粗くなっていってもよく、導体メッシュを構成する導体が細くなることで疎になっていってもよく、または電磁波入力インタフェース25を中心とした放射線状に導体メッシュを敷設することで疎になっていってもよい。
図10(b)に、実施例2による第2の電磁波伝搬媒体21Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体21Bは、前述の電磁波伝搬媒体21Aにおいて、電磁波インタフェース25から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面27bを短絡(図2(a))し、さらに、電磁波インタフェース25と第1端面27bとの間に複数の電磁波出力インタフェース26bを追加したものである。電磁波入力インタフェース25から近い位置にある第1端面27a、および2つの第2端面28,28は短絡または開放いずれでもよい。複数の電磁波出力インタフェース26bは、例えば第1導体層22Mに付される目印である。
電磁波出力インタフェース26bは第1端面27bに向かう電磁波と第1端面27bで反射した電磁波とで発生する定在波S1を活用し、第1端面27bからλ/4+n・λ/2の距離に設置される。
図10(c)に、実施例2による第3の電磁波伝搬媒体21Cの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体21Cは、前述の電磁波伝搬媒体21Aにおいて、電磁波インタフェース25から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面27bを開放(図2(b))し、さらに、電磁波インタフェース25と第1端面27bとの間に複数の電磁波出力インタフェース26bを追加したものである。電磁波入力インタフェース25から近い位置にある第1端面27a、および2つの第2端面28,28は短絡または開放いずれでもよい。複数の電磁波出力インタフェース26bは、例えば第1導体層22Mに付される目印である。
電磁波出力インタフェース26bは第1端面27bに向かう電磁波と第1端面27bで反射した電磁波とで発生する定在波S2を活用し、第1端面27bからn・λ/2の距離に設置される。
図11(a)に、実施例2による第4の電磁波伝搬媒体21Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体21Dは、平板状の第1導体層22Pと平板状の第2導体層23とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェース25と、複数の電磁波出力インタフェース26cとが第1導体層22Mに設けられている。また、一方の第1端面27aから近い位置に電磁波入力インタフェース25が配置され、電磁波入力インタフェース25と一方の第1端面27aとの間には電磁波出力インタフェース26cは配置されず、電磁波入力インタフェース25と他方の第1端面27bとの間には複数の電磁波出力インタフェース26cが配置される。さらに、電磁波伝搬媒体21Dは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
複数の電磁波出力インタフェース26cは、例えば第1導体層22Pに開けたスロットであり、その開口部には導体がメッシュ状に配置されている。
電磁波出力インタフェース26cの導体メッシュは電磁波入力インタフェース25から遠ざかるほど疎になる。電磁波出力インタフェース26cの導体メッシュが粗くなると、電磁波出力インタフェース26cを介して電磁波伝搬媒体21Dの内部から外部へ出力される電磁波は大きくなる。電磁波出力インタフェース26cの導体メッシュは、電磁波入力インタフェース25から遠ざかるほど離散的に粗くなっていってもよく、電磁波出力インタフェース26cの導体メッシュを構成する導体が細くなることで疎になっていってもよく、または、電磁波入力インタフェース25を中心とした放射線状に導体メッシュを敷設することで疎になっていってもよい。
また、電磁波伝搬媒体21Dは、電磁波インタフェース25から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面27bを短絡(図2(a))している。電磁波入力インタフェース25から近い位置にある第1端面27a、および2つの第2端面28,28は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波出力インタフェース26cは第1端面27bに向かう電磁波と第1端面27bで反射した電磁波とで発生する定在波S1を活用し、第1端面27bからλ/4+n・λ/2の距離に設置される。
図11(b)に、実施例2による第5の電磁波伝搬媒体21Eの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体21Eは、前述の電磁波伝搬媒体21Dにおいて、電磁波インタフェース25から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面27bを開放(図2(b))している。電磁波入力インタフェース25から近い位置にある第1端面27a、および2つの第2端面28,28は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波出力インタフェース26cは第1端面27bに向かう電磁波と第1端面27bで反射した電磁波とで発生する定在波S2を活用し、第1端面27bからn・λ/2の距離に設置される。
なお、本実施例2に前述した実施例1を組み合わせて、電磁波入力インタフェース25から遠い位置にある電磁波出力インタフェース26b,26cほど、短絡した第1端面27bまたは第2端面28からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する、または開放した第1端面27bからn・λ/2の距離に近づけて設置してもよい。
また、本実施例2では、電磁波出力インタフェース26b,26cを第1導体層22M,22Pのみに設置したが、第1導体層22M,22Pと同様に、第2導体層23にも電磁波出力インタフェース26b,26cを設置してもよい。また、電磁波入力インタフェース25の位置も電磁波伝搬媒体21A〜21Eのどこに設置してもよい。
このように、本実施例2に係る電磁波伝搬媒体21A〜21Eの構成を適用すれば、電磁波入力インタフェース25から遠い場所ほど、導体メッシュを疎にすることで、電磁波入力インタフェース25から遠い場所にも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体21A〜21Eを実現することができる。また、電磁波出力インタフェース26b,26cを所定の場所に設置すれば、電磁波入力インタフェース25から遠い位置にある電磁波出力インタフェース26b,26cにも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体21A〜21Eを実現することができる。
また、本実施例2と前述した実施例1とを組み合わせることで、電磁波入力インタフェース25から遠い位置ある電磁波出力インタフェース26b,26cにも、さらに電力が届きやすい電磁波伝搬媒体21A〜21Eを実現することができる。
また、本実施例2の構成に通信装置を電磁波入力インタフェース25および各電磁波出力インタフェース26b,26cにそれぞれ対向させて設置し、電磁波入力インタフェース25に対向した通信装置が各電磁波出力インタフェース26b,26cに対向した通信装置と通信することができる。このとき、通信装置は電磁波出力インタフェース26b,26cの設置間隔とほぼ同じサイズまたは電磁波出力インタフェース26b,26cの設置間隔よりも小さいサイズであることが望ましい。言い換えれば、通信装置のサイズに合わせて、電磁波伝搬空間に伝搬させる電磁波の波長を選択してもよい。
本実施例3による電磁波伝搬媒体について図12〜図15を用いて説明する。図12、図14、および図15は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図、図13は、電磁波伝搬媒体の端部を拡大して示す断面図である。
本実施例3による電磁波伝搬媒体は、第1導体層の表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離を調整して、電磁波入力インタフェースから遠い場所にも電力が届きやすくしている。
図12(a)に、実施例3による第1の電磁波伝搬媒体31Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Aは、メッシュ状の第1導体層32Mと平板状の第2導体層33とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェース35が第1導体層32Mに設けられている。また、一方の第1端面37aから近い位置に電磁波入力インタフェース35が配置され、電磁波入力インタフェース35と一方の第1端面37aとの間には電磁波出力インタフェース36aは配置されていない。さらに、電磁波伝搬媒体31Aは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
また、前述の電磁波伝搬媒体1と同様に、短辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間の2つの側面(第1端面)37a,37b、および長辺が延在する方向に沿った電磁波伝搬空間の2つの側面(第2端面)38、38において短絡または開放されている。
さらに、電磁波入力インタフェース25から近い位置にある第1端面37aにおける第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離が、電磁波入力インタフェース25から遠い位置にある第1端面37bにおける第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離よりも長く形成されており、第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離が、電磁波入力インタフェース35から遠ざかるほど短くなっている。
図13(a)〜(d)に、電磁波入力インタフェースから離れた位置にある電磁波伝搬媒体の端部の拡大断面図を示す。電磁波伝搬媒体は、上面の導体(第1導体層32M)と、下面の導体(第2導体層33)と、電磁波伝搬空間34とで構成されている。上面の導体(第1導体層32M)はメッシュ状に形成されている。
図13(a)および(b)に示す電磁波伝搬媒体では、電磁波伝搬空間34の厚さが電磁波入力インタフェースから遠ざかるほど薄くなっており、図13(c)および(d)に示す電磁波伝搬媒体では、第1導体層32Mの厚さが電磁波入力インタフェースから遠ざかるほど薄くなっている。また、図13(a)および(c)示す電磁波伝搬媒体では、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある第1端面37bは短絡しており、図13(b)および(d)に示す電磁波伝搬媒体では、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある第1端面37bは開放している。
これらの構成において、第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)に電磁波受信装置を設置した場合を想定し、電磁波伝搬空間34を伝搬する電磁波の伝搬量に及ぼす第1導体層32Mの厚さまたは電磁波伝搬空間34の厚さについて、以下に説明する。なお、一般に、電磁波受信装置はより近くに配置された電磁波伝搬空間34に対して強く作用し、電磁波を受信することができる。
図13(a)および(b)に示す電磁波伝搬媒体の構成においては、電磁波受信装置は、電磁波伝搬空間34の上部を伝搬する電磁波に強く作用して電磁波を受信する。そのため、電磁波伝搬空間34の下部を伝搬する電磁波はあまり受信されない。つまり、電磁波伝搬空間34が厚い場合、電磁波伝搬空間34を伝搬する電磁波のうち電磁波受信装置に受信される電磁波の割合が小さくなる。そこで、第1導体層32Mの厚さが一定であれば、電磁波入力インタフェースから近い位置にある電磁波伝搬空間34を厚くする(第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離を長くする)ことで、電磁波入力インタフェースから遠い場所にもより大きな電磁波が伝搬されるようになる。
また、図13(c)および(d)に示す電磁波伝搬媒体の構成においては、電磁波受信装置は、第1導体層32Mが厚いほど電磁波伝搬空間34を伝搬する電磁波を受信しにくい。そこで、電磁波伝搬空間34の厚さが一定であれば、電磁波入力インタフェースから近い位置にある第1導体層32Mを厚くする(第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離を長くする)ことで、電磁波入力インタフェースから遠い場所にもより大きな電磁波が伝搬されるようになる。
電磁波伝搬媒体の構造は、図13(a)〜(d)に示した構造に限らず、第1導体層32Mの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)に保護層を設置する場合は、保護層の厚さを調整して同様の効果を得ることができる。また、第2導体層33の厚さを調整し、電磁波伝搬媒体の断面図が長方形となるようにしてもよい。
図12(b)に、実施例3による第2の電磁波伝搬媒体31Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Bは、前述の電磁波伝搬媒体31Aにおいて、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面37bを短絡(図13(a)、(c))し、さらに、電磁波入力インタフェース35と第1端面37bとの間に複数の電磁波出力インタフェース36bを追加したものである。電磁波入力インタフェース35から近い位置にある第1端面37a、および2つの第2端面38,38は短絡または開放いずれでもよい。複数の電磁波出力インタフェース36bは、例えば第1導体層32Mに付される目印である。
電磁波出力インタフェース36bは第1端面37bに向かう電磁波と第1端面37bで反射した電磁波とで発生する定在波S1を活用し、第1端面37bからλ/4+n・λ/2の距離に設置される。
図12(c)に、実施例3による第3の電磁波伝搬媒体31Cの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Cは、前述の電磁波伝搬媒体31Aにおいて、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面37を開放(図13(b)、(d))し、さらに、電磁波入力インタフェース35と第1端面37bとの間に複数の電磁波出力インタフェース36bを追加したものである。電磁波入力インタフェース35から近い位置にある第1端面37a、および2つの第2端面38,38は短絡または開放いずれでもよい。複数の電磁波出力インタフェース36bは、例えば第1導体層32Mに付される目印である。
電磁波出力インタフェース36bは第1端面37bに向かう電磁波と第1端面37bで反射した電磁波とで発生する定在波S2を活用し、第1端面37bからn・λ/2の距離に設置される。
図14(a)に、実施例3による第4の電磁波伝搬媒体31Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Dは、平板状の第1導体層32Pと平板状の第2導体層33とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェース35と、複数の電磁波出力インタフェース36aとが第1導体層32Mに設けられている。電磁波出力インタフェース36aは、例えば第1導体層32Pに開けたスロットである。また、一方の第1端面37aから近い位置に電磁波入力インタフェース35が配置され、電磁波入力インタフェース35と一方の第1端面37aとの間には電磁波出力インタフェース36aは配置されず、電磁波入力インタフェース35と他方の第1端面37bとの間には複数の電磁波出力インタフェース6aが配置される。さらに、電磁波伝搬媒体31Dは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
さらに、電磁波入力インタフェース35から近い位置にある第1端面37aにおける第1導体層32Pの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離が、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にある第1端面37bにおける第1導体層32Pの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離よりも長く形成されており、第1導体層32Pの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)との距離が、電磁波入力インタフェース35から遠ざかるほど短くなっている。
また、電磁波伝搬媒体31Dは、電磁波インタフェース35から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面37bを短絡(図13(a)、(c))している。電磁波入力インタフェース35から近い位置にある第1端面37a、および2つの第2端面38,38は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波出力インタフェース36aは第1端面37bに向かう電磁波と第1端面37bで反射した電磁波とで発生する定在波S1を活用し、第1端面37bからλ/4+n・λ/2の距離に設置される。
図14(b)に、実施例3による第5の電磁波伝搬媒体31Eの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Eは、前述の電磁波伝搬媒体31Dにおいて、電磁波インタフェース35から遠い位置にあり、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面37bを開放(図13(b)、(d))している。電磁波入力インタフェース35から近い位置にある第1端面37a、および2つの第2端面38,38は短絡または開放いずれでもよい。
電磁波出力インタフェース36aは第1端面37bに向かう電磁波と第1端面37bで反射した電磁波とで発生する定在波S2を活用し、第1端面37bからn・λ/2の距離に設置される。
図15に、実施例3による第6の電磁波伝搬媒体31Fの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体31Fは、メッシュ状の第1導体層32Mと平板状の第2導体層33とに挟まれた電磁波伝搬空間に電磁波が伝搬する構造である。2つの第1端面37a,37bおよび2つの第2端面38,38は短絡または開放いずれでもよい。また、電磁波伝搬媒体31Fの一方の第1端面37aから近い位置に電磁波入力インタフェース35が配置され、電磁波入力インタフェース35と一方の第1端面37aとの間には電磁波出力インタフェース36aは配置されていない。さらに、電磁波伝搬空間を挟んだ2つの第2端面38,38の距離は、電磁波入力インタフェース35から遠ざかるほど短くなる。
電磁波伝搬空間を挟む2つの第2端面38,38の距離が長いほど、電磁波出力インタフェース36bから放射される電磁波が、放射されずに電磁波伝搬空間を伝搬する電磁波よりも減少する。従って、電磁波伝搬媒体31Fは、電磁波入力インタフェース35から遠い場所において、電磁波伝搬空間を挟んだ2つの第2端面38,38の距離を短くすることにより、電磁波伝搬空間を伝搬する電磁波のうち電磁波受信装置に受信される電磁波の割合が大きくなる。
なお、本実施例3に前述した実施例1を組み合わせて、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にある電磁波出力インタフェース36a,36bほど、短絡した第1端面37bまたは一方の第2端面38からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置する、または開放した第1端面37bからn・λ/2の距離に近づけて設置してもよい。
また、本実施例3に前述した実施例2を組み合わせて、電磁波伝搬媒体31A〜31C,31Fの第1導体層32Mの導体メッシュを、電磁波入力インタフェース35から遠い場所ほど疎にしてもよい。または、電磁波伝搬媒体31D,31Eの電磁波出力インタフェース36aの開口部に導体メッシュを設けて、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にある電磁波出力インタフェース36aの開口部ほど導体メッシュを疎にしてもよい。
また、本実施例3では、電磁波出力インタフェース36a,36bを第1導体層32M,32Pのみに設置したが、第1導体層32M,32Pと同様に、第2導体層33にも電磁波出力インタフェース36a,36bを設置してもよい。また、電磁波入力インタフェース35の位置も電磁波伝搬媒体31A〜31Fのどこに設置してもよい。
このように、本実施例3に係る電磁波伝搬媒体31A〜31Fの構成を適用すれば、電磁波入力インタフェース35から遠い場所ほど、電磁波伝搬媒体31A〜31Eでは、通信装置が設置される第1導体層32M,32Pの表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層33の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離を短くする、または、電磁波伝搬媒体31Fでは、電磁波伝搬空間を挟む2つの第2端面38,38の距離を短くすることで、電磁波入力インタフェース35から遠い場所にも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体31A〜31Fを実現することができる。また、電磁波出力インタフェース36a,36bを所定の場所に設置すれば、電磁波入力インタフェース35から遠い位置にある電磁波出力インタフェース36a,36bにも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体31A〜31Fを実現することができる。
また、本実施例3と前述した実施例1とを組み合わせることで、電磁波入力インタフェース35から遠い位置ある電磁波出力インタフェース36b,36cにも、さらに電力が届きやすい電磁波伝搬媒体31A〜31Fを実現することができる。
また、本実施例3の構成に通信装置を電磁波入力インタフェース35および各電磁波出力インタフェース36a,36bにそれぞれ対向させて設置し、電磁波入力インタフェース35に対向した通信装置が各電磁波出力インタフェース36a,36bに対向した通信装置と通信することができる。このとき、通信装置は電磁波出力インタフェース36a,36bの設置間隔とほぼ同じサイズまたは電磁波出力インタフェース36a,36bの設置間隔よりも小さいサイズであることが望ましい。言い換えれば、通信装置のサイズに合わせて、電磁波伝搬空間に伝搬させる電磁波の波長を選択してもよい。
本実施例4による電磁波伝搬媒体について図16〜図19を用いて説明する。図16〜図19は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図である。
本実施例4による電磁波伝搬媒体は、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面の形状を調整して、定在波の影響を低減している。本実施例4では、電磁波を反射する第1端面を、段差をつけて2つに分割した形状について説明する。
図16(a)に、実施例4による第1の電磁波伝搬媒体41Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Aは、メッシュ状の第1導体層42Mと平板状の第2導体層43とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェースが第1導体層42Mに設けられている。また、電磁波伝搬媒体41Aは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
さらに、電磁波伝搬媒体41Aは、電磁波入力インタフェースからの距離が異なる2つの面(第1端面47bv1,47bv2)を有しており、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面47bvが、短辺が延在する方向に段差が生じるように2つの面(第1端面47bv1,47bv2)に分割されている。電磁波伝搬媒体41Aの長辺に沿った一方の第2側面48の長さが、他方の第2側面48の長さよりも短く形成されている。
電磁波伝搬媒体41Aでは、第1端面47bv1および第1端面47bv2はそれぞれ短絡している。また、第1端面47bv1と第1端面47bv2とには、電磁波伝搬媒体41Aの長辺が延在する方向の距離でλ/4+n・λ/2((1、2、・・・、m−1)・λ/(2・m)+n・λ/2;m=2)の差がついている。位相で表現すると、π/2+n・π((1、2、・・・、m−1)・π/m+n・π;m=2)の差がついている。πは円周率である。そして、第1端面47bv1および第1端面47bv2に向かってそれぞれ伝搬する電磁波は、第1端面47bv1および第1端面47bv2でそれぞれ反射する電磁波と重なり合い、定在波S1aおよび定在波S1bを発生させる。第1端面47bv1と第1端面47bv2との距離は伝搬する電磁波に対して90度の位相差がついているので、定在波S1aと定在波S1bとにも位相差の90度がつく。そのため、定在波S1aと定在波S1bとは互いの腹と節とが同じ位置に出現して打ち消しあう。従って、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
図16(b)に、実施例4による第2の電磁波伝搬媒体41Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Bは、前述の電磁波伝搬媒体41Aにおいて、第1端面47bv1および第1端面7bv2をそれぞれ開放したものである。第1端面47bv1と第1端面47bv2とには、電磁波伝搬媒体41Bの長辺が延在する方向の距離でλ/4+n・λ/2の差がついている。そのため、第1端面47bv1および第1端面47bv2でそれぞれ電磁波が反射することにより定在波S2aおよび定在波S2bが発生し、定在波S2aと定在波S2bとは90度の位相差がついているため、互いの腹と節とを打ち消しあう。従って、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
図17(a)に、実施例4による第3の電磁波伝搬媒体41Cの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Cは、電磁波入力インタフェースからの距離が異なる2つの面(第1端面47bh1,47bh2)を有しており、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面47bhが、長辺が延在する方向に段差が生じるように2つの面(第1端面47bh1,47bh2)に分割されている。言い換えると、電磁波伝搬媒体41Aの長辺に沿った第1導体層42Mの長さが、第2導体層43の長さよりも短く形成されている。
電磁波伝搬媒体41Cでは、第1端面47bh1および第1端面47bh2はそれぞれ短絡している。また、第1端面47bh1と第1端面47bh2とには、電磁波伝搬媒体41Cの長辺が延在する方向の距離でλ/4+n・λ/2の差がついている。これにより、電磁波伝搬媒体41Aと同様に、定在波S1aと定在波S1bとは互いの腹と節とが同じ位置に出現して打ち消しあい、電磁波伝搬での定在波の影響を低減することができる。
図17(b)に、実施例4による第4の電磁波伝搬媒体41Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Dは、前述の電磁波伝搬媒体41Cにおいて、第1端面47bh1および第1端面47bh2をそれぞれ開放したものである。これにより、電磁波伝搬媒体41Bと同様に、定在波S2aと定在波S2bとは互いの腹と節とが同じ位置に出現して打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
図18(a)および(b)に、それぞれ実施例4による第5の電磁波伝搬媒体41Eおよび第6の電磁波伝搬媒体41Fの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Eは、前述の電磁波伝搬媒体41Aを構成するメッシュ状の第1導体層42Mに代えて平板状の第1導体層42Pが形成されており、第1導体層42Pには、複数の電磁波出力インタフェース46aが設置されている。同様に、電磁波伝搬媒体41Fは、前述の電磁波伝搬媒体41Bを構成するメッシュ状の第1導体層42Mに代えて平板状の第1導体層42Pが形成されており、第1導体層42Pには、複数の電磁波出力インタフェース46aが設置されている。複数の電磁波出力インタフェース46aは、例えば第1導体層42Pに開けたスロットである。
電磁波伝搬媒体41E,41Fの構成においても、定在波の影響が低減されるので、電磁波出力インタフェース46aは電磁波伝搬媒体41E,41Fのどの位置に設置されてもよい。
図19(a)および(b)に、それぞれ実施例4による第7の電磁波伝搬媒体41Gおよび第8の電磁波伝搬媒体41Hの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体41Gは、前述の電磁波伝搬媒体41Cを構成するメッシュ状の第1導体層42Mに代えて平板状の第1導体層42Pが形成されており、第1導体層42Pには、複数の電磁波出力インタフェース46aが設置されている。同様に、電磁波伝搬媒体41Hは、前述の電磁波伝搬媒体41Dを構成するメッシュ状の第1導体層42Mに代えて平板状の第1導体層42Pが形成されており、第1導体層42Pには、複数の電磁波出力インタフェース46aが設置されている。複数の電磁波出力インタフェース46aは、例えば第1導体層42Pに開けたスロットである。
電磁波伝搬媒体41G,41Hの構成においても、定在波の影響が低減されるので、電磁波出力インタフェース46aは電磁波伝搬媒体41G,41Hのどの位置に設置されてもよい。
本実施例5による電磁波伝搬媒体について図20〜図22を用いて説明する。図20〜図22は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図である。
本実施例5による電磁波伝搬媒体は、前述した実施例4と同様に、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面の形状を調整して、定在波の影響を低減している。本実施例5では、電磁波を反射する第1端面を、段差をつけてm(m≧3)個に分割した形状について説明する。
図20(a)に、実施例5による第1の電磁波伝搬媒体51Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Aは、メッシュ状の第1導体層52Mと平板状の第2導体層53とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェースが第1導体層52Mに設けられている。また、電磁波伝搬媒体51Aは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
さらに、電磁波伝搬媒体51Aは、電磁波入力インタフェースからの距離が異なる3つの面(第1端面57bv1,57bv2,57bv3)を有しており、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面57bvが、短辺が延在する方向に段差が生じるように3つの面(第1端面57bv1,57bv2,57bv3)に分割されている。電磁波伝搬媒体51Aの長辺に沿った一方の第2側面58の長さが、他方の第2側面58の長さよりも短く形成されている。
電磁波伝搬媒体51Aでは、第1端面57bv1、第1端面57bv2、および第1端面57bv3はそれぞれ短絡している。また、第1端面57bv1と第1端面57bv2、および第1端面57bv2と第1端面57bv3とには、それぞれ電磁波伝搬媒体51Aの長辺が延在する方向の距離でλ/6+n・λ/2((1、2、・・・、m−1)・λ/(2・m)+n・λ/2;m=3)の差がついている。位相で表現すると、π/3+n・π((1、2、・・・、m−1)・π/m+n・π;m=3)の差がついている。そして、第1端面57bv1、第1端面57bv2、および第1端面57bv3でそれぞれ発生する定在波は60度の位相差を持つため、前述の電磁波伝搬媒体41Aと同様に、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
このように、1つ第1端面57bvは2つの面で形成するだけではなく、3つ以上の面で形成しても効果が得られる。また、第1端面57bv1,57bv2,57bv3は短絡ではなく開放であっても同様の効果が得られる。
図20(b)に、実施例5による第2の電磁波伝搬媒体51Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Bは、前述の電磁波伝搬媒体51Aを構成する第1端面57bvの分割する面の数を増やした場合の構成であり、第1端面57bvcが、長辺が延在する方向にn・λ/2の長さにわたって、短辺が延在する方向に斜めに形成されている。
電磁波伝搬媒体51Bでは、第1端面57bvcは短絡している。前述の電磁波伝搬媒体51Aを構成する第1端面57bv1,57bv2,57bv3の面の数を増やしていった場合と同等であり、定在波の影響を低減することができる。また、第1端面57bvcは、開放であっても同様の効果が得られる。
図21(a)に、実施例5による第3の電磁波伝搬媒体51Cの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Cは、電磁波入力インタフェースからの距離が異なる3つの面(第1端面57bh1,57bh2、57bh3)を有しており、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面57bhが、長辺が延在する方向に段差が生じるように3つの面(第1端面57bh1,57bh2、57bh3)に分割されている。言い換えると、電磁波伝搬媒体51Cの長辺に沿った第1導体層52Mの長さが、第2導体層53の長さよりも短く形成されている。
電磁波伝搬媒体51Cでは、第1端面57bh1、第1端面57bh2、および第1端面57bh3はそれぞれ短絡している。また、第1端面57bh1と第1端面57bh2、および第1端面57bh2と第1端面57bh3とには、それぞれ電磁波伝搬媒体51Eの長辺が延在する方向の距離でλ/6+n・λ/2((1、2、・・・、m−1)・λ/(2・m)+n・λ/2;m=3)の差がついている。位相で表現すると、π/3+n・π((1、2、・・・、m−1)・π/m+n・π;m=3)の差がついている。そして、第1端面57bh1、第1端面57bh2、および第1端面57bh3でそれぞれ発生する定在波は60度の位相差を持つため、前述の電磁波伝搬媒体41Gと同様に、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
第1端面57bh1、第1端面57bh2、および第1端面57bh3は短絡ではなく開放であっても同様の効果が得られる。
図21(b)に、実施例5による第4の電磁波伝搬媒体51Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Dは、前述の電磁波伝搬媒体51Cを構成する第1端面57bhの分割する面の数を増やした場合の構成であり、第1端面57bhcが、長辺が延在する方向にn・λ/2の長さにわたって、長辺が延在する方向に斜めに形成されている。
電磁波伝搬媒体51Dでは、第1端面57bhcは短絡している。前述の電磁波伝搬媒体51Cを構成する第1端面57bh1,57bh2,57bh3の面の数を増やした場合と同等であり、定在波の影響を低減することができる。また、第1端面57bhcは開放であっても同様の効果が得られる。
図22(a)に、実施例5による第5の電磁波伝搬媒体51Eの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Eは、電磁波入力インタフェースからの距離が異なる複数の面(第1端面57bv1,57bv2,57bv3)を有しており、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面57bvが、長辺が延在する方向に段差が生じるように複数の面(第1端面57bv1,57bv2,57bv3)に分割されている。すなわち、電磁波伝搬媒体51Eは、前述の電磁波伝搬媒体51Aの第1端面57bvを構成する3つの第1端面57bv1,57bv2,57bv3を繰り返した第1端面57bvを有している。これにより、前述の電磁波伝搬媒体41Aと同様に、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
また、第1端面57bv1,57bv2,57bv3は短絡であっても開放であっても同様の効果が得られる。なお、第1端面57bv1,57bv2,57bv3の短辺が延在する方向に沿った幅はλ/4以上であることが好ましい。
図22(b)に、実施例5による第6の電磁波伝搬媒体51Fの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体51Fは、前述の電磁波伝搬媒体51Eを構成する第1端面57bvの分割する面を増やした場合の構成であり、第1端面57bvcが、長辺が延在する方向にn・λ/2の長さにわたって、短辺が延在する方向に斜めに形成されて、2つの面(第1端面57bvc1,57bvc2)を有している。これにより、前述の電磁波伝搬媒体51Eと同様に、定在波の影響を低減することができる。
また、第1端面57bvc1,57bvc2は短絡であっても開放であっても同様の効果が得られる。なお、第1端面57bvc1,57bvc2の短辺が延在する方向に沿った幅はλ/4以上であることが好ましい。
また、前述の電磁波伝搬媒体51Cの第1端面57bhを構成する3つの第1端面57bh1,57bh2,57bh3を繰り返した第1端面57bh、または前述の電磁波伝搬媒体51Dの第1端面57bhcを複数有する電磁波伝搬媒体を構成することもできる。
なお、前述の電磁波伝搬媒体51A〜51Fでは、メッシュ状の第1導体膜52Mを形成したが、メッシュ状の第1導体層52Mに代えて平板状の第1導体層を形成し、第1導体層に複数の電磁波出力インタフェースを設置してもよく、同様に、定在波の影響を低減することができる。また、この場合、定在波の影響が低減されているので、電磁波出力インタフェースは電磁波伝搬媒体のどの位置に設置されてもよい。
本実施例6による電磁波伝搬媒体について図23〜図25を用いて説明する。図23〜図25は、電磁波伝搬媒体の要部を拡大して示す斜視図である。
本実施例6による電磁波伝搬媒体は、前述した実施例4,5と同様に、電磁波の進行方向において電磁波を反射する、第1端面の形状を調整して、定在波の影響を低減している。本実施例6では、電磁波を反射する第1端面を、段差をつけずにm(m≧2)個に分割した形状について説明する。
図23(a)に、実施例6による第1の電磁波伝搬媒体61Aの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体61Aは、メッシュ状の第1導体層62Mと平板状の第2導体層63とにより平面状の電磁波伝搬空間の上下を挟む構造を有し、少なくとも1つの電磁波入力インタフェースが第1導体層62Mに設けられている。また、電磁波伝搬媒体61Aは、伝搬する電磁波の進行方向(第1方向)に長辺を有し、その電磁波の進行方向と直交する方向(第2方向)に短辺を有する帯状である。
さらに、電磁波伝搬媒体61Aは、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bvが、短辺が延在する方向のほぼ真ん中で2つに分割されており、一方を短絡した面、他方を開放した面の2つの面(67bv1,67bv2)によって構成されている。すなわち、電磁波伝搬媒体61Aの長辺に沿った一方の第2側面68側の第1端面67bのほぼ半分(第1端面67bv1)には、導体層が形成されており、この導体層を介して第1導体層62Mと第2導体層63とが繋がっている。これに対して、磁波伝搬媒体61Aの長辺に沿った他方の第2側面68側の第1端面67bのほぼ半分(第1端面67bv2)には、導体層が形成されていない。第1端面67bv1と第1端面67bv2とには、位相で表現すると、π/2+n・π((1、2、・・・、m−1)・π/m+n・π;m=2)の差がついていることになる。2つの第2端面68,68は短絡または開放のいずれでもよい。
電磁波伝搬媒体61Aでは、一方の第1端面67bv1で発生する定在波S1と他方の第1端面67bv2で発生する定在波S2とは90度の位相差を持つため、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
図23(b)に、実施例6による第2の電磁波伝搬媒体61Bの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体61Bは、前述の電磁波伝搬媒体61Aと同様に、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bvを短絡した面と開放した面の2つの面(67bh1,67bh2)により構成しているが、分割の方向が異なる。すなわち、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bhが、電磁波伝搬空間の厚さ方向のほぼ真ん中で2つに分割されており、第2導体層63側の一方の第1端面67bh1には、導体層が形成されており、第1導体層62M側の第1端面67bh2には、導体層MLが形成されていない。第1端面67bh1と第1端面67bh2とには、位相で表現すると、π/2+n・π((1、2、・・・、m−1)・π/m+n・π;m=2)の差がついていることになる。
電磁波伝搬媒体61Bは、前述の電磁波伝搬媒体61Aと同様に、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあうため、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
図24(a)および(b)に、それぞれ実施例6による第3の電磁波伝搬媒体61Cおよび第4の電磁波伝搬媒体61Dの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体61Cは、前述の電磁波伝搬媒体61Aと同様に、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bvが、短辺が延在する方向のほぼ真ん中で2つに分割されており、一方を短絡した面、他方を開放した面の2つの面(67bv1,67bv2)によって構成されている。前述の電磁波伝搬媒体61Aを構成するメッシュ状の第1導体層62Mに代えて平板状の第1導体層62Pが形成されており、第1導体層62Pには、複数の電磁波出力インタフェース66aが設置されている。
電磁波伝搬媒体61Dは、前述の電磁波伝搬媒体61Bと同様に、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bhが、電磁波伝搬空間の厚さ方向のほぼ真ん中で2つに分割されており、一方を短絡した面、他方を開放した面の2つの面(6bh1,67bh2)によって構成されている。前述の電磁波伝搬媒体61Bを構成するメッシュ状の第1導体層62Mに代えて平板状の第1導体層62Pが形成されており、第1導体層62Pには、複数の電磁波出力インタフェース66aが設置されている。
複数の電磁波出力インタフェース66aは、例えば第1導体層62Pに開けたスロットである。電磁波伝搬媒体61C,61Dの構成では、定在波の影響が低減されるので、電磁波出力インタフェース66aは電磁波伝搬媒体61C,61Dのどの位置に設置されてもよい。
図25に、実施例6による第5の電磁波伝搬媒体61Eの要部を拡大した斜視図を示す。
電磁波伝搬媒体61Eは、電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面67bvが、短辺が延在する方向に4つに分割されており、短絡した面(第1端面67bv1)と、開放した面(第1端面67bv2)とが交互に配置されている。電磁波伝搬媒体61Eでは、前述の電磁波伝搬媒体61Aと同様に、第1端面67bv1で発生する定在波S1と、第1端面67bv2で発生する定在波S2とは90度の位相差を持つため、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬媒体61E内での定在波の影響を低減することができる。
なお、第1端面67bv1,67bv2の短辺が延在する方向に沿った幅はλ/4以上であることが好ましい。また、電磁波伝搬媒体61Eの構成では、定在波の影響が低減されるので、電磁波出力インタフェースは電磁波伝搬媒体61Eのどの位置に設置されてもよい。
また、前述の電磁波伝搬媒体61B〜61Dにおいても、電磁波伝搬媒体61Eと同様に、第1端面67bv,67bhを複数に分割してもよく、定在波の腹と節とを互いに打ち消しあい、電磁波伝搬空間での定在波の影響を低減することができる。
前述した実施例4、実施例5、および実施例6では、電磁波の進行方向において電磁波を反射する第1端面の形状を調整して、定在波の影響を低減することのできる電磁波伝搬媒体41A〜41H,51A〜51F,61A〜61Eのそれぞれの構造および効果について説明した。
本実施例7では、電磁波伝搬媒体41A〜41H,51A〜51F,61A〜61Eにそれぞれ他の形態を組み合わせた変形例について説明する。
(1)電磁波の進行方向において電磁波を反射する一方の第1端面を短辺が延在する方向に沿って複数(例えば2つまたは4つ)に分割して、短絡した面と開放した面とを交互に配置した電磁波伝搬媒体61A〜61Eに、長辺が延在する方向の距離に差を付けた面を形成する電磁波伝搬媒体41A〜41H,51A〜51Fを組み合わせてもよい。
(2)また、複数の電磁波伝搬媒体で構成された電磁波伝搬媒体の複合体でも構わない。例えば電磁波伝搬媒体41Aの第1端面47bv1および第1端面47bv2をそれぞれ1つずつの電磁波伝搬媒体で構成し、この2つの電磁波伝搬媒体を組み合わせて構成してもよい。また、電磁波伝搬媒体51Aの第1端面57bv1,57bv2,57bv3についても同様に3つの電磁波伝搬媒体の組み合わせで構成してもよい。また、電磁波伝搬媒体61Aの第1端面61bv1,61bv2を2つの電磁波伝搬媒体の組み合わせで構成してもよい。
(3)また、前述した実施例4,5,6は定在波の影響を低減する構成であるが、長辺が延在する方向の低減する定在波と短辺が延在する方向の定在波とを活用し、前述した実施例1と組み合わせて実施することも可能である。一例として、電磁波伝搬媒体61Cの構成に電磁波伝搬媒体1Eの構成を組み合わせた電磁波伝搬媒体について説明する。電磁波伝搬媒体61Cに1つの電磁波入力インタフェースと複数の電磁波出力インタフェースを設け、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある電磁波出力インタフェースほど、一方の第2端面からλ/4+n・λ/2の距離に近づけて設置するとよい。
このような構成にすることにより、電磁波伝搬媒体の長辺が延在する方向の定在波の影響を低減しつつ、短辺が延在する方向の定在波を活用し、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある電磁波出力インタフェースにも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体を実現することができる。
(4)また、前述した実施例4,5,6に、前述した実施例2を組み合わせることも可能である。電磁波伝搬媒体41A〜41H,51A〜51F,61A〜61Eの構成に対して、電磁波入力インタフェースを設け、第1導体層を導体メッシュとし、電磁波入力インタフェースから遠い場所ほど、第1導体層の導体メッシュを疎にする。または、開口部に導体メッシュを有する電磁波出力インタフェース(スロット)を形成し、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある電磁波出力インタフェースほど導体メッシュを疎にする。
このような構成にすることにより、電磁波伝搬空間の定在波の影響を低減しつつ、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある電磁波出力インタフェースにも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体を実現することができる。
(5)また、前述した実施例4,5,6に、前述した実施例3を組み合わせることも可能である。電磁波伝搬媒体41A〜41H,51A〜51F,61A〜61Eの構成に対して、電磁波入力インタフェースを設け、第1導体層の表面(電磁波伝搬空間と接する面と反対側の面)と第2導体層の裏面(電磁波伝搬空間と接する面)との距離を、電磁波入力インタフェースから遠い場所ほど短くするとよい。
(6)また、前述した実施例4,5,6に、実施例1、実施例2、および実施例3を複数組み合わせることにより、定在波の影響を低減しつつ、電磁波入力インタフェースから遠い位置にある電磁波出力インタフェースにも電力が届きやすい電磁波伝搬媒体を実現することができる。
このように、本実施例7に係る電磁波伝搬媒体の構成を適用すれば、電磁波伝搬媒体の端面を調整することで、定在波の影響を低減する電磁波伝搬媒体が実現することができる。これにより、電磁波出力インタフェースの設置場所の制約が緩和される。
また、実施例4,5,6,7の構成に通信装置を設置し、通信装置間で通信することができる。このとき、電磁波伝搬媒体内の定在波の影響は低減されているので、通信装置の設置間隔は通信装置の都合、例えばサイズなどに合わせて設定することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。